小形搬送用チェーン 技術資料 DID小形搬送用チェーンを用いて、各種搬送装置を設計される場合、基本的な次の項目をまず満足させる必要があります。 伝 動 用 チェーン 一 般 標準形ローラ 高強度シリーズ 耐摩耗シリーズ 耐環境シリーズ 静 音シリーズ 特定用途シリーズ 関 連 商 品 スプロケット 設 計 メンテナンス 小形搬送用 チェーン 一 般 シングルピッチ ダブルピッチ そ の 他 技術資料 DK 汎 用 コンベヤチェーン 概 説 汎用並形 固着防止ローラ形 ベアリングローラ形 メガ・シール 強力H・Z形 ハイリンク サイドローラ トップローラ DK特定用途 コンベヤチェーン 特殊搬送専用 水処理専用 3次元屈曲 そ の 他 写 真 集 スプロケット 実績写真集 特殊チェーン写真集 スプロケット 技術資料 チェーンの選定 許容負荷 推奨仕様 耐 食 性 メンテナンス a.チェーン張力:チェーンに作用する引張力がチェーンの強度に比べて確実に小さいこと。 b.チェーン積載荷重受部の強度:アタッチメントやチェーン本体ローラ、トップローラ、サイドローラなどに作用する荷重 が、これらの強度に比べて確実に小さいこと。 c.チェーンの耐摩耗寿命:チェーンの摩耗寿命が十分であるよう、潤滑条件が考慮されていること。 d.チェーンのたるみ調整:テンショナやテークアップ装置、ガイドなどにより、チェーンのたるみが常に適正に保たれること。 e.その他:走行レールの摩耗防止や、装置の振動防止など、必要な配慮がされていること。 以下に、上記項目についての一般的事項を示します。 チェーン張力の計算 一般には、まず使用するチェーンサイズを仮決定します。 (このためには「チェーンサイズの仮決定」欄をご参照下 速度係数は、チェーンの走行速度が大きいほどチェーン 力T」 (P201)を求め、 「速度係数K」を乗じて「実質チェ にとって厳しい使用状態となるので、その厳しさを表す ーン張力Ta」とします。安全のためには、実質チェーン張 係数です。 力が、各種チェーンと寸法表中に記載の「最大許容張力」 以下とする必要があります。 すなわち、 チェーン張力の安全条件 「実質チェーン張力Ta」= 「理論チェーン張力T」×「速度係数K」 「実質チェーン張力」<「最大許容張力」 ェーン張力」を求めます。 速度係数K チェーン速度(m/分) 速度係数 15未満 1.0 15∼30 1.2 30∼50 1.4 50∼70 1.6 70∼90 2.2 90∼110 2.8 110∼120 3.2 この条件が満たされない場合には、仮決定チェーンを1サ イズ上げて計算をやりなおします。 チェーンサイズの仮決定 ①まずチェーンやアタッチメントなどの運行部材の単 位長さ当たり質量(重量) ω c{kg/m}を、搬送 物質量(重量) ω 1{kg/m}の10%と見込んで運 行部質量(重量)ωc{kg/m}を仮定します。 ②P207ページの計算式により、 「理論チェーン張力T」 {kN}および「速度係数K」を求め、 「実質チェーン 張力Ta」 {kN}を算出します。 「実質チェーン張力Ta」以上である最小のチェーンを 「仮決定チェーン」とします。 200 「理論チェーン張力」に「速度係数K」を乗じて「実質チ ただし、樹脂ローラ(帯電防止を含む) は70m/分以下でご使用下さい。 ③チェーンの寸法表を参照して 「最大許容張力」が DAIDO KOGYO 速度係数Kの値 さい。 )次に、仮決定チェーンをもとに「理論チェーン張 注)チェーン速度が120m/分を超える場合は、当社へご相談下さい。 理論チェーン張力Tの計算式 搬 送 方 式 g T=(W+2.1×ωc×L)×f1× 1,000 搬送物を乗せて水平に運 ぶ場合 搬送物を水平に運び、 アキュムレートする場合 (フリーフローコンベヤ) T={(ω1+ωc)×L1×f1+ω2×L2×f2 +(ω2+ωc)×L2×f3+1.1×ωc×L×f1} g × 1,000 L アキュームレート部 一 般 標準形ローラ 高強度シリーズ 耐摩耗シリーズ 耐環境シリーズ 静 音シリーズ 特定用途シリーズ 関 連 商 品 スプロケット 設 計 メンテナンス T×S kW= 52.2×η L L2 伝 動 用 チェーン 理論チェーン張力Tの計算式 L1 小形搬送用 チェーン T×S kW= 52.2×η 走行部 搬送物を垂直方向に運ぶ 場合 一 般 シングルピッチ ダブルピッチ そ の 他 技術資料 g T=(W+ωc×V)× 1,000 DK 汎 用 コンベヤチェーン W×S kW= 52.2×η V 搬送物を乗せて傾斜面を 運ぶ場合 T={(W+ω2×L)× 概 説 汎用並形 固着防止ローラ形 ベアリングローラ形 メガ・シール 強力H・Z形 ハイリンク サイドローラ トップローラ H×f1+V L g +1.1×ωc(H×f1−V)}× 1,000 L V 搬送物を乗せて傾斜面と 水平面を運ぶ場合 写 真 集 スプロケット W +( L +L +ωc)×(H×f1+V) 1 2 V H 実績写真集 特殊チェーン写真集 スプロケット g +1.1×ωc(H×f1−V)}× 1,000 S kW= 52.2×η {T+ωc×(H×f1−V)} 記号の説明 T W 特殊搬送専用 水処理専用 3次元屈曲 そ の 他 W T={( L +L +2.1×ωc)×L1×f1 1 2 L2 L1 DK特定用途 コンベヤチェーン S kW= 52.2×η {T+ωc×(H×f1−V)} H :理論チェーン張力 :コンベヤ上にある搬送物の総質量(総重量) ω1 :走行部、単位機長当りの搬送質量(重量) ω1=走行部にある搬送物の総質量(総重量) {kg÷走行部長さL1(m) } ω2 :アキュムレート部単位機長当り搬送質量(重量) ω2=アキュムレート部にある搬送物の総質量(総重量){kg÷アキュムレート部長さL2(m) } ωc :チェーンやアタッチメントなどの運行部の単位長さ当たり質量(重量) S :チェーンスピード(チェーンの移動速度) η :駆動部の伝達機械効率 g :重量加速度、9.80665m/s2 kW :所要動力 ・L、L1、L2、V、Hについては搬送方式を示す図をご参照下さい。 ・摩擦係数f1、f2、f3、はP208をご参照下さい。 技術資料 SI単位 kN kg kg/m チェーンの選定 許容負荷 推奨仕様 耐 食 性 メンテナンス kg/m kg/m m/分 201 DAIDO KOGYO 小形搬送用チェーン 技術資料 摩擦係数の値 伝 動 用 チェーン 一 般 標準形ローラ 高強度シリーズ 耐摩耗シリーズ 耐環境シリーズ 静 音シリーズ 特定用途シリーズ 関 連 商 品 スプロケット 設 計 メンテナンス f1:チェーンの走行摩擦係数です。次の3通りに分けていま とレールの間に作用する摩擦係数です。 す。 ・チェーンのローラがレール上を転がるとき …………表1 2倍速フリーフロー以外の場合は、f3=f1ですから、表1 ・サイドローラが床上を転がるとき ……………………表2 ∼表3をご参照下さい。 ・フ ラ ッ ト タ イ プ チ ェ ー ン の よ う に プ レ ー ト が レール上をすべるとき …………………………………表3 フリーフローコンベヤの走行部の計算に用いるf1も同じ値 です。 表1 チェーンのローラが転がるときのf1 チェーンの種類 小形搬送用 チェーン 一 般 シングルピッチ ダブルピッチ そ の 他 技術資料 DK 汎 用 コンベヤチェーン 概 説 汎用並形 固着防止ローラ形 ベアリングローラ形 メガ・シール 強力H・Z形 ハイリンク サイドローラ トップローラ { Rローラ Sローラ 樹脂ローラのチェーン { Rローラ Sローラ 焼結ブシュローラチェーン { Rローラ 鉄ローラのチェーン 写 真 集 スプロケット 実績写真集 特殊チェーン写真集 スプロケット Sローラ 潤 滑 なし あり 0.21 0.14 0.12 0.08 0.12 − 0.08 0.14 − 0.08 表2 サイドローラが床上を転がるときのf1 チェーンの種類 鉄ローラ 樹脂ローラ 帯電防止樹脂ローラ ブレーキ付樹脂ローラ 潤 滑 なし あり 0.09 0.06 0.06 − 0.06 − 0.09 − 表3 チェーンのプレートがすべるときのf1 (鉄レールの場合) 無潤滑 0.3 潤滑 0.2 DK特定用途 コンベヤチェーン 特殊搬送専用 水処理専用 3次元屈曲 そ の 他 f2:フリーフローコンベヤのアキュムレート時に搬送物と チェーンの間に作用する摩擦係数です。 すなわち、サイドローラ、またトップローラが搬送物 荷重を受けながら転がるときの摩擦抵抗です。表4に値 を示します。 表4 技術資料 チェーンの選定 許容負荷 推奨仕様 耐 食 性 メンテナンス 202 DAIDO KOGYO f3:フリーフローコンベヤのアキュムレート部でチェーン サイドローラまたはトップローラの種類 f2の値 無潤滑 潤 滑 鉄ローラ 0.09 0.06 樹脂ローラ 0.06 − 帯電防止樹脂ローラ 0.06 − ブレーキ付樹脂ローラ 0.09 − 積載部分の強度 搬送物の荷重はチェーンのアタッチメントや、トップローラ、サイドローラなどで、受けることとなります。これら、積載 部分の強度が十分であることをお確かめ下さい。 強度計算法は使用方法が千差万別であるため、ここではチェーン本体ローラ、トップローラ、サイドローラについて許容負 荷を示すにとどめます。 本体ローラ、トップローラ、サイドローラ1個当りの許容負荷 チェーンNo. DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID DID 40,C2040 C2042 50,C2050 C2052 60,C2060H C2062H 80,C2080H C2082H 100,C2100H C2102H 120 140 160 180 200 240 本体ローラ 鉄 156 627 225 989 372 1,530 627 2,540 912 3,660 1,323 1,509 2,126 2,998 3,547 5,321 単位:N/個 トップローラ サイドローラ 樹脂 − 196 − 294 − 490 − 882 − 1,270 鉄 156 156 225 225 372 372 627 627 912 912 樹脂 49 49 68 68 107 107 176 176 294 294 鉄 156 156 225 225 372 372 627 627 912 912 樹脂 49 117 68 137 107 156 176 − 294 − − − − − − − − − − − − − − − − 伝 動 用 チェーン 一 般 標準形ローラ 高強度シリーズ 耐摩耗シリーズ 耐環境シリーズ 静 音シリーズ 特定用途シリーズ 関 連 商 品 スプロケット 設 計 メンテナンス 小形搬送用 チェーン 一 般 シングルピッチ ダブルピッチ そ の 他 技術資料 DK 汎 用 コンベヤチェーン 概 説 汎用並形 固着防止ローラ形 ベアリングローラ形 メガ・シール 強力H・Z形 ハイリンク サイドローラ トップローラ 搬送物の支持例 DK特定用途 コンベヤチェーン 標準Aアタッチメントの 許容負荷 特殊搬送専用 水処理専用 3次元屈曲 そ の 他 単位:N/アタッチメント1個 写 真 集 スプロケット Aアタッチメントは搬送物やスラット DID 40 140 の重量といった垂直荷重がかかります。 DID 50 250 アタッチメント1個が許容できる垂直 DID 60 350 荷重は右表の通りです。 DID 80 590 チェーンのローラで荷重を支える場合 DID 100 950 技術資料 には、ローラの許容負荷と対比して小 DID 120 1410 チェーンの選定 許容負荷 推奨仕様 耐 食 性 メンテナンス さい方の値をご採用下さい。 小形搬送用チェーンの摩耗寿命 実績写真集 特殊チェーン写真集 スプロケット チェーンは摩耗がさけられないとき、消耗品となります。しかしできるだけ潤滑に心がけて、選定時の強度計算に十分配慮 がなされておれば、実用上問題が生じることは少ないでしょう。伝動用チェーンのメンテナンス(P123∼P133)をよくご参 照下さい。またチェーンが伸びてお困りの場合は耐摩耗シリーズをおすすめします。 チェーンのたるみ調整、その他メンテナンス 伝動用チェーン(P123∼P133) 、コンベヤチェーン(P329∼P331)をご参照下さい。 203 DAIDO KOGYO
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