在宅雇用における遠隔(在宅社員間)OJTの仕組み 青木 英(クオールアシスト株式会社 1 取締役/在宅事業部 部長) 性に任せている。それでも十分に緊張感と責任 はじめに もって業務に従事できている。「サボリ」もほと クオールアシスト株式会社(以下「アシスト 」 んど発生していない。この実現のために採用説明 という。)は、クオール株式会社(保険調剤薬局 会から自己管理について徹底して説明し、さらに の経営)が行っていた障害者雇用をより促進する 就職してからも「報告・連絡・相談」を徹底する ために2009年2月設立、同年3月に特例子会社に ことで、業務上の問題やストレス、体調変化、業 認可された。 務進捗、ご家族の様子などを会社が早い段階で察 知できている。 2 会社概要 業務は全国にある調剤薬局で勤務する社員の勤 重要なのは、在宅社員と会社との信頼関係であ り、これなしに在宅雇用は進められない。 務シフトデータの入力を主幹業務とし、その他に Web制作グループ(グループ各社及び外部の (2)コミュニケーションが図れない ホームページを制作管理)、イラストデザイング 社員全員が自宅にいるため、会社と社員間及び ループ(グループ内の販促チラシやポスターの製 社員同士のコミュニケーションが取りづらく、直 作)、データ入力グループ(主に調査・アンケー 接対面する機会も限られているためお互いを知る ト集計・マニュアル作成および管理)の3つのグ ことは難しい。しかし、IT技術を使ってこれも ループが個々の業務を行っている。 克服することが可能である。 雇用している障害者は重度身体障害者20名、精 アシストでは2つのツールを使用。一つはク 神障害者(てんかん)1名の合計21名で、全員が オールが使用している社内専用ツールで、主に個 在宅で勤務している。重度身体障害者の内訳は、 脊髄頚髄損傷系6名、病気による肢体不自由9名、 その他内部疾患者が6名で、車いす利用者は16名 ている。このシステムはVPN接続を利用してお り、会社貸与の専用PCを使用することで情報漏れ である。内部疾患含め、また、先天性障害が3名 を防ぐ。もう一つが、ワークウェルコミュニケー で 後 天 性 障 害 が 1 8名 で 、 そ の 中 に は 進 行 性 疾 患 タ(以下「WWC(※)」という。)の利用であ も含まれている。 る。これは障害者在宅雇用の先駆者である、株式 全員がいわゆる通勤困難者であり、中には病 気 会社沖ワークウェルが開発したシステムで、バー 等の進行や人工透析により就業時間確保が難しく チャルオフィスを体感できるWeb会議システム なったため通勤業務を断念した者もいる。 である。特徴は画像を使わずに会話だけでコミュ 在宅社員の居住地域は2012年9月現在、北海道 ニケーションを図り、また複数の会議を同時に進 1名、埼玉県7名、東京都8名、神奈川県2名、 行できる点にある。この利用法については後述の 静岡県1名、宮崎県2名となっている。 3 人情報に関わる業務や薬局とのやり取りに使用し 遠隔OJTで述べることにする。 在宅雇用における課題 (3)情報管理が難しい (1)雇用管理が難しい 在宅雇用を難しくしている最大要因と言える。 在宅雇用では社員がオフィス内にいないため雇 これはITシステムの導入とそれを利用する社員 用管理が難しくなる。それが、「就業時間管理」 教育によるところが大きい。 「体調管理」「業務進捗管理」である。特に管理 現在起きている情報漏洩事件のほとんどが通勤 者は、就業時間内にきちんと仕事をしているのか 業務で発生している。例えば、外出時のPCやU 不安になるようだ。 SBの紛失、会社から自宅に持ち帰った情報が情 アシストでは、これらの多くを在宅社員の自主 -75- 報共有ソフトによって拡散など、情報を持ち歩く、 実績から作成した各種マニュアルの読み込みを徹 もしくは会社から持ち出せるという条件下で発生 底させ、いずれ始まる「遠隔OJT」に備えるよ している。こういった事件事故を逆手に取り、ど うに指導している。詳細な説明を行わないのは、 ういった時に情報が漏れてしまうのか、また情報 たくさんの疑問や質問をさせるためである。これ が漏れた場合にどういうことが会社や本人に起き は「遠隔OJT」で色々なスキルを伸ばしていく てしまうのかを徹底して指導する。 のに重要なポイントとなっていく。 同時に会社側は、業務に必要な最低限の情報を 在宅社員に提供し、その取扱いについて説明する。 (2)遠隔研修 つまり、限定した情報しか入ってこない環境下で 遠隔OJTで指導を行うのは「先輩社員」であ は情報漏洩が起きにくいということである。 る。管理者はその進捗状況をメールのやり取りや いくら素晴らしいシステムを導入しても、社員 先輩社員からの報告などで把握するだけである。 のモラルによって情報漏洩は起きる。社員個人の もちろん先輩社員での対応が難しい場合などは、 モラルを信用し、会社側からの適切な情報提供と 管理者が直接指導を行うが、その時も直接訪問せ 指導によって情報漏洩を防ぐことが重要である。 ずに遠隔で指導を行う。在宅雇用に早く慣れても らうためには、今ある環境で出来るだけのことを (4)研修の難しさ する習慣を身に付けてもらわなければならない。 通常研修は集合・個人を問わず対面で行うが在 そのためにあえて訪問をしないようにしている。 宅雇用ではどうやって行うのか? 以下、遠隔OJTについて詳述する。 アシストの入居している建物は車いすに対応し ていないため、研修だけでなく面接も会社内で行 5 うことが難しい。そのため面接は最寄りのハロー (1)使用するツール 遠隔OJTについて ワークなどで行い、研修は社員の自宅で行うよう 使用しているツールは下記の通りである。 にしている。 ・WWC 在宅社員の自宅で行う研修には2つの方法があ ・社内専用ツール(主にメール) る。一つは直接訪問研修をする方法、もう一つが ・各種マニュアル 遠隔で研修をする方法である。 このマニュアルは在宅社員が共同で作成したも 今回の研究発表会では、この遠隔で行うOJ T のである。作成時の指示は「中途半端な内容で作 について、今年の春に行った複数の研修事例から 成すること」。これにより生ずる疑問や質問をど 遠隔OJTがどうして成功したのかを検証し、そ うやって解決するかのプロセスを考えてもらう。 れを発表することで在宅雇用の推進に微力ながら 在宅雇用では、できるだけ「自己解決」を図っ お役に立てればと考えている。 てもらう必要がある。自己解決を図るには、ただ 質問をするだけではダメである。必要なのは「正 4 在宅雇用におけるOJT 解でなくても自分の考えを添える」である。また 直接訪問と遠隔による研修方法の内容は下記の その質問をする際、相手に伝わるようメール文章 通りである。 を作成させる。解決のためには質問力・メール文 (1)直接訪問研修 章力を磨く必要があり、それはそのままコミュニ この研修は「導入研修」で行っている。指導者 ケーション能力の向上に直結する。解決を得たけ はアシスト本社の管理者である。 れば自分なりの考えを提示し、それが不正解で 導入研修では、専用PCを持ち込み、WWCの あっても修正で済む。ゼロから教えるよりもはる 導入、社内専用ツールのセッティング、各種マ かに効率が良い。例えば、「この部分が分からな ニュアルの使用方法、在宅社員心得などの研修を いので教えてほしい」ではなく「自分はこう考え 行うが、システムの使用注意点などを除いて、詳 ているのだが…」と質問に含むのだ。そこで得ら 細な説明は行っていない。それよりもこれまでの れた回答を「中途半端なマニュアル」に加えて -76- 「完成マニュアル」を作り上げ、今後の業務に使 5 用していけばいいのである。 遠隔OJTを行った効果 今回のアシストで行った遠隔OJTは7組が同 この能力を身に付けるのにはそれなりの時間 が 時進行で行う、過去にない大きな事例となった。 かかるため、指導する側とされる側の両方に根気 そこで実際にOJTを行った師弟の意見をまとめ が必要になってくる。そのため双方の相性も重要 てみたい。 である。 (1)弟子側の意見 ①遠隔OJTについてどのように考えていたか? (2)師匠と弟子の組み合わせ ・メールとWWCだけでの研修に不安があった アシストではOJTの指導者を「師匠」、受 け ・対面以外での経験がないので不安があった る側を「弟子」呼んでいる。そしてその組み合わ ・どういったステップを踏んでいくのか想像つ せは「弟子のキャラクターから師匠を選ぶ」方法 かなかった をとっている。 ②遠隔OJTによって会社との距離を感じたか? 選ぶ視点は、互いの趣味や過去の経験などを重 ・自分で課題を見つけたので感じなかった 視し、雑談から生まれるコミュニケーションを発 ③各種マニュアルについて 展させていけるように配慮している。これにより ・内容に物足りなさを感じたが、マニュアルの 比較的早い段階でお互いにコミュニケーションが 意図が分かってホッとした 図れるようになり、業務指導の進捗もスムーズに ④遠隔OJTへの違和感は? なっていく。またいきなり集団に馴染ませていく ・特に感じていない。 よりも、ごく少数のコミュニケーションを図った ・対面や映像にこだわらなくても会話とメール 方が集団への移行もしやすくなる。こういった点 で研修ができることが実感できた から、師弟の組み合わせは大変重要である。面接 ・これまでのコミュニケーションについての考 時からこういったイメージを持っていけるように え方よりも深いものを感じた なれば理想的である。 ⑤今後の課題について ・師匠と1対1では難しい場面もあるかも… (3)師弟間で行っている内容 ・別のマニュアルの用意が必要 師弟間で行っている指導内容は決まっているが、 指導方法は特に決めておらず、師匠に任せている。 (2)師匠側の意見 同時に複数のOJTが行っている状況で画一的に ①初めてやる師匠として気を付けたこと プログラムを組んでも、個々の障害による稼働域 ・迅速なメール返信の心掛け 等の物理的な問題から業務習得ペースに差異が生 ・障害に応じた対応(休憩を促すなど) じてしまう。師匠にはその問題を前もって認識し ・疑問に思ったことをすぐに質問させる てもらうため、弟子の障害特性等を伝えてあり、 ・一緒に業務を行っているという感覚を持つ 弟子がオーバーワークにならないように指導をお ・自分が積極的に手本を見せていく 願いしている。もちろん会社側は師匠からの指導 ②実際にあった問題点 方法や進捗に対する不安などを解消するための窓 ・ビジネス文章の書き方に問題があった 口を用意している。実際にやってみた結果では、 ・自分の行った業務への過度な不安をもつ 業務習得までの時期的な差異は多少あったが業務 ・教えるだけでは覚えていかないこともあるの 把握のレベルに差は生じていなかった。 で、問題を作って気付かせる工夫が必要 その他、師弟間では毎日業務報告書のやり取り ③遠隔OJTで気を付けたこと をしており、業務上の問題点や考えていることを ・弟子の個性を早くつかむ 文章でも伝えて解決を図るようにしている。この ・師匠から積極的にコミュニケーションを図る 報告書のやり取りは管理者も見ており、状況に応 ・顔色を窺えないためメール文章や会話から個 じて個々にアドバイスをしている。 性をつかむ努力をする -77- ・弟子がいつでもアクションを起こしてもいい 6 ように準備が必要 まとめ 管理者側から積極的に関わらない初めてのOJ ・体調管理の重要性を必要以上に行う Tで不安はあったが、先輩社員たちの想像以上の ④遠隔OJTの師匠に必要なこと 能力の高さに驚かされ、新人たちの予想以上の順 ・体力が必要。相手に注意する以上に自分の体 応性にも驚かされた。 調管理を行う必要がある 通勤が難しい彼らにとって在宅雇用はある意味 ・ストレス耐性は必要。考える癖を身に付ける 最後の就労チャンスだ。社員の中には「働けない までは忍耐が必要 と思っていた自分が給料をもらえるのが不思議」 ・聞き役に徹することが必要 と話す者も複数いる。このように能力のある通勤 ・自分も一緒に学んでいこうという姿勢 困難な重度障害者に雇用機会を提供していくため にも在宅雇用の普及は早急に必要である。 (3)各ツールの効果 そのためにまず雇用する側に必要なことは、 ①WWC ・通勤業務の考え方を一度捨ててみる ・声で疲労を察知できるので体調管理にも有効 ・在宅では「難しい」ことを考えるのではなく、 ・メールだけでなく会話があることで孤独感を 在宅で「出来る」ことを考える 感じなかった ・自分が在宅で仕事することを想像し、会社に ・通信費用を気にせず仕事も雑談もできたので してもらいたいことを考える コミュニケーション構築に役立った ・色々な仕事を任せる勇気を持ち、その責任を ・チャット機能を使って文字でも伝えることが 管理者が負う覚悟が必要 できるのは便利 ・在宅と会社を結びつけるための管理者の育成 ・メールにおけるタイムラグがない などである。 ②各種マニュアル これはアシストが設立当初から考えてきたこ と ・マニュアルに付けくわえるべき内容があった である。 ・会話だけでは難しいこともマニュアルを並行 いざ実践してみるとソフトウェア技術の習得も 利用することで十分価値がある 早いし、生産能力も高い。考える癖を身に付けた ・完成されたマニュアルよりも自分で作らせる 者はどういう立場の者でも間違いなく強い。一度 意味では中途半端なものでもいいと思う しっかりと信頼関係を結べれば、そう簡単に関係 が崩れることもない。 (4)遠隔OJTの効果について アシストの在宅社員からも、在宅雇用で重度 障 遠隔OJTを行って弟子たちは全員ひとり立ち 害者の雇用を創出してほしいとの声が上がってい ちしており、特に大きなトラブルも発生していな る。 いことから成功したと言える。 どこまでお役に立っているか分からないが、 一 今回の結果から言えることは、やはり人間同士 つの雇用方法として当社の遠隔OJTを参考にし のやりとりなので互いの人間性が一番重要という て頂ければ幸いである。また今回は遠隔OJTに ことではないかと感じている。マニュアルやシス スポットを当てているが、雇用管理などの疑問等 テムをいくら充実させても、それを利用する者が にもいつか機会を得てお話できればと考えている。 その意図を感じ取れなければ何の意味も持たない。 今後の少しずつでも重度障害者の在宅雇用が発展 しかしやり方として難しく、どちらかと言えば不 していくことを期待したい。 便な遠隔OJTによって、ただ受身の研修ではな く、師弟の両方が積極的に関わってコミュニケー ※ ションを構築していくことで、対面研修とはまた WWC=ワークウェルコミュニケータは、株 式 会 社 沖 ワークウェルの登 録商 標です。 違った収穫があるのではないかと実感している。 -78- 在宅就労訓練の取り組み紹介 ○山口 和彦(かがわ総合リハビリテーション成人支援施設 就労移行支援事業 大野 香織・篠原 智代(かがわ総合リハビリテーション福祉センター) 1 職業指導員) ラックボードを使用したが身体の状況変化から現 はじめに かがわ総合リハビリテーション成人支援施設・ 在は上半身を約45度起こしたファーラー位で、右 就労移行支援事業は障害者自立支援法のもと、平 手側になんでもスイッチボックス・マイクロス 成19年5月、一般就労・復職を目指す障がい者を イッチ、左手側にワンキーマウス・マイクロス 対象に就労訓練(定員24名)を開始した。障害種 イッチを使用する。 別としては、身体・知的・精神・発達障がいであ 3 り、高次脳機能障害・精神障害・発達障害の比率 機器説明 が7割程度である。出身地は香川県内の方がほと トラックパッド機器は、ノートPC上にてマウ んどであるが、入所施設を併設しているので、若 スを操作する際に使用する手前側に位置する箇所 干、近県の方がいる。重度身体障がい者の在宅就 と類似する機器である。 労(雇用関係がなく請負契約で働く形態)、在宅雇 用(企業に雇用され在宅で勤務する形態)に向けた 在宅就労訓練を、平成23年3月より開始した。訓 練生宅のパソコンと当事業訓練室のパソコンをイ ンターネット接続して指導・支援をする。訓練内 容 は ポ ス タ ー ・ チ ラ シ 作 成 等 を 目 的 と し た DTP訓 練とWeb作成訓練。現在の訓練生はWeb作成訓練を 受講している。今回はこの在宅就労訓練の取り組 みを紹介する(準備物として、①WinPC、②Webカ トラックパッド メラ、マイク③インターネット契約が必要。イン ス ト ー ル ソ フ ト は ① Skype、 ② デ ザ イ ン 作 成 ソ フ なんでもスイッチボックスのボタンには操作頻 ト が 必 要 と な る 。 施 設 側 は Adobe 社 の 度が高い操作を記憶することができ、①一つ前の Illustrator・Photoshop を使用。)。 動作に戻る操作と、②マウスの右クリック操作を 2 記憶させている。 事例紹介 デュシェンヌ型進行性筋ジストロフィー罹患 の 2名が現在訓練中。H氏:高松市在住の男性35才。 大学卒業後、1年間就職活動を続けたが、症状の 進行のため就職を断念、障がい者団体の活動に参 加しながら26才時に人工呼吸器を使用開始。28才 から在宅就業を目指して独学で学習を始める。訓 練中の姿勢は仰臥位または座位。パソコン操作は 右手親指でトラックパッド機器を操作し、スク なんでもスイッチボックス・マイクロスイッチ リーンキーボードを使って入力している。 Y氏:小豆島在住の男性28才。13才から人工 呼 吸器を使用開始。地元の高校を卒業後、26才で放 ワンキーマウスのボタンは画面上の矢印カーソ 送大学を卒業。在宅就業に向けて独学で学習を開 ルを操作、決定することを目的とし、スイッチを 始する。訓練開始当初は座位姿勢、操作機器はト 押す度に時計回りに90度方向転換し移動、長押し -79- により決定操作を行う。 5 訓練の流れ I D 認 証 し イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 し た 後 、 Skype で映像・音声の接続。タイムカードの代替となる 当施設サーバー内の出欠表に入力更新をし、朝 礼・予定報告・結果報告と進める。訓練中分から ない時には随時音声で職員を呼び出すことにして いる。全体学習会や発表会の視聴、夕礼に参加し 反省や短期目標等を報告する。最後にメールで日 報・成果物等の添付送信後終了となる。メールは 在宅就労をする上で仕事の受発注の基盤となるた ワンキーマウス・マイクロスイッチ め、大切にしている。利用は介護を受けている時 福祉センターとの協力により、非接触型のイン 間帯を外して週3日、一日2~3時間としている。 ター入力フェースを地域の社会資源等を活用して 現在開発中である。親指の残存機能を利用し、親 指 の 動 作 を WEBカ メ ラ 上 で 捉 え マ ウ ス に 返 す 仕 組 みである。 4 訓練内容 図1は当施設就労訓練の1週間の訓練時間割表 である。通所・在宅訓練生共に同じ時間割で進め ている。Webカメラ、Skypeを使用して朝礼、夕礼、 在宅就労訓練構造図 予定報告、プレゼンテーション発表会等に参加し 6 ている。これは他の訓練生とのコミュニケーショ 実習(在宅) 在宅訓練の流れも実際の仕事を想定して行う。 ンを取りやすくし、自宅にて訓練している訓練生 依頼者との打合せも実際に行い、作成動機や希望 に疎外感がないよう配慮している。 Webページ作成においては、WinPCに最初からイ 内容を聞きとる。訓練生同士が共同で進めるため、 ンストールされているメモ帳アプリケーションを グループミーティングを定期に行う。情報の共有、 用いて、ホームページ作成の基礎となる骨組み 進捗確認及び、仲間意識を養うのが目的である。 (Xhtml&css)の学習をし、作成において必要な ルール、Webアクセシビリティを学ぶ。次にデザ インソフトを使用してWebデザイン作成後、ホー ムページ閲覧までを行う。 図1 図2 時間割表 -80- Webページ検品 表 図 2 は 作 成 し た Webペ ー ジ の チ ェ ッ ク 表 で あ る 。 これはバーチャル工房やまなしの検品チェック表 発 言、協 議して社 会スキル、コミュニケーション力を身 に付 け る。 を参考にしている。実習として行った香川県テニ 発 表 会 :訓 練 生 が期 日 までにプレゼンテーション資 料 を ス協会に属する車いすテニスのホームページは公 作 成して訓 練 生の前にて発 表をする 開予定である。 【福祉センターの在宅就業支援の取り組み】 7 かがわ総合リハビリテーション福祉センターで 進路 ハローワーク・就業生活支援センターと協力し は平成16年度より、重度障がい者等の就業機会を ながら一般企業への就職や就労継続事業所への紹 広げ職業的自立を促進することを目的とした在宅 介となる。当福祉センターでは在宅ワーカー登録 就業支援事業を実施している。平成22年度からは 制度があり、福祉センターから仕事の受注、納品 登録試験による在宅ワーカー登録制度を開始した となる進路もある。 (図3参照)。 登録試験は、グラフィックデザインコースと 8 Webデ ザ イ ン ・ コ ン テ ン ツ 制 作 コ ー ス が あ る 。 合 結果 ① Webア ク セ シ ビ リ テ ィ の 意 識 が 強 ま っ た こ と 否判定後一定の基準に満たなかった場合は、技術 で、高齢者・障がい者の目線設計が広がった。② 習得を目的とし当施設の就労移行訓練を利用する ビジネスメールの質が上がった。③依頼者志向の 例もある。合格者は、在宅ワーカー登録をするこ 作成意識がでてきた。修正依頼を繰り返し行い、 とにより在宅就業支援を利用することができる。 依頼者本位に変化した。④予定報告・夕礼に参加 在宅就業支援では、福祉センターが受注した仕事 することで訓練生と交流を持つことが刺激となり、 を内容に応じて各在宅ワーカーに業務委託し、在 言葉づかい等を意識する等社会性の向上がみられ 宅で仕事をするための支援を行う(図4参照)。 た。⑤実習を通して技術力・職責・マナーを身に その他、職業相談やスキルアップ支援等も行って つけることができた。実際の仕事を経験したこと いる。 で実践力、納期の大切さを学び、共同作業での役 割を自覚できた。また競争意識が技術向上に繋 がった。 9 まとめ 今回重度身体障がい者の在宅訓練を通し、仕事 可能なレベルに達したと考えている。また、当施 設のような支援システムや社会の受け入れがあれ ば、在宅就労・在宅雇用が可能となると思われる。 図3 在宅就業支援事業概要 筋ジストロフィーに限らず、他の難病や頸髄損傷 者等幅広く受講できる可能性がある。通所枠を超 えた就労の可能性を我々は今後も提供・実現して いかなければならない。それには在宅就労した実 績を出すことが求められる。企業には障がい者雇 用率の問題と在宅就労雇用PRを啓発し、増加し つつある在宅就労希望者支援を確立させることを 目的に、今後も継続していくべきと強く考える。 図4 ※注 釈 学 習 会 :グループ毎 に分 かれて、一 つのテーマに対 して -81- 在 宅ワーカーへの業 務 委託の流れ 障害がある人が体験塾を運営し、指導者として働く ○城 哲也(指定障害福祉サービス事業所SAORI hands 就労支援員) 尾崎 望美(株式会社現代手織研究所・元SAORI豊崎長屋スタッフ) 1 して、結論として、この人は素晴らしい才能を 研究の背景と目的 “障害がある人が社会の中で人として当たり 前 持ったまま、しかも驚愕の表現力を持ち続けてい に暮らせるようになる。”これは社会福祉に関係 ることを私たちは知った。“この人たちの才能を しているものにとって、常に頭のどこかにその野 みんなの中で輝かせたい”と障害という枠を取っ 望を抱いて仕事をしているものである。当たり前 払って、みんなで一緒に手織り活動をしてきた。 に暮らすといっても、ただ、お金をたくさん持っ その中で、数多くの障害がある人と出会い、その ている人が幸せであるかといえば、そうとは限ら 作品に驚かされながら、作品作りをしてきた。そ ない。そこに生活していくうえでの充実感という の 間 、 ア メ リ カ の VSA artsの 方 々 と 出 会 い 、 ワ 幸せの尺度を求めている。生活の充実感を考える シ ン ト ン DCに は 3 回 ツ ア ー を 組 ん で 行 き 、 ア メ 上で、必要なこととして、社会に役に立つことが リカのショービジネスの中で活躍する多くの障害 あげられる。社会の役に立っている実感を日々感 者ミュージシャンやダンサーのパフォーマンスに じられる仕事はないか?それを見つけ実践し、経 刺激を受けてきた。もちろん、我がさをり織り 験を重ねていくことが、充実感につながってくる。 アーティストの作品やファッションライブも大絶 しかし、そんな仕事は本当にあるのだろうか?そ 賛をいただいた。 この10年は障害者就労支援にも取り組み、全 国 んな仕事を探してみたい。それが今回の動機であ 各地での作品展やファッションデザイナーとのコ る。 ラボ商品の開発、ダンサーやミュージシャンとの 2 コラボでの創作ダンスやパフォーマンスも実施し 今までの障害福祉の取り組み この数年、障害がある人の環境はがらりと変 わ てきた。その中で、売るための商品作りと純粋な りつつある。障害者自立支援法の施行から5年が 自己表現の挟間で苦しんだりもした。作品作りに 経ち、新しい仕事作りに取り組む人たちが出てき はある程度の成果を生み、実績も作ってきた。し た。ラーメン店経営、ケーキ屋さん経営、パン屋 かし、障害のある人たちの魅力は作品作りとして 経営、お弁当屋さんなど、飲食業では一般の店よ 表現することでしか生かせないのかという疑問は りも店内の雰囲気がよく、地域に自然と溶け込ん 持ち続けていた。 その折に、私たちの事業所の近くで、古い長 屋 でいる店が出てきた。味も専門家から作り方や品 質保持の技術を学ぶことで飛躍的にうまくなった。 群をイノベーションして、新しい価値を見出し、 以前までの内職業のレーンでずっと働いていた頃 素敵な空間づくりを行っている大阪市立大学の竹 から比べると仕事の業種は多種に増えた。また、 原研究室の方々と出会い、「さをり織りのような 発達障害や精神障害の方のアートも、今、全国の 文化的活動を長屋群の中に取り入れたい」とお声 美術館が取り上げるようになってきている。そし をかけていただき、今回の実践に踏み切ることが て、アート作品が人々の暮らしを豊かにする時代 できた。 になってきた。 4 3 実践方法 場所の設定は長屋の一角で1階に3畳、4畳 半、 私たちの今までの取り組み 私たちは今から35年前に、ある発達障害(自 閉 6畳の3部屋、2階に6畳の1部屋で、手織り体 傾向のある)の女性と出会った。今までに見たこ 験工房を実践した。障害がある指導者(以下「ス ともない織りのデザインに、はじめは何故、この タッフ」という。区別するため事業所スタッフは ような作品ができるのか?理解できなかった。そ 「指導員」という。)は4名から5名。障害の種 -82- 別は身体障害の人が1名、精神障害の人は1名、 発達障害の人1名、知的障害の人1~2名という 陣容で行った。体験は午前、午後の1日2回で一 度に10人まで体験を受けることができるようにし た。1回の体験時間は2時間で速い人ならマフ ラーが織れる。1階で主に体験を受け、2階でた て糸を準備する。身体、精神、発達障害の人は接 客を行い、知的障害の方はたて糸を張るのを主な 目的とした。1階部分の3畳はギャラリーとして も活用し、路地から目立つように陳列した。開店 日は週4日、予約は電話で受けることにした。そ して、1年が経過した。 5 実践結果 体験者は、まず20種類ほどあるたて糸から自 分 の好きなものを選び、よこ糸を選ぶ。スタッフは その間に織り機をセットする。5分くらいで織れ る状態になる。そのあと、織り方の手順をスタッ フが紹介する。あとは何か呼び出されるまでだ まってみている。何かしたそうな人には、模様の つけ方などを紹介する。しかし、あくまでもデザ インは本人任せなのである。体験者は戸惑う。次 体 験 工 房 での風 景 は何を教えてくれるのか?うまく織るにはどうす 月 189,755円 。 そ こ で 、 指 導 員 は 地 域 の イ ベ ン ト ればいいのか手ほどきしてほしい!けれどもさを やエコ、ロハスイベントなどに営業に出かけ、チ り織りでは、そのような手ほどきは逆に本人の個 性を引き出すことができないので厳禁なのである。 そして、このだまってみていることが体験者 の ラシを配った。また、リピーターがつくように なったり、近所の喫茶店や陶芸教室にもチラシな どを置いてもらうようになった。地域に根を張り 表現を自由にし、気持ちをリラックスさせるので 始めてきたのである。4月159,230円、5月152,950 ある。つまり、体験長屋のスタッフは優秀な指導 円、6月275,890円、7月312,855円、8月217,630円。 者といえる。 そして、1周年を迎えた。1周年の集いを行 っ 2階のたて糸を作っているスタッフは接客メ イ たが、学生や体験に来られた方と地元の方が交流 ンではないので、あまり緊張せずに仕事に取り組 できる集いを行うことができた。 むことができる。また、1階スタッフの駆け込み スタッフの声を聞き取ったところ、体験工房 で 場として、リラックスできる雰囲気を作ってくれ 働くことで、今までに出会ったことのない多くの ている。アットホームな空間である。接客や指導 など今までやったことのないスタッフが多いので、 このような空間が精神的バランスをうまくとって 人に出会うことはやりがいにつながる。また、自 分の手織り作品にもいい刺激になり、満足してい る。との声があがった。 いるともいえる。 指導員の声としては、体験工房に来られたこ ろ このようにしてはじめた手織り体験工房は、 9 は、接客業が初めて経験することもあり、緊張の 月 222,385円 、 10月 236,150円 、 11月 406,670円 、 あまり、声が出なくなったり、固まったりするこ 12月 479,850円 と 順 調 に 売 り 上 げ を 伸 ば し た 。 し とも多かったが、やりがいがあるのか徐々に生き かし、マフラーのシーズンが終わった頃、売り上 生きとした表情に変わり、社会性も身につけてい げが落ちた。1月171,200円、2月367,590円、3 -83- かれ、遅刻や欠勤なども減っていった。また、ス 【参考文献】 タッフ同士もケンカなどを繰り返しながら、絆を 1)城 みさを:わたし革 命 ―感 性 を織 る― 神 戸 新 聞 出 版 セ 深めた。1年たった今では、指導員以上にしっか ンター(1982) りと体験工房の経営のこと考えるようになったと 2)城みさを:さをり織り好きですねん ぶどう社(1986) 感想を述べた。 3)城みさを:新 私の手 織りSAORI ぶどう社(2000) 6 【連絡先】 考察 城 体験工房などの指導者として働く。実際に行う 哲也 ためには様々なハードルは必要である。まずは、 特定非営利活動法人さをりひろば 様々な手工芸を楽しんで作り続けていることが条 Tel:06-6376-0391 e-mail:[email protected] 件である。今ケースでは、最低半年以上、さをり 織りを週1回以上作り続けている方を、体験工房 に推薦した。また、体験工房のスタッフになって も、週1回以上は今まで通り、手織り作家として 作品をつくり続けている。指導者としても作家と してもいい影響が出ている。 今までの障害福祉の事業に、障がいがある講師 はいなかったと考えられるが、これからはこのよ うな道も考えていくべきではないだろうか?それ ほどに優れた素質を障害がある人達は持っている と今回の事業を通して感じる事ができた。 7 まとめ 障害がある人が指導者になる。これは、本人に とっても、社会にとっても有益な事であると考え る。今回の実践で、障害がある人のもつ特性は、 人の個性に寄り添い、個性を引き出してくれる指 導者としての才能があると考える。そして、その 才能を最大限に生かすための設定として、2時間 程度、時間を共有するようなプログラムと、本人 も作家として作品を作り続けること。その中で障 害があるスタッフを信頼していけば、限りない可 能性が広がる取り組みであると考えられる。今日 もスタッフと体験者と新しい出会いが待っている。 -84- ボランティアサークル「Aこころ」の今宮発信 ○近藤 克一 (ボランティアサークル「Aこころ」) 原 愛子・柴田 小夜子(ボランティアサークル「Aこころ」) 笑顔で通り過ぎて行く。今宮は人情の厚い、挨拶 私は大阪市西成区の今宮地域にある、就労継 続 や笑顔の行き交う地域である。 支援B型の喫茶型作業所『アザリア』に2005年か ら通っている。1999年に開所した『アザリア』は 楽しい笑顔にあふれた喫茶『アザリア』のメン 地域に密着した施設作りの理念にのっとり、今宮 バーは約30名、職員数名で成り立っている。喫茶 地域などに住む喫茶常連のお客さんの温かい理解 は15席、モーニングの間は常連さんで満席で、昼 を頂きながら、祭り、イベントなど、色々な地域 からは近くの会社から、コーヒータイムに何名か の催し物に参加し、今宮地域の『アザリア』とし がやって来る。 て地位確立を目指している。2011年に旗上げした 『アザリア』は喫茶に使っている部屋以外に5 ボランティアサークル「Aこころ」は精神疾患の 部屋がある。一部屋は職員の事務仕事部屋で、通 啓発活動、地域の美化活動を重点に、地域のネッ 称「事務室」。アコーディオンカーテンを閉める トワークにより貢献できる活動を目標としており、 と隣に空間ができ、そこが「相談室」。主に精神 ボランティアサークル「Aこころ」の活動は小さ 障がい者が多く通っている喫茶『アザリア』なの いながらも地域の役割を担う一つの就職だと思っ で、食事療法を実践していて昼食が食べられる ている。 「食堂」。その他、「さをり織り」の作業をした り、リサイクルショップを開いたり、ミーティン グや会議に使ったり、各種教室を行ったり様々利 朝7時、目覚ましが私の部屋で鳴る。 用する「多目的ホール」。もう一室、なぜこう呼 「ジリリリリ・・・」 ばれているか分からないが、色々な物が置いて 飛び起きると、申し訳なさそうに眠気が襲っ て きて再び布団に潜り込む。すると、もう一度 あったり軽作業をする「教室」。以上が『アザリ 「ジリリリリ・・・」 ア』の構造である。 と、目覚ましが。朝に弱い私は二つの目覚まし時 さて、『アザリア』の紹介でも述べたように、 計を準備している。買っておいたサンドイッチを 私は統合失調症の精神障がい者である。発病以来 食べ、薬を飲み、昨日から溜まっている服を洗濯 16年間幻聴が聴こえ続けた。いつまでも聴こえ続 し布団を上げる。それから、ゆっくり歯を磨き、 けるのではないかと思うくらい聴こえ続けた。何 髭を剃り、朝の準備が一段落した所でテレビをつ 度か入院し、最後の退院からグループホーム『先 ける。日によって、この時間、掃除機をかける。 島』に入居し、『アザリア』に通所し始めると、 洗濯が終わり服をベランダに干して、大阪市西成 幻聴は遠く雑音の様になり消えていった。薬を変 区今宮にある喫茶『アザリア』へ向かう。 えたおかげもあり、今では授産品で『アザリア』 のコーヒーに付けるお菓子作りなどを楽しんでい 私の部屋は大阪市西成区玉出のマンションの一 る。 室にある、グループホーム『先島』である。『ア ザリア』までは約2キロ程、その区間には雑居ビ なんと言っても祭り、イベント、フリーマー ル、古い文化住宅やマンション、朝から営業して ケットなどの日は楽しみだ。今では今宮地域の方 いる持ち帰りのカラフルなお好み焼き屋など、人 と知り合いができて、『アザリア』の出店ブース の目にはユニークに映るかも知れない風景を見な を今宮地域の方達が用意してくださり、授産品 がら、自転車か日によっては歩いて向かう。南海 (アクリルたわし、「さをり織り」、粘土細工、 電鉄の高架下にある『アザリア』の近くに来ると、 ポストカード等)を売っている。授産品に関わり 常連さんたちが「おはよう」と声をかけて下さる。 を持つ様になり6年目だが、この『アザリア』の 「おはようございます」大きな声で返事をすると、 出店ブースに来ると別人のように楽しんで売り子 -85- をしている。 が聴こえてきた。グロッキーになったまま、今年 喫茶『アザリア』は福祉施設として、色々な顔 の7月を迎え、三度とも長期間休むと、数ヶ月で を持っている。喫茶事業のほか『アザリア』が力 幻聴は消えた。 を入れているのはマンション清掃と授産品製作、 今回は、再び清掃訓練に出よう、もう一度やり 販売、リサイクルショップ、『アザリア』開設当 直そうと思うのにかなり時間がかかった。8月の 初から大きな事業となっている生花、「さをり織 清掃訓練は途中で休んでも良いという気持ちで出 り」、パソコン、英会話、レザークラフト、硬筆、 たが、少しでも前向きに地域の一員として働きた 民踊、手話、粘土細工など、メンバーや今宮地域 いと願っている。 の方達に開かれた各種教室を行っている。 そんな中、去年、『アザリア』に一冊の絵本が そして、大切な事は社会復帰訓練で、就労支援 送られてきた。題名は「ポンポコ山の聞き耳ずき の一環の清掃訓練がある。プロの清掃会社「エ ん」で製作は鳥取県。施設長に言われるままに読 ム・アイ・サービス」の社長指導の下、『アザリ むと、内容はうつ病の啓発本だった。「これは、 ア』の建物内を一ヶ月に一回、一部屋洗う。ポリ すごい」と私は感嘆の声を上げた。施設長も同じ シャを使う清掃は、掃除するというより洗うと 意見だった様子で、精神障がいの世界から啓発本 言った方が適切だ。メンバーの有志が社長の指示 が出るなんて驚いた。一昔前までは、精神障がい 通りに一部屋を何辺も何辺もポリシャ、かきとり、 になったと聞けば、家族はどこか遠くの街に人知 水拭きをする。他の部屋も掃除機をかけ、クー れず暮らしていると言い広め、実態は「精神科病 ラー、換気扇を掃除する。 院」に入院したままだったり、座敷牢が家の中に 社長がOKした人は、『アザリア』のほか、主 あったりで、啓発本が出版されることは考えられ に薬局やクリニック(眼科など)を一回、2~3 なかった。しかし、精神障がい者の世界に「幸 時間洗いに行く。本格的な就労訓練の第一歩で、 せ」と言う言葉がやって来る日もあるだろうと思 だいたい一ヶ月に一回のペースで何回も続ける。 わせる本だった。 そこで認められれば清掃のバイトをする。昔、 喫茶『アザリア』の施設長が言った。 社適(社会適応訓練)や職親と呼ばれていたもの 「統合失調症の啓発本が出ないかな。」 である。尼崎の大きな工場の風呂場と更衣室の日 詳しい事は分からないが、施設長は西成区を 始 常清掃で、私は6年前と3年前に二度挑戦した。 め、色々な所に統合失調症の啓発本を出してもら かなりきつい作業だったが、仕事を覚えることは える様、打診した様子だった。 でき、優秀な作業員だったと思う。私が清掃した そして思い付いた様に去年の5月頃言った。 ときには風呂に入る人が増えた。半年くらいで二 「ボランティアサークルを旗揚げしましょう。」 回とも疲れ果て、仕事中やグループホームに帰っ 始めは何のことかわからなかった私も、話を聞い た後、幻聴が聴こえ始めた。どんなに聴くまいと ていくうちに分かってきた。つまり、 しても聴こえてくる。昔、16年間聴こえていた様 「統合失調症の啓発本を私達で出しましょう。」 に凄い音量で、異星人やアメリカ合衆国の大統領 と言うことである。 を名乗る人の声が、壁の向こう側にいる様に、人 一冊目、機関誌『アザリア』に載せている詩を 工衛星にスピーカーがついているかの如く、しか 私が編集し、施設長が「発刊に寄せて」を書き、 も、普通に喋るのと同じ様な声で聴こえてくる。 「Mのパーツ」と言う題名の詩集を発刊した。 社長も仕事内容を見て青ざめ、「仕事、ちょっと これは、『アザリア』での日常、西成区主に今 辞めてくれんか。」辞めざるを得なかった。 宮地域で私が経験したことを11編の詩にまとめた 「エム・アイ・サービス」は仕事がきついた め ものだ。特に、今宮地域の方々によく読んで頂き、 に幻聴が出たのかも知れないと思ったので、去年、 『アザリア』のメンバーや、職員、喫茶『アザリ 他のバイトに挑戦した。一年契約のサイクルサ ア』の常連さん、『アザリア』を知って下さって ポーターの仕事で、契約期間中はなんとか仕事を いる議員さん、当時の西成区長さんなど、色々な やり終えたが、終了する一ヶ月位前からまた幻聴 人達に読んで頂いた。家族も喜んでくれた。感謝 -86- している。有り難うございます。 クル「Aこころ」のメンバー総出できれいにしよ そして、第2弾は「鳥取県に続け。」である。 うと思った。この美化活動は『アザリア』でも 統合失調症の啓発本の絵本を作ろうと言う事に ミーティングの後、十分間清掃と称して『アザリ なった。地域の方々をはじめ、より多くの方達に ア』周辺の道のゴミ拾いなどをしている。ボラン 統合失調症の事をわかって頂けるまで、啓発活動 ティアサークル「Aこころ」は、それを雑草の多 を続けて行こうと言う事になった。 い所の草むしり、西成区を縦断している南海電鉄 ボランティアサークルの名前はボランティア の天下茶屋駅周辺のゴミ拾いなどをしたいと思っ サークルに入って頂いた職員さんの有志の発案で ている。今宮の人達と『アザリア』のメンバーが 「Aこころ」と名付けた。『アザリア』の頭文字 喜び合う関係が深くなる様思っている。今宮地域 『A』、「ええ心」関西弁の「良い心」、そして が美しくなる、西成区がきれいになる、ボラン 「絵心」の三つの意味が込められている。 ティアサークル「Aこころ」の今宮発信の一つで 私が絵本のストーリーを書くことになった。私 ある。 は前述のように幻聴があったので、統合失調症の 体験談をフィクションにしろ余り書きたくはな 絵本について問題が起きた。一つは印刷、製本 かったが、恥とか、人の目を気にしていては前に 会社である。絵本の製本は難しいらしい。一冊目 進まない。とにかく、第三者の目から見た様子で 「Mのパーツ」の製本屋さんは、絵本を製本する ストーリーを書こうと思った。できたストーリー 注文を受け付けておらず、大阪市中歩き回って、 の題名は「大好きなお兄ちゃんの日記」と言うも 結局『アザリア』から徒歩で行ける距離にある製 ので、それはそのまま絵本の題名になった。前に 本屋さんにした。同じ地域で見たことのある仲で あげた有志の職員さんが、ストーリーを見て、段 ある。これもボランティアサークル「Aこころ」 落分けしてくださり絵を描き始めた。美術部の部 の今宮発信である。 長をされていたらしく、特別な色鉛筆で絵を描い また、「大阪市こころの健康センター」へ行き て水のついたはけでなぞっていくと水彩画の様に 絵本の専門的な注釈箇所について、引用の許可を なるという、高度な絵の描き方だった。去年の11 もらった。その他、薬や治療法が発達したので、 月に大阪市西成区の障がい者の祭り「あったか 今では間違いとしか言えない記述があり修正を加 ハートをつないで」に絵本が一部デビューした。 えた。 絵は2月に完成した。可愛らしい絵に仕上がった。 もう一つの問題は「大好きなお兄ちゃんの日 絵本は西成区を始め大阪市内、府内の小学校、 記」のストーリーが、小学校高学年の子供にわか 中学校、高校などの図書館や公共施設等に置き、 るかどうかと言うことだった。そこで近くの小学 より多くの人に知って頂くことで、一人でも統合 校へ行くと、先生の顔は笑顔でも表情は曇りがち 失調症を患う人が少なくなる様に、統合失調症の だった。そこで施設長が、 啓発を目標に作ることになった。 「幻聴というのは、小学校高学年で理解可能です か」 ボランティアサークル「Aこころ」の会則に と問うと、その先生は、無理だという事を話され 「②地域美化活動を行う」という項がある。地域 ていた。この絵本が生徒さんに理解可能かどうか 美化活動とは何か。 という問答が続き、私は疑問に思った事を聞いた。 それは、施設長や『アザリア』メンバーの想い 「ストーリーが難しいのでしょうか。それとも、 が込められたものである。西成区という所は人情 統合失調症という病気そのもの自体が難しいので の地域、人と人のつながりの地域だが、煙草の吸 しょうか。」先生は、「病気自体が難しいのです 殻や食べかす、飲みかけのペットボトルの道路へ ねぇ。」と答えた。 のポイ捨てなどが多く、マナーが問われる時代に 統合失調症は思春期に最も多く発病する病気 で、 これでいいのか、と思うことがある。 ある程度の年齢で病気に対する知識が付いていな その西成区、特に今宮地域を、ボランティサー いと、早期発見は難しく、早期治療、早期回復も -87- 難しい。 そんな事を考えながら、その小学校から『アザ リア』へ施設長と帰ってきた。 絵本をつくる事で色々な交渉をし、色々考え、 色々今宮地域の力を借りている。この絵本の発刊 のためにやっている事は、精神障がいについて、 統合失調症について、一般の人にわかって欲しい、 理解して欲しいと想ってやっていた事である。施 設長の思いはわからないが、これは地域のために なる、教頭先生や製本会社が理解して頂いただけ でも今宮地域の役に立っているのではないか。統 合失調症は恐ろしい病気だが、この絵本を仕上げ たら、もっと良い世の中、地域になるのではない か。これは一つのボランティア活動と言っている だけで、今宮発信の統合失調症の啓発という仕事 だと、思い始めた。 私は地域の統合失調症の啓発という作業を続け るうちに、役割としての仕事の一つに辿り着いた と思う。ボランティアサークル「Aこころ」の今 宮発信、統合失調症の啓発絵本製作の仕事、今宮 地域の美化活動。 このボランティアサークル「Aこころ」への就 職を見守り応援してくださった今宮地域の方々、 『アザリア』の施設長、メンバーさん、職員さん、 そして家族に感謝して発表を終わりたいと思う。 ありがとうございました。 【連絡先】 〒557-0014 大 阪 市 西 成 区 天 下 茶 屋 1-32-3 NPO法 人 アザリア内 ボランティアサークル「Aこころ」 Tel:06-6658-2900/Fax:06-6655-5420 E-mail:[email protected] -88- 作業を通して広がる就労意欲の増進 橋本 公江(社会福祉法人あかね 1 ワークアイ・船橋(就労継続B型施設) はじめに 2 私たちの施設は、1996 年に視覚に障害を持つ者た 職業指導員) 主な作業内容 ○テープ起こし ちの、「見えなくなっても働きたい」という声から 研修会や講演会で録音したテープを聞きながらパ 生まれた。当時、視覚に障害を持った者の就労は、 ソコンを使って文書化する。視覚に障害のある人た あん摩・マッサージ・指圧、鍼、灸のいわゆる三療 ちは、施設の中の作業でもできる仕事が限られてく 業が主であり、一般的な作業は「できない」と考え るので、視覚障害の人たちを優先として作業を行な られていた。残念なことに今もその考えは変わって い、ボランティアさんや他の障害の人たちが校正を ないように思われる。 行なうという体制を組んでいる。 普通のパソコンにスクリーンリーダーというソフ ○各種データ入力 トを入れれば、普通の人と変わらずパソコンの操作 肢体に障害のある人たちが中心となって作業を行 ができる。テープを聞きながらテキスト化していく なっている。初心者や視覚障害の人でも、ボランテ テープ起こしの仕事は、視覚障害があっても単独で ィアさんが読み手となって伝票や原稿を読み上げる 仕上げることができる仕事である。最近ではシステ ことによって、誰でもできる仕事となる。在宅就労 ム開発の仕事に携わる人も出てきている。視覚に障 支援団体が行なうデータ配信による入力では、指一 害があっても、聴覚や他の障害の人たちと組むこと 本で作業を行なう者もいる。 でデータ入力の仕事もできる。私たちの施設では、 ○テープ広報物作成、発送管理 こうした音声パソコンを使っての作業を行なうとと 視覚に障害のある人たちの広報媒体であるカセッ もに、IT教室を通じて音声パソコンの普及にも努 トテープのダビングから発送、戻ってきたものの管 めてきた。 理を行なう。主に視覚を中心に各種障害の人たちが その一方で、株式会社あい・あーる・けあが『障 害のある者に新しい仕事を』との思想の基に作った 協力しあって作業をすすめている。 ○機械の清掃作業 点字プレス機を借りる形で、1998 年から名刺に点字 モデムや電源コードを新品同様にきれいにすると を入れる作業を始めた。当初は1ヶ月あたり 50 箱を いう作業で、視覚以外の障害の人たちが作業を行な こなすのがやっとだったこの作業が、今ではプレス っている。単純な作業ではあるが、慣れないうちは 機5台を駆使して1日に 20 箱を仕上げることがで 拭き残しも多く、どこまで拭けば良いのかの判断が きるようになっている。 各自に任されるため戸惑いも多い。付随業務として 障害者自立支援法ができ、身体に限らず、知的や 機器の初期化やバーコードテープの作成作業があ 精神に障害のある人たちを受け入れることとなり、 り、マニュアルに沿って行っている。検品作業では、 施設が大事にしたのは、時間をかけてもミスのない 掃除に不備があるものは再清掃、機器に不備がある 仕事、丁寧なアウトプットということだった。テー ものには付箋をつけて、箱詰めを行なう。色々な工 プ起こしでは、納品物になるまでに、何度も人を変 程があるので、その中で各人ができるところをでき えて検証する。データ入力では、チェックは複数回 る範囲で行っている。埃まみれになっていた機器が 行なう。最近始めた機械の清掃でも検品作業は欠か 綺麗に仕上がった時は、やり遂げた達成感と喜びが さない。そうすることで、各人の作業は不完全かも ある。単純作業であるがゆえに集中力も必要で、機 しれないが、施設を出る時には完全なものとして納 器それぞれの注意点もあり、経験と実績が次の作業 品できていると自負している。 への大きな自信となっている。 ○点字名刺作成 お客さまから預かった名刺や施設で作成した名刺 に点字プレス機を使って点字を入れる作業。施設利 -89- 用者全員が取り組める作業である。 ビリのためではなく、他人のため仕事のためと頑張 作業手順は、まず規則正しく穴のあいた黒い板に 点字のルールに従ってピンを入れる。施設内でピン ってきたことと、最終チェックを任されているとい う責任感が指を動かしたのだと思われる。 組みと呼んでいるこの作業は、点字表を見ながらピ ンを入れていけばいいので誰にでもできる作業でも (3)事例3 ある。ゲーム感覚でできて、比較的短時間で完結で Cさん 31 歳女、先天性角膜混濁による身体障害者 きるため達成感が味わえる、といった利点があり、 手帳4級。震災後、精神が不安定になり一時通所を 初心者でも楽しく作業ができる。点字を覚えて表を 断念したが、落ち着いてきたため最近は週3回通所 見なくてもピン組みができるようになると、余計に している。絵が好きでパソコンを使っての画像処理 楽しくなってくるようで、知的障害を持った人も全 を学んでいる。施設内で出た使用済みの点字用紙に 盲の者も自信を持ってピン組みを行なっている。 彼女の作った画像を印刷して名刺箱を作成したとこ ピン組みが終わった板をプレス機にセットし、名 ろ大好評だったので、点字名刺を入れる箱にした。 刺の紙を置いてレバーを倒すと、「点字名刺」がで お客様からの反響もあり、それがまた彼女の通所の きあがる。1枚1枚手作業で行なうこの作業は、仕 励みとなっている。 事をしているという実感が湧き楽しい作業となって いる。片手でも動けば仕事ができるが集中力が必要 (4)事例4 で、失敗が即不良品につながる。施設内で作った名 在宅就業支援団体であるワークスネット株式会社 刺で少ない枚数から始めて徐々に1箱 100 枚を続け と合同で行なった特別支援学校での入力体験やテレ て行なえるように指導している。 ワーク体験会では、筋ジストロフィーの生徒が「あ きらめていた就労へ夢がつながった」「働くことは 3 リハビリテーション事例 生きること」との感想を寄せてくれた。一般企業へ (1)事例1 の就職はかなわないとしても在宅や施設での就労が A君 21 歳男、療育手帳B2で発達障害。能力は高 いが小学校の時からの不登校で、現在も決められた 可能となることで、生きる目的や希望を見出すこと ができると思われる。 時間に施設に通うことに対して極度の緊張があり、 朝からの通所はできていない。約 70 人の顧客に月2 (5)まとめ 回テープをダビングして送る作業を顧客管理も含め 障害のある者にとって健常者並みの作業を実現す て担当している。この仕事は自分の仕事だと自覚し、 るためには創意工夫が欠かせない。私たちの施設で 発送日に合わせて体調や通院日を考えながら自分な は、トイレのノブに人形がかかっていて、使用中は りに計画をたてて通所している。通所当初は作業に 中に持って入ることにしている。人形の有無で使用 合わせて必要な日に来るのが精一杯だったが、今は 中か否かがわかり、視覚に障害があっても普通に利 ほぼ週2回2時頃には来られるようになっている。 用ができる。身体障害のあるBさんが作業がやり易 時間に縛られる学校や一般企業の枠からは外れて いようにと作成した道具は、身体障害のない者にと しまう彼であるが、その高い能力を社会に還元する っても使い易く綺麗に仕上がるものとなった。割り 方法はもっとないものかと考えてしまう。 箸を削ったり、目印をつけたり、仕切り板をつけた り・・・、誰が行なっても同じようにできるようにと工 (2)事例2 夫を重ねて結果としての完全な仕上がりを目指して Bさん 53 歳男、身体障害1級、脳梗塞による後遺 いる。 症により左半身不随(左上下肢機能障害)。機器の 真剣に仕事をする中で、集中力が養われたり、動 清掃の最終チェックを担当している。細かい部分の かなかった手が少しずつ動いたりといった効果が出 埃をもう少し綺麗にと頑張る中で動かなかった指が ている。午前中だけしか勤務できなかった者が、2 動いたという経験がある。まさしく仕事がリハビリ 時まで、3時までと時間を延ばして通常勤務に近づ になっている実例だと思われるが、自分のためリハ いている。週2日しか来られなかった者が、3日4 -90- 日と勤務日を増やしている。仕事を通して社会に繋 【連絡先】 がっているという喜びと、仕事をまかされていると 橋本 公江 いう責任感からのものだと感じている。 社会福祉法人あかね Tel:047-336-5112 4 結論及び考察 e-mail:[email protected] 就労継続支援事業所で利用者が通所し仕事をする ということは、単に工賃を稼ぐというだけでなく、 各人が障害に対しての対処法や障害を補う方法を学 ぶことであり、障害を克服するための努力をすると いうことである。ただ努力を強いられるのは辛いが、 仕事を通じての責任感や達成感、ねぎらいやお客様 からの反響によって苦労が喜びに変わるのは誰もが 同じである。また、仕事を通じて社会とつながると いう喜びもある。ただ残念なのは、仕事量が少ない 事である。私たちの施設でも仕事がなくて自習時間 となってしまうことが多々ある。他施設でもよく仕 事を探していると耳にする。 「障害者の雇用の促進等に関する法律」では「障 害者雇用率制度」が設けられており、事業主は、定 められた雇用率以上の障害者を雇い入れなければな らないことになっているが、作業施設や設備の改善、 特別な雇用管理等の配慮が必要となるなどの理由か ら障害がある者の雇用はなかなか進まない。また雇 用されても、実際には仕事についていけなかったり、 職場で人間関係を築けなかったりして、定着できな い者も少なくなく、こうした失敗が長い間心の傷と なって次のステップに進めなくなっている者も多 い。 事業主が障害のある者の雇用に特別の配慮をした 子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特 例としてその子会社に雇用されている労働者を親会 社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算 定できる「特例子会社制度」がある。 同じように、就労継続支援事業所に対しての発注 を、その発注量に応じて雇用人数にカウントするこ とはできないかと考える。そうすることにより就労 継続支援事業所の仕事量が増えれば、そこで働く者 たちが一般社会とつながっていることに誇りを持 ち、より活発に仕事ができ、やりがい・生きがいを 感じることでより「リハビリテーション」もすすむ ものと思われる。 -91-
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