プレスリリース 平成 20 年 11 月 4 日 独立行政法人国立科学博物館 「つくば蘭展 2008」開催について 独立行政法人国立科学博物館筑波実験植物園(園長:加藤 雅啓)では,来る12 月 7 日(日) から 12 月 14 日(日)まで,企画展「つくば蘭展 2008」を開催いたします。 ランといえば豪華な胡蝶蘭やカトレアのイメージが強烈ですが、ほんとうは、ルーペを使 わなければ見えないほど小さな花もあれば巨大な蔓草もある、地球上でもっともバラエティ 豊かな植物です。 つくば蘭展では、世界有数の野生ラン保存施設として有名な当園の「つくばコレクション」 から開花中の貴重な野生種約 150 点を公開いたします。さらに、茨城県内のラン愛好団体な どの出品による最新の園芸品種も数多く展示します。 また今回は、 「礼文島のランと自然」と題して北海道・礼文島在住の写真家、宮本誠一郎さ んの作品を展示します。これまでほとんど紹介されていなかった礼文島のランの全貌を、は じめてお目にかけます。「ランの多様性とその未来」にスポットを当て,ランの形や暮らし ぶりの多彩さをお楽しみいただくとともに、環境の悪化によって地球から消えていくランを 救う方策を紹介します。期間中は,講座やフォーラムなど様々なイベントを行います。 なお、本件につきましては別紙にて詳細を添付いたしますので,ご参照下さい。 よろしくお願い申し上げます。 本件についての問合せ 独立行政法人 国立科学博物館 筑波地区事務部 庶務担当:石塚 担当研究員:遊川 〒305-0005 香 知久(植物研究部多様性解析・保全グループ) 茨城県つくば市天久保 4-1-1 TEL:029-851-5159 FAX:029-853-8998 E-mail:[email protected] 国立科学博物館HP http://www.kahaku.go.jp/ 国立科学博物館筑波実験植物園HP http://www.tbg.kahaku.go.jp/ つくば蘭展 2008 概要 1.名 称 企画展「つくば蘭展 2008」 2.主 催 国立科学博物館筑波実験植物園 3.協 力 筑波大学農林技術センター,水戸市植物公園,水戸市植物公園蘭科協会,つくば 洋蘭会,株式会社カネボウ化粧品 4.期 間 平成 20 年 12 月 7 日(日)~平成 20 年 12 月 14 日(日) (期間中は休園しません) 5.場 所 国立科学博物館筑波実験植物園研修展示館及び熱帯資源植物温室 6.展示構成 (1)筑波実験植物園で栽培保全している生植物の展示(研修展示館1F) 本園で栽培保全している約 3,000 種のラン科野生種のうち約 150 種を,地域毎及び近縁種 毎に展示します。これらの中には,新種発表に使われた分類学上の基準株や絶滅の恐れに ある稀少種も多く含まれています。 (2)協力団体出品の生植物の展示(熱帯資源植物温室) 園芸品種を中心に,約 350 種類を展示します。これらの中には,最新の品種と育種の歴史 上重要な品種が数多く含まれています。また,すべての展示品には,正確な学名とその日 本語読みを記したラベルをつけて,学習支援展示としての価値を高めます。 (3)宮本誠一郎 写真展 「礼文島のランと自然」(研修展示館2F) 北海道・礼文島の自然とそこに生育するランの野生の姿を紹介します。これまでほとんど 紹介されていなかった礼文島のランの全貌を、はじめて公開します。 (4)パネル展示「よみがえれ!レブンアツモリソウ」(研修展示館1F) 礼文島で急速に姿を消しつつあったレブンアツモリソウですが、地元と全国の専門家との 連携によって復活しつつあります。環境省の保全プロジェクトの成果や、繁殖や生活史に 関する知見を豊富なデータを交えて紹介します。 (5)パネルと実物展示「夜の香りの秘密」(研修展示館1F) ランには夜だけ香る種類があります。なぜ夜だけ香るのか、またどのような仕組みで香る のか、夜香るランの謎に迫ります。またカネボウ化粧品の協力により香気成分の体験コー ナーを設けます。 (6)パネルと実物展示「森の宝石」 (研修展示館1F) ランには花ばかりでなく葉も美しい種類があります。宝石より美しい葉をもつランの数々 を当園のコレクションから厳選して展示します。 7.関連事業 (1)セミナー「ランはキノコを食べる」(プレ・イベント) (研修展示館3F) 日 時:11 月 22 日(土) 13:30〜15:30 講 師:遊川知久(植物研究部多様性解析・保全グループ研究主幹) ランはキノコの助けなしでは生きていけません。なぜ、そしてどのようにランとキノコ の共生ができあがったのか、当園の研究で明らかになった最新のデータを紹介します。 (2)ラン多様性調査・保全実践講座「植物園ではランをどう保全しているか」 (研修展示館3F) 日 時:12 月 13 日(土) 9:30~10:15 講 師:鈴木和浩(筑波実験植物園) 市民と植物園が恊働してランの調査・保全に関わることのできるよう、必要な技術、知 識を提供する講座です。3000 種におよぶ世界最大規模のラン・コレクションを保全す る当園の技術者が、当園のラン栽培のノウハウを明かします。 (3)フォーラム・みんなで学ぶラン作り「ランを長生きさせるコツ」 (研修展示館 3F) 時:12 月 13 日(土) 10:30〜12:30 日 アドバイザー:つくば洋蘭会会員の皆様 ランを長期にわたって育成するためのノウハウを、参加者といっしょに考え、問題を解 決いたします。 (4)展示案内 蘭展の見どころを、専門家が詳しく説明します。 ①日 時:12 月 7 日(日) 13:30〜14:30 講 師:遊川知久(植物研究部多様性解析・保全グループ) ②日 時:12 月 13 日(土)13:30〜14:30 講 師:斉藤正博(つくば洋蘭会) ③日 講 時:12 月 14 日(日)13:30〜14:30 師:鈴木和浩(筑波実験植物園) (5)ランの育て方・持ち込み相談コーナー 熱帯資源植物温室内のつくば洋蘭会デスクで、栽培相談を実施します。 (土日祝日の 10:00~12:00 と 13:00~15:00) (6)第 4 回国際シンポジウム「アジアのランの多様性と保全」(研修展示館3F) ランの多様性科学と保全に関する最新の知見を、内外の専門家に紹介してもらいます。植 物園内で実施し、市民も無料参加できるものとします。 ※詳細は別紙参照 (7)シンポジウム関連企画・ポスター展示(研修展示館3F) 時:12 月 13(土)〜12 月 14 日(日) 日 ランの多様性・保全に関連する分野の研究のポスター発表を公募し、シンポジウム会場 に掲示します。 (8)シンポジウム関連企画 国際自然保護連合(IUCN)ラン専門家グループ・ミーティング 日 時:12 月 13 日(土)非公開 シンポジウムに参加する国内外の研究者、技術者に呼びかけ、ランの保全に関する技術 と情報の交換を行います。 8.入園料 通常の入園料で入園できます。 普通入園:一般・大学生 300 円 団体入園:一般・大学生 200 円 (団体は、責任者に引率された 20 名以上の入園者) 無料入園:満 65 歳以上の方,心身障害者及びその介護者 1 名,幼児 高校生以下の生徒・児童 9.交通案内 ○つくばエクスプレス終点つくば下車 ○東京駅八重洲南口から常磐高速バス「つくばセンター」行き、終点下車 ○JR 常磐線土浦駅から関東鉄道バス「つくばセンター」行き終点下車 ◎つくばセンター乗り換え「テクノパーク桜循環」で筑波実験植物園前」下車 ●常磐高速自動車道・桜土浦 I.C から北へ約 8 ㎞ 「国際シンポジウム」概要 名 (別紙) 第 4 回国際シンポジウム「アジアのランの多様性と保全」 称: The 4th International Symposium on Diversity and Conservation of Asian Orchids 共 催: 国立科学博物館筑波実験植物園、ラン懇話会 後 援: 植物園自然保護国際機構(BGCI)、国際自然保護連合(IUCN)ラン専門家グルー プ日本支部、つくば洋蘭会 会 期: 平成 20 年 12 月 13 日(土)~14 日(日) 趣 旨: アジア諸国におけるラン科の調査・研究は遅れています。これまで中核となる研究 組織がなかったことが大きな原因であります。そこで本シンポジウムでは、アジア 諸国のラン科研究者が集まり技術と情報の交換を行い、当該地域での調査推進の契 機とすることを意図するとともに、日本において市民、技術者、研究者の広範な協 力を得るきっかけとします。 12 月 13 日(土) ○開会挨拶 13:30~16:10 13:30~13:35 加藤雅啓(国立科学博物館筑波実験植物園長) ○講 13:35~16:10 演 ・「アツモリソウ属とパフィオペディルム属の受粉システム」13:35~14:10 講 師:ルオ・イーボ(中国科学院北京植物研究所) ・「遺伝子が語るランの花形の多様化の仕組み」14:10~14:45 講 師:ツァイ・ウェンチ(台南国立大学) ・「極東ロシアのラン-多様性・分布・生態」15:00~15:35 講 師: イリナ・タタレンコ(モスクワ教育大学) ・「温帯地生ランの分布に及ぼす菌根菌の役割」15:35~16:10 講 師:リチャード・シェファーソン(ジョージア大学) IUCN ラン専門家グループ・ミーティング(非公開) 16:30~18:00 「アツモリソウ属についての最新の話題」(ホルガ・ペルナー 黄龍国立公園) 12 月 14 日(日)9:30~16:20 9:30~10:40 ○講 演 ・「統合的手法によるラン保全:中国四川省黄龍国立公園における事例」 講 師:ホルガ・ペルナー(黄龍国立公園) ○ポスター発表 ○講 10:40~11:20 12:50~14:40 演 ・「レブンアツモリソウと共生する保全を目指して」12:50~13:20 「レブンアツモリソウは絶滅しないのか?生態と遺伝から考える」 講 師:河原孝行(森林総合研究所) ・「レブンアツモリソウの自然史」13:20~13:40 講 師:高橋英樹(北海道大学) ・「レブンアツモリソウの受粉システム:実を結ぶための工夫」13:40~14:00 講 師:杉浦直人(熊本大学) ・「レブンアツモリソウ自生地復元を目指した共生菌分布調査と、そこから見えてきた共 生菌の本性」14:00~14:20 講 師:幸田泰則(北海道大学) ・「レブンアツモリソウの保全に有効な管理枠組みを考える」14:20~14:40 講 師:庄子康(北海道大学) ○総合討論 14:40~15:10 コーディネーター:河原孝行(森林総合研究所) ○講 15:20~16:20 演 ・「礼文島のランと自然」 講 師:宮本誠一郎(写真家) 「ラン」 ランは種子植物の中で最も進化し,かつ最も種類が大きい分類群であり,属数 800 以上,種数 約 25,000 に上る。花の形や色彩の変化に富むため観賞価値の高い種類が多く,それゆえに野生 における絶滅種や絶滅危惧種も多い。(最も多くの絶滅危惧植物を含む植物グループとしては, ラン科が挙げられる。)さらに人工交配属 800 以上,園芸品種にいたっては 80,000 以上の登録 を数える。 礼文島の草原に咲くレブンアツモリソウ 夜になると甘い香りで魅惑する Cypripedium macranthos var. rebunense アングレクム・ジャーミニアヌム (撮影:写真家 Angraecum germinyanum 宮本 誠一郎) 「森の宝石」ドッシネア・マルモラタ Dossinia marmorata
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