生命維持に必須な微量元素セレンとビタミンEの機能と疾患

相模女子大学大学院栄養科学研究科 博士前期課程「総合栄養科学特論」 食品栄養領域
大学院講義
生命維持に必須な微量元素セレンとビタミンEの機能と疾患
~~リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ
欠損マウスの解析から~~
北里大学薬学部衛生化学講座教授 今井浩孝先生
必須微量元素であるセレンはヒトではセレノシステインという形で21番目のアミノ酸となり、26種類のセレン
タンパク質内に組み込まれています。セレンタンパク質は、抗酸化酵素や甲状腺ホルモンの合成酵素など
種々の重要な機能を持っています。その中の1つであるリン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキ
シダーゼ(PHGPx)も活性酸素により生体膜脂質の酸化で生じた酸化リン脂質(リン脂質ヒドロペルオキシ
ド)を直接還元する酵素で活性中心にセレノシステインを有しています。我々はこれまでに組織特異的に
PHGPxを欠損させた様々なマウスを用いた解析から、精子におけるPHGPxの欠損がヒト男性不妊症の原
因となることや、 PHGPxが受精卵の増殖、心筋細胞や肝細胞の機能維持に必須な役割を担っていること
を見出してきました。さらに、興味深いことに、脂質酸化を抑制するビタミンEの投与により、PHGPx欠損に
よる細胞死や個体死を抑制できることも明らかにされています。本セミナーでは、PHGPxやビタミンEによる
生体膜脂質の酸化抑制について様々な疾患の発症抑制におけるこれらの役割を中心に、栄養素セレンと
ビタミンEの生体における重要な役割を紹介します。
2014年1月17日(金)16:30~18:00 相模女子大学マーガレット本館3階2132講義室
本学大学院栄養科学研究科の大学院生を対象とした講義ですが、学部・短期大学生、教職員、管理栄養士・栄養士、
医療福祉関連職、また一般の方もご聴講いただけます。
定員100名(先着順) 参加無料 予約不要(直接会場にお越し下さい)
問い合わせ先 栄養科学研究科長 安達 (内線398)