川村Report

アクスモニウムと演劇
川村ユキノリ
目次
■電子音響音楽の歴史
■アクスモニウムとは
■スカトリロにおける音響システム説明
■電子音響音楽の歴史
1897 年サディウス・ケイヒルがテルハーモニウム(ダイナモフォン)を発明
1906 年テルハーモニウム(ダイナモフォン)を一般公開
1917 年レブ・セルゲイヴィッチ・テルミンがテルミンを発明
1928 年モーリス・マルトノがオンド・マルトノを発明
1930 年フリードリッヒ・トラウトバインがトラトニウムを開発
1935 年ローレンス・ハモンドハモンドオルガンを開発
1948 年パリでピエール・シェフェールがミュージック・コンクレート作品を作曲
1951 年ドイツ、ケルンに電子音楽スタジオを開設
1953 年カールハインツ・シュトックハウゼン「習作1 2」発表
黛敏郎「X・Y・Z」発表
1950 年半ば∼ハイファイシステム開発
1954 年 H.F.Olson と H.Belar がRCAエレクトロニックシンセサイザー開発
1955 年 NHK 電子音楽スタジオスタート
1959 年エレクトーン開発
1956 年エキゾチックサウンドスタート
1960 年メロトロンを開発
1964 年ロバート・ムーグが MMOG シンセサイザーを開発
1965 年エレクトロニウム、ブラックシンセサイザーを開発
1964 年アープ・シンセサイザーを開発
1972 年アープ・オデッセイを開発
1978 年プロフェット5を開発
1980 年デジタル・サンプラーを開発
1981 年イミュレーターを開発
1983 年 MIDI 規格スタート
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参考URL:http://www.salon-de-rosp.com/cat_step00_aaaa.html
■アクスモニウムとは
アクスモニウムとは数多くのスピーカーをオーケストラに見立てた電子音響音楽のコンサ
ートのためのサウンド・プロジェクション・システムです。特徴は作品とコンサート会場
の特徴を考慮しつつ、空間へ対するミックス、ディストリビューションをライブで行う点
です。
5月20日に実験ドームで行われたレクチャー・コンサートを見た方は雰囲気がわかると
思いますが、数多くのスピーカーを配置しミキサーによって演奏者がフェーダーを操作し
演奏を行います。この中で檜垣智也氏が述べていた5つの要素がコントロールできます。
1つめは音質です。これは高音域、中音域、低音域の特性をもつ、もしくはつくりだした
スピーカーを組み合わせることによって音質を変えます。
2つめは音量です。これはフェーダーの操作によって音のボリュームを変えることができ
ます。
3つめは空間です。これは多チャンネルによってわけることによって音を発している位置
をかえることによって空間を演出します。
4つめは距離です。これはスピーカーの配置によってスピーカーと聴衆に距離をつくりだ
します。
5つめは密度です。これはスピーカーがなっている数を変えます。これによって音の密度
を変えます。
この5つの要素を組み合わせコントロールすることでバリエーション豊かな多元立体型音
響による空間表現が行えます。
参考URL:http://www.sound.jp/higaki/ (檜垣智也氏HP)
■スカトリロにおける音響システム説明
まず、DOOR DOOR リーディングのためあまり派手なことはしないでおこうと思い、いた
って普通のステレオ 2ch での作品になりました。フロントとリアにある4台の常設スピー
カを使い音の移動性で空間作りをしました。
またマイクをオブジェ内に設置し、役者の台詞をエフェクトをかけて表現するということ
を行いました。
CROSS No.1
ではお客さんがロビー→地下1階→階段→2階展示ルーム→階段→大練
習室→階段→屋上という経路で歩いて行くために途中で演劇の虚構世界から日常の現実に
戻さないために、ロビーではモニターを設置し今回のコンセプトを説明。
地下では音と映像、係員によるルートなどの説明。階段では役者と音とテキストによる演
出。展示ルームでは前作 Door Door と CROSS No.1
の美術品、衣装の展示と音楽に
よる演出。大練習室では演劇とパフォーマンスによる作品。屋上では1台のモニターを設
置し映像による作品。以上の流れで1つの作品という物語になりました。
音響システムとしては階段内に5台のスピーカーをコンクリートの柱の中に隠し、各々の
アクティブスピーカーとポータブルのプレイヤーとをコネクトさせ、いくつかの効果音を
ランダムで再生するという音による演出と BOSE101 を2台設置し、1階から3階まで聞
こえるように BGM を再生するといったシステムをとりました。
大練習室では4台のスピーカーを用いて音を移動させ Door Door のときとあまり変わら
ないシステムを使いました。
またパフォーマンス内でピアノの即興演奏とのコラボレーションということで、ピアノの
音をマイクで拾いエフェクトをかけて表現したいというピアニストの意向があり、そのよ
うなシステムもとりました。
CROSS No.2
では倉庫の中に建てられた仮設劇場のため天井つりスピーカー4台が
常設で動かせないために仕方なく、円形劇場の外に2系統の NEXO、PS15 を使用してバラ
ンスを取りました。また、3段のイントレ上から役者が台詞をしゃべるためにマイクを設
置しエフェクトをかけて表現するなどをしました。
そして舞台と音響、照明のブースで距離があり役者の台詞が聞こえないためにエアモニタ
ー用マイクを舞台袖に設置し、音照ブースにモニタースピーカーを設置するというシステ
ムにしました。
そして H●LL では 21 台のスピーカーを利用したアクスモニウムを試みています。
アクスモニウムと演劇とのコラボレーションでどのような物がうまれてくるかという試み
をしてみたいという私自身の願望によりこのようなシステムをとりました。今回の作品が
うまく行けば私自身の卒業制作の糧になるかと思います。