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PCT同盟総会が開催される(2013年秋)
-ウクライナがISA及びIPEAに選定される-
-規則改正:WO/ISAの公開時期が早まる-
-規則改正:国際予備審査にトップ・アップ調査を導入-
〔概要〕
第44回PCT同盟総会が、2013年9月23日から10月2日にわたりスイスのジュネ
ーブにあるWIPO本部で開催されました。
この総会において、新たにウクライナ国家知的財産庁が国際調査機関(ISA)及び
国際予備審査機関(IPEA)に選定されました。
また、規則改正がされ、国際調査機関の見解書(WO/ISA)が第三者に利用可
能となる時期が優先日から30カ月経過後であったものが、国際公開日に早まりまし
た。
さらに、国際予備審査にトップ・アップ調査(Top-up Searches)を導入すべく規
則改正がされました。
上記規則改正は2014年7月1日に発効します。
<目 次>
1.ウクライナが国際調査機関及び国際予備審査機関に選定される
2.国際調査機関の見解書(WO/ISA)の第三者への提供時期が早まる
3.国際予備審査にトップ・アップ調査を導入
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〔詳細〕
1.ウクライナが国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)に選定される
第44回PCT同盟総会おいて、新たにウクライナ国家知的財産庁(SIPS)1 が国際
調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)に選定されました。
現在(2013年10月)、ウクライナを含めて19の国内官庁及び広域官庁が国際調
査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)に選定されていますが、このうち201
2年末時点でISA及びIPEAとして活動を行っていたのは、日本特許庁、米国特許
商標庁、ヨーロッパ特許庁等14の機関でしたが、2013年に新たに以下の3つの機
関が活動を開始しています。
・イスラエル特許庁(IL)---言語は英語(2013年2月1日活動開始)
・エジプト特許庁(EG)----言語は英語及びアラビア語(2013年4月1日活動開始)
・インド特許庁(IN)--------言語は英語(2013年10月15日活動開始)
なお、すでに選定されているチリ国家知的財産庁(CL)は活動開始時期を2014
年10月に予定していますが、ウクライナ国家知的財産庁(UA)の活動開始時期は未
定です。
2013年10月現在、選定されている国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関
(IPEA)については、別紙をご参照ください。
2.国際調査機関の見解書(WO/ISA)の第三者への提供時期が早まる
-2014年7月1日発効-
現在、国際出願について作成された国際調査機関の見解書(WO/ISA)は、当
該国際出願の優先日から30カ月が経過するまで第三者に利用可能とされませんで
した(規則44の3.1)。
しかし、今回の規則改正により、国際調査機関の見解書(WO/ISA)は国際公開
の日から利用可能になります。
この改正により、2014年7月1日以降に出願される国際出願について作成される
国際調査機関の見解書(WO/ISA)は、当該国際出願の国際公開の日から「PAT
ENTSCOPE2」から入手し利用可能となります。
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<規則改正の内容>
・規則44の3.1の削除
国際事務局及び国際調査機関は、優先日から30カ月を経過する前に、いかなる
者又はいかなる当局に対しても、国際調査機関の見解書(WO/ISA)が知得される
ようにしてはならない、と規定したPCT規則44の3.1が削除されました。
・規則94.1(b)の改正
これに伴い、国際事務局が保有する一件書類の利用に関し、「国際事務局は、第
38条及び規則44の3.1の規定に従うことを条件とし、かつ、国際出願が国際公開さ
れた後はいかなる者の請求にも応じ、役務の費用の支払いを条件として、一件書類
中の文書の写しを提供する。」、と規定されていた規則94.1(b)から「及び規則44の
3.1」が削除されました。
改正前は、国際調査機関の見解書(WO/ISA)は国際出願の優先日から30カ月
が経過するまで利用可能になりませんでしたが、上記規則改正により国際出願の国
際公開の日から利用可能になりました。
3. 国際予備審査にトップ・アップ調査を導入することが採択される
-2014年7月1日発効-
国際予備審査に「トップ・アップ調査(Top-up Searches)」を導入することがPC
T同盟総会で採択され、トップ・アップ調査に関する規定が新たに設けられました。
[トップ・アップ調査とは]
トップ・アップ調査は、国際予備審査において、国際調査が完了した後に利用可
能となった関連する公開された特許を見つけることを目的としています。
トップ・アップ調査を国際予備審査に導入することにより、国際調査の時点で利用
可能でなかった国際調査完了後に公開された特許文献を調査し、関連する先行技
術が含まれていれば、当該特許文献を引用してより精度の高い国際予備審査を行う
ことができます。
なお、提案されている規則では、国際出願が発明の単一性の要件を満たしていな
い(第34条(3))、国際出願の対象が国際予備審査を要しないとされている(第34条
(4))、又は国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲である(規則
66.1(e))、のいずれかに該当する場合は、これらに該当しない国際出願の一部の
みについてトップ・アップ調査を行えばよいとされています。
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<新たに設けられたトップ・アップ調査に関する規則>
トップ・アップ調査に関し新設される規則を以下に記します。
〇規則66.1の3 (新設)
国際予備審査機関は、国際調査報告が作成された日の後に公開された又は当
該予備審査機関にとって調査のために利用可能となった規則64に規定された「国
際予備審査における先行技術」を発見する調査(トップ・アップ調査)を行う。ただ
し、当該調査が有用でないと考える場合を除く。
国際予備審査機関が、第34条(3)(国際出願が発明の単一性の要件を満たし
ていない)又は(4)(国際出願の対象が国際予備審査を要しないとされている)、又
は規則66.1(e)(国際調査報告が作成されていない発明に関する請求の範囲で
ある)のいずれかに該当することを発見したとき、トップ・アップ調査は国際予備審査
の対象となる国際出願の一部のみについて予備審査を行う。
〇規則70.2(f) (新設)
国際予備審査報告には、規則66.1の3に規定されたトップ・アップ調査がされた
日付を表示し、又はトップ・アップ調査がされなかったことを記述する。
[トップ・アップ調査の導入時期について]
トップ・アップ調査導入のための上記新設規定は2014年7月1日に発効し、国際
出願日に関係なく、2014年7月1日以降に国際予備審査請求がされた国際出願に
適用されます。
なお、トップ・アップ調査導入までに、国際予備審査機関がトップ・アップ調査を行
うための準備をし、「実施細則」及び「国際調査及び国際予備審査ガイドライン」の修
正をする必要があります。
2013年10月22日
(IP情報室)
ⓒSEIWA PATENT&LAW
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英語名は“The State Intellectual Property Service of Ukraine”
PATENTSCOPE:インターネット上で“PCT Resources”と入力し、“Patent Data”の
項目に含まれている“PATENTSCOPE Search Service”をクリックすると、国際出願番
号等を入力する枠が表示されるので、そこに番号を入力すると当該番号の国際出願に係る
一件書類にアクセスできます。
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別紙
国際調査機関及び国際予備審査機関(19機関)
(2013年10月1日現在)
(名
称)
(国際調査のために受け入れる言語)
日本特許庁(JP)
日本語、英語
ヨーロッパ特許庁(EP)
英語、フランス語、ドイツ語
米国特許商標庁(US)
英語
オーストラリア特許庁(AU)
英語
オーストリア特許庁(AT)
ロシア特許庁(RU)
英語、フランス語、ドイツ語、
ハンガリー語、ロシア語
スウェーデン語、デンマーク語、
フィンランド語、ノルウェー語、
英語、フランス語
ロシア語、英語、
中国知識産権局(CN)
中国語、英語
スペイン特許商標庁(ES)
スペイン語
韓国特許庁(KR)
韓国語、英語
カナダ特許庁(CA)
英語、フランス語
フィンランド特許登録国内委員会(FI)
英語、フィンランド語、スウェーデン語、
ノルディック特許庁(XN)
英語、デンマーク語、ノルウエー語、
スウエーデン語、アイスランド語
ブラジル産業財産庁(BR)
英語、ポルトガル語、スペイン語
イスラエル特許庁(IL)
英語
(2013年2月1日活動開始)
エジプト特許庁(EG)
英語、アラビア語
(2013年4月1日活動開始)
インド特許庁(IN)
英語
チリ国家知的財産庁(CL)
スペイン語
ウクライナ国家知的財産庁(UA)
未定
スウェーデン特許庁(SE)
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(2013年10月15日活動開始)
(2014年10月活動開始予定)