事 業 報 告 書 - 公益財団法人 北九州生活科学センター

平成22年度
事 業 報 告 書
財団法人
北九州生活科学センター
北九州市戸畑区中原新町1番4号
平成22年度事業報告書
◇
事業概況
◇
我が国の経済状況は、回復傾向にあると見られているものの、長引くデフレや円
高問題、失業率が未だ高水準で推移するなど、雇用情勢は依然として厳しい状況が
続いており、また東日本大震災による福島原子力発電所事故についても、先行きの
不透明感が払拭できない状況となっている。
当センターでは、生活科学における諸問題について関係各公共機関に協力し調査・
研究するとともに、水質、食品及び環境等に関する検査、調査、研究及び啓発等を
通して、公衆衛生の向上と生活環境の改善に寄与し、地域住民の福祉の向上に貢献
することを目的として活動おり、このような社会情勢の中で大きな役割を期待され
ているのが公益法人であると認識している。
本年度は、これらの公益目的を達成するため、適正な運営管理と情報公開を推進
し、徹底した精度管理のもと、信頼される技術の向上を図るとともに、新しい公益
法人制度の趣旨を踏まえた体制への移行準備を進め、公正で社会の信頼に足る検査
機関として、一層の充実に努めた。
検査事業では、水道法20条の水質検査、輸入食品の命令検査及び食品一般検査、
計量証明事業、血中PCB・PCQ等の受託件数が前年度より増加した。
また、研修等により職員の資質向上に努め、食中毒予防の講習を行うなど、啓発
活動に積極的に取り組んだ。
第1
運営報告
1
公益法人制度改革への対応
本年度は、公益認定申請に関する取組みとして、次の事項について理事会、また
は、評議員会の承認を得た。
(1) 「最初の評議員の選任」について
諸団体に推薦された9名の被推薦者について、平成22年度第5回理事会
(平成23年2月8日開催)において候補者が決定され、平成22年度第1回
評議員選定委員会(平成23年2月16日開催)において、「最初の評議員」
が選任された。
(2) 「公益認定に関する基本方針の一部変更」について
公益事業について、当初は2本立てとし、公1を検査事業、公2を啓発・普
及事業としていたが、公益事業を 1 本の事業として整理したいとの提案が行わ
れた。
また、監事の選任について、当初は監事のうち 1 名は税理士とする方針であ
ったが、当面は税理士の選任にはこだわらないようにしたいとの提案が行われ
1
た。
これらの提案につき、平成22年度第3回理事会(平成22年10月21日
開催)及び平成22年度第2回評議員会(平成22年10月29日開催)にお
いて、それぞれの基本方針の変更が承認された。
(3) 「内部統制システムを始めとする関連規程の整備」について
公益認定申請に当たって、新たに必要な内部統制や組織管理・運営に関する事
項、財産等の取り扱い及び情報開示、リスクマネージメント等に関する諸規程で
ある、倫理規定、評議員会運営規則、理事会運営規則、理事の職務権限規程、評
議員選定委員会運営規則、監事監査規程、事務局規程、印章取扱規程、財産管理
運用規程、特定費用準備資金等取扱規則、情報公開規程、内部統制システムに関
する基本方針、コンプライアンス規程、リスクマネージメント基本規程、公益通
報規程の15規程について提案が行われ、平成22年度第3回理事会(平成22
年10月21日開催)及び平成22年度第2回評議員会(平成22年10月29
日開催)において承認された。
また、「役員等及び評議員の報酬等並びに費用に関する規程」及び「役員の選
任等に関する規程」等については、平成22年度第6回理事会(平成23年3月
16日開催)及び平成22年度第3回評議員会(平成23年3月28日開催)に
諮られ、承認された。
2 公益目的事業の拡大等
(1) 「血中PCB・PCQの検査体制の整備」について
血中PCB・PCQの検査体制については、平成22年度厚生労働省全国油
症治療研究班会議や福岡県、福岡市、北九州市及び当センターで構成する分析
班会議等に参加し、検査受託・分析業務がスムーズに遂行できるように関係の
緊密化に務めた。また、福岡県保健環境研究所を中心とした7機関による精度
管理調査に参加し、分析精度の保持を図るとともに、超微量分析技術の習得及
び分析環境整備を行い、生体試料中(母乳、血液、臍帯及び臍帯血)のダイオ
キシン類についても測定を可能とした。更に、油症患者の検診、治療や油症の
認定等に貢献することが期待されている、「血中PCQの新分析法の開発」に
関して福岡県保健環境研究所と共同研究を行い、新技術の開発及び習得を図っ
た。
(2) 「PCR検査の実施体制」について
平成21年度にPCR検査室を整備し、平成22年度からPCRを用いた調
理従業者等の検便検査で腸管出血性大腸菌及びノロウイルス検査を開始した。
詳細については、「第3事業報告」に記載。
(3) 「体験教室事業(水辺の教室)の実施」について
公益目的事業検討委員会で検討・報告された事業である体験教室「水辺の教
2
室」について、9月17日、財団法人北九州市環境整備協会と共催で、北九州
市立高蔵小学校の4年生(35名)を対象として、小倉南区の吉田川において、
河川に生息する水生生物の種類を調べたり、水質判定を行った。
3
顧客満足度の向上
「広くお客様の声を聞き、ニーズを正確に把握することによって、常に業務を改
善していく。それが、お客様の満足度向上につながる。」という観点から、9 月~1
0月の間に、715件の顧客に対してアンケート調査を実施し、462件(回答率
64.6%)の回答があった。
その結果、
「満足」が約70%、
「やや満足」が10%、
「普通」が20%であり、
概ね良い結果が得られたが、1%未満で「やや不満」
、
「不満」という意見が見られ
たので、これらを評価・分析することにより、更なる業務の改善を行って、今後も
顧客満足度の向上に努める。
4 人材育成(能力開発)
(1) 「新規採用職員のOJT研修」について
渉外課に新規採用(10月1日付)した職員に対して、10月1日から11
月31日までの2ヶ月間、各部門に配属してOJT研修を実施した。
(2) 「当センター役員による研修会」の開催について
主任クラスを中心に課長代理までの中堅職員を対象として、「将来のセンタ
ーを担っていく意欲の醸成」、
「分析技術者としての原点の認識」、
「公益法人と
は何か」あるいは、「社会の変化の現状」等をテーマとして、門上希和夫理事
による「一流の分析者を目指して」(平成22年8月26日開催)や中村勝美
監事による「自分自身の可能性について」(平成22年9月17日開催)及び
「①公益目的事業とは? ②組織内における自己主張の在り方について」(平
成23年3月1日開催)について研修会を実施した。
(3) 「階層別研修会(産業能率大学 総合研究所)
」の開催について
全職員を「管理職及び主任層」と「一般職員」に分け、
「管理職及び主任層」
では、「メンバーの共感と信頼を引き出す対人影響力に基づくリーダーシップ
のあり方」、
「意欲的な行動をメンバーに引き起こす、相手の特性に応じたアプ
ローチ手法」について学び、
「一般職員」では、
「ペルソナ・ソーシャルスタイ
ル理論に基づく対人関係での信頼の大切さと、苦手X氏への効果的な接し方」
について研修会を実施した。
(4) 「部門別の人材育成」について
総務部、生活科学部、水質環境部の3部合わせて、研修会等に90件、延べ
116人の職員を参加させ、技術の研鑽、自己啓発、意欲の向上に努めた。
詳細については、別添「平成22年度 研修記録」のとおり。
3
第2
1
理事会及び評議員会等の開催
理事会
回
1
2
開催日
H22.4.9
H22.5.27
議案及び議決事項
1
2
常務理事の互選について(議決)
常務理事の職務担当及び理事長の職務代行者について
(議決)
1
2
3
平成 21 年度 事業報告について(議決)
平成 21 年度 決算及び監査報告について(議決)
その他
①債券の運用について(報告)
1
2
3
H22.10.21
平成 22 年度 上半期事業報告について(報告)
公益認定に関する基本方針の一部変更について(議決)
・ 公益事業の一本化
・ 監事の選任方針
3 規程類の制定について(議決)
4 その他
①定款の変更の案について
・ 役員の報酬等の支給基準について(議決)
・ 役員等の欠格条項及び自動失職条項について(報告)
4
H22.12.17
1
2
役員(候補者)の選任について(議決)
職員給与の改正について(議決)
H23.2.8
1
最初の評議員候補者の決定について(議決)
5
(書面表決)
6
H23.3.16
1
2
3
4
5
6
7
評議員の選任について(議決)
役員候補者の決定について(議決)
役員等に関する規程の制定について(議決)
平成 22 年度補正予算について(議決)
平成 23 年度事業計画について(議決)
平成 23 年度収支予算について(議決)
その他
①東北地方太平洋沖地震への支援について(承認)
②新規事業に伴う定款の変更について(承認)
③最初の評議員の選任について(報告)
4
2
評議員会
回
1
開催日
H22.6.4
議案及び議決事項
◇理事会報告(第 1 回、第2回)
1 平成 21 年度事業報告について(議決)
2 平成 21 年度決算報告及び監査報告について(議決)
1
2
2
3
3
1
1
H23.3.28
◇理事会報告(第4回、第5回、第6回)
1 役員の選任について(議決)
2 役員等に関する規程の制定について(議決)
3 平成 22 年度補正予算について(議決)
4 平成 23 年度事業計画について(議決)
5 平成 23 年度収支予算について(議決)
6 その他
①新規事業に伴う定款の変更について(承認)
②最初の評議員の選任について(報告)
③東北地方太平洋沖地震への支援について(報告)
評議員選定委員会
回
第3
H22.10.29
平成 22 年度 上半期事業報告について(報告)
公益認定に関する基本方針の一部変更について(議決)
・ 公益事業の一本化
・ 監事の選任方針
3 規程類の制定について(議決)
4 その他
①定款の変更の案について
・ 役員の報酬等の支給基準について(議決)
・ 役員等の欠格条項及び自動失職条項について(報告)
開催日
H23.2.16
議案及び議決事項
1
最初の評議員の選任について(議決)
事業報告
検査・分析事業
(1) 食品衛生検査
1) 検査の概要
5
日々の食生活に安心安全を届けるために、地域食品の衛生検査や中国、韓
国を中心とした輸入食品の検査を実施した。
業績は平成 21 年度と比べて、輸入食品の自主検査が減少したものの、命
令検査及び一般食品検査が増加し、全体として平成 21 年度を若干上回る結
果となった。
東日本大震災が、今後の食品検査にどのように影響してくるか予想は難し
いが、情報収集に努め迅速に対応していく必要がある。
① 輸入食品(命令検査)
命令検査で主要な検査項目は、貝毒、残留農薬、汚染物質(アフラトキシ
ン、メラミン)、動物用医薬品等である。
平成 22 年度は、韓国産ミニトマトのフルキンコナゾール及び中国産キャ
ベツのクロルピリホス等の残留農薬検査が検査命令解除となり、大幅に減少
したが、貝毒検査が増加したため、命令検査の実績は、平成 21 年度を上回
る結果となった。
② 輸入食品(自主検査)
輸入食品の自主検査は平成 17 年度をピークに年々減少傾向にある。
平成 22 年度は添加物検査とおもちゃの規格試験が減少した。
先行サンプル制度の廃止により、その分の検査依頼の減少が懸念されたが、
サンプル的に輸入した小口貨物を本貨物扱いにした検査へと代わってきてい
るため影響は少なかった。
現状では、中国からの輸入量や食品衛生事情に影響されるところが大きい。
また、中国からの輸入港が関門地区から博多地区に移行しているとの情報
もあり、博多地区のサンプリングも検討する必要性が出てくるのではないか
と考えている。
③ 一般食品検査
平成 22 年度の一般食品検査は受付検体数及び延べの検査項目数は平成 21
年度を上回った。
一般食品の検査については、出来る限り多種多様な検査に対応し、地道な
努力の積み重ねで顧客のニーズに応えていきたい。
2) 精度管理への取組み
検査の信頼性確保及び妥当性の評価とその確認、検査技術の向上を図るた
め、毎年精度管理計画に基づき実施している。
① 検査員技術レベルの向上
日常検査の中に陽性コントロールの管理試料を組み入れ、その技術レベル
の監視を行い原因究明、是正処置ができる体制づくりを推進した。
② 外部精度管理
センターの信頼性確保及び妥当性の評価とその確認のために次の外部精度
6
管理に参加し、いずれにおいても良好な結果であった。
a.厚生労働省が指定した機関が実施する「食品衛生外部精度管理調査」
b.JAB/PTP(日本適合性認定協会/試験所間比較・技能試験)の「麻
痺性貝毒試験」
c.社団法人日本分析化学会が実施する「食品成分分析技能試験」
d.日水製薬(株)主催 細菌検査精度管理サーベイ
③ 内部精度管理
検査員間の技術レベルの均等化と向上を図るために年間計画に沿って実施
し、すべてにおいて良好な結果であった。
④ 自主検査のGLP対応努力
一般食品の自主検査におけるGLP対応について見直しを行い、より一層
の努力をして命令検査と同等のGLP体制を推進した。
⑤ 文書管理の整備及び見直し
生活科学部内の規程、要領、標準作業書の見直し及び文書フォームの統一
化を図り、電子ファイル管理体制を整備するための年度計画に沿って見直し
を実施しているところである。
3)課題への取組み
① 検査業務の効率化とスキルアップ
検査業務の信頼性を確保しながら日常業務を効率よく実施し、なおかつス
キルアップを図っていくために、検査員間の業務の偏りをなくし、均等な業
務分担と一つの検査項目を複数の人間がこなせるような層の厚い体制づくり
のために次のことを推進した。
a.項目分担のローテーションによる、個人レベルで幅広い検査技術の習得。
(ローテーションの間隔を短くすることにより、個人毎に他項目の検査技
術を習得し、1 項目に対して複数の検査員が検査可能な体制にする。)
b.新規項目の拡大と受注体制の確立
増加していく命令検査項目及び未対応検査項目に迅速に対応するため
の計画立案と実践。
(標準作業書の作成、検査法のバリデーション及び作
業分担)。
c.内部コミュニケーションの徹底
朝礼、夕礼等内部コミュニケーションを徹底し、進捗状況と問題点を
管理していった。
② サンプリング強化と効率化と衛生的取扱いの徹底
サンプリング面では、厳正化と効率化に加えて食品衛生を基本に教育を実
施し、異物混入等を防止するための処置、対象貨物及び試験品の衛生的な取
扱いについて、食品衛生の基本を身につけ行動が徹底されるように推進した。
③ 残留農薬等一斉分析法の項目数拡大
7
毎年継続して取り組んでいる残留農薬等一斉分析の受託項目数は200項
目から250項目に拡大することができた。
④ PCR技術の定着とPCR法を利用した検査項目の拡大
PCRによる検便の腸管出血性大腸菌及びノロウイルス検査については検
査体制を整備し、腸管出血性大腸菌検査は検査員全員が技術を習得した。
PCRを使用した他の新技術については、遺伝子組み換え食品検査(米)
及び食中毒細菌(サルモネラ、カンピロバクター等)の確認試験の検討を開
始した。
4)その他の取組み
将来的な展望からHACCPの知識、食品衛生監視員並みのスキルを習得す
るように、検査員のスキルアップを推進した。
(2) 飲用水等水質検査
1) 検査の概要
安全な水の供給のために、飲料水等水質検査を実施するとともに、各種法
律に基づく水質検査を実施した。
① 水道法第20条に規定する水道事業に係る検査
水道法第20条第3項の規定により、登録機関として地方公共団体の委託
を受け飲料水検査を実施した。
検体数及び検査料収入共に前年度より若干増加した。
② 水道法第34条に規定する簡易専用水道検査
水道法第34条の 2 第2項による登録検査機関として、簡易専用水道の維
持管理検査を実施した。小規模受水槽の受験により検体数が若干増加した。
③ 飲料水一般検査
ビル管理法、船員労働安全衛生規則に基づく飲料水等の水質検査や飲用井
戸の水質検査を実施した。検体数は若干増加した。
④ 飲料水以外の水質検査
遊泳用プールや浴槽水等の水質検査を実施した。検体数及び検査料収入で
前年度を下回った。これは遊泳用プールの検査件数が減ったことが原因だと
考えられる。
2) 精度管理への取組み
検査の信頼性確保及び妥当性の評価とその確認、検査技術の向上を図るた
め、精度管理計画に基づき実施した。
① 外部精度管理
a.厚生労働省が実施した「水道水質検査精度管理のための統一試料調査」
に参加し、結果は Z スコア2未満で良好だった。
b.全国給水衛生検査協会が実施した「外部精度管理調査」に参加し、結果
8
は Z スコア2未満で良好だった。
② 内部精度管理
日本環境分析協会の SELF 試料を使用し、項目ごとの分析を年4回実施し
た。結果は変動率及び回収率共に評価基準内で良好だった。
3) 人材育成
飲料水検査に係る専門分野の人材を育成するため、以下のことを実施した。
① 研修会、セミナーへの参加、又は研修会の受け入れ
a.
「平成22年度 認定水道検査員研修会」及び「平成22年度クリプトス
ポリジウム初心者研修会」への参加
飲料水検査に関して有効な全国給水衛生検査協会による研修会へ参加し
職員の専門性向上を図った。
b.「クリプトスポリジウム検査に関する実技研修会」の受け入れ
クリプトスポリジウム検査に関する実技研修会の受け入れ機関として、
西日本地区の検査機関の検査員3名のスキルアップに貢献する事業を継続
して行った。
(3) 環境に関する検査
1) 検査の概要
人と自然の共生を目指して、環境に関わる検査、分析、調査を実施した。
① 計量証明事業
人の健康の保護及び生活環境の保全に関する環境基準に従い、大気汚染及
び河川、湖沼、海域等公共水域の水質及び底質等についての検査並びに、水
質汚濁防止法及び下水道法による特定施設からの排水についての検査を実施
した。その他、環境(大気、水質、底質、土壌等)、排ガスのダイオキシン
類の測定・分析及び調査研究(特定計量証明事業)を実施した。
② 作業環境測定事業
作業環境測定法第 3 条に規定する作業環境の測定を実施した。例年僅少で
あり、今後も目立った変動はないものと予測している。
③ 農薬検査事業
ゴルフ場等の残留農薬検査を実施した。総量も少なく、前年度より件数は
若干増加したが、検査項目が減少したため手数料収入は若干減少した。
④ 産業廃棄物検査事業
産業廃棄物の排出業者が、その廃棄物の性状を把握するために実施してい
る検査を実施した。件数及び検査手数料収入は微増したが、今後も大きな変
動はないものと予測している。
⑤ その他の環境検査事業
温泉成分の分析、その他の環境検査を実施した。温泉成分の分析は、減少
9
傾向にある。
2) 精度管理への取組み
検査の信頼性確保及び妥当性の評価とその確認、検査技術の向上を図るた
めに精度管理計画に基づき実施した。
① 外部精度管理
a.環境省が実施した「環境測定分析統一精度管理調査」に参加した。Zス
コア2未満で良好な結果であった。
b.福岡県環境計量証明事業協会が実施した「濃度分析外部精度管理」に参
加した。Zスコア2未満で良好な結果であった。
② 内部精度管理
a.日本環境分析協会の SELF 試料を使用し、項目毎の分析を実施するなど、
年間 4 回実施した。結果は変動率及び回収率共に評価基準内で良好だった。
b.日本分析化学会の濃度既知試料を使用し、ダイオキシン類の分析を実施
した。結果は変動率及び回収率共に評価基準内で良好だった。
3) 人材育成
今年度は環境計量士試験に1名合格した。さらに作業環境測定士の試験免
除の講習を修了して、次年度において作業環境測定項目毎の講習に備えるこ
とができた。
(4)
衛生検査所
臨床検査技師等に関する法律に規定する衛生検査所としての検査を実施した。
① 検便検査(微生物学的検査)
腸管出血性大腸菌O26及びO111の検査を徐々に増やし、ノロウイル
ス検査(EIA法)を開始するが、検査の受託数も伸びなかった。
② 血中PCB・PCQ検査(生化学的検査)
「2 公益目的事業の拡大等」で記載したとおり、全国油症治療研究班会
議及び分析班会議等に参加し、引き続き実施した。
2
品質保証活動
登録検査機関としての役割を果たすために、検査員の技術の向上を図り、また、
正確で信頼性の高い検査結果を得るため、次の取り組みを行った。
(1) ISO9001:2008認証の取組み
内部監査を6回実施し、品質目標の達成状況、教育訓練の実施状況、試験・
検査工程の活動状況、不適合・顧客クレーム等の改善状況等を監査した。
監査結果及び改善状況は、毎月の品質会議で報告し、効果的な内部監査活動
が実施できた。
また、内部監査員教育のため、民間コンサルタント会社に講師派遣を依頼し、
10
研修を6回実施した。
(2) MLAP(特定計量証明事業者認定制度)認証の取組み
水中、大気、排ガス等のダイオキシン類検査業務の信頼性を確保するために、
外部精度管理及び内部精度管理を各年1回実施し、検査員の技術レベル及び検
査結果をチェックし、業務が適正に行われていることを確認することで信頼性
確保を図っている。
(3) 食品GLP(Good Laboratory Practice)の取組み
食品、添加物、器具又は容器包装の検査の信頼性を確保するために、信頼性
確保部門では年間、食品部門で10回及び微生物部門9回、検査区域及び試料
保管施設、機器管理、試薬管理、製品検査等について、また、試料採取につい
ても6回の内部点検を行い、業務が標準作業書に従い、適正に行われているか
チェックし信頼性確保を図っている。
(4) 精度管理
外部精度管理、内部精度管理については、各部門の「1検査・分析事業」に
記載。
3
生活衛生、環境保全に関する知識普及事業
(1)講習会等の実施
平成 22 年度 講習会実績(担当:渉外課)
月日
4.7
依
頼
者
講習内容
会
場
参
加
者
分類
給食センターにお 苅 田 町 立 学 校
苅田町立学校
給食従事担当者 食品
ける衛生管理につ 給 食 セ ン タ ー
給食センター
35 名
衛生
いて
2階会議室
8.26
糸島市立南風
糸 島 市 学 校 給 学校給食における
給食従事担当者 食品
小学校
食会
衛生管理について
102 名
衛生
ランチルーム
8.31
「手洗い・洗浄マ
給食センター従
行橋京都第2
行橋京都第2
食品
ニュアル等につい
事担当者
給食センター
給食センター
衛生
て」
30名
11
9.15
「学校給食衛生管
宗 像 市 教 育 委 理における食材検
員会
査等の活用につい
て」
宗像市教育委
員会
市非常勤任用栄 食品
本 館 3 階 3 0 養士 9名
衛生
1会議室
9.29
門司・小倉・苅
門司・小倉・苅
門司港湾合同
「船舶飲用水の水
田地区船員労働
田地区船員労
庁舎
質検査等につい
安全衛生協議会 水道
働安全衛生協
1 階共用会議
て」
会員
議会
室
43名
11.3
㈱グラノ24
食品衛生講習
K
11.29
福岡県教育庁
「学校給食の衛生
京築教育事務
八屋小学校
管理について」
所
12.1
福岡県教育庁
「学校給食の衛生 行 橋 京 都 第 1 学 校 栄 養 士 食品
京築教育事務
管理について」
給食センター
19名
衛生
所
12.3
福岡県教育庁
「学校給食衛生管
筑豊教育事務
上山田小学校
理について」
所
12.8
福岡県教育庁
「学校給食衛生管 福 智 町 学 校 給 学 校 栄 養 士 食品
筑豊教育事務
理について」
食センター
19名
衛生
所
3.26
飯塚市穂波福
( 有 ) 荒 木 食 品 「食品衛生につい
各店長他従業員 食品
祉総合
産業
て」
約40名
衛生
福祉センター
各店舗マネージ
㈱グラノ24
食品
ャー
K会議室
衛生
約30名
(2)
学 校 栄 養 士 等 食品
23名
衛生
学 校 栄 養 士 食品
23名
衛生
パンフレット等の作成、配布
生活衛生、環境保全に関する知識普及に資するため、関連するパンフレット
を各保健所、学校、食品取扱企業等に配布した。
○配布図書等名
「水そして飲料水」、「食中毒予防早見表」
12
(3)
その他の普及活動
安全衛生思想の普及、意識の向上を目的として、船員労働安全衛生月間行事
の一つとして訪船指導等が行われており、これに協力して洞海地区及び門司・
小倉・苅田地区の船舶飲用水の水質検査を無料で実施し、船内における生活環
境の整備・改善に寄与した。
4 関係機関との連携
(1) 説明会等の開催
検査業務の効率化、省力化、迅速化を図るため、新製品のデモンストレーシ
ョンへの参加あるいは説明会等を開催。また、各分野の専門的知識の習得等を
目的に、各種協議会の一員として合同研修会等を開催した。
(2) インターンシップ
学生が在学中に自らの専攻あるいは将来進みたい職業に関連した企業等に
おいて実習・研修的な就業体験あるいは実務訓練をすることにより、職業への
意識向上、適切な職業選択をするための土台作り、就職後の職場への適応力の
向上などを図ることを目的としており、今年度は、九州産業大学工学部物質生
命化学科3年生2名を受け入れ、8月2日から6日までの間、食品部門におい
て、各種食品の規格試験、食品添加物、食品添加物分析、残留農薬分析、残留
抗生物質、合成抗菌剤等の研修を実施し、また北九州市立大学国際環境工学部
エネルギー循環化学科大学院 1 年生 1 名を受け入れ、8月16日から27日ま
での間、食品部門において、輸入食品サンプリング、食品添加物検査等及び環
境部門において、試料採取を含む分析作業の研修を実施した。
(3) 国際技術研修
(財)北九州国際技術協力協会が主催する、発展途上国の中央・地方政府機
関の食品衛生事業に関わる技術系行政官を対象にした「国際研修食品保健行政
コース」について、今年度は、2月4日にベリーズ、チリ、中華人民共和国、
インドネシア、パレスチナ、バヌアツの6ヶ国9名の研修員を受け入れ、日本
国における輸入食品の監視体制や食品添加物規格試験実習等を実施した。
13