夫婦間の自宅の贈与について - パートナーズプロジェクト

くらしと経営の相談室
<税務編>
夫婦間の自宅の贈与について
贈与を受けた土地や家屋に居住し、その後
も引き続き住む見込であること
⑤家屋や土地だけの贈与も可能ですが、土地
のみの贈与は、その家屋の所有者が贈与を
した配偶者か同居親族であること
(3)配偶者控除の特例の計算方法
パートナーズプロジェクト税 理 士 法 人 所 属
税理士 藤井章雄
Q
結婚25年の銀婚式を記念して、自宅とそ
の敷地を妻に贈与しようと思います。
夫婦間の贈与には特例があると聞きました
が、その特例はどのようなものか教えて下さ
い。
A
婚姻期間が20年以上の夫婦間でマイホー
ムなどを贈与する場合は、基礎控除110万円
の ほ か に 最 高 2 ,0 0 0 万 円 の 配 偶 者 控 除 の 特
例を受けることができます。
つ ま り 最 大 2 ,1 1 0 万 円 ま で 贈 与 税 は か か
らずに贈与することが可能です。
(1)特例のメリットは
①配偶者への感謝の気持ちを表せます
②後に同居の子供に不動産が相続され、配偶
者が居づらくなる心配もなくなり、将来の
生活の安定が確保されます。
③相続開始の前3年以内の贈与は、その贈与
財産を相続財産に加えて計算しなければ
なりませんが、配偶者控除を受けた部分は
加算されませんので、相続対策として効果
的です。
(2)適用のポイントは
①婚姻期間が贈与時で20年以上あること
②同じ夫婦間においては一生に一度のみ
③贈与された財産は、居住用の土地や家屋で
あ る こ と ( そ の 取 得 資 金 も OK)
④贈与を受けた年の翌年3月15日までに
贈与された
居住用不動
産の価額又
は購入資金
−
[配 偶 者 控 除 ]
最高2千万円
[基 礎 控 除 ]
最 高 110 万 円
=
課税
対象
(4)控除枠を最大限に活用するには
配偶者控除は、贈与された金額を限度としま
す の で 、不 足 分 は 切 り 捨 て に な り ま す 。そ こ で 、
控除枠を最大限に活用するためには不動産の価
額を事前に調べておく必要があります。
家屋の価額は、固定資産税の通知書に載って
いる固定資産税評価額です。土地の価額は国税
庁から公表されている路線価や倍率表にて算定
します。
不動産は、共有持分(1/3など)として登
記が可能ですので2,110万円前後で調整す
ることが可能です。ちなみに、超えた部分も2
00万円までであれば、贈与税の税率は10%
です。
(5)贈与税が0円でも申告が必要
特例を受ける為には、翌年の3月15日まで
に贈与税の申告書の提出が必要です。
申告書には、戸籍の謄本又は抄本、戸籍の附
票の写し、居住用不動産の登記事項証明書、住
民票の写し等を添付します。
(6)実は税金は無税ではない
贈与税は0円であっても不動産の登記に伴
い 、登 録 免 許 税 と 不 動 産 取 得 税 が 課 税 さ れ ま す 。
両方とも固定資産税評価額をベースに課税
されますが、不動産取得税は土地を1/2評価
にしたり、住宅の軽減を受けられる可能性があ
ります。税率は、登録免許税が2%で不動産取
得税が3%です。
不動産取得税は数ヶ月後に通知が届くため
資金を用意しておく必要があります。
以上、まずは土地や家屋の評価額を調べてみ
てはいかがでしょうか?