情報提供資料 #23 Market View 過ぎたるは、・・? 2016 年 5 月 6 日 皆さま こんにちは。 みずほ投信投資顧問で執行役員運用戦略部長を務めます柏原延行です。 まず、この度の熊本地震により、被災された方にお見舞い申し上げます。 弊社は、金融機関であり、暦通りのゴ-ルデンウィ-クでした。花粉症の季節が終焉にむかい、ジメジメ する梅雨の前に連休があることは、社会人にはありがたいことです(連休も勤務された方々、本当にご苦 労様です。連休を楽しく過ごせたのは働いてくださる方々のお陰です)。願わくば、新社会人の皆さまも 5 月病にかかることなく、元気にご出勤ください。 我が家が休日に時々訪れる二子玉川のショッピングセンタ-には、とても華やかな香辛料(スパイス) の専門店があります。様々なスパイスを、すり鉢を使い自身の手でブレンドすると(昔のお医者さんみたい ですね)、素晴らしい香りを体験できるように思います。 そこで、スパイスについての文献を購入し、あれこ れ考えてみましたが、最終的な料理に仕上げる自信 【スリランカ料理(筆者撮影) 】 弊社は入居しています は生まれず、今回はスパイスの購入を断念することに しました。そのかわり、スパイスの効いた料理が堪能 できるスリランカ料理のお店に、お邪魔してきました。 このお店では、インド・スリランカの伝統医学である ア-ユルヴェ-ダに基づく料理を楽しむことができま す。これまで食したことがない味であり、様々なスパイ スを感じ、彩りも鮮やかです。また、美味しいのはもち ろん、繊細で、複雑な味がします。 私が理解したところでは、ア-ユルヴェ-ダは予防医学的な色彩もあり、食事を大切にします。料理を 食べる前に、まず白湯や薬膳的なス-プを楽しみます。そして、胃の中に、料理が三分の一、水分が三分 の一、空いている部分が三分の一のバランスが望ましいとされているようです(食事の前にアルコ-ルで はなく、白湯を飲むという習慣を持ちたいと思いました)。 ※最終ペ-ジの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 1/6 さて、日本株の動向等からは、昨年も、今年も、株価の下落が一定期間継続し、投資家がリスク回避的 な姿勢になる局面(一般的には、リスク資産である株式の下落局面、リスク・オフ局面といわれる)が見受 けられます。しかし、投資家が懸念する内容は昨年と今年では異なっていると理解しています。 昨年において、投資家の懸念は新興国や資源国の経済および金融市場に対するものが中心でした。 具体的には、①昨年夏の中国株式市場の大幅下落に端を発し、中国金融市場(為替を含む)および中国 経済に大きな混乱が発生すること、②原油・資源価格の下落により、資源国経済が急速に悪化することで した。 しかし、これらの懸念は足元では急速に後退しています。 まず、中国経済に関しては、足元で経済の持ち直しが顕著であるように思われます。経済対策の効果 もあり、投資が活性化しており、(需要を上回る)過剰な生産能力を抱える代表的な業種とされた鉄鋼業に も持ち直しの動きがみられます(図表1)。加えて、金融市場の不安定化要因であった中国の外貨準備に 関しても減少に歯止めが掛かり(3月末の中国外貨準備高は前月比増加しました)、この結果、一時は大 幅下落の懸念があった人民元相場も安定を取り戻しています(図表2)。 もちろん、短期的な経済対策と中長期的な構造改革が両立するかについては、諸説ありますが、当面 の景気の底割れ懸念は回避されたものと思われます。 図表1:中国の粗鋼生産 (%、前年比) 図表2:中国人民元の推移(対米ドル) (元) 2013 年 1 月~2016 年 3 月:月次 2015 年 1 月 1 日~2016 年 4 月 29 日:日次 (年/月) 出所:データストリームおよびブルームバーグが提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。 ※上記は、将来における中国の粗鋼生産および中国人民元の推移(対米ドル)を示唆、保証するものではありません。 ※最終ペ-ジの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 2/6 (年/月) 次に、資源価格の下落に伴う資源国経済の悪化懸念です。これについては、たしかに、(経済制裁の解 除に伴う)イランによる増産が見込まれ、供給過剰への懸念が残る原油市場に不透明感はありますが、 先ほどの中国経済の底打ちに合わせ、鉄鉱石等の商品市況(価格)は改善しており(図表3)、商品市場 は底打ちの兆しがみえない昨年の状況とは随分異なっています。 (米ドル) 図表3:鉄鋼石の価格推移 2013 年 1 月 1 日~2016 年 4 月 29 日:日次 (年/月) 出所:データストリームが提供するデータを基にみずほ投信投資顧問が作成。 ※上記は、将来における鉄鉱石の価格推移を示唆、保証するものではありません。 一方で、今年になってから本格化した懸念は、先進国経済の減速です。 IMF(国際通貨基金)は、4 月 12 日に国際経済見通しを発表しました。この中では、2016 年の経済成長 率に関して、中国は 6.5%と 1 月予想比 0.2%上方修正される一方、日本は 0.5%と 1 月予想比 0.5%も下 方修正されました。米国、ユ-ロ圏も我が国ほどではないにしろ、各 2.4%、1.5%と両地域とも 1 月予想比 0.2%下方修正されています(私は、4 月 12 日以降、日銀による金融政策の発表前まで続いた日本株の上 昇基調は、IMF による下方修正発表を「悪材料の出尽くし」と評価した投資家がいたことの現れであるよう に思います。それだけ、日本の景気減速が市場の注目を集めている証しです。)。 先進国の経済成長に不安があるため、特に景気の失速懸念のある地域での政策動向に対して、市場 は一喜一憂する傾向を強めることになります。 4 月は、21 日の欧州中央銀行(ECB)理事会を皮切りに、27 日の米連邦準備制度理事会(FRB)、28 日 の日銀金融政策決定会合まで金融政策の発表が続き、市場の注目を集めましたが、端的な結論としては、 いずれも「現状の金融政策を維持する」との内容でした。 ※最終ペ-ジの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 3/6 この結果、IMF が 2016 年の経済成長率を 0.5%と米国、ユ-ロ圏と比較して大幅に低く予想し、かつ 1 月予想比 0.5%もの下方修正があり、景気の失速懸念が強い日本では、金融政策の発表後、株価の大幅 下落を余儀なくされました(4 月 28 日、5 月 2 日の合計で、日経平均株価は、1,000 円以上下落しました)。 今回は、①事前に追加緩和の実施を示唆するような報道が続いたため、現状維持との結論を驚きを 持って受け止めた投資家が一定数いたことを主因としつつ、②日銀の経済・物価情勢に対する見方が強 気であり、追加緩和の実施時期が後ズレするとの印象を投資家が受けたことも一因であるように思いま す。 日銀は年に 4 回、経済・物価情勢の展望を発表します。今回は、「基本的見解」を 4 月 28 日に、「背景 説明」を含むフルバ-ジョンを 4 月 29 日に発表しました。背景説明を含む「経済・物価情勢の展望(2016 年 4 月)」は、100 ペ-ジを超える分量であり、日本銀行の考え方を詳細に説明しています。 この中で「(物価を取り巻く環境):中長期的な予想物価上昇率」(27~28 ペ-ジ)については、「このとこ ろ弱含んでいる」として、市場の持つデフレ再発懸念を日銀は認めているようです。しかし、①企業が「前 向きな価格設定スタンスを維持」していること、②消費者も、「雇用・所得環境の改善を受けて価格改定を 受容している」ことから、「賃金の上昇を伴いつつ、物価上昇率が緩やかに高まっていくというメカニズムは 着実に作用していると考えられる」としています。再度デフレ入りしないためには将来に対する企業・消費 者の予想物価上昇率は極めて重要ですが、「実際の物価上昇率が高まっていくもとで、中長期的な予想 物価上昇率も上昇傾向をたどり」、目標の「2%程度に向けて次第に収斂していく」としています。 この文言を素直に読むと、早期の追加緩和期待が剥落するのも無理がないことのように思います。 しかし、日銀は 1 月にマイナス金利導入を含む追加緩和を実施したばかりであり、金融政策の変更が 実体経済に効果を与えるためには、相応の時間が必要なことは自明のことです。したがって、決定内容自 体や発表文、総裁の記者会見等はたしかに重要ですが、これに過度に注目し、実体経済の変化を丹念に 把握しない、あたかもム-ドに流されたような投資判断は、「過ぎたるは及ばざるごとし」で中長期投資に は有害なのではないかと考えます。 ア-ユルヴェ-ダが食事におけるバランスを重視するように、日銀の発表内容だけではなく実体経済 の変化に注目することや、国際協調や財政政策等との相乗効果にも目配りしたバランスのとれた投資判 断が投資家には必要であると思われます。 ※最終ペ-ジの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 4/6 投資環境は流動的なものであり、弊社では引き続き、投資判断のお役に立てるような情報の迅速・的 確な発信に努める所存です(なお、先進国経済の変化に関しては、マ-ケットマンスリ-(マクロ編)をご覧 いただければ、一通りの内容はご理解いただけると考えます)。 引き続き、弊社をよろしくお願いします。 (2016 年 5 月 6 日執筆) ※最終ペ-ジの「本資料のご利用にあたっての注意事項等」をご覧ください。 5/6 [投資信託のお申込みに際しての一般的な留意事項] ● 投資信託に係るリスクについて 投資信託は、主として国内外の株式、公社債および不動産投資信託証券(リ-ト)などの値動きのある証 券等(外貨建資産に投資する場合には為替変動リスクもあります。)に投資しますので、ファンドの基準価額 は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元金は保証されているものではなく、基準価額の下落に より、損失を被り、投資元金を大きく割り込むことがあります。ファンドの運用による損益はすべて投資者の 皆さまに帰属します。また、投資信託は預貯金と異なります。 投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異な ることから、リスクの内容や性質が異なりますので、お申込みの際は投資信託説明書(交付目論見書)を必 ずお読みください。 ● 投資信託に係る費用について みずほ投信投資顧問株式会社が運用する投資信託については、ご投資いただくお客さまに以下の費用 をご負担いただきます。 ■直接ご負担いただく費用 購入時手数料 :上限 3.78%(税抜 3.50%) 換金時手数料 :換金の価額の水準等により変動する場合があるため、あらかじめ上限 の料率等を示すことができません。 信託財産留保額 :上限 0.5% ■投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用 運用管理費用(信託報酬)※ :上限 年 2.16%(税抜 2.00%) ※ 上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについて は、成功報酬額の加算によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があり ます。成功報酬額は基準価額の水準等により変動するため、あらかじめ上限の額等を示 すことができません。 ■その他の費用 上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見 書)等でご確認ください。 ● 投資信託は、預金商品、保険商品ではなく、預金保険、保険契約者保護機構の保護の対象ではありませ ん。登録金融機関が取り扱う投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。投資信託の設定・運用 は、投資信託委託会社が行います。 《ご注意》 上記に記載しているリスクや費用の項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の 料率につきましては、みずほ投信投資顧問株式会社が運用するすべての公募投資信託のうち、ご負担い ただくそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。 投資信託をお申込みの際は、販売会社から投資信託説明書(交付目論見書)をあらかじめ、または同時 にお渡しいたしますので、必ずお受け取りになり、投資信託説明書(交付目論見書)の内容をよくお読みい ただきご確認のうえ、お客さまご自身が投資に関してご判断ください。 商 号 等 / みずほ投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第398号 加 入 協 会 / 一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 【本資料のご利用にあたっての注意事項等】 本資料は、みずほ投信投資顧問(以下、当社といいます。)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作 成されたものではありません。本資料は法令に基づく開示書類ではありません。本資料の作成にあたり、当社は情報の正確性等について細心の 注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。本資料に記載した見通し、予測、予想、意見等(以下、見通し等) は、本資料の作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また、本資料に記載した見通し等は、将来の景気や株価の動 きを保証するものではありません。 6/6
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