特定行為プロトコール 特定行為プロトコール

特定行為プロトコール
気道確保(含気管挿管)
静脈路確保
薬剤投与(アドレナリン)
薬剤投与(アドレナリン)
心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び
心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び
低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与
心肺機能停止前の重度傷病者に対する
静脈路確保及び輸液
平成15年11月
平成16年 5月
平成16年12月
平成17
平成17年
17年 8月
平成18年 5月
平成19
平成19年
19年 2月
平成21年
平成21年 1月
平成22年 6月
平成26年 4月
1日
1日
1日
1日
1日
1日
1日
1日
1日
策定
改訂
改訂
改訂
改訂
改訂
改訂
改訂
改訂
上伊那地域メディカルコントロール協議会
2014/04/01
特定行為プロトコール
気道確保(気管挿管以外)
気道確保(気管挿管以外)
1 対象傷病者
呼吸機能停止状態の傷病者
2 手順
別紙フローチャート参照。
3 留意事項
(1) 禁忌、副作用等を考慮した器具を使用すること。
(2) 挿入を試みても気道確保できないときは、使用を中止し、他の方法による気道確保を行う。
(3) 一度挿入した器具は、換気良好であれば、医師の指示によるまで抜去しない。
(4)
(5)
ア
イ
ウ
エ
オ
(6)
(7)
5点聴診(別紙「聴診部位」参照)
挿管後の確認事項
胸郭の動き
左右の呼吸音
胃に空気が入っていないか
チューブ内の水蒸気
BVMにリザーバーバッグがついており、100%酸素に接続されているか
挿入後、適切な換気が可能であれば胸骨圧迫と人工呼吸を非同期で実施しても良い。
オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
態)患者、嘔吐及び口腔内出血のみ
トラブル
L M
①フルストマック(胃内容物が多い状
られる傷病者
起こりうる
各気道確保器具の禁忌など
① サイズ選択を誤るとマスクが咽頭腔に収まらない
② カフエア量が適正でないとリークが生じやすい
③ 送気圧力が高いとリークが生じやすい
④ チューブが正中線にない場合リークが生じやすい
起こりうる
起こりうる
③ 腐食性物質の飲用が疑われる
合併症
② 食道疾患の既往にある患者
合併症
L T
① 嘔吐過敏な患者
① 食道損傷及び裂孔
② 食道静脈瘤破裂
場合
ツーウェイ
チューブ
① 身長 122 ㎝未満の傷病者
② 嘔吐過敏な傷病者、食道疾患の
ある者
① 食道損傷及び裂孔
② 食道静脈瘤破裂
③ 腐食性物質の飲用が疑われる
場合
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特定行為プロトコール
気道確保(気管挿管以外)
気道確保(気管挿管以外)フローチャート
(気管挿管以外)フローチャート
不良
再気道確保により
換気良好か
良好
BVMによる
換気良好か
良好
不良
良好
異物除去により
換気良好か
不良
適応
特定行為の適応か ※1
適応外
指示なし
指示要請
気道確保に関する
指示内容
気管挿管プロトコール
気管挿管プロトコール
・用手的気道確保など
用手的気道確保など ※2
食道閉鎖式エアウエイ
LM等による気道確保
準備
(1回目)
挿入
30秒以内
確認できず
(2回目)
胸部拳上確認
5点聴取
確認
器具の固定を実施後、心肺機能停止対応業務フローチャートへ
※1 心肺停止の原因、傷病者の状態、医療機関までの距離などの状況に応じて判断
※2 指示内容に応じて経口・経鼻エアウエイの使用も考慮
3
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特定行為プロトコール
気道確保(気管挿管
気道確保(気管挿管)
気管挿管)
1 対象傷病者
心肺停止(心臓機能停止かつ呼吸機能停止)の傷病者
2 適応
思春期未満(概ね15歳未満)を除く傷病者のうち、以下のいずれかに該当するもの。
(1) 異物による窒息の院外心肺停止
(2) 適切なメディカルコントロール体制下で、傷病の状況から気管挿管以外では患者予後を改
善し得ないと指導医が判断した院外心肺停止
3 適応除外例
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
状況から頸髄損傷が強く疑われる事例
頭部後屈困難症例
開口困難と考えられる例
喉頭鏡挿入困難例
喉頭鏡挿入後喉頭展開困難例
その他の理由で声帯確認困難例
時間を要する、もしくは要すると考えられる例
その他担当救急救命士が気管挿管不適当と考えた例
・ 気管挿管を実施しても予後の改善が期待できないものの事例
(1) 脳血管障害による心肺停止が明らかな事例※
(2) 心筋梗塞、致死的不整脈など、循環器系の傷病に起因する心肺停止が明らかな事例※
(3) 呼吸器系を除く部位の外傷に起因する心肺停止が明らかな事例※
※ ただし、上記の傷病に伴って嘔吐などが認められ、ラリンゲリアルマスク、
食道閉鎖式エアウエイが挿入困難である事例は除外する。
(4) 目撃者のいない縊頸による心肺停止事例
(5) 目撃者のいない入浴中の心肺停止事例
ただし、予後の改善が期待できないものの事例の中でも、指導医が必要と判断した場合は
この限りでない。
4 留意事項
(1) 除細動適応には除細動プロトコールを優先する。
(2) 胸骨圧迫中断時間は最小限に止める。
(3) 近くに家人がいれば簡潔に行う行為の必要性を説明してできるだけ了解を得る。
(4) 挿管後は常に換気状態(チューブのずれ、屈曲、閉塞等)に注意すること。
(5) 傷病者の移動時に気管チューブが抜けやすいので十分注意すること。
(6) 気管挿管の試行は原則として2回までとする。
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特定行為プロトコール
(7) 気管チューブの固定には専用の固定器具を出来る限り用いること。
(8) 気管チューブを通じた気管内吸引は救急救命士が行うこと。
(9) 挿管後の人工呼吸は非同期で6~8秒に1回(毎分8~10回)で行う。
(10) オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
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特定行為プロトコール
5 気管挿管フローチャート
指示なし
① 指示要請
指示あり
② 安全で確実に挿管できる場所へ移動
③ 気管挿管の準備
不可能
④ 喉頭展開
可能
確認できず
⑤ 声門の確認
確認
挿入できず
挿入可能
⑥ 気管チューブ挿入
⑦ カフのエアと気管チューブの深さ
いずれかに問題あり
⑧ 身体所見による確認
器具を使用した確認
器具を使用した確認
ともに問題なし
ただちに気管チューブ抜去
2回目
失敗したのは
何回目の試行か
⑨ 気管チューブの固定
1回目
CPR30秒
気管挿管再試行
他の気道確保方法で、心肺機能停止対応業
務フローチャートへ
6
気管挿管下に、心肺機能停止対応
業務フローチャートへ
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特定行為プロトコール
① 指示要請
指示要請は、傷病者の年齢、性別、心肺停止の状況、心電図、換気状態、異物による気
道閉塞の有無などを簡潔に告げて指示医師の判断を仰ぎ、具体的な指示を得る。
② 安全で確実に挿管できる場所へ移動
ストレッチャ―上など気管挿管操作を行いやすい場所が最適である。やむを得ず床の
上で正座位による気管挿管を試みなければならないこともあるが、気管挿管が不確実にな
る可能性があれば、あえて条件の悪い気管挿管にはこだわらず、迅速に場所を移動して確
実な気管挿管を行う。
③ 気管挿管の準備
気管挿管の準備は実施者である救急救命士自身が責任をもって行う。
1)気管チューブ
2)スタイレット※
3)喉頭鏡
4)シリンジ(10ml)
5)潤滑剤
6)挿管チューブ固定器具
6)’バイトブロック(テープ固定の場合)
7)聴診器
8)口腔内吸引カテーテル
9)気管内吸引カテーテル
10)呼気二酸化炭素検出器(赤外線カプノメトリによるETco2モニター含む)
11)食道挿管判定器具(エアウエイチェッカー)
この他、気管挿管に必要と思われる物品を準備する。
※ 一般に気管挿管にスタイレットは必須ではないが、気管挿管を日常的な業務としてい
ない施行者はスタイレットによってチューブの声門への誘導が容易となるので使用した
ほうがよい。
④ 喉頭展開
スニッフィングポジションをとる。
異物があれば、喉頭展開し、マギール鉗子や吸引等で除去する。
胃内容物の逆流がある(予想される)場合、介助を行う隊員はセリック法(輪状軟骨迫)
を行う。
⑤ 声門の確認
声門のほぼ全体が視認(Cormack Grade Ⅰ)できること。
声門が見えにくい時は介助者がBURP法を試みる。
⑥ 気管チューブ挿入
声門の通過を視認する。
CPRの中断が30秒以上かかる場合または、気管チューブをスムーズに挿入できない
場合は、CPRにいったん戻り30秒間のCPRを実施後、スニッフィングポジションを修正し
たり、スタイレットの曲がりを工夫して、もう1回だけ喉頭展開、気管チューブの挿入を試み
ても良い。
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特定行為プロトコール
⑦ カフのエアと気管チューブの深さ
気管チューブの位置を確認したら、気管チューブが抜けないようにしっかりと保持し、カ
フにエアを10ml程度注入する。
気管チューブの深さは成人男性で門歯から22~24cm程度、女性で20~22cm程度
になっているはずである。
⑧ 身体所見による確認と器具を使用した確認
挿管チューブ挿入後の確認は、身体所見によるものと器具を使用したものがあり、気管
チューブの固定前に確実に気管挿管できていることが確認できれば、長野県 ICLS(ACLS)
コースの手順に準じて行っても良い。
・ 身体所見による確認
バッグ・バルブを気管チューブに接続し、上腹部に聴診器を当てて、胸壁の動きと胃内
への空気流入音が聞こえるか確認する。
5 回の換気を行い、左右の前胸部、左右の側胸部(中腋窩線)、再度、上腹部の順に 5
点聴診(別紙「聴診部位」参照)で身体所見により挿管位置を確認する。
胃内への空気流入音が聞こえるか胸壁の動きが認められない場合は食道挿管と判断
し、ただちに気管チューブを抜去する。初回の喉頭展開で声門のほぼ全体が視認できた
にもかかわらず食道挿管となってしまった場合に限り、CPRにいったん戻り30秒間のCP
Rを実施後、もう 1 回だけ気管挿管を試みてもよい。この場合、失敗の原因を考えて、解決
する努力が必要である。
呼吸音が聞こえにくく、身体所見による確認に確信が持てない場合は喉頭鏡で展開し、
気管チューブが声門を通過しているかを直視下に確認する。
身体所見による確認の追加として、呼気時に気管チューブの内腔に結露が生じることを
確認する。
・ 器具を使用した確認
呼気二酸化炭素検知器(赤外線カプノメトリによるETco2モニター含む)および、食道挿
管判定器具(エアウエイチェッカーR)などの器具を用いて挿管位置を確認する。
※ カプノメータ等による連続定量波形(カプノグラム)は呼気二酸化炭素濃度変化のリア
ルタイムモニターが可能であり、気管内挿管チューブトラブルの早期発見や、胸骨圧迫
の効果を示す生理学的モニター、換気回数の適正化、自己心拍再開の指標にもなる。
器具を使用した確認法はいずれも単独では100%正確ではないので、他の所見と合わ
せ必要に応じて直視下の再確認を行ったうえで、総合的に判断する。
⑨ 気管チューブの固定
気管チューブの位置を再確認し、専用固定器具で気管チューブを固定する
テープ固定の場合も、位置を再確認して固定し、バイトブロックを挿入し、固定する。
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2014/04/01
特定行為プロトコール
静脈路確保
1 対象傷病者
(1) 心臓機能停止、呼吸機能停止のいずれかが認められた傷病者。
(2) 低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与対象と認められた傷病者。
(3) 心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液対象と認められた傷病者。
2 手順
別紙フローチャート参照
3 留意事項
(1) 穿刺前に他の注射痕の有無を確認すること。
(2) 試行は傷病者に対し2回までとし、所要時間は穿刺から回路接続後に漏れ腫れが無いこと
を確認するまでを 90 秒以内とする。
(3) 活動中を通じて穿刺部付近等からの漏れ、腫れが認められた場合は、直ちにクレンメを閉鎖
し、留置針を抜去すること。
(4) 以下の部位への穿刺はさけること。
ア 中枢側の四肢に挫滅、骨折のある部位
イ 熱傷部位
ウ 人工透析シャント後の血管
エ 前回の穿刺部位より末梢側の部位
(5) 輸液速度が遅い場合または滴下が停止している場合は、以下の項目について点検する。
ア ラインの屈曲及び圧迫
イ 輸液バッグが低すぎる(1m以上の高さを保持する)
ウ 外筒基部の屈曲
エ 穿刺部位より中枢側の圧迫(躯血帯の外し忘れ等)
オ 穿刺部付近等からの漏れ、腫れ
カ 三方活栓のコック位置
(6) 施行後、医師に結果等を報告し、必要に応じて指示を受ける。
(7) 静脈路確保後の血圧測定については、原則として静脈路確保側の肢では実施しない。
(8) 躯血帯により末梢静脈の躯血を行っても、うっ血が出ないこともあり得るため、その際は(2)
の範囲内において静脈路確保を試みてよい。
(9) 穿刺時、血液の逆流(バックフロー)が無いこともあり得るので、その際は手技を継続し、抵
抗無く針が進む等、血管内に留置したと判断した場合に限り、滴下まで試みる。その際は滴
下の状態及び、(3)に留意する。
(10) オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
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特定行為プロトコール
静脈路確保フローチャート
・静脈路確保適応
・薬剤
(心機能停止または
(アドレナリン)
投与適応
呼吸機能停止)
・低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与適応
・心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保
及び輸液適応
指示要請
指示あり ※
指示なし
・必要な処置の実施
静脈穿刺実施
輸液回路と接続
・搬送開始もしくは搬送先の選定
不良
滴下状態の確認(円滑な滴下状態か?)
良好
穿刺部付近の漏れ・腫れ
あり
なし
留置針を直ちに抜去
輸液回路を固定
・医師へ報告、必要な指示を受ける
・医師へ報告、必要な指示を受ける
・その他必要な処置の実施
・その他必要な処置の実施
※ ・ 躯血帯により末梢静脈の躯血を行っても、うっ血が出ないこともあり得る為、
その際は「静脈路確保プロトコール 3留意事項 (2)」の範囲内において静脈路確保を
試みてよい。
・ 穿刺時、血液の逆流(バックフロー)が無いこともあり得るので、その際は手技を継続し、抵
抗無く針が進む等、血管内に留置したと判断した場合に限り、
滴下まで試みる。
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特定行為プロトコール
薬剤投与(アドレナリン)
薬剤投与(アドレナリン)
1 対象傷病者
心臓機能停止の傷病者
2 適応
8 歳以上の心臓機能停止傷病者のうち、以下のいずれかに該当するもの。
(1) 心電図モニター波形上で心室細動または心室頻拍を認められるもの。
(2) 心電図モニター波形上で無脈性電気活動を認められるもの。
(3) 心電図モニター波形上で心静止が認められ、かつ目撃者のあるもの。
3 留意事項
(1) 心臓機能停止状態の傷病者に対する投与薬剤はアドレナリンとする。
(2) アドレナリンは 1mg/1ml に調節したプレフィールドシリンジのものとし、アドレナリンの総投与
量は年齢や体重に関わらず 1 回 1mg とする。
(3) 薬剤投与経路は経静脈とし、静脈路確保の実施要領は静脈路確保プロトコールに準ずる。
(4) 薬剤投与を実施する場合、再投与を含めてその都度医師の具体的指示を受けて実施する
ものとする。なお、薬剤投与の実施と除細動の実施が競合した場合、除細動を優先させるこ
と。
(5) CPR 中の 5 サイクル(約 2 分間)ごとのリズムチェックを最優先して、薬剤(アドレナリン)投与
に関係するすべての処置(薬剤投与の効果確認、薬剤投与後の除細動、薬剤追加投与)を
CPR 中のリズムチェックにあわせて行う。このうち、薬剤の早期投与を図るため、除細動・薬剤
投与(適応判断)のためのリズムチェックについては CPR5 サイクル中に行ってもよいものとす
る。ただし、胸骨圧迫中断時間は最小限にとどめること。
(6) 活動上において別の救急救命士がいる場合、特定行為の気道確保と薬剤投与は並行して
行って良い。
(7) 薬剤投与における総頸動脈の拍動確認者は薬剤投与者とし、投与直前には総頸動脈で拍
動の有無を確認すること。
(8) アドレナリン投与は約 4 分間隔を目安に実施を考慮する。
(9) 薬剤を投与した際は、毎回ごとに確保した血管を観察し、漏れ・腫れなどがないかどうか確
認し、それらが認められた場合は投与を中断、指示医師へ報告すると共に指示を受けること。
(10) 薬剤(アドレナリン)投与認定を受けていない救命士が確保した静脈路を用いて薬剤投与を
行う場合においても、漏れ・腫れの有無の確認は薬剤投与者が再度確認すること。
※ 薬剤(アドレナリン)投与認定救命士とは、平成 17 年3月 10 日厚生労働省医政局指導課
長通知(医政指発 0310002 号)に該当する救命士を指す。
(11) アドレナリンの投与後は、乳酸リンゲル液 20ml 程度一時全開または後押しで投与する。そ
の後、投与した肢を 10~20 秒挙上する。
(12) アドレナリン投与の際にはオンライン(指示医師との通信)を常に会話可能な状態に維持、
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特定行為プロトコール
若しくは投与のタイミングごとに指示医師との通信を確保する。また、電波の関係など何らか
の原因により指示医師との通信が確保できず、薬剤投与実施のタイミングに至った場合は、
投与は実施せず CPR を実施しつつ搬送を急ぐ。
(13) 現場にて 1 度目の薬剤投与を行った後の2度目以降の投与については、傷病者の搬出経
路が長い、あるいは狭隘など時間を要することが予測される場合、現場で2回目以降の薬剤
投与を行う許可をそのつど医師から得られればこれを実施して良いものとする。
(14) 傷病者の家族や目撃者等に状況や既往歴など、心停止となり得る背景についての情報収
集を行う。また、体表面等の迅速な全身観察を行い、原因検索に努める。
(15) 8歳前後と見られる者において年齢が確定しない場合は、現場での情報や身体所見等をも
とに報告し、医師より薬剤投与適応の有無の具体的指示を受ける。
(16) 高度の低体温が疑われる傷病者の場合の薬剤投与の判断は、現場での情報や身体所見
等を報告したうえで指示医師の判断に委ねる。
(17) 感染に対するスタンダードプレコーション及び針刺し事故対策に努める。また、穿刺に使用
した留置針等は確実に回収し、現場に残してくることのないよう注意する。
(18) 現場に家族等がいた場合、処置の説明や理解を得るよう努める。
(19) 以上のものの他、プロトコールに記載外のケースにあたった場合、医師より薬剤適応の有
無等について具体的指示を受け、それをもとに活動すること。
(20) オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
4 手順
別紙フローチャート参照
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特定行為プロトコール
薬剤投与フローチャート
薬剤投与フローチャート
リ ズ ム チ ェ ッ ク 注2
VF・pulseless VT・PEA・目撃のある心静止か?
はい
いいえ
CPR 継続
その他必要な処置
心肺機能停止対応業務フローチャートへ
・医師への指示要請
・静脈路確保プロトコール実施
CPR5 サイクル(約 2 分間)
・アドレナリン投与準備
リズムチェック 注3
・アドレナリン投与
CPR5 サイクル(約 2 分間)
注1
リズムチェック 注2
CPR5 サイクル(約 2 分間)
リズムチェック 注3
・アドレナリン投与
CPR5 サイクル(約 2 分間)
注1 約4分間隔で医師とのオンライン状態を維持の上でアドレナリン投与を繰り返す
注2 除細動実施のためのリズムチェック
注3 除細動実施・薬剤投与のためのリズムチェック
注4 除細動が必要な場合は薬剤投与より除細動実施を優先すること。
注5 リズムチェックについては別紙参照
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特定行為プロトコール
リズムチェック
CPR 中断
BLS プロトコールへ
あり
QRS 波形は?
総頸動脈拍動
あり
なし
Asystole
なし
VF
Pulseless VT
PEA
除細動 ※
CPR 再開
※ 除細動プロトコールに従い、実施のこと。
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特定行為プロトコール
心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び
心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び
低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与
1 対象傷病者
(1) 血糖の測定
ア 次の2つをともに満たす傷病者。
(ア) 意識障害(JCS10 以上)を認める。
(イ) 血糖測定を行うことによって意識障害の鑑別や搬送先選定等に利益があると判断され
る。
ただし、くも膜下出血が疑われる例などで、血糖測定のための皮膚の穿刺による痛み刺激
が傷病者にとって不適切と考えられる場合は対象から除外する。
イ 上記アによる血糖測定後に、医師により再測定を求められた傷病者
(2) 静脈路確保とブドウ糖溶液の投与
次の 2 つをともに満たす傷病者
ア 血糖値が 50mg/dl 未満である。
イ 15 歳以上である(推定も含む)。
2 手順
別紙フローチャート参照
3 留意事項
(1) 「静脈路確保とブドウ糖溶液の投与」は特定行為であり、医師による事前の具体的な指示を
必要とする。
(2) 「血糖の測定」については特定行為ではないため具体的指示は必ずしも必要ない。ただし、
血糖の測定を試みた場合は、オンライン医師、もしくは搬送先医療機関の医師等に、血糖測
定の実施とその結果等を報告する。
(3) 実施に際しては、迅速な搬送を妨げないように留意するとともに、迅速な意識障害の改善を
目的とすることから、車内収容前に行うことが望ましい。
(4) 静脈路確保にいたずらに時間を費やさないように留意し、静脈路確保が困難であると判断さ
れた場合などは、搬送を優先して良い。
(5) 血糖測定(手指等への穿刺、測定器への採血)は、ブドウ糖溶液投与に関する必要な講習
等を修了し認定を受けた救命士(平成 26 年1月 31 日厚生労働省医政局指導課長通知〈医政
指発 0131 第2号〉に該当する救命士)が実施すること。
(6) 穿刺器具や測定器具等については十分な訓練を行い、取扱いに習熟すること。
(7) 血糖測定の穿刺部位は、左右どちらかの手の示指、中指を原則とする。傷病者が不穏状態
で暴れている等の原因により手指の穿刺・測定が困難な場合は耳朶への穿刺を可能とする。
(8) 傷病者の家族が日常的に傷病者に対する血糖測定を実施している場合等、家族が血糖測
定を行える場合は、家族に血糖測定を依頼することも可能とする。
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特定行為プロトコール
また、救急隊の傷病者接触前に行われた家族による血糖測定の結果を測定器具の表示等
で確認できた場合は、その値に基づいた活動も可能とする。
(9) 静脈路確保の実施要領は静脈路確保プロトコールに準ずる。ただし、穿刺部位は上肢の屈
曲を考慮して肘正中皮静脈はできるだけ避ける。また、駆血帯の装着は穿刺直前に行うこと
も考慮する。
(10) 留置針の太さ(ゲージ)は傷病者の状態により選択する。
(11) 静脈路確保のための穿刺は2回までとする。ただし、静脈の虚脱等により静脈路を確保で
きない場合は、オンラインで医師に連絡を取りその旨を伝える。
(12) 輸液の速度は、維持輸液(1 秒 1 滴程度)を目安とする。
(13) ブドウ糖溶液の投与は 50%ブドウ糖溶液 40ml を原則とするが、投与中に傷病者の意識障
害が改善した場合は医師に連絡を取って報告し、医師の指示により投与量を減量してもよ
い。
(14) 50%ブドウ糖溶液 40ml の静脈内投与は、概ね3分以上の時間をかけて行う。なお、投与中
に傷病者が不穏状態となった場合等、投与の継続が困難なときは、投与を中止し医師に報
告・指示を求める。
(15) 救急救命士は、傷病者の状況、観察所見、実施した処置、その結果等をオンライン医師、
および搬送先医療機関の医師等に報告する。
(16) ブドウ糖溶液投与後は適宜、意識状態等の確認を行う。なお、意識状態の改善(JCS1桁ま
での改善)が見られた場合でも、再び意識レベルが低下した場合には血糖値の再測定やブド
ウ糖溶液の再投与についてオンラインで医師に確認する。
(17) 観察、処置にあたっては、本人及び家族等に説明を行い、理解を得るように努めること。
(18) オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
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特定行為プロトコール
心停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び
低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与 フローチャート
意識障害(JCS
意識障害(JCS10
JCS10 以上)
以上)
を認める
を認める
適応あり
適応なし
通常の
血糖測定
血糖測定の判断
救急活動
該当しない
・BS <50 mg/dl
・15 歳以上(推定を含む)
該当する
オンラインによる報告と指示要請
指示なし
静脈路確保実施と
ブドウ糖投与指示
指示あり
不成功
(2回の施行において)
静脈路確保実施
※1
成功
50%ブドウ糖
50%ブドウ糖 40ml 静注 ※2
オンラインによる報告・指示要請
ンラインによる報告・指示要請 ※3
・搬送開始もしくは搬送先の選定 ※4
・搬送中の場合はその他必要な処置の実施
※1
静脈路確保は静脈路確保プロトコールに準ずる
静脈路確保は静脈路確保プロトコールに準ずる。
脈路確保プロトコールに準ずる。
※2
原則として 40ml 全量を概ね3分以上かけて投与する。
投与は50
投与は50%ブドウ糖溶液 40ml を原則とするが、必要に応じて
を原則とするが、必要に応じて医師の指示の下減量する。
必要に応じて医師の指示の下減量する。
※3
意識状態について、JCS
意識状態について、JCS により慎重に評価し報告する。
ブドウ糖溶液
ブドウ糖溶液投与により意識レベル1桁までの改善が得られても、再度
溶液投与により意識レベル1桁までの改善が得られても、再度 JCS≧
JCS≧10 となった場合は
となった場合は
オンライン医師に報告し血糖値
オンライン医師に報告し血糖値の再測定やブドウ糖溶液の再投与について指示要請
の再測定やブドウ糖溶液の再投与について指示要請を行う。
やブドウ糖溶液の再投与について指示要請を行う。
※4
病院選定は、血糖値の結果や傷病者の症状等に基づき行う。
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特定行為プロトコール
心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液
1 対象傷病者
次の2つをともに満たす傷病者
(1) 増悪するショック(※1)である可能性が高い。
もしくは、長時間の挟圧(※2)によるクラッシュ症候群を疑うか、それに至る可能性が高い。
(2) 15歳以上である(推定を含む)。
ただし、心原性ショックが強く疑われる場合は処置の対象から除外する。
(※1) ショックの判断は、皮膚の蒼白、湿潤・冷汗、頻脈、微弱な脈拍等により行う。また、
ショックの増悪因子としては、出血の持続、意識障害の進行、アナフィラキシー、熱中
症などによる脱水などがあげられる。
(※2) 挟圧とは、重量物、器械、土砂等狭隘な空間に身体が挟まれ圧迫されている状況を
指す。
2 手順
別紙フローチャート参照
3 留意事項
(1) 「心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液」は特定行為であり、医師の
具体的な指示を必要とする。
(2) 救急救命士は、可能性の高いショックの病態、傷病者の観察所見、状況等を医師に報告す
る。
(3) 静脈路確保にいたずらに時間を費やさないように留意し、静脈路確保が困難であると判断さ
れた場合などは、搬送を優先して良い。
(4) 静脈路確保の実施要領は静脈路確保プロトコールに準ずる。ただし、穿刺部位は屈曲を考
慮して肘正中皮静脈はできるだけ避ける。また、駆血帯の装着は穿刺直前に行うことも考慮す
る。
(5) 急速輸液には可能な限り太い留置針が望ましいが、留置針の太さ(ゲージ)は傷病者の状態
等により選択する。
(6) 静脈路確保のための穿刺は2回までとする。ただし、静脈の虚脱等により静脈路を確保でき
ない場合は、オンラインで医師に連絡を取り、その旨を伝える。
(7) 急速輸液(救急車内の最も高い位置に輸液パックを吊るし、クレンメを全開して得られる輸
液速度)を原則とするが、医師の指示によって維持輸液(1秒1滴程度)を行う。
(8) 輸液開始後は継続して皮膚の蒼白、湿潤・冷汗、頻脈、微弱な脈拍、収縮期血圧、脈拍数等
を観察する。
(9) 救急救命士は、傷病者の状況、観察所見、実施した処置、その結果をオンライン医師、およ
び搬送先医療機関の医師等に報告する。
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特定行為プロトコール
(10) 処置にあたっては、本人及び家族等に説明を行い、理解を得るように努めること。
(11) オンラインでの具体的な指示は搬送予定先医療機関の医師もしくは、上伊那地域の2次医
療機関以上の医師から得るものとする。ただし、現場に居合わせた医師からプロトコール上の
具体的な指示を得られる場合は、現場の医師の指示による特定行為の実施を可能とする。
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特定行為プロトコール
心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液 フローチャート
・増悪するショックである可能性が高い
増悪するショックである可能性が高い ※1
もしくは、クラッシュ症候群を疑うか
クラッシュ症候群を疑うか、
もしくは、
クラッシュ症候群を疑うか
、それに至る可能性が高い
・15 歳以上である(推定を含む)
適応なし
静脈路確保の
通常の
判断 ※2
救急活動
適応あり
オンラインによる指示要請
指示なし
心停止前の静脈
路確保の指示
指示あり
不成功
(2回の施行において)
静脈路確保実施
静脈路確保実施
※3
成功
輸液の開始 ※4
オンラインによる報告
・搬送開始もしくは搬送先の選定
・搬送中の場合はその他必要な処置の実施
※1
ショックが増悪する要因とは、出血が続いている可能性がある、進行する意識障害、
ショックが増悪する要因とは、出血が続いている可能性がある、進行する意識障害、
アナフィラキシー、熱中症、高度の脱水などをいう。
※2
静脈路確保実施の判断において、心原性
静脈路確保実施の判断において、心原性ショックが強く疑われる場合は適応外とする。
心原性ショックが強く疑われる場合は適応外とする。
なお、判断に迷う場合はオンライン医師に報告し、その後の活動
なお、判断に迷う場合はオンライン医師に報告し、その後の活動について決定す
医師に報告し、その後の活動について決定すること。
について決定すること。
※3
静脈路確保は静脈路確保プロトコールに準ずる
静脈路確保は静脈路確保プロトコールに準ずる。
静脈路確保プロトコールに準ずる。
※4
急速輸液を原則とするが、医師の指示によって維持輸液を行う。
急速輸液を原則とするが、医師の指示によって維持輸液を行う。
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特定行為プロトコール
別 紙
聴診部位(5点)
上腹部
左右前胸部
左右側胸部(中腋窩線)
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