身近な物で電池の代わりになるもの調べ 岐阜市立藍川中学校 2年 加納 理紗 1 研究の動機 東日本大震災で、ライフラインが断たれ被災地だ けでなく自分たちのまわりでも乾電池が不足して困 ったという経験をした。そんな経験を通して、身近 なもので乾電池の代わりになるものが作れないかと 考えるようになった。そこで、レモンを使って電池 を作ることができることをインターネットで調べて 知り、レモンだけでなく、身近にある食べ物や飲み 物、洗剤など日常よく使う液体を用いて電池を作る ことができないかと考え、実験を計画し、追究した。 2 研究の内容 (1)実験方法 用意した実験材料に 銅板とアルミニウム板 を差し込み、導線でつ ないで電圧計・電流計 を組み入れた回路を作 った。この回路を用い て電流・電圧の大きさ を調べるとともに、モ ーター・豆電球・電子 オルゴールが作動する かを調べた。その結果をグラフ化して考察した。 (2)実験結果 ①材料を1個のときと4個のときの電流・電圧を調 べる。 <調べた材料> ○レモン・キウイフルーツ ○梅干し・ぬか漬け ○ゼリー・プリン ○スポーツドリンク・ビール・炭酸水・ラーメンスープ 焼き肉のたれ ○化粧水・うがい薬・デンタルリンス・粉末洗剤水溶液 右のグラフからも分かるように、予想通り材料を 1個から4個に増やすと電流・電圧ともに大きくな る物が多かった。特にスポーツドリンクが電流・電 圧の伸びが大きかった。実験を行った材料で電子オ ルゴールを鳴らすことはできたが、モーターを動か したり豆電球を点灯させるまでの電圧を作り出すこ とはできなかった。 果物・漬物・ゼリー類・液体・薬用品など様々な 物質について調べ、電池として実用化できそうなも のを探したが、この状態の物質が良いという際立っ た結果は得られなかった。 ②液体の濃度、温度、混ぜる物を加えて電流・電圧 調べる。 <実験したもの> A:アルコール分5%と7%の比較 B:スポーツドリンク通常の濃度と2倍の濃度の比較 C:ビールの常温と冷やした時の比較 D:炭酸水と炭酸水にクエン酸を混ぜた時の比較 Aのアルコールの濃度を変えた時の実験では、予 想と違い濃度の高い7%の方が電圧が小さくなっ た。Bのスポーツドリンクの濃度を変えた時とDの 炭酸水と炭酸水にクエン酸を加えた時の実験では、 濃度を2倍にした方と炭酸水にクエン酸を加えた方 が電圧が大きくなった。これは、濃度を濃くしたり クエン酸を加えたりすることによって、水溶液中の イオンが増え、それが電圧の上昇につながると考え た。Cのビールの温度の実験では、常温の方が電圧 が大きくなった。これは、低温になることによって イオンの動きが鈍くなり電圧も小さくなると考え た。 なく、イオンが動きやすい適度な固さにすることで 大きい電圧を得ることができることが分かった。 3 研究のまとめ ①~③の実験結果から、以下のような考えを導き 出すことができた。 ・材料を1個から4個に増やすことによって電流・ 電圧も大きくなることが分かり、さらに数を増や すことによって電気器具を動かす電池としての役 割をもつことが分かった。 ・物質によって違いはあるが、濃度や温度、加える 物を工夫することによって実用的な電池ができる ことが分かった。 ・ゼリー状のものは固さが、固すぎず柔かすぎない 方が電池として適していることが分かった。 (指導教員 4つの実験に共通しているのは最初は電圧が高い が、5分後までに電圧が大きく下がり、それ以降は ほぼ一定であまり変化しないことが分かった。 ③ゼリーの固さを変えて電流・電圧調べる。 <実験方法> 固さをゼラチン5gに対して、水の量を 50cc・100cc・200cc・250cc にしてゼリーを作り実験を行う。 50ccと250ccの時は電圧が小さく100 ccと200ccの時は電圧が大きくなった。ゼリ ーの固さで考えると電池の電圧を大きくするには、 ゼリーの固さを柔かすぎたり固すぎたりするのでは 三島伸行) 4 審査評 被災地の様子と学習した内容を関連づけて研究に 取り組めました。数多くの身近なものを電池にし、 電流量を調べることができました。また、時間の経 過による変化や水溶液の濃度を変えた場合の違いを 調べるなど、多面的に調べられています。結果のグ ラフもわかりやすく表すことができました。各結果 について自分の考えや不明な点をはっきりさせる姿 勢がすばらしいです。最後に行ったゼリーの固さを 変える実験では、身近なものを電池として実用化す る期待につながります。
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