本文 - J

−臨
床
血
液−
第 75 回日本血液学会学術集会
免疫/細胞/遺伝子治療
EL-54 ガイドライン(標準治療)
血小板輸血の適応と新たな副作用予防策
東
寛
Key words : Platelet transfusion, Transfusion trigger, Adverse reaction, Washed/replaced platelet
はじめに
血小板輸血には予防的輸血と治療的輸血の二つがあ
ことが望ましいと記載されている一方で,その代替とし
て,白血球除去製剤を用いることも示唆されている。た
だし,白血球除去製剤と CMV 抗体陰性の製剤のどちら
る。また,血小板輸血の適応を論ずる場合は,外科的疾
を用いるべきかに関するエビデンスはまだない。また,
患と内科的疾患に分けて考える必要もある。血小板輸血
HBV,HCV,HIV に関しては核酸増幅検査にて,ウイ
の適応に関しては,厚生労働省から出されている血液製
ルスの混入している血液を排除しており,安全性は極め
剤の使用指針1)を参考にすることができる。また,同様
て高い。
の内容を,日本赤十字社の「輸血情報」からも知る事が
できる2, 3)。本稿は,若干の私見を加えて指針の行間に
有る部分を解説し,血小板輸血に関する理解を深めるこ
とを目的として書かれた。
1.国内の血小板濃厚液(platelet concentrate; PC)
について
2.血小板濃厚液使用の基本的な考え方(Table 1)
特別な背景を有しない生体(ヒト)に於いては,血小
板数が 5 万/ml 以上あれば,血小板を輸血する必要はな
い。2∼5 万/ml の場合にも,止血困難な場合には必要と
なるが,通常は必要ない。血小板輸血を考慮する必要が
でてくるのは,血小板が 2 万/ml 未満の場合である。そ
日本赤十字社の血液センターで製造される血小板濃厚
れでも,1∼2 万/ml を維持できている場合には,大量出
液(PC)は,総てがアフェレーシスにより採取される。
血等の場合を除き,絶対的適応ではない。従って血小板
従って,総て single donor 由来である。血小板 1 単位は
輸血の絶対的適応は血小板数が 1 万/ml 未満の場合とな
血 小 板 2-1010 個 に 相 当 し,10 単 位 の PC 製 剤 に は
る。しかしながら,慢性的に血小板が減少している状態
2-1011 以上 3-1011 未満の血小板が含まれている。20
(例えば再生不良性貧血)では,出血傾向をきたす他の
単位の PC 製剤は,おおよそ 200 ml の血漿中に 4-1011
素因がなく,安定している場合には 5 千/ml を下回るま
個 の 血 小 板 が 浮 遊 し て い る。血 小 板 数 と し て は
では,積極的な血小板輸血は推奨されない。文献的に
200-104 /ml で あ る。一 方 末 梢 血 液 中 の 血 小 板 数 は
も,生理的に 1 日あたり 7 千/ml の血小板が消費され,
10∼20-104 /ml であるので,PC 製剤の血小板数は末梢
血小板値が 5 千/ml 以上であれば,血管系に特別な問題
血のおおよそ 10 倍の高濃度である。また現在では,保
が無い限り,血管内壁の integrity は安定に保たれてお
存前白血球除去操作が施されており,バッグ内に残存す
り,重篤な自然出血は,血小板数が 5 千/ml を下回らな
る総白血球数は 1-10 個/bag 以下となっている。この
ければ発生しないとされている3, 4)。
6
ことから,輸血によるサイトメガロウイルス感染症のリ
スクはほとんどないと考えられている。日本造血幹細胞
移植学会(2011 年)のガイドラインでは,造血幹細胞
移植においてドナーとレシピエントが共に CMV seronegative の場合には,CMV 陰性の血液製剤を輸血する
3.予防的血小板輸血の適応(Table 2)
3.1 造血器悪性腫瘍・固形腫瘍などの化学療法後ある
いは造血幹細胞移植後の血小板減少状態
薬剤による一過性の血小板減少状態に対して血小板輸
血を考える時,血小板を補充するべき血小板値(trigger
旭川医科大学
(1974)428
小児科
値)および,どれくらいの量の血小板を投与するべきか
臨
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Table 1 Platelet count to be considered for platelet transfusion
Platelet count(/ l)
<0.5×104
<1×104
1─2×104
yes
yes
yes absolutely
when bleeding is on
only when bleeding is
going
uncontrollable
2─5×104
>5×104
no
no
Table 2 Indication for prophylactic platelet transfusion
Disease
Transient thrombocytopenia after
chemotherapy or SCT
Indication
Supplementation
Try to keep 1─2×104/ l plt count#
In case of plt transfusion refractory patient due
yes
to alloimmunization, PC-HLA(or HPA-mached
PC)is required
Chronic thrombocytopenia due to
AA or MDS etc.
Tranfusion trigger to be 0.5×104/ l plt
Under infection or fever, keep 1─2×104/ l plt
In case of plt transfusion refractory patient,
yes
PC-HLA(or HPA-mached PC)is required
TMA(TTP, HUS and SCT-TMA)
HIT
ITP(type II)
no
yes if sever bleeding is on going
no(basically contraindication)
basically no indication
yes
NAIT
abnormality such as Bernard
Soulier syndrome
In case of emergency, massive plt transfusion
from 1 random donar may be effective
Tranfusion of cross mach test negative PC is
when plt count is less than
3×104/ l
Disease with functional
Plt transfusion is considered only when
massive bleeding, surgery or delivery
recommended.
Even plt from random donor may be effective
yes
when sever bleeding or
uncontrollable bleeding is present
# : In case of fever, infectin, solid tumro with necrosis etc, it is recommended to keep plt count>2×104/ l
SCT: stem cell transplantation, AA: aplastic anemia, MDS: myelodysplastic anemia, TMA: thrombotic microangiopathy,
TTP: thrombotic thrombocytopenic purpura, HUS: hemolytic uremic syndrome, HIT: heparin-induced thrombocytopenia,
ITP: immune thrombocytopenia, NAIT: neonatal alloimmune thrombocytopenia
が問題となる。アロ骨髄移植では,予防的血小板輸血が
両 trigger 値で出血のリスクは変わらない6∼10)。また,
一般的である。一方,自家移植の場合に,活動性出血が
予防的投与群(trigger 値を 1 万/ml に設定)と治療的投
観察された時に輸血する(即ち治療的輸血)というトラ
与群の輸血回数および点状出血以上の出血頻度を比較し
イアルが行われ,輸血回数を 50%に減少できたという
た論文によると,当然ではあるが,治療的投与群の活動
報告がある5)。しかしながら,実際の臨床現場では,血
性出血頻度は,前者より 2.3 倍高くなったが,赤血球輸
小板輸血は予防的に行われている。
血の回数や入院日数には差がなかった。しかしながら,
予防的血小板輸血の trigger 値に関しては,2 万/ml と
後者では,頭痛を訴えた患者で,5 名に軽度の脳内出血
1 万/ml との無作為比較試験の報告があり,寛解導入療
が観察され,2 名に致死的脳内出血があったと報告され
法・地固め療法あるいは造血幹細胞移植患者において,
ている(ただし,1 名は血小板値 1.1 万/ml,1 名は肺真
429(1975)
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菌感染症を合併していた)11)。治療的輸血との因果関係
比較した報告がある。これによると血小板輸血が 54 例
は不明であると結論しているが,看過しがたい報告であ
中 33 例に行われているが,この 33 例と残り 21 例で,
ると考える。
死亡,血栓症,神経症状の発生頻度で差がなかったと報
以上より,やはり予防的投与が最良の方針と考える。
告されている15)。従って,TTP において血小板輸血が
Trigger 値を 1 万/ml とすることも可能ではあるが,例
病状を悪化させるか否かは今後のさらなる検討が必要で
えば,早朝採血時の血小板値とその日の最低血小板値が
ある。
必ずしも相関しているわけではなく,かつ,血球計算器
によっては血小板の値が低い場合には,必ずしも正確な
3.4 造血幹細胞移植後の TMA(Stem cell transplan-
値を示さない場合があるので,厳密に,trigger 値 1 万/
ml に基づいた輸血には限界があり,むしろ重篤な出血
tation(SCT)-TMA)
造血幹細胞移植後に TMA を発症することがあり,
のおこるリスクを高める可能性がある。実際,現行の指
SCT-TMA と呼ばれている。ADAMST13 活性は正常か
針でも,妥協案として,血小板数が 1∼2 万/ml を維持
軽度低下しているのみである。また,ADMAST13 活性
するよう計画的な血小板輸血が推奨されている。また,
の低下が原因で発症する特発性 TTP では血漿交換の有
38℃以上の発熱や感染症,凝固障害,ネクローシスを伴
用性が明らかであるが,SCT-TMA では有効性はそれほ
う固形腫瘍の化学療法等の背景がある場合には,通常よ
どはっきりしていない16)。これらのことから,原因は
りも血小板の消費が促進されるので,血小板値が 2 万/
ADMAMST13 の活性低下ではなく,移植前処置に使用
ml を下回らないように細心の注意を払うべきである12)。
される抗がん剤や免疫抑制剤による血管内皮障害であろ
AA(Aplastic anemia)と MDS(Myelodysplastic
ている可能性があり,SCT-TMA の場合にも,血小板輸
syndrome)
血は,慎重に行う必要がある。
うと考えられている。即ち,HUS の発症原因と類似し
3.2
血小板の低値が持続するこれらの病態下に於いては,
輸血の trigger 値は,さらに低いところ(5 千/ml)に設
3.5
HIT(Heparin induced thrombocytopenia)
定して管理する。これは,後述する alloimmunization の
HIT には,非免疫性の HIT(I 型)と免疫性の HIT(II
回避につながりまた,非溶血性副作用の発生防止の点で
型)がある。前者はヘパリン投与の約 10%に見られる。
も理屈にかなっている。しかし,発熱や感染症の合併時
ヘパリン投与後,その直接作用により 2∼3 日後に,軽
には,血小板数を 1∼2 万/ml 以上に保つこととされて
度(10∼30%)の血小板減少が生じる。一過性で特別な
治療的介入は必要ない。II 型 HIT は,血小板第 4 因子
いる。
(PF4)とヘパリンが結合することにより,構造変化が
3.3
TTP(Thrombotic thrombocytopenic purpura)
生じ,あらたに形成される構造に対して抗体が産生され
and HUS(Hemolytic uremic syndrome)
る。これを HIT 抗体と呼ぶ。その抗体の一部が血小板
TTP と HUS の両者は,いずれも病理学的には TMA
を活性化し,凝集,顆粒内容の放出,マイクロパーティ
(Thrombotic microangiopathy)と さ れ て い て,ベ ッ ド
クルの放出を促す。もっとも重要なのはトロンビンの放
サ イ ド で は 鑑 別 が 困 難 な 場 合 が 多 い。前 者 は
出である。HIT 抗体は血管内皮上に存在するヘパラン硫
ADAMTS13 活性の低下のために巨大 vWF 重合体による
酸と PF4 の複合体にも結合し内皮細胞を活性化し組織
血小板凝集の亢進が起きている。後者は verotoxin が腸
因子の放出を促す。これらの一連の反応の結果として,
管上皮細胞,単球,糸球体などの globotriaosylceramide
血小板の減少と血栓塞栓症を発症すると考えられてい
受容体(Gb3)に結合し,血小板の活性化やアポトーシ
る17∼19)。従って,血小板の輸血は禁忌とされている。
ス を 誘 導 す る こ と が 発 端 に な る13) と さ れ て お り,
HIT では,血小板が 1 万/ml 以下になることは稀であり,
ADAMTS13 活 性 の 低 下 は み ら れ な い。従 っ て,
血小板輸血が必要となることは少ない。従って,明らか
ADAMST13 活 性 を 測 定 す れ ば 鑑 別 で き る(た だ し
な出血症状が無い限りは,予防的血小板輸血は避けるべ
ADAMST13 活性の低下を認めない TTP もある)
。両病
きである20)。HIT が疑われる場合には,ヘパリンの投与
態とも血管内で血小板の凝集がおこっているので,血小
を中止するとともに抗トロンビン作用を持つ薬剤(アル
板輸血はむしろ症状を悪化する可能性があり,原則とし
ガトロバン)あるいは抗 Xa 因子活性阻害作用も有する
て 適 応 と は な ら な い と さ れ て い る。し か し な が ら,
薬剤(ダナパロイド)の投与を開始し,血栓の形成を防
HUS に関しては,重症の出血が認められる場合には必
ぐことが推奨されている。
要であるとの記載もある 。TTP に関しては,TTP の
14)
患者への血小板輸血が危険か否かを 54 例の TTP 患者で
(1976)430
臨
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Table 3 Recommended plt count for the surgical intervention
>5×104/ l
Minor surgery
Surgical operation using heart-lung machine
>3×104/ l#)
>8×104/ l
Neurosurgery
Massive bleeding
5∼10×104/ l
Bone marrow aspiration/extraction of teeth
1∼2×104/ l
Lumbar puncture/extra medullary anesthesia/liver
biopsy/trans tracheal lung biopsy
5×104/ l
#)In the case of oozing, plt count should be kept at 5×104∼10×104/ l
3.6
3.7 血小板機能異常症
免疫性血小板減少症
3.6.1 ITP(Immune thrombocytopenia/Idiopathic thrombo-
先 天 的 な 血 小 板 機 能 異 常 症(Bernard Soulier syndrome,血小板無力症 等)や,抗血小板薬内服中の患
cytopenia)
ITP に血小板を輸血しても,無効である。しかしなが
ら,ITP 患者に apheresis PC(1-1011 個以上の血小板
者では,重篤な出血や止血困難な場合にのみ,血小板輸
血の適応がある。
を含んでいると推定される)の輸血を数時間かけて行う
と,投与中に血小板値が 8-104/ml 以上まで上昇し,出
血を止めることができたことが報告されている 。ただ
21)
し,輸血終了後,速やかに血小板値は低下した。従って,
3.8 外科的処置前の予防投与(Table 3)
血小板が 5 万/ml 以上であれば,通常の手術の場合,
血小板の補充なしに可能であるとされている。しかし,
後述するが,外傷による出血や外科手術の直前あるいは
大量の出血を伴うと予想される手術では 5∼10 万/ml 以
分娩への緊急対応として輸血が適応となる場合がある。
上の血小板数が必要とされる。特に脳外科手術のように
局所での止血が困難な場合には,8 万/ml(あるいは 10
3.6.2
NAIT(neonatal alloimmune thrombocytopenia)
万/ml)以上が必要とされている。
NAIT は児の持つ,アロ抗原系の一つであるヒト血小
骨髄穿刺や抜歯の場合には血小板数は 1∼2 万/ml,腰
板特異抗原(Human platelet specific antigen; HPA)や
椎穿刺,硬膜外麻酔,経気管支生検,肝生検では血小板
HLA class I 抗原に感作された母体の抗体(抗 HLA class
数 5 万/ml あれば安全に施行できるとされている。
I 抗体あるいは抗 HPA 抗体)が胎盤を通して胎児に移
行することが原因で,新生児に一過性の血小板減少症を
きたすものである。重篤な場合(血小板値 3 万/ml 以下)
3.9 人工心肺使用手術時の周術期管理(Table 3)
術中・術後を通して血小板数が 3 万/ml 未満に低下し
には,頭蓋内出血の危険がある。原因が HLA 抗体の場
ている場合には,血小板輸血の適応である。たたし,人
合には,いわゆる PC-HLA の輸血を行うが,HPA 抗体
工心肺離脱後の硫酸プロタミン投与後に血算及ひ凝固能
が原因の場合にも HPA 抗体の認識する HPA 抗原陰性
を適宜検査,判断しなから,必要に応じて 5 万/ml 程度
の血小板が必要である。特に,HPA 不適合による NAIT
を目処に血小板輸血の開始を考慮する。また,複雑な心
では,7∼14%に出生後 1 日目に頭蓋内出血を発症す
大血管手術で長時間(3 時間以上)の人工心肺使用例,
る22, 23) と報告されている。ちなみに,第 1 子でも NAIT
再手術など広範な癒着剥離を要する例,及び慢性の腎臓
が発生しうる。第 1 子では,あらかじめ NAIT の発症を
や肝臓の疾患で出血傾向をみる例の中には,血小板減少
予測できないので,母親由来の血小板を含めて,抗原の
あるいは止血困難な出血(oozing)をみることがあり,
適合した検査済み血小板の迅速な入手が困難な場合があ
凝固因子の欠乏を伴わずこのような病態を呈する場合に
る。そのような場合には,適合血小板が入手されるまで
は,血小板数が 5 万/ml∼10 万/ml になるように血小板
の間,ランダムドナー由来の血小板を輸血することで,
輸血を行う。近年,クリオプレシピテートやフィブリ
対応できることが報告されている24)。
ノーゲン製剤を用いた止血の有効性が明らかになり25, 26)
上記の方針も変化する可能性がある。
431(1977)
−臨
床
血
液−
Table 4 Therapeutic platelet transfusion
Condition
Indication
yes
more than 5×104/ l plt count is
required
DIC
yes
keep more than 3×104/ l plt count,
shoul be cautious because it is hard
to distinguish DIC from TMA
life-threatening massive bleeding
yes
Active bleeding(retina/CNS/
lung/digestive tract)
4.治療的血小板輸血の適応(Table 4)
4.1
supplementation
活動性出血
when estimated bleeding volume
exceed the circulatory volume
なった状態を血小板不応状態とよぶ。原因として,免疫
性と非免疫性がある。後者の原因としては,脾腫,発熱,
ヘ パ リ ン,出 血,発 熱,薬 剤(例 え ば,Amphotericin
血小板減少による重篤な活動性出血を認める場合(特
など)
,DIC などがある。一方,血小板表面にはアロ抗
に,網膜,中枢神経系,肺,消化管等の出血)には血小
原として class I 抗原および血小板特異抗原(HPA)が
板数を 5 万/ml 以上に維持するように血小板輸血を行
発現している。瀕回の輸血により,受血者が HLA class
う。抗血小板薬を服用中の場合には,血小板数が十分
I(あるいは HPA)に対するアロ抗体を産生すると,抗
あっても輸血を考慮する必要がある。
体の認識するアロ抗原を発現している血小板を輸血して
も血小板値の上昇が期待どおりに得られなくなる。多く
4.2
DIC(Disseminated Intravascular Coagulation)
DIC の発症は,基礎疾患(白血病,癌,産科的疾患,
は,抗 HLA class I 抗体が原因である。このような場合
には,HLA 一致ドナーからの血小板が有効であるが,
重症感染症など)が背景にある。血小板が急速に 5 万/
ドナー数が限られる。従って,あらかじめ HLA 抗原の
ml 以下に低下し,出血症状を認める場合には血小板輸
タイピングが済んでいる登録ドナープールの中から,患
血の適応となる。既述のごとく TTP は血管内皮障害と
者の血液中に出現した抗 HLA 抗体の認識する抗原を有
巨大 vWF 重合体による血小板凝集の亢進で起こり,血
しない HLA 抗原をもつドナー(例えば,HLA A 座の一
小板を主体とした血栓が起こるため,血小板輸血をする
致したドナーを抽出し,その中の許容できる B 座を持
と血栓形成を誘発させる恐れが有るが,DIC は,凝固
つドナー)を洗い出し,最後に実際にクロスマッチ陰性
因子のトロンビン形成を主体とした血栓であり,しかも
であることを確認して血小板を輸血する。しかしなが
同時に凝固因子や血小板消費による出血傾向を示すた
ら,患者の持つ抗 HLA 抗体の特異性が広汎な場合には
め,血小板数が 3 万/ml を切らないように積極的に血小
適合ドナーの数が限られる。HPA に対するアロ抗体に
板輸血を行う。両者は病態生理が根本的に異なるが,実
よる血小板輸血不応状態の場合には,HPA 抗原一致ド
際の臨床では DIC であっても,血栓形成による臓器障
ナーからの血小板の輸血が必要となる。アロ抗原系では
害が強いと考えられる場合には,血小板輸血は慎重に行
ないが,通常血小板上に発現している CD36 分子が欠損
うべきである。
している,CD36 抗原陰性の受血者が,CD36 陽性の血
小板を輸血された後に,抗 CD36 抗体陽性となり,血小
4.3
大量出血
板輸血不応状態となることが知られている27)。この場合
短時間に大量の出血が起こる,危機的出血では,すべ
ての血液成分が低下する。出血量が循環血液量を越える
には CD36 陰性のドナー由来の血小板の輸血が必要とな
る。
場合には血小板数の低下による出血傾向がでてくる可能
性がある。成人の危機的出血では 10∼20 単位の血小板
輸血が必要となることが多い。
5.血小板輸血不応状態
5.1
免疫学的機序による血小板不応状態
血小板輸血で期待される血小板値の上昇が得られなく
(1978)432
5.2 非免疫学的機序による血小板輸血不応状態
免疫学的機序が証明できない,あるいは適合血小板を
輸血しても血小板値の上昇がみとめられないいわゆる非
免疫学的機序による血小板輸血不応状態に陥る場合があ
る。そのような場合には以下の対応が考えられる28)。1)
少量の血小板製剤を瀕回に輸血することで血管壁の安定
臨
床
血
液 54:10
Table 5 Adverse reaction type and rate to plasma- and W/R-PC(quoted and modified from reference 30)
Plasma-PC
W/R-PC
Prophylactic
Patient
Disease
Adverse reaction
Pre medication
1
MDS
Hives, palpitation
Hydrocortisone+
Anti-histaminics
None
12/12
0/10
2
AML(M2)
Hives
Hydrocortisone+
Anti-histaminics
None
2/2
0/38
3
AML(M4)
Hives
None
4/4
0/4
4
AML
Hives
Hydrocortisone
None
56/193
0/9
5
AML(M2)
, Chron
disease
Hives, palpitation, respiratory
deistress
Hydrocortisone
None
4/12
0/14
Hives
None
−
11/19
0/10
None
−
5/7
0/18
effect
Hydrocortisone+
Anti-histaminics
Reaction Reaction
MDS, splenomegaly
6
exacerbation of
hepatitis by steroid
Hives, chills, paleness, hypotension,
7
Myelofibrosis
8
Aplastic anemia
Wheals, hypotension, respiratory
distress, SaO2 83%
Hydrocortisone
None
3/7
0/3
9
AML
Generalized rash, edema,
hypotension(anaphylaxic shock)
Methylpredonisone+
glycyrrhizin
None
9/9
1/15#
10
AML
(M2)
Wheals, hypotension,
laryongoedema, nausea, respiratory
Methylpredonison
None
7/7
0/3
respiratory distress
distress, SaO2 90%
11
MDS
Hives
Hydrocortisone
None
2/2
0/25
12
AML
Hives, respiratory distress, SaO2
90%
Hydrocortisone
None
2/2
0/7***
# : only mild skin rash was observed
性を保つ。2)IVIG の投与は一過性に血小板値の上昇が
血小板数として 2.0-1011 個以上 3.0-1011 未満が含まれ
得られる可能性がある。
ている。血小板輸血終了直後の予測血小板増加数(/ml)
さらに,凝固物の安定化,あるいは出血のコントロー
ルを目的に,3)線溶系を抑制する薬剤の投与 あるいは
4)recombinant factor VIIa の投与等を考慮する局面もで
は,次式により算出する。
予測血小板増加数(/ml)=(輸血血小板総数/循環血液量
(ml)-103)-2/3
てくる場合が予想される。
6.投与量と効果の評価
6.1
予測血小板増加数
実際の臨床では,1 回に 10 単位の PC 製剤が輸血さ
れるのが一般的である(ただし,15 単位,20 単位の
ただし,成人の場合循環血液量(ml)は 70 ml/kg と
する。投与した血小板の 1/3 は脾臓に取り込まれるため
補正係数の 2/3 を掛ける。従って成人に 10 単位の血小
板製剤を投与するとおおよそ 3 万/ml 程度の上昇が期待
できると考えてよい。
PC が輸血される場合もある)
。10 単位の PC 中には,
433(1979)
−臨
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血
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Table 6 Indication guidance for washed and replaced platelets and their preparation(Version III)
Original version, Februar y 1, 2008
Version II presented, Februar y 1, 2009
Version III presented, July 19, 2013
Purpose
In clinical settings, platelets are washed before administration to patients for the purpose of
preventing side effects such as uticaria, fever, respiratory distress, decreased blood pressure
and anaphylaxis from transfusion of platelet preparations. However, there are no clear
guidelines for their indications, judgment of effects, composition of fluids used in washing,
or washing methods, and no means of uniform evaluation for the prevention of side effects.
The transfusion formulation subcommittee of our Society conducted a questionnaire survey
on the use of washed and replaced platelet preparations in 2005 and 2006, and showed the
ef fectiveness of washing and replacement of platelets in preventing side ef fects. These
guidelines were prepared based on the results of that questionnaire survey, with the aim of
safer and more appropriate preparation and use of washed and replaced platelets.
Indications
1)Cases in which side effects that cannot be prevented with preadministration of various drugs
are observed two or more times.
2)Cases in which serious side effects such as anaphylactic shock are observed once.
(authorized by the Japan Society of Transfusion Medicine and Cell Therapy)
(http://www.jstmct.or.jp/jstmct/Document/Guideline/Ref9-2.pdf)
6.2
輸血効果の評価
輸血直後に増加した血小板が一定期間流血中に残って
そ,1,000 バッグに 1 件の頻度で発生している。症状と
しては,軽度の蕁麻疹や発熱などの軽症のものから,
いなければ,輸血効果がないと判断しなければならな
ショック,呼吸困難などの重篤なものまで多岐にわた
い。判 定 の 為 に 用 い る 指 標 が 補 正 血 小 板 増 加 数
る。その原因に関しても,未だ不明である。IgA や hap-
(Corrected Count Increment; CCI)で以下の式により算
出する。
toglobin 欠損症の受血者が健常人の血液製剤の輸血を受
けてアナフィラキシー様反応をきたす場合や,製剤中の
CCI(/ml)=(輸血血小板増加数(/ml)- 体表面積(m2))
/輸血血小板総数(-1011)
輸血が終了してから,1 時間後(あるいは 24 時間後)
の血小板値から輸血前の血小板値を引いた値が輸血血小
板増加数である。特別なことがなければ,輸血後 1 時間
アロ抗体が原因と想定される例も報告されているが,い
ずれも副作用症例のごく一部にすぎない。また,副作用
の予防として,抗ヒスタミン剤やステロイドの前投与が
行なわれているが,その予防効果に関する明確なエビデ
ンスはまだ無い。
後の CCI および輸血後 24 時間後(あるいは翌朝)の
8.血小板製剤による副作用の予防対策
CCI はそれぞれ 7,500/ml 以上および 4,500/ml 以上であ
8.1 副作用の予防を目的とした洗浄/置換血小板の輸
る。CCI 値がこれらの値を下まわる場合には,
「輸血効
血
果無し」と判定される。その場合には,その原因を明ら
血小板の輸血を繰り返し行う間に,生命の危険を伴う
かにして,無効な輸血を行わないようにするべきであ
ような重篤な副作用が瀕回に発症する患者に対して,輸
血直前に生理食塩水等で血漿を洗浄/置換したものが投
る。
7.血小板製剤の輸血による副作用
与されていた。一方,臨床現場では,洗浄操作そのもの
が煩雑で,洗浄操作を継続して実施できる施設は非常に
血小板製剤による副作用の発生頻度は赤血球製剤や新
限られていた。また,副作用の発症が必ずしも毎回観察
鮮凍結ヒト血漿(FFP)よりも頻度が高く,日本赤十字
されないので,洗浄による副作用防止効果そのものを疑
社に報告される副作用の集計結果によれば毎年,おおよ
問視する意見もあった。しかしながら,洗浄血小板を使
(1980)434
臨
用することで,蕁麻疹,発熱といった軽度のものだけで
文
はなく,ショックや呼吸困難といった重篤なものまで,
床
血
液 54:10
献
ほとんど総ての副作用を防止することが期待でき
1)厚生労働省医薬食品局血液対策課. 「輸血療法の実施に関
。また,後述する電解質液(M-sol)を用いて調
する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正につい
る
29, 30)
製した洗浄/置換血小板を輸血すると,輸血後の CCI は,
通常の濃厚血小板輸血後の CCI と同等あるいはそれ以
上の値を得ることができる29, 31)。
8.2
洗浄/置換血小板輸血の適応
て(薬食発 0306 第 4 号 平成 24 年 3 月 6 日). 2012.(http://
www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/tekisei1
20319.html).
2)日本赤十字社. 輸血情報 0511-93 血液製剤の使用指針(改
定 版),血 小 板 濃 厚 液,. http: //www. jrc. or. jp/vcms_lf/
iyakuhin_yuketu0511-93_090805.pdf
洗浄/置換血小板の適応に関しては,日本輸血・細胞
3)Slichter SJ, Harker LA. Thrombocytopenia: mechanisms and
治 療 学 会 の ホ ー ム ペ ー ジ(http: //www. jstmct. or. jp/
management of defects in platelet production. Clin Haematol.
jstmct/Document/Guideline/Ref9-1-120402. pdf)に そ の
適応が記載されている(Table 6)
。
即ち,
1)種々の薬剤の前投与の処置等で予防できない副作用
が 2 回以上観察された場合,
2)あるいはアナフィラキシーショックなどの重篤な副
作用の場合には 1 回でも観察された場合
これらの場合には洗浄/置換血小板の輸血を考慮して
1978; 7: 523-539.
4)Gaydos LA, Freireich EJ, Mantel N. The quantitative relation
between platelet count and hemorrhage in patients with acute
leukemia. N Eng J Med. 1962; 266: 905-909.
5)Wandt H, Schaefer-Eckart K, Frank M, Birkmann J, Wilhelm
M. A therapeutic platelet transfusion strategy is safe and
feasible in patients after autologous peripheral blood stem
cell transplantation. Bone Marrow Transplant. 2006; 37: 387392.
もよいとされている。特に,血小板輸血不応状態に陥
6)Slichter SJ. Relationship between platelet count and bleeding
り,PC-HLA の輸血が必須の患者で,輸血による重篤な
risk in thromobocytopenic patients. Transfus Med Rev. 2004;
副作用が発生する可能性が高い場合には,洗浄/置換血
小板を積極的に使用するべきであると考える。洗浄/置
換血小板の調製方法についても日本輸血・細胞治療学会
のホームページに詳しい説明が掲載されている。
18: 153-167.
7)Rebulla P. Finazzi G, Marangoni F, et al. The threshold for
prophylactic platelet transfusions in adults with acute
myeloid leukemia. Gruppo Italiano Malattie Hematologiche
Maligne dellBAdulto. N Eng J Med. 1997; 337: 1870-1875.
8)Heckman KD, Weiner GJ, Davis CS, Strauss RG, Jones MP,
8.3
洗浄/置換血小板の調製システムの現状
血小板製剤は血液センターから供給されるが,血液セ
ンターで洗浄操作を施したものは,調製後 6 時間を過ぎ
ると血小板機能が劣化することがわかっており,洗浄操
作を血液センターにゆだねる事も困難であった。
近年,血小板を血漿とほぼ同等のクオリティーを保ち
ながら,血漿と同等以上の長期に渡り血小板の保存が可
能な電解質液(M-sol)が開発された32)。その結果,Msol に浮遊された洗浄/置換血小板を,技術協力の一環と
Burns CP. Randomized study of prophylactic platelet
transfusion threshold during induction therapy for adult
acute leukemia: 10, 000/microL versus 20, 000/microL. J Clin
Oncol. 1997; 15: 1143-1149.
9)Wandt H, Frank M, Ehninger G, et al. Safety and cost
effectiveness of a 10 x 109/L trigger for prophylactic platelet
transfusions compared with the traditional 20 x 109/L trigger:
a prospective comparative trail in 105 patients with acute
myeloid leukemia. Blood. 1998; 91: 3601-3606.
10)Zumberg MS, del Rosario ML, Nejame CF, et al. A prospec-
して,血液センターから供給することが可能になった。
tive randomized trial of prophylactic platelet transfusion and
さらに,ごく最近,血小板の洗浄/置換操作は,血小板
bleeding incidence in hematopoietic stem cell transplant
洗浄術として保険収載された。それを機に,血液セン
ターでも技術協力の体制が整い,各々の病院は,2013
年 4 月 1 日から,血小板洗浄術を最寄りの血液センター
recipients: 10, 000/ml versus 20, 000/ml trigger. Biol Blood
Marrow Transplant. 2002; 8: 569-576.
11)Wandt H, Schaefer-Eckart K, Pilz B, et al. Experience with
therapeutic platelet transfusion strategy in acute myeloid leu-
に委託できることとなった。独自で血小板洗浄術を行え
kemia: preliminary results of a randomized multicenter study
ない施設には朗報である。数年後には,洗浄/置換血小
after enrolment of 175 patients[abstract]. Blood. 2009; 114:
板製剤が正式に認可された製剤として血液センターから
供給される見込みである。
14. Abstract 20.
12)Schiffer CA, Anderson KC, Bennett, CL, et al. Platelet
transfusion for patients with cancer: clinical practice
著者の COI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連
して特に申告なし
guidelines of the American Society of Clinical Oncology. J
Clin Oncol. 2001; 19: 1519-1538.
435(1981)
−臨
床
血
液−
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