海岸をめぐる現状と課題

海岸をめぐる現状と課題
平成27年10月
農林水産省
農林水産省
国土交通省
国土交通省
農村振興局
水 産 庁
水管理・国土保全局
港 湾 局
我が国の海岸は脆弱性を有している
○我が国の海岸は、地震や台風、冬期風浪等の厳しい自然条件にさらされており、津波、高潮、高波による災害や
海岸侵食等に対して脆弱性を有している。
○海岸の背後に集中している人命や財産を災害から守るとともに国土の保全を図ることが極めて重要である。
津波被害
高潮・高波被害
台風23号 高潮被害(平成16年10月)
東日本大震災(平成23年3月)
仙台市では約13mの津波が発生
仙台湾南部海岸の海岸堤防はほぼ全域
(約41km)にわたって壊滅的な被害が発生
被災前
観測史上最大の波高13.5mの高波が発生
海岸堤防が30m倒壊・流失、越波により背後の家
屋13戸が被災、3名の方が亡くなる被害が発生
侵食被害
海岸侵食の進行
海岸侵食により昭和60年から平成20年までの
約20年間で砂浜が20m後退
被災後
なばえ
菜生海岸(高知県室戸市)
冬季風浪による高波被害(平成20年2月)
仙台湾南部海岸(宮城県岩沼市、山元町)
波高6.6mの高波が発生
下新川海岸の背後地において、161戸の家屋の
浸水被害が発生
海岸侵食により砂浜が約100m後退
山元海岸
山元海岸(笠野地区)
しもにいかわ
海岸堤防の被災状況
下新川海岸(富山県黒部市)
新潟港海岸(新潟県新潟市)
1
海岸に関する災害は毎年発生している
○高知県高知海岸において、昨年の台風11号により背後地の工場や主要県道を防護する海岸堤防が約200mに
わたり被災するなど、我が国では毎年海岸災害が発生している。
平成26年8月台風11号による被害
【高知県南国市・高知海岸】
背後地の工場や主要県道を防護する
海岸堤防が約200m被災
平成26年8月台風11号による被害
【高知県安芸市・穴内漁港海岸】
背後集落、国道、鉄道等を防護する
海岸堤防が約150m被災
平成27年8月台風16号による被害
【北海道静内町・静内海岸】
背後集落等を防護する
海岸堤防が約100m被災
平成26年12月低気圧による被害
【北海道標津町・標津海岸】
背後集落等を防護する
海岸堤防が約50m被災
2
大規模な津波災害のおそれがある
○平成23年3月の東日本大震災の津波災害では東北地方を中心に約1万8千名以上の死者・行方不明者が発生。
○南海トラフでM8~9クラスの大地震が今後30年以内に発生する確率が70%程度と想定されるなど、各地域にお
いて大規模な災害の発生のおそれがある。
【海溝沿いの主な地震の今後30年以内の発生確率】
択捉島沖(M8.1前後)
60%~70%
色丹島沖(M7.8前後)
60%程度
根室沖(M7.9程度)
50%程度
三陸沖 北部
(M7.1~7.6)90%程度
「日本海地震・津波調査プロジェク
ト」(H25-32)において検討中
宮城県沖(M7.0~7.3)
60%程度
三陸沖 南部海溝寄(M7.2~7.6)
与那国島周辺
(M7.8程度)
50%程度
30%程度
三陸沖~房総沖
・津波型(M8.6-9.0前後)
30%程度
安芸灘~豊後水道
(M6.7~7.4)
40%程度
【出典】
地震調査研究推進本部
海溝型地震の長期評価の概要(2014.4.25時点)
を基に作成
茨城県沖(M6.7~7.2)
南海トラフの地震
(M8~9クラス)
南関東
(M6.7~7.3程度)
70%程度
70%程度
90%程度以上
3
大規模な高潮災害のおそれがある
○近年、海外では大規模な高潮災害が発生しており、我が国においても同様の災害が発生するおそれがある。
○例えば、平成24年に米国NJ州に上陸したハリケーン・サンディ被害では大規模な停電、事業所停止等により大
都市の中枢機能を麻痺させる高潮災害が発生した。
【ハリケーン・サンディによる
ニューヨーク都市圏水害(平成24年10月)】
■ハリケーン・サンディの概要
・2012年10月29日、“ハリケーン・サンディ”は、ニュージャージー州に、 最
大風速36m/sの勢力を保ったまま上陸。
■被害の概要
・米国、カナダで死者132名(うちニューヨーク市内で43名)
・大規模な停電、事業所停止等により大都市の中枢機能が麻痺。NY証券取
引場も2日閉鎖。
・ニューヨークの地下鉄等トンネル16本が浸水する等の甚大な被害が発生。
・被害額はニューヨーク州で320億ドル、ニュージャージー州で294億ドル。
地下鉄86ストリート駅の浸水状況 ©MTA
市街地の冠水状況 ©USACE
市街地の停電状況 ©USACE
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国内でも市街地の高潮浸水被害が発生している
○国内においても、平成16年8月、香川県高松市では、台風16号による高潮で潮位が護岸を約70cm程度上回
り、960ha、15,651戸の浸水が発生し、死者2名の被害が発生した。
○平成26年12月には、低気圧の影響により北海道根室市の市街地を中心に高潮浸水被害が発生した。
平成16年8月 台風16号による香川県高松市(高松港海岸)の高潮浸水被害
:台風16号による浸水区域
高松市の被害概要
浸水面積 960ha
浸水戸数 15,561戸
(床上3810戸、床下11751戸)
死者2名
高松市における浸水範囲
台風16号による高松市街地の浸水被害状況
平成26年12月 低気圧による根室市(根室港海岸)の高潮浸水被害
根室市の被害概要
浸水戸数 95戸
(床上85戸、床下10戸)
根室半島における浸水発生箇所
根室市根室港区における浸水範囲
低気圧による根室市街地の浸水被害状況
出典
被害概要:国総研資料第854号
写真:北海道開発局根室港湾事務所
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地球温暖化の影響が懸念されている
○今後、地球温暖化に伴う海面水位の上昇や、台風の激化による沿岸への影響が懸念されている。
○海面水位が上昇し、台風が激化すると、今以上に高潮災害が発生し、海岸侵食が進むおそれがある。
○例えば、東京湾・伊勢湾・大阪湾の3大湾では、約80cmの海面上昇で、ゼロメートル地帯の面積が約1.6倍、
人口が約1.4倍拡大する。
千葉県
東京都
兵庫県
三重県
愛知県
大阪府
神奈川県
■朔望平均満潮位+0.8m以下
■朔望平均満潮位以下
大阪湾
伊勢湾
現状 海面上昇後
現状
海面上昇後
倍率
面積( k㎡ )
約500
577
879
約780
1.6
人口(万人)
約310
404
593
約440
1.4
高潮による水害リスクを
有するエリアが拡大する
東京湾
※国土数値情報をもとに水管理・国土保全局で作成。
※3次メッシュ(1km×1km)の標高情報が潮位を下回るも
のを図示。面積、人口の集計は3次メッシュデータにより
行っている。
※河川・湖沼等の水面の面積については含まない。
6
耐震対策は未だ不十分である
〇大規模地震による津波被害が想定されている地域において重点的に対策する必要がある。
〇南海トラフ巨大地震・首都直下地震等の大規模地震が想定されている地域等における海岸堤防
等の整備率※は、現状で4割にも満たない。
南海トラフ巨大地震・首都直下地震等の大規模地震が想定されている地域等における海岸堤防等の整備率※
現状
(平成26年度末)
目標
(平成32年度末)
約39%
約69%
※社会資本整備重点計画(第4次計画)(平成27年9月閣議決定)において定めた指標の一つで、
南海トラフ巨大地震・首都直下地震等の大規模地震が想定されている地域等で、耐震対策等により、背後地の重要な保全対象等の防護が完
了する海岸堤防等(堤防、護岸、胸壁)の割合のこと。
新潟県中越沖地震における護岸の被災
対策
海岸堤防の整備
(宮川海岸)
(上輪海岸)
耐震対策
7
粘り強い海岸堤防を全国展開していく必要がある
○津波が堤防を越えた場合に堤防が壊れるまでの時間を遅らせることで、避難時間を稼ぐとともに、浸水面積や浸
水深を減らすなどの減災効果を有する粘り強い海岸堤防を全国展開していく。
○緑の防潮堤についても、引き続き整備を進めていく。
巨大津波に対して
粘り強い海岸堤防
堤防が破壊、倒壊するまでの時間を少しでも長く
堤防が全壊(完全に流出した状態)に至る危険性を低減
従来の堤防
被災後
陸側
津波の越流を想定していなかった
ため、強度が不足していた
いわぬま
元の堤防
かばさき
岩沼海岸(蒲崎工区)
海側
津
波
陸側の法面が崩れ落ちている
堤防が多かった
盛土
〈緑の防潮堤の整備〉
堤防と一体的な盛土や植生を配置した「緑の防
潮堤」を整備。
海側
陸側
盛土
緑の防潮堤完成イメージ
8
老朽化した海岸保全施設を適切に維持管理することが必要である
○海岸堤防等の多くは、高度成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化することが懸念されている。整備され
てから50年以上経過した施設が現在でも約4割あり、20年後には約7割に増加する見込みである。
○各施設管理者が海岸堤防等の健全度を把握し、長寿命化計画の策定に努めており、適切に老朽化対策を進め
ていく。
老朽化調査を実施し長寿命化計画を策定
海岸堤防等の老朽化の見通し
50年以下
の施設
(約6割)
2010年
50年以上
の施設
(約4割)
打音による空洞化調査状況
20年後には50年
以上経過した施設
が約7割に増加
50年以下
の施設
(約3割)
ファイバースコープによる
空洞等の詳細調査
鉄筋かぶり厚調査状況
老朽化対策の実施例
【対策前】
市川海岸
(千葉県)
2030年
地中レーダー探査による
空洞化調査実施状況
【対策後】
50年以上
の施設
(約7割)
※完成後50年以上経過した施設には、施工年次不明の施設を含めている
※H24.3 国交省・農水省調べ(岩手県、宮城県、福島県除く)
鋼矢板の腐食・コンクリートの劣化
鋼矢板の補強及び石張護岸による老朽化対策
9
現場での水門・陸閘を安全かつ確実に閉鎖する必要がある
○特に地震後短時間で津波が到達する地域等においては、水門・陸閘等を確実に閉鎖するため、統廃合、常時閉
鎖や自動化・遠隔操作化をなお一層進めていく。
○現場で施設操作を伴うものについては、操作員の安全確保を最優先とした管理運用体制の構築を目指す。
【統廃合の例(和歌山下津港海岸:和歌山県)】
【陸閘の自動化の例(名古屋港海岸:愛知県) 】
自動化前
自動化後
陸閘を廃止し、近接した場所に階段を設け、利便性を確保
【常時閉鎖の例(高知港海岸:高知県) 】
【操作員の安全確保を最優先とした管理運用体制の構築】
海岸管理者等がより安全かつ適切
に水門・陸閘等を管理運用していく
ための参考となる指針を策定するこ
とを目的として、平成27年4月に「津
波・高潮対策における水門・陸閘等
管理システムガイドライン」を改訂し、
操作員の安全確保を最優先とした管
理運用体制の構築を推進。
現場操作員による陸閘閉鎖(大阪府)
利用度の低い陸閘を常時閉鎖
10
津波防災地域づくりを着実に推進する必要がある
○現在、津波防災地域づくり法に基づく津波浸水想定は全国23府県で設定済み。
○津波浸水想定を踏まえ、徳島県では平成26年3月、山口県(一部)では平成27年3月に津波災害警戒区域を指定。
静岡県焼津市では平成26年3月、浜松市では4月、和歌山県串本町と宮崎県宮崎市で平成27年3月に津波防災地域
づくりを総合的に推進するための計画を作成。
○引き続き、このような取組を支援していく。
津波浸水想定
設定済みの府県名
設定日
茨城県
平成24年 8月
青森県
平成24年10月
(下北八戸沿岸の一部)
徳島県
平成24年12月
高知県
H27.8.31時点
H27.8.31時点
設定済みの府県名
兵庫県(阪神、淡路、
神戸、播磨地域)
大分県
長崎県
平成24年12月 鹿児島県
宮崎県
平成25年 2月
青森県
(陸奥湾沿岸及び
平成25年 2月
下北八戸沿岸の残部)
熊本県
平成25年 4月
愛知県
設定日
平成26年 3月
平成26年 3月
凡 例
・・・津波浸水想定設定済み(23府県)
・・・推進計画作成済み(4市町)
・・・津波災害警戒区域指定済み(2県)
平成26年 4月
平成26年 9月
日本海溝・千島海溝沿いの巨大地
震モデル検討会において検討中
(内閣府)
平成26年11月
岡山県
平成25年 4月
茨城県
平成24年 8月
青森県(津軽沿岸、陸
奥湾沿岸及び下北八 平成27年 3月
戸の一部(変更))
山口県(日本海沿岸) 平成27年 3月
和歌山県
平成25年 4月
沖縄県
平成27年 3月
広島県
平成25年 4月
三重県
平成27年 3月
香川県
平成25年 4月
神奈川県
平成27年 3月
愛媛県
平成25年 6月
日本海における大規模地震に関する検討
会の津波断層モデル
(国土交通省・内閣府・文部科学省/
H26.8.26 公表)
東北地方太平洋沖地震
津波断層パラメータ
(内閣府/ H24.3.1 公表)
佐賀県
平成27年 7月
大阪府
平成25年 8月 静岡県(伊豆半島沿
平成27年 8月
静岡県(遠州灘沿岸及
岸の一部)
び駿河湾沿岸と伊豆 平成25年11月
海に面する39都道府県の
半島沿岸の一部)
うち、23府県にて設定済み
山口県
平成26年 1月
(瀬戸内海沿岸)
H27.8.31時点
浜松市
推進計画
作成済みの市町村名
津波災害警戒区域 H27.8.31時点
指定済みの県名
指定日
徳島県
平成26年3月
山口県
(瀬戸内海沿岸)
平成27年3月
指定日
静岡県 焼津市
平成26年3月
静岡県 浜松市
平成26年4月
和歌山県 串本町
平成27年3月
宮崎県 宮崎市
平成27年3月
焼津市
串本町
宮崎市
南海トラフ巨大地震モデル検討会(第二次報告)の
南海トラフの巨大地震の津波断層モデル
(内閣府/H24.8.29公表)
※ 津波浸水想定の設定日は「津波防災地域づくりに関する法律」第8条第4項に基づく国土交通大臣への報告日による
首都直下地震モデル検討会の
相模トラフの津波断層モデル
(内閣府/H25.12.19公表)
最大規模の高潮に対する警戒・避難体制の整備が必要である
○近年、洪水・内水の他、高潮により、現在の想定を越える浸水被害が発生。
○高潮災害時に、いつ逃げれば良いのか、どこが危険なのかわからない状況。
○平成27年5月に水防法が改正され、想定し得る最大規模の高潮に係る浸水想定区域を公表する
制度を創設し、想定し得る最大規模の高潮に対する避難体制等の充実・強化していく。
改正水防法の概要(高潮関係)
課題
近年、洪水・内水のほ
か高潮により、現在の想
定を超える浸水被害が
発生。
近年高潮災害が発生した
八代海、瀬戸内海を中心
に高潮ハザードマップが
作成 されてい るものの、
全国の策定率は約18%
に留まっている状況。
113
○ 想定し得る最大規模の高潮に係る浸水想定区域を公表する制
度を創設
○ 高潮に対応するため、海岸の水位により浸水被害の危険を周
知する制度を創設
※ 「相当な損害を生ずるおそれ」がある箇所において実施することを想定
約18%
市町村
作成
532
未作成
市町村
平成26年12月の低気圧による根室市街地の
高潮浸水状況(平成26年12月)
高潮ハザードマップ策定状況(H26.4時点)
高潮浸水想定区域のイメージ
高潮水位周知のイメージ
高潮浸水想定区域 … 市町村地域防災計画に、高潮氾濫危険情報等の伝達方法、避難場所、避難経路等が定められ、ハザードマップにより、当該事項
が住民等に周知されるとともに、地下街等の所有者等が避難確保等計画を定めること等により、避難確保等が図られる
→ 高潮氾濫危険情報等、浸水被害の危険を周知する制度と相まって、避難体制等を充実・強化
12
12
土砂収支の不均衡から海岸侵食が発生している
○海岸における土砂の供給と流出の不均衡などにより、海岸侵食が進行している地域が多い。
○海岸侵食は我が国の貴重な国土の消失。砂浜の減少により、良好な海浜環境の形成や海岸利用を阻害するだ
けでなく、越波の増大や海岸保全施設の耐力を低下させることで、背後地における安全性を低下させる。
○現状の汀線が後退しないようにするとともに、必要な場合には、養浜等により砂浜の回復を図る。
○砂浜は、沖で波を砕き、岸での波を弱める。
近年の主な海岸侵食被害発生状況
①砂浜があると、岸での波を弱める
②海岸侵食により、砂浜が少なくなると越波が増大
③さらに侵食が進み、砂浜がなくなると海水が浸入
④浸入した海水により、破堤につながる
砂浜の消失は越波の増大、海水の浸入を
招き、背後地の安全性を低下させる。
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海岸侵食対策が必要である
○海岸に供給される土砂の減少や海岸部での土砂収支の不均衡等の様々な要因により、依然、海
岸侵食が進行している地域が多い。
○流入土砂量、沿岸標砂量等の土砂収支を検討した上で、海岸侵食対策を推進する必要がある。
きたくじゅうくり
いちのみや
例)北九十九里海岸~一宮海岸(千葉県)
びょうぶがうら
ひとつまつ
屏風ヶ浦(銚子市)の侵食状況
1960年以前
ちょうせい
一松海岸(長生村)の侵食状況
現在
護岸に直接波が作用
侵食の進行 ⇒ 護岸等の損傷、海水浴場等の閉鎖、動植物生息環境の喪失 等
H26.7.22 読売新聞(34面)
TV放映日
H26.7.24
H26.7.24
H26.7.24
H26.8.3
H26.8.27
H26.8.31
番組名
テレビ朝日:グッドモーニング
TBS:Nスタ
日本テレビ:news every
テレビ朝日:ポータル
フジテレビ:とくダネ!
TBS:噂の東京マガジン
14
沖ノ鳥島を保全するための対策が必要である
○沖ノ鳥島は国土面積を上回る約40万平方km2の排他的経済水域を担っており、国土保全上、極めて重要な島で
厳格な管理が必要である。
○2つの小島だけでなく、環礁全体を保全するために万全の対策を講ずる。
沖ノ鳥島が支える
約40万k㎡の排他的経済水域
北小島(昭和62年)
東小島(昭和62年)
東小島全景(平成19年撮影)
位
置
図
北小島
護岸コンクリート部の劣化
護岸コンクリートのひび割れ補修
保全拠点全景
保全拠点
東小島
低潮線保全区域
低潮線保全区域
礁嶺
沖ノ鳥島全景
海岸保全区域
15
東日本大震災を踏まえた基本的な考え方に基づいて津波防災対策を進める
○東日本大震災では、これまでの想定をはるかに超えた巨大な地震・津波により甚大な被害を受けたことから、
最大クラスの津波(L2)に対してはハード整備とソフト対策を組み合わせた多重防御により被害を最小化させる
減災の考え方が新たに示された。
○比較的発生頻度の高い津波(L1)に対しては、人命、資産等を守り、国土を保全する観点から、引き続き、海岸
堤防の整備を進めていくこととされた。
<最大クラスの津波(L2)>
2011年 東北地方太平洋沖地震の津波高さ
・住民避難を柱とした総合的防災対策
を構築する上で設定する津波
<比較的頻度の高い津波(L1)>
・海岸堤防の建設を行う上で想定する津波
(数十年~百数十年の頻度で発生している
津波)
復旧する海岸堤防
被災前の海岸堤防
1933年 昭和三陸地震の津波高さ
1960年 チリ地震の津波高さ
地盤沈下
被災後の海岸堤防
16
東日本大震災の復旧・復興を着実に進める必要がある
○東日本大震災の被災地のまちづくりを進めるために必要不可欠な海岸堤防等の復旧・復興は、道半ばであり、引き続
き、着実に進める。
○海岸堤防の高さは、L1規模を基本としつつも、必ずしもL1規模の高さに拘らず、背後とのまちづくりなど地域の状況に
応じて設定される。
○被災6県における海岸堤防等の復旧・復興については、これまで約95%で地元調整済みであり、残る地元調整未了
の5%についても、背後のまちづくり計画等との調整、地元住民の合意形成を進めるため、丁寧な説明を実施している。
※県からの聞き取りによる(平成27年6月末現在)
事業進捗状況
(平成27年6月末時点)
復旧・復興箇所数
うち、地元調整済
合
計
677
642 (95%)
(完成)
109 (16%)
(建設中)
356 (53%)
(未着工)※1
177 (26%)
うち、地元調整未了※2
35 ( 5%)
※1 現在、設計、用地交渉等、工事着手に向けて準備中。
※2 背後のまちづくり計画等との調整、地元住民の合意形成
を進めるため、丁寧な説明を実施中。
17
地域の状況に応じた海岸堤防の見直し
○具体的な海岸堤防の計画については、まちの安全、ハード・ソフトの組み合わせ、環境保全や市町村
によるまちづくりの議論などを踏まえ、海岸管理者である県などが適切に定めることとなっている。(注1)
○被災6県において、全箇所(復旧・復興)677箇所の約3割にあたる約190箇所の海岸堤防について、
比較的発生頻度の高い津波を対象とした堤防高より堤防の高さを下げたり、海岸堤防の位置を変更
する等の見直しを行っている。(注2)
【堤防高を下げた例】
おお つち
あか はま
こ まくら
岩手県大槌町の赤浜地区・小枕地区では、災害危険区域の指定や高台への集団移転等を踏まえ、地域の合意の下に復旧
する堤防を既存高さにとどめることとしている。
あんど
岩手県
【位置図】
安渡地区
既存(T.P.+6.4m)
↓
L1規模(T.P.+14.5m)
↓
調整結果(T.P.+14.5m)
高台への集団移転
復旧堤防
大槌漁港海岸
大槌湾
高台への集団移転
注1)国土交通省及び農林水産省から海岸管理者に対して、堤防の高さ等については、海岸の機能の
多様性への配慮、環境保全、周辺景観との調和、経済性、維持管理の容易性、施工性、公衆の
利用等を総合的に考慮しつつ、海岸管理者が適切に定めるものである旨を通知。
注2)県からの聞き取りによる(平成27年6月末現在)
小枕地区
既存(T.P.+6.4m)
↓
L1規模(T.P.+14.5m)
↓
調整結果(T.P.+6.4m)
大 槌
港
復旧堤防
赤浜地区
既存(T.P.+6.4m)
↓
L1規模(T.P.+14.5m)
↓
調整結果(T.P.+6.4m)
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