今さら人に聞けない!! 株式市場には、市場拡大が見込まれる何らかのテーマが常に存在します。ここ 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 では、‘何となく知っているものの、ぼんやりとしたイメージしか描けない’マレー シアの現状とこれからについて分かりやすく解説します。 マレーシアって、どんな国 ? 「東南アジアの国って以外はほとんど知らないかも・・・」という方も、マハティール首相、ペトロナスタ ワー、エアアジア、最近では食品のハラル認証などのニュースを耳にしたことがあるのではないでしょうか。 マレーシアは東南アジアに位置するイスラム国家です。熱帯雨林に覆われた国土に、世界有数のエレクトロニクス 拠点が形成されています。経済面では、天然資源の輸出中心の経済から政府主導で外資を積極的に導入し製造業を 推進、著しい経済成長を遂げました。その過程では国内の多民族間の融和を重視した政策が実施され、中東のイスラ ム諸国と異なり大きな政変を経ることなく安定した政治・社会情勢を維持しています。東南アジアの優等生と言われ、 現在 2020 年までに先進国入りを目指したプロジェクトが推進中で、達成されれば、イスラム国家として最初の先進国 の誕生となります。 マレーシアの国土と民族・属性 赤道のすぐ北に位置するマレーシアは、マレー半島 南端とボルネオ島(インドネシアではカリマンタン島とい う)の一部から成り、タイ、インドネシア、ブルネイと陸上 の国境線で隣接し、シンガポールと海を隔てて近接して います。 面積は約 33 万平方キロメートルで、日本の約 0.9 倍 の広さになります。人口は約 2946 万人(2012 年)ですの で日本の4分の1弱と小規模ながら、人口は年 1.8%で 増加しています(02~12 年の年平均増加率)。また、総 人口の約 56%が 29 歳以下で若者が多いピラミッド型の 人口構成となっています。 マレーシアには、13 の州と連邦政府の直轄地である3 つの連邦特別区があります。連邦特別区は、首都のク アラルンプール、国際オフショア金融センターのラブアン 島、連邦政府行政地区のプトラジャヤとなっています。 (出所:外務省) プトラジャヤは新行政都市で、1999 年からクアラルンプ ールの首都機能の移転が開始され、2011 年までに 21 省庁(全体の 95%)の移転が完了しました。 マレーシアは国土の約 60%が熱帯雨林で覆われており、熱帯の島々、高原リゾート、神秘的な山々など魅力的な自 然に溢れています。 民族構成は、マレー系(約 67%、うち先住民族約 13%)、中国系(約 25%)、インド系(約 7%)で、多民族国家を形成し 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 1/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 ています。言語は、国語であるマレー語のほか、中国語、タミール語、英語も広 く使用されています。宗教をみると、国教はイスラム教(61%)ですが、他宗教の 信仰も認められており、仏教(20%)、儒教・道教(1%)、ヒンズー教(6%)、キリ スト教(9%)などが信仰されています。多様な民族、宗教、生活習慣の融合は マレーシア独特の文化を生み出しています。 マレーシアはイギリスの植民地であったため、その名残があります。たとえば、 (出所:外務省) 他の近隣諸国と比較して鉄道や港湾などのインフラが独立時より整備され、法 体系がイギリス法に準拠しており、民間ビジネスでは英語が用いられている、な どです。また、イギリス連邦(Commonwealth of Nations)に加盟しており、今もイ ギリスはじめ、オーストラリア、ニュージーランドなどと深い交流があります。 ランカウイ島 (写真提供: マレーシア政府観光局) マレーシアの政治体制 政体は立憲君主制(議会制民主主義)で、現在の元首(国王)はアブドゥル・ハリム・ムアザム・シャー第 14 代国王(11 年 12 月就任)です。マレーシアの国王は、各州のスルタン(世襲の君主)が持ち回りで就任することとなっており、任期 は5年です。13 州のうちスルタンが存在するのは9州で、スルタンが存在しない4州では、国王が州長を任命します(任 期4年)。国王に政治的な実権はなく、国民が選挙で政党や国会議員を選び、国会議員のなかから首相が選出されま す。 議会は二院制で、上院は 70 議席(44 名は国王任命、26 名は州議会指名)、任期3年、下院は 222 議席、任期5年、 直接選挙(小選挙区制)です。 マレーシアには、各民族を代表する政党が存在します。代表的な政党は、統一マレー国民組織(UMNO)、マレーシ ア華人協会(MCA)、マレーシア・インド人会議(MIC)です。マレーシアでは 1957 年の独立以来、UMNOを中心とする 与党連合国民戦線(BN)が政権を担っています。13 年5月に実施された総選挙でも、BNは過半数の議席を獲得し、56 年に及ぶ長期政権を維持しました。しかし、前回の 08 年の総選挙からBNは議席を大幅に減らしており、今回も首相が 目指していた3分の2の議席を獲得することができず、得票率では野党連合を大きく下回る結果となりました。この選挙 を通じて「マレー系=与党支持」「華人系=野党支持」の構図が強まったと報道されています。 さて、日本でも最もよく知られているマレーシアの政治家と言えばマハティール第4代首相ではないでしょうか。マハテ ィール首相は、81 年から 03 年まで 22 年間という長い在任期間中、強いリーダーシップを発揮しマレーシアの飛躍的な 経済成長に大きく貢献しました。 マハティール首相が就任直後に日本の経済発展から学ぶことを目的とし提唱した「東方政策(ルック・イースト政策)」 が、12 年で 30 周年を迎えました。この政策を通して日本との経済関係が強化され、友好が促進されました。 マレーシアの国旗 マレーシアの国旗は、かつての宗主国であったイギリス国旗に準じ、赤・白・青の配色 となっています。赤と白あわせて 14 本の縞(しま)および星の 14 条の光は独立時の 13 の 州と連邦特別区を示します。月と星は国教イスラムの象徴で、スルタンの権威である黄 色で描かれています。 (出所:外務省) 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 2/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 イスラム諸国におけるマレーシアの位置 イスラム諸国という観点からマレーシアをみてみましょう。マレーシアは、イスラム国家であるため中東諸国と親交が 深く、イスラム諸国の首相が参集するイスラム協力機構(OIC)などを通じて交流を深化させています。 マレーシアはイスラム諸国のなかで社会の安定を維持しつつ、いち早く工業化を達成し、今後、最も早く先進国入りす ることが期待されています。また、18 億人を擁する世界のイスラム経済発展の推進役となっています。たとえば、イスラ ム金融(イスラム法に基づいた金融取引)やハラル食品(イスラム法に基づきイスラム教徒が正当に食することができる 食品)産業では、イスラム教の慣習・規則をビジネスルール化、世界標準を確立し、市場を拡大しています。 イスラム金融についてみると、マレーシアは 80 年代初めと早い時期から関連基本法を整備するなどイスラム金融を 通常の金融と同様に利用できるよう環境整備に注力しています。イスラム金融のノウハウを蓄積しつつ、マレーシアは スクーク(イスラム債)やタカフル(イスラム保険)を発展させ、世界最大規模の市場を有するようになりました。現在、国 際イスラム金融の主要なハブとなることを目的として、マレーシア国際イスラム金融センター(MIFC)を構築中です。 ハラル食品には、「ハラル認証」と呼ばれるISO(国際標準化機構)などの管理手法と同様の認証が必要ですが、マレ ーシアはハラル産業開発公社(HDC)を設立し、ハラル認証の世界標準化を積極的にリードしています。最近、日本で もハラル認証を受ける企業が登場し、増加するイスラム圏から日本への観光客に食品を提供したりイスラム圏市場向け に事業を展開しています。 マレーシアの経済状況 ① 国内総生産(GDP) 国際通貨基金(IMF)によると、マレーシアの経済 ASEAN各国の1人当り名目GDP(2012年、ドル) 規模は 12 年の名目GDPが 3047 億ドルで日本(5兆 マレーシア 9603 億ドル)の約5%に過ぎません。しかし、1人当 10345 タイ り名目GDPは1万 345 ドルと、1万ドルを超え、タイ 5390 インドネシア の約 1.9 倍、インドネシアの約 2.9 倍と近隣諸国に比 3594 フィリピン べ豊かです。 2612 ベトナム 1753 マレーシアはシンガポールとならび東南アジアの ラオス 優等生と言われています。70 年代から外資導入を カンボジア 926 てこに工業化を推進したマレーシアは、円高による ミャンマー 868 1380 0 日本企業の直接投資の増加などにより、88 年以降 9年連続で8%を超える実質GDP成長率を達成しま マレーシア、タイ以外は推計値 3000 6000 9000 12000 注: ASEANのうち高所得国のシンガポール、ブルネイは除いた。 (出所:IMFデータより投資情報部作成) した。アジア通貨危機の翌年 98 年にはマイナス成 長(▲7.4%)となりましたが、国内景気対策を優先する景気刺激策と金融緩和によって経済は急速に回復しました。 02~08 年の成長率は 4.6~6.8%と、2000 年代に入り、マレーシア経済は、おおむね順調に推移しました。08 年には 世界金融危機による輸出の大幅減少が影響し 09 年はマイナス成長(▲1.7%)となりましたが、10 年は 7.2%まで回復、 11 年は外需低迷により減速したものの 5.1%成長を遂げました。12 年は世界景気が一層低迷し、輸出が減速する一方、 財政投資、民間投資、個人消費が大きく増加するなど内需がけん引力となって通年の成長率は 5.6%と前年から加速し ました。13 年は、前半まで外需低迷が続いたことから、政府はGDP成長率を 4.5~5.0%と予測しています。14 年のGD P成長率見通しは、好調な内需と 13 年後半以降に鮮明になってきた外需の好転により 5.0~5.5%となっています。 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 3/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 底堅い成長が予想されるマレーシア経済ですが、課題は恒常化した財政赤字の解消です。与党は、総選挙を乗り切 ったことで、財政改革に向け大胆な政策が打てるようになり、ガソリンと軽油の補助金の削減、電力料金の値上げなど を相次いで実施し、消費税に相当する物品サービス税(GST)を 15 年4月から導入することを決定しました。これにより、 政府債務の拡大を抑制し、財政健全化が進むことが期待されます。 ② 主要産業と構成比 12 年の対実質GDPの産業構成比をみると、サ マレーシアの対実質GDP産業構成比(2012年) ービス産業が 52.7%と過半を占めますが、主要産 その他サービ ス, 5.0% 業は電子・電気(エレクトロニクス)を中心とする製 造業(24.9%)、天然ゴム、パーム油、木材を中心と 政府サービス, 8.0% その他, 3.2% 農林水産業, 7.3% 鉱業, 8.4% する農林水産業(7.3%)、およびスズ、原油、液化 天然ガス(LNG)を中心とする鉱業(8.4%)です。 金融・保険・不 動産, 14.9% 天然資源に恵まれたマレーシアは独立後、スズ、 製造業, 24.9% 卸売・小売・ホ テル, 14.8% ゴムなど第一次産品の輸出に依存した経済構造で した。70 年代から外資の積極的な導入により製造 運輸・倉庫・通 信, 7.5% 業が成長、とりわけ 80 年代後半以降の電気・電子 製品の成長が著しく、88 年に製造業の比率が農林 水産業を上回りました。マレーシアは工業国へと変 貌を遂げたのです。 建設業, 3.4% 電気・ガス・水 道 2.5% 注: 構成比は四捨五入したため合計が100%にならない。 実質GDPは2005年価格。円グラフ内の横線部分はサービス産業を示す。 (出所: JETRO<原資料はマレーシア中央銀行>データより投資情報部作成) また 91 年、当時のマハティール政権は 30 年後 の 20 年までに先進国入りを目指す「ビジョン 2020(マレー語ではワワサン 2020)」を発表しました。90 年代以降のマレー シアでは、産業の高度化やサービス産業の育成が着実に進んでいます。たとえば、マルチメディア・スーパー・コリドー (MSC)などのビジョン 2020 のプロジェクトが実行され、運輸・倉庫・通信、金融・保険・不動産などのサービス産業は安 定した成長が続いています。通信部門は、近年、スマートフォンやタブレット端末の普及と通信インフラ整備や各種サー ビスの強化で国内需要が拡大しています。ビジョン 2020 は、現在も引き継がれ、経済改革プログラム(ETP)として推進 されています。ETPは 10 年 10 月からの 3 年間で合計 2200 億リンギット(約7兆円)の民間投資を呼び込みました。 サービス産業のひとつである観光業の成長も目をみはるも のがあります。90 年代後半より、従来の観光資源に加え、エコ ツーリズムや高原ツーリズムなどを生かした観光プロモーショ ンを強化し、イベントを誘致しました。たとえば、98 年にコモン ウェルス・ゲーム(イギリス連邦のオリンピックに相当するスポ ーツの祭典)、99 年に「F1マレーシア・グランプリ」など世界的 イベントが開催され、各国から観光客を呼び込むことに成功し ました。また、退職した日本人など外国人のロングステイ先と F1 マレーシア・グランプリ (写真提供: マレーシア政府観光局) して人気が高まっています。 同じような熱帯の自然美をもつタイやベトナムと比較すると 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 4/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 マレーシアの日本における知名度は高くありませんでしたが、マレーシアを訪問する外国人観光客は、11 年には 2470 万人と世界で9位となっています。この背景にはマレーシアで誕生した格安航空会社のエアアジアなどが貢献していると 考えられます。政府は 14 年を観光年「ビジット・マレーシア・イヤー」と位置づけ、通年で 2800 万人の観光客誘致を目指 しています。 ③ 貿易 マレーシアでは、97 年のアジア通貨危機のリンギット下落により輸出競争力が増し、貿易黒字が 15 年間続いていま す。12 年には、輸出が前年比 0.6%増の約 7021 億 8793 万リンギット、輸入が同 5.9%増の約 6073 億 6400 万リンギッ トでした。主要輸出先の景気低迷で輸出の伸びが前年より大幅に減速したため、貿易黒字も約 948 億 2394 万リンギット と縮小しました。 マレーシアの主要貿易品目構成比と伸び率(2012年) <輸出> <輸入> 順位 前年比伸び 率 19.9% ▲ 0.6% 金額(100万リン ギット) 品目 構成比 1 電気機器等 2 石油・石油製品 140,004 82,119 11.7% 3 天然ガス・製造ガス 60,476 4 事務機器 52,016 5 植物性油脂 51,793 順位 金額(100万リン ギット) 品目 128,680 前年比伸び 率 21.2% 0.8% 構成比 1 電気機器等 21.2% 2 石油・石油製品 77,272 12.7% 33.9% 8.6% 4.6% 3 事務機器 24,895 4.1% ▲ 7.0% 7.4% ▲ 3.9% 4 鉄鋼 22,670 3.7% 5.3% 7.4% ▲ 12.3% 5 道路車両 22,220 3.7% 25.8% (出所: CEIC<原資料はマレーシア統計局>データより投資情報部作成) 輸出を 12 年の品目別でみますと、最大の構成比を占めるのが電気機器等(19.9%)で前年比▲0.6%でした。2位の 石油・石油製品は前年比 21.2%と大きな伸びを示しました。3位以下は、LNGを含む天然ガス・製造ガス、パソコンなど を含む事務機器やパーム油・同製品を含む植物性油脂でした。 マレーシアの主要貿易相手国構成比(2012年) シンガポール 13.6% その他 27.8% 中国 12.6% 輸出 韓国 3.6% オーストラリア 4.1% インド 4.2% タイ 5.4% 日本 10.3% ドイツ 3.8% 香港 4.3% 韓国 4.1% 米国 8.7% シンガポール 13.3% 輸入 ベトナム 2.7% 日本 11.8% インドネシア 3.9% 中国 15.1% その他 27.5% インドネシア 5.1% 台湾 4.2% タイ 6.0% 米国 8.1% (注)構成比は四捨五入したため合計が100%にならない。 (出所: CEIC<原資料はマレーシア統計局>データより投資情報部作成) 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 5/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 国別にみますと、輸出先(12 年)のトップはシンガポール(13.6%)でした。シンガポールで世界最大のエチレン製造装 置が建設され同国向けの石油製品の輸出が増加したためです。2000 年の 2.2%から大幅に上昇し 11 年に 13.1%と最 大の輸出先になった中国は 12 年には2位となり、日本は3位でした。4位は米国で、06 年をピークに減少傾向にありま す。地域別にみると、ASEANが 26.8%、EUが 8.9%となっています。 13 年をみると、輸出は4-6月期を底に急回復し、7-9月期に前年同期比 7.6%と5四半期ぶりに増加に転じました。 けん引したのは中国への輸出で、中国の景気回復とともにマレーシアの輸出も持ち直しました。今後も、輸出は中国経 済の影響を大きく受けると考えられます。 また、マレーシアは日米ほか 12 ヵ国が進める環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加しています。マレーシアがTPPに 参加するメリットは、大きな市場を獲得することで「高所得国入り」と経済の自由化を促進できると考えられますが、国有 企業改革や知的財産などの分野で交渉が難航しています。 ④ 多民族国家と持続的経済成長 マレーシアは多民族・多宗教を擁する国家でありながら、民族対立や宗教対立 が先鋭化することなく安定した社会を築いています。この背景には、多民族間の融 和を重視した政策が奏功していることが挙げられましょう。 69 年5月 31 日に、マレー人と華人の間で大規模な衝突が起こり、多くの死傷者 を出しました。71 年、マレーシアは新経済政策を発表するのですが、これを機にマ レーシアはブミプトラ政策とよばれるマレー人優遇政策に舵をとります(ブミプトラと は「マレー人およびその他先住民」を意味します)。同政策は人種・地域間の経済 格差解消を目的としたもので、具体的には、マレー人の雇用を促進し、90 年まで にマレー人による株式資本保有比率を 30%(70 年時点では 1.9%)まで高めること を目標としていました。現在、マレー人の資本保有比率は 30%に達していないもの の、20%弱に高まり、雇用面でも専門職・技術職に占めるマレー人が増加し、民族 間の格差は縮小しました。 反面ブミプトラ政策は、生活水準の高い華人の経済活動に制約を課すことを意 クアラルンプールのペトロナスタワー (写真提供: マレーシア政府観光局) 味し、優秀な非マレー人の頭脳流出が問題となっています。 また非マレー人同様、外国資本にも直接投資に関し参入や出資比率の制限が設けられており、マレーシア進出の阻 害要因になっていました。現在では、ナジブ首相が推進するビジョン 2020 達成の一環として投資環境の改善を図るため、 ブミプトラ政策の見直しや外資の規制緩和が行われています。 とはいえ、ナジブ首相の長期開発政策のスローガン「1(one) Malaysia」が示すとおり民族の融和が重要課題となって いることには変わりありません。持続的経済成長には、社会的安定を保つことが不可欠と考えられるからです。 ナジブ政権は 13 年9月に、「ブミプトラの経済・社会的地位向上支援策」を発表しました。国内の支持基盤に配慮した 措置ですが、TPPへの取り組みと整合性が取れていないとの指摘もあります。このブミプトラ政策の動きには注意が必 要といえましょう。 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 6/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 まとめ 一般事情 1.面積 約 33 万平方キロメートル(日本の約 0.9 倍) 2.人口 2946 万人(2012 年) 3.首都 クアラルンプール 4.民族 マレー系(約 67%)、中国系(約 25%)、インド系(約 7%)(注:マレー系には中国系及びインド系を除く他民族を含む) 5.言語 マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語 6.宗教 イスラム教(国教)(61%)、仏教(20%)、儒教・道教(1.0%)、ヒンズー教(6.0%) 、キリスト教(9.0%)、その他 政治体制・内政 1.政体 立憲君主制(議会制民主主義) 2.元首 アブドゥル・ハリム・ムアザム・シャー第 14 代国王(2011 年 12 月就任、任期5年、統治者会議で互選。 ケダ州スルタン) 3.議会 二院制(上院:70 議席、任期3年。44 名は国王任命、26 名は州議会指名 下院:222 議席、任期5年。直接選挙<小選挙区制>) 4.政府 首相:ナジブ・ラザク(2009 年4月就任) 外相:アニファ・アマン(2009 年4月就任) 経済 (2012 年) 1.主要産業 製造業(電気機器)、農林水産業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(スズ、原油、LNG) 2.名目 GDP 3047 億ドル 3.1人当り名目 GDP 1万 345 ドル 4.経済成長率 5.6% 5.物価上昇率 1.6% 6.失業率 3.0% 7.通貨 マレーシア・リンギット 8.総貿易額 (1)輸出 7021 億 8793 万リンギット (2)輸入 6073 億 6400 万リンギット (出所:各種資料より投資情報部作成) 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 7/8 平成 26 年1月 23 日 SMBCフレンド証券 投資情報部 大木登志枝 注意事項 ■当社の概要 商号等 SMBCフレンド証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 40 号 加入協会 日本証券業協会 ■当社取扱い商品の手数料等およびリスクについて ・ 当社でお取扱いの商品にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担 いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等により損失を生じるおそれがあり ます。 ・ 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、目論 見書等またはお客さま向け資料をよくお読みください。 ■資料の取扱いについて ・ 本資料は、投資判断の参考となる情報提供を目的としておりますが、投資の最終判断はお客さ まご自身で行っていただきますようお願いいたします。 ・ 本資料は、当社が信頼できると判断した情報に基づいて作成しておりますが、その情報の正確 性、完全性について当社が保証するものではありません。 ・ 記載されたデータ、意見等は表記日時における当社の判断であり、予告なく変更する場合があ ります。 ・ 債券格付けの記載について、記載の格付けを付与している格付会社グループ( 「スタンダード &プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)」 「ムーディーズ・インベスターズ・サー ビス・インク(Moody's) 」 「フィッチ(Fitch)」 )は、金融商品取引法第 66 条の 27 に基づいた 格付業者の登録を受けておりません。 ・ 本資料の著作権は当社に帰属し、その目的の如何を問わず無断で複写、複製、加工または配布 することを禁じます。 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 有効期限:平成 27 年1月 31 日 8/8
© Copyright 2024 Paperzz