平成27年度事業報告

平成27年度事業報告
平成27年度は、船員保険福祉事業の重要性と本会設立の趣旨にかんがみ、船員保険の被保
険者等はもとより、すべての本会施設利用者の福祉の増進に寄与するよう、中核事業たる健康
管理センター事業及び保養施設事業をはじめとする本会事業を積極的に推進し、業績の確保と
健全・自立経営の実現に努めた。
また、本会の将来にわたる安定的な事業運営に向け、各般の経営課題に対応した改革方策の
検討に引き続き取り組み、順次実施した。
なお、開業初年度の品川シーズンテラス健診クリニックの円滑な運営に努め、目標の受診者
数を確保した。
さらに、個人情報を取り扱う事業者としての社会的信用を一層高めるため、平成28年3月
8日付でプライバシーマーク認証を取得した。
1.共通事項
社会的評価の確保と安定した経営基盤の確立を図り、本会事業の一層の発展を期するため、
次の事項に積極的に取り組んだ。
(1)経営基盤の確立に向けた取り組み
① 経営目標達成に向けた取り組み
本部と施設が一体となって事業計画の進捗管理及び分析、評価を行い、これに基づく
顧客確保対策のほか各種経営改善方策に取り組み、本会全体として経営目標を達成した。
② 営業活動の強化
顧客獲得競争の激化に対応するため、営業統括部と施設間の連携強化と情報の共有化
を図るとともに、ITを活用したサービス提供等によるリピーターの確保や新規顧客獲
得等に努めた。
特に芝浦健康管理センターの外来部門が品川シーズンテラス健診クリニックとして開
業したことから、積極的な広報と営業を展開した。
③ サービスの質の向上
ア.健康管理センターは、検査精度の維持、受診後の病診連携を含めたフォローアップ
体制の充実や受診者の立場に立った健診サービスの向上を図った。
イ.保養施設は、接遇を含めたサービスの向上、アメニティの改善を図った。
④ 施設整備の実施
経営基盤の確立に向けた事業計画を着実に達成するため、整備計画に基づく整備の実
施と、利用者ニーズや投資効果等を踏まえながら機動性をもって追加整備を行った。
(2)経営改革の推進
① 事業環境の変化を見据えた各種課題への対応
本会が将来にわたり安定的な事業運営を行うため、経営改革推進本部をはじめとする
各委員会において、事業環境の変化を見据えた各経営改革方策の具体的な検討を進め、
順次実施した。
また、JCHO横浜保土ケ谷中央病院の建替構想並びにJCHO大阪みなと中央病院
の移転計画を受け、横浜健康管理センターと大阪健康管理センターの移転新築等につい
て検討を行った。
② 本会組織のあり方の見直し
営業統括部と情報センターを併せた総合的な組織作りについては、営業統括部との一
層の協働に資するため、情報センターを横浜健康管理センター内から芝浦健康管理セン
ター内に移転した。
なお、移転に併せ組織の見直しを行った。
(3)新たな人事・給与制度の検討
① 新たな人事・給与制度の具体的検討
人事・給与改革推進委員会において、見直し検討項目を精査し、関連規程の改正を行
った。
② 人事評価制度の円滑な運用による人材育成の推進
人事評価制度の実施状況の分析、評価及び検証を行い、人材育成を推進した。
(4)個人情報保護の徹底
① 個人情報の適正管理の継続
利用者の個人情報保護の徹底を図るため、関係規程等を遵守し、職員教育を実施する
など適正な管理、運用に努めた。
② プライバシーマーク認証取得
個人情報を適切に取り扱い保護するため、ハード・ソフト両面の諸対策を講じ、平成
28年3月8日付でプライバシーマーク認証を取得した。
(5)監査の実施と会有財産の適正管理
① 監査の実施
監事監査並びに監査法人による会計監査及び税理士法人による税務監査の実施により、
事業運営の一層の適正化を図った。
また、監査の重点項目を明確にし、効率的かつ効果的に内部監査を実施した。
② 会有財産の適切な管理運用
会有財産の適切な管理運用に努めるとともに、会有資産の有効活用を図った。
(6)職員の資質向上と健康管理
① 職員の資質向上
職員研修の充実により職員の資質の向上を図った。
② 業務水準の向上
業務改善提案制度や学会への参加等を通じ、業務水準の向上に努めた。
③ 職員の健康管理と福利厚生
職員の健康管理の徹底と福利厚生の充実に努めた。
また、船員保険会厚生年金基金について、代行返上を進めるとともに、今後のあり方
について検討を行った。
2.健康管理センター事業
健康管理センターは、良質な医療の提供、船員保険被保険者等への医療サービスの確保、
営業活動の強化及び経営改革の推進を基本方針とし、安全な医療を提供するため、医療事故
防止及び精度管理に努めるとともに、医師等人材の確保などの健診体制の整備を図り、併せ
て計画的な職員研修の実施による職員の資質向上に努めた。
船員保険被保険者等の受診機会の確保を図るため、船員の労働環境に配慮のうえ各地の港
等での巡回健診及び保健指導を積極的に実施した。
リピーターの確保や新規顧客の獲得等による収益の確保を図るため、営業統括部と施設の
連携による営業活動を強化したほか労働安全衛生法改正に合わせストレスチェックシステ
ムを構築し、顧客のニーズに対応した。また、品川シーズンテラス健診クリニックの円滑な
運営に向け積極的な広報と営業に努めた。
健康管理センターの将来を見据えた安定的経営を行うため、経営改革の検討に継続して取
り組むとともに、個人情報を取り扱う事業者として社会的信用を得るため、プライバシーマ
ーク認証を取得した。
(1)医療の質を高める取り組み
日本医師会等が実施するサーベイに参加し良好な評価を得るとともに、第三者による機
能評価受審に向けての取り組みを通じ質の向上に努めた。
また、各種学会に参加し、職員の専門知識の習得と技術の一層の向上に取り組むととも
に、施設で取り組んでいる優れた事例等の他施設への展開を進めた。
医療の質を確保するため、引き続き旧船員保険病院等へ検査委託や精密検査該当者を紹
介するなど連携確保を図るとともに、受診後のフォロー体制の充実に努めた。
なお、12月に施行された労働安全衛生法改正に伴うストレスチェックに適切に対応し
た。
(2)船員保険特定健診・特定保健指導の受診率向上
特に船員保険被扶養者については、生活習慣病予防健診が受診できることを周知するな
ど、受診勧奨の広報を強化し、船員保険特定健診及び特定保健指導の受診率の向上を図っ
た。
(3)受診者確保対策の強化
受診者確保対策については、前年度構築した営業支援システムを活用し、受診勧奨を積
極的に実施したほか、本社及び支社等への訪問営業を展開し、受診者の確保を図った。
また、営業担当者会議の開催により施設間連携を強化するとともに、営業スキルアップ
セミナー等への参加により営業スタッフの育成に努め営業力の強化を図った。
(4)受診者サービスの向上
アンケート調査等の実施により受診者ニーズを把握し、サービスの向上に取り組んだ。
また、ホームページにタイムリーな情報やサービス内容を掲載し利用の拡大に努めた。
(5)施設整備の実施
健診の質の維持及び向上に資する医療機器等の整備については、受診者ニーズや投資効
果を踏まえた的確な整備を行った。
(6)費用削減の取り組み
費用構造の分析を進め、引き続き購入方法及び購入業者の見直しのほか、共同購入を検
討するとともに、業務量に応じたスタッフの適正配置など費用の削減に努めた。
(7)保養施設への支援
船員等の福利厚生充実のため、人間ドック受診結果等に施設宿泊割引券を同封するなど、
本会保養施設支援を継続して実施した。
3.保養施設事業
保養所は、設置の目的を踏まえ、船員保険被保険者等の福利厚生の向上に貢献するために、
船員の労働環境等に配慮した良質なサービスを提供することを基本方針とし、一般の方々を
含むすべての利用者が安心で快適に過ごすことのできる施設運営に努めた。
また、保養所経営改革推進委員会において将来を見据えた各種方策の積極的な推進を図る
とともに、利用者サービスの維持及び向上を図るための施設整備を実施した。
(1)船員等に対するサービスの適切な実施
① 受託事業の適切な実施
全国健康保険協会から受託する本会保養施設及び船員保険契約保養施設を活用した船
員保険保養事業を適切に実施した。
② 本会独自サービスの継続
船員等への独自サービスの積極的な実施に努めた。
(2)経営改善への取り組み
① 施設ごとの経営改善への取り組み
施設運営に関する協議等を通じ、利用状況等のデータ管理に基づく効果的な集客対策
の検討及び強化を図るなど経営改善に努めた。
② 船員保険被保険者等及び海事関係者の利用促進
船員及びその家族並びに船舶所有者、漁協等に継続的かつ積極的に広報、訪問営業活
動を展開し利用促進を図った。
③ 一般利用者の確保
集客対象を明確にした企画の実施により、観光客、ビジネス利用、リピーター及び団
体利用者等の確保を図った。しかし、箱根保養所においては、大涌谷における火山活動
の影響で、宿泊者数が大きく落ち込んだ。
④ 広報ツールの活用
ホームページ、予約サイト等、広報ツールの積極的な活用に努めた。
(3)サービスの向上
① 接遇の向上
フロントやレストラン等に係る接客の基本並びに施設個々の特性及び問題点に対応し
た研修を実施し、職員一人ひとりが、心のこもったサービスを実践した。
② 地域の特色を活かした料理の提供
地元の旬な食材の使用とともに、各地域の特色を活かした料理を提供した。
(4)利用者の安全確保
① 災害等への備え
利用者等の安全確保対策のより一層の強化を図った。
② 衛生管理の徹底
安全で安心できる食材管理に留意する等、適切な衛生管理に努めた。
(5)施設整備の実施
① 計画的な機器類の更新、アメニティに配慮した整備の実施
建物・機器類等の整備やアメニティの向上に資する整備を計画的かつ機動的に行った。
② 設備の適切な維持管理
施設管理点検マニュアルを活用し、施設及び設備の適切な維持管理に努めた。
4.保健・安全衛生事業等
関係機関及び関係団体との連携を緊密にし、船員労働環境等に配慮しつつ、次の事業を実
施した。
(1)生活習慣病予防健診事業
① 広報活動の推進
保険者代行の立場として、生活習慣病予防健診等の実施率向上のため、海事関係団体
等と連携した広報活動を積極的に推進した。
② 受診環境の整備
船員保険生活習慣病予防健診対象者の受診機会の確保を図るため、指定医療機関を拡
大し受診環境の整備を図った。
③ 被保険者の受診率向上
被保険者については、受診券を船舶所有者に送付するほか、未受診者に対する再案内
等を通じ、受診率の向上に努めた。
④ 被扶養者の受診率向上
被扶養者については、受診券の自宅送付時に、生活習慣病予防健診が受診可能なこと
などを周知するほか、健康管理センターの年間巡回健診予定表を送付し受診率向上に努
めた。
⑤ 船員手帳の健康証明データの収集
船舶所有者及び被保険者に船員手帳の健康証明データの提供依頼を行うなど収集件数
の拡大を図った。
⑥ 特定保健指導の実施率向上
特定保健指導実施機関の拡大を図り実施率の向上に努めた。
⑦ 出前健康講座への協力
保健師等を派遣し全国健康保険協会船員保険部が主催する出前健康講座に積極的に協
力した。
(2)整形外科療養事業
整形外科療養として、一定の要件を満たした対象者に対して診療並びに義肢、補助器、
補助車及び補聴器等の製作または修理に要した費用等を支給した。
(3)海上医学研究事業(公益目的支出計画実施事業 継続事業1)
① 調査研究
各施設の海上医学研究室の連携を深め、船員に係わる負傷、疾病、疫学及び健康管理
について調査研究を行った。
② 海上医学研究誌
海上医学研究誌第48集を発行した。
(4)石綿健康障害の健康相談等サービス
元船員等の石綿による健康障害に対する各種無料サービスの提供体制を整えたものの、
利用実績はなかった。
(5)訪船指導等の実施
国土交通省海事局の要請に応じ、船員労働安全衛生月間において、訪船指導等を実施し
た。
5.広報出版事業(公益目的支出計画実施事業 継続事業2 ただし「
(3)海事関係紙誌等
の活用」を除く)
船舶所有者及び船員保険被保険者等に対し、船員保険制度について周知を図るとともに、
本会事業に関する広報を行った。
(1)広報誌「船員ほけん」の発行
船員保険制度の周知と本会事業の広報等のため、広報誌「船員ほけん」を発行し、海事
関係者及び一般読者へ広く提供した。
① 船員保険制度の周知
全国健康保険協会船員保険部と連携し、船員保険制度の周知に努めた。
② 本会事業の紹介と施設利用勧奨
本会事業の紹介と本会施設及び船員保険契約保養施設の利用勧奨を行った。
③ 読者への情報提供
船員が担っている社会的役割や保健衛生等に関する情報の提供を行った。
(2)書籍「船員保険の事務手続き」の販売
「船員保険の事務手続き」を販売した。
(3)海事関係紙誌等の活用
海事関係紙誌及びホームページを活用し、船員保険制度の周知と本会事業の広報を行っ
た。
6.情報センター
本会各事業の円滑な運営に資するため、次のとおり業務支援等を行った。
(1)受託業務の支援と健診データの適正管理
① 船員保険生活習慣病予防健診事業等の適正管理
本会が受託する船員保険生活習慣病予防健診事業等に係る業務支援を適切に実施する
とともに、各種の案内と全国健康保険協会船員保険部の統計処理に協力した。また、平
成26年度の特定健康診査及び特定保健指導の結果を国へ報告した。
② データ等の適正管理と有効活用
船員保険生活習慣病予防健診データ等を適正に管理し、海上医学研究事業や全国健康
保険協会船員保険部へ提供するなど、データの有効活用を図った。
(2)各施設の業務支援等
① 健診システム等の見直し及び業務支援
健康管理センターにおける健診現場のIT化を推し進め、本会業務の合理化と利用者
サービスの充実を図り、現場ニーズに応えるとともに、労働安全衛生法の改正に伴うス
トレスチェックに係るシステム開発を行い、同制度の実施に備えた。また、将来を見据
えたシステムの改良・開発を行うなど、計画的かつ機動的な情報システム整備を推進し
た。
② 共同受託等業務の拡充支援
健康管理センターにおける共同受託健診事業の拡充を図るため、顧客ニーズに対する
機動的な対応や、営業担当者への各種の支援を行った。
③ 本会ネットワークの適正管理
健診システムを中心とする本会ネットワークの適正管理と業務の効率化を推進した。
また、インターネットを利用した広報、販売促進等の支援に取り組んだ。
④ プライバシーマークの認証取得支援
プライバシーマークの認証取得に係る各施設の情報システム環境整備等を支援した。
7.公益目的支出計画における公益目的事業
公益目的支出計画における実施事業として、海上医学研究事業及び広報出版事業を確実に
遂行した。