提言 - エネルギー・原子力政策懇談会

提言
福島からの
福島からの再出発
からの再出発と
再出発と
日本の
日本の将来を
将来を支えるエネルギー
えるエネルギー政策
エネルギー政策のあり
政策のあり方
のあり方
2012年
2012年3月16日
16日
エネルギー・
エネルギー・原子力政策懇談会
有志一同
発起人代表
会長 有馬 朗人
福島からの
福島からの再出発
からの再出発と
再出発と
日本の
日本の将来を
将来を支えるエネルギー
えるエネルギー政策
エネルギー政策のあり
政策のあり方
のあり方
(提言)
エネルギー・原子力政策懇談会有志一同・発起人代表
同会会長 有馬 朗人
「エネルギー・原子力政策懇談会」は、昨年 3 月 11 日の東日本大震災
以降、我が国のエネルギー政策とりわけ原子力政策の混迷の中であるべき
政策の方向を求めて、民間の学者や産業界の心ある人々が参集し検討を重
ねてきたものである。(いわば民間エネルギー臨調)
この間、福島第一原子力発電所事故の検証、放射線汚染の実状と対策、
エネルギー安全保障、地球温暖化問題への影響、原子力安全規制のグロー
バルスタンダード化等をそれぞれの専門家を交え議論を重ねてきた。
これまで事故原発の冷温停止など、事態は徐々に収束しつつあり、避難
住民の帰還開始に向けての準備等が進みつつある。
しかしながら、政府における今後のエネルギー政策の検討は着実に進ん
でいるとはとても言い難い状況にある。「エネルギー基本計画の白紙の見
直し」を掲げる政府の下、いまだその概要すら明らかにされていない。
資源の乏しい我が国にとって、国民生活の安定と安全の確保、産業の競
争力維持のためにはエネルギーの安定供給は極めて重要な課題である。ま
た、地球温暖化対策や環境問題についても、これまで世界をリードしてき
た我が国としては背を向けることはできない。一時の感情論に流されるこ
となく、科学的知見に基づき、あらゆる側面から冷静な議論が必要である。
一方、再生可能エネルギーや新たなエネルギーシステムの導入のため、
積極的に対策を展開していくことは必要であるが、その目標を実現してい
くためには相当な時間を要し、かつ、不確実性が伴うことを認識しなけれ
ばならない。今後のエネルギー構成のあり方については、現実を踏まえた
責任ある議論を行う必要がある。
このような状況の中で、我が国のエネルギー政策について、われわれは
あえて政府に速やかなる政策検討、決定を促しこの政策空白を回避すると
ともに、真に必要な政策論議を求めたい。このため、特に緊急を要する諸
点につき、懇談会有志が意見をまとめ下記提言するものである。
記
1.わが国の原子力関係者は、「福島の再生と復興なくして、日本の原子
力の将来はない」との考えに立ち、今後世界のいかなる場所において
も、再び同様の事故が発生することがないよう、福島事故の経験を世
界と共有し、最善の努力を傾注するべきである。これが、今後のエネ
ルギー・原子力政策の出発点と認識しなければならない。
2、国は、福島第一原子力発電所がシビアアクシデントに到った原因の科
学的・合理的な解明を通じ、今回と同様の事故を防止するための厳格
な安全基準を構築するとともに、IAEA の安全原則などグローバルス
タンダードの規制に則った安全規制体系を整備すべき。また、国民に
信頼される原子力規制庁を予定通り早急に設置すべきである。
(参考資料の1参照)
3・ 福島第一原子力発電所の廃炉に向けての今後の中長期的な措置につ
いて、国は、世界中から英知を集め、国際的なプロジェクトとして
推進すべき。このための研究拠点を福島に整備することを検討すべ
き。
4. 第一原子力発電所事故により生じた放射性物質汚染に起因する低線
量被ばくについては、風評による不安を取り除くため、最新の科学的
知見に基づく正確な理解を、住民に率直かつわかりやすく伝えること
が重要。その上で、国は除染などを行うに際し、住民に過度な負担を強い
ることにならないよう適切な手段、手順を作成し十分な住民理解を得るべ
き。また、避難生活が長引くにつれ、子供を中心とした住民の方々の精神
的負担の増大、コミュニティの崩壊を招きかねないことから、国は科学的
知見に基づき、日常生活に支障がないレベルの放射線量をしっかりと見極
め、住民の方々の生活の質の向上に真に資する放射線防護対策に心を配る
必要がある。(参考資料の2参照)
5.停止中の原子力発電所の再稼働が全く実現しなければ、今後の電力需
給は極めて厳しい。また、低廉なベース電源である原子力発電を火力
で代替するにはコストが大幅アップし、産業の空洞化を加速させる恐
れがある。また、化石燃料の輸入増加は我が国の貿易収支に悪影響を
与えている。こうした事態を避けるためにも、ストレステストや IAEA
の助言等を踏まえつつ、安全性を確認した上で、官民が協力してでき
るだけ早期に再稼働させるべき。このため、各原子力発電所はいかな
る天変地異があろうとも冷温停止状態にもっていける危機対応能力
を備えるべき。(参考資料の3、4、5参照)
6.今回新たに導入される発電用原子炉の 40 年運転制限については、科
学的・合理的に検討した上で、国際標準も十分に踏まえて延長基準を
確立すべき。また、今後の厳格な安全基準をクリアする新しい技術・
安全対策を導入した原子力発電プラントによるリプレースを今後の
エネルギー基本計画に位置づけるべき。
7.科学技術は文明社会を支える基礎である。いかなる科学技術にも必ず
リスクが伴うが、このリスクを管理しながら科学技術を活用し文明社
会は発展してきたことを再認識すべき。原子力についても、その活用
に当たっては、安全を確保するための基準整備や技術開発、原子力損
害賠償制度によって、官民の責任分担を明確にしつつ、そのリスクを
管理すべき。原子力損害賠償制度の再構築については、主要国の事例
も参考とすべき。(参考資料の6参照)
8.エネルギー政策について、需要家の選択は重要な考慮要因だが、国家
として検討しなければならないエネルギー安全保障の問題、島国であ
る我が国にとって準国産エネルギーとも言える原子力発電の位置づ
けなどの議論を尽くすべき。この際、エネルギー価格やコストを含む
安定供給問題、再生可能エネルギーの導入見通し等について、将来の
リスクをつまみ食いで選別すべきではなく、温暖化問題も含め3つの
“E”(Energy Security , Environment Protection , Economic Growth)
を目的に、総合最適を目指すべき。(参考資料の7、8参照)
9.今回の事故にもかかわらず、世界の主要国、経済発展を遂げつつある
各国にとって原子力発電推進は引き続き重要課題。日本の技術に対す
る期待は大きく、これに応えていくことが日本の国際的責務。とりわ
け、アジアでは、今後二十年で原子炉は 3~4 倍に急増。日本はこれ
らのアジアの原子力発電所の安全管理のために、今回の事故の経験を
踏まえて貢献すべき。(参考資料の9参照)
10.国際的には、シビアアクシデントに対して極めてリスクの低い安全
な次世代原子炉、小型炉等の開発が課題となっている。引き続き最先
端の原子力技術を保持している我が国としては、技術開発面でもその
責務を担うべき。また、原子炉の安全確保、長期にわたる廃炉事業等
の課題に対応していくためには、質・量の両面で人材の厚みが必要で
あり、人材育成のための努力を継続すべき。(参考資料の10参照)
11.使用済燃料は一面では準国産エネルギーと言える。核燃料サイクル
はその再利用・減容化のために重要であり、原子力発電と一体不可分
である。今再処理を止めると使用済燃料の行き先が無くなり、既存の
使用済燃料を含め原子力立地地域では大きな問題となる。使用済燃料
の再処理を着実に進めるとともに、中間貯蔵施設を十分に確保するこ
とも重要。(参考資料の11参照)
12.高速増殖炉は、「ウラン資源の有効活用」、「放射性廃棄物の環境負
荷の低減」の両面を有する優れた技術。エネルギーを巡るセキュリテ
ィ確保のための核燃料サイクル技術として研究開発を継続推進すべ
き。
13.放射性廃棄物の処分は国の責務。必要となる処分施設の建設に向け、
国がリーダーシップを取るとともに、産業界も一体となってこれを進
めていくよう努めなければならない。
14.原子力安全、核燃料サイクル、核不拡散/セキュリティーに関する
研究開発等の取り組みは、緊密な国際協力の下で進めるべき。また、
福島第一原子力発電所事故は核セキュリティー確保に当たっての課
題を白日の下に晒す結果となったことから、早急に対応策を検討すべ
きである。
以上
2012年3月
これまでの「
これまでの「エネルギー・
エネルギー・原子力政策懇談会」
原子力政策懇談会」活動の
活動の経緯
1)
3月23日(水)7:30
―タイトル:「世界のエネルギー情勢をどうみるか」
講 師 :田中伸男・IEA 事務局長
会 場 :アークヒルズクラブ
―東日本大震災のため中止―
2)
3)
4月22日(金)7:30
―タイトル:「世界の原子力発電開発の現状と日本の戦略」
講
師
会
場
5月24日(火)7:30
―タイトル:「日本の原子力政策の今後について」
講 師 :近藤駿介・原子力委員会委員長
会
4)
場
:アークヒルズクラブ
7月11日(月)7:30
―タイトル:
「原子力から新エネルギーへの転換は可能か-温暖化目標変更
無くしてエネルギー政策なし」
講 師 :山口 光恒・東京大学先端研究センター特任教授
会
5)
:三又裕生・経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課長
望月晴文・経済産業省顧問、前同省次官
:アークヒルズクラブ
場
:アークヒルズクラブ
9月26日(月)7:30
―タイトル:「2012 年春、既存原発全面ストップ?どうなる電力需給と日
本経済の行方」
―講 師 :豊田 正和・日本エネルギー経済研究所理事長
武藤 敏郎・㈱大和総研理事長
6) 11月11日(金)7:30
―タイトル:「3.11 後の国際原子力情勢の動向」
―講
師
:服部
拓也・日本原子力産業協会理事長
7)
12月9日(金)7:30~9:30
―タイトル:「放射線から人を守るー国際放射線防護委員会(ICRP)
が勧告する防護の体系ー」
―講 師 :山下 俊一・福島県立医科大学副学長
佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事
8)1月16日(月)7:30~9:30
―タイトル:「核燃料サイクルのありかた―3.11 事故を踏まえて」
―講 師 :山名 元・京都大学原子炉実験所教授(原子力基礎工学)
9)2月17日(金)7:30~9:30
―タイトル:原発事故調査・検証委員会の報告―失敗はなぜ起きたのか
―講
師:畑村洋太郎・原発事故調査検討委員会委員長(東大名誉教授)
尾池和夫・国際高等研究所所長、同委員会委員(前京大総長)
10)4月3日(火)7:30~9:30
―タイトル:「今後のエネルギー政策についての政府検討状況について」
(仮題)
―講 師 :今井 尚哉経済産業省資源エネルギー庁次長(予定)
{上記会議では講師に30分程度講師より話を聞き、そのあとメンバーからの
質疑応答を90分程度行っている}
以上
2012年3月16日
「エネルギー・
(民間
「提言
エネルギー・原子力政策懇談会」
原子力政策懇談会」
(民間エネルギー
民間エネルギー臨調
エネルギー臨調)
臨調)
「提言」
提言」
(福島からの
福島からの再出発
からの再出発と
再出発と日本の
日本の将来を
将来を支えるエネルギー
えるエネルギー政策
エネルギー政策のあり
政策のあり方
のあり方)
政府提出に
政府提出に当たっての有志名簿
たっての有志名簿(
有志名簿(敬称略・
敬称略・アイウエオ順
アイウエオ順)
同会会長:
同会会長:有馬 朗人
座長:
座長:今井 敬
槍田 松瑩
遠藤 哲也
老川 祥一
尾池 和夫
岡
岡崎 俊雄
片山 恒雄
勝俣 宣夫
茅
川村 隆
北村 秀夫
児嶋 眞平
小林 栄三
佐藤 育男
島田 昌幸
白井 克彦
竹田 敏一
田中 知
谷口 富裕
佃
豊田 正和
中村 邦夫
中村 日出夫
服部 拓也
日枝 久
藤井 靖彦
三輪 睿太郎
武藤 敏郎
望月 晴文
森嶌 昭夫
素之
和夫
陽一