質問・感想 回答 形を作り上げるには様々な人との共同作業が不可欠です が、アーキテクトに強い意志と信念と説得力があるとエン 様々な構造のかたち(デザイン)が出てきて面白かっ ジニアは仕事がしやすいです。施工者をやる気にさせる た。設計者側の都合だけでなく,作り手側の意見も十 ディテールが書けると良い建築が生まれるものと私は思っ 分に聞かなければならないと改めて考えさせられた。 ています。エンジニアは如何にアーキテクトのイメージを実 現させられるかを考えることが重要だと思います。 歌舞伎座が見る場所によってぜんぜん違う雰囲気な のを初めて知りました。また、歌舞伎座を設計するに あたっての課題や解決策が具体的で構造設計の大 変さを目の当たりにした気がします。 歌舞伎座を、見る場所によって違うようにしようと、アーキ テクトがねらっていたと思いますね。仕事が大変なのは構 造エンジニアだけではありません。いろいろな立場の人と 議論を重ねて形にしていくプロセスをとるのはアーキテクト も施工者も同じです。むしろそれが建築の仕事の醍醐味 であり、楽しい世界だと思いますよ。 ダンパーにも性質があり、適材適所に採用することが大事 だと思います。最近は複数の種類のダンパーを適用して いる建物が増えてきていますね。因みに正確には、座屈 座屈拘束ブレースで全地震をオイルダンパで中小地 拘束ブレースはある程度建物が変形してから効き出すの 震をおさえることができるという2種類を使うことに驚き で、主に大地震時により効果を発揮します。一方、オイル ました。 ダンパーは風揺れや小地震から大地震の広いレンジで効 果を発揮し、さらに地震後の揺れを早く減衰させる効果が あります。 溶接の施工姿勢を考えたのは、厳密に言うと、設計が完 了して工事費が決まってからでした。鉄骨製作会社の方 施工姿勢のことまで考えてるのは意外でした。構造設 からの指摘もあって、ご説明したような方法が採用されま 計者がやる仕事は結構たくさんあるのだと思いまし した。歌舞伎座のように大規模で挑戦的な構造を採用して た。 いる場合は特に、構造設計者は現場段階でもかなりの時 間を費やします。 建築を建てるまでに,あらゆる課題に対して試行錯誤 があることが理解できた。歌舞伎座の例では,構造的 な安全性を確保しつつ,利用者の居住性も確保する ために様々なことに悩み,解決していったことが分 かった。和風建築の外観の再現においても,現場の 施工者を協力して完成させたという話では,建築は一 人では完成しないと改めて感じた。 「生みの苦しみ」と言いますが、創造的な仕事には必ず試 行錯誤が必要だと思います。建築の仕事は多くの人との 共同作業で成り立っています。アイデアやオリジナリティが あることは無論、重要な要素ですが、人の意見に耳を傾け る柔軟性を兼ね備えていないと、建築としての完成度が低 くなってしまう可能性があります。 大勢の人が関心を持っていて,構造的な課題も多い 歌舞伎座の設計は非常に責任の重い仕事だと感じま した。そんな中,課題一つ一つに対し,試行錯誤や技 術者,大工さんとの話し合いを重ねて,日本中の注目 する難しい設計を成功させたことに感動しました。 構造設計の仕事は、建物の安全性を担う大変重要で責任 が重いですが、そこがやりがいのある仕事だと思います。 建築は共同作業によって作られますが、皆が同じ方向に 向かっていると一体感も味わえ、楽しさが倍増します。 力の流れとか伝達って言葉では難しいですが、実は人間 誰もが直感的に分かっているものだと思います。例えば、 大きな吹坂上部の,圧縮応力(アーチ)と引張応力の 電車が揺れると体重移動させてまっすぐ立てるように重心 両方を使っているというお話しがとても面白かった。和 を調整したりしますよね。構造エンジニアの仕事はこれをう 風建築の屋根部分が,職人さん等が同席して,現場 まく人に解説できる仕事だとも言えますね。宮大工の方と で作られたというのが驚いた。 の共同作業は私にとっても初めての経験でした。その道 のプロってどの分野でもいるもので、この人たちに聞くこと が大切だ、と私も出会ったときに感じました。 本講義において,設計最中の考え方,解決策を学べ た。メガトラス以上の梁について壊れても良いという 考え方,油圧ジャッキを利用してる点についても驚い た。 今回の講義では、主に解決策を中心にご説明しましたが、 設計段階では担当者間や部員間で様々な議論を積み、設 計方針が一つに考え方にまとまっていきました。壊れると 言っても梁端が塑性化するだけで建物自体の挙動は安定 状態を保っています。油圧ジャッキは今回のような特殊な 工事で用いられますね。 構造設計を行う上で,建築家であったり多くの人の協 力が必要と感じた。歌舞伎座の例では鉄骨による日 本的建築の実現がとてもおもしろかった。設計の上で 溶接の姿勢まで考えるのも意外に感じ,多くの要因を 考えなければならないと思った 意匠と構造だけでなく、設備、都市計画、工務、積算など 多くの職能の協力があって設計は行われています。伝統 木造建築の鉄骨での再現には宮大工、瓦職人などその道 のプロの力なくしては実現できませんでした。どのように造 るか、造り手の提案に対し設計上許容出来るところと出来 ないところがあるのが実態ですが、そうしたやりとりの上に 実現可能な解決策が模索されていきますね。 東京歌舞伎座の建築について構造についてや実際 どのように完成させて行くかを聞けて現場で建て始め るために前準備として実験して本当にこの部材でい いのかを考えたり,溶接の順番やどういう姿勢でやる のかまで考えて作業するということで綿密に考えなが らやらないと建築が建たないのだと思った。 大学での研究で理論解を実験で確認するのと、ある意味 似たプロセスかもしれませんね。ただ、全ての建物で今回 のような様々な実験を行うわけではありません。業界で確 認検証が不足している領域の場合に実験による確認は行 われます。 「構造デザイン」こそが、我々構造エンジニアにとって最も 大事にしたいポイントであり、アーキテクトや顧客の要望を 構造デザインを考える際に,事前にどのように施工し 如何に合理的に実現するかは、こうした志向をもっている ていくかを考えていくわけだが,今回見せていただい かどうかにかかっていると思います。設計における解は一 た事例の中に同じ方法で構造を決定しておらず,一 つではなく、そこに集まった人間たちで作り上げていくもの つ一つ異なった方法で検討していたことに驚いた。 です。一つ一つが異なった方法で解決されているのは、そ うした意味で必然でもあります。 私は建築学科に入って初めのころは設計といわれた らまさに建物の外観や間取り、空間の演出といった意 匠設計のことだけを考えていた。しかし、学年が進む につれてより細かい専門的な分野を学ぶにつれて設 そうですね。色々な人の役割を理解し尊重する気持ちは 計には意匠以外に構造、設備にも存在することが分 必要です。チームワークが重要ですので人柄も重要に かった。そして今回、設計者の案を構造的な視点で分 なってくると思いますよ。 析し、いかにその案通りに構造的能力を備えた建物 を建てる際に、両者の建物を造るにあたっての深い 結び付き、コンビネーションが求められるかがわかっ た。 一つの建物を完成させるには解決すべき課題がいく その通りです。複数のオプションを考えて様々な側面から つもあり,構造設計者は試行錯誤を繰り返すことで, 比較して最適解を施主とともに見つけていきます。 それらの課題に最適解を見出すということを知った。 トラスやスパンの歪み方やそれに対する策の説明の 時に色を変えたり色によって大きさを説明したりして いたため非常にわかりやすくイメージしやすかったで す。 最近の解析ツールはカラー表示が当たり前ですので分か りやすいですよね。応力図も読みやすくなりました。実は 応力図を読んで傾向をつかむことも訓練が必要なんです。 私の会社の若手の後輩達も最初は解析モデルを作ること に力を入れすぎるあまり結果を読まない傾向があります。 徐々に経験を積んでいって読めるようになってきますね。 キャッチボールの重要性、構造設計は対等に建築家 の人と並びあえるやりがいのあるものだと感じまし た。構造設計の手順、どうやって問題を解決していっ たかが分かりやすかったです。トラスについての理解 が深まりました。 そうですね。大変やりがいがあります。私もアーキテクトの 方に好かれ頼られる構造エンジニアになることを目指して います。構造設計の手順というか確認しておくべき項目は 一通り決まっていますが、それ以外に何を確認するかは 建物ごとに担当者間の議論で決めます。 歌舞伎座の設計において平面計画からしても複雑 で,偏心によるねじれの考慮やヒンジの発生など理解 できることもあったが,メガトラスの上部,下部の架構 の設計の複雑さに今は理解できないことが多くて ショックを受けた。元々の建物の再現にあのような原 寸大の図面に直接鉄骨を書き込んでいるなども興味 深い内容だった。 ショックを受けなくて良いです。少々高度な内容過ぎたかも しれませんので、いま、全てを理解出来る必要はないと思 いますよ。社会人になって徐々に理解出来るようになりま す。いまは刺激を感じていただければそれで良いと思いま すよ。 建物を造るというのは,設計者だけでなく現場に関わ 話し合いはどんな仕事でも大切ですね。費用に対する意 る人々との話し合いが必要なのがよくわかった。三菱 識ですが会社に関係なく、構造エンジニアなら皆持ってい 地所出身の方なので,費用に対する意識が高い印象 ると思います。 を受けた。 最初にでた関わってきた建物の中に、私の出身中高 がありました。構造設計と建物設計に上下関係が あったらよい建物できない、という言葉が印象に残り ました。お話は難しかったです。設計段階で生じる 様々な課題に対して解決策を考えるのは大変なこと だと思いました。 ご出身校の建物に携われたことを光栄に思います。アー キテクトとエンジニアに主従関係がないとは言えませんが そうした意識は持たない方が良いと思います。少々高度な 内容過ぎたかもしれません。最前線のプロの実態を少しで も感じ取っていただければそれで充分かと思います。 たわみの図が映されていて,今の授業で習っているこ とが実際に生かされているんだなと実感しました。ま た,鉄骨構造で和風建築を作ったという話にはかなり 興味深かったです。古き好き日本の文化と,現代の 技術との融合で職人さんも活動ができ,未来へと長く 残るものを造るので素晴らしいと思いました,建築の 仕事につくのが嫌だと思っていましたが(ブラックと聞く ので),楽しそうだと思い前向きに考えようと思いまし た。 いま授業で習っておられることが基礎となりますので是非 いま出来ることに集中して頑張ってください。建築の世界 がブラックとの印象をお持ちかもしれませんが、構造設計 の世界は比較的純粋かもしれませんね。私はいまの仕事 をしていてとても楽しいです。 設計担当者になると,そんなに多くの案件を担当する ことは出来ず,大きな案件,有名建築になると一生の 中で数回と無いと聞いていたのですが,多くの案件を 担当されており,一度は聞いたことのある建築物ばか りで驚きました。また,授業の内容も非常に濃く,自分 がもっと構造に詳しければと悔しくなりました。大学で 学ぶものと仕事として生業にするものとではレベルが 違いすぎて敷居の高さを感じました。 当社は若いうちから大規模物件から小規模なものまで経 験させています。3年目以降はある程度任せるようにして います。そのあたりが多くの物件に関わっている遠因かも しれませんね。少々高度な内容過ぎたかもしれませんの で全てご理解いただく必要はないですよ。敷居も決して高 くないです。いま学生時代に出来ることに集中してくださ い。 代表的な建物は,つい設計者の名前が先行してそっ ちが気になりがちだが裏方のエンジニアや施工者た そうですね。上手に関係を保つことは大切です。お互いへ ちとうまく関係を保ちながら造られていくのだと改めて の理解が深いと距離は近くなると思いますよ。 感じた。 構造エンジニアの仕事内容を初めて知り大変ために なった。施工までに様々なことをシミュレーションして 構造設計も魅力的な世界だと思いますよ。溶接工が欠陥 いる事はある程度予想していたが,溶接の角度等ま を出さずにすむよう条件を設定することは大切ですね。 で事前に決めていたことには驚いた。 完成後の影響はありませんでした。この時は施工者の方 からのご提案で設計を変更してH鋼からチャンネルの背中 レース場の設計において,ねじれやすいと言われたC 合わせに変更したのですが、鉄骨を製作する人にとっては 型鋼を実際に用いて完成後に何か思いもよらない悪 望ましくなかったようです。鉄骨製作工場でトラスの斜材溶 影響は合ったのでしょうか? 接によるゆがみが生じやすかったり製品を動かす際にも ねじれやすかったりしてハンドリングしにくかったそうです。 歌舞伎座の詳しい内部構造について正直話がむず かしくて理解できない部分がありましたがメガトラスと 全てご理解いただく必要はありません。刺激として何かを いうシステムについて多少ですが知ることができたの 感じ取っていただければそれで充分です。今後に役立て ではないかと思います。貴重なお話ありがとうござい ていただければとても嬉しく思います。 ました。 メガトラスのような,部材や構造部一つ設計するにし ても,CADで立体を作る人,構造に新たな提案をする そうですね。色々な関係者間のチームワーク、連携が大 建築家,実験のための模型を制作する人,現場で実 事だと思います。各人の役割を理解し尊重する気持ちは 際に部材の制作に当たる大工の人など,大きな範囲 必要です。人柄も重要な要素だと思います。 で人が関わっていることを知り,大変興味深かった。 連携の重要性を改めて感じた。 私は将来現場に出て施工管理などの仕事をしたいと 考えています。今日の講義で現場で出来ていく様子 施工現場マンの仕事も大変やりがいのある仕事だと思い が見れて将来に役立てたいと思いました。難しい内容 ます。聞く力、タイミング、段取り、人柄が特に重要かと思 で理解するのが難しかったですが今の日本の技術は いますので頑張ってください。 すごいと思いました。 そうですね。今回のように立体効果なしでは成り立たない ケースでは不可欠ですね。でも、私は3D解析の結果を鵜 構造が複雑になればなるほど3Dモデリングでの応力 呑みにはしないように心がけています。なるべく単純化し 解析は不可欠になると感じた。 て考えて予想してみて、それと解析結果の傾向が合うかど うか必ず確認するようにしています。 自分のやってきた物事を完成して振り返っていくこと 情熱を感じ取っていただけたとのお言葉は嬉しいです。貴 の大切さ,さらなる探究心,情熱が伝わってきました。 兄の今後に少しでもお役に立てれば嬉しいです。 今回印象的であったのが,メガトラスで今まで習った ものや実際に見たものよりも柱の太さが太かった 1本のメガトラスで最大9000tonを支えています。両端の柱 は最下層で6000tonの軸力を支えていますのでごつい大 きさになりますね。 具体的な説明を,計画の段階から問題発生の予測と 少々高度すぎたかもしれませんので詳細まで理解できる その解決について,受けられて,知らない現場の様子 必要はありません。雰囲気を感じ取っていただいただけで を学べました。難しく,理解が出来なかった点は今後 充分です。 知られるようになりたいと思えました。 無柱空間の上に高層タワーを載せる難題に,過去に 例を見ない精度で実現されたメガトラスで挑んだ三菱 弊社だけの力では決してありません。施工者、鉄骨FABを 地所の技術力の高さを改めて感じた。専門的で理解 はじめとする関係者全員の総合力が同じ方向に向いたか の困難な部分もあったが,いろいろ学べる良い機会で らこそ実現できたのだと思いますよ。 あった。 新宿のおわん型の建物の構造の発想が凄かったで す。シェルを使って横の壁にふくらみをもたせていて 東新宿駅にありますので是非見に行って機会があれば感 そのような建物を見たことがあまりないので見に行き 想を聞かせてください。構造エンジニアの仕事の楽しさを たいと思いました。新しい構造デザインを日々考えな 理解いただけたら嬉しいです。 がら仕事をされていてすばらしいと感じた。 実務による長い経験による建築家と技術者のやりとり 設計における解は一つではなく、そこに集まった人達で作 の難しさや自分が今まで学んだことのないような構造 りあげていくものです。応用問題を解くには基本が大事で をつくるためのやりとりや方法がとても印象的であっ すね。 た。 構造設計をするにあたって建築家の要望をどうクリア していくのか、どう工夫するのかと言う話が実際構造 設計をしている人の話ということでリアリティがあり面 白かったです。自分が構造系に進もうとしているので それらの話に加えメガトラスなどの部材の解析の話を もっと聞きたかった。 アーキテクトとなるべく同じベクトルで考えるように自分は 心がけています。参考になりましたでしょうか。構造の解析 の世界も境界条件、仮定条件の設定により様々な解が出 ますので奥が深いです。 構造の仕事には構造力学の知識はもちろん、構造設 アイデアは経験していくに従って身についていくものです。 計のためのアイデアを発想する能力、現場での問題 建築に限らずチームワークは全ての仕事にとっても重要 を解決する能力とチームワークも大切だと言うことが ですね。 わかりました。 歌舞伎座のメガトラスがとても大きくて驚きました。実 そうですね。一台のメガトラスで最大9000tonを支えていま 際の技術,施工中の写真などを見て知ることが出来, すのでそれだけ大きな部材になります。構造設計の世界 説明されないと気づかないことがたくさんありました。 の理解に少しでも役立てば嬉しいです。 非常に高度で,内容の濃い話だったが,丁寧な説明 をわかりやすい図やグラフで大変理解しやすかった。 少々高度過ぎた内容だったかもしれませんので漠然と雰 普段の授業では,知ることの出来ない現場での細か 囲気を感じ取っていただければそれで充分です。構造設 い作業の手順など,貴重な話を聞いて,構造設計に 計は楽しいですよ! 興味がわいた。 銀座歌舞伎町座の例を出して問題点と解決策を川村 今回のお話が貴兄の今後に少しでもお役に立てれば嬉し 先生の実体験の例を出しながら説明してもらえてとて く思います。 も理解しやすい興味深い話でした。 今回,講師の方がおしゃっていたことに関して,「現場 の声の大切さ」など,実務をしなければ得ることが出 現場の声、先生や専門家のご意見、他職能との共同作業 来ない貴重なお話をお聞きでき,とてもためになっ も大事です。今後のお役に少しでも立てたら幸いです。 た。 上下関係があってはできないというのはすごく重要な ことだと思いました。設計者が良いと思ったものでもつ くり手の方がやはり材料には強く、、そちらの意見も大 事だというこうとがわかりました。屋根をささえるPCこ うせんを麻雀に例えていてわかりやすく面白かった。 川村さんがところどころで施工者などとのキャッチ ボールや仲のよさが大事と言っていてそれだけ大事 なことがわかりました。貴重なお話ありがとうございま した。 構造エンジニアの役割や建築を造り上げる上で重要な要 素をご理解頂けて良かったです。設計は苦労やつらい場 面もありますが、達成感や連帯感も味わえて楽しいところ も沢山あります。 設計は多くの苦労があり,幾多の試行錯誤の結果で そうですね。そう感じ取っていただければ嬉しいです。今後 あることがよく伝わってきました。又建築のチームプ に少しでもお役に立てれば嬉しいです。 レーの結晶であるなど改めて感じた。 歌舞伎座が新しくなった時は建築の目線が全く生ま れず,ただ新しくなったのだという印象でしたが,今日 建築としては確かに目新しさはないかもしれませんが興味 の講義を聞き,建築の目線から見た時歌舞伎座が全 を持っていただけて嬉しく思います。 く違ったものとなりました。 鉄骨構造による和風建築の再現において,独特のR を作るのに労力がかかるのはすぐわかるが,それを 仕上げるまでの設計者と施工者とのやりとりなどを垣 間見る事ができて良かった。 そうですね。社寺建築における曲線は宮大工の方の長年 の経験で決まっていてとても興味深いです。水平な直線に 見えても実はわずかにムクリを設けたりしているそうです よ。 建物を建てる際に多くの問題点をひとつひとつ解決し て計画していくというのは今まで私が大学で建物を設 計する時には考えない方法ですので驚き、参考にし なければならないと思います。さらに、場所ごとに梁 のはり方を変えたり細かく考えていることに建物を建 てることの大変さを知りました。特にメガトラスの部分 は巨大な応力に耐えるように設計されており、もっと 細かく詳しく知りたいと思いました。 設計における解は一つではなく、そこに集まった人達で造 り上げていくものです。その辺は学生さんというか個人で 設計が完結するものとは違うと思います。いまは大づかみ でざっくりとした理解をしていただければそれで充分と思い ます。 銀座歌舞伎町座の例を出して問題点と解決策を川村 先生の実体験の例を出しながら説明してもらえてとて も理解しやすい興味深い話でした。構造設計を例に, 実際の課題を提示して,その課題にどのように解決 策を出していくかについて,少し触れることが出来た めになった。実際に解決策を出すために,いろいろな 検証が必要であり,良い建築物を作るには時間がか かることを知る貴重な機会となった。 課題と解決策の間には、実は試行錯誤のプロセスがあ り、ここは苦しい段階でもありますが、乗り越えると喜びも 感じられます。研究や学習も似た面があるかもしれません ね。今後に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。 構造設計は設計者の下請けではなく,共に設計して いくものだと知りました。最近に読んだ佐々木陸朗さ んの著書にも構造設計者なりの提案をして,共に作り 上げていくと書かれていました。日本は地震国なの で,今後益々構造設計者の意見は重宝されると感じ ました。最後に質問です。構造設計部門の方は,不 動産屋その他の部署の方と意見交換は有りますか? 叉,その他の部署のノウハウ等を教えてもらうことは 有りますか? 当社は不動産会社から独立した設計事務所ですので、親 会社をはじめ他社の不動産部門の方との仕事上のつき合 いがかなりあります。その意味でビルの貸し手の立場の考 え方、ノウハウを知る機会は多いです。 歌舞伎座を実例とした構造計画について学べた。ど のようにして地面に力を伝えていくかということについ 面白いと感じていただけて大変嬉しく思います。少々高度 てその試行錯誤を含めて計画、過程について学べ、 過ぎて難しい説明だったかと思いますが刺激として感じ 高度な技術をどのようにもっていくかについて面白く 取っていただければ嬉しいです。 思えました。 様々な課題に対して,試行錯誤の末,解決策を生み 研究にも他の分野にも共通する一面かもしれませんね。 出していくという話は,自分の今後につなげていきた 今後に少しでもお役に立てれば幸いです。 いと思いました。 実際の施工事例を通した説明を聞くことが出来てとて ありがとうございます。少しでも刺激を感じ取っていただけ も勉強になりました。 れば嬉しく思います。 意匠と構造だけでなく、設備、都市計画、工務、積算など 建築家と構造設計者のつながりの大切さがよくわかり 多くの職能の協力があって設計は行われています。お互 ました。お互いに意見を出し合って最適なものを作り い意見を出し合って最終的にひとつの建物にまとめていく 上げていくことが大事だと知ることが出来ました。 ことになりますので、互いを理解し尊重することが大切だと 思います。 実際の事例の紹介から,構造設計,施工における 様々な工夫や苦労があることが分かりました。特に, 超高層建物の下層階に大空間を成立させることで, どんな検討や工夫がなされていたかを知ることが出 来て勉強になりました。 事例ごとに与条件が異なりますので建物それぞれに固有 の課題が存在しますが、今回はあくまで解決策だけを説 明させていただきました。雰囲気だけでも感じ取っていた だけたら幸いです。 長い期間にわたる設計を詳細に話していただきあり がとうございました。 少しでも刺激を感じ取っていただければ嬉しく思います。 メガトラスを用いて上層数十層を支える構造設計が凄 23層のオフィス空間をメガトラスで支えること、そこにいる いと感じました。あらゆる場合を想定して共振設計を 人達の命を預かることに最初は恐怖を感じましたよ。その 行い対策をしているところがよいと感じました。 気持ちから、様々な場面を想定して慎重に考えました。 異なる職能、職種の人がそれぞれの役割を担いながら関 わって建物は造られています。それぞれの領域がそれぞ れ完璧でも全体として整合しない場面は常にあります。そ こで必要となるのがお互いを尊重しながら調整して解決策 建物を建てるにあたってチームワークが大切というこ を見出していく姿勢です。そこにチームワークの意識がな とですが、どのような点で大切なのでしょうか。 いと上手くいかないと私は思います。また、同一職能内で も担当を分担するわけですが、ここのチームワークが悪い ときちんとした完成品(図面など)が出来ません。そうした 意味でチームワークは大切です。 設計を進めていく上で,課題に対してどのように解決 設計には課題は常にありますが、これを考えるのは楽しい 策を考えるのも設計の醍醐味だと感じさせられまし ですよ。設計の醍醐味を少しでも感じ取っていただければ た。 嬉しいです。 地盤を考慮する際に水による浮力も考慮することが あるところが新鮮でした。浮力によって悪影響がある と判断される場合,どのような対策をとるのでしょう か。具体例を教えていただけると助かります。 浮力による悪影響としては建物がスレンダーだった場合な どで、地震時に足元が引き抜けてしまい、最悪、転倒して しまうケースが考えられますがこうした場合は引抜を起こ させないように杭を打ったりアースアンカーを打ったりする こともあります。また、わざと建物を重くさせる設計をするこ とも考えられます。 構造設計の分野では設定した課題に対する解決策 そうですね。研究も設計もそういう意味では似ていると思 は、様々な試行錯誤と時間を経て見つかるという言葉 います。今後の研究生活を頑張ってください。 を研究でも肝に銘じて取り組みたいです。 そうですね。設計の際には、この他にも設備、都市計画、 意匠・構造の設計者だけでなく、施工者や部材の生 工務、積算などの職能の人と協力して作業しています。関 産者と協力することによって建物が建てられているの 係者の向いている方向が一致し一体感が感じられる時は が良く分かりました。 楽しいものですよ。 アルミ部材で垂木を表現したり,叉,メガトラスを用い て力を流す方法等,構造設計者は単に応力計算だけ どのように空間を表現するかという視点は意匠、構造、設 でなく,どのように空間を表現するのかを考えることが 備に関係なく共通して皆考えていますね。そうした人との とても重要なのだと感じた。「色々な人の協力により 共同作業には他を理解し尊重する姿勢が大切です。 建物ができる」という言葉がとても印象的でした。 実際の施工事例を通した説明を聞くことが出来てとて ありがとうございます。貴兄の今後に少しでもお役に立て も勉強になりました。 れば嬉しいです。 接合部の話が興味深かった。 接合部って見せ場にもなりますし、力を伝える要所でも あって、結構キーポイントなんですよね。参考になれれば 幸いです。 構造設計者は他の部署の方々と協力して1つの建物 を作り上げていくという話が興味深かった。質問なの ですが、歌舞伎座の上部構造のダンパーの配置の仕 ダンパー配置は、まずは入れられる場所かどうかが初め 方をどのようにして決めているのですか。ある程度経 にあって、それに加えて上下、左右の平面的、立面的なバ 験的に配置しているのはわかったのですが、ダン ランスが良くなるように決めています。 パーの効率的かつ、適切な配置に関して研究が数多 く進められているので気になりました。 構造設計者としてよい建築を生み出すためには,意 匠家や施工者などと何度も議論を重ねて,案を詰め ていく必要があることを学びました。 その通りですね。他に設備、工務、積算の職能の人達とも 協議しています。 メガトラスを用いた箇所は剛性が高くなることで相対 的に上部の剛性が低下し、メガトラスの上に取り付く 柱において反曲点位置が上がってしまい柱脚にヒン ジが早い段階で発生してしまったりはしないのでしょう か。また、歌舞伎座入り口部分を現場で電卓を叩きな がら断面を選定したというお話でしたが、そのような場 合大臣認定などはどのようになるのでしょうか。 とても良い質問ですね。一般的にはご指摘の通りになりが ちですので、メガトラスに陸立ちで支えられる柱脚にはヒン ジを作らないように部材断面を決めました。現場段階の設 計変更箇所は変更評定の審査を受け大臣認定を取り直し ました。超高層ビルでは通常複数回変更評定を受けてい ます。
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