開催結果報告書 - 公益社団法人 企業情報化協会

『経営と IT の融合を目指して』
平成 24 年 2 月 15 日【水】・16 日【木】 開催
開催結果報告書
2012 年 3 月
1
Ⅰ.開催プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
Ⅱ.企画委員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
Ⅲ.後援・協賛企業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
Ⅳ.個別シンポジウム発表の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
① 【スマートデバイスビジネス活用シンポジウム】
② 【クラウドコンピューティングシンポジウム】
③ 【平成 23 年度 IT 賞受賞記念講演】
Ⅴ. アンケート集計結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
2
(IT賞受賞企業表彰式典風景)
Ⅰ.開催プログラム
1. 名 称
:
第 27 回 IT 戦略総合大会
統一テーマ『経営と IT の融合を目指して』
2. 会 期
:
2012 年 2 月 15 日(水)
・16 日(木)
3. 会 場
:
東京コンファレンスセンター品川(東京都港区港南 1-9-36
4. 主 催
:
社団法人企業情報化協会
アレア品川)
5. 大会プログラム :
第一日目:2012 年 2 月 15 日(木)
オープニングセッション
10:00 主催者代表挨拶:
⇩
10:10
社団法人企業情報化協会 会長
10:10 基調講演1:「日本経済再生と企業成長戦略
⇩
東京ガス株式会社 顧問 前田 忠昭
~グローバル企業への転換と人材の育成~」
株式会社住生活グループ 取締役 代表執行役社長 兼 CEO
11:00
株式会社 LIXIL 代表取締役社長 藤森 義明
11:10 基調講演Ⅱ:「戦略なき日本」
⇩
12:00
建築家 安藤 忠雄
昼食休憩
13:10 特別対談:「いかに世界をホームしたか ~日本人として世界で活躍するには~」
⇩
スポーツキャスター 元プロテニスプレイヤー 杉山 愛
14:10
聞き手:日本電信電話株式会社 代表取締役副社長
宇治 則孝
平成 23 年度IT賞受賞企業記念講演
IT 総合賞:「キヤノンのIT革新 ~一気通貫のものづくりをめざして~」
キヤノン株式会社 取締役 情報通信システム本部長 荒木 誠
14:10 IT 総合賞:「絶え間ない業務革新と企業間コラボレーションへの挑戦」
⇩
大成建設株式会社 社長室
情報企画部長 柄 登志彦
16:55 IT 総合賞:「宅急便を支える【NEKOシステム】の進化とアジア進出への貢献」
ヤマトホールディングス株式会社 執行役員 小佐野 豪績
IT 協会設立 30 周年記念特別賞(災害対策賞):「東日本大震災時における復旧エリアマップの開発・公開」
株式会社NTTドコモ 情報システム部 ネットワーク情報システム担当課長 里見 昌樹
3
平成 22 年度IT賞表彰式典
受賞者
IT 総合賞 :
キヤノン株式会社 取締役
情報通信システム本部長
荒木
誠
IT 総合賞 :
大成建設株式会社 常務執行役員
坂巻
明人
IT 総合賞 :
ヤマトホールディングス株式会社
代表取締役社長
木川
眞
IT マネジメント賞
日本電気株式会社 代表取締役
執行役員副社長 CIO
藤吉 幸博
17:05 IT ビジネス賞(人材マネジメント賞)
株式会社三井住友銀行 常務執行役員 渕崎 正弘
⇓
17:45 IT協会設立 30 周年記念特別賞(震災対策賞)
株式会社NTTドコモ 執行役員 情報システム部長
西川
清二
IT 特別賞(IT 推進部門賞)
東京海上日動システムズ株式会社
代表取締役社長
横塚
裕志
IT 特別賞(IT 推進部門賞)
大同火災海上保険株式会社
代表取締役社長 照屋
侑
IT 特別賞(IT フロンティア賞)
東日本電信電話株式会社 常務取締役
東京支社長
安田
雅美
IT 特別賞(IT フロンティア賞)
小島プレス工業株式会社 専務取締役 前田
泰弘
【講評】
IT 賞審査委員会委員長 慶應義塾大学名誉教授 斎藤 信男
情報交歓会
17:55
⇩
19:00
受賞記念パーティー・懇親会
ご挨拶:第 27 回 IT 戦略総合大会企画委員会委員長
日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 宇治 則孝
乾杯:第 27 回 IT 戦略総合大会企画委員会委員長
東京ガス株式会社 常務執行役員 渡辺 尚生
(敬称略)
4
オープニングセッション
主催者挨拶
基調講演Ⅰ
社団法人企業情報化協会 会長
株式会社住生活グループ
東京ガス株式会社 顧問 前田 忠昭
取締役 代表執行役社長 兼 CEO
株式会社LIXIL
基調講演Ⅱ
特別対談
建築家 安藤 忠雄
スポーツキャスター
代表取締役社長 藤森
義明
元プロテニスプレイヤー 杉山 愛
特別対談 聞き手
IT総合賞
日本電信電話株式会社
キヤノン株式会社
代表取締役副社長 宇治 則孝
取締役 情報通信システム本部長 荒木 誠
5
IT総合賞
IT総合賞
大成建設株式会社
ヤマトホールディングス株式会社
社長室 経営企画部長 柄
登志彦
執行役員 小佐野 豪績
IT協会設立 30 周年記念特別賞(災害対策賞)
平成 23 年度IT賞受賞企業表彰式典
株式会社NTTドコモ
情報システム部
ネットワーク情報システム担当課長 里見 昌樹
平成 23 年度IT賞受賞企業表彰式典
6
各社の答礼
キヤノン株式会社
大成建設株式会社
ヤマトホールディングス株式会社
日本電気株式会社
株式会社三井住友銀行
株式会社NTTドコモ
東京海上日動システムズ株式会社
大同火災海上保険株式会社
東日本電信電話株式会社
小島プレス工業株式会社
7
情報交歓会
挨拶
日本電信電話株式会社 代表取締役副社長 宇治 則孝
乾杯発声
東京ガス株式会社 常務執行役員 渡辺 尚生
抽選会風景
株式会社日本能率協会マネジメントセンター 代表取締役会長 野口 晴巳
(敬称略)
8
第二日目:2012 年 2 月 16 日(木)
スマートデバイスビジネス活用シンポジウム
「クラウドで変化する家電のこれからの世界」
9:30
~
10:20
10:30
~
11:20
11:30
~
12:20
シャープ株式会社
クラウド技術開発本部本部長 八尋 俊英
「スマートフォンで業務改善
~課題は、通信環境やセキュリティ~」
みずほ情報総研株式会社
金融ソリューション第3部長 宮田 隆司
「ガリバークラウドプロジェクト
iPad で変わる基幹業務とワークスタイル」
株式会社ガリバーインターナショナル
経営企画室
クラウドプロジェクトリーダー 椛田 泰行
事例発表セッション
クラウドコンピューティングシンポジウム
「クラウドは企業変革を促す。
HPの最先端テクノロジーと先進事例のご紹介」
日本ヒューレット・パッカード株式会社
執行役員
ストラテジック・テクノロジー・オフィサー 山口 浩直
「経営者が知るべきアマゾンクラウドの最新動向
~アマゾンウェブサービス(AWS)活用事例~」
アマゾンデータサービスジャパン株式会社
エバンジェリスト/技術推進部長
玉川 憲
「カシオグループのIT/クラウド戦略
~加速するグローバル化の中でIT部門が果たすべき役割~」
カシオ計算機株式会社
業務開発部情報戦略グループ
グループマネージャー 大熊 眞二郎
平成 23 年度 IT 賞受賞記念シンポジウム
13:30
~
14:20
14:30
~
15:20
15:30
~
16:20
16:30
~
17:20
「野村證券におけるペーパーレス会議と
コミュニケーション改革」
野村證券株式会社
国内IT戦略部
部長 藤井 公房
「スマートデバイスのビジネス利用と
AR等サービス展開の事例」
NTTコムウェア株式会社
取締役 NTTビジネス推進本部
ビジネス企画部長 後藤 恒久
「iPad だけでは何も生まれない
~全ては患者様とその家族のために」
エーザイ株式会社
事業戦略部統合戦略室
ICTマネジメント担当課長 開發 寛
「ANAグループ客室乗務員の iPad 活用方法」
ITマネジメント賞
「OneNEC を実現するグローバル経営システム改革
~プロセス改革指向によるIT改革の実践~」
日本電気株式会社
経営システム本部長 辻 孝夫
ITビジネス賞
「新外為事務システム FLEKS を活用した
銀行外国為替事務の変革」
株式会社三井住友銀行
事務統括部長 国崎 肇
IT特別賞(IT推進部門長)
「魅力あるIT企業、魅力あるSEを目指して」
東京海上日動システムズ株式会社
代表取締役社長 横塚 裕志
IT特別賞(ITフロンティア賞)
「社員 1 万人が利用するオフィスサイネージの導入」
全日本空輸株式会社
東日本電信電話株式会社 東京支店
IT 推進室 開発推進部
東京支店 企画部
運航・貨物・整備チームリーダー 小野内 俊治
経営企画部門長 亀崎 康隆
9
ITソリューションセミナー
9:30
~
10:10
10:20
~
11:00
11:10
~
11:50
13:10
~
13:50
14:00
~
14:40
14:50
~
15:30
15:40
~
16:20
16:30
~
17:10
①
ITソリューションセミナー
②
「e ラーニング ライブラリ」を
活用した企業内教育のご紹介
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
e-ラーニング事業部
主査 工藤 真由美
CAC のユビキタス(どこでも)勤務に向けた
BYOD/BYOC への挑戦
株式会社シーエーシー
取締役兼執行役員 IT 基盤刷新委員長 萩原 高行
同委員 平瀬 謙次
「つなげる、生み出す、進化する」 M2M 時代を
リサイクル分野におけるIT化の現状と今後
支えるマルチデバイスプラットフォーム
株式会社 NTT データ
株式会社日本能率協会総合研究所
グループ経営企画本部 M2M クラウド推進室
環境研究部
M2M プラットフォームグループ
研究員 松田 愛礼
部長 風間 博之
VAiOS クラウドサービスの共通アプリケーション
標的型攻撃時代に求められる企業情報セキュリティ
Hadoop 型ストレージサービス
「CloudstorTM」
、
仮想デスクトップサービス「VIDAASTM」
株式会社アイネット
トレンドマイクロ株式会社
クラウドサービス事業部営業部 課長 高橋 信久
ソリューションマーケティング本部
企画本部 主任 神野 由紀子
プロダクトマーケティングマネージャー 横川 典子
企画本部 山口 絵里香
NTT コミュニケーションズの目指す
グローバルクラウド戦略について
NTT コミュニケーションズ株式会社
クラウドサービス部長 田中 基夫
「賢く作る」
、
「安全に使う」今、企業が知っておく
べきスマートフォン導入のポイント
株式会社ジェナ
代表取締役社長 手塚 康夫
株式会社ジェーエムエーシステムズ
企画営業部 マネージャー 岸 直之
ドコモの法人戦略とソリューショントレンド
株式会社 NTT ドコモ
第一法人営業部 モバイルデザイン推進室
室長 加藤 裕一
激変時代の変革をリードする情報システム部門とは
~オペレーション改革をプロデュースせよ~
株式会社日本能率協会コンサルティング
IT 事業センター
センター長 松本 賢治
10
Ⅱ.企画委員
大会企画委員会 委員長
宇治 則孝
日本電信電話株式会社 代表取締役副社長
大会企画委員会 副委員長
渡辺 尚生
東京ガス株式会社 常務執行役員
大会企画委員会 委員
中塚
正人
株式会社 IHI エスキューブ 代表取締役社長
永野
修治
IT エンジニアリング株式会社 代表取締役社長
知久
龍人
アサヒビール株式会社
糸賀
誠
EMC ジャパン株式会社 マーケティング本部長 兼 マーケティング・プログラム推進部 部長
田口
潤
株式会社インプレスビジネスメディア 取締役 IT Leaders 編集局 局長
池島
晃
NEC ソフト株式会社 情報システム部 部長
芦沢
秀明
IT 部門 ゼネラルマネージャー
NTTコミュニケーションズ株式会社
第二営業本部
インダストリ営業部門長
津留崎貴子
株式会社NTTデータ グローバル IT サービス事業推進部 グループ事業推進室 部長
高橋
守和
株式会社NTTドコモ 執行役員
矢吹
義明
NTT コムウェア株式会社
鈴木
泰久
株式会社岡村製作所 情報システム部 部長
法人事業部
副事業部長
エンタープライズ・ソリューション事業本部
事業推進部長
畑ヶ山浩幸
沖電気工業株式会社 情報システム事業部
事業部長
大原
泉
株式会社オービックビジネスコンサルタント 取締役 営業本部 広報室長
矢澤
篤志
下村
匡
佐原
浩治
キヤノン株式会社 情報通信システム本部 情報通信システム企画部 部長
植村
隆文
九州電力株式会社 情報通信本部 情報システム部長
牛島
康博
九州旅客鉄道株式会社 総合企画本部 IT 推進室長
中山
嘉之
協和発酵キリン株式会社 情報システム部長
辨崎
勝弘
グローリー株式会社 情報システム部 部長
兼子
邦彦
小島プレス工業株式会社 技術企画部 参事
児玉
浩一
株式会社シーエーシー 経営管理部 広報IRグループ長
安達
良彦
株式会社ジェーエムエーシステムズ アーキテクトグループ シニアアーキテクト
白方
博教
四国電力株式会社 情報通信本部
安田
洋
佐藤
政行
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 システム企画部 CVS システム シニアオフィサー
幸重
孝典
全日本空輸株式会社 上席執行役員 IT 推進室長
北川
栄一
株式会社損保ジャパン
山田
芳也
大和証券株式会社 システム企画部 担当部長
嶋田
博明
株式会社中央コンピュータシステム 企画部長
橋本
久
カシオ計算機株式会社 執行役員 業務開発部長
関西電力株式会社 経営改革・IT本部 IT企画部長
情報システム部長
株式会社 JR 西日本ITソリューションズ 代表取締役社長
中外製薬株式会社
IT 企画部 部長
IT 統轄部門 情報システム部長
11
丹治
邦夫
中国電力株式会社 情報通信部門 情報システム部長
栗山
誠
中部電力株式会社 情報システム部 システム業務グループ長 部長
石内
勝
T&D 情報システム株式会社 取締役
佐藤
昌志
電気事業連合会 情報通信部長
伊藤
和雄
電源開発株式会社 経営企画部
牧野
司
IT・通信室
室長代理
東京海上日動火災保険株式会社 IT企画部 課長
久保田宏明
東京ガス株式会社 IT活用推進部長
執行役員
北村
修
東芝情報機器株式会社
小栗
常義
能丸
実
宮西
真司
ニッセイ情報テクノロジー株式会社
桜本
利幸
日本オラクル株式会社 アプリケーション事業統括本部 担当ディレクター
引地
久之
日本たばこ産業株式会社 IT 部 IT 部長
塚原
修
児島
邦昌
西日本旅客鉄道株式会社
千野
道人
株式会社日本能率協会マネジメントセンター
本田
光広
日本ヒューレット・パッカード株式会社 コーポレートコミュニケーション本部 本部長
藤中
伸紀
日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズマーケティング本部 シニアマネージャー
橋本
一彦
株式会社日本旅行 情報システム部長
古川
昌幸
株式会社野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 戦略 IT 研究室長
檀原
可一
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 経営戦略室 渉外部 部長代理
西野
克彦
北陸電力株式会社 支配人 情報通信部長
林
宏行
北海道電力株式会社 理事 情報通信部長
依田
賢治
本田技研工業株式会社 IT部 IT戦略管理室
宮田
隆司
みずほ情報総研株式会社 金融ソリューション第 3 部 部長
島野
芳巳
三井造船システム技研株式会社
戸叶
秀晴
三菱電機株式会社 インフォメーションシステム事業推進本部 技術企画部 渉外担当部長
木村
良彦
三菱マテリアル株式会社 システム企画部門
渉外担当部長
日揮情報システム株式会社 取締役 産業ソリューション事業部長
日産自動車株式会社
日本電気株式会社
グローバル情報システム本部
部長
品質・生産管理部長
支配人
IT 本部 次長
室長
顧問
小佐野豪績
ヤマトホールディングス株式会社
田中
俊明
横河ソリューションズ株式会社 執行役員
土居
章展
株式会社菱化システム
取締役
総務部長・情報システム部長
部門長
執行役員
情報サービス事業部長
常務執行役員
(敬称略・会社・団体名 50 音順)
Ⅲ.協賛企業
株式会社アイネット、NTT コミュニケーションズ株式会社、NTT コムウェア株式会社、株式会社 NTT データ、
株式会社 NTT ドコモ、株式会社シーエーシー、株式会社ジェーエムエーシステムズ、株式会社 JIPM ソリュー
ション、株式会社JMAホールディングス、トレンドマイクロ株式会社、株式会社日本能率協会コンサルティ
ング、株式会社日本能率協会総合研究所、株式会社日本能率協会マネジメントセンター、日本ヒューレット・
パッカード株式会社 (五十音順)
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Ⅳ.個別コース発表の概要
スマートデバイスビジネス活用シンポジウム
コーディネーター : 社団法人企業情報化協会
小谷野 文雄
1.クラウドで変化する家電のこれからの世界
シャープ株式会社 クラウド技術開発本部本部長 八尋
俊英
氏
「クラウドで何ができるか」
「ハードメーカーとして何をするべきか」を考えているが、最近の動向と、こ
れからの動きを確認する。
GoogleMap など、最近身近なクラウドサービスがあるが、iPod 革命に端を発するオンライン化/デジタル
化の衝撃の影響は、インターネットとデバイスを結びつけた家電の再定義の必要性を要求している。
クラウド機能の活用の動きを見ると、
「快適なモビリティを提供する」という役割の自動車では、
「ユーザー
への安心サービスの提供」ということで、クラウド活用の動きが始まっている。
タニタでは、使用データの蓄積サービスからソリューションを提供することで、ユーザーに新しい価値を提
供しようと始めている。
ユーザーとシャープの関係を、機器メーカーから生活全般に寄り添うパートナーへ変革するチャンスと考え、
一つの動きとして、ガソリンスタンドという場所を活用したユーザーサービスを実験している。
クラウドとロボットという動きがあり、
「クラウドロボティックス」が動き始めている。情報処理をロボッ
トの外で行うこと、ロボットの環境情報を個別に事前に準備しなくても、共有情報としてクラウドで活用する
というようなことで、
「よりやすく、軽く、賢く」できると考えられている。Google では、自立走行ゴルフカ
ートの開発が行われているが、この技術は元々戦車の自立走行のためのものだったが、開発者が、Google に
転職することで動き出した。
家電という分野で見ると、シャープでは、「ラーフアテンダント」ということで、「support」「Connect」
「Create」
「Save」という見方で、いろいろなサービスを考えている。
この分野では、Google や Apple では、とりあえず作ってみる。結果としていいものが残る。という考え方で
動いている。変化を拒まず、トライアルベースでも次々とサービスを展開する姿勢が重要と考える。
電子書籍の購入データとPCやスマートホンから得られる嗜好データを組み合わせて、POPCORN を使っ
て解析し、まだ購買していない書籍や商品の情報提供につなげるなどの方法が考えられ、
「GALAPAGOS」を
電子書籍だけのサイクルから生活サービスへと拡大するようなサービスを考えている。
ガソリンスタンドという場所を活用したユーザーサービス実験では、ユーザーサービスとして地域周辺情報
提供やクーポン発行を行うだけではなく、従業員用として、マニュアルのデジタル化なども対象としている。
13
これからの開発の課題としては、モバイルは広島、TVは栃木というような事業部の縦割りを、クラウドで
どううまく連動させていくかということである。
クラウドに関連する周辺規制に関しても、考慮する必要がある。たとえばカナダでは、使う情報が国境を越
えてはならないという法律がある。
2.スマートフォンで業務改善 ~課題は、通信環境やセキュリティ~
みずほ情報総研株式会社 金融ソリューション第3部長 宮田 隆司 氏
スマートデバイスの最近の動向と事例を聞くための準備となるような事柄、さらに自社の提供しているソリ
ューションという内容で説明する。
2011 年第 3 四半期の国内スマートフォンの出荷台数は前年同期比 243%増の 530 万台、タブレット端末の
出荷台数は前年同期比 133%増の 42 万台で、今後もスマートフォン市場の成長は続くと見込んでおり、
2015 年には 3,403 万台に達すると予測している。これらのスマートデバイスとクラウドにより、真のユビキ
タスコンピューティングが実現される。
タブレット端末は、企業の利用が増加しており、運輸業ではANAの事例、機器メーカーとしては、リコー
テクノ、三菱重工の事例、建設業では大成、医療現場ではさくら総合などの事例など、続々と拡大しているが、
これまでのシステム導入が、コスト削減にその大きな狙いがあったのに対して、スマートデバイスの活用によ
ってビジネスモデルを変えていくという方向に変化してきている。
スマートデバイスをビジネス活用する場合の課題は、セキュリティ・端末管理である。第一段階(レベル1)
では、Exchange Server で、認証を行う。第2段階(レベル2)では、端末の種類に応じて構成プロファイ
ルを使って制御する。第3段階では、BYOD の許可や来訪者への解放を行うための MDM で行う。実際には、
Secure Link Gateway を使っており、解放はするが、情報を Push するだけで、外からは内容を触れない
ように管理している。
みずほ情報技研では、MHIR:SMART-1 という iPad を利用したペーパーレス会議ソリューションを提供し
ている。これは、会議の効率化のために、紙ではコストのかかる資料のカラー表示、拡大縮小の活用・ページ
連携機能などで、議論の活性化を図り、資料の品質向上などを支援する。
さらに、SMART-2 は、営業支援のマニュアル化というようなシリーズ化を図っている。
3.ガリバークラウドプロジェクト
~iPad で変わる基幹業務とワークスタイル~
経営企画室 クラウドプロジェクトリーダー 椛田
泰行 氏
ガリバーは、創業者が、中古車の買い取りというビジネスを開発してできた会社で、従業員とパートで、2200
名、動いているPCは、2000 台である。買い取ってから小売りに販売するまでの時間差があるので、その間
は、在庫のような状況があり、その期間には画像とデータを使った小売りも行っている。
(ドルフィネット)
かつては、ガリバーの中のシステム部長であったが、一通り作ってもうやるべきことはないと思っていた。
そのときに中国行きの話があった。中国で感じたことは、「モバイルなくしてビジネスなし」ということであ
った。
帰国後、自社のシステムに関して閉塞感を感じた。さらに、リーマンショックや3.11などの影響で、働
き方やビジネスモデルの再点検を行うことになり、「クラウドプロジェクト」が始まった。このプロジェクト
は、モバイルワークスタイルというように働き方を変えるプロジェクトであって、脱 PC を目的にはしていな
い。
iPad はガリバーの買取ビジネスにおける基幹業務をかえた。査定のための細かい項目の入力が容易に行え
14
るようになり、査定業務が非常に効率化された。また、 iPad の操作性と優れた UI を利用した画像販売の新
しい体験が、プレゼンテーションの変化につながり、顧客管理も行いやすくなった。さらに、メールや社内
SNS を用いたコミュニケーション改革もおこなっている。
固定のPCとはことなり、人の動きに合わせていけるのが、モバイルである。
いつでもどこでも、リアルタイムに情報にアクセスできることから、ペーパーレス、電子化が加速し、一方で
は、 これまで記録できなかったことが記録されるようになり、生産性の大幅な改善が起こっている。
また、最新のツールを使う事による自己啓発の芽生え、意識の変化もおこっている。
iPad の導入に関しては、まず、スモールスタートで、こういうものに趣味がある人を選んで始めた。まず
自らが率先して使ってみると、日々障害や改善の連続で、毎日新しい発見がある。さらに、現場に足を運び自
ら体験しながら、現場の声を聴くということをおこなってきた。
システムとしては、100%Amazon のクラウドサービスである Webservice を活用している。現在福岡で
開発しているシステムも担当しているが、クラウドっぽく行っており、現地に行くのは、月に 1~2回であと
は、Web をつかってやりとりをしている。
4.野村證券におけるペーパーレス会議とコミュニケーション改革
国内IT戦略部 部長 藤井 公房
氏
野村證券は、営業部門、ホールセール部門、アセットマネジメント部門と 3 つの部門があるが、国内 IT 戦
略部の中で、営業部門のサポート的な役割である。
かつて、営業用にPCを大量に導入したことがあったが、客先で使おうとしたときの立ち上げに時間がかか
ることや電源問題など決して使いやすいわけではなく、営業にこういうデバイスを活用することに、ある種の
トラウマができてしまった。
もともと、個人的には、ポケベル、電子手帳などを好きで、使ってきたが、iPhone3G が出たときに、SB
の中山氏のセミナーで、やりたいことがボタンの一発起動で使えることから、営業に使えると直感した。
2010 年 4 月に、iPad プロジェクトを開始した。これは、当初から営業部員を対象として、社内の PC と同
じ操作で使えるようにした。株価情報、パンフレット・説明資料、コンサルティングツールだけではなく、元々
装備されている地図などや無料のアプリも使うようにする。使用については、極力制限をしないで試験運用し、
ヒアリングとフィードバックによって継続的に見直しを行い、情報の配信管理などは Handbook を活用する。
Handbook は、インフォテリアの平野社長との Twitter を使った直接的なやりとりによって、iPad で使える
ようにしてもらい、その後も連絡を取り合っている。
試験運用の結果をヒアリングすると、顧客とのコミュニケーションツールとして、外出先での強力な情報収
集ツールとして、持ち帰って回答するというようなことがなくなり、業務効率をアップする業務支援ツールと
して有用性の確認ができた。
セキュリティに関しては、リモートアクセス基盤と外部の認証サービスを組み合わせて確保している。
また、あらたに、営業の案件管理を導入し、セールスフォースドットコムのサービスを取り入れた。
さらに、iPad に内蔵されているブラウザーである Safari を使えば、作ったファイルを見ることができるこ
とがわかって、会議に利用できることになった。結果として、会議用の印刷の紙代と印刷工数が削減された。
この効果で、1 台あたりの投資は 1 年で回収できている。さらに、思わぬ効果として、会議のぎりぎりまで資
料を作成・訂正できることになった。場合によっては、会議の途中で訂正していることもあるようである。紙
では節約のために、2in1で印刷する、モノクロで印刷するということをしていたが、カラーの大きな表示が
15
でき、拡大縮小もできることから高齢者に優しいものになった。こういう活動は、役員を巻き込むことが重要
であるが、役員会議に活用するという形で、巻き込みができることになった。役員会議でも、同じ効果がえら
れ、見やすい資料が手元に来るということで参加者にとっても有用であり、事前の資料確認もでき情報の共有
化がしやすくなっている。また、補足資料は、関連した場所からすぐに見られるようにするなど、プレゼンの
仕方そのものも変わってきている。
このように、ITツールで時空を超え、仕事のやり方を変える起爆剤にすることを考える。
5.スマートデバイスのビジネス利用と AR 等サービス展開の事例
NTT コムウェア株式会社 取締役 NTT ビジネス推進本部ビジネス企画部長
後藤
恒久
氏
スマートデバイスの動きとその具体的な応用の例を説明する。
スマートデバイスとは、スマートホンやタブレットなどで、PCと携帯電話のいいところを組み合わせた新し
いデバイスいうことができる。瞬時駆動という使いやすさやモバイル通信環境は、携帯電話と同じで、ユーザ
インタフェイスやアプリ、セキュリティなどは、PCと同様となっている。
その市場規模は、今後の五年間で五倍になると予測されている。2011年から、ビジネスでの活用が急速
に拡大しており、社内利用では、情報共有と職場の活性化を狙いとしている。
スマートデバイスを利用することで、オフィス以外でも、オフィスと同等の作業レベルを実現するということ
での、スマートデバイスとクラウドコンピューティングの組み合わせの親和性がよく、クラウドコンピューテ
ィングも、急速に拡大している。
スマートデバイスのOSを見ると、各社の戦略の違いがある。Apple は、端末ハード、OS、アプリまでを
包括的に管理する垂直統合型、Microsoft は、端末ハードは、仕様に規制をかけるが端末は各メーカで、OS
やアプリは包括的に管理する垂直統合型、Android は、端末は、メーカーの自由度が高く、OSは、オープン
ソース、アプリも制約や診査はない水平分散型である。今後は、端末やアプリを提供する側の自由度が高いた
めに、Android が圧倒的に拡大するものと予測されている。
スマートデバイスのビジネス活用上の課題としては、セキュリティ意識の向上などの利用者の意識改革と、
ウイルス対策や端末にデータを残さないシンクライアント化、紛失対策などの端末管理の仕組などのシステム
的な対策が不可欠となる。また、OSの頻繁なバージョンアップへの適切な対応が必要になる。フラグメンテ
ーション(多様化)への対応としては、リモートテストサービス、UIテストの自動化、マルチデバイス対応
のための仕組みなどがソリューションとして準備されている。
In B、B
to B の提供サービスとして、
・「最短 5 日」で導入可能な信頼性の高い在宅勤務ソリューションを提供する SmartCloud Desktop
・スマートデバイスの導入から、利用中の管理ソリューション(MDM)の提供、利用終了後の端末のセキ
ュアな廃棄まで、トータルでのモバイル端末ライフサイクルを支援
・タッチパネル画面の操作状況(指の軌跡)データの収集・分析して、業務マニュアルやパンフレットの改
善等に活用するタッチパネルの操作ログ
B
to C の提供サービスとして
・ポスターや雑誌などをスマートデバイスで撮影すると、あたかもその写真が動き出したかのように関連す
る動画が流れるイメージベース AR サービスなどを作成している。
16
6.iPad だけではなにも生まれない
~すべては患者様とそのご家族のために~
エーザイ株式会社 事業戦略部統合戦略室 ICT マネジメント担当課長 開發
寛 氏
営業機能部門に関連したシステムに関しては、一人で担当している。ただし、情報システム部門などの協力
を得て推進している。
エーザイは、一般医薬品や OTC 薬で名前が通っているが、実は、医家向けの比率の方が高い会社であり、
MRの役割が非常に重要である。
製薬業界におけるMRは、
「企業を代表し、医療用医薬品の適正な使用と普及を目的として、医薬関係者に
面談の上、医薬品の品質・有効性・安全性などに関する情報の提供・収集・伝達を主な業務として行う者をい
う」と定義されており、営業と非常に近い機能であるが、一般の営業とは異なり、直接商品を販売するわけで
はなく、配送や集金機能などは持たない。
このMR力を強化することが必要で、量と質のかけ算で考えることができる。
まずは、量を高めるということで、MRの個人まかせだった行動の仕方を、KPI(目標値)を設定すること
でより、訪問回数を高めるなどの施策を徹底した。
大切なのは、質であるが、簡単には上がらない。MRは、医師に一方的に製品説明するということは必要な
く、医師との会話の中から医師のニーズを探り、提案するということが重要であり、そのための教育を強化し
た。また、特にガンの分野に新たに参入することから、これまで以上に専門知識を理解しているという質の向
上が求められる。
iPad と Handbook を採用、
「Web サイトの閲覧」
「メール閲覧」
「製品関連資料」
「動画」
「営業実績」
「患者様フォロー」に iPad を使うこ
とにしたが、製品数が多く、その関連情報も非常に多いこと。添付文書などの内容の更新が頻繁にあるが、セ
キュリティを考えると、iTune(Apple の購入/更新管理システム)は使えないことから、Handbook を採用
した。本部で作成した資材は、HandBook を介して、インターネット回線を経由して、各 iPad へと配信され
る。iPad では、HandBook アプリを利用することで、それらのコンテンツを手軽に閲覧可能になっている。
「Web サイトの閲覧」については、閲覧する可能性のあるサイトについては、すべて「お気に入り」に登録
して渡すようにした。
導入に当たっては、iPhone や iPad の個人ユーザーをリーダーにして、80 人を対象にトライアルを行った
が、操作のための研修は必要ない。ただ、何のために導入するかという意義を伝える研修は必要である。
iPad 活用の推進を妨げるのは、
何でも、iPad でやれるようにしようとすること。
ビジネス上の使用では、個人の使用時とは異なり、使用範囲やセキュリティなどの制約の厳しさがあるために、
「最初は味方だったはずなのに」ということが起こること。
紙をなくすことに対してベテラン勢の反乱があること。
などがあるが、
「何のために導入するのか」というコンセプトをぶれないことが重要である。
7.ANAグループ客室乗務員の iPad 活用方法
全日本空輸株式会社 IT推進室
~経営効率向上とお客様への更なるサービス向上に向けて~
開発推進部 運航・貨物・整備チーム リーダー
小野内 俊治
氏
ANA における種々のシステムの導入に関しては、対象となる地域の広がりや対象人数などを考えると、やっ
てみてうまくいかなかったら直す、やめるというようなことは難しい。そこで、安心できるものにしてから導
入するということでは、これまでの説明とは少し違う。
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まずは、最近就航したボーイング787の説明があった。この飛行機は、ボーイングといいながら国産化率
30%以上あり、低燃費と軽量化で就航距離が20%以上伸び、それだけ直接就航できる範囲が広がることに
なる。
最近の航空業界の大きな動きであるLCCの台頭をはじめとするグローバル競争の激化に対応するために、
より一層の生産性の向上と同時に、基本品質・サービス性の向上を目指す目標を設定しており、サービス性の
向上に関しては、世界最高水準である Skytrax(サービス格付会社)の Five Star を目指すこととした。
その中で、客室乗務員(CA)に関する課題として、グループ全体で柔軟な生産体制構築が必要であり、
一人の CA が、多様な機種・路線に乗務できるようにすること(マルチスキル化)が必要であり、情報の増加
とスキルの高度化をサポートする環境が必要である。さらに、訓練期間の短縮と早期育成を可能にすることに
よって、国際線の事業規模拡大に対応可能な生産力の確保できる方法が必要であった。
そのための実施施策として、第一にマニュアル管理の見直しを行った。マニュアルは、バインダー2冊で
2.1kg。変更差し替えの頻度も高く、それを確実に最新に正しく保つだけでも大きな負担であった。これを iPad
化することで、最新に保て、持つことの負担も大幅に少なくなった。情報の取り込みは、出発時でダウンロー
ドすることで行う。このことは、紙の使用量削減にも大きく貢献している。第二は、教育訓練の改革である。
たとえば、動画を使うことで理解しやすくする。ドアの開閉方法などは、飛行機の機種によって異なるが、そ
れを動画で示すことでわかりやすくなる。また、理解度に応じて学べる個別学習・自己学習をできるようにし
た。第三は、客室業務の効率化である。たとえば、乗務中のレポートは、従来は紙に記述して、降りた後入力
するという方法であったが、業務中に直接データ化することができるようになった。
これらのシステムの導入に当たっては、
「外部サービスを徹底して使う」
「ハードウエアは、複数の中から選
択する」という考え方で選択した。拡大縮小・ページ繰りなどの「使い勝手の良さ」業務パターンから見た「長
時間利用可能」
「高いセキュリティ」などから iPad を選択した。
運用管理に関しては、関連会社の「ANAコミュニケーションズ」が担当しており、紛失などがあればMD
Mで対応しており、突然の故障などは、各拠点に予備機をおいて対応している。
iPad の導入に関しては、さらに拡大した使い方を要望されており、当初考えていた以上に活用に関しての
現場からの意欲が高くなっている。
クラウドコンピューティングシンポジウム
コーディネーター : 株式会社ジェーエムエーシステムズ シニアアーキテクト 安達 良彦
1.クラウドは企業変革を促す。HPの最先端テクノロジーと先進事例のご紹介
日本ヒューレット・パッカード株式会社
執行役員 ストラテジック・テクノロジー・オフィサー 山口 浩直 氏
<世の中の状況と HP の取り組み>
現在において、クラウド、スマートフォンが普及期にきている。新しいデバイスがどんどんネットワーク(=
クラウド)につながっている。このような状況において、企業はどのように取り組むかが課題であると認識し
ている。また、これからは「クラウド」と「ビックデータ(BigData:非構造型データ)
」と「セキュリティ」
が取り組みの主題となると思われる。
HP のコアコンピタンスは物作りにあり、それらに価値(ソフトウエアとサービス)を加え、戦略的に新し
いテクノロジーを顧客に提供する、また、ソリューションを提供するという活動を行なっている。
IT の変革は、クラウドを利用することからはじまる。新しい技術の取り組みを行ないつつ、クラウドをどう
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企業の活動に使っていくかが重要で、コスト効果や付加価値を高める方向で取り組まなければいけない。従来
の仕組みを、プライベートクラウドとパブリッククラウドの棲み分けで変化させるべきで、そのための計画策
定支援をワークショップ等を通じて提案をしている。ワークショップでの主題は、コア業務とノンコア業務の
棲み分けをどのように整理するかにある。
また、海外進出やグローバル化では、ワールドワイドで均一のサービスが必要になる。このような企業の取
り組みに対して、クラウド用の各種商材(ハード、ソフト、ソリューション・・・)を提供することが HP の
使命の一つである。
HP では、クラウドの利用については「ハイブリッドデリバリ」という考えを持っている。これは異なる資
材を使い分け、連携して動かす仕組みであり、ソリューションとして提供している。
具体的例はクラウド管理である。GUI でのクラウドリソース管理、仮想マシンのデザイン、そして運用まで
を行える。これは、プライベートもパブリックもリソースとして扱うクラウドエンジンとなるのである。例え
ば夜・昼でのリソース配分や切り替えなどといったきめ細やかな管理を行うことができるソリューションであ
る。
その他、新しい商材として、MoonShot という安いブレードを大量に搭載したクラウド用のハードウェアを
提供予定している。更に、セキュリティ用プロダクトとして強力な製品も提供している。
<HP の改革>
講演テーマであるが HP 内部の改革での話となる。
改革を行う直前の 2005 年当時、HP の IT の状況は、システムの定まらない方向性、不十分な連携等、アプリ
ケーションは約 4000 あったが、個別にバラバラで乱立という状態がワールドワイドで蔓延していた。
改革計画はトップダウンで実施され、とにかく、効率化・集中・均一化を図った。そのために CIO が集中統
制するという態勢とした。
改革の効果は;
 IT 投資 4%⇒2%
 プロジェクトは 50%へ
 アプリケーションは 1/4 へ
というところが数字で言えるところである。また、大きなポイントは;
 システムはサービス化し、現場へ提供という形に変えた
 インフラ、アプリケーションは、EA 手法を用いて可視化し推進した
 シャドーIT を撲滅し、全体統制された状態に持っていくために選択と集中を徹底した
 アプリケーションのポートフォリオマネジメント
 アプリケーションのシンプル化
等などの施策が取られたことであるが、グローバルでのトップダウンによる強力な改革を行ったことが一番の
成功要因と言って良いだろう。トップマネジメントの強力な統制がドラスティックな改革を生むのである。重
要なのはトップマネジメントの「決意」ということであった。
現在では、
 DC の統合 :広域災害、テロ対策、等のリクス軽減
 自動化 :クラウド環境の運用を自動化
 CISCO Free 3com への切り替え
が実現できている。
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<今後について>
現在喧伝され始めた BigData の到来がある。
情報爆発をどうビジネスに使うか、という新しいスキームである。
HP は、BigData(非構造型データ)
、を扱うためのプロダクトを提供し始めた。
そしてまた新しいサービスの可能性が出てきている。そのための取り組みを行なっていくことになるだろう。
2.経営者が知るべきアマゾンクラウドの最新動向 ~アマゾンウェブサービス(AWS)活用事例~
アマゾンデータサービスジャパン株式会社 エバンジェリスト/技術推進部長 玉川 憲 氏
今日は、楽しく刺激的なプレゼンをさせていただきたい、ということでお話が始まった。
玉川氏は、啓発活動や著書でアマゾンクラウドの普及を推進しておられ、昨年(2011 年)は 160 回の講演を
したとのこと。今回の講演は、昨今注目を浴びている BicData のトレンドを中心にしたものである。
アマゾンは、1995 年にインターネットでの書籍販売を始めた。当時はありえないと喧伝されたが、5 年でグ
ローバル企業として成長した先進的企業と自負している。
アマゾンのサービスの中心は E コマースだが、本社のあるシアトルでは生鮮食品も扱っている。
サービスメニューは、セラー向けのマーケットプレイス、物流サービスを提供し、開発者や IT プロ向けにク
ラウドコンピューティングサービス(AWS)を提供している、というのが概要である。
<クラウドの概念について>
昔は電力確保のために自家発電を行なっていたが、社会インフラ化し、電力は利用する、というパラダイム
シフトが起こった。今後 10 年以内に、70%がクラウド利用に変わると予想している。
では、IT 界で電力に相当するものは何か? それはコンピューターの計算能力であり、ストレージ(S3)で
ある。アマゾンはこれらをビジネスモデル化した。
<AWS について>
AWS は仮想サーバーを提供する EC2、ストレージを提供する S3 というサービス等で構成されている。
(実際に EC2 で仮想サーバーを作って立ち上げるデモが行われた)
アマゾンサービスの目指すところは、IT サービスの継続、コスト削減(バッチ処理はクラウド向きで、テン
ポラリーな並列処理でさばく)である。また、アマゾンはいわばホームセンターのようなもので、素材として
の品揃えが豊富である。
AWS の利用実例としては、おおよそ以下の分類となる。
-企業の全社・部門アプリケーション
-コンシューマー向けサービス
-BicData 処理
-ディザスタリカバリー・バックアップ 等
-時間物、季節物、イベント物という一過性のもの
尚、世界のリーダー企業はクラウドを使いこなしているのが現状である。
<日本の状況と都市伝説>
2011 年 3 月に、東京データセンターを立ち上げた。このことで、データの所在・レスポンス・セキュリテ
ィという、ある意味都市伝説的な日本での懸念は、かなり払拭されてきており、これらの要因で導入を躊躇し
20
ていた顧客が利用を始め、エンタープライズ用途にも使われ始めている。尚、米国では米国政府専用のセンタ
ー(リージョン)がある。
クラウドセンターは銀行と同じである。大事なお金は銀行に預けることに抵抗無いように、システム・デー
タをクラウドセンターに預けることは同じである。という意識がもっと浸透して欲しい。なので、今言われて
いる懸念は都市伝説なのである。セキュリティで一番の原因は人間でシステムではないのである。
企業にとって、システムやプライベートクラウドを運用することは本業ではないはず。従って、IT リソース
の提供や運用はアマゾンのようなクラウドサービスへ移管することが必要であると認識してほしい。
繰り返しになるが、先の都市伝説で言われている懸念に対しては、AWS のサービス内容の拡充で対応が可
能になっている。
所在の問題、セキュリティ、ネットワーク性能(専用線も可能)
、プライベートクラウドを AWS 上に構築す
ることも可能(シングルテナント用、VPC:バーチャル・プライベート・クラウド)となっている。ネットワ
ーク及び物理サーバーについても、閉域網、専用サーバーというサービスが既に利用可能になっている。この
ように、東京センターができたことで AWS の利用が高まることが期待している。
3.カシオグループのIT/クラウド戦略 ~加速するグローバル化の中でIT部門が果たすべき役割~
カシオ計算機株式会社 業務開発部情報戦略グループ グループマネージャー 大熊 眞二郎 氏
前段の 2 つの講演はクラウドを提供する側からの話であるが、クラウドの提供側ではなく利用側としての話
をさせていただくということで始まった。
カシオの歴史についてひと通り説明された後、現在のグローバル化の状況について解説された。
現在、カシオの売上高のうち 50%は海外であり、グローバル化はどんどん進んでいる。これまでの取り組み
に加え、
「2012 年に注目すべき IT 戦略テーマ」
(ITR より)についても、どう取り組んでいくかを考えなけれ
ばいけないと認識している。
-グローバル化 ⇒ 加速している。人材確保が問題
-連結/連携 ⇒ データの活用
-ビジネスの構造変化
-IT 技術の変化
-企業内ソーシャルコミュニケーション
<過去の振り返り、15 年に渡る変革の歴史について>
改革の内容は、標準化、統合化の実現であった。
1996 年頃から ERP(JDE)の導入開始、2007 年で ERP 展開が終了。これにより標準化と統合化が果たさ
れた。その後、クラウド化へ進むが、クラウド化を目指したのではなく、必然的にクラウド化がなされたと言
ってよいだろう。
2011 年のコーポレートレポートで、グループクラウドを明言した。グループクラウドはプライベートクラ
ウドとパブリッククラウドを足したものという概念で、今後ますますクラウド化が進むだろう。
21
思い返せば 2004 年がクラウド元年であった。カシオでは、サーバーの統合は AS400 で JDE 導入に際し実
施。2011 年の震災時は、計画停電対応で外部 DC へバックアップ運用を行い、メールを全て Gmail に移行し
た。現在は 600 台の仮想サーバーを 100 台の物理サーバーで運用している。
良くなった点は、コスト削減とリソースの有効活用が実現できたところにある。
<現在の状況>
グローバルコモンを拡大する計画となっている。これは標準化の範囲をいかに広げるかという事案で、世界
中どこに行っても使える形ができてきている。基本は ERP と周辺部品のセットで拠点へ提供する手法である。
業務を行うということは、複数の業務・システムがつながっていることが重要で、そのために SOA 手法を
導入し、変化に強いシステムを構築している。また、業務設計については BPMN 手法を使用し、プロセスの
定義、プロセス間のつながりの定義を明確に行なっている。「つなぐ」ということに重きを置いているのであ
る。
このような取り組みの結果、リアルタイムでグループ経営情報をモニターすることが可能になった。
膨大なデータを、仕分け、手続化し、様々な立場の人向けに用途にあった形での提供を行なっている。用途
にあったということでは、活用シナリオで目的を明らかにし、行動プログラムまで明確にしている。
<これからの 5 年はどうなる。>
IT 部門は、業務開発部(1997 年に名称変更した)となり、ビジネスを IT 技術を使って改革していく部門
として位置づけた。業務プロセスの要求定義(要求開発)が現業部門ではできなくなってきていて、これは幅
広い業務が現業部門では見通せなくなっていることが原因で、全体を把握している部門がやらなければならな
い事案となっているからである。
今後は、パブリッククラウドをどう使いこなしていくのかが大きなテーマとなり、IT 部門の役割がどんどん
変化していくだろう。
平成 23 年度 IT 賞受賞記念講演
コーディネーター : 株式会社ジェーエムエーシステムズ シニアアーキテクト 安達 良彦
ITマネジメント賞
1.OneNEC を実現するグローバル経営システム改革 ~プロセス改革指向によるIT改革の実践~
日本電気株式会社 経営システム本部長 辻 孝夫 氏
OneNEC-グローバルシステム- これをどう実現したかの実例である。
システム統合の視点は、国内からではなくグローバルシステムから行った。それだけグローバルを意識した
ものである。この取り組みは矢野社長(当時)のトップダウンで推進された。
OneNEC コンセプトは、連結子会社 283 社が、一つの会社として動く、ことにある。
<背景>
日本のマーケットはどんどん小さくなっており、日本国内だけでは成り立たなくなっている。現在海外比率
は 50%以上である。NEC にとってグローバル化と内部統制が必然であった。ベンチマークとなる他社の研究
では、皆、スピードのある経営(少なくとも Weekly での把握)、低コスト経営、を行なっているということ
22
が判明した。
業務プロセスとシステムがグローバルで標準化され統一されることが重要である。が、苦労も色々あったと
のことである。全体最適を行うと、誰にもあわないものになる為、全体から怒られる。そのため、現場とは誰
とも会わなかった。ただし、世界最適を行うと、誰からも良いと言われる。そのような苦労が多々あったとの
ことである。
<実践>
業務プロセスを整備するために、SAP のプロセスディビジョンという考えを取り入れた。これは海外では当
たり前で、日本では初の取り組みだった。
システム要件、IT の要件は曖昧のままであったので、制度・ルールをもとに業務プロセスを決め、そのプロ
セスオーナーとして業務プロセスの責任者を明確にした。
プロセスの設計は(マイケル・ポーターの価値連鎖と対比して)横軸で標準化を行い、そのプロセスで縦軸
が回るかを検証していった。横軸としての機能の標準化を仮置きして、縦軸の業務に適用できるか、という検
証を繰り返したのである。
業務プロセスの改革には、BPM フレームワークを利用しているとのこと。
とにかく、まめに、あきらめず、報告を上げ、経営者と一体になってこのプロジェクトを進めていった。
(NEC ははやぶさプロジェクトに参加しており、
「絶対あきらめない」がスローガンである)
現在システムの運用はプライベートクラウドをセンター一箇所で運営している。IT 要員を集中し、海外現地
には配置していない。
各社、拠点への導入は、テンプレートを用意したアプローチを行なっている。システムはできているが最後
は人の問題が残る。これも根気よく対応をしていった。やはり最後は人である。但しツールは必要である。
この結果、従来の分散 MIS が統合 MIS へと変化し、OneNEC としての姿が徐々に出来つつある。
<Q&A>
Q:まだ全体への展開は行われていないようだが、最初にどこへ導入するかの判断はどうだったのか?
A:最初は 283 社の中から 40 社を選択した。決算上重要なところ、そして成功しそうなところという判断があ
った。最初で導入の成功体験も必要だった。283 社のうち半数は海外である。1 拠点あたりロールアウトに 1
年~1.5 年かかる。業務が変えられるか? データ移行できるか? 従業員が使えるか? ということをクリアし
ながら導入していくのである。
Q:費用負担は?
A:使った分だけ利用料として貰う形である。
<補足>
BP のプロセスレベルを 4 レベル(SAP のプロセスレベル)として、どこまでを標準化するかという基準を設
けている。
(シーメンスでは 7 レベルにしていると聞く)
23
ITビジネス賞
2.新外為事務システム FLEKS を活用した銀行外国為替事務の変革
株式会社三井住友銀行 事務統括部長 国崎 肇 氏
IT 化による BPR 実践の事例である。
<概要>
外国為替とは、国をまたがっての送金である。これまでの送金受付・処理の業務は支店各々でやっていたが、
外為センターに集中して業務を行うよう改革した。
NEC と日本総研の協力のもとに実現した。プロジェクト期間は、2005 年~2011 年の 6 年間である。
背景として、以前のシステムはメインフレームでのもので、老巧化と能力の限界に達していた。これをオー
プン系で再構築を行い、インターネット経由で送金申し込みなどの業務が行えるようにした。それだけではな
く、他にいろいろあって業務改革を行わなければならない状況でもあった。
開発においては、スケジュール遅延、仕様変更多発で全体的な見直しが必要になり、体制を強化した。開発
側・ユーザー側の両方に課題があった。その要因としては、開発側とユーザー側の意思疎通ができていなかっ
たところが大きい。対策として、業務経験のあるユーザーを開発チームに配置することで、共有化が進み、プ
ロジェクトを完遂することができたと認識している。
<システムの目指したもの>
FLEKS での BPR コンセプトは、4 つのレスである
オペレーションレス( STP 化により、業務プロセスを途切れることなく一貫して処理すること。)
スキルレス
ピークレス。
ペーパーレス
<効果>
業務の工程を、それまでの 10 工程から 4 工程に削減することができた。その他の対策については次にキー
ワードを挙げておく。
スマート解析
ワークフロー制御
センター内切り替え
ビジネス面では、取引データの蓄積・分析で顧客別のソリューションの提供や、アウトソースビジネス (⇒
付加価値 外為の教育カリキュラム)面での効果が期待できている。
リスク管理面では、マネーロンダリング対応をフィルタリングシステムで行うことができるようになり、効
率が上がった。また、市場環境の変化に柔軟に対応することも可能となっている。
これらの効果があるとは言え、変革は始まったばかりであると認識している。
24
IT 特別賞(IT 推進部門賞)
3.魅力あるIT企業、魅力あるSEを目指して
東京海上日動システムズ株式会社
代表取締役社長
横塚 裕志
氏
IT 業界が元気になるよう、先頭を走ろうと日々努力している。
経営・マネジメントは、SE がワクワクして働き、お客様により良いシステムを提供していこうとの思いで
いる。
1444 名の社員
47000 の代理店
9000 万の月間トランザクション
登録 50 万 ID のオンライン
1983 年東京海上系のシステム会社として設立。2004 年にシステム会社 3 社が合併という経歴の中で、組織
の肥大化、人材の多様化が進み、元気が無い、指示待ち体質となってしまっていた。
社員が自立的に行動し、会社も働きがいを感じる・魅力ある企業への転換が必要と判断した
-IT の潜在能力や、私たちの仕事の面白みを引き出す
-チームで活動し、全社員のモチベーションが高く、仕事に取り組むことのできる職場環境を構築すること
がテーマである。2005 年より取り組みを始めた。
手作業を効率化する、から、やったことのない仕事を IT でやる-お客様が気づいていない本質的な要求を
掘り起こす-こと。これは要求開発というキーワードで語ることができる。このような活動を自由に伸び伸び
と活動できる環境の提供が重要なのである。
取り組みのキーワーは以下のとおり。詳細は発表資料に譲る。
-ハイブリッド経営
-世界一への取り組み
-要求を開発するビジネスアナリシス
-脱成果主義への制度構築
この自由さは開発生産性にも良い効果が出ている。また、2009 年より、4 年連続で「働きがいのある会社」
を受賞(Great Prace to work)という実績もある。
経営サイドは、社員が自主的に活動できる場を提供しているだけだが、業務時間中の業務外活動、経営への
提案は丸呑み、委員長は経営ディスカッションに参加する、ということを経営がコミットし、社員の活動を阻
害しないようにしている。
「管理しない伸び伸びさ」 というプロジェクト管理以外は自由な環境と、
「インフォーマルな活動の大切さ」
を共有しているのである。好きこそものの上手なれという言葉そのものを実践しているのである。
なぜ日本で SE は 3K、4K と言われるのか・・・ もっと元気になって良いはずである。
25
IT特別賞(ITフロンティア賞)
4.社員 1 万人が利用するオフィスサイネージの導入
東日本電信電話株式会社 東京支店 東京支店 企画部
経営企画部門長 亀崎 康隆
氏
オフィスサイネージとは、 オフィス向けのニュース配信システム(電車の中のニュース配信のオフィス版)
のことである。
NTT-EAST の管轄では、640 万世帯、60 万企業/事業所が通信を利用している。安定した通信サービスの
提供、加えて利便性と満足を提供する使命がある。
116 番号サービスのコールセンター、工事調整部門、実施部門等、約 1 万人の従業員がまとまって通信を守
るサービス品質を守るという事業を進めている。
<これまでの情報共有方法と経緯>
情報伝達の手段として、メールやポスター等の方法をとってきたが、情報が伝わるという確実性が乏しく、
伝えたい情報がきちんと伝わっていない、今伝えたい事が伝わらない、という問題を抱えていた。
オフィスサイネージの利用では、以下の効果を期待した。
-タイムリーな情報を素早く同時に発信
-必要な組織にダイレクトに
-稼働をかけずに伝わる、気づきを与える
サイネージを入り口に既存ツール(メールやポスター)と共に情報の共有を図っている。例えば雷雨情報等
で、従来は伝達しきれなかった情報をスピーディーにかつ正確に共有し、様々な部門でのお客様サービス向上
に寄与している。
震災等を契機に、危機管理の強化にも効果が出ている。
-昨年の電力使用状況とアラーム ⇒ 節電対応
-台風情報 ⇒ 自然災害による障害対応
全拠点に予定の全台数が導入完了したのが 2011 年 3 月 9 日。その 2 日後に 3.11 東日本大震災が起きた。サ
イネージで安否確保(交通情報の発信)
、事業継続のための情報発信(計画停電等)で大きな役割を果たした。
電話不通状態下でも情報共有ができたのである。
導入にはかなりお金がかかり、効果に懐疑的な状況ではあったが、震災によって効果が感じ取ることができ
た。
導入の結果、組織の一体感・つながりが実感できるようになってきた。特に、ロケーションの遠近によらな
いファイス トゥ フェイス の橋梁関係が構築できてきた。
プロジェクト推進してきた際のポイントを以下に挙げておく。
-社内コンセンサス確保 ⇒ 業務に直結した利用シーンの想定
-運用スキームの確率 ⇒ 新たな広報スキーム(中央からの一方的発信ではない)コンテンツは PP のよう
に作ることができる。発信元が直接伝達先を決める
-導入台数の算出 ⇒ ディスプレイの設置基準を作成
-情報共有の費用削減
-番組枠 ⇒ 午前、午後、夕方のコンテンツ配信が基本
26
-グルーピング配信 ⇒ 特定の部門むけの配信
震災時、災害時などの緊急情報の優先配信は、システムをカスタマイズし、ビデオオンデマンド機能につい
ても配信されるまでの時間短縮も強化した。
今後は公共放送とサイネージ配信の同時表示等の機能が必要と考えている。
何れにしても業務の効率化・生産性に向上に寄与していると自負しており、音声会議や TV 研修への活用等の
双方向コミュニケーションツールとしての活用を考えたい。
Ⅴ. 参加者数
来場者数:延べ約1200名(2日間)
27
基調講演者・特別対談者集合写真
28
Ⅵ.アンケート集計結果
1-1.総合的評価
一日目オープニングセッション・二日目有料コース
オープニングセッション
感想・コメント

受賞会社の発表はより具体的に掘り下げた内容を聞けるともっとよい。

Top 層の考えを聞くことができました。

広範囲な各企業の課題・問題点・動向がみえる。

他社の具体的事例が参考になる(先進企業の取り組み)。

安藤氏・杉山氏の話は人材育成について考えさせられる良い話だった。

単なるシステムの開発事例ではなく IT を活用した実例を評価している点。

講演内容が多彩でよかった。

今後の参考となる講演が多かった。

適切なテーマ選定である。

安藤氏の講演内容がよかった(努力の必要性や日本の危機)

経営視点での IT 活用。

BCP 対応が参考になった。

IT 革新を全社統一で進めることで協力な推進力を感じた。

業務革新や IT ガバナンスの事例が具体的に聞けて参考になった。

企業の統合、グローバル化などに対する取り組みが参考になった。

ICT 投資の集中管理による社内統制が出来ていると感じた

投資効果の評価手法などもっと詳しく知りたくなるほど参考になった。

IT 部門の役割、その実現のために何が必要なのかが参考になった。

モチベーションがあがった。

IT 部門の役割、その実現のために何が必要なのかが参考になった。

実践の中から戦略的判断ができていたことがわかった、8NEKOに期待。

IT 賞受賞講演がすばらしく参考になる。
29
1-2.総合的評価
二日目有料コース
感想・コメント

他社のスキル標準を聞く機会があり良かった。

大変参考になる話が多く、問題解決のヒントになった。

実際の人材の育成の工夫や苦労話が聞けて参考になりました。

発表者の見返りを期待しない姿勢。

時流、時事に適した内容である。

トップ企業各社の IT への取組が判る。
2-1.参加者区分
30
2-2.参加セッション(2日目有料)
31
2-2.プログラム構成
2-3.2日目有料コース
感想・コメント
感想・コメント

東京海上日動システムズの講演がよかった。

業務改革に役立つものがあった。

新技術導入のヒントをたくさん得ることができた。

異業種アライアンスに興味。

新たなことを始めるためのポイントがわかりやすかった。

事例が具体的でわかりやすかった。
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新しい IT を導入するプロセスが参考になった。
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デモが面白かった。
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社内改革の指標・目標が参考になった。
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各クラウドサービスの位置づけと内容がよくわかった。
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会社・社員の活性化となる良いヒントになった
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聞かせていただいた 4 つのセッションは、それぞれ特色があり大いに参考になりました。
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大会の趣旨に沿った講演が多い。
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50 分区切りはちょうど良い時間割だと感じます
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1 コマの時間が妥当な長さだと思う。
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盛りだくさんなので、半日(午後のみ)程度に、まとめられたらいいのではないか。
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各セッションの配分は適切だったと思う。
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もっとセッションを増やして、多角的な情報収集の場として欲しい。
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丁度良いと思います。時間が丁度良い
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平成 23 年度IT賞受賞企業
IT総合賞
IT総合賞
キヤノン株式会社
大成建設株式会社
IT 総合賞
ヤマトホールディングス株式会社
IT ビジネス賞
株式会社三井住友銀行
IT マネジメント賞
日本電気株式会社
IT協会設立 30 周年記念特別賞(災害対策賞)
株式会社NTTドコモ
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IT 特別賞(IT 推進部門賞)
IT 特別賞(IT 推進部門賞)
東京海上日動システムズ株式会社
大同火災海上封建株式会社
IT 特別賞(IT フロンティア賞)
IT 特別賞(IT フロンティア賞)
東日本電信電話株式会社
東京支店
小島プレス工業株式会社
第 27 回 IT 戦略総合大会は無事に終了いたしました。
ご協力いただいた関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
次回、第 28 回大会は今大会を凌ぐスケールで開催すべく鋭意準備に励む所存でおります。
今後ともご支援宜しくお願いいたします。
社団法人企業情報化協会
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第 27 回 IT 戦略総合大会
ITMC2012
~経営と IT の融合を目指して~
開催結果報告書
(禁無断転載)
発行日 2012 年 3 月 5 日
編集・発行 社団法人企業情報化協会
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-1-22
日本能率協会ビル
TEL:03-3434-6677
FAX:03-3459-1704
www.jiit.or.jp
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