AIPP のジェンダー政策と運用指針

AIPP のジェンダー政策と運用指針
背景と文脈
AIPP は先住民族の権利推進のために活動している。先住民族の権利は国際的人権フレームワークの
一部であり、
「先住民族の権利に関する権利宣言」は、それ以前に存在していた人権法規が不十分であ
り、先住民族の個人的・集団的権利を効果的に保護するためにはそのことをより明確に認識する必要
があるという事実の表明である。
「先住民族の権利に関する権利宣言」は先住民族の個人的・集団的権
利実現に必要な最低基準を規定している。女性の権利についても同様に特別の配慮が必要であった。
ジェンダー不平等、とりわけ世界における女性差別と周縁化の問題に対処するために、
「女子に対する
あらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(CEDAW)が採択されたのである。
先住民族は世界で最も周縁化され、脆弱な集団であることは広く認められている。その先住民族のな
かで女性はしばしば最も恵まれない範疇に属している。先住民女性の地位はコミュニティや地域によ
って異なるが、先住民女性は先住民として、女性として、多重的な差別に直面している。先住民女性
は、主流文化からも、国民国家からも人種差別やその他の差別を受けている。先住民としてのアイデ
ンティティに対する差別に加えて、先住民族はしばしば社会経済的な周縁化に直面し、不相応なまで
に社会の最貧層を構成している。民族出自と経済にかかわる、これら二つの、外部から強制される差
別は、国家機関、立法・行政府、主流の社会勢力などによる先住民女性に対する強制的権利侵害に発
展する恐れがある。
先住民社会の中でも、
女性はしばしば、
家庭内労働にしか適していないという固定観念でとらえられ、
指導的な立場に立つことはもちろん、時にはコミュニティの事柄にかかわることさえもままならない
ことがある。女性は男性より劣っていると考えられているのである。多くの先住民コミュニティは、
伝統的な男性優位の社会・経済システムを続けており、女性は意思決定に十分に参加していない。女
性が、持続可能な資源管理、食料の生産と安全保障、伝統知識の強化、平和構築と紛争解決、家族・
コミュニティの基本的ニーズの充足、社会的一体性の強化など、重要かつ不可欠の貢献をしているに
もかかわらず、それが女性の現状である。伝統的な組織とそれに関連あるいは相応する国家機構の中
で女性がほとんど意思決定に参加していないために、
すでに女性が経験している差別がさらに再生産、
強化されるのである。
先住民女性は先住民男性と比較して、適切な教育、基本的な保健サービス、雇用に対して、より低い
レベルからアクセスしなければならない。基本的社会サービスの点で先住民コミュニティがすでに困
難な状況に置かれているために、先住民コミュニティや一般社会は男性のほうがより教育の機会を与
えられるべきだという伝統的な考えに立ち、
そのことによってこの問題はさらに深刻化する。
同様に、
先住民女性の性と生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス)という女性固有の問題も十分に考慮
されていない。こうした状況のために、先住民女性は、非識字、健康問題、機会の不均等の影響を被
りやすく、女性全体の発展といった点で弱い立場に置かれている。
これら特定の複数の差別の原因は複雑に絡み合っているので、特別の対応を必要とする。その対応は
女性固有のニーズだけでなく、先住民女性固有のニーズにも合致したものでなければならない。こう
した認識に基づいて、AIPP は先住民の権利を推進・支援する別個のプログラムを開発してきた。先
住民族のアドヴォカシー(権利推進・提言)組織として、AIPP はとりわけ平等・社会正義ならびにジェ
ンダーの平等とジェンダーの公正に関心を持っている。従って、AIPP は、先住民女性に対するプロ
グラムに加えて、これらの原則を自らの統治機関によって、事実上ならびに説明責任の点でも、確実
に推進し、前進させなければならない。このことを達成するためにこのジェンダーに関する政策が
AIPP によって立案された。
組織の政策として、本政策は、AIPP 統治機関および AIPP の他のメカニズムによって実施され、AIPP
に対する説明責任を果たすために加盟団体が遵守すべき基本的原則と運用指針から構成されている。
本政策において、ジェンダーの平等は、以下のように定義される平等と公正の両方を含むものと理解
される。


平等とは、すべての個人を個人個々の相違にかかわらず平等に扱うことである。
公正とは、個人を個人個々の相違に応じて扱い、個々が必要とするものを提供することである。
ジェンダーの公正とは、女性と男性を公正に扱うプロセスのことである。公正さを確保するために
はしばしば、男女が公平な条件で活動することを妨げる女性の歴史的・社会的不利益を補う戦略と
施策が必要とされる。公正があって、平等が生まれる。
ジェンダーの平等では、男女が社会的に価値ある物、機会、資源、報酬を平等に享受することが求
められる。ジェンダー間不平等が存在する場合、意思決定や経済的・社会的資源の活用に関して、
排除されるか不利益を被るのは通常女性である。
従って、ジェンダーの平等を推進するひとつの重要な側面は女性のエンパワメントであり、その重
点は権力の不均衡を特定し、是正すること、および女性が自らの人生を管理できるように女性によ
り大きな自律性を与えることにある。ジェンダーの平等は男女が同じになることを意味するのでは
ない。機会と人生の再出発へのアクセスがジェンダーに依存しない、あるいはジェンダーによって
制限されないことを意味するだけである。ジェンダーの平等を実現するには、私的・公的レベルに
おける意思決定と資源へのアクセスが男性に有利にならないようにし、男女が平等のパートナーと
して生産と生殖にかかわる生活に十全に参画できるように女性をエンパワすることが必要である。
先住民女性にとって、ジェンダーの平等とエンパワメントとは、先住民族として自分たちの個人
的・集団的権利を享受することを意味する。さらに、ジェンダーの平等とエンパワメントは、とり
わけ持続可能な資源管理、コミュニティ開発、社会的一体性の維持という点で、先住民社会におけ
る先住民女性の公正な権利、役割、貢献を強化する。
http://wiki.answers.com/Q/What_is_the_difference_between_Gender_Equality_and_Gender_Equity
本ジェンダー政策を採択することを通して、AIPP は以下の実現を目指している。
・ジェンダーの平等の原則が組織の全段階でのすべての意思決定に適用される。
・AIPP 役職者およびスタッフが果たすべき説明責任の基準となる。
目標
AIPP のジェンダー政策の目標は、ジェンダーの平等と女性に対するエンパワメントを、AIPP の統治
とプログラム、AIPP の実施メカニズムおよび一般的労働文化の指針となる、倫理的かつ政治的原則
とすることである。
1.1 戦略
a. プログラムとプロジェクト開発プロセスのすべての段階に対して、以下のように一貫してジェ
ンダー的視点が適応される。
・プロジェトクのサイクル、計画、実施、モニタリング、評価、影響アセスメントにおいて
ジェンダー分析を応用し、報告書などにおいてデータを男女別に作成するようにする。
・必要に応じて、計測可能なジェンダー指標/男女別の社会・経済的指標・目標を設定し、一
方でジェンダー不平等/不公正を縮小する機会について評価する。
・先住民女性がプロジェクト開発に参加できるようにする。
・すべての AIPP の活動とプログラムのなかで、女性が、自らを表現し、直接その声が届け
られる可能性を与えられるように特別の努力を払う。
b. ジェンダー問題への対応には文化的感受性を重要視するアプローチがとられる。AIPP は、
AIPP プログラムとプロジェクトにかかわる、あるいはその影響を受けている男女の、異なる
役割、責任、権利、義務、知識、技術を尊重している。こうした観点から、AIPP の活動に対
する先住民女性の効果的な参画に影響を及ぼす先住民女性固有のニーズと状況への対応がなさ
れる。
c. 必要に応じて、関連する国内、地域、国際的な法規・政策・プログラム・組織がいかにジェン
ダーの公正に影響を与えるのかを調査し、それらとの関連でジェンダーの公正を推進する可能
性を模索する。
d. 先住民女性の団体、グループ、リーダーを強化するための、能力開発などのを支援を含む、先
住民女性に関するプログラムを強化する。
e.役職者とスタッフおよび加盟団体に対して一般的なジェンダー意識向上トレーニングを実施す
ると共に、先住民女性の問題と関心に対応するための能力開発を行う。
f. あらゆる AIP P プログラムのすべてのレベルにおいて、先住民女性の権利とエンパワメントの
推進とメインストリーム化を強化する。
g. すべての AIPP プログラムにおいて、ジェンダーと女性の権利に関する活動に男性がかかわる
ことを推進し、保証する。
h. AIPP、その加盟団体およびネットワーク団体が実施する活動に関して集められるデータはす
べて男女別に集計・分析し、女性の状況を定期的に記録するようにする
i. 本ジェンダー政策の実施に関して加盟団体に支援を提供する。
1.2 運用指針
1.2.1 総会は
a. 総会に出席する加盟団体の代表団/代表のジェンダー・バランスを確保する。
b. 執行委員会において先住民女性の代表を選出し、その代表は女性の観点・視点・関心事が確実
に執行委員会の審議と決定に組み入れられるようにする。
c. 統治機関と AIPP 関連メカニズムにおいてジェンダー・バランスを護持する。
d. 総会によって採択される AIPP のプログラムに本ジェンダー政策が反映されるようにする。
e. 本ジェンダー政策の実施状況についての評価・点検を監督する。
f. 各加盟団体が自らの組織の中で本ジェンダー政策を前進させるために最善の努力を払うよう
に、本ジェンダー政策を加盟団体内で推進する。
1.2.2 執行委員会は
a. AIPP スタッフおよび AIPP が設置する他の調整メカニズムにおいてジェンダー・バランスを
確保する。
b. 執行委員会および事務局における AIPP の労働文化が確実に、相互尊重・礼節・ジェンダーの
平等、
優れた統治、
アカウンタビリティ、
透明性に関する基本的価値の共有に基づくようにする。
c. 執行委員会、事務局および他の AIPP のメカニズムと機構において、あらゆる形態の暴力を絶
対に許さないことを保証する。そうした事例に対しては、執行委員会によって、正当な手続き
を経て制裁が科される。事例の過酷さに応じて、制裁には、強い警告、職務停止、契約解除、
金銭的補償、法的行動が含まれるが、それに限定されるわけではない。
d. AIPP のプログラム・活動に関する計画、監視、アセスメント、評価においてジェンダーの視
点を適用する。
e. 本ジェンダー政策の実施のために必要に応じて更に指針を設ける。
1.2.3 マネジメント・チームは
a. AIPP ジェンダー政策および業務とマネジメントのやり方における尊重の必要性をスタッフに
認識させ、ジェンダーに関する固定観念化や全ての形態の暴力を含む差別的慣行を確実に阻止
する。
b. 事務局におけるあらゆる形態の暴力に対する苦情の窓口となる。苦情は執行委員会に提起され、
対処される。
c. すべてのプログラムとその他の活動においてジェンダー・バランスを推進・実行し、先住民女
性の積極的な参加を容易にするために、彼女たち固有の関心事に対応する。この方針に沿って、
事務局は、AIPP 活動におけるジェンダー・バランスに反して AIPP 活動への参加者が推薦さ
れた場合、その推薦を受け付けない権利を有する。
d. 事務局に対する活動およびプログラム報告において、データを男女別化し、女性の視点を導入
する。
e. ジェンダーに対する感受性を重視するアプローチと業務手法/方法論を開発する。
f. 事務局に対するジェンダー意識向上トレ―ニングを調整・実施し、この分野における継続的な
ニーズについて評価・点検する。
1.2.4 先住民女性プログラム委員会は
a. 先住民女性のニーズと優先事項および AIPP ジェンダー政策を考慮に入れて、プログラム開発
と実施に関して助言を与える。
b. ジェンダー政策と先住民女性に関する AIPP のプログラムを推進するために、プログラム・コ
ーディネーターと緊密に連携する。
c. AIPP ジェンダー政策の実施状況に関してアセスメント/評価を行う。
d. 必要に応じて、AIPP ジェンダー政策の実施状況をいかに改善するかに関して、マネジメント・
チームと執行委員会に勧告する。