2010.7.15 - 税理士法人ゼニックス・コンサルティング

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2010.7.15
バックナンバー
№109
真の節税と事業計画。経営問題解決のエキスパート。
社員旅行では色々と注意が必要です。
本日は、公認会計士・税理士 村形がお送りします。
また、社員数の多い大きな会社の場合、社員全員で旅行というの
少々お休みをいただいておりましたが、2010 年下期のメルマガ配
が現実的でない場合もありますね。
信を再開させていただきます。
この場合は、部署ごとに旅行に行くということでも構いません。
さて、メルマガをお休みしている間、何をしていたかと言いますと、
要は、従業員全員に同等の参加の機会があればよいのですから、
実は、年に 1 度の社員旅行に行っていたんです。
旅行日や行き先が部署によって違っていても、ある程度、平等な
今年は、裏磐梯まで行ってきました。比較的、天気にも恵まれ、笑
予算の範囲内で実施されていれば大丈夫です。
いあり、笑いありの愉快痛快な旅行でした。
そうそう、旅行日数にも注意してください。従業員の全員参加で、
まあ、私たちの話は、私のブログでもご覧いただくこととし、本日は、
慰安目的の旅行だからといって「1 か月かけてヨーロッパを巡りまし
この社員旅行の費用に関する税務についてお話ししましょう。
ょう」なんていう企画はさすがに非常識です。
社員旅行は、通常の場合、「福利厚生費」として損金処理が認め
国内旅行であれば 2 泊 3 日、海外旅行の場合では 4 泊 5 日まで
られています。ところが、社員旅行という名目であっても、実質が
とされており、それを超えると、常識的に見て、社員旅行のレベル
伴わない場合には、「福利厚生費」として認めてもらえない場合が
を超えているということになる恐れがあります。
あるんです。
また、海外旅行の場合に問題となるのが、いわゆる豪華旅行という
まず、福利厚生の大前提についてお話しなければなりません。
もので、平成 14 年度の判例では、「10 万円を超える社員旅行を行
大事な点は、福利厚生というものは、従業員の全員が、その恩恵
っている企業は見当たらない」との調査機関レポートが提出された
に預かる機会が与えられているということで、特定の従業員だけが
こともあり、ひとりあたり 10 万円までとする見方が一般的となってい
得するようなケースであれば、その従業員たちに対する経済的利
ます。
益の供与とみなされてしまいます。そうすると、旅行代金は給与とし
ですから、10 万円を超える旅行費用となる場合には、部分的に従
て取り扱われ、参加した社員の所得として課税されてしまいます
業員負担としておいた方が無難です。
し、会社は「源泉税の徴収をしなさい」となってしまいます。
そうは言うものの、古い税法のルールでは、「旅行費用の半分以上
例えば、社員旅行と称して、営業部の連中だけが鬼怒川温泉に
を会社が負担すること」とされていたため、その名残として、従業
行っちゃったとします。
員負担額が多額なものも社員旅行として不適切であるとされる危
確かに、目的は慰安なんでしょうけど、このケースを単純に社員旅
険性はあります。
行とし、福利厚生費として認めるわけにはいかないのです。
おのずと予算の上限も決まってきますね。
営業部の連中しか参加できない温泉旅行は、営業部員の給与と
最後の注意点ですが、家族や親戚しか従業員がいない場合の社
して取り扱われることになるわけです。
員旅行は、単なる家族旅行では無いかと疑われることは覚悟して
ところで、この場合の「全員に恩恵」というのは、必ずしも、実際の
おかなければなりません。
全員参加を求めるものではありません。
原則的には社員の慰安の目的で実施される限り、福利厚生費とし
たまたま不参加となった人が多少いたとしても、全員に参加を呼び
て認められなければならないのですが、家族旅行ではないというこ
かけるような企画であれば、福利厚生費として処理できます。
とを完全に立証するのは、難しい面もあります。
しかしながら、あまりにも参加者が少なかったというのも問題です。
あらぬ疑いをかけられることのないよう、ゴールデン・ウィークやお
法人税では、従業員全員を対象とするという条件に加えて、実際
盆、正月など、一般的に社員旅行が行われない時期は避けた方
の参加人数も全従業員の 50%以上でなければならないということ
が無難です。
になってます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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