ベラルーシ公開情報とりまとめ (12 月 17 日~12 月 23 日) 2016 年 12 月 26 日 在ベラルーシ大使館 【主な出来事】 ●19 日~22 日,マレーシアのパンディカル下院議長がベラルーシを訪問 ●22 日,両国関係に関するロシア側専門家の見解に外務省が反発 内政・外交 【外政】 【大統領の動向】 ●第 3 回ベラルーシ・UAE 政府間協議の開催 ●マレーシア下院議長との会談 16 日,マケイ外務大臣は,第 3 回ベラルーシ・アラブ首 19 日,ルカシェンコ大統領は,マレーシアのパンディカ 長国連邦(UAE)政府間協議に出席した。同大臣は同協 ル下院議長と会談した。同会談で同大統領は,ベラルー 議を総括し,両国の政務レベルの活発なコンタクトを継続 シはマレーシアとの全面的な協力関係を無条件に発展さ することの必要性につき指摘するとともに,UAE からの要 せていく用意があるとし,両国議会間の協力が両国関係 人訪問を歓迎する旨述べた。 の基盤のひとつであるべきと述べた。 同議長は,コビャコ (16 日付ベラパン通信) フ首相,アンドレイチェンコ代表者院(下院)議長とも会談 を行なった。 ●在スペイン・ベラルーシ大使館の開館 (19 日付大統領サイト) 16 日,マドリードにおいて在スペイン・ベラルーシ大使 館の開館式典が開催され,ベラルーシからシェスタコフ外 ●OSCE/ODIHR 選挙監視団による下院選挙の報告 務次官らが出席した。同次官は 15~16 日にかけてスペイ 20 日,ルカシェンコ大統領は,9 月の下院選挙時に欧 ンを訪問しており,イバネス国務長官(外務・協力担当)と 州安全保障協力機構(OSCE)議会選挙特別調整官を務 会談した。同会談で同国務長官は,ウクライナ問題にお めた OSCE 議員会議ハルステッド副議長と会談した。同 いてベラルーシが果たしている役割の重要性を指摘し, 大統領は下院選挙に関する OSCE 民主制度人権事務所 在ベラルーシ・スペイン大使館が近い将来開設されること (ODIHR)の報告を受け,「ひどすぎはしないが特に喜ばし への期待感を表明した。双方は,両国経済貿易合同委員 くもない」と述べた。同大統領は,来年半ばに OSCE 議員 会の創設を含む経済及び産業分野の協力に関する政府 総会がベラルーシで開催されることに言及して,安全保障 間の覚書や,両国外務省及び法務省間の協力に関する の問題は協力関係の構築なしにはできないと述べ,同副 各協定に近く署名することで合意した。 議長は OSCE/ODIHR はベラルーシと協力していく意向で (16 日付ベラパン通信,17 日付国営ベルタ通信) あると応じた。 (20 日付国営ベルタ通信) ●マケイ外務大臣のジョージア訪問(20 日)と大使館開設 ・マルグヴェラシヴィリ大統領との会談 ●クチマ元ウクライナ大統領との会談 同会談で双方は,両国関係が常にオープンで友好的で 22 日,ルカシェンコ大統領は,クチマ元ウクライナ大統 あり,特に 2015 年の首脳会談を機に活発化していると指 領と会談した。同会談では贈物の交換があり,両国関係 摘した。農業分野及び小型農機生産分野での協力関係 の現状と見通しについて協議されたほか,ウクライナ東部 が話し合われたほか,2017 年に予定されている同大統領 の問題を調整する三者コンタクト・グループ会合について のベラルーシ訪問についても協議された。同会談では, も話し合われた。 欧州連合(EU)の東方パートナーシップにおける両国の建 (22 日付大統領サイト) 設的な対話と相互支援を継続していくことが合意された。 ・ジャネリゼ外務大臣との会談 同会談では,在ジョージア・ベラルーシ大使館の開館は 1/4 両国関係を高いレベルに引き上げるものであると指摘さ ●野党議員が死刑執行モラトリアムの導入を提案 れたほか,シルクロード経済ベルトを含むエネルギー及び 16 日,アニシム代表者院(下院)議員(独立系野党)は, 物流の回廊を発展させる諸プロジェクトの実施につき双 下院で今後の日程につき話し合われた際,来年 4 月に開 方が関心を表明した。また,両外相は 2017 年にジョージ 会する第二会期において死刑執行モラトリアムの導入に アの政府高官がベラルーシのIT特区を訪れ,専門家の意 つき議題とすることを提案し,同会期開会前に公聴会を 見交換を行なうことで合意した。 開催することを検討するよう要請した。 (21 日付外務省サイト) (16 日付ベラパン通信) ●両国関係に関するロシア側専門家の見解に外務省が ●OSCE 議員会議ハルステッド副議長の来訪 反発 ・中央選挙管理委員会エルモシナ委員長との会談(20 22 日,外務省は在ベラルーシ・ロシア大使館のグセフ 日) 公使参事官を招致し,ロシア戦略調査研究所(RISS)レ 同会談でエルモシナ委員長は,選挙プロセスの改善に シェトニコフ所長によるベラルーシに関する発言を非難し 関する OSCE/ODIHR の勧告の適用可能性を検討するた た。同発言はインターネット上に公開された動画によるも め,1 月に省庁間専門家会合を開催すると述べた。 ので,その内容の概要は,①ベラルーシでは全てがウク ・マケイ外務大臣との会談(22 日) ライナと同様のシナリオで動いており,ベラルーシはロシ 同会談では,9 月の下院選挙の監視を踏まえて 2 週間 アから遠ざかって両国には思想的・歴史的な,またある程 前に発表された OSCE の最終報告書が出した結論と諸勧 度心理的な隔たりが形成されている,②ベラルーシ語は 告について話し合われた。マケイ大臣は,ベラルーシは 1926 年のソ連共産党中央委員会組織局の決定によって 選挙及び他の分野において OSCE/ODIHR との建設的な 創造された言語であり,両国間にとっての爆弾である,③ 対話と協力を継続していく用意があると述べた。 ベラルーシは歴史的に大ロシアの一部である,というもの。 (21 日付ベラパン通信,22 日付外務省サイト) 外務省は,こうした言明は全く受け入れられないとして強 く反発した。 【治安・軍事】 (22 日付ベラパン通信) ●アゼルバイジャンの要請を受けてブロガーを拘束 イスラエル及びロシア国籍のブロガーであるラプシン容 【内政】 疑者が,ナゴルノ・カラバフへの不法入域の容疑でアゼル ●高官人事 バイジャンの要請により 14 日にミンスクで身柄を拘束され 15~21 日にかけて,ルカシェンコ大統領により以下の ていたことがわかった。イスラエル外務省は同容疑者の 人事が承認された。 釈放につきベラルーシに要請しており,アゼルバイジャン ・大統領府長官 ナタリア・コチャノヴァ(前副首相) にも刑事訴訟を止めるよう外交ルートで働きかけている。 ・教育大臣 イーゴリ・カルペンコ(元下院議員,前共産党 22 日には,アルメニア外務省も本件に関心を表明した。 第一書記・ミンスク市副市長) (20 日,22 日付ベラパン通信) ・労働社会保障大臣 ヴァレリー・マラシコ(前モギリョフ州 副知事) ●CSTO 軍事委員会の開催 ・中央選挙管理委員会委員長 リディア・エルモシナ(留 21 日,ミンスクで集団安全保障条約機構(CSTO)軍事 任) 委員会会合が開催された。同会合後の記者会見におい ・オーストリア駐箚特命全権大使(クロアチア兼轄,ウィー てボルデュジャ事務局長は,軍事的な情況は日に日に悪 ン代表部常駐代表) エレナ・クプチナ(前外務次官) 化・緊迫していると指摘し,国境周辺における北大西洋条 ・中国・ベラルーシ産業特区「巨石」事務局長 アレクサン 約機構(NATO)による演習や軍事インフラの整備に対し ドル・ヤロシェンコ(前経済次官) ては当然ながら関心を寄せざるを得ないと述べた。 (15~21 日付ベラパン通信他) (21 日付ベラパン通信) 2/4 経済 制限されていることだけによるものではなく,比較のた ●KGB:国営企業関係者を収賄で逮捕 めの代替調達先は常に必要である旨述べた。 19 日,国家保安委員会(KGB)は,「ミンスクトラク (20 日付政府サイト) ター工場(MTZ)」,「ミンスク自動車工場(MAZ)」,「ベラ ルーシ自動車工場(BelAZ)」,「ゴメリ農機(ゴムセリマ ●EU:BMZ の鉄筋に反ダンピング関税課税へ シ)」が関係する汚職事件に関連し,8 名を拘束した旨 20 日付欧州連合(EU)官報によれば,欧州委員会は 発表した。本件に関しては,2013 年から上記 4 社による 「ベラルーシ冶金工場(BMZ)」製の鉄筋に対し,12.5% 欠陥のある資材や部品の受け入れ,偽の品質証明の の反ダンピング関税を課する法案を策定した。同法案 発行に対して 20 万ドル以上を収賄の他,別件で約 4 万 は来年 6 月 20 日までに最終的に採択され,発効予定。 ルーブル(約 2 万ドル)の収賄が明らかになっている。 (20 日付ベラパン通信) (19 日付国家保安委員会サイト,ベラパン通信) ●公共料金の引き上げ ●露:ベラルーシによる天然ガス料金前払い分を返金 ・暖房料金 17%引き上げ 19 日,ドヴォルコヴィチ露首相は,ロシアがベラルー 2016 年 12 月 16 日付閣僚会議決定第 1035 号により, シに求めていることは納入済み天然ガス料金の満額の 2017 年の住宅公共サービス料金が設定された。1 月 1 支払いであって前払いではないとして,前払い分は既 日から暖房料金が 17%引き上げられ,1 ギガカロリー当 にベラルーシに返金された旨述べた。 たり 15.6098 ルーブルとなる。暖房の期間中の天然ガス (19 日付プライムタス通信) 料金も 17%値上がりする。 (20 日付政府サイト) ●コビャコフ首相へのインタビュー ・公共交通料金の変更 20 日,コビャコフ首相はロイター通信のインタビュー 21 日からミンスク市の公共交通(バス,トロリーバス, に応じた。 地下鉄)料金が 5 コペイカ引き上げられた。また,1 日乗 ・IMF との交渉 り放題や 90 日間乗り放題等の新たな料金体系が 5 つ 同首相は国際通貨基金(IMF)との交渉に関し,同基 設定される。 金との交渉において,住宅公共サービス料金の改定と (20 日付ベラパン通信,TUT.BY 通信,法律ポータルサ 国営企業の機能改善という最も難しい課題がネックと イト pravo.by) なっている旨述べた。同首相は,「ベラルーシとしては ・電話,携帯,インターネットへの付加価値税引き上げ 行程をもう少し緩やかに進めたい。とはいえ,深刻な過 21 日,税・徴税省徴税実施方法総局のスクリンニコ ちを犯さないことが望ましい」と付言し,IMF との新たな フ総局長は,2017 年 1 月 1 日から電話,携帯電話,イ 協力プログラムが 2017 年上半期にも開始される予定で ンターネット等の電気通信に対する付加価値税が 25% ある旨述べた。 引き上げられる旨述べた。 ・ロシアとのエネルギー資源を巡る論争 (21 日付ベラパン通信) 同首相は,ベラルーシと隣接するロシアの諸州にお けるガス料金がベラルーシ向け価格の半額以下である ●三か国共同による EU に対する輸出制限撤廃の陳情 旨指摘した上で,「ロシアが国内向けガス価格を引き上 21 日,ベラルーシのクニャフスキー記念企業家雇用 げられないのであれば,ベラルーシ向け価格もロシア 者連合は,エストニア中小企業連盟,マルタ中小企業 国内向け価格と比肩し得る価格になる。まして本件に 会議と連盟で欧州議会に対する共同書簡を発出し,欧 関しては,既に 2011 年に合意の上で署名された法的な 州連合(EU)によるベラルーシの繊維製品に対する輸 基盤が揃っているのである」と述べた。 出制限の撤廃を呼びかけた。ベラルーシの繊維製品に ・原油供給元の多様化を図る取り組み 対する輸出制限は,輸出量の上限の設定や品目別の 同首相は,原油供給元の多様化を図る取り組みも行 われているとしつつも,本件は,ロシア政府の決定に 割り当ての形で残っている。 (21 日付国営ベルタ通信) よって 2016 年下半期のベラルーシ向け原油供給量が 3/4 ●ベラルーシ政府による石油のトランジット料金引き上 げに露側が反論 ベラルーシ政府が石油のトランジット料金を 20.5%引き 上げる決定を下したことに関し,23 日,露「トランスネフ チ」社は独自の提案をベラルーシ側に提示した。露タス 通信によれば,同社デミン代表は,「ゴメリ・トランスネフ チ・ドルジバ」は 5.8%,「ポロツク・トランスネフチ・ドルジ バ」は 11.76%の料金引き上げが経済的にも根拠のある 数字であると考えている旨述べた。ベラルーシ側の回 答期限は 25 日。 (23 日付ベラパン通信) ●露連邦動植物検疫監督庁:ウクライナ産牛肉の再輸 出にベラルーシ当局が関与 25 日,ロシア連邦動植物検疫監督庁ダンクヴェルト 長官は,ウクライナからベラルーシを経由してロシアへ 至る違法な牛肉輸出ルートを発見した旨述べた。同長 官によれば,2016 年にベラルーシの「ゲオルギーと息 子たち」社がウクライナからロシアへの 10,500 トン以上 の牛肉の違法な再輸出によって 1 億ドルを稼いでおり, 同社からロシアへの牛肉輸入は禁止されたと指摘した 上で,さらに 2 社が再輸出に関わっている疑いがあり, 調査中である旨付言した。同長官は,今年に入ってベ ラルーシからロシアへの牛肉輸出が 20%も増加してい るが,どのようにしてこれほどの増加がもたらされたの か理解できないとした上で,「ロシアが禁輸対象として いる商品を持ち込むべきではない。こうした肉類は, (ベラルーシの)複数の獣医が行った不十分な認証に よって持ち込まれている。当局の関わりなしに,こうした ことは起こり得なかった」と述べた。 (25 日付ベラパン通信) (了) 4/4
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