特集 学生の研究活動報告−国内学会大会・国際会議参加記 11 国際教育連携プログラム RUBeC 演習に参加して 藤 本 洸 生 Akio FUJIMOTO 物質化学専攻修士課程 2年 事はベジタブルが多く,ジョギングをする人々も多 1.はじめに く見受けられました.食事や洗濯物,通学手段など 私は,今回文部科学省が支援する龍谷大学北米拠 はホストファミリーが色々と相談に乗ってくれるた 点(RUBeC)とカリフォルニア大学ディビス校と め,日本とは違いますので我慢せずに積極的に会話 の国際教育連携プログラムである RUBeC 演習に参 すると楽しく過ごせます. 加しました.期間は 8 月 17 日から 8 月 31 日までの 2 週 間 ホ ー ム ス テ ィ を し な が ら Berkeley に あ る 3.授業風景 RUBeC で授業を受けました.また,カリフォルニ RUBeC 演習では水曜を除く平日の 9 時から 3 時 ア州サンフランシスコ市で企業,市や州の機関に訪 まで講義が有り,お昼休みが 12 時から 1 時となっ 問し,そこで行っている環境ビジネスについてプロ ていました.午前中はテクニカルライティングとい ジェクト企画を通して学びました. う授業で午後はオーラルコミュニケーションでし た.難易度は始めに行うテストによって二クラスに 2.ホストファミリーとの交流 分けられますが,全て英語での講義なので慣れるま RUBeC 演習の初日はサンフランシスコ国際空港 では苦労しました. で入国審査を受けるところから始まります.もちろ テクニカルライティングではネイティブの先生が ん最初から英語がたんのうであるはずもなく,審査 文法や語彙,文章の作成方法などを講義し,授業の 官が話す英語の聞き取りが難しいため,職業・目的 内容で宿題が出されました.普段私達は何気なく日 ・滞在先・期間などの受け答えを予習しておくと良 本語で文章を書いていますが,宿題では英語で考え いでしょう.次に,バスで Berkeley, RUBeC へと向 て英語の文章を作成するという難しさを味わいまし かいホストファミリーと対面することになりまし た.二週目に自分の書いた英語論文を添削していた た.私のホストファミリーはグラフィックデザイナ だき,正しい英語の表現方法を教えて頂きました. ーの父親と母親,その息子さんの三人家族でした. オーラルコミュニケーションもネイティブの先生 一人でホームスティすることが決まっていたため非 が授業を担当し,オーラルでは正しい発音やイント 常に不安ではありましたが,ファミリーが良く気遣 ネーションを重視した授業を受け,二週目は自分の ってゆっくり英語を話してくださったため,片言で 作った英語でのプレゼンテーションを発表練習およ したがなんとかコミュニケーションをとる事が出 び修正しました. お昼休みは徒歩 15 分程度のカリフォルニア大学 来,少し安心しました. 食事に関しては多くの日本人がアメリカは大食の の学生も利用するカフェでバイキング形式の昼食を 国であると先入観を持っていると思われますが,カ 採りました.置いている食べ物はホストファミリー リフォルニア州は健康志向になっており,家での食 との食事と異なり,アメリカ式の高カロリーな料理 ― S-21 ― が多く並んでいました.サラダやスープなどもある 理できるマイクロチップを製造しています.電気機 ので好みに合わせて食事内容を変える事が出来まし 器は待機電力を消費している為,社のチップ及びソ た. フトウェアで待機電力をカットするシステムを作り 積極的に手を上げて意見や解答を伝える授業スタ イルなので,最初の内は皆戸惑うことが多く,加え ます.すなわち環境負荷を減らし,かつ企業の支出 を減らせるビジネスがなりたっています. てネイティブの先生なので英語も聞き取る事が難し 最後の四社目は California Public Utilities Commis- かったように思えます.初日は内容が掴めずに何度 sion(CPUC)という州の行政機関へ訪問しました. も聞き返しましたし,昼休みに入った時に頭が痛く カリフォルニア州にある様々な企業がコスト削減と なりました.日本の授業風景とは全く違う文化であ 雇用促進を行えるプランを立て,プランのチェック ることを意識しましたが,全体を通して非常に楽し 及び修正を行っている機関です.カリフォルニア州 く授業を受ける事ができました. での環境対策や環境ビジネスがどのように展開され ているのかについて政府視点から知る事ができまし 4.企業訪問 た. 水曜日はバスを利用して,カリフォルニア州サン フランシスコにある企業や政府機関は,環境に対し 5.終わりに てどのような考えや取り組みを行っているのかを学 私は RUBeC 演習を是非学生に受けて欲しいと感 びました.一社目はサンフランシスコ Fire depart- じました.日本に居るだけでは経験する事ができな ment と言い,日本で言うところの消防署に近い市 い外国での暮らしや文化,考え方などを実際に学ぶ の機関です.サンフランシスコでリサイクルやゴミ 事ができる大切な機会だと思います.もちろん英語 の減量,市の歴史や今後の展開についてと市の消防 だけの生活になるため,英語が話せず,生半可な覚 対策がどのように行われているのかなど,環境対策 悟では三日で帰りたくなると思います.しかしなが を中心に伺いました. ら,英語が通じた時の喜びは変えがたく,必ず素晴 二社目の Clean technology は環境技術を持つ企業 らしい経験になります.私も RUBeC 演習に参加す などを対象にコンサルティング,情報マネージメン るまでは不安が多かったのですが,現地に行ってか ト,イベント主催を手がけている企業です.環境ビ らは積極的に英語を使おうとし,ホストファミリー ジネス市場や従来の半導体業界の市場との違いを基 と交流ができたときは逆に楽しんでいました.日本 に,今後の展開や環境ビジネスの難しさを企業間の に居ては考えなかった,全く新しい視点を得ること 橋渡しを行うことでビジネスを行うことを学びまし が出来,自身の成長に繋がったと思います.最後 た. に,引率の先生方を始め,私たちを受け入れてくだ 三社目は Teridian semiconductor で,この会社で は各家庭や情報センターなどの電力供給を調査・管 さったホストファミリーの方々,そして現地の先生 方に深く感謝しています. ― S-22 ―
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