PRISMA BJB ニュースレター「プリズマ」 A Newsletter from BJB Japan von BJB FEATURE LED 業界待望の新モジュールを開発 ニ ー ズ 標準化を先取りする 開発者スピリット TRENDS 製品の企画から設計・各種検査まで 開発エンジニアが明かす品質管理のA to Z February 2009 No.7 26.665.2003.50 26.641.2004.50 地球環境に優しい蛍光灯が トータルコストを削減 オフィスや店舗、家庭などの様々な場面で使用される蛍光灯には、様々な 色、形があります。その中でも、ショーケースなどに使われる管径 15.5mm の 26.620.8935.50 T5 蛍 光 管は、一般の蛍光灯に比べて材料費が安く済む上、輸送効率も 高く、コスト削減 につながる点が魅力です。BJB は、それらすべての蛍光灯 26.620.2004.50 に 対応するソケットをラインアップ。看板や 冷 蔵ショーケースなど、防塵・ 防水が求められる用途には、防水用シリコンゴムカバーを一体化した蛍光 26.641.2101.50 26.642.9001.50 灯防水ソケットも用意しています。 ビージェービー株式会社 〒 224-0003 神奈川県横浜市都筑区中川中央 2-5-9 Tel: 045-595-1239 Fax: 045-591-1001 Email: [email protected] www.bjb.com CONTENTS 省エネをキーワードに世界へ 04 NEWS 国内/海外のニュース 06 FEATURE LED 業界待望の新モジュールを開発 ニ ー ズ 標準化を先取りする開発者スピリット 09 N ウインタースポーツのメッカに建設された 初のボブスレーコース EWSのページでもお伝えしていますように、昨年は BJBの日本法人であるビージェービー株式会社が 発足10 周年を迎えました。その間、ソケットメーカーとし 10 TRENDS 製品の企画から設計・各種検査まで て、ランプと照明器具の橋渡し役を務めてきましたが、 開発エンジニアが明かす 品質管理のA to Z 今後もその実績をさらに積み重ねていきたいと考えて おります。 しかしながら、2009 年は、近年にない厳しい年になる と思われます。照明器具業界の成長率はGDP(国内総 生産)に比例する傾向があり、日本においてはマイナス 14 INSIDE LOOK 15 HISTORY 成長が見込まれているからです。そのような状況の中で 当社は、日本のお客さまに対してどういう形で貢献でき るでしょうか。目を向けたいのは世界、そしてキーワード となるのは「省エネ」です。当社としては、エネルギー効 率の高い光 源、HID、LED に 特化した 製品の開発に 力を注いでいく方針です。 OFF TIME 日本がもたらした 品質改善への「アクション」 後進の教育に最適な 職業訓練の場を提供 小型化、省エネ化が進んでいるHIDランプは、ハロゲ ンランプよりも効率が高いため、市場では HIDランプへ の切り替えが進んでいます。現在、新光源としての HID ランプは、90パーセント以上がヨーロッパで 開発された ものですが、世界 標準となるHIDランプ製品を日本の マーケットから生み出し、市場を拡大していくことが 将 来の目標のひとつと言えます。 一方 LED の分野では、新規参入企業が様々なアイデ 表紙の写真: アを生かした新製 品を次々と発 表しています。しかし、 ライトアップされた BJBの本社社屋。 それも近い将来は 淘汰が 進み、業界の “標準” となる アルンスベルク中心部への入 口に 位置するこの建物は、20 世紀初頭 製品が 絞られてくるはずです。日本の LED 技術はヨー に建てられた 歴史ある建造物です。 ロッパよりも進んでおり、 世界中から注目されています。 2008 年秋には研究開発部のフロア 日本市場で 標準となることは、そのまま世界標準にな が増設され、 モダンなオフィスが加わ ることを意味します。日本のメーカー様が、世界市場での りました。 地位を確保するお手伝いができればと考えております。 当社が、協業という形で HID、LED の新製品開発に 貢献できれば幸いです。 PRISMA: PRISMA はドイツ語で PRISM(プリズム)を意味し、ギリシャ語に 由来します。BJB が携わる「光」の世界をイメージする言葉であると 同時に、お客さまの声を反映(反射)できる存在でありたいとの 願い から、このニュースレターを「PRISMA von BJB」 (BJB がお届けする ビージェービー株式会社 代表取締役会長 フィリップ・ヘンリッチ プリズマ)と名付けました。 3 NEWS 国内/海外のニュース ビージェービー株式会社 創立10 年 日本 市 場での販 売 拡 大を目的に、BJB 多くのお客さまに BJB 製品を知っていただ の日本法人が設立されたのは 1998 年 6 月 くために、隔年で行われる「ライティング・ 19 日のこと。それまで、BJB 製品は三菱電 フェア」にも出展しています。2007 年 1 月 機オスラム等の 代 理 店を通して国内で販 には倉庫と事務所を兼ねた 660m 2 の自社 売されていましたが、日本法人の設 立にと 社屋にて営業を開始しました。 もなって日本のお客さまに直接販売できる BJB本社の140年という歴史に比べれば ようになりました。また同時期より、さらに 日本法人の歴史は浅いですが、今後もランプ と照明器具の架け橋として新光源のシステム 開発に参加し、実績を積み上げていきます。 スターボード LED の対応表 スターボード OSRAM OSTAR OSRAM Dragon-X120° 47.313.1000.80 47.313.1101.80 Seoul Semiconductors Z-Power P4 47.313.5001.80 Edison EdiPower 47.313.1000.80 Philips Lumileds LUXEON® I Philips Lumileds LUXEON® III Philips Lumileds LUXEON® V Philips Lumileds LUXEON® K2 Philips Lumileds LUXEON® Rebel 4 コネクタ 47.313.2101.80 47.313.2201.80 47.313.2201.80 47.313.2301.80 47.313.2401.80 レンズホルダ 20mm のレンズは 対応不可 カルクロ社製レンズ - 47.313.-320 No. 10193(直径 20mm、5.4°) No. 10194(直径 20mm、10°) No. 10195(直径 20mm、19°) No. 10196(直径 20mm、32°) No. 10197(直径 20mm、39x7.8°) 47.313.-320 No. 10003(直径 20mm、10.5°) No. 10138(直径 20mm、15.4°) No. 10139(直径 20mm、23.8°) No. 10140(直径 20mm、42.7°) No. 10003/L25(直径 20mm、44x15°) 20mm のレンズは 対応不可 - 47.313.-320 No. 10003(直径 20mm、8°) No. 10138(直径 20mm、12°) No. 10139(直径 20mm、22°) No. 10140(直径 20mm、35°) No. 10003/L25(直径 20mm、40x11°) 47.313.-320 No. 10003(直径 20mm、6.9°) No. 10138(直径 20mm、14°) No. 10139(直径 20mm、20°) No. 10140(直径 20mm、35°) No. 10003/L25(直径 20mm、40x11°) 47.313.-320 No. 10003(直径 20mm、17°) No. 10138(直径 20mm、19°) No. 10139(直径 20mm、25°) No. 10140(直径 20mm、42°) No. 10003/L25(直径 20mm、39x19°) 47.313.-320 No. 10003(直径 20mm、7.9°) No. 10138(直径 20mm、15°) No. 10139(直径 20mm、20°) No. 10140(直径 20mm、43°) No. 10003/L25(直径 20mm、39x10°) 47.313.-320 No. 10193(直径 20mm、8.7°) No. 10194(直径 20mm、12°) No. 10195(直径 20mm、19°) No. 10196(直径 20mm、35°) No. 10197/L25(直径 20mm、40x9.5°) 国内/海外のニュース 革新と歴史が融合した アルンスベルク新オフィス 革新力は、BJBの世界市場におけるトップ 市中心部への入口に の座を支える柱のひとつです。社長のディー 位置しており、市 街 ター・ヘンリッチも、 「 新開 発において常 に 地全 体の景 観の一 トップでありたい」というモットーを掲げてい 部となっています。そ ます。BJBではその実現に向けて積極的に のため、BJBの 経 営 投資しています。近年、研究開発 部ほど大 陣にとって、増 築 部 きな成長を遂げた部署はありません。その 分の設計をどうする 功績に報いるべく、アルンスベルクの本社社 かは 重 要な 課 題で 屋が 1フロア増築されました。 した。そこで、BJBではコンペを開催。全国 20 世紀初頭に建 設されたこの社 屋は、 16 の設 計事務所から応 募があり、市の代 表 者で 構成された審 査 委 員会は、この歴史的建物の 増築部分に、スチールとガ ラススチールを水平に重ね ることで浮遊しているよう に見える 斬 新 なフロアを 選 択しました。 1 年 半 の 工 期 を 経 て、 2008 年 秋 には 新しい オ フィススペースが 誕 生しま した。 プラスチック製造部向けに射出成形機を購入 BJB 本社は、 プラスチック製造部向けに、 新しい射出成形機を 2 台購入しました。こ れは 油圧式から電子式へ移行するという BJB の方針の一環です。 プラスチック製造部マネージャーのインゴ・ ロードは 語っています。 また、新しい射出成形機の電力消費は、 15 ~ 20 パーセントほど削減されています。 「この装 置は、誤 差 0.01パーセントの精 現在のように地球温暖化が問題になり、エ 度で作業できるほど正確です。これにより、 ネルギー価格が 高騰したときに、これは重 第一級品質のものを作ることができます」 と 要なポイントとなるでしょう。 新製品のご紹介(仕様等詳細はお問い合わせください) 口金規格 適合ランプ 品番 備考 G8.5 オスラム社 HCI-TC フィリップス社 CDM-TC GE 社 CMH/TC/G8.5 25.722.1000.00 速結端子ソケット、電線長違いの 在庫量を圧縮可能 G5 FHF24/54 TL5 26.642.9001.50 シリコンゴム仕様、防塵 ・ 防水用途 5 FEATURE LED業界待望の新モジュールを開発 ニ ー ズ 標準化を先取りする開発者スピリット LED 市場に重点を置いた事業を展開している BJB では、 ネジ止めだけで LED の交換が可能なコネクタと、このコネクタで固定するレンズホルダを開発しました。 照明メーカーの注目を集めたこれらの製品は、当社の研究開発部員たちの主導で開発されたものです。 LED イノベーションとも言える LED 用コネクタおよびレンズホルダの開発チームに、 製品の企画から完成に至るまでの経緯を聞きました。 数 事業戦略を展開しています。昨年 3 月の 示画面 、自動車のダッシュボード、 「国際照明・建築技術専門見本市( Light 昨今の市 場で 販 売されている高 性 能 電話機のディスプレイなどでしか使われて & Building Trade Fair) 」においては、LED LEDのほとんどは、 「スターボード」と呼ば いませんでした。しかし、近年は新技術が 向けのコネクタ+レンズホルダを発表しま れるパーツに搭載されています。しかし実 次々と発 表され、LEDは急速に普及して した。この新しい製品は、研究開発部の 際のところ、それらは規格と呼べるような います。2007年、 ドイツでは、 「照明用ク ダニエル・タウバーのアイデアに基づいて ものではありません。 「なぜなら、数多くの リスタルダイオードの光が生活を席巻する」 おり、その開発には同じく研究開発部の メーカーが 様々な LEDを発売しており、そ というテーマに取り組んでいる研究チーム フレディ・プリクン、プロダクトマネージャー れらはタイプの異なるスターボードを使っ が「ドイツ未来賞」を受賞しました。 のマティアス・ゲールケ、セールス担当のマ ているからです。このため、照明メーカー イケル・ショルツがかかわりました。 や 家電メーカーにとって、世界の市場は 現在、BJBも、LED 市場に重点を置いた 6 規格乱立の LED 市場に好機 年前まで LED は、電化 製 品の表 LED チーム:セールス担当マイケル・ショルツ(左)と プロダクトマネージャー、マティアス・ゲールケ 「再び BJB が“光の架け橋 ”となりました」と 開発者のフレディ・プリクン 非常にわかりにくいものでした」とゲール の開発だけでは満足しませんでした。 「こ ケは 研究の概要を述べました 。彼の同僚 のテーマを掘り下げれば 掘り下げるほど、 であるタウバーも「BJB だけでなく、照明 たくさんのアイデアがわいてきました」と ダニエル・タウバーのアイデアが 業 界にとっても、標 準のスターボードを ゲールケは語っています。彼は、BJB によ LED イノベーションの第一歩となりました 持つのは非常に有益なこと」と言います。 るイノベーションの第 2 のエレメントにつ 従来、LEDの回路ははんだ 付けされて いて、次のように説明しました。そのエレ なく、研究開発部がイニシアチブを取って いました。そのため LEDの交換が必要に メントとは、BJB コネクタで固定するレン 進めました。注文はなかったものの、私た なったとき、専門家にしか作業ができず、 ズホルダです。通常、レンズホルダを LED ちは開発中に照明メーカーと連絡を取り 顧客にとってはたいへん不 便でした。 「多 上に置くと、照射角が 120 度以下に狭ま 合っていたので、仕上がった製品をほかの くの 照明メーカーがコネクタを切望してい ります。しかし、BJB は「国際照明・建築 照明メーカーに見せた時の反応は上々で ました」と、BJBが 開発に着手したきっか 技術専門見本市」で、全く新しいシステム したね」 。開発者のプリクンはさらに「この けについてタウバーは 語ります。 「現在で を発 表することができました。現在 BJB イノベーションにより、BJBは再び真の意 ははんだ 付けは過去のものとなり、LED は、様々なスターボード向けのコネクタお 味での“光の架け橋” となったことがはっ の交換は通常の電球の交換と同じくらい よびカルクロ・テクニカル・プラスチックス きりしました」と付け加えました。 簡単になっています」 社(Carclo Technical Plastic Ltd.)製品 プリクンを中心とする開発チームが考 に向けたレンズホルダを提供しています。 チームワークの成果 え出したのが、ネジ止めだけで取り付けら ゲールケは「 私たちが提供するシステムは BJB の 4人のスタッフは、チーム内の協 れる LED 用のコネクタです。以前は、はん 完璧です。お客さまは BJB のカタログを見 力・連 携がうまくいったことにも満 足し だ 付けとネジ止めが必 要でしたが、プラ ればすべてのソリューションを見つけること ているようです。 「私たちは一致団結して グ接続にすることではんだ付けが不要に ができるのですから、製品ごとのコンポー 作業を進めました」とタウバーは 語りま なったのです。 ネントを探す必要はありません」と語りま す。 「 開 発 中にチームがよくまとまってい した。 たのが良かった」と付け 加えたのはプロ LEDを簡単に交換できるようになった ことは、照明メーカーに様々なメリットを もたらしました。はんだ付けされていない 研究開発部から生まれたアイデア ダクトマネージャーのゲールケ。開発者の プリクンもまた、 「サンプルの作成であろう ために、照明ダイオードに余計な熱負荷を プロダクトマネージャーのゲールケは、こ と、お客さまとの連絡であろうと、開発の かけることがなくなり、従来よりも長寿命 の BJBイノベーションが大成功するだろう どの段階でも、合意したことは常に守ら 化を実現しています。 と予想しています。 「今回の開発は、お客 れました」と、チームワークの良さを 強調 さまから具体 的な注文があったわけでは しました。 しかし、BJBの開発者たちは、コネクタ 7 FEATURE LED 照明を実用化するパートナーシップ BJB と共同でスターボード LED コネクタを開発したカルクロ・テクニカル・プラスチックス社(イギリス)の 設計開発部長であるアンドルー・デニントン氏に、開発のポイントと BJB とのパートナーシップについて伺いました。 「BJB は、既製品を提供するサプライヤーではなく、一緒 「もうひとつ、他社が耐熱温度 90℃のアクリルを使って に製品を開発できる企業を探していました。BJB の製品を いる部分に、当社は耐熱温度が 120〜 125℃のポリカー 理解し、BJB の要求に 対応できるパートナーを求めていた ボネートを使いました」とデニントン氏。LED は大幅な省 のです」とアンドルー・デニントン氏は言います。 エネが可能になる反 面、熱管理が非常にシビアなのです。 「スターボード LED コネクタを開発した BJB が、 そのコネ カルクロ社は LED 関連製品用のレンズを BJBに提供す クタに取り付けるレンズを作るメーカーを探していると聞い るパートナーとして適任と言えるでしょう。カルクロ社の系 て、それなら当社が適任だと思いました」とデニントン氏は 列会社のひとつに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、す 続けます。 なわちアクリルのパイオニアであるアーサー・ 「当社は高級レンズを専門にしており、品質の キングストンによって 1936 年に設立されたコ 高さで 知られる企業です。BJB も、製品クオリ ンバインド・オプティカル・インダストリーズ 社 ティーの高さを自負しているメーカーですから、 (COIL)があります。世界で 最も歴 史のある 最 適なパートナーだったのです。また当社は、 クリアプラスチックのメーカーであるCOILは、 取引先への 技 術 供 与に自信を 持っています。 いち早く拡大レンズの大量生産に着手し、そ 今回もレンズ の 取り付け方法について、当社 の 後は、クリアプラスチックを使った 特殊製 独自の設計を BJB に提示しました」 品を生産しています。 この共同開発により、はんだ付けをせず、ネジ 止めだけでスターボードが使えるようになりまし アンドルー・デニントン氏 た。BJB の開発したコネクタとレンズホルダをスターボード トのバイザーはカルクロ社がデザインしたものです。 『ユー に接続し、そこにカルクロ社のレンズをはめ込むだけでい ロファイター』という戦 闘機 のパイロット用のバイザーも いのです。レンズは用途に合わせて様々なものが選べます。 そうです。COILは 高精度のクリアプラスチック製品で、今 はんだ付けをしないので、熱の影響で LED の寿命が短く 後も様々な新分野に進出していきます」 なることもありません。またレンズの 装着は、接着せずに スターボード LED のコネクタユニットから始まった BJB はめ込むだけのクリップ方式ですから、組立が簡単でコスト とのパートナーシップは、今後さらに発展するだろうとデニ がかかりません。このユニットはスターボードに搭載できる ントン氏は言います。 LED ならどのメーカーのものにも対応しており、LEDランプ がこれまでよりずっと手軽に利用できるようになりました。 8 デニントン氏は、新分野への進出にも意欲的 です。 「例えば、BMW のオートバイ用ヘルメッ 「様々な LED の利用を可能にする 製品をこれからどん どん共同開発していきます。今回はその第一歩です」 OFF TIME 20 世紀初頭のボブスレー。当時のそりは木製だった ウインタースポーツのメッカに建設された初のボブスレーコース BJB 本社のあるドイツは、ボブスレーの強豪国として知られています。 ボブスレーの歴史は 20世紀初頭にまでさかのぼります。 初めて建設されたコースは、全長 2 キロがすべて天然の氷でした。 冬の到来とともに、世界中のウインタースポーツファンの注目が 1910 年秋にコースの建設作業が始まりました。まずは全長 2キ BJB の地元近くのウインターベルグに集まりました。2008 年の ロの道に 5ヵ所のカーブが作られ、それはまるでハイキングコース 11月にはボブスレーとスケルトン、12 月にはリュージュのワールド のようでした。寒くなるとそれを雪で 覆い、水を満載した 馬ぞりで カップが開催されたのです。 ボブスレーの歴史は 20 世紀初頭にまでさか コース上に水をまいて凍らせました。こうして 1911年1月8日に天然のコースが完成したのです。 のぼります。1910年に初めてこの地に建設され 1年後の 2 月 4 日には、このコースを利用して たボブスレーコースは、天然の氷で作られたもの 初の国際ボブスレー・リュージュ競技大会が開催 でした。 され、時速 60 キロでボブスレーがコースを滑走 1906年に鉄道が開通すると、都市部からこの しました。 ウインタースポーツのメッカへのアクセスが快適 競 技会の 観 客 数は回を重ねるごとに増え、 になりました。 「都会の喧騒を逃れ、 銀世界の森、 それまで 貧しい農村だったウインターベルグは 丘陵で日曜日を過ごす人の数は今や数百人に上 新しい時代を迎えました。 る」と当時の新聞が報じています。 ゲレンデはみるみるうちにスキーヤーで埋まり ました。当時の服装は、男性は細身で黒っぽい ズボンと手編みのセーター、女性はくるぶしまで 隠れるロングス カートとカーディガンというものでした。 スキー講習が開かれるようになると間もなく、第 1 回のウイン 「ウインタースポーツは、この地方を眠りから 目覚めさせ、輝く光の中に導いた王子様のキス のようなもの」と村人は語ります。 しかし、ほどなく天然コースでの競技が困難になります。カーブ が狭すぎて事故が多発したのです。ボブスレーが森に飛び込み、 競技者が重症を負うという事故も起こりました。また、1950 年代 ターフェスティバルが 開催され、当初スイスのサンモリッツでウイ になると暖冬のためにコースの 氷が溶け出すというトラブルも。 ンタースポーツ愛好者を熱狂させたボブスレーという比較的新し そのため、1976 年には1601メートルの人工氷のコースが建設さ い競技が、スキー客を魅了しました。やがて、ボブスレークラブが れ、国際 的なウインタースポーツのメッカとしての地位が 確 立 創設され、コースの建設が計画されます。 されていきました。 9 TRENDS 製品の企画から設計・各種検査まで 開発エンジニアが明かす品質管理の A to Z BJB 製品の高い品質は、どのようにして維持されているのでしょうか。 研究・開発部門のエンジニアであるトーマス・ヘルプストに、 製品の企画、開発から量産に至るまでの工程を解説してもらいました。 研 究・開 発 部 門のエンジニアである いるのかを詳細に観察し、ニーズに合わせ トーマス・ヘルプストは、照明器具 ヘルプストが働いている研究・開発部門 を製 造する米国大企業のプロジェクトを では 40人のプロフェッショナルが明日の世 担当し、開発を終えたばかり。 「今回はお 界のために照明器具メーカーと密接に協 客さまのアイデアに沿った 製品を共同で 力して光のアイデアに取り組んでいます。 次にそのスケッチから最初の設計図を描 開発しました」とヘルプストは 話します。 多くの場合、新製品の開発につながる き起こします。さらにその設計図を基に、 た新製品の開発を行っています」とヘル プストは言います。 アイデアが浮かぶとまずスケッチを描き、 BJB がパートナーに選ばれた理 由は 何 アイデアは、世界中の照明器具メーカー CAD(コンピューター支援設計) で 開発を だったのでしょうか? この 質問に対し、 から提 供されます。また、オスラムやフィ 行うのです。 ヘルプストは少し驚いた 様子で 次のよう リップス、GEなどの大企業のランプメー 「CADは開発プロセスにおける主要な に 語りました。 カーから提供されることもあります。これ ツールですが、最初の設計図から最終的に 「BJBはソケットと端子の分野で多くの らのメーカーは、新製品のランプとともに、 量産が可能な構造に至るまでには、ほかに ノウハウを持っていますし、BJBでは最先 それに合わせたソケットも開発、提供した も段階ごとにいろいろなソフトを使用しま 端の開発ツールがスタンダードで導入され いと考えているからです。 す。組み付けの精度もコンピューターでシ ていますから。距離的に遠いという点も 10 障害になりませんでしたね」 「もちろん BJBも、市場が何を求めて ミュレーションするんですよ」とヘルプスト。 顧客との緊密な協力の下で、 プロジェクトと課題に関する 討論が行われます。BJB は、 新型ソケットの開発における 頼れるパートナーなのです。 研究開発部門での 製品開発の流れ クリップ式の 接続部 色つきの アダプタをはめ込む 照明器具の内部は、様々な機能を持った、数多くの部 品で構成されています。BJB の研究開発部員が、これ 初めにアイデアが出され、それが らの部品を考案、設計、プランニング、構成しています。 スケッチに書き留められます。 2500 種 類 の 製 品すべてについて、16 人の工学 士、 きっかけとなるのは、顧客からの 11人の技術者、研究開発部の総勢 41人の部員が常 要 望あ るいは 新 テクノロジー の 時、開発、改善に携わり、また、新しいトレンドやテク 研究です。 ノロジーについて研究しています。 上の図 中 の 例 は、照 明 器 具 の 設 現在、BJB の 50 の製 品について商標 権を申請して 置を簡 便 化 する回 転 ラッチロー います。 ターの構想です。 Research and Development 開発者は、CADで 作成したモデルが出 射出成形と樹脂流動の挙動を、モールド グ)の光造形法やレーザー焼結法を用い 来上がると、一連の解析とテストを行い フローの流動樹脂解析ソフトを使ってシ て作成します。ものによっては機能サンプ ます。その1つが、FEM(有限要素法) を ミュレートします。開発の工程では CAD ルを作成するために、補助的にCADを使 使った強 度と歪みに関する解 析です。有 による製品設計と並行して行われる作業 用することもあります」 と補足しました。 限要素法による解析は、自動車業界を中 です。 設計が終了すると、製品のデータは工具 心に導入されていることでよく知られてい 「このシミュレーションでは、金型にかか 製作部と金型製作部へと送られます。ここ ます。例えば、衝突時に車体にかかる負荷 る圧力と温度の状態や、結合部 および流 で 必要な金型を設計、製作するのです。ど を求める場合に使われ、その際には、対象 動部の継ぎ目、あるいは条痕が金型のど ちらの部署も、BJB 社内のものです。すべ 物を多角形の要素に分解できるレーダー こに発生する可能性があるかなどがコン ての 開発工程を効率良く行えるため、BJB チャートで 表現します。BJBの開発者も、 ピューター上で 描かれます。また、この作 では開発期間が 極 めて 短くて済みます。 自動車業界と同様、構造の実用性を評価 業を通じて未来の BJB 製品の品質に関 「設計が終了しても解析の作業が終了 するために設 計の段階で 有限要素法を する重要な情報を得ることができます」と するわけではありません」とヘルプストは 使い、必要に応じて 調整しています。 ヘルプストは言います。さらに、 「最初の外 強調しました。最初の量産品サンプルから 観サンプルは、RP(ラピッドプロトタイピン CT( X 線コンピュータートモグラフィー) で 次に、金型を製作する際の溶融樹脂の 11 TRENDS 照明ソケットには、多くの要求 事 項 が あります。例 えば、変 形や振 動に強く、熱や劣化に も耐えなければなりません。す べての要求 事 項が 審 査・クリ アされて初めて、安 全 証明 書 第一案が完成すると、CAD の申請が可能になるのです。 (コンピューター支援設計) を用いてソリューションが CAD モデルを基に、FEM(有 開発されます。 限 要 素 法 )により強 度・歪 み の解析が行われます。 ハウジング ローター い わゆる 型 流 れ 法 により、 コンタクト CAD は、その後の構想案 CAD モデルを基に、射出成 充填ピース 形 に お ける 原 料 分 布 が シ の作成から仕上げ段階に ミュレーションされます。 到るまでの 作 業に使 用さ れます。組 立 時 の 各 部 品 の 嵌 合 性 も CAD の 仮 想 画面でチェックできます。 撮影し、その結果を CADで得られた理論 全証明書の取得は形式的な行為にすぎま ビデオ会議や電話会議で開発状況につい 上の状態と比較するのだそうです。 せん。なぜなら、BJB製品が要求された条 てお客さまとの間でミーティングを重ね、 件をすべて 満たしていることは、すでにわ 8 週間に1度の割合で 実際に会って 話を かっていることですから」 しました。電子メールや 電話でやり取り 量産品と同じ素材で製作され、 すべての 機能を備えたプロトタイプ(試作品)は、熱 が集中する部分や、導線差込み力、導線 特にヘルプストをはじめとする 開発者 はほぼ毎日でしたね。ですから、100 パー 引抜き力、ハンマーによる衝撃テスト、電 たちが、開発のあらゆる段階で品質管理 セントお客さまの要求する製品を開発で 気試験などを BJB の品質ラボでチェック 部門と密接に協力して作業していること きたと確信しています。それこそが私たち されます。開発担当者は、ラボで 得られた も、品質の維持に大きく寄与しています。 の目標なのです」 結果を基に製品の最適化を行うわけです。 「品質管理担当者が最初からプロジェ 顧客との地理的な距離はどの程度関係 「このようにして、BJBではすべての要 クトに 加わり、必要に応じて開発担当者 してくるのかとの質問に対しては、 「BJB 求を満たした製品のみが量 産に至る体 にスペックや 規格、および 試験で判明し は五大陸すべてのお客さまを相手に開発 制を築 いています」とヘルプストは 語り た 問 題 点などを指 摘してくれるのです」 を行っています。つまり、私たちにとって、 ます。 「数 多くの試 験を行っているので、 とヘルプストは 話します。 もはや“外国”は存在しないのです」との 世界中の様々な国の検 査機関による 安 12 「今回のプロジェクトでは、毎 週 1 回、 答えが返ってきました。 構想 段階が終了し、構造が決 定されると、データが 工 具 製 作部に送られます。ここでは、 研究開発部と綿密に調整しな がら、 射出成形金型、 金属工具、 切断・曲げ 工 具、組 立 工 具 が BJB はこの G5 ソケット 製作されます。 だけでも1年間に 8000 万個を生産しています。 BJB のソケットは、ブダ ➌ X 線撮影により、 完成したソ ペストのセーチェニ鎖橋 や ベ ルリンのブ ランデ ケットの内部が 確 認されま ンブルク門などでも使 す。これは、VDE 認証の取得 用されています。 までに実施される、数多くの 検査のほんの一例です。 Research and Development 13 INSIDE LOOK 日本がもたらした 品質改善への「アクション」 BJB の営業グループを統括する ヴォルフガング・テッツラフ。 世界中の国々と市場を渡り歩いてきた、 国際経験豊かなマネージャーである彼は、 日本における品質への高い要求がドイツ人の考え方を 変えるきっかけとなったと言います。 営業グループを統括するヴォルフガング・テッツラフ。 2008 年 7 月から日本も担当 ヴォルフガング・テッツラフは、まだ幼い 中はトラックの運転手をしていました。大 ヨーロッパ、ロシア、中国、香港、台湾、韓 うちから困難を克服する術を学んできま 学の授業があるときは、かつて職業訓練 国、タイ、インド、オーストラリアの顧客を した。父が亡くなった時、彼はわずか3 歳。 を受けたクレックナー社で 1日に 4 時間働 担当。世界的に活躍する多くの大企業の 母は、戦後間もないドイツで 家計を支え きました。 「夜間や授業のないときには、 担当窓口として、グローバル企業がサプ るために週 6 日も働かなくてはならず、そ 会社に出入りすることができたのです」と ライヤーに求める高い要求を熟知してい の 間、テッツラフと妹は祖父母に預けら 語るテッツラフ。大学卒業後、彼は三菱の ます。 「BJB のようなファミリー企業で長 れました。テッツラフの人格が形成された 金属輸入部門で 働きました。 「そこで 初 年にわたって良好な関係を結んできたの のはその頃です。それから 50 年以上 経っ めて日本の企業文化に触れました。駆け で、様々な分野のお客さまの要望を担当 た今日、彼は BJBで 営業グループを統括 出しで、国際経験のない私には想像もで 部署に伝えることができ、ともにソリュー しています。国際経験豊かなマネージャー きない世界でしたね」とテッツラフは言い ションを模 索することができました」と として、テッツラフは2008年夏から、日本 ます。 テッツラフ。 のお客さまも担当しています。 2008 年の7月から、テッツラフは日本 テッツラフはギムナジウム(日本の 高 を積んでいきます。手始めは 梱包会社で も担当するようになりました。 「日本で特 校にあたる)で 学んだ後、クレックナー社 した。特 筆されるのは、1年間、イギリス に素晴らしいと思うのは、品質に対する (Klöckner) で 卸売りおよび貿易に 関す のケンブリッジで働き、同地でコーディン 高い要求です。BJB 製品は、そのずば抜 る職業訓練を受けました。 「そこで 初め グシステムを開発する会社の販売組織を けた品質の高さにより世界的に知られて て『輸出』というテーマと向き合い、異な 率いたことです。 「ケンブリッジでは有意 います。しかし、日本でのビジネスを通じ、 る考え方や文化を学ぶ 機 会を得ました 義な時間を過ごしましたが、お客さまとの 私たちは 継続的な改善プロセスをさらに が、最初の瞬間から大変興味を持ちまし 接点がないのが不満でした」とテッツラフ 強化しました。日本における品質への 高 た」と 現在 61 歳のテッツラフは 回想し は 語ります。そこで、彼は BJBに応募し、 い要求が全社にフィードバックされ、 ドイツ ます。 直接顧客と接する機会を得ました。以来、 人の考え方を変えるきっかけとなったので 20 年が経ちました。 す。つまり、日本が『アクション』を引き出 兵役を終えた後、テッツラフは大学で 14 経済学士号を取得した後は、国際経験 経済学を学びました。また、若き日のテッ テッツラフは BJBで過ごしたこの期間、 ツラフは、学費を稼ぐため、大学の休暇 世界中の国々と市場を渡り歩きました。 してくれたわけです」とテッツラフは分析 しています。 HISTORY 20 世紀半ば、職業訓練を受ける少年たち 後進の教育に最適な職業訓練の場を提供 BJB が初めて自社の訓練施設を設立したのは 1936 年。 1940 年代のドイツでは、十代前半の少年たちが職業訓練所に入るのは珍しいことではありませんでした。 BJB の訓練所は当時としては画期的なもので、数多くの優れた職人を生み出しました。 が常にあるわけでもなく、また彼らが教育 簡単な切断工具や曲げ工具の製作とい 始めた時、ハインツ・ディッセルホフは 13 者としてふさわしい人ばかりというわけで う課題が与えられました。3 年目には最 歳でした。彼はまだ小さく、踏み台がなけ もありません。見習いは、訓練生というよ 終段階として工場内の機 械について学 れば万力台(バイス)での作業ができな りは作 業 助手と見なされ、教えてもらえ び、フライス、旋 盤、ボール盤の技 術を かったほどです。しかし、それも1940年代 るのはその時点で必要な技能だけ。仕事 習得します。 のドイツでは珍しいことではありませんで に直接関係のない分野の教育はなおざり した。親たちは、子供がまだ幼い頃から、 にされていました。 1943 年 4 月 1 日に BJB で職業訓練を BJB の訓練所の評判は、あっという間 に周辺住民に広がり、羨望の的となりま す。訓練所で使用される工具と機 械は、 どうやって手に職をつけさせるか考えまし これに対し、すでに高い品質を誇ってい た。人気があったのは地元で 働くことが た BJB では、前述のような片手間の教育 当時の市場に出回るものとしては最新式 できるパン職人、製粉職人、理髪師など。 では満足のいく訓練ができませんでした。 のもの。 「訓練生は実際に工場でも使用 しかし、ディッセルホフの両親は、息子を そこで、訓練 所の設 立に踏み切ったので される道具で作業する」が、BJB のモッ BJB の機 械工にしたいと考えました。そ す。訓練所では、親方は若い訓練生の教 トーでした。 れは、BJB が当時ではまだ珍しかった自 育に専念しました。初年度、訓練生はヤス 社の訓練施設を1936年にすでに設立し リやノミを正確に操るといった基 本技能 残りました。ディッセルホフが BJB に勤 ていたからです。 を習得します。しかし、休憩時間になると 務したのは47年間。同じく訓練生であっ この時代、ほとんどすべての産業分野 訓練生は子供に戻り、夏には訓練所近く たカール - ヴィルヘルム・フォークトは 訓 で 職業訓練が行われていました。そのや の堀で泳いだり、中庭でサッカーをしたり 練終了後も輝かしいキャリアを積み、つ り方はたいていの場合、ベテランの職人 して過ごしました。ディッセルホフは、 「その いには BJB の研究開発担当役員に就任 や親方の技を盗む、あるいは実践を通じ 頃は作業台に戻るのが辛かった」と当時 しました。BJB の訓練所は、産業界およ て 技 術を身に付けるというものでした。 を振り返ります。 び 政界から模範的教育施設として 何度 しかも、職人に見習いの面倒をみる機会 2年目になると工場での作業が加わり、 訓練終了後も訓練生の多くが工場に も表彰されています。 15 ベースライトに、スポットに HIDランプが店舗をライトアップ フィリップス社製 HIDランプ CDM R-mini GE 社製 HIDランプ CMH MR16 GX10 定格:2A 250V 材質:セラミック/ PPS 許容温度:T250 適合電線:より線(フェルール φ1.8mm 以下) 演色性に 優れた HID ランプが 店舗用照明器具の主流になりつつある 中、GE 社は、従来の 20 W 型に加えて 35 W 型を発売。ベースライトとして 使用できる 35 W 型の登場は、さらに多彩なライティングを可能にしまし 、 た。BJB の GX10 は、リフレクター付き HID ランプであるCMH MR16(GE 社) CDM R-mini(フィリップス社)に対応。ツイスト&ロック方式で 光 軸をしっ かりと固定する上、着 脱も簡単です。 ビージェービー株式会社 〒 224-0003 神奈川県横浜市都筑区中川中央 2-5-9 Tel: 045-595-1239 Fax: 045-591-1001 Email: [email protected] www.bjb.com
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