5 総合都市研究第 7 7号 2 0 0 2 [審査付き論文 B (一般投稿論文)] 自動車利用削減の観点からみた 商業開発コントロール制度に関する考察 ーイングランドとアメリカ・オレゴン州の制度を例に1.はじめに 2 . 着目する点と事例都市圏の概要 3 . 自動車利用削減という目標の浸透 4. 開発の規模やセンターの性格,駐車場の水準に関する広域調整 5 . 規制の方法と開発の可否の判断 6. まとめと考察 高見淳史* 要 約 本研究は、郊外での商業開発を抑制し既存のセンターを強化することで自動車の利用を 減らそうとする政策に関連して、それを実現するための制度面の検討を行うものである。 a m b r i d g e s h i r e都市圏とアメリカのオレゴン州・ P o r t l a n d都市 具体的にはイングランドの C 圏を取り上げ、自動車利用削減の観点から両都市圏の商業開発コントロール制度について 整理した。特に注目した点は、自動車利用削減という目標をどのように各行政組織の計画・ 政策に浸透させるか、開発の規模やセンターの性格、駐車場の規模に関する広域調整の結 果がどう計画に表れるか、規制制度において開発の可否がどう判断されるか一ーである。 最後にまとめとして、上記の各点についてわが国の状況を補足しつつ考察した。 ぼすと考えられている。とりわけ小売機能は、自 1.はじめに 動車が普及するにつれて郊外への立地が進んでお り、それによって在来の商業中心の活力が失われ 1 . 1 研究の背景と目的 過去数十年の問、人口の郊外化や自動車の普及 るとともに、自動車の利用をさらに増大させる結 果になっているとされる。 上記の状況に対し、小売庖舗を含む様々な活動 と相まって、多くの都市でオフィスや商業施設の 機会が集積したいわゆる「センター」を強化し、 郊外化が進んでいる。これらは中心市街地の空洞 そして公共交通の不便な郊外での商業開発を抑制 化を引き起こすとともに、郊外の自然環境を喪失 することにより、センターの活力を維持・向上さ させたり、郊外部での道路混雑を生み出したり、 せ、自動車の利用を削減しようとする政策が見ら 自動車利用をさらに増大させるという悪影響を及 れる。こうした政策の先進事例としてはイングラ ヰ東京都立大学大学院工学研究科土木工学専攻 総合都市研究第 7 7号 6 2 0 0 2 ンドやアメリカの一部の都市圏がよく知られてい ては、筆者も分担執筆者として参加した太田ら る。一方、わが国ではこうした取り組みは遅れて ( 2 0 0 0 )8)が日本・アメリカ・イングランドの 3か いるが、それには次のような背景があると考えら 国の制度を概説している。ほかに、アメリカにつ れる。 第一に、自動車の利用を減らす政策の必要性が 9 8 )9)など、イギリスについては加 いては屋井(19 藤ら ( 2 0 0 0 )10)などがある。 十分に認識されていない。しかし、自動車利用の 9 7 ) ω 、村上ら また、浦山(1997)日)、村上ら(19 増大に起因して様々な問題1)が発生していること 9 8 )13)や、太田 ( 2 0 0 0 )14)の第 3章(筆者執筆) ( 19 を考えれば、これは認識不足であると言わさ舟るを は、オレゴ ン州や P o r t l a n d都市圏の広域的計画に 得ない。 ついて報告している。 第二に、商業用途を含め、土地利用を変化させ P これらの文献は、土地利用なら土地利用、商業 る施策による自動車利用削減の可能性について十 なら商業、交通なら交通というように扱う対象の 分に認識されていない。この点は筆者らが既存研 範囲を限定しているのが一般的である。本研究が 究 2),3)で取り組んできているところであるが、さ 目指すように、自動車利用削減という目標と商業 らなる分析が必要であると考えている。バブル崩 開発コントロール制度・政策とがどう関わってい 壊以降の不景気の中にあって商業立地のダイナミ るかについて検討しているものは見あたらない。 ズムは活発な面を残しており、それに伴い買物ト なお本稿では、紙幅の都合上、制度の基本的事 リップパターンが急激に変化する可能性を考える 項には立ち入らない。必要に応じて上記の文献な と、政策的な対応が急がれよう。 どを参照されたい。 そして第三に、上記の 2点が解決されても、こ のような商業開発コントロールを実施するための 2,着目する点と事例都市圏の概要 制度的な枠組みが整っていない。例えば、自動車 の普及は人々の行動圏を拡大したが、土地利用計 画や交通計画の区域は必ずしもそれに対応できて いない。 2, 1 比較・検討において着目する点 )において、自動車利用削減 筆者らは既存研究 2 本研究はこの第三の点について検討することを のための土地利用/交通施策の先進事例が類似し 目的としている。具体的には、自動車利用削減を て持っている要素を整理している。それを踏まえ lつの目的とした土地利用コントロールを展開し ると、商業施設は次のように立地させるのが望ま ている先進的な事例として、イングランドの しいと考えられる。 C a m b r i d g e s h i r e都市圏とアメリカ・オレゴン州の P o r t l a n d都市 l 習を取り上げ、両都市圏の商業開発 -市街地外縁部への立地を抑制する コントロール制度を整理する。そして、わが国の -公共交通ノードの周辺に立地させる 状況を補足しながら、制度について考察する。 ・上位のセンターから下位のローカルなセン 1 2 既存の文献 ターまでのバランスに配慮する 目 -様々な機能が混在するようにする 都市計画制度を扱っている文献は数多く存在し ている。比較的最近の書籍から例を挙げると、英 これらに従って適切な場所に適切な規模や性格 国については中井ら(19 9 8 )4)が、アメリカについ をもっ商業施設を立地させるには、きめ細かなコ ては福川(19 9 7 )5)がある。 ントロールを可能とする制度が必要である。本稿 商業立地に特化したものとして、アメリカの制 では、上記のように自動車利用削減に効果的と考 9 9 )6)など、制度の国際比較 度については原田(19 えられる商業開発コントロールが可能な、そして 9 7 )7)などがある。交通計画制度に関し は伊藤(19 自治体にとってそのようなコントロールを行う動 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 7 機が働く制度になっているか一ーという視点から 考えられる②開発の規模やセンターの性格、③駐 両事例の制度や政策を比較・検討する。特に着目 車場の水準一ーが、調整の結果として自治体の計 する点は以下の通りである(表 1 。 ) 画でどう扱われるかに着目する。 (1)自動車利用削減という目標の浸透 ( 3 )規制の方法と開発の可否の判断 自動車利用の削減は、しばしば二酸化炭素排出 量の削減と関係付けられるなど、広域的問題とし 商業に限らず開発に対する規制は、一般に開発 をしようとする者が自治体に対して申請を行い、 ての色彩が強い。一方、土地利用規制を行う主体 自治体が開発の可否を決定するという形で行われ は通常基礎自治体であるため、単独では自動車利 る。可否を判断するためのアプローチには、あら 用削減に対して関心を持ちにくく、それを目的と かじめ敷地ごとの用途や容積率などをゾーニング した土地利用コントロールを実施する動機が働き として計画に定めておき、申請がそれに合致する にくいと考えられる。そこで第一に、①自動車利 かどうかを判断するという事前確定的なものもあ 用削減という政策目標を都市圏内の自治体に浸透 れば、申請が自治体の政策に一致するかどうかを させ、目標に従った計画を立案・実施させるため ケース・パイ・ケースで判断するというものもあ のしくみ一ーに注目する。 る。どちらのアプローチが優れているとは一概に は言えないが、前者のアプローチを採用する場合 ( 2 )開発の規模やセンターの性格,駐車場の水準 に関する広域調整 はゾーニングなどの規制の詳細さがコントロール のきめ細かさに直結する。後者の場合には、恋意 大規模な商業施設は集客範囲が広く、買物行動 的な運用を排除するため、可否の判断基準をあら パターンに大きな影響を及ぼしうる。例えば、都 かじめ明らかにしておく必要がある。また、判断 市圏で中心的な市がその郊外部での商業開発を抑 の材料としてアセスメントの結果など特別な情報 制しでも、その周辺市町村が自らの活性化や税収 の提出を開発者に求める場合もある。 増のためのいわゆる「財政ゾーニング」によって 以上のことから、④規制の方法と開発の可否の 大規模な開発を誘致すれば、中心市から周辺市町 判断基準、⑤開発の可否の判断材料として提出が 村へ買物客が流れ、中心市のセンターの活力を大 求められる情報一ーに注目する。 きく損なう結果になる可能性がある。これと同時 に、周辺市町村で、の開発への白動車以外の交通手 段によるアクセスが不便だと、自動車利用の大幅 2. 2 事例とする都市圏の概要と主な計画 (1)イングランド・ C a m b r i d g e s h i r e都市圏 C a m b r i d g e s h i r eは 首 都 ・ ロ ン ド ン か ら お よ そ な増加につながることが予想される。 こうした事態を回避するためには、大規模開発 100km北に位置し、イングランド東部地域 [ E a s t の立地を、単一の自治体によってではなく広域的 o fE n g l a n dr e g i o n ]に属するカウンティで、中心都 な視点から検討し調整する必要があると考えられ 市である C a m b r i d g e市のほか 4つのディストリク る。そこで、開発の魅力を規定する重要な要因と トを区域内に擁している(図1)。以前同カウン 表 1 比較・検討の視点 自動車利用削減という目標の浸透 ( 3章) │①自動車利用削減という政策目標を都市圏内の自治体に浸透させ、目標に I 従った計画を立案・実施させるためのしくみ 開発の規模やセンターの性格②開発の規模やセンターの性格についての広域調整 駐車場水準に関する広域調整 ( 4章) I ③駐車場の水準についての広域調整 規制の方法と開発の可否の判断 │④規制の方法と開発の可否の判断基準 ( 5章) I ⑤開発の可否の判断材料として提出が求められる情報 8 総合都市研究第 7 7号 2 0 0 2 表2 C a m b r i d g e s h i r e都市圏の土地利用と 交通に関する主な法律・指針圃計画など ・都市農村計画法 ・環境法,全国大気質戦略 ・道路交通削減法,道路交通削減(全国 目標)法 中央政府卜交通法 ・計画政策指針・ PPG6,P PGl3 ・全国目標値:大気質、自動車交通量、 気候変動(二酸化炭素排出量)、自転 。市, (準)地域 マーケット タウン カウンティ o 1 0 2 0 3 0km ディストリクト ① Cambridge 市 型竺全空事Ii a l・CambridgeshireS t r u c t u r 官別a n1 9 9 5 .C a m b r i d g e s h i r eT r a n s p o r tP l a n( LT P ) ディスト -ローカルプラン リクト ②SouthCambridgeshire ③E a s tCambridgeshire ④ Huntingdonshire ⑤Fenland 車トリップ数など .RPG6:R e g i o n a lP l a n n i n gG u i d a n c ef o r ⑥Peterborough 市 2000年 に 発 行 さ れ た RPG615)である。 RPG6は Camb r i d g e s h i r eおよびそれと隣接する N o r f o l k、 図 C a m b r i d g e s h i r e力ウンティ S u f f o l kの 3カウンティを合わせた E a s t Anglia地 方を対象としている(注(I)参照)。 e t e r b o r o u g h市は 1998年 4月 ティに含まれていた P に単一自治体に移行し、カウンティから離れた。 カウンティのレベルでは骨格的計画であるスト t r u c t u r ep l a n ] が策定さ ラクチャープラン [SP:s カウンティ全体としては農村としての性格が強 a m b r i d g e s h i r eの最新 れる。 1995年に発行された C い 。 Cambridge市は大学やハイテク産業などの研 e t e r b o r o u g h市を含めた旧カウンティの のSp16)は P 究・開発機能が集中し、また都心部の歴史的環境 範囲を対象とする。ディストリクトレベルでは計 が多くの観光客を集めている。 Cambridge市郊外 画許可決定の根拠となる詳細な計画であるローカ o u t hC a m b r i d g e s h i r eデ、イストリクトにかけて から S o c a lp l a n ] を各ディストリクトが ルプラン [LP:l はグリーンベルトが広がっている。交通計画の面 a m b r i d g e s h i r eカウンティと 策定する。また、 C では、需要管理と公共交通・徒歩・自転車への投 P e t e r b o r o u g h市は、 5年先までの交通戦略・交通 資を柱としたパッケージ・アプローチの成功によ o c a ¥ 投 資 計 画 で あ る 地 方 交 通 計 画 [LTP: ¥ り、先進的事例と見なされている。 t r a n s p o r tp l a n ] をそれぞれ策定している。 r i d g e s h i r eカ ウ ン テ ィ の 面 積 は 約 現 在 の Camb 3,055km'、人口は約 53万人で、日本の県の平均 ( 2 )アメリ力・オレゴン州 P o r t l a n d都市圏 的な値に比べて面積は小さく、人口も少ない水準 P o r t l a n dはオレゴン州最北部に位置する同州最 o u t hC a m b r i d g e s h i r eをあ にある。 Cambridge市と S 大の都市で、コロンビア川を挟んでワシントン州 わせた rCambridgeエリア」とよばれる区域の面 に隣接している(図 積は約 940km'、人口は約 24万人である。 o r t l a n d市では、 1970 よい都市」として知られる P 中央政府からディストリクトまでの行政組織が 策定する主な法律・指針・計画を表 2に示す。 2 )。全米でも有数の「住み 年代から LRTやパスの整備、トランジットモー ルの整備、ヒューマンスケールの混合用途開発、 C a m b r i d g e s h i r eカウンティを含む現行の地域計 都心部駐車場の制限などを中心とするダウンタウ 画指針 [RPG:r e g i o n a l p l a n n i n g g u i d a n c巴]は ンプランが策定・実施され、都心部の活性化に成 9 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 オレゴン州 ワシントン州 表3 オレゴン州 P o r t l a n d都市圏の土地利用と 交通に関する主な法律・指針・計画など 連邦政府 ﹁ , L 可 1L 州政府 h -Toti- 11 咽 -弓 ttL L NIa - 一 ‘ •• 幽幽幽醐州境界 o 1 0 2 0 」一一....J.一一---' 山 一 - -Metro区域界 ーカウンティ界 地域政府 Me 位。 図2 P o r t l a n d都市圏 功してきた。 1990年代以降はこうした試みを都市 地方政府 圏全体に拡大し、予想される都市圏人口の急激な 1世紀に向けた交通衡平法 [ T E A 2 1 ] ・2 .改正大気浄化法 [CAAA] ・全国目標値:大気質など .州計画目標・指針 ・オレゴン州行政規則 [OAR , l オレゴン州交通計画規則 -オレゴン州交通計画 ( 1 ' l iT S P ), 州交通改善計画 ・地域都市成長目標 [RUGGOs] . 2 0 4 0成長構想 -都市成長管理実施計画 ・地域交通計画 ( M e t r oT S P ) M e t r o交通改善計画 二地域7v 三企立三ク垂直一 .総合計画 l 'ゾーニング条例 T S P ] ・交通システム計画 [ ー 増加に備えて公共交通を軸として成長を収容する 方針をとっており、成長管理の優れた事例と言わ れる。 きた。 地方政府は、上位政府の政策や計画に従って総 P o r t l a n d都市圏に特徴的なのは、州政府と地方 合計画 [ c o m p r e h e n s i v e p l a n ] を策定し、また総 政府(市、カウンティ)の中間のレベルに地域政 合計画と整合するようにゾーニング規制などを定 府・ Metroが存在することである。 Metroは州北 め、実施している。 部の 24市を含み 3つのカウンティにまたがる約 1,200km'の区域を管轄し、広域的な計画や政策 3 . 自動車利用削減という目標の浸透 の策定などの業務を行っている。 Metro区域内の 3 0万人である。 人口は約 1 連邦政府から地方政府までの各政府が策定する 主な法律・指針・計画を表 3に示す。 3. 1 イングランドの事例 イングランドの中央政府は、商業に関する計画 州 政 府 は 19項 目 か ら 成 る 州 計 画 目 標 ・ 指 針 l a n n i n gp o l i c yg u i d a n c e ] とし 政策指針 [PPG:p [ S t a t e w i d eP l a n n i n gG o a l sa n dG u i d e l i n e s ] とそれ タウンセンターと小売開発 J 1 9 )を、交通 て PPG6 r を実現するための規則であるオレゴン州行政規則 交通 J 2 0 )を発行して に関する PPGとして PPGl3 r [OAR:Oregon A d m i n i s t r a t i v eR u l e ] を定めてい いる。商業開発に関して、 PPGは政策の目標を明 る(注 ( 2 )参照)。 示するとともに、それを実現するための立地政策・ Metroは、州目標や OARに従う形で、地域都市 交通政策や、 RPGとディベロップメントプラン R e g i o n a l Urban Growth G o a l s a n d 成長目標 [ [DP:d e v e l o p m e n tp l a n ] に含めるべき内容、計画 O b j e c t i v e s ]、地域の将来の青写真を示す 2040成長 許可決定の際に考慮すべき事項一ーなどを示して 2 0 4 0Growth C o n c e p t ]、成長構想、を実施す 構想 [ いる。 U r b a n Growth るための都市成長管理実施計画 [ 商業開発と交通に関する PPGの目標は、要約 Management F u n c t i o n a lP l a n ]17)、これらを含む種 すると、既存のセンターを活性化し、小売庖舗を 々の計画・政策をまとめた地域フレームワーク計 含む種々の活動機会への様々な交通手段によるア R e g i o n a l Framework P l a n ]18)などを策定して 画 [ クセシビリティを向上させ、特に自動車による移 1 0 総合都市研究第 動を減らすことである。 PPG6は小売セクターの 競争性・効率性を支援することも目標としてお り、競争を制限したり既存の利害関係を維持する 7 7号 2 0 0 2 機づけられている。 3. 2 アメリカ・オレゴン州の事例 ことは計画システムの役割ではないとしている。 オレゴン州では、州政府の土地保全開発委員会 交通施設整備など供給サイドの目標や、交通円滑 [LCDC: Land C o n s e r v a t i o n a n d D e v e l o p m e n t 化という目標を掲げていないことも注目される。 9項目の州計画目標・指針を定 C o m m i s s i o n J が1 こうした目標を実現するための立地政策・交通 める。地方政府の策定する総合計画は、 LCDCに 政策として、[1J 大規模な移動発生源をセンター よって州計画目標との整合性が審査され、整合す 2 J や主要な公共交通結節点付近に集中させる、 [ ると認定されたのち、初めて効力を持つようにな 最寄り品庖などの日常的な施設をローカルなセン る。認定を得られない地方政府には州からの補助 ターに立地させ、徒歩や自転車でのアクセスを保 金のカットも行われる 12)。 3 Jセンターでの混合用途開発や用途の 証する、 [ 州計画目標には商業開発に関する記述は含まれ 4 J駐車場の全体的な削減は 多様化を奨励する、 [ ていない。交通に関しては、自動車を名指しこそ 不可欠であるが、センターの活性化のために良質 していないが、単一の交通手段への依存を回避す な駐車場を供給する などが挙げられている。 自治体は計画の策定および、実施の各段階で PPG る、社会・経済・環境への悪影響を最小化する、 エネルギーを保全するーーなどが示されている。 に従わなければならず、以下のような調整のしく 一方、 OARの「交通計画」の節 22)では、自動車 みが用意されている。 RPGは、地域内の自治体 への依存を減らし、大気汚染や自動車交通その他 に よ っ て 構 成 さ れ る 地 域 計 画 組 織 [RPB: の住み良さの問題が回避されるように交通システ r e g i o n a lp l a n n i n g bodyJが政府の地域事務所など ムを整備するという目的が示されている。また、 の関連組織と協力して草案を策定し、大臣の修 M e t r oの交通システム計画 [TSP:t r a n s p o r t a t i o n 正・承認を経て、政府が発行する。 DPの策定で 、 s y s t e mp l a n Jを は、隣接する自治体や上下位の行政組織との協議 1人当り自動車走行台マイルを が初期の段階から行われる。大臣は、 DPが国や 2 0 年で 1 0%、3 0 年で 1 5%削減し、 1人当り駐車ス ペースを 2 0 年間で 1 0%削減できるような内容にす 地域の方針に反する場合に DPの修正を勧告また ることが要求されている。その実現のための施策 は命令する権限を有する。また大臣は、計画許可 r a n s i t と し て 、 公 共 交 通 指 向 型 開 発 [TOD:t の判定が政府の政策に合致しない場合や、提案さ o r i e n t e dd e v e l o p m e n t ] を中心とした土地利用と交 れた開発がローカルな範囲を超える重要性を持つ 通の連携や、駐車場の削減を行うことが求められ 場合に自ら計画許可の決定を下す権限も有してい ている o る。これらによって、 PPG、 RPG、 DP、他自治 商業開発に関しては、郊外への立地を抑制すべ 体の DPの相互の内容との整合、および計画許可 きという記述は OARにはないが、州政府が無秩 の決定との整合が図られるよう意図されている。 序な郊外化を防ぐために導入した都市成長境界線 さらに政府は、大気質、自動車交通量(自動車 [UGB:u r b a ng r o w t hb o u n d a r y ]( 注( 4 ))の制度 走行台キロ)の削減、気候変動(二酸化炭素排出 により、 Metro区域周縁部での各種の開発が制限 量の削減)、自転車分担率などの項目について全 されている。また OARでは、センターでのオ 国レベルの目標値を定めており、これらを LTP フィス・小売開発の密度を高める、住宅地域の近 のパフォーマンス指標・目標値に含めるよう要求 隣にショッピングセンターのための土地を指定す している 21) ( 注( 3 )参照)。つまり自治体は、政府 る による地方交通への補助金を獲得するために、そ スで評価・検討すべきとしている。 などという土地利用代替案を TSPのプロセ れらの目標を十分考慮に入れて LTPおよび、それと e t r oだけでなく州や地方政府も なお、 TSPは M 整合する DPを策定するよう、財政的な面でも動 策定しなければならず、各レベルの TSPが相互 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 に、また土地利用計画(総合計画)とも整合する ことが要求されている。 1 1 00m未満)用の敷地として 3か所 ンター(同1.4 2 の地名を挙げ、一部は敷地をプロポーザル・マッ 以上のように、自動車の利用を減らすことと、 プ上に図示している。既存住宅地域にサービスす そのために商業を含む土地利用のコントロールを るローカルな商業施設の開発は、 LPの他の政策 行う乙とは、州レベルの政策目標であり地方政府 に反しなければ認められるとしている。 にとっての義務と位置づけられている。 以上のように、比較的大規模な開発の是非を扱 うのは広域的な計画である RPGや SPの役割とさ 4 開発の規模やセンターの性格,駐車 れている。一方、比較的小規模な開発を扱い、場 合によって開発の敷地まで同定するのは LPの役 場の水準に関する広域調整 割となっている。こうして既存センターの活力を 守り、各センターのバランスをとるよう意図して 4. 1 イングランドの事例 いることが理解できる。 (1)開発の規模,センターの性格の扱い PPG6は 、 RPGでは新たな地域ショッピングセ 2 ( 2 )駐車場水準の扱い 0,OOOm以上)の開発余 ンター(グロス床面積 5 PPG6は、地域全体に適用される駐車場基準を 地について、 SPのレベルではセンターのヒエラ 可能ならば RPGで示すこと(それが無理なら SP ルキーと小売業などの立地戦略について述べ、ま レベルで示すこと)を求めている。 PPG13は、駐 た LPのレベルでは開発の敷地を同定することを 車場台数の基準だけではなく料金・管理政策など a m b r i d g e s h i r e都市 求めている。各々について、 C を含め、駐車に関する首尾一貫したアプローチを 圏の計画における扱われ方を以下に概観する。 RPGの レ ベ ル で 示 す こ と を 要 求 し て い る 。 ま RPG6は 、 E a s tA n g l i a地方は人口が分散してい た、従来は駐車場基準とは最大量と最小量の両方 るため小売需要も分散していることから、指針の を意味していたが、 2 0 0 1年の PPGl3からは「駐 期間内に追加的な地域ショッピングセンターの必 車場の最小基準を定めるべきではない」と改めら 要性はないと明言している。 れ、政府が自ら全国レベルの最大駐車場基準を示 C a m b r i d g e s h i r e SPは 、 2か所のシティーセン すようになった。 DPのレベル(特に LPレベル) 2か所のタウンセンターを定めた上で、大 ターと 1 では用途別の駐車場基準を示さねばならないが、 00m以上)の立 規模な最寄り品庖(売場面積1.4 自治体や RPBは全国値よりも厳しい基準値を定 地戦略を述べている。また、街の外の大規模 めることができる。 2 0,OOOm2以上)はグ ショッピングセンター(同 1 しかし、本稿執筆時点では PPG13が改訂され リーンベルトの外では許可されないとする一方、 て聞もないため、 RPGや DPの改訂が間に合って C a m b r i d g eエリアでは、混雑の緩和と将来の買物 いない。 RPG6は現在は地域の駐車場基準を定め 2 8,OOOmの商 需要への対応のため売場面積が計 2 ておらず、当面は全国基準を適用するとしてい 業開発の余地があるとし、適地の条件(主要道路 る 。 網に近い、公共交通・徒歩・自転車によるアクセ スが容易など 5項目)と具体名を挙げている。 C a m b r i d g e s h i r eカウンティを構成するディスト リクトの lつである H u n t i n g d o n s h i r eのLp では、 2 3 ) 4. 2 アメリカ・オレゴン州の事例 (1)開発の規模,センターの性格の扱い . 2節に示したよ オレゴン州政府レベルでは、 3 まず PPG6や SPに準じて一般的な立地政策を示し うに、センターの高密化、近隣センターの育成と ている。その後、より具体的に、スーパーストア いう以上の商業立地政策は存在していない。 2 ( 同2 ,5 00m以上)用の敷地として 1か所、新規 M e t r oは 2 0 4 0成長構想でこれを具体化させ、 開発住区にサービスする小規模なショッビングセ C e n t r a lC i t y、R e g i o n a lC e n t e r、Town C e n t e rの 3 1 2 総合都市研究第 7 7号 2 0 0 2 段階のセンターや、さらに下位のセンターとして け、利便性が高い区域では最大許容量を少なく設 の役割を持つ C o r r i d o r、S t a t i o n Community、Main 定している点である。地方政府は最小・最大基準 S t r e e tなどの土地利用要素から成る「デザインタ ともこの基準より少ない値を定めてよい。 イプ」を定義し、構想図上に同定した 14)。しか P o r t l a n d市では、総合計画には駐車場基準は示 し、成長構想はあくまで構想に過ぎず、地方政府 されないが、ゾーニングコード 25)でゾーン別・用 が策定する計画に対する拘束力を持たない。その 途別の最小・最大基準が設定されており、ゾーニ 役割を担うのは、成長構想の実施計画である都市 ング規制の枠組みの中で駐車場の量がコントロー 成長管理実施計画である。同計画では、各デザイ ルされる。なお、公共交通の利便性が低い区域で ンタイプの性格付けや平均密度、地域の駐車場基 は最大基準値が割り増しされたり、公共交通の待 準などをはじめとする種々の基準や政策を示し、 ち空間となる広場の整備を含む開発については最 成長構想図に従ってデザインタイプを適用するよ 小基準値が割り引かれたりする規定がある。 う地方政府の総合計画の変更を求めている。ま た、雇用ゾーンと工業ゾーンにはその機能を支援 5. 規 制 の 方 法 と 開 発 の 可 否 の 判 断 するだけの限定的な商業立地のみを認めることと 2 し、原則的に約 5,600m以上の商業開発を禁止す るように規制を変更することを求めている。 なお、 Metroは UGBによって周縁部での開発を 抑止しているが、 UGBの設定は人口増加の収容 5. 1 イングランドの事例 (1)規制制度と開発の可否の判断基準 イングランドでは、開発(用途変更を含む)を という観点から行われており、郊外での商業開発 しようとする者が地方計画庁に計画申請を行い、 を防ぐという意図があるとは考えにくい。 地方計画庁は申請があったらそのつど可否をケー 以上の政策・計画は地方政府の総合計画でも考 ス・パイ・ケースで判断する「計画許可」の制度 o r t l a n d市総合計画 24)では、言葉では 慮される。 P をとっている。計画許可の主な判断基準となるの 商業開発に関する政策はほとんど述べられていな は DP、特に LPレベルのプランであるが、単に DP いが、商業系の土地が近隣商業・オフィス商業・ に合致していればよいというのではなく、他の事 都市的商業・一般商業・中心商業の 5種類のゾー 項も考慮に入れた上で可否が決定される。 ンに分けられて計画図上に表現されている。これ PPG6は計画許可の審査の際に考慮すべき事項 らの多くは成長構想に定められたセンターやコリ を示している(表 4 )。大規模庖舗の開発提案と ドー上にあり、成長構想、と整合している。同計画 既存センターの外での開発提案のいずれの場合で 図はゾーニングマップのベースともなっている。 も、公共交通・徒歩・自転車によるアクセスが良 好であり、自動車の移動を増大させないこと、既 ( 2 )駐車場水準の扱い 存センターに悪影響を与えないことが考慮され 州政府のレベルでは、 OARで、駐車スペース る。この規定が計画許可決定に及ぼす影響は大き 0年間で 10%削減するという目標を掲げ、適切 を2 く、既存センターの活力を害する可能性があるこ な場所ではゾーニングなどの規制で駐車場の最 とや、敷地の選定にシーケンシャル・アブローチ 小・最大基準を設定したり、必要最小量はできる を採用していないこと(つまり、申請の敷地より だけ少なくすることを求めている。州全体に適用 もセンターに近い位置に開発の好適地が存在して される基準値は定められていない。 5 )参照)、自動車以外の手段による いること。注 ( 開発用途別に駐車場の床面積当り最小・最大基 準を定めているのは、 Metroの都市成長管理実施 アクセスが不十分であることーーなどを理由に開 発が拒否される例はしばしば見られる。 計画である。イングランドの全国基準と異なるの これを受けて、 H u n t i n g d o n s h i r eの LPでは、新 は、公共交通の利便性によって区域を 2種類に分 規の商業開発の可否に影響する項目として、既存 1 3 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 表 4 計画許可審査時の考慮事項(イングランド)'9) 5 0 0 r r f 超)の開発が提案された場合 ・大規模な唐舗(グロス床面積2, シーケンシャル・ 卜申請者が敷地の選定にシーケンシャル・アフ。ローチを採用したか否か。 アプローチ ト適切な代替敷地の利用可能性。 センターへの影響トタウンセンタ一、ローカルセンター、村落への経済的影響(累積的影響も考慮)。 アクセシビリティト様々な交通手段によるアクセシビリティ。様々な交通手段で来そうな客の割合。 移動パターン ト商圏全体にわたって、移動パターンに起こりそうな変化。 環境への影響 ト環境へのあらゆる重要な影響。 -既存センターの外での商業開発が提案された場合 DPの戦略への影響卜提案を DPの戦略に照らして。 既存センターの 活力と存続性 への影響 段 通かも 手入 の十こ 交分と 外はる 以スめ 動一を 車ビ求 自サ担 、負 イく者 テな発 リで開 ビけの セる善 シだへ クあ改 アがの の線ス .公歩 で路セ )のク 車通ア 転交者 自共行 歩(や 徒か通 ・る交 通き共 交で公 共ス 公セり (クよ 手に務 段アに な当義 移動や 自動車利用への 影響 々本画 様で計 アクセシビリティ -開発がタウンセンターの戦略をどの程度危険に陥れるか、民間セクターの投資への影響、 センターの質・魅力・特徴への影響、センターのサービスの幅への影響、商業一等地に おける空き不動産の増加一一ーなど。 -開発が容易なアクセスを提供するか。 1回のトリップで複数の目的をかなえる「多目的 トリップj を促進するか。自動車への依存を減らすという目標の達成に役立つか。 -自動車で来そうな客の比率、開発の商圏。 センターへの影響、自動車交通への影響、敷地選 ( 2 )提出が求められる情報 定、デザイン、駐車場、各交通手段によるアクセ 開発者は、環境や交通に大きな影響を及ぼしそ シビリティ、環境へのインパクト一一ーなどを挙げ うな開発を行おうとする場合には、環境アセスメ ている。 ン ト や 交 通 ア セ ス メ ン ト [TA: t r a n s p o r t また、開発の可否がケース・パイ・ケースで判 a s s e s s m e n t ]、 トラベルプランを計画申請と同時に 断されるため、政府が定めた用途区分よりも細か 提出するよう求められる(表 5)0 TAは従来の交 な用途規制が可能である。例えば、郊外で小売店 r a f f i c i m p a c t 通インパクトアセスメント [TIA:t 舗の開発が提案された場合、既存センターへの悪 a s s e s s m e n t ] に代えて導入されたものである。 影響を避けるため、計画許可条件を用いてその庖 TIAが開発に集中する自動車交通が周辺の道路網 舗が扱う商品の種類を制限することができる。こ に与える影響を検討するのにとどまっていたのに のような規制は PPG6でも推奨されている。 対し、 TAでは様々な交通手段による人々の移動 仮に地方計画庁が PPG6に反するような商業開 に及ぼす影響が評価される。トラベルプランは、 発を許可したとしても、その判断が中央政府の政 企業・学校・病院などの組織で、主に従業者の 1 策に合致しないと大臣が判断すれば、大臣は地方 人乗り自動車による通勤交通を減らすためにとら 計画庁の決定に強制介入して自ら可否の判断を下 れる施策をまとめた計画であるが、商業開発にも すことができる。 PPG6によると、グロス床面積 適用されうる。 が1 0,000m'を超える商業開発の申請があった場 交通アセスメントの結果によっては、「問題の 合などには、地方計画庁は大臣に届け出るよう命 解決に必要なインフラの完成を条件に工事を開始 じられている。これは強制介入するかどうかを考 してよい」などの計画許可条件や、「計画許可の える機会を大臣に与えるための規定である。 代わりにインフラ整備などのための資金拠出を義 1 4 総合都市研究第 7 7号 2 0 0 2 表 5 計画許可の審査へのインプットとなる資料(イングランド) -環境に大きな影響を及ぼす可能性のある開発(例:グロス床面積 2 0,0 0 0 r r i超の街の外のショ ッピングセンター)が対象。 環境 卜開発の概要、評価に必要なデー夕、環境への直接的・間接的影響、悪影響を緩和するための アセスメント訓│ 方策を記述した環境評価書を計画申請時に提出。 ・ここでいう環境とは、人問、動植物、土壌、水、大気、気候、景観、以上の相互作用、重要 な資産、文化遺産一ーを指す。 交 通 アセスメント 2 0 ) トラベルプラン劃 -交通に重大な影響を及ぼしそうな開発(例:グロス床面積1, O O O r r i超の小売開発)が対象。 │・全交通手段によるアクセシビリティ、予想手段分担率、自動車以外の手段によるアクセス改 I善・駐車場の必要の削減・交通インパクト軽減のための施策の詳細をまとめ、計画申請とと もに提出。 -交通に重大な影響を及ぼしそうな開発(例:グロス床面積1, O O O r r i超の小売開発)が対象。 ・従業員が一人乗り自動車 [SOV]以外を選択するよう奨励し、通勤移動の必要性を減らすため の実践的施策をパッケージにまとめ、計画申請とともに提出。 ・計画許可条件や計画義務を通じて、プランの実施が拘束力を持ちうる。 務づける」といった計画義務を課して、あるいは 制に合致すれば開発が認められるしくみになって 開発者負担に関する計画合意に達した上で、計画 いる。審査の基準は用途とゾーンによって様々で 許可を与えることもできる。こうした開発者によ あるが、交通システムがその用途を安全に支援で る貢献は、道路の整備だけでなく、公共交通の整 きる、周辺の用途に重大な悪影響を及ぼさない、 備やサービス改善にも用いることができる。 地区の特徴を著しく変更しない一ーなどがある。 5. 2 アメリカ・オレゴン州の事例 (1)規制制度と開発の可否の判断基準 オレゴン州では、アメリカの他の州と同様に、 州政府からの授権によって地方政府がゾーニング 同ーのゾーン、同ーの用途であっても開発の規模 によって①になったり②や③になるという規制も 行われており、例えば高密な集合住宅ゾーンで小 規模な商業床を導入することは認められている。 ゾーンの指定状況を見ると、商業系ゾーンの多 規制を条例として定め、実施している。 P o r t l a n d くはセンターや主要公共交通路線(パス、 LRT) 市のゾーニングコードには、総合計画の 5種類を の沿線にある。他の大半の敷地は商業開発の禁止 一部細分化した 8種類の商業系ゾーンがあり、そ された住宅系ゾーンに指定されていることから、 れぞれについて、許容される用途、容積率・建蔽 公共交通に近接しない大規模商業開発の機会はか 率、建物の高さ、セットパック、駐車場基準など なり限定されていると言える。 が定められている。[小売販売・サービス業」が 1つの用途とされているため、小売庖舗でも扱う 品目によって立地可能な場所が異なるというよう な規制は現状のゾーニング制度ではできない。 ただし、ゾーニングを柱にした制度であるから といって完全に事前確定的な規制というわけでは ( 2 )提出が求められる情報 P o r t l a n d市では、開発の規模(予想される集中 自動車トリップ数)などによって、開発の可否を 審査する初期段階に交通インパクトスタディ _26) [ T I S:t r a n s p o r t a t i o ni m p a c ts t u d y J を提出するよ なく、裁量の余地も残されている。同市のゾーニ う、開発者に対して求められる場合がある。その ングでは、各ゾーンで①認められる用途、②限定 内容は米国交通工学会のハンドブ、ックに概ね従っ される用途、③条件付きで認めうる用途、④禁止 I Sの関心は、開発に集中する自動車 ている 27) T される用途 が示されており、③については特 トリップ数の予測、周辺の道路交通の円滑化、敷 別な審査が行われ、定められた基準やその他の規 地への安全な徒歩・自転車アクセスの確保などで 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 あり、イングランドの TAのようにマルチモーダ ルな方向を指向しているとは言い難い。 1 5 値は定められているが、自動車利用量そのものの 削減目標値は定められていない。一方、国土交通 なお同市は、一種の交通インパクトフィーとし 省は「温室効果ガス企 6 %の実現のために運輸部 て、原則全ての開発者に対し、用途と規模に応じ 3J)として各種施策を示 門において講ずべき措置 J て交通インフラの整備・改善への負担を求めるシ しているが、土地利用コントロール施策は含まれ SDC:s y s t e md e v e l o p m e n t ステム整備負担金 [ ていない。都市計画運用指針 32)にも自動車利用削 c h a r g e s ] の制度を持っている 28)。商業の場合、 0 0 0年施行の大規模小売庖舗立 減の視点はない。 2 ショッピングセンタ一、スーパーマーケットなど 地法(以下、大庖立地法)に基づく制度も、周辺 の業態分類ごとに床面積当りの単位負担金額が定 生活環境の保持が目的であり、広域的な問題への められており、これに床面積を乗じて支払額が算 関心は乏しい。 出される。 SDCには様々な減免規定が用意され つまり、環境基本計画に見られるような自動車 ており、例えば都心部や公共交通沿線に位置して 利用削減と土地利用コントロールに対する考え方 いる開発の負担額は最大で 65%減免される。金銭 が、国の政策方針全体、特に他省庁が所管する政 的な負担の代わりに街路の改善や集中トリップの 策には十分反映されていないのが現状である。 削減など別の形で貢献することもできる。つま り、土地利用のコントロールだけでなく SDCをも 通じて、 TOD的な開発パターンに誘導すること が意図されている。 6. 2 開発の規模やセンターの性格,駐車場の 水準に関する広域調整 イングランドでは、政府の指針 (PPG) に基づ き、影響が広範囲に及ぶ大規模な商業開発の立地 6 まとめと考察 方針は広域的なレベル (RPGや SP) で、小規模 な開発についてはディストリクトのレベル ( L P ) 最後にまとめとして、イングランドとオレゴン で考慮され、政策が各計画に表現される。オレゴ 州の事例を踏まえ、商業開発コントロールの制度 ン州では、様々に性格付けされた拠点的な土地利 について、わが国の状況を補足しつつ考察する。 e t r oの2 0 4 0成長 用(デザインタイプ)の配置が M 6. 1 自動車利用削減という目標の浸透 構想で図示され、それがそのままに近い形で地方 政府の総合計画やゾーニングに反映されている。 両事例ともそれぞれ中央政府、州政府という上 駐車場については、総体的な自動車の利用を抑 位の行政組織のレベルで、自動車利用の削減が目 えるとか、既存のセンターの活力を守るといった 標(数値目標も含む)として定められ、その実現 目的のため、都市圏の駐車場をどのような水準に のための施策の 1つとして土地利用コントロール すべきかが検討されている。両事例とも駐車場を が挙げられている。また、目標に従った計画や政 抑制する方針をとっており、最大許容量を広域的 策を自治体に立案させるために、自治体との協議 計画で定めている点が共通している。 ももちろんであるが、計画への修正勧告・修正命 このように商業開発の魅力に直結し、開発を引 令、計画の認定、補助金によるコントロール きつけようとする自治体聞の競争に深く関わると などによる強制的あるいは誘導的なしくみが用意 考えられる事項については、広域的視野から検討 されていることも共通している。 するしくみが採用されていることが理解される。 0 0 0年末に閣議決定された環境基 わが国では、 2 わが国では、大庖立地法に基づく制度では地域 本計画 30)において、大気汚染や地球温暖化などに 的な需給状況を勘案した運用が禁止されており、 対応するための施策として「環境負荷の小さい都 既存センターに悪影響を及ぼしうる場合はもちろ 市構造 J の実現が含まれるようになった。ただ ん、他の問題が考えられる場合でも開発の規模な し、大気質の基準や二酸化炭素排出量の削減目標 どの修正を求めることは行いにくく、この制度を 1 6 総合都市研究第 7 7号 2 0 0 2 広域調整に用いるのは現状では難しい。従って、 地域に大規模な唐舗の立地が可能であるなど、運 望ましくない開発を立地させないためには都市計 用次第で商業施設の適切なコントロールが困難と 画制度によらざるを得ない。大規模開発の散発的 なりうる面は残っている。 立地に適切に対応できるよう都市計画区域を設定 また開発者は、大庖立地法の指針に基づく一種 することは既に都市計画運用指針で認められてい のTIAや、自治体の条例に基づく環境影響評価の 0 0 0年の都市計 るが、今後は他の方法(例えば、 2 提出を求められる場合がある。前者は上述の通り 画法改正で導入された都市計画区域マスタープラ 周辺道路の混雑回避のための駐車場確保が主眼で ン)を広域調整に活用する可能性も検討する必要 あり、自動車利用削減の視点は持っていない。さ がある。 らに、開発の影響が甚大と予測される場合には、 駐車場は、附置義務制度や大庖立地法に基づく 都道府県との協議の過程で計画の修正が行われる 制度によって確保することが求められている。い ことが多いとは言え、両制度とも都市計画の枠組 ずれも周辺道路交通の円滑化を目的としており、 みの外にあるため、開発を事前に不許可にするこ 広域的問題や総体的な自動車利用削減への関心は とはできない。この点も課題と言える。 欠知している。このため、最大許容量を定めると いう発想はない。欧米とは既存駐車場の水準に差 注 があるため事情は異なるが、政策の方向も両都市 ( 1 ) P PGll I 地域計画 j は、政府の定める 9つの地域 圏と異なっていることがわかる。 ごとに事実上の地方計画である RPGを策定すると しているが、 RPG6の対象区域は地域分けと一致し ない ( E a s tA n g l i a地方はイングランド東部地域に 内包される)。また、政府は RPGに地域交通戦略 [ RTS:r e g i o n a lt r a n s p o r ts t r a t e g yJを含めるよう要 求しているが、 RPG6は RTSを含まない。これら の点は将来の RPG で解決される見通しである。 ( 2 ) 州計画目標・指針は h 抗p ・ I l w w wl .c d . s t a t e . o r .u s / g o a l h t ml / g o a l s . h t m lで 、 OARは h t t p : / / a r c w e b . l c d . s t a t e . o r .u s / r u l e s lで閲覧できる。 ( 3 ) イングランドには地方が行う交通投資に対して中 央政府が財政的な補助を行うしくみが存在するへ 政府が補助金や借入金許可の配分額を決定する際 の根拠となるのは、自治体が策定し政府に提出す るLTPである。政府のガイダンスによると、 LTP には目的、戦略、実施プログラムなどのほか、達 I るためのパフォーマンス指標と目標値を 成度を演J 含めるよう要求されている。パフォーマンス指標 と目標値は自治体が自由に定めてよいが、関連す る政府目標を尊重しなければならない。目標の達 成状況は配分額の決定に影響するため、自治体は 補助金の獲得のために有効な LTPを立案し実行す る必要がある。 ( 4 ) UGSは今後2 0年間に見込まれる成長を収容するの に必要十分なだけの土地を含む区域であり、この 外での開発は原則として禁止される。 P o r t l a n d都市 e t r oが設定し、 LCDCが認可する。 圏の UGSは M ( 5 ) 商業開発の敷地・適地を選ぶ際に、[1J タウンセン 2 Jタウンセンターの端やローカルなセ ターの中、 [ ンタ一、 [ 3 J様々な手段でアクセスできるセンター 6. 3 商業開発申請への対応 イングランドでは計画申請をそのつど判断する 制度のため、開発の影響を詳細に考慮した上で、 開発の可否や計画許可条件の付与などを柔軟に決 定することができる。商業開発の可否の判断基準 には、既存センターの活力、総体的な移動パター ン、自動車利用への影響一ーなどがあり、自動車 利用を増大させるような開発は困難である。オレ ゴン州ではわが国と同様にゾーニング制度をとっ ているが、より詳細な規制が可能である。条件付 きで認めうる用途に関して、裁量による判断を組 み込むこともできる。ただし現状ではその判断基 準に総体的な自動車利用への影響などは含まれて いない。また両事例では、開発の可否の判断材料 として、環境や交通に関するアセスメントの結果 や、開発の影響を緩和するための計画などの提出 が求められることがある。 わが国では、未線引き区域や都市計画区域外と いった、規制が緩い、または及ばない区域での大 0 0 0年の都市計 規模開発が問題となってきたが、 2 画法改正により、特定用途制限地域や準都市計画 区域制度の創設という対応がなされた。しかし用 途地域が指定されている区域であっても、住居系 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 外の敷地一ーという順序で考えるアプローチ。 1 4 ) 主査・太田勝敏 ( 2 0 0 0 ) 環境負荷の小さい都市交 1)高見淳史 ( 2 0 0 0 ) 土地利用と交通:(1)土地利用コ ントロールを通じた自動車利用削減,都市と居住 7, :土地・住宅・環境を考える,都市研究叢書 1 p .2 0 3 2 3 6 東京都立大学出版会, p 昇,太田勝敏(19 9 8 ) 自動車利用削減のための土地利用/交通施策に関 する議論の整理と商業立地上の論点に関する一考 察,土木計画学研究・論文集, 1 ' 10 .15,p p . 2 1 7 2 2 6 3 ) 高見淳史,原田 するケーススタディー,都市計画論文集, 1 ' 10 .33, p p . 1 0 3 1 0 8 参考文献 2 ) 高見淳史,室町泰徳,原田 17 昇,太田勝敏 ( 1 9 9 9 ) 近隣セン ターの育成による自動車利用削減効果の分析ー多 摩ニュータウンを例としてー,都市計画論文集, 1 ' 1 0.34,p p .1 8 1・1 8 6 通戦略に関する基礎的検討,日本交通政策研究会 1 5 ) UKDETR ( 2 0 0 0 )R e g i o n a lP l a n n i n gG u i d a n c e1 ' Io t e 6 :R e g i o n a lP l a n n i n gG u i d a n c ef りrE a s tA n g l i at o t a t i o n e r yO f f i c e 2016, TheS 1 6 )C a m b r i d g e s h i r eC o u n t yC o u n c i l( 19 9 5 ) C a m b r i d g e s h i r eS t r u c t u r eP l a n1 9 9 5 1 7 )M e t r o( 19 9 6 ) UrbanGrowthManagementF u n c t i o n a l P l a n 19 9 7 )R e g i o n a lFrameworkP l a n 1 8 )M e t r o( 1 9 )D e p a r t m e n toft h eE n v i r o n m e n t( 19 9 6 ) PPG6:Town C e n t r e sa n dR e t a i lD e v e l o p m e n t s,HMSO 2 0 ) UKDETR ( 2 0 01 ) PPG13:T r a n s p o r t 1 9 9 8 ) 英国都市計画とマス 4 ) 中井検裕,村木美貴 ( タープラン:合意に基づく政策の実現プログラ ) UKDETR ( 2 0 0 0 )G u i d a n c eonF u l lL o c a lT r a n s p o r t 21 P l a n s 2 2 )D e p a r t m e n to fLandC o n s e r v a t i o na n dD e v e l o p m e n t , ム,学芸出版社 5 ) 福川裕一 ( 1 9 9 7 ) ゾーニングとマスタープラン: Oregon ( 2 0 0 1 ) OAR D i v i s i o n 1 2 : T r a n s p o r t a t i o n アメリカの土地利用計画・規制システム,学芸出 P l a n n i n g ,OAR 660-012,h目p : l l a r c w e b . s o s . s t a t e . o r . u s l 版社 rules/OARS 6 0 0 1OAR6 6 0 1 6 6 00 1 2 . h t m l 6 ) 原田英生(19 9 9 ) ポスト大庖法時代のまちづくり :アメリカに学ぶタウン・マネージメン卜,日本 t t p : / / w w w . h u n t s d c . g o v . H u n t i n g d o n s h i r eL o c a lP l a n,h u k I Pl a n n i n g l Local]lan _1 9 9 5 / i n d e x . h t m 経済新聞社 7 ) 伊藤公一 ( 1 9 9 7 ) 欧米の都市計画法制と商業施設 ' 1 0 .9 4,p p .3 1 1 開発規制,流通とシステム, 1 8 ) 主査・太田勝敏 ( 2 0 0 0 ) 日本・アメリカ・イギリ スの都市圏交通計画制度の現況と課題,日本交通 19 9 6 )C o m p r e h e n s i v eP l a nG o a l s 2 4 )C i t yo fP o r t l a n d( a n d P o l i c i e s, h t t p : / / w w w . p l a n n i n g . c i . p o r t l a n d . or .u s / CompPlan/CP ALL .htm )P o r t l a n dZ o n i n gCode,h 町: 2 5 ) C i t yo fP o r t l a n d( 2 0 01 I l w w w . p l a n n i n g 札 p o r t l a n d . o r .u s l 政策研究会 9 ) 屋井鉄雄(19 9 8 ) 米国の都市圏交通計画の仕組み と実際,交通工学, Vo . l33,1 ' 10 .3,p p .1 3 2 1 1 0 ) 加藤浩徳,堀 2 3 )H u n t i n g d o n s h i r eD i s 甘i c tC o u n c i l( 19 9 5 ) 健一 ( 2 0 0 0 ) イングランドの計画 システムにおける交通計画と土地利用計画の連携 ' 1 0.35, 確保に向けた取り組み,都市計画論文集, 1 G u i d e l i n e s :F i n a lD r a f t 2 7 ) 主査・太田勝敏 ( 1 9 9 5 ) 交通インパクトアセスメ ント (TIA) の研究,日本交通政策研究会 2 8 ) C i t y o f P o r t l a n d (2001 )T r a n s p o r t a t i o n S y s t e m D e v e l o p m e n tC h a r g e s,h t t p : / / w w w . t r a n s . c i . p o r t l a n d . o r . p p . 6 7 7 2 1 1 ) 浦山益郎 ( 1 9 9 7 ) オレゴン州の土地利用計画制度 における広域調整に関する研究ーポートランド都 ' 10 .32,p p . 市圏を中心にー,都市計画論文集, 1 1 8 1 1 8 6 1 2 ) 村上威夫,大西 19 9 7 )T r a n s p o r t a t i o nI m p a c tS t u d y 2 6 ) C i t yo fP o r t l a n d( u s A n g i n e e r i n g _ And _D e v e l o p m e n t l a r t e r i a l _ e n g l s d c 2 9 ) UKDETR ( 19 9 8 )E n v i r o n m e n t a lA s s e s s m e n t,h t t p・ 1 1 www.p l a n n i n g .d e t r .g o v .u k l e i a l a s s e s s l 3 0 ) 環境庁 ( 2 0 0 0 ) 環境基本計画一環境の世紀への道 経 ( 1 9 9 7 ) マスタープランによ る都市計画権限の政府間調整 米オレゴン州の土 しるべ 31)国土交通省 ( 2 0 01)温室効果ガス A 6 %の実現の 地利用計画制度をケーススタディとしてー,都市 ために運輸部門において講ずべき措置 計画論文集, 1 ' 1 0 .3 2,p p .1 7 5 ・ 1 8 0 www.mlit .g o . j p / s o g o s e i s a k u/ k a n k y o u / o n d a n k a 2_ . h t m l 1 3 ) 村上威夫,大西 隆 ( 1 9 9 8 ) 広域政府による土地 利用計画権限の調整ー米オレゴシ州のメトロに関 h即 : 1 1 3 2 ) 国 土 交 通 省 (2001)都市計画運用指針, h 即: 1 1 www.mli . t g o . j p / c r d l c i 砂/ s i n g i k a i / s n1 3 0 4 1 9. h t m 1 8 総 合 都 市 研 究 第 77号 2002 KeyWords (キー・ワード) R e t a i l DevelopmentC o n t r o l System (商業開発コントロール制度), Reducing CarUse (自動車利用削減), England (イングランド), Oregon (オレゴン州) 3年 8月3 1日、論文登載決定日:平成 1 3年 1 1月 5日 】 [論文受理日:平成 1 高見:自動車利用削減の観点からみた商業開発コントロール制度に関する考察 1 9 A StudyonRetailDevelopmentControlSystemforReducingCarUse: BasedonC a s e sofEnglandandOregon, USA K i y o s h iT a k a m i * * G r a d u a t eS c h o o lo fE n g i n e e r i n g,To 匂oM e t r o p o l i t a nU n i v e r s i t y C o m p r e h e n s i v eUrbanS t u d i e s,No.77,2002,p p . 51 9 ・ T h i sp a p e ra i m st os t u d yonr e t a i ld e v e l o p m e n tc o n t r o ls y s t e mf r o mt h ev i e w p o i n to fr e d u c i n g a s e so fC a m b r i d g e s h i r ec o u n t y( E n g l a n d )a n dP o r t l a n dm e t r o p o l i t a n c a ru s e .I nt h i sp a p e r, c ,USA) a r es u r v e y e d ,p a y i n ga t t e n t i o nt ot h ef o l l o w i n gp o i n t s : ( 1 ) how r e g i o n ( O r e g o n 叩o r a t et h e mi n t o g o v e r m n e n t sa n dl o c a la u t h o r i t i e ss e tt h eo b j e c t i v e so fr e d u c i n gc a ru s ea n di n c o t h e i rp o l i c i e sa n dp l a n s, a l o n gw i t hl a n du s ec o n t r o lm e a s u r e s, ( 2 ) howt h ei n t e r g o v e r n m e n t a l e 1 o p m e n t s,t h ec h a r a c t e r i s t i c so fc e n t e r sa n dp a r k i n g c o o r d i n a t i o ni sc o n d u c t e dont h es i z eo fd e v ,a n d( 3 ) howl o c a la u t h o r i t i e sd e c i d ew h e t h e rad e v e l o p m e n ti sp e r m i t t e do rn o t, a n d c a p a c i t y w h a ti st h eb a s i sf o rt h ed e c i s i o n .A f t e rt h a t ,t h ea u t h o rc o m p a r e st h er e t a i ld e v e 1 0 p m e n tc o n t r o l s y s t e m so ft h o s ec a s e sw i t ht h a to fJ a p a n .
© Copyright 2024 Paperzz