全国水土里ネット会長賞 せきうさぎ だ くれ つぼかんきょうほぜんきょう ぎ か い 参加団体名:関 兎 田 暮 坪 環 境 保全協 議会 地 区 名:兎田暮坪地区(埼玉県秩父市) 1.地区の概要 本 地 区 は 、秩 父 市 の 北 西 部 に 位 置 し 、一 級 河 川 赤 平 川 左 岸 の 台 地 に 展 開 す る 畑 を 主 体 と し た農業地帯である。 地 区 の 大 半 の 農 地 は 、不 整 形 で 、道 路 、水 路 も 狭 く 湾 曲 し 、営 農 の 利 便 性 が 悪 く 、さ ら に 、 農業者の高齢化が進展しているため、耕作放棄地が拡大している状況であった。 こ れ ら 課 題 解 消 を 目 指 し て 、県 営 中 山 間 地 域 総 合 整 備 事 業 に よ り ほ 場 整 備 を 実 施 す る こ と で、農業生産性の向上や地域農業の活性化を図ることとした。 2.団体の概要 ほ 場 整 備 事 業 の 実 施 を 契 機 と し た 将 来 の 兎 田 暮 坪 地 区 の 農 業 の 展 望 を 考 え る と 、営 農 組 織 の 構 築・ 充 実 等 を 図 り 、農 業 生 産 体 制 の 整 備 と 合 わ せ た「 地 域 ぐ る み の 保 全 管 理 」を 行 う こ とが必要であると意見がまとまった。 ま た 、末 永 く 農 地 の 有 効 活 用 を 図 る た め に は 、地 域 全 体 で の 土 地 利 用 に 関 す る 情 報 発 信 も 必 要 で あ る こ と か ら 、 平 成 21 年 4 月 1 日 に 関 兎 田 暮 坪 環 境 保 全 協 議 会 が 設 立 さ れ た 。 3.事業の概要 ①事業名:県営中山間地域総合整備事業のうちほ場整備事業 ②工 期 着工年度:平成 18 年度 ∼ 完了年度:平成 25 年度 ③総事業費:346.4 百万円 ④受益面積:17.8ha、受益戸数:88 戸 ⑤主要工事:区画整理 17.8ha 4.主な活動 活 動 名 活 動 内 容 1農地の保全管理 農 地 維 持 等 に 係 る 草 刈 り 、 泥 上 げ 等 (17.83ha) 2企業の新規農業 地 元 企 業 2社 が 当 該 農 地 を 借 り 受 け 平 成 22年 8月 2日 か ら 利 用 開 参入支援 始( 栽 培 面 積 86a: 島 ら っ き ょ う 、島 に ん に く 、そ ば 、小 麦 、大 豆を栽培) 3担い手育成・就農 担い手塾、育成就農支援 4起業農業者支援 農 業 生 産 団 体 を 支 援 ( そ ば の 実 会 、 (株 )秩 父 ファーマーズファクトリー) 5.農業農村整備事業の実施後の取り組み内容と効果 (1)地権者の意識改革 整備された農地を守る。農用地利用集積計画を定める。(利用権設定) (2)企業の農業新規参入 地 元 企 業 2 社 が 当 地 区 農 地 の 借 り 受 け を 希 望 し 、関 係 機 関 及 び 土 地 改 良 組 合 と 調 整 を 図 っ た 結 果 、農 業 経 営 基 盤 強 化 促 進 法 に よ る 利 用 権 を 地 権 者 と 締 結 し 、利 用 開 始 と な っ た。 (3)担い手育成・就農 担い手育成塾を開設し、秩父在来大豆「借金なし」、二条大麦の栽培に取り組んだ。 (4)起業農業者支援 農 業 生 産 団 体 を 支 援 。 ( そ ば の 実 会 、 (株 )秩 父 フ ァ ー マ ー ズ フ ァ ク ト リ ー ) 6.取り組み内容などについての効果 指 標 事業実施前 現在 ・農地の保全管理 0ha 17.83ha ・担い手の確保 0人 2人 ・農業参入・起業団体 0社 3社 0人 /年 30人 /年 ・ほたるの郷の会イベント参加 400人 /年 550人 /年 ・ぶどう祭り、案山子祭り参加 200人 /年 350人 /年 ・大豆栽培体験教室 7.取り組みに対しての苦労、工夫及び地域の課題の克服について ほ場整備事業の実施を契機とした将来の兎田暮坪地区の農業展望を考えるため、秩父市、 秩 父 市 農 業 委 員 会 、J A ち ち ぶ 、兎 田 暮 坪 土 地 改 良 組 合 等 と 連 携 を 図 り 、営 農 体 制 の 確 立 に 向けた支援、担い手の育成・就農に取り組んできた。 そ の 結 果 、平 成 21 年 に 秩 父 在 来 大 豆「 借 金 な し 」生 産 組 合 を 設 立 し 、秩 父 在 来 大 豆 の「 借 金 な し 」や 、ウ イ ス キ ー の 原 料 と な る「 二 条 大 麦 」を 作 付 け す る と と も に 、都 市 住 民 と の 交 流 を 目 的 と し た 栽 培 体 験( 播 種 ∼ 収 穫 、豆 腐 づ く り 体 験 )や 、収 穫 し た 大 豆 を ブ ラ ン ド 化 す る 取 り 組 み も 行 い 、地 域 の 活 性 化 に 大 き く 貢 献 し た 。た だ し 、現 在「 借 金 な し 」は 、帰 化 ア サ ガ オ 類 が ま ん 延 し た た め 、収 穫 量 が 激 減 し て お り 、帰 化 ア サ ガ オ 類 の 除 去 作 業 を 実 施 中 で ある。 また、民間の事業者から「ワイナリーを兎田地区につくりたい」という話が持ち上がり、 地 区 内 農 地 で 葡萄を栽培し、隣接地に醸造所が建設され、白 ワ イ ン の 発 売 を 予 定 し て い る ほ か 、 ワイナリーに併設する形で「釜の上農園村レストラン」も開設されている。 今後も 6 次産業化と地場産業の振興を目指していきたいと考えている。 8.本取り組みと農業について ①今回の地域づくりにおける取り組みは農業や農家にどのような影響を与えたか、また、農業自体 がどう変わってきたか。 地域の農業は、高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大など深刻な課題を抱え、生産者の多く が、急激な環境変化に翻弄されている。こうした現状を打開するために、ほ場整備事業を実施し 地区の営農条件を大幅に改善した。 その結果、担い手の就農や新規企業の参入、観光農業による「ワイン葡萄」を軸とした新規事 業の取り組みが始まり、地域にある資源を活用して新しい価値を創り出すことに成功し、これま でとは違った切り口、違った視点があれば、まだまだ活性化につながる要素があることが分かっ た。 そして全国に向けて、農業の地域経営の活発化の情報を発信できるようにしたいと考えてい る。 ②環境に配慮した農業の展開、新規作物の導入について。 農薬の節減、化学肥料の減に努め、多様な生物が生息できる環境を整えることを目指している。 9.今後の展望 ・農業生産のメニューや商品開発を行ない、消費者目線の商品づくりを行う。 ・観光事業と連動した拠点活性化事業の展開。 ・農産物、地域特産品や農商工連携商品など販路としての商社機能の展開。(農産物直売所、小 売店、地産地消型の飲食店舗の運営や観光周遊事業などこれまでの枠を超えた様々な連携と協 働による戦略を目指す。) 農業農村整備優良地区コンクール参加地区の概要 Ⅰ 地区の概要 ふりがな うさぎ だ くれつぼ ち く 兎 田暮坪地区 地区名 ふりがな 参加団体 せきうさぎ だ くれつぼかんきょうほぜんきょう ぎ か い 名称:関 兎 田暮坪 環 境 保全協議会 住所:〒369-1503 秩父市下吉田4265 Tel.0494-77-0966 Fax. − ふ り が な さいとう さ だ お 代表者氏名:代表 齋藤貞男 事業の概要(対象事業、工期、 総事業費、受益面積・戸数) 主要工事・規模 県営中山間地域総合整備事業のうちほ場整備事業 平成18年度∼平成25年度、346.4百万円、17.8ha・88戸 区画整理17.8ha Ⅱ 主な活動 活 動 名 1農地の保全管理 2企業の新規農業参入支援 3担い手育成・就農 4起業農業者支援 活 動 内 容 農地維持等に係る草刈り、泥上げ等(17.83ha) 地元企業2社が当該農地を借り受け平成22年8月2日から利用開始(栽培面積86a:島らっ きょう、島にんにく、そば、小麦、大豆を栽培) 担い手塾、育成就農支援 農業生産団体を支援(そばの実会、(株)秩父ファーマーズファクトリー) ◆活動状況の主な指標 ・農地の保全管理 ・担い手の確保 ・農業参入・起業団体 ・大豆栽培体験教室 ・ほたるの郷の会イベント参加 ・ぶどう祭り、案山子祭り参加 事業実施前 事業実施前 事業実施前 事業実施前 事業実施前 事業実施前 ◆関係組織 ・(株)秩父ファーマーズファクトリー 0ha 0人 0社 0人/年 400人/年 200人/年 → → → → → → 現在 現在 現在 現在 現在 現在 17.83ha 2人 3社 30人/年 550人/年 350人/年 Ⅲ 推薦理由 秩父市吉田地区は、「道の駅龍勢会館」「吉田フルーツ街道」「ほたるの郷」などの地域資源を有し、ある程度 の知名度があるが、観光客の減少、農業者の高齢化、後継者不足、農業生産額の落ち込みなど問題が多く、企業誘 致を始め、農業の活性化など地域資源を生かし、経済の好循環を創りだすことが喫緊の課題となっていた。 ほ場整備事業の実施を契機として設立された当協議会の活動により、農地の保全管理、企業の新規農業参入、担 い手の育成・就農支援等が進み、平成 27 年 8 月 18 日にワインづくりで地域おこしを目指す起業者がワイナリーを 開設するまでになった。 これらの活動は、活力と個性ある地域づくりの優れた成果であることから、農業農村整備優良地区コンクールに 推薦する。
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