1. 一般概要

建築構造計算の演習
1.一般概要
1. 一般概要
1.1. 建物概要
1.1.1. 建築場所
千葉県某所とする。
1.1.2. 建築概要
建物規模
階
2
1
計
床面積(m2)
702
702
1404
その他:最高部高さ
用途
事務所
事務所
8.25m,軒高
7.80m
仕上げ概要
屋根
床
天井
壁
建具
露出アスファルト防水
プラスチックタイル
吸音板
乾式壁
アルミサッシ
図 1-1
平面図
1-1
構造種別
RC
RC
建築構造計算の演習
1.一般概要
図 1-2
断面図
仮定断面:大梁 X 方向 300mm×600mm,Y 方向
小梁 250mm×500mm
柱
550mm×550mm
床スラブ t = 150mm
1.2
1.2.1
350mm×700mm,300mm×600mm
設計方針
準拠法令・基準等
① 建築基準法・同施行令および関連告示
② 日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説(1999 年版 ―許容応力度設
計法―)」(RC 基準)
③ 日本建築学会「鉄筋コンクリート計算資料集」
(RC 資料集)
④ 参考図書:日本建築学会 関東支部「鉄筋コンクリート構造の設計 学びやすい構造
設計」
1.2.2
電算機・プログラム
応力解析時のみ使用する。
1.2.3
応力解析
鉛直荷重時,水平荷重時ともに剛性マトリクス法(電算機)で求める。
1-2
建築構造計算の演習
1.一般概要
1.3
1.3.1
使用材料と許容応力度
鉄筋の種類と許容応力度
使用鉄筋:SD345(D16 以上)
SD295(D13 以下)
SD345
SD295
1.3.2
表 1-1 鉄筋の許容応力度(単位:N/mm2)
長期許容応力度
短期許容応力度
圧縮
引張
せん断
圧縮
引張
せん断
215
215
195
345
345
345
215
215
195
295
295
295
コンクリートの種類と許容応力度
使用コンクリート:普通コンクリート
表 1-2
普通コンクリート
設計基準強度
24N/mm2
コンクリートの許容応力度(単位:N/mm2)
長期許容応力度
短期許容応力度
付着
付着
圧縮 せん断
圧縮 せん断
上端 その他
上端 その他
8
0.74
0.8
1.0
16
1.11
1.2
1.5
1.3.3
許容地耐力
種類:直接基礎(堅いローム層,GL-1.2m)
許容地耐力:長期 100kN/m2,短期 200kN/m2
地質調査資料:なし
1.4
1.4.1
構造計画
架構形式
X 方向:純フレーム構造,Y 方向:純フレーム構造
1.4.2
剛床仮定
成立するものと仮定する。
1.4.3
基礎梁
基礎梁を有する。
注:本演習では基礎は固定として扱い,基礎梁と基礎の設計は省略する。
1.4.4
スラブの剛性
大梁への寄与を略算的に考慮
(両側スラブ:φ = 2.0,片側スラブ:φ = 1.5,ここで,φ :スラブによる断面2次モー
メントの割り増し率)
1-3
建築構造計算の演習
1.一般概要
1.5
略伏図,略軸組図
本演習では,X2 通り(Y 方向内側構面)のみを取り出して構造計算を行い,大梁と柱
の断面算定のみ行う。地下部分は検討対象とはしない(基礎は固定として扱う)
。
G5
C1
G6
C3
G1
G2
C4
G7
G4
C4
G8
C4
C2
G6
C3
6500
X1
X2
C4
G8
G4
G6
G6
図 1-3
G4
C2
G8
C4
Y3
G2
3600
Y2
B
G3
G1
G6
C3
6500
X5
C1
6500
X6
X7
各階略伏図
X2 通り略軸組図
注:大梁のサイズ:
X 方向 G5~G8: 300mm×600mm
Y 方向 G1,G3: 350mm×700mm,G2,G4:300mm×600mm
1-4
7200
C2
G6
6500
X4
図 1-4
G8
C3
6500
X3
C4
G3
C3
G1
G8
B
G3
C3
6500
G8
B
G3
G3
C4
B
G3
G5
G8
G4
C4
B
G1
C4
C4
B
C1
G4
B
G3
G8
Y4
C1
B
G3
G8
G6
C3
B
G3
G8
G6
C3
B
G3
G7
G6
C3
B
B
C2
G6
C3
7200
Y1
建築構造計算の演習
1.一般概要
注)構造階高の決め方
梁RG4
D = 600mm
梁RG3
D = 700mm
350
350
2階の階高
= 3500mm
梁2G4
D = 600mm
梁2G3
D = 700mm
2階の構造階高
= 3500mm
350
700/2 = 350
275
275
1階の階高
= 4000mm
275
550/2 = 275
1階の構造階高
= 3650mm
G.L.
Y3
Y4
なお,実際の建物において,1 階の構造階高は,基礎梁の図心軸から2階梁の図心軸ま
での長さとなる.しかし,本演習では単純化のため,1 階床から 2 階梁の図心軸までの
長さとする.加えて厳密には,梁 G3 と梁 G4 では梁せいが違うので,梁 G3 と梁 G4 で図
心軸がずれることとなる.しかし,本演習ではその影響は小さいものとして無視する.
1-5
建築構造計算の演習
2.荷重・外力の仮定
2. 荷重・外力の仮定
固定荷重(D.L.)
表 2-1
建築物の部分
屋上
2階床
固定荷重
名称
アスファルト防水
均しモルタル
RC スラブ
天井吸音板
固定荷重(1)
10mm
20mm
150mm
プラスチックタイル
RC スラブ
150mm
天井吸音板
15
20
24
150
24
間仕切壁
外壁
アルミサッシと外壁(ALC パネル)の平均重量を
用いる
パラペット
仕上げ20mm
アスファルト防水
10mm
w(N/m2)
150
400
3600
1500
4300
N/m2
590
3600
150
4340
↓
4400
N/m2
200
N/m2
500
N/m2
4800
N/m2
150mm
190mm
柱
550 x 550
仕上げ
20mm
24 x 103
(N/m3)
0.59m
2.1
0.59m
2-1
8350
N/m
建築構造計算の演習
2.荷重・外力の仮定
表 2-2
建築物の
部分
固定荷重(2)
固定荷重
名称
梁荷重
大梁:
350 x 700
300 x 600
小梁:
250 x 500
w(N/m2)
150
550
700
350
24 x 103
(N/m3)
大梁: 0.35m x (0.7m – 0.15m)
0.30m x (0.6m – 0.15m)
小梁: 0.25m x (0.5m – 0.15m)
梁荷重
2.2
4620 × 7.2 ×14 + 3240 × ( 6.5 × 24 + 3.6 × 7 ) + 2100 × 6.5 ×12
= 1733
702
積載荷重(L.L.)
表 2-3
床スラブ用
屋上
2階床
2.3
4620N/m
3240N/m
2100N/m
1730
N/m2
積載荷重(単位 N/m2)
梁・柱・基礎用
900
2900
地震力用
650
1800
300
800
床荷重一覧
表 2-4
屋上
2階床
床スラブ
梁・柱・基礎用
地震力用
床スラブ
梁・柱・基礎用
地震力用
床荷重一覧(単位 N/m2)
D.L.
床荷重
梁荷重
4300
0
4300
1730
4300
1730
4400 + 200
0
4400 + 200
1730
4400 + 200
1730
L.L.
900
650
300
2900
1800
800
2.4
積雪荷重・風圧力
本計算では検討を省略
2.5
地震力
地域係数:Z = 1.0
地盤種別:第2種地盤
標準せん断力係数:C0 = 0.2(許容応力度設計),1.0(保有水平耐力)
2.6
特殊荷重並びにその他
なし
土圧・水圧
2-2
T.L.
5200
6680
6330
7500
8130
7130
建築構造計算の演習
3.準備計算
3. 準備計算
※ 以下では,X2構面のみを取り出して構造計算を行う。
3.1.
柱軸方向力の算定
柱軸方向力の算定は,床の負担面積をスパンの 1/2 まで,柱はその階高の 1/2 までとして
計算する。基礎算定用の軸方向力は,柱脚までの総柱軸力として計算する。
なお,外壁(アルミサッシ+ALCパネル)の重量は,その階の梁より柱に伝達するも
のとする。
対称軸
1800
Y2
C4
3600
柱C4の支配面積
7200
3600
柱C3の支配面積
Y1
C3
3250
3250
図 3-1
柱の支配面積
演習:柱 C3,C4 の軸方向力を算定せよ(2 階柱の算定結果を参考に 1 階柱の軸方向力を算
定のこと)。
3-1
建築構造計算の演習
3.準備計算
表 3-1
階
2
名称
屋根
柱
パラペット
単位重量
(N/m2),(N/m)
6680
8350
4800
柱 C3 の軸力計算表
w
面積・長さ
2
(kN)
(m ), (m)
6.5 x 3.6
156.3
3.5/2 = 1.75
14.6
6.5
31.2
Wj
(kN)
軸方向力N
(kN)
202.1
(8.6)
202.1
注)
1
床
柱
外壁
8130
8350
500
6.5 x 3.6
(3.5+3.65)/2=3.575
5.95 x 2.8
注)
(
)
8350
3.65/2 = 1.825
柱
500
5.95 x 2.8
外壁
注)()内の数値は単位面積あたりの重量
F
表 3-2
階
2
名称
屋根
柱
単位重量
(N/m2),(N/m)
6680
8350
柱 C4 の軸力計算表
w
面積・長さ
2
(kN)
(m ), (m)
6.5 x 5.4
234.5
3.5/2 = 1.75
14.6
Wj
(kN)
軸方向力N
(kN)
249.1
(7.1)
249.1
注)
1
床
柱
8130
8350
6.5 x 5.4
(3.5+3.65)/2=3.575
注)
(
F
8350
柱
注)()内の数値は単位面積あたりの重量
1.85
3-2
)
建築構造計算の演習
3.準備計算
3.2.
鉛直荷重時の C, M0, Q0 の算定
演習:以下の手順に従い,大梁 G3,G4 の C, M0, Q0 を算定せよ。
Y3
1800
対称軸
1800
大梁G4
Y2
C4
3600
7200
3600
大梁G3
Y1
C3
6500/2
6500/2
図 3-2
各梁の荷重状態
5 ⎞ 3
λ 3
⎛λ
C = 2⎜ +
⎟ wlx , M 0 = wlx
2
⎝ 8 192 ⎠
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ + ⎟ wlx 2
⎝ 4 8⎠
⎛ λ2 1
1 ⎞ 3
C = 2⎜ − +
⎟ wl
24
48
192
λ⎠ x
⎝
1 ⎞
⎛λ
M 0 = 2 ⎜ + ⎟ wlx 3
⎝ 16 48 ⎠
λ = l y lx
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 2
⎝ 4 8⎠
λ = l y lx
図 3-3
大梁の C, M0, Q0 の算定公式
3-3
建築構造計算の演習
3.準備計算
大梁 G3:λ = ly / lx = 6.5 / 3.6 =
であるから,
5 ⎞ 3
⎛λ
C = 2⎜ +
⎟ wlx
⎝ 8 192 ⎠
M0 =
λ
2
wlx 3
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ + ⎟ wlx 2
⎝ 4 8⎠
より,
5 ⎞
⎛λ
2⎜ +
⎟=
⎝ 8 192 ⎠
λ
2
=
⎛λ 1⎞
2⎜ + ⎟ =
⎝ 4 8⎠
R 階梁:w = 6.68kN/m2,lx = 3.6m であるので,
5 ⎞ 3
⎛λ
C = 2⎜ +
⎟ wlx =
⎝ 8 192 ⎠
M0 =
λ
2
wlx 3 =
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ + ⎟ wlx 2 =
⎝ 4 8⎠
2 階梁:w = 8.13kN/m2,lx = 3.6m であるので,
5 ⎞ 3
⎛λ
C = 2⎜ +
⎟ wlx =
⎝ 8 192 ⎠
M0 =
λ
2
wlx 3 =
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ + ⎟ wlx 2 =
⎝ 4 8⎠
3-4
(3.1)
(3.2)
(3.3)
建築構造計算の演習
3.準備計算
大梁 G4:λ = ly / lx = 1 であるから(ly / lx <1 のとき,λ = 1 とする),
⎛ λ2 1
1 ⎞ 3
C = 2⎜ − +
⎟ wlx
⎝ 24 48 192λ ⎠
(3.4)
⎛λ 1 ⎞
M 0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 3
⎝ 16 48 ⎠
(3.5)
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 2
⎝ 4 8⎠
(3.6)
より,
⎛ λ2 1
1 ⎞
2⎜ − +
⎟=
⎝ 24 48 192λ ⎠
⎛λ 1 ⎞
2⎜ − ⎟ =
⎝ 16 48 ⎠
⎛λ 1⎞
2⎜ − ⎟ =
⎝ 4 8⎠
R 階梁:w = 6.68kN/m2,lx = 3.6m であるので,
⎛ λ2 1
1 ⎞ 3
C = 2⎜ − +
⎟ wlx =
⎝ 24 48 192λ ⎠
⎛λ 1 ⎞
M 0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 3 =
⎝ 16 48 ⎠
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 2 =
⎝ 4 8⎠
2 階梁:w = 8.13kN/m2,lx = 3.6m であるので,
⎛ λ2 1
1 ⎞ 3
C = 2⎜ − +
⎟ wlx =
⎝ 24 48 192λ ⎠
⎛λ 1 ⎞
M 0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 3 =
⎝ 16 48 ⎠
⎛λ 1⎞
Q0 = 2 ⎜ − ⎟ wlx 2 =
⎝ 4 8⎠
3-5
建築構造計算の演習
3.準備計算
表 3-3
荷重
状態
梁の C, M0, Q0 の算定結果
C
M0 (kNm)
(kNm)
Q0 (kN)
RG3
2G3
RG4
2G4
地震力の算定
3.3.
建築基準法施行例第 82 条および建設省告示第 1793 号によって次のように算定する。
i 層の地震時層せん断力 Qi:
N
Qi = Ci ∑W j
j =i
ここで,Wj:j 階の重量,Ci:i 層の地震時層せん断力係数
3.3.1
建物重量(地震時)の算定
※ 本演習では,図 3-4 に示す対象エリアについて地震時建物重量を算定する。
図 3-4
地震時建物重量の算定における対象エリア
3-6
(3.7)
建築構造計算の演習
3.準備計算
演習:下の表に沿って,地震時建物重量を算定せよ。
階
2
名称
屋根
柱
パラペット
表 3-4 地震時建物重量の算定
w
単位重量
面積・長さ
(kN)
(m2), (m)
(N/m2),(N/m)
6330
6.5m x 18m
8350
1.75m x 4 本
4800
2 x 6.5m
注)
)
注)
)
(
1
床
柱
外壁
7130
8350
500
ΣWj
(kN)
Wj
(kN)
6.5m x 18m
3.525m x 4 本
2 x 5.95m x 2.8m
(
注)()内の数値は単位面積あたりの重量
3.3.2
地震層せん断力の算定
演習:下記に沿って,地震層せん断力を算定せよ。
i 層の地震時層せん断力係数 Ci:
Ci = Z ⋅ Rt ⋅ Ai ⋅ C0
(3.8)
ここで,
Z:地域係数(= 1.0 とする),Rt:振動特性係数,Ai:地震層せん断力の分布係数
C0:標準せん断力係数
より,
建物高さ h = 7.8m
設計用 1 次固有周期 T:鉄筋コンクリート造のため,T = 0.02h で算定する。
T = 0.02 x 7.8m = 0.156s
地域係数:Z = 1.0
振動特性係数 Rt:
支持地盤は第 2 種地盤とする。TC = 0.6s
∴T < TC より Rt = 1.0
Ai の計算:
⎛ 1
⎞ 2T
− αi ⎟ ⋅
Ai = 1 + ⎜
⎜ α
⎟ 1 + 3T
⎝ i
⎠
3-7
(3.9)
建築構造計算の演習
3.準備計算
ここで,αi = (i 階より上部の重量)/(建物の総重量)
2T
2 × 0.156
=
=
1 + 3T 1 + 3 × 0.156
標準せん断力係数:C0 = 0.2(許容応力度設計),1.0(保有水平耐力検討用)
階
ΣWi
(kN)
Wi
(kN)
表 3-5 地震時せん断力の算定
Ci
Ai
許容応力 保有水平
αi
度設計
耐力
Qi (kN)
許容応力 保有水平
度設計
耐力
2
1
3.4.
部材断面諸元
演習:下記に沿って,各部材の断面積,断面 2 次モーメントを算定せよ。
※ 2階大梁とR階大梁は両側スラブ付であるので,断面 2 次モーメントの割り増し係数φの
値は 2.0 とする。
表 3-6
RG3,2G3
RG4,2G4
2C3~1C3,2C4~1C4
大梁および柱の断面積・断面 2 次モーメントの算定
I0
b
D
A
φ
(mm)
(mm)
(x103mm2) (x109mm4)
350
700
2.0
300
600
2.0
550
550
1.0
注)矩形断面の断面積 A = bD ,断面2次モーメント I 0 = bD3 12
3-8
φ I0
(x109mm4)