「柏原延行」のMarket View

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コラム
「柏原延行」のMarket View
2016年10月31日
#31 お金を使う理由(月刊バージョン)
皆さま こんにちは。
アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。
今年の関東地方は、10月中旬になっても、比較的暖かい日が続きましたが、下旬になり、いよいよ寒さが本格化し
そうな予感がする毎日です。風邪を引いている方も多いようで、近所の内科医を通りすがりに眺めると相当混み合っ
ていました。皆さまもご自愛ください。
今回のコラムは月刊バージョンとして、写真付きでお届けします。
【最近見つけたおいしい雲呑】
(筆者撮影)
先日、たまたま母校を訪れる機会があったのですが、
町は大きく変化していました。体育会の練習が終わっ
た後に、同級生と頻繁に食べに行っていた(学生街
のお店らしく)大盛りが名物の中華料理屋さんも、残
念ながら姿を消していました。思い出は、(私だけか
もしれませんが)食と密接な関係があることを再認識
しました。
私は今でも中華料理が大好物で、なかでも雲呑
(ワンタン)はその筆頭です。いまの流行ではないよう
で、ラーメン屋などでも、雲呑麺を食べられるお店は非
常に限られているように思います(あまり訪れたことは
ないのですが、一流の中華料理屋さんでは、メニュー
にあるのでしょうか?)。
そして、できれば、具材としてではなく、主食として、純粋に雲呑のみを食べたいです。この希望を満たす店は限られ
ますが、先週、たまたま用事があり、川崎駅を訪れると私の希望にぴったりのお店を発見しました。
複雑で優雅な味のスープに加え、喉ごしの痛快な雲呑のみをたっぷりと満腹になるまで楽しむことができました(麺が
入っているものは雲呑好きの私には邪道です)。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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さて、原油価格の持ち直しとともに、資源国や新興国経済は全体として、底打ち感が鮮明になっており、今後は先
進国経済の回復感の高まりに期待したい状況であると考えています。
そこで、今回のコラムでは、先進国経済の中でも、問題児であると言われかねない我が国の経済状況に関して、お
話しできればと考えます。我が国の2016年の経済成長率は、今年4月に発表されたIMFの世界経済見通しで、1月
発表比0.5%も下方修正された+0.5%となり、その後の発表(7月、10月)でも低空飛行を続けています。
弊社のエコノミスト飯塚祐子は、日本について「国内民需に脆弱さが残る一方で、継続的な公的需要が景気を下
支えする」との見通しを持っています(なお、国内民需とは個人や企業による、公的需要とは政府などによる需要で
す)。
最初に、景気の下支え効果を持つと飯塚が考えている公的需要について見てみます。
2016.7.29付の本コラム「次の一手」(#25)でご説明したように、世界の経済に対す処方箋は、「金融政策と構
造改革」重視から、「財政政策(公的需要の創出)」を加えた政策に移行したと私は考えています。
これまでの我が国の財政政策は、景気が危なくなったら支出し、一息つくと絞るとの傾向があったと考えています。し
かし、上記処方箋の変化を受けてか、ここにきての我が国の財政政策は、当初予算の前倒し執行等、切れ目のな
いものに変わってきたと評価でき、これが景気を下支えするものと思われます(図表1)。
図表1:我が国の財政政策に対する飯塚エコノミストのイメージ
2016年
①2015年度補正
予算3.5兆円
2016.1.20成立
1月
2月
助走
②2016年度本予
算前倒し執行指示
2016.4.5閣議
3月
4月
5月
2017年
①に含まれる年金生活者
等支援臨時福祉給付金
支給(3万円)
6月
7月
8月
③未来への投資を実現す
る経済対策28.1兆円のう
ち2016年度第2次補正
予算分 国費4.5兆円
2016.10.11成立
9月
10月
11月
2016年度第
3次補正予
算の話題あり
12月
1月
未来への投資を実現する経
済対策28.1兆円は複数年
度にまたがる。2017年当初
予算は別枠で歳出が膨らむ
のか、それとも他の支出が削
られるのか?
2月
3月
4月
効果発現想定時期
出所:財務省の資料を基にアセットマネジメントOneが作成。
※上記は、将来における日本の財政政策を保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
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それでは、民需の動向については、どのように考えるべきでしょうか。
我が国の経済において、約6割のウェイトを占める個人消費について考えます。
個人消費は、まさに「皆さまの使われるお金」です。皆さまはどのような理由で、これまでと比較してお金を沢山使わ
れますか?
もちろん、人によって異なるでしょうが、私自身について考えてみると、「①どうしても欲しい商品やサービスがある」、
「②欲しい製品やサービスが安い値段で提供されたと感じる(将来はもっと高い値段になると考えた場合を含む)」、
「③お給料など(賃金)が増える、或いは増える期待がある」などが考えられます。
「欲しい商品やサービス」について、考えてみると、私が幼少の時代には、新しい家電製品(全自動洗濯機、電子
レンジ、エアコン等)が家に備え付けられるたびに、生活が一変し、家族全員が大喜びしたものです。しかし、過去10
年を振り返って、私の娘が大喜びした製品は、スマホくらいであり、かつ現在では新しい製品が発売されても、「今のま
まで十分」との(親にとってはありがたく)消費にはマイナスのコメントを残すのみです。現在の日本では、人や荷物の
移動に関する発想の転換のような根本的な技術革新等がないかぎり、この観点からの大きな消費の喚起が困難な
ように思います(グーグル等が自動運転自動車の開発に取り組んでいます)。
それでは、「安い値段」についてはどうでしょうか。実は、これは難しい問題です。
仮に、物の値段が前年比1割下落すると、割安だから購入しようと私は考えるのでしょうか。
景気の停滞感が人々の意識の中にすり込まれていると思われる日本においては、少なくとも自動車のような高額で、
かつ長く使う製品に関しては、むしろ、「来年はもっと安くなる」、或いは「将来はもっと景気が悪くなるので、それにそな
えて貯金したい」と考えるため、購入を控える可能性があります。
現在の日本では、「自動運転で衝突しない車となったため、金属のボディが必要なくなり、車が極めて安く購入でき
る」等の技術革新がないかぎり、この観点からも大きな消費の喚起が難しいと考えます。
とすると、個人消費は、お給料など(賃金)の「増加」や「増加期待」に強く影響されることになります。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
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日本における賃金は、「政策金利を引き上げることができた米国」はともかく、「同じくマイナス金利を導入し、景気な
どに対する懸念を共有する欧州(銀行問題を抱えます)」とも異なる特異な傾向を持ちます。
これは、ひとことでいうと、米国や欧州においては、長期的に見た場合、時給(時間当たりの賃金)は安定的に上
昇しているにもかかわらず、日本においては、上昇傾向が見られないと解釈できることです(図表2)。このような差
違がある理由に関しては、諸説あるのですが、雇用形態(例:正規雇用と非正規雇用)による賃金格差が大きい
ことが原因のひとつといわれることもあり、政府はこれを是正するための「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」
を立ち上げています。
図表2:時給の推移(プライベートセクター)
1990年~2015年:年次
180
日本
米国
欧州(19ヵ国)
160
140
120
100
80
60
(年)
90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14
出所:OECDのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※1997年の値を100として指数化したもの。
しかし、一方で、(時給ではない)雇用者全体が受け取る賃金の総額である「雇用者報酬(名目値)」は、増
加傾向にあります(図表3)。
図表3:雇用者報酬(名目値)
(兆円)2000年1-3月期~2016年4-6月期:四半期
280
270
260
250
240
230
00/Q1
03/Q1
06/Q1
09/Q1
12/Q1 15/Q1
(年/四半期)
出所:データストリームのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※上記は、将来における時給、雇用者報酬の推移を示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
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本コラムの主題である個人消費に立ち返った場合、日本人全体が消費できるお金の総額は、時給ではなく雇用者
全体が受け取る賃金の総額に強く影響を受けると考えることが自然です。
そして、失業率が低下する中では、時給の改善傾向が「鮮明になる時期」が訪れることも期待できると考えます。
とすれば、政府による切れ目のない経済対策が実施されて、将来に対する期待感が多少でも高まれば、個人消費
の増加が期待できると私は考えています。
今週末は、冷え込みがあるようです。体を温めるためにも、あまりにもささやかな個人消費ですが、美味しい雲呑
(妻の許しがでればビールも)を食べに、再度出かけたいと考えています。私にとっては、美味しい雲呑は、お金を使
う十分な理由になりえます。
新しいアセットマネジメントOneでは、業界No1の質と量を実現する積極的な情報発信に努めたいと考えます。
是非、弊社の新しいホームページ等をご覧いただければと考えます。
なお、コラムの過去分に関しては、以下をご参照ください。
・2016年10月以降
http://www.am-one.co.jp/report/marketreport/3/
・上記以前
http://www.mizuho-am.co.jp/report/column-list/ctg/041
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
(2016年10月28日9:00執筆)
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投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
【投資信託に係るリスクと費用】
● 投資信託に係るリスクについて
投資信託は、株式、債券および不動産投資信託証券(リート)などの値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リ
スクもあります。)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は
変動します。このため、購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
● 投資信託に係る費用について
[ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。]
■お客さまが直接的に負担する費用
購入時手数料 :上限4.104%(税込)
信託財産留保額:上限0.5%
公社債投信およびグリーン公社債投信の換金時手数料:取得年月日により、1万口につき上限108円(税込)
その他の投資信託の換金時手数料:ありません
■お客さまが信託財産で間接的に負担する費用
運用管理費用(信託報酬):上限 年率2.6824%(税込)
※ 上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算
によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により変
動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができません。
■その他費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。
※上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。
費用の料率につきましては、アセットマネジメントOne株式会社が運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれ
の費用における最高の料率を記載しております。
※税法が改正された場合等には、税込手数料等が変更となることがあります。
【ご注意事項】
●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が作成したものです。
●当資料は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。
●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完
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証するものではありません。
●当資料における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。
●投資信託は、
1.預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加
えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象ではありません。
2.購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなり
ます。
【当資料で使用している指数について】
ございません。
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