泉の森 なんでも情報館

泉の森 なんでも情報館
2011 年 1 月号(No.1)
発行 しらかしのいえボランティア
協議会 エリアマップ作成班
はじめまして! 泉の森の植物・動物・人間・歴史・文化など、あれこれなんでも紹介してゆくミニガイドです。
この森へ初めて来た方はもちろん、毎日来ている方も、散策のお供に、どうぞお持ち下さい。
きっと新発見がありますよ!
クローズアップエリア その 1
しらかしのいえ周辺
泉の森に来たら、だれでも立ち寄る自然観察センター“しらかし
のいえ”。エッ!トイレに寄るだけ!? それは、もったいない。
周辺の見どころを、色々ご紹介します!
クマシデ
イロハモミジ
センダン
炭焼工房
煙突から煙が出ていたら
竹炭を焼いています。
詳しくは2ページを見てね。
自然観察センター しらかしのいえ
1階の展示で自然情報をキャッチ!
2階には図書コーナーもありますよ。
エノキ
コブシ
しぜんかんさつ園
小さな池ですが、いろいろ
な生き物が集まってきます。
詳しくは2ページを見てね。
シラカシ
ムクロジ
TM
コナラ
1
泉の森の竹炭焼きものがたり(その1)
泉の森の売店・郷土民家園で、竹炭・竹酢液 (注) が販売され
ていますが、これが泉の森のボランティアの皆さんが作っている
ことをご存知ですか?
1.歴史: 炭焼き窯は、満10歳!
「しらかしのいえ」の裏側の "炭焼工房" にボランティアの米
倉義雄さん(大和市上和田在住・写真)が作った炭焼き窯があり
ます。米倉さんは、2000年12月に鋼板製セラミックファイバー
断熱の窯を独自に設計・製作後、2004年12月にしらかしのい
えに寄贈し、自ら竹炭焼きをしながら、現在に至っています。
2.作り方: 竹炭焼きはノウハウの塊
炭は、木や竹を"蒸し焼き"、すなわち空気を絶って高温にす
ることによって作られます(空気が多いと、灰になってしまいま
す)。米倉さんの窯では、炭にする竹を一斗缶4個に詰め、燃や
して窯の温度を上げるための竹で周りを覆って、火を付けます。
高温になるに従い、給気を抑え、合計
5時間ほど蒸し焼き状態にするのです
が、この火加減と給気の加減がとても
難しいのです。米倉さんの窯は、良質
の炭を得るための 600∼700℃への昇
温と微妙な給気制御が可能です。これ
に 10 年のノウハウを凝集した竹炭を、
皆さんは手にしているのですね。
<次回に続く> (伊藤健一)
(注) 売り切れのときもあります。ご了解下さい。
「泉の森」のしぜんかんさつ園を見てきて
「しらかしのいえ」を出てすぐの左の階段を下りると、しぜんか
んさつ園があります。2010年5月に池のヘドロが取り除かれま
した。水がきれいになった7月末、水中に数匹のハイイロゲンゴ
ロウの活発な動きも観察しました。また毎年、3種類のカエル
(ヤマアカガエル、アズマヒキガエル、ウシガエル)が生まれてい
ます。冬から春にかけてはカエルの卵の観察ができます。キモ
イ!なんて言わずに、のぞいてみて下さい。
かつては雨水を貯める調整池として造られましたが、その後
生き物を観察する生態園として整備されました。2002 年、「生態
園づくり」という名で実行委員会が設けられ、観察デッキ、池の
中の竹の桟、ペットボトルを使った浮島などが造られ、多くの方
たちのボランティア活動が始まりました。翌年から「しぜんかんさ
つ園実行委員会」として活動しました。
池の周りには「泉の森」内にあるシラカシ、コナラ、エノキなど
の植物が植えられ、それぞれ名札が付いています。センター前
にはその植物が何処に植えられているかを知る案内板も置か
れています。池の中に竹の桟を水生昆虫などの日陰目的で作
りましたが、この桟の上にカルガモが来て昼寝をしていることも
あり、この頃はカワセミが静かに竹の端に居ることもあります。
「小さな泉の森」として楽しむことができます。
(藤井和子)
☆次号<クローズアップエリア その2>では、山野草園周辺をご紹介します。
2
展望デッキで初日の出
泉の森誕生秘話 その1
元日の朝、泉の森展望デッキでは,“しらかしの池”の
水門の方向、ちょうど林の切れ目に初日の出を見る
ことができます。7 時ごろから明るい光が輝きはじめ、
7 時 5 分には太陽が顔をのぞかせます。
しらかしの池に反射する光景はすがすがしいものです。
おめでと∼!!
ここから
眺める
初日は
こちらから
(伊藤眞佐子)
・・・ご注意・・・
夜明け前の泉の森は真っ暗で、凍結している場所もありま
す。初日の出を見に行く時は、足元に注意し、自己責任で行
動して下さい。たいへん冷えますのでしっかりと防寒対策をし
てお出かけ下さい。なお、駐車場、トイレは使えません。
―泉の森の自然はどのように保存されてきたのだろう―
泉の森は今では街の中の貴重な自然になっていますが、この緑が
保存されてきた主な要因は2つあります。
1つは引地川の水源涵養林です。水源の水は周囲の田畑を潤した
だけでなく、古くは旧厚木海軍飛行場、戦後は西鶴間一帯の水道水と
して利用されてきました。そのため周囲の森は県企業庁水道局によっ
て永く保存されてきたのです。
もう1つの要因は、この地域が厚木基地滑走路の延長線上に当た
るため、度々起きた墜落事故の対策として昭和35年頃から国に収用
されたことです。民家は移転され、無人化した跡には樹木が植えられ
るなど、引地川一帯は緩衝緑地とされました。しかし、これによって自
然が守られてきたことは否めない事実です。
これらの県有地や国有地を核に、新たに買収・賃借された分を合わ
せた42haの土地が、10年の歳月と15億円の費用をかけて平成9
年までに自然公園として整備され、泉の森が誕生しました。
この辺りは昔から住んでいた旧家が多いのですが、地主さんの「昔
から受け継いできたヤマや自然をできるだけ残したい」という想いと泉
の森の「できるだけ自然状態を保全する」という趣旨が合致して、土地
の買収・賃借は円滑に進んだと言われています。
泉の森は緑地保全地区やかながわナショナルトラスト3号緑地に指
定され、シラカシ林は県指定天然記念物です。しかし、自然を保全し
て行く上で最も大切なのは「受け継いだ自然を次の世代に残して行
く」という我々の強い想いなのかもしれません。
(橋本幸夫)
3
泉の森の仲間たち①
「しらかしの池」のカモ
毎年秋になると、シベリアなど北のほうから、カモの仲間がこの池に渡って
きて冬を越します。9月初めに到着したコガモを皮切りに、秋の深まりに連れ
て数が増え、現在、6種類(マガモ、コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ホシハジ
ごあいさつ&編集メンバー自己紹介
“泉の森なんでも情報館”第 1 号、お読みくださいましてありがとうございます。
私たちは、泉の森で活動しているボランティア協議会の「エリアマップ作成班」
で、これから 1 年に数回、この“なんでも情報館”を発行してゆきます。どうぞ、
よろしくお願い致します。
ロ、キンクロハジロ)(注)、合わせて約90羽が来ています。(注:この他に、通
年生息するカルガモがいます)
ところで、昔からここで鳥を観察されている方は、カモの顔ぶれの変化に
お気づきのことでしょう。下のグラフにその変化を示しました。以前はこの池
に来るカモの半数以上がホシハジロでしたが(それも、なぜか圧倒的にオス
が多い!)、2006年以降、減少の一途をたどっています。一方、じわじわ増
え続けているのがヒドリガモ。2008年にはホシハジロと同数に、2009年には
逆転、そして2010年、ついにホシハジロの3倍に! 鳥の世界にも栄枯盛衰
のドラマがあるようです。
伊藤健一(いとう けんいち)
テニス、カヌー川下り、山登りが趣味で、泉
の森では案内板作りや炭焼きのお手伝いをしています。(ボランティア協議会
事務局、環境管理部会)
伊藤眞佐子(いとう まさこ) ウォーキングが趣味です。11 月のスリーデーマ
ーチでは3日間で 130Km 歩きました。(ボランティア協議会植物調査班)
小林みどり(こばやし みどり) 得意分野は鳥です。なかでも“サンズイドリ”
(さんずい+酉?)が大好きです。
(小林みどり)
そ の 他 の カ モ
(マガモ、カルガモ、
コガモ、オナガガモ、
キンクロハジロなど)
140
120
100
ヒドリガモ
80
高橋昭安(たかはし てるやす) 工学が専門なので、生物分野は全くの素人
です。トコロジストの手始めに、泉の森の歴史調査を考えています。講習会で
覚えた植物第1号は”ミズヒキ”でした。(ボランティア協議会事務局)
橋本幸夫(はしもと ゆきお) 泉の森は私のウォーキングコースです。もう
200回以上来ていますが、まだあきないで四季折々の自然を楽しんでいま
す。自然と歴史が大好き人間です。(ボランティア協議会植物調査班)
60
ホシハジロ
40
20
藤井和子(ふじい かずこ) 「しらかしのいえ」が出来る前からここにバードウ
ォッチングで遊びに来ていました。その頃はもっと鳥たちに逢えたように思いま
す。鳥大好き人間ですが、今は昆虫(とんぼ)も好きです。
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09
毎年 1 月の「しらかしの池」のカモの数を示した
グラフ(2003∼2010)。縦軸はカモの数(羽)。
10
そんなに減って大丈夫?
ちょっと心配なホシハジロ
(♂)
第 2 号は、桜の咲くころに発行の予定です。
どうぞお楽しみに・・・
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