40歳未満の「隠れ食後高血糖」の検討 糖尿病予防啓発を目的とした出張血糖測定会の結果から ○谷口尚大郎*1 下池弘美*1 黒木美代*1 蛯原恒子*2 岩崎恵子*1 浜田恵亮*1 *1 公益財団法人宮崎県健康づくり協会 *2 地方共済組合宮崎県支部 背景および目的 1) 2) • (2型)糖尿病患者は日本:950万人、世界:3億8000万人。 1) 平成24年「国民健康・栄養調査」 2) Diabetes Atras 6th Edition 2013 • 糖尿病は完治しないため、若年者の発症予防が重要。 • 若年者は血糖値を測定する機会が少ない。 • 平成25年度より、若年者をターゲットとした糖尿病予防 啓発のための“出張血糖測定会”を開始。 • 日本人は食後血糖から障害されやすい。 Metabolism; 53(7) 831-835, 2004 若年者の食後高血糖割合および特徴を検討 方法 研究デザイン:記述疫学的研究(横断研究) セッティング:イオンモール宮崎、宮崎産業経営大学 対象:1) 2013年9月; 健〈検〉診に行こうフェスタ 2) 2013年11月; 宮崎産業経営大学古城祭 において 3) 2014年2月; 宮崎県主催健康イベント にて血糖測定を行い、問診票に不備のなかった318名 主な評価項目: 40歳未満における、 食後血糖140mg/dl以上の割合 その他の評価項目:40歳未満の「食後血糖正常群」と 「食後高血糖群」の背景 対象者背景 318 32.7 40.2±15.4 40歳未満 (%) 54.7 40~59歳 (%) 30.8 60歳以上 (%) 14.5 血糖初測定 (%) 53.1 40歳未満 (%) 71.8 40~59歳 (%) 36.7 60歳以上 (%) 17.5 総数 性別 (男性, %) 年齢 (歳) 尿糖/血糖異常 8.8 指摘歴 (%) 29.9 糖尿病家族歴 (%) 食後経過時間 (%) 空腹時血糖 食後血糖 2.8 97.2% 30分未満 19.2 (309名) 30分から1時間未満 15.1 1時間から2時間未満 18.2 2時間から3時間未満 21.4 3時間以上 23.3 Data is mean ± SD. 結果:食後血糖値の分布(n=309) 50 D e n s ity .0 1 10 0 .0 1 5 gluco s e 15 0 20 0 25 0 .0 2 30 0 食後血糖値: 140mg/dl以上: 105.6±24.7 mg/dl 309名中24名 (7.8%) 0 .0 0 5 140mg/dl以上 50 100 150 glucose 200 250 300 40歳未満 11 /168 (6.5%) 40~59歳 5 / 95 (5.3%) 60歳~ 8 / 46 (17.3%) 40歳未満 食後高血糖者の 特徴は? 食後高血糖の 予測因子 40歳未満の背景比較 食後血糖値 (mg/dl) 140未満 N 血糖値 (mg/dl) 年齢 (歳) 性別 (男性, %) 140以上 P value ― 157 11 99.2±16.2 158.5±13.4 .000 23 (21-35) 30 (21-35) .967 34.4 45.6 .331 Adjusted OR※ (95%CI) P value ― ― ― ― 0.97 (0.89-1.07) .605 2.36 (0.58-9.52) .229 尿糖/血糖異常 指摘歴 (%) 3.8 18.2 .088 5.40 (0.66-44.5) .117 糖尿病家族歴 (%) 33.1 63.6 .052 2.78 (0.66-11.7) .164 血糖測定時間 (%) 食後2時間未満 52.2 81.8 .053 3.80 (0.73-19.7) .113 mean ± SD or median (IQR) ※共変量:年齢・性別・耐糖能異常指摘歴・家族歴・血糖測定時間 ロジスティック回帰モデルの当てはまり: P=0.12, 識別力 AUC: 0.742 血糖測定会をきっかけに75gOGTTを受けた 21歳女性:尿糖指摘歴(+) 家族歴(+) BMI:20.0 インスリン初期分泌が低下 → 食後高血糖 (mg/dl) (μU/ml) 200 171 180 141 160 120 100 85 60 40 20 5.2 23.1 0 空腹時 30分 70 135 血糖値 インスリン (IRI) 80 171 50 54.6 44.2 43 40 30 31.7 20 HOMA-R: 1.09(~2.60) Insulinogenic Index: 0.3(0.4~) 60分 60 90分 120分 180分 10 0 IRI 血糖値 140 175 80 考察: 若年者の食後血糖測定の意義 2型糖尿病発症に至るまでの耐糖能変化 Lancet 373:2215-21, 2009 発症 空腹時血糖 負荷2時間後血糖 2年前 糖尿病発症あり 発症 6年前 2年前 糖尿病発症あり なし なし 40歳未満で健診の機会がない人も存在 ► 若年者の食後血糖測定により ・ 耐糖能異常の初期を捉える ・ 糖尿病(肥満)予防啓発 糖尿病へ向かう ベクトル修正 考察: 本研究の限界 研究の限界 ■ 観察集団は、宮崎市の2施設に限定(選択バイアス) ■ 家族歴のある人ほど測定会に参加(異常者の過大評価) ■ 食後経過時間のばらつき(異常者の過小評価) 結語 ・ 40歳未満でも一定割合で「隠れ食後高血糖」 が存在。 ・ 尿糖/血糖異常指摘歴や家族歴がある若年者を 中心とした、糖尿病予防教育が必要。 若年者をターゲットとした出張血糖測定会 平成25年9月から開始、現在までに3回実施。 血糖測定会の内容 1. 問診票記入 1)年齢, 2)性別, 3)血糖測定歴, 4)耐糖能異常指摘歴, 5)糖尿病家族歴, 6)食後経過時間 2. 自己検査用血糖測定器で測定 3. 専用用紙にて結果説明 4. 標準体重・カロリー等の指導
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