738KB - アサヒグループ芸術文化財団・アサヒグループ学術振興財団

モリ
ヒロミ
森 博美
略 歴
1970年 キヤノン入社
1978年 キヤノンヨーロッパ出向
2002年 キヤノン環境企画部長
共同研究者
2006年 国際グリーン購入ネットワーク事務局長
片岡顕
(国際グリーン購入ネットワーク次長)
「アジアグリーンビジネスプラットフォーム調査」
The Green business platform
In order to stop climate change caused by global warming, the major reduction of greenhouse
effect gas is a global mission that must be achieved. It is particularly important to formulate
green markets in Asia, which mainly deals with environmentally friendly products, considering
the increasing environmental burden that comes with economic development in that region.
The objective of this research is to formulate and expand green business markets in Asia by
studying the current scale of green markets in each Asian country, prospective market sectors
and their scale, possible policies and organizations using Malaysia as a research market, and
by investigating the actual role and state of creating a platform that spreads information and
mediates businesses in Asia.
For this research, the components of green business platforms set up in Asian countries were
researched. The components that were researched are the following: legislative preparation
such as Green Purchasing Law for formulating green markets; Eco-Products database; EcoProducts directory; policies for raising public awareness through Eco-Products exhibitions and
such; environmental labels that define environmentally friendly products; and green public
procurement.
Accomplishments:
1. The context of constructing green business platforms in China, Korea, Taiwan, Malaysia and
other Asian countries was investigated with the following as components of the platforms:
green development strategy; legislative preparation such as the Green Purchasing Law for
formulating green markets; Eco-Products database; Eco-Products directory; policies for
raising public awareness through Eco-Products exhibitions and such; environmental labels
that define environmentally friendly products; and green public procurement.
2. Through our visits to Korea, Malaysia, Taiwan, Thailand, the Philippines, China, and India,
state efforts in promoting Eco-Products exhibitions and international conferences as green
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business platforms were observed.
3. Together with the organizations contacted through this research, IGPN managed to organize
information concerning the components listed above, add details of successful cases, build
foundations for constructing common platforms to share information with other countries,
and promote green business markets together with other international organizations such as
APO/UNEP.
【調査の目的】
地球温暖化が引き起こしている気候変化を食い止めるためには、温室効果ガスの大幅削減は絶対に
実現しなければならない世界的な課題である。特に経済成長とともに環境負荷が増大しているアジア地域
においては、環境配慮された商品を中心とするグリーン市場を形成する必要がある。本研究はアジアグリー
ンビジネス市場を形成し拡大するために、アジア各国における現在のグリーン市場規模、将来的に期待で
きる市場セクターとその規模、とりうる政策、組織等を、マレーシアを調査市場として研究するとともに広くア
ジアにおける同様の調査により、情報を流通させ、ビジネスを拡大させるプラットフォームの具体的な役割や
各国での構築状況を調査することを目的とした。
【調査の方法】
(1)2010 年 10月 マレーシアエコプロダクツ展での環境産業調査
(2)2010 年 11月 日中韓環境産業円卓会議に参加し中国・韓国の状況調査
(3)2010 年 12月 マレーシアグリーン公共調達セミナーに参加し調査研究
(4)2011 年 2月 APO 主催エコプロダクツ国際展(ニューデリー)での環境産業調査
(5)2011 年 6 月 「1 MALAYSIA PROGRESS」プロジェクト設立総会に参加し調査
(6)2011 年 8 月 フィリピンGP3コンファレンスに参加し調査
(7)2011 年 9 月 マレーシアエコプロダクツ展での環境産業調査
(8)2011 年10月 東京ビックサイトで開催された台湾環境産業展での調査
(9)2011 年11月 日中韓環境産業円卓会議に参加し中国・韓国の状況調査
【調査結果】
(1)アジア各国のグリーン政策
国連ではグリーン成長(Green Growth)をアジアの進むべき道筋と考え、その成長を促進するため
にいくつかの方針を示しているが、その中でグリーン購入を効果的な手段として推進している。国連の
機関であるUNEPは 2011 年 3 月にグリーン経済レポートを発表しており、レポートの結論として「世界の
GDPの2%(当初約 1.3 兆円)を2050 年までグリーン経済への移行に投資し続けることにより、より高い
経済成長を達成しつつ、主要な産業を低炭素、高資源効率なシステムに転換し、自然資本の価値を増
大することが可能」と述べている。経済レポートによるとGDPの2%を投資することにより、林業の付加価
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値の20%と農業生産量の10%が増大する一方、世界の水需要は20%減少し、漁獲量の上昇や持続
可能な漁業の確保が図れる。また、小規模な農家に持続可能な農業の実践を促進・普及し、貧困層
の食料入手が改善するほか、農林業、建設業、エネルギー産業の雇用が増えるとともに、再生可能エ
ネルギーの普及率が現在の16%から45%まで上昇する。さらに、製造業における製品の再設計、再生
産、再生利用により資源利用エネルギー効率が改善するほか、都市のエネルギー効率、生産性の改善
や、運輸部門での石油利用の削減で、持続可能な都市生活や低炭素な移動手段が促進される。その
ほか、エネルギーの効率化や再生可能エネルギーの普及によるエネルギー消費量の削減により、自然
資本が維持・回復し、より早い経済成長が可能だとしている。
中国では、2011 年 3 月に発表された「国民経済と社会発展に関する第 12 次 5ヵ年計画要綱」の中
に「グリーン開発を推進し 資源節約型・環境友好型社会を構築する」という文言が見られる。要綱の
第二十三章では循環型経済の大々的発展、循環型生産方式の推進、資源の循環利用・回収システ
ムの構築、エコ消費モデルの普及、政策と技術の支えの強化を方針とし、政府のグリーン購入を推進し、
省エネ節水製品とリサイクル製品の比重を着実に向上させることを政策としている。さらに日中韓環境円
卓会議における中国環境保護部の発表によると中国環境保護部は、
「国際気候変動と国際グリーン貿
易に向き合う」との方針を示している。すなわち、これまで中国国内で推進してきた環境配慮製品やグ
リーン技術を海外にも向け、そのターゲットをアセアンやインド等の発展市場に向けている。その政策の
具体例として環境保護部傘下に日中友好環境保全センターと同格の中国アセアン環境協力センターが
昨年設立され、アセアンとの協力を推進することになった。また中国のグリーン公共調達政策では指定
項目を増やし、さらに北京などの主要都市だけではなく全国の行政機関や公共団体までに浸透を図って
いる。
一方韓国では大統領が掲げるGreen Growth(グリーン成長)のスローガンのもと官民一体の活動
を進めている。韓国でのグリーン公共調達は 2010 年に 1.64 兆 KRW に達した。さらに韓国は 2010 年
Global Green Growth Institute(GGGI)を国際機関としてオーストラリア、ブラジル、カンボジア、デン
マーク、エチオピア、
ドイツ、インドネシア、日本、カザフスタン、韓国、UAE 等のパートナー国と共同で立
ち上げ、その本部をソウルに開設した。ここでは世界各国のグリーン成長を研究するだけではなく、パー
トナー国のグリーン成長を促進するため、韓国のグリーン化政策を好事例として紹介しながら共同で改
善案を作成している。改善案の中には韓国の技術や装置を導入するなど双方がWIN-WINな関係を
構築できる計画をちりばめている。
また台湾では、日本の経産省に当たる台湾経済部がグリーン貿易プロジェクト推進室を設置し、台湾
のグリーン技術、グリーン産業を積極的に紹介している。2011 年 10 月に東京ビックサイトにおいて展示
会を開催し台湾企業が持つグリーン技術の紹介を支援した。プロジェクト推進室の担当官によると3年
間の活動予算は合計で約4億円(日本円)とのことであった。
マレーシアのグリーン政策は 2009 年に開催されたCOP15 においてマレーシア首相が CO2 削減 40%
をコミットしたことから始まる。グリーン技術省を設立し、国家グリーン技術政策を発表、首相を委員長と
する国家グリーン技術委員会を設置し推進策を検討する体制を確立し、政府の持続的開発ロードマッ
プの中でグリーン経済を推進することを表明、またグリーン技術、エコプロダクツ、エコサービスの地域
グリーン経済ハブとしてマレーシアを振興させることを表明した。さらにグリーン技術の4本の柱として①
エネルギーの効率的利用②環境を保全③グリーンテクノロジーにより持続的な経済発展④すべての人
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の生活の質を改善する社会を掲げた。2010 年 5 月にグリーン技術大臣が、再生可能エネルギーの電
力固定買い取り制度導入を示唆し、さらに 2011 年 4 月に同省が電力固定買い取り制度(FIT)の概
要を発表した。計画では 2020 年までに 3,000MW の再生可能エネルギーを新規に開発することを目指
し、その中の約 3 割(1,250MW)を太陽光発電、また他の 3 割(1,065MW)をバイオマス発電により達
成することを目標としている。提案された FITレートでの太陽光発電価格を日本円に換算すると約 37.5
円となり日本の予定価格である40 円とそれほどの開きはない。現在は余裕のある電力需給も、2020 年
には電力使用量が 18GWに達すると予測され、さらに石化燃料の高騰や国内資源の枯渇等を考慮す
ると、石化燃料の代替を検討せざるをえない。さらには CO2 排出量の削減という国際的な課題を考慮
して、再生可能エネルギーの増強に舵を切った。またグリーン技術を開発・発展させるため、総額 450
億円の政府ファンドが創設された。政府が利子補給および貸付の 60%を保証し、残りの 40%は金融機
関に参加を求めている。政府機関であるグリーンテクノロジーコーポレーションが Green Technology
Financing Scheme(GTFS)としてファンドの運営にあたり、140 社以上の企業がファンドの恩恵を受
ける模様である。このファイナンススキームは金額や期間等条件は異なるが、グリーン技術開発者のた
めには最大 5,000 万マレーシアリンギット15 年間の融資枠があり、グリーン技術利用者のためには最大
1,000 万マレーシアリンギット10 年間の融資枠がある。開発者、利用者のどちらも登記されたマレーシア
資本の会社でなければ融資は受けられない。
(開発者の場合 50%以上、利用者の場合 71%以上が条
件)一方融資側の条件としてはすべての商業銀行、イスラム銀行、開発金融機関が参加でき、政府が
年 2%の利子補給を行う。また融資金額の 60%を政府が保証し年 0.5%の保証料を支払う。2010 年 4 月
までの申請状況をみると、エネルギー関連での申請が首位を占めている。さらに政府だけではなく民間
のファンドも設立されている。
「1 MALAYSIA PROGRESS」プロッジェクトは 7,000 億円の国内外から
の民間投資を得て、エネルギー効率の向上、持続可能な生産と消費、グリーンな技術と製品の導入を
柱とし、5 万人のグリーンジョブを生みだそうとしている。
(2)アジアの環境ラベル制度
環境ラベル制度は、アジア各国においてグリーン公共調達を立ち上げる際の、重要な制度として注
目を集めている。マレーシア環境ラベル制度は、1996 年に環境管理システム認証スキームをSIRIM が
発表したことにさかのぼる。2004 年に SIRIM 環境ラベルスキームを発表し、また日本の JEMAIとの交
流を図りながらTYPE-Ⅱ、TYPE-Ⅲの環境ラベルや LCA について検討を進めてきた。しかしながら市
場において環境ラベルの認知度は低く、普及は進んでいなかった。この状況を打破すべく、政府グリー
ン公共調達をけん引役として SIRIM 環境ラベルを国家ラベルとして普及すべく活動が開始された。現
在 SIRIM が作成した環境ラベルクライテリアは 21 製品群があり、現在 20 製品の新規クライテリアが検
討されている。また国家エコラベル・グリーン公共調達を推進するために、国家規格制定機関、SIRIM、
財務省等が共同して活動している。
一方 1991 年に設立されたインド環境ラベルはその後脚光を浴びる機会がすくなかったが、2010 年イ
ンド中央汚染管理局を中心にグリーン公共調達の論議が開始され、その基準となる環境ラベルの普及
政策や新しい基準等が論議されている。
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(3)アジアにおけるグリーンセミナー
グリーン公共調達や環境イノベーションの普及を目的としたグリーンセミナーが各国で開催されている。
フィリピンではグリーン成長、持続可能な消費と生産、グリーンマーケティング、グリーンライフ等の
トピックを話し合うGP3 Conference (GREEN PURCHASING, GREEN PRODUCTIVITY,
TOWARDS GREEN PHILIPPINES)が 2011 年 8 月17日から3日間の日程で開催された。のべ 260
人以上の政府関係者、CEO および企業役員、環境 NGO、国際機関等が参加した会議ではグリーン
公共調達の重要性が話し合われ、フィリピン政府もグリーン公共調達へ向けて重い腰を上げた。GP3
Conference には貿易産業省次官が出席し、政府の気候変動行動計画が初めて正式に発表され、グ
リーン公共調達の取り組み予算が次の政府予算公聴会で考慮される事が決定した。同時に緑の生産
性とグリーン購入への取り組みを政府公共団体や企業が行うよう強く呼びかけたられた。
マレーシアでも同様なセミナーが、2010 年にグリーン公共調達セミナーとしてクチン、クアンタン、コタキナ
バルの 3 か所で開催された。このセミナーでは国内の専門家だけではなく、韓国、台湾、中国、日本から
も専門家を招き、グリーン公共調達の意義、優良事例等を発表して、グリーン公共調達の推進を図った。
マニラにおける記者会見
貿易産業省次官
マレーシアGPセミナー
(4)アジアのエコプロ展
現在アジアにおいては日本、韓国、台湾においてエコプロダクツ展が毎年定期的に開催されているほ
か、2004 年よりアジア生産性機構(APO)が毎年加盟国の中の 1 都市を選んで、エコプロダクツ国際
展を開催している。
マレーシアではAPOが開催したエコプロダクツ国際展の経験を基に、政府やグリーン技術省が中心と
なって、エコプロダクツ国際展を独自に開催するにいたった。2010 年 10 月マレーシアの産業のグリーン
化と、グリーン技術の普及を目的として、国際グリーン技術・エコプロダクツ展 in マレーシア(IGEM)が
開催された。展示会には国内企業のみならず、日本、韓国、中国をはじめとするアジア環境産業先進国
に加えて、
ドイツ、フランスなどのEU諸国からの出展企業も数多く見受けられた。 展示分野は、エネル
ギー、建築、自動車、環境技術、エコ金融等多岐にわたっていた。2011 年 9 月には第 2 回目の展示会
が開催され、前年を上回る多くの出展企業が世界中から参加し、マレーシアのグリーン市場のポテンシャ
ルの高さを物語っていた。また展示会来場者は、マレーシア各地のスルタン、各省大臣、省幹部、企業
経営者、学生等多岐にわたり、マレーシアがイスラム諸国との良好な関係を持つためか、中東の石油産
油国からの来場者も数多く見られた。
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(5)グリーンビジネスプラットフォームと各国の構築状況
グリーンビジネスプラットフォームの構築には以下の 9 項目が必須であるといわれている。
① エコプロダクツ・エコサービスを定義し、エコラベルをシステム化して明確化
② グリーン購入ガイドラインを規定
③ 中小企業向けに環境管理システムや環境イノベーションをテーマとしたセミナーを定期的に開催
④ エコプロダクツ・エコサービスを広く展示
⑤ エコプロダクツ・エコサービスディレクトリーを出版
⑥ 企業間のグリーンビジネスマッチング
⑦ グリーンベンチャーの経済支援
⑧ 環境管理や環境品質の認証
⑨ グリーン購入の教育訓練
またこれらの要素に基づき、国際グリーン購入ネットワークは各国にグリーン市場が形成され拡大していく
基盤として以下の 4 項目の実現を主眼に活動してきた。
① グリーン購入を普及させる組織の設立
② 各国がグリーン購入法または同等の法律を整備しグリーン公共調達を実施
③ エコプロダクツ展を中心としてエコプロダクツ・エコサービスが社会へ広く展示・公開される
④ エコプロダクツ・エコサービスの事例が常に公開され一般市民を含む社会全体が閲覧できる
今回の調査を基に各国のグリーンビジネスプラットフォームの構築状況を以下にまとめる。
中国では、2006 年に政府財務部と環境保護総局(現環境保護部)が「エコマーク製品の政府調達
実施に係る意見」をまとめ発表した。この意見書は「各級の国家機関・事業単位と団体は、公的資金
で調達する場合に、優先的にエコマーク製品を購入すること」と規定しておりこの規定の基に政府グリー
ン公共調達が始まった。これと時を同じくして、中国グリーン購入ネットワークが環境保護総局傘下の中
国環境認証センターに設立され、グリーン購入の普及を図るべく活動を開始した。その後、中国環境認
証センターはエコマークの普及を図り現在では認証数 18,000 商品にまで拡大した。この結果として政府
グリーン公共調達が増大し2010 年度には 2726 億元(約 3 兆 2712 億円)ものグリーン市場が形成され
た。また中国環境認証センターはクリーン開発メカニズム(CDM)理事会の審査・登録をうけドイツや日
本とのCDM事業を開始している。さらに、
『国民経済と社会発展に関する第12次5カ年計画要綱』に
よると、グリーン開発を推進し資源節約型・環境友好型社会を構築するとし、その中身を見ると、エコ
消費モデルの普及や政府のグリーン購入の推進を盛り込んでいる。国民一般に対する普及促進のため
のエコプロ展の開催が遅れており今後の対応が望まれるが、グリーンビジネスプラットフォームの構築は
全体としてかなり進んでいると言える。
韓国では、2005 年にスタートしたグリーン購入法および、1992 年に制定され現在 7,879 製品、生産
額 25 兆 KRW(1.7 兆円)までに拡大した韓国環境ラベル、毎年ソウルで開催されるエコプロダクツ展に
よる環境配慮製品の認識の向上等により、グリーン公共調達市場は 2010 年に 1.64 兆 KRW(約 1160
億円)までに拡大した。また 2009 年にスタートしたカーボンフットプリントラベルも500 商品にまでに拡大し
た。さらに民間企業へのグリーン購入支援策や、省電力、省水資源、省廃棄物、省GHG排出を目指し
2010 年 4 月より開始したグリーンストアの開設(11 店舗)、一般市民のグリーン購入を促すためにインセン
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ティブポイントを付加したグリーンクレジットカードの創設(2011 年 10 月現在 20 万枚を発行)等、グリーン
購入を民間や市民に普及させるスキームを作り、11 兆 KRW(約 7700 億円)の民間グリーン市場を出
現させた。特に韓国大統領が『グリーン成長』というスローガンの下、強力なリーダーシップで官民一体
の取り組みを推進し、廃棄物のエネルギー化、GHG排出管理、200 億 KRW(14 億円)のグリーン技術
開発投資等の施策を強力に実施している。さらに前述したように、海外市場への進出を念頭に、国際
機関のグローバル・グリーン成長機関(GGGI)をパートナー国と共同で立ち上げた。このように韓国で
は着実にグリーンビジネスプラットフォームの構築が進んでいる。
台湾では環境ラベルの制定、グリーン公共共同調達、エコプロ展開催等、積極的に展開している。
1999 年 5 月より、台湾政府機関においては、
「政府調達法」第 96 条に基づき定められた「環境保護
標章対象製品及びそれと同一あるいは類似の機能を有する環境保護製品」を、優先的に調達するこ
とになっている。また、グリーン調達対象製品を優先的に選択させるべく、入札に当たっては、価格面に
おいて 10%までの価格優遇比率を設定することを可能とした。グリーン調達対象製品は、
「第一類製
品」
「第二類製品」及び「第三類製品」に区分される。第一類製品とは、台湾の環境ラベルであるグ
リーンマーク対象製品(Green Mark Program)または台湾の承認・協議のある外国の環境ラベル
対象製品(1997 年よりカナダの Environmental Choice Program、1998 年より米国の Green Seal
とそれぞれ相互認証)である。また、第二類製品とは、生産段階から廃棄段階にわたり、再生原料使
用、リサイクル可能、低環境汚染、省エネルギーの要件を満たす製品であり、グリーンマーク対象製品
に準ずる製品である。グリーン調達に当たっては、第一類製品及び第二類製品を優先調達しなけれ
ばならないこととされている。 2001 年、”Action Plan for Implementing Green Procurement by
Government Agencies”を公布し、指定製品カテゴリー及び年間調達目標を明記した。 2011 年に
は第 3 回台湾国際グリーン産業見本市を中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)、展盟展覧有限
公司(EXPO UNION)の主催で開催し内外の企業を集めている。さらに台湾経済部がグリーン貿易
プロジェクト推進室を設置し、台湾のグリーン技術、グリーン産業を国外に積極的に紹介している。この
ような政府の強力な支援によりグリーンビジネスプラットフォームが構築されている。
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マレーシアでは、政府の持続的開発ロードマップの中で国内のグリーン経済の推進を表明する一方、
地域グリーン経済ハブとして、マレーシアを成長させると表明している。このような方針に基づき、自国に
おけるエコプロダクツ展の定期開催、グリーン購入法の制定準備、政府機関を対象にした各種セミナー
の実施、グリーンビジネスマッチングなどを行っており、マレーシアのグリーンビジネスプラットフォームは確
実に整備されていると言える。
グリーン公共調達大統領令が発令されているフィリピンでは、前述したように、貿易産業省を中心にグ
リーン公共調達実施のための環境ラベルの再構築、各種セミナー等が実施されている。グリーン公共
調達を推進するために 2011 年 8 月に GP3 Conference が開催され、このコンファレンスに併設される形
で、Globalink MP 社が主催し、環境保護と持続可能な開発のためのフィリピンセンター(PCEPSDI)、
フィリピン・プラスチック産業協会 (PPIA)、フィリピン契約者協会 (PCA)、フィリピン・エアコン冷媒技
術協会(PSVARE)、製造技術者協会 (SME)等が後援する展示会「Green Philippine 2011」が
初めて SMX Convention Center で開催され、20 万人の来場者を集めた。さらに政府機関や民間団
体を対象に、グリーン購入の実践トレーニングが数回に分けて実施された。このようにフィリピンでもグリー
ンビジネスプラットフォームが着実に育ち始めている。
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これらの調査結果に基づき4 項目を含めて一覧表にまとめてみると表1のようになる。
表1
Japan
Korea
China
Taiwan, China
Hongkong
Philippines
Vietnam
Thailand
Malaysia
Indonesia
Singapore
India
-
-
-
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-
-
-
-
-
【結 論】
今回の調査では、グリーンビジネスプラットフォームの構成要素としての、グリーン市場を形成するため
のグリーン購入法等の法令整備、エコプロダクツデータベース、エコプロダクツディレクトリー、エコプロダ
クツ展等の衆知政策、環境配慮製品を定義づける環境ラベル、グリーン公共調達などが、アジア各国
でいかに整備されているかを調査した。その成果として
(1) 中国、韓国、台湾、マレーシアを筆頭に、アジア各国がグリーン成長戦略、グリーン市場を形成す
るためのグリーン購入法等の法令整備、エコプロダクツデータベース、エコプロダクツディレクトリー、
エコプロダクツ展等の衆知政策、エコプロダクツを定義づける環境ラベル、グリーン公共調達など
を要素として、グリーンビジネスプラットフォームを構築している状況を調査できた。
(2) 韓国、マレーシア、台湾、タイ、フィリピン、中国、インドなど、グリーンビジネスプラットフォームとして
「エコプロダクツ展+国際会議」を位置づけ国家が強力に推進しつつあることが現地を訪問し実
感できた。
(3) 今回の研究を通じてコンタクトできた組織と共に、
IGPNが上記の各要素に関する情報をまとめ、更
に詳細なる成功事例を追加し、各国との情報の共有化を図りグリーンビジネスを促進するための共
通プラットフォームをAPO/UNEPなど他の国際ともに構築する基礎作りができた。
【謝 辞】
今回アジアのグリーンマーケットの現状を調査し、また各国のグリーンビジネスマーケットプラットフォーム
の構築状況を比較検討することができたのは、ひとえにアサヒビール財団の助成金制度の恩恵を受けた
ことにあります。このようなチャンスを下さった財団の皆さま、そして選考委員の皆さまに深く感謝の念を捧
げます。また、この財団法人アサヒビール学術振興財団を創設されたアサヒビールホールディングの皆さ
まにも深く感謝の念をささげます。
この調査結果をアジア各国のグリーン購入ネットワークが共有し、各国のグリーンビジネスプラットフォー
ムを更に強固に構築するための指針として使わせていただきたいと思います。
本当に有難うございました。
【参考文献のリスト】
1)2011 年 11 月「日中韓環境産業円卓会議」にて中国環境保護部発表資料
2)2011 年 4 月 マレーシアグリーン技術省発表資料(The star online HPより)
3)2010 年 11 月Malaysian Green Technology Corporation AHMAD ZAIRIN ISMAIL 氏発
表資料
4)2010 年 11 月「Eco-labeling」SIRIM ISNAZUNITA Ismail 氏発表資料
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