マンション管理士試験 解説 - Legal-cafe

2006年度
マンション管理士試験
解説
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【問 1】正解4
1.正しい。建物の構造上区分所有者全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分
は、区分所有権の目的とはならず(区分所有法第4条第1項)、専有部分に当たらないた
め、当然に共用部分となる(区分所有法第2条第1項、第3項、第4項)。
2.正しい。専有部分に属しない建物の部分の付属物(例えばエレベーター、各種配線や配
管など)は、法律上当然に共用部分に該当する(区分所有法第2条第4項)。
3.正しい。附属建物(例えば車庫や倉庫)は、規約により共用部分とすることができる(規約
共用部分)(区分所有法第4条第2項)。
4.誤りで正解。共用部分とは区分所有建物やこれに附属する建物に関するものであり、敷
地に関するものではない(区分所有法第4条各項)。
【問 2】正解3
1.誤り。法人格の有無に関係なく、規約は「定めることができる」のであって、「定めなければ
ならない」のではない(区分所有法第30条第1項)。
2.誤り。団体(一般的にいう「管理組合」)は区分所有者全員により構成するものと規定され
ていることから、区分所有関係が成立すれば当然に成立する(区分所有法第3条)。逆に
言えば、専有部分すべてを1人で所有すれば区分所有関係が終了するため、管理組合
は消滅する。しかし、その時点で直ちに消滅するのではなく、清算手続きが完了した時点
で消滅するものとされる(稻本洋之助・鎌野邦樹著「コンメンタールマンション区分所有法
第2版」p28日本評論社刊)。
3.正しく正解。建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体は、区分所有
者全員によって構成される(区分所有法第3条)。
4.誤り。平成15年の区分所有法改正前であれば、法人化の要件の1つとして区分所有者
が30人以上であることとされていたが、法律改正によりこの要件がなくなった(区分所有
法第47条第1項)。なお、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議で
法人化を定める部分の記述は正しい。
【問 3】正解3
1.正しい。1棟の建物を構造上区分して、それぞれ独立して住居としての用途に供すること
ができ、それぞれの部分は区分所有権の目的とすることできることから、専有部分のある
建物であるといえる(区分所有法第1条、第2条第3項)。
2.正しい。Bの敷地利用権は土地賃借権によるものであるから、抵当権の目的とすることは
できない(民法第369条各項)。よって、抵当権を設定することはできない。
3.誤りで正解。乙地と丙地が別筆であることから、BとCとによる土地賃借権の準共有関係と
はならず、B・Cのそれぞれ単独の土地賃借権となる。
4.正しい。Cが③の建物部分を譲渡するにあたり、土地賃借権の譲渡を伴うため、賃借権の
譲渡について土地所有者であるAの承諾を得て行うこととなる(民法第612条第1項)。
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【問 4】正解1
1.誤りで正解。「専有部分」を共有している区分所有者は共有物となっている「専有部分」に
ついて、いつでも分割を請求することができる(民法第256条第1項)。例えば数人の相
続人で共同相続した専有部分を相続人のうちの1人の単独所有とするよう請求することで
ある。
2.正しい。専有部分以外の建物の部分、つまり共用部分が区分所有者の共有による場合
には、民法の特例として区分所有法第13条から第19条が適用される(区分所有法第12
条)。これらの規定に共有物分割請求権に関する規定はないため、共用部分に対する分
割請求権を行使することはできない。区分所有建物において、共用部分がないと建物と
して存在できないからである(共用部分である柱や壁などを想起)。
3.正しい。専有部分に属しない建物の附属物も共用部分に該当する(区分所有法第2条第
4項)ので、これを目的とした共有物分割請求権を行使することはできない。
4.正しい。規約により共用部分とされた附属の建物も共有部分であるから(区分所有法第4
条第2項)、2・3肢同様、これを目的とした共有物分割請求権を行使することはできない。
【問 5】正解4
1.誤り。専有部分を第三者に譲渡する場合、敷地利用権が賃借権によるものであれば、土
地賃借権の譲渡に該当することから、当該区分所有者は敷地所有者の承諾を得なけれ
ばならない(民法第612条第1項)。この場合、他の敷地利用権者の同意は必要ない。
2.誤り。専有部分に抵当権を設定することは、土地賃借権の譲渡又は目的物の転貸には
該当しないため、敷地所有者の同意を得る必要はない(民法第612条第1項)。
3.誤り。建物の部分である専有部分を第三者に賃貸する行為は、敷地利用権の目的となっ
ている土地の転貸借に該当しない(大判昭8.12.11)。
4.正しく正解。相続により被相続人が有していた財産に関する一切の権利義務を相続人が
承継する(民法第896条)ことや、専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止(区分所有
法第22条第1項)の規定から、専有部分を承継した相続人が敷地利用権をも承継取得
することとなる。
【問 6】正解1
1.決議できず正解。既存のマンションを取り壊した後、平面駐車場とするのであれば、建替
えをするわけではないので、建替え決議では決議することはできず(区分所有法第62条
第1項)、区分所有者全員の同意を必要とする。
2.決議できる。「建物を取り壊し、かつ新たに建物を建築する」のであればよく、建替え前と
後で建物の主用途が異なっていたとしても、決議することはできる(区分所有法第62条
第1項)
3.決議できる。建替え決議において「再建建物の区分所有権の帰属に関する事項」など一
定の事項を定めなければならない(区分所有法第62条第2項各号)。しかし「敷地利用権
の帰属」についてはこれら一定事項に含まれないため、何ら定めがなくとも決議できる。
4.決議できる。2肢同様、建替え前と後で棟数が異なっているとしても建物を建築するので
あれば決議できる(区分所有法第62条第1項)。
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【問 7】正解2
1.正しい。「形状、面積」とは、床面積や容積その他の外形的要素を指す(吉田徹編著「一
問一答改正マンション法」p37、商事法務刊)。本書によれば、「例えば、区分所有者が
有する専有部分のこれらの要素の大小によって共用部分の負担等について異なる割合
が定められる場合があること等を念頭において考慮要素に掲げたもの」とされている。
2.誤りで正解。「位置関係」とは、専有部分と共用部分との位置関係等を指す(前掲書p3
8)。よって、区分所有者の利便に係る周辺施設等との位置関係を指すわけではない。な
お、前掲書によれば、「例えば、1階の専有部分の区分所有者に対して、その専有部分
に近接した敷地の一部を専用庭等として使用権が設定される場合があること等を念頭に
おいて考慮要素に掲げたもの」とされている。
3.正しい。「使用目的」とは、専有部分を商業用や居住用に定める場合等おける用途の定
め等を指す(前掲書p38)。前掲書によれば、「例えば、各区分所有者の有する専有部分
の用途の違いによって、共用部分の負担について異なる割合が定められる場合があるこ
と等を念頭において考慮要素に掲げたもの」とされている。
4.正しい。「利用状況」とは、共用部分等の具体的な利用方法やその頻度等を指す(前掲
書p38)。前掲書によれば、「例えば、各区分所有者の集会室等の利用頻度の違いに応
じて、その維持に要する費用負担について異なる割合が定められる場合があること等を
念頭において考慮要素に掲げたもの」とされている。
【問 8】正解1
公正証書による規約を設定できるのは、「最初に」建物の「専有部分の全部を所有」する
者である(区分所有法第32条)
1.設定できず正解。専有部分をすべて購入したとしても、既存のマンションを購入したのだ
から「最初に」当該マンションの専有部分をすべて所有したわけではない。よって当該マ
ンション業者は公正証書により規約を設定することはできない(区分所有法第32条)。
2.設定できる。相続人全員が「最初に専有部分の全部を所有する者」に該当するため、当
該共有者は公正証書により規約を設定することができる(区分所有法第32条)。
3.設定できる。区分所有建物ではない建物を区分することにより区分所有建物とし、専有
部分すべてを所有するのであれば、「最初に専有部分の全部を所有する者」に該当する
ため、当該不動産業者は公正証書により規約を設定することができる(区分所有法第32
条)。
4.設定できる。新築建物の専有部分の全部を最初に取得したのであれば、「最初に専有部
分の全部を所有する者」に該当するため、当該建設業者は公正証書により規約を設定す
ることができる(区分所有法第32条)。
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【問 9】正解4
建物の価格の2分の1に相当する部分の滅失であることから、「小規模滅失」に関する出
題であることに注意する。
1.誤り。共用部分の復旧であれば、復旧の工事に着手するまでに滅失した共用部分を復
旧する旨の決議があれば、区分所有者は「共用部分」の復旧をすることができなくなる
(区分所有法第61条第1項)。しかし、「専有部分」の復旧についてはこのような制限はな
いため、復旧する旨の決議の有無に関わらず、区分所有者は自己の専有部分の復旧を
することができる。
2.誤り。滅失した部分が建物の価格の2分の1を超えるものであれば、その復旧は区分所
有者及び議決権の各4分の3以上の多数で決議しなければならない(区分所有法第61
条第5項)。しかし建物の価格の「2分の1」相当分の滅失であれば、この規定は適用され
ないことから、普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数)により決議することになる
(区分所有法第39条第1項)。
3.誤り。区分所有者が単独で共用部分の復旧をした場合には、他の区分所有者に対して、
復旧に要した金額を共用部分の持分の割合に応じて償還すべきことを請求することがで
きる(区分所有法第61条第2項)。償還請求できる時期については法律上の規定はなく、
本肢のように「建物の一部が滅失した日から6ヵ月以内の単独復旧の場合に限る」という
要件はない。
4.正しく正解。3肢のように、復旧決議がない場合、復旧した者は他の区分所有者に対して
復旧に要した金額のうち一定割合を償還すべきことを請求することができる(区分所有法
第61条第2項)。また、裁判所は償還請求を受けた区分所有者の請求により償還金の支
払いについて相当の期限を許与することができる(区分所有法第61条第13項)。よって、
復旧決議があれば、区分所有者単独による復旧はすることはできないため、他の区分所
有者に対して償還請求ができず、償還請求をされることがないのであれば、裁判所に対
して償還金の支払いにつき相当の期限の許与を求めることはできないことになる。
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【問10】正解3
1.正しい。規約は建物、敷地、附属施設の管理・使用に関する区分所有者相互間の事項
について定めることができる(区分所有法第30条第1項)。「建物」は共用部分だけでなく
専有部分も含まれることから、「建物の管理、使用に関する事項」として専有部分内で犬
を飼育することを禁じる規約は有効である。
2.正しい。「犬を飼育することを禁止する」旨の規約があれば、犬の飼育行為そのものを禁
じているので、仮によく調教されていて人に危害を与える恐れがないとしても、規約違反
行為となる。
3.誤りで正解。専有部分の使用禁止請求や競売請求をするために集会の決議をする場合
には、当該義務違反者に対し弁明の機会を与えなければならない(区分所有法第58条
第3項、第59条第2項)が、共同の利益に反する行為の停止等の請求(差止請求)をする
ための集会の決議においては義務違反者に対し弁明の機会を与えなければならないと
する規定はない(区分所有法第57条各項)。
4.正しい。専有部分の使用禁止請求や競売請求をするための集会においては、区分所有
者及び議決権の各4分の3以上の多数により決することが必要であるが(区分所有法第5
8条第2項)、共同の利益に反する行為の停止等の請求(差止請求)をするための集会に
おいては、区分所有者及び議決権の各過半数で決することができる(区分所有法第57
条各項、第39条第1項)。
【問11】正解3
1.正しい。一団地内に建物A及び建物Bがあり、団地内の通路が建物A及び建物Bの区分
所有者により共有していることから、この通路を管理するために、建物A及び建物Bの区
分所有者からなる団地管理組合(以下、単に団地管理組合という。)を構成する(区分所
有法第65条)。よって団地管理組合は当該通路の管理を行うことができる。
2.正しい。甲地は建物Aの区分所有者による共有であり、また乙地は建物Bの区分所有者
による共有であるので、当然には団地管理組合の管理対象とはならない(区分所有法第
65条)。甲地や乙地を団地管理組合の管理対象とするにはその旨の規約を定める必要
があり、また当該規約を定めるにあたり、甲地、乙地とも共有者の4分の3以上で持分の4
分の3以上を有するものの同意が必要である(区分所有法第68条第1項第1号)。
3.誤りで正解。共同の利益に反する行為をした者に対する措置(行為の停止請求、専有部
分の使用禁止請求、競売請求など)は、建物A固有の問題であるため、団地管理組合に
おける集会の決議ではなく、各建物(本肢の場合、A建物)の区分所有者の団体におけ
る集会において決する(区分所有法第66条。義務違反者に対する措置に関する規定は
団地管理組合に準用されていない。)。
4.正しい。一括建替えは(1)団地内建物の全部が専有部分のある建物、であり、②団地内
建物の敷地が団地内建物の区分所有者の共有に属している、場合に行うことができる。
本問の場合、建物の敷地は、建物A及び建物Bの区分所有者による共有ではないため、
②の要件を満たさず、一括建替え制度は利用できない(区分所有法第70条第1項)。よ
って、団地管理組合の集会において、一括建替えの決議をすることができない。
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【問12】正解2
1.誤り。登記権利者とは権利に関する登記をすることにより、登記上、直接に利益を受ける
者をいう(不動産登記法第2条第12号)。抵当権抹消登記をすることにより、自己の所有
地に抵当権を対抗できる者が存在しなくなることで利益を受けるのは抵当権設定者のA
である。
2.正しく正解。連帯保証人Cが主たる債務者Aのために弁済した場合には、当該弁済により
当然に債権者に代位するため(民法第500条)、債権者Bが有していた債権や担保(抵
当権もこれに含まれる。)を保証人Cが行使することができる(民法501条本文)。
3.誤り。建物に抵当権の設定登記をした後に、当該建物を借り受けた者(D)は、抵当権者
(B)に対抗することができず(民法第177条)、抵当権が実行されたときは、当該建物を
明け渡さなければならないのが原則である。しかし、競売手続の開始前から使用収益をし
ている「建物」の賃借人であれば、買受人の買受けの時から6ヵ月を経過するまでは明渡
しの猶予が認められている(民法395条第1項)。よって、直ちに明け渡さなければならな
いわけではない。
4.誤り。既に抵当権を設定している建物にさらに抵当権を設定し、その旨の登記をするた
めには、先順位抵当権者(B)の承諾を得る必要はない。
【問13】正解2
1.正しい。耐震強度が著しく低く建替えをせざるを得ないマンションを購入者Aに引き渡し
たとしても、マンション業者Bは本旨に従った履行をしたとはいえず、債務不履行責任を
負う(民法第415条)とともに、目的物であるマンションが通常有する性能を欠くことから瑕
疵担保責任を負う(民法第570条)。また、耐震強度が著しく低いまま当該マンションを分
譲すれば購入者がどのような状況になるのか予見できるにもかかわらず分譲したとすれ
ば、故意による権利や法律上保護されるべき利益の侵害となり、不法行為責任が負うこと
にもなる(民法第709条)
2.誤りで正解。建築士には法令等に適合し、安全性が確保された建築物を提供するため、
建築物の設計や工事監理等の専門家としての特別の地位が与えられているのだから、
各種規制の実効性を失わせる行為をしてはならない法的義務がある(最判平15.11.1
4)。たとえマンション業者からの指示があったとしても、結果的に違法設計をしたのであ
れば、専門家としての法遵守義務に違反していることから、不法行為責任を負う(民法第
709条)。
3.正しい。不法行為責任を負うのは、故意又は過失により他人の権利等を侵害した場合で
ある(民法第709条)。よって、D自ら手抜き工事をしたのであれば故意に当たるため、不
法行為責任を負わなければならないが、違法設計であることについて過失がなければ、
不法行為責任を負わない(民法第709条)。
4.正しい。Cの違法設計とDの手抜き工事の両方の原因により耐震強度が著しく低いマンシ
ョンが建築された結果、購入者に損害を与えたのであるから、C及びDは共同不法行為
責任を負う(民法第719条第1項)。
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【問14】正解1
1.正しく正解。もともと管理費等を滞納していたB法人だけでなく、B法人から購入した特定
承継人Aも滞納管理費等を支払う義務があり(区分所有法第8条)、いわゆる不真正連帯
債務(いずれも全額を支払う義務があるが、連帯債務と異なり、各自負担部分がない関係
のこと)とされる。よって、最終的なABの負担は当事者間の合意により定まるため、滞納
管理費等を全額支払ったAはB法人に対して、全額請求することができうる(法務省民事
局参事官室編「新しいマンション法」p61商事法務研究会刊)。
2.誤り。管理組合Dは滞納管理費等を特定承継人であるAに対して請求することができる
が(区分所有法第8条)、Bが管理費等を滞納している事実を特定承継人Aが過失なく知
らなかったとしても、Aに対して請求することができる。
3.誤り。管理組合Dは滞納管理費等を特定承継人であるAに対して請求することができる
が(区分所有法第8条)、滞納の原因が前所有者であるB法人の役員Cの着服であったと
しても、特定承継人Aに対して請求することができる。
4.誤り。滞納管理費等の債権の消滅時効期間は「管理組合が(もともとの所有者であるB法
人に対して)管理費等を請求することができるとき」から5年間である(民法第166条第1
項、最判平16.4.23)。
【問15】正解2
1.正しい。マンションの塀の破損は、AとCの過失により生じたものであり、共同不法行為とし
ていずれも損害賠償責任がある(民法第719条第1項)。また、Aの使用者Bは、使用者
責任を負うことから、BはDに対して賠償責任がある(民法第715条第1項)。よって、Bが
Dに対して賠償をした場合、同様に賠償責任があるCに対して求償することができる。
2.誤りで正解。共同不法行為者A及びCだけでなく、Aの使用者であるBも使用者責任とし
て賠償責任がある(民法第715条第1項)。よって、CがDに対して賠償した場合には、A
だけでなく、Bに対しても求償することができる。
3.正しい。共同不法行為者は各自連帯して損害を賠償する責任を負う(民法第719条第1
項)ことから、損害額について各自全額を賠償しなければならない。よって、被害者Dは、
共同不法行為者A及びC,Aの使用者Bに対して、それぞれ損害額全額を請求すること
ができる。
4.正しい。3肢解説のとおり、共同不法行為者は、各自損害額全額を賠償する責任を負う
(民法第719条第1項)。一方、被害者Dは、損害額100万円を限度として請求できる。C
D間で賠償額を50万円とし、残余の請求権を放棄したのであれば、Dは残額の50万円
をBに対して請求することができる。
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【問16】正解3
1.誤り。家庭裁判所は相当と認める場合、相続人がいなければ、死亡したAと生計を同じく
していた特別縁故者Bの請求により財産を分与することができる(民法第958条の3第1
項)。つまり、家庭裁判所に請求し、これに対して家庭裁判所が相当と認めなければ特別
縁故者に帰属しないのだから、当然に帰属するものではない。
2.誤り。相続人の「あること」が明らかでないときは、相続財産法人が成立する(民法第951
条)。そもそも相続人と言える者があるかないかが明らかでないときに相続財産法人が成
立するものであり、相続人と言える者は存在するが、どこにいるかが分からない(本肢でい
う「生死不明」)場合はこれに該当しない。この場合、民法第25条以降に規定する「不在
者の財産管理」により相続財産は管理されることとなり、相続財産法人は成立しない。
3.正しく正解。包括遺贈を受けた者のことを包括受遺者という。包括遺贈とは、財産の全部
又は一部について、一定割合で示してする遺贈のことをいう。包括受遺者は、相続人と
同一の権利義務を有するので(民法第990条)、相続人がいなければ、遺産全部につい
ての包括受遺者が当然に承継することになる。
4.誤り。相続人がいないとき、相続財産は特別縁故者への財産分与の対象となる(民法第
958条の3第1項)。財産分与の対象となる特別縁故者もいなければ、国庫に帰属する
(民法959条)。
【問17】正解1
1.誤りで正解。売主は、新築住宅の売買契約において、住宅の構造耐力上主要な部分等
の隠れた瑕疵(以下、単に「瑕疵」という。)については、引渡しから10年間、瑕疵担保責
任を負う。この売主が負う瑕疵担保責任の期間は、売主が住宅新築請負契約に基づい
て請負人から引渡しを受けたものであれば、「売主が請負人から引渡しを受けた日」から
10年間となる(住宅品質確保法第95条第1項)。よって、買主は平成17年4月1日から1
0年間、瑕疵修補を請求することができる。
2.正しい。新築住宅の引渡しから10年以内に瑕疵があることを知った買主(本問では管理
者A)は、当該瑕疵があることを知った日から1年以内に限り、瑕疵修補や損害賠償の請
求ができる(住宅品質確保法第95条第3項、民法第570条、第566条第3項)。よって、
瑕疵があることを知った平成18年3月31日から1年後の平成19年3月31日までの間に
請求できる。
3.正しい。買主から瑕疵修補の請求を受けた結果、瑕疵があることを知った売主Cは、請負
契約上の瑕疵担保責任に基づき、請負人Bに対して瑕疵修補の請求をすることができる
が、瑕疵が発生したときから1年以内に限られる(住宅品質確保法第94条第3項、民法6
38条第2項)。よって、瑕疵が発生した平成18年6月30日から1年後の平成19年6月30
日までの間に請求できる。
4.正しい。住宅品質確保法上、新築住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵の担
保責任は、引渡した時から10年間とされるが(住宅品質確保法第94条第1項、第95条
第1項)、これを引渡した時から20年以内とすることができる(住宅品質確保法第97条)。
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【問18】正解2
1.正しい。区分建物の表題部には、「専有部分の建物の表示欄」「附属建物の表示欄」のほ
かに「敷地権の表示欄」が設けられている(不動産登記規則第4条第3項、別表3)。
2.誤りで正解。規約による敷地も「建物の敷地」であり、敷地利用権の対象となる(区分所有
法第2条第5項・第6項、第5条第1項)。敷地利用権のうち、原則どおり専有部分と分離
処分ができないものを不動産登記法上、敷地権という(不動産登記法第44条第1項第9
号)。区分建物の登記記録のうち、一棟の建物の表題部には「敷地権の目的たる土地の
表示欄」がある(不動産登記規則第4条第3項、別表3)。これらから、規約敷地も敷地権
の目的である土地として登記することができる。
3.正しい。敷地利用権の種類が所有権のほか、地上権や賃借権であっても、不動産登記
法上、専有部分との分離処分が認められていなければ、敷地権として登記することができ
る。
4.正しい。区分所有法の原則どおりに敷地利用権が専有部分と分離処分ができず、不動
産登記法上も敷地権として区分建物と一体化しているのであるから、敷地権付き区分建
物の所有権の移転の登記をすることにより、当然に敷地権も移転していることになる。よっ
て別途、敷地権の移転の登記というものをする必要はない。
【問19】正解1
1.誤りで正解。建替え合意者とは、建替え決議の内容によりマンションの建替えを行う旨の
合意をしたものとみなされる者(決議賛成者など)だけでなく、建替え決議に合意しなかっ
た区分所有者又は敷地利用権を有する者であっても、その後当該決議によりマンション
の建替えを行う旨を同意すれば、その者も含まれる(マンション建替え円滑化法第9条第
1項)。
2.正しい。マンション建替組合を設立するには、建替え合意者5人以上が共同して、定款及
び事業計画を定め、都道府県知事又は指定都市等の長の認可を受けることが必要であ
る(マンション建替え円滑化法第9条第1項)。
3.正しい。マンション建替組合設立手続において、マンションの1の専有部分が数人の共有
に属するときは、その数人を1人の建替え合意者とみなされる(マンション建替え円滑化
法第9条第5項)。
4.正しい。マンションの建替え合意者はすべてマンション建替組合の組合員となる(マンショ
ン建替え円滑化法第16条第1項)ことから、組合への加入の意思の有無にかかわらず、
組合員となる。
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【問20】正解3
1.正しい。用途地域の指定のない区域内の建築物の容積率は、特定行政庁が土地利用の
状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定める一定の
数値以下でなければならない(建築基準法第52条第1項第6号)。
2.正しい。前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、都市計画等で定められ
た数値以下であるとともに、前面道路の幅員のメートル数に、地域等の区分に従い定め
る一定の数値を乗じたもの以下でなければならない(建築基準法第52条第2項)。
3.誤りで正解。建築物の敷地が建築物の容積率に関する制限を受ける地域の2以上にわ
たる場合においては、当該各地域内における建築物の容積率の限度にその敷地の当該
地域内にある各部分の面積の敷地面積に対する割合を乗じて得たものの合計(いわゆる
加重平均)以下でなければならない(建築基準法第52条第7項)。最も低い地域の容積
率が適用されるわけではない。
4.正しい。敷地の周囲に広い公園等の空地を有する建築物で、特定行政庁が交通上、安
全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、許可の範囲内
において、一定の限度を超えるものとすることができる(建築基準法第52条第14項第2
号)。
【問21】正解1
1.誤りで正解。避難階段から屋外に通ずる出口に設ける戸の施錠装置は、屋内からかぎを
用いることなく解錠できるものとしなければならない(建築基準法施行令第125条の2第1
項第2号)。解錠するのにかぎを使用しなければならない施錠装置ではない。
2.正しい。高さ31mを超える建築物には、高さ31mを超える部分に階段室等の用途に供す
るもの等一定の場合を除き、非常用の昇降機を設けなければならない(建築基準法第32
条第2項、建築基準法施行令第129条の13の2各号)。
3.正しい。居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面
積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならないが、政令で定め
る技術的基準に従って換気設備を設けた場合には、その必要はない。(建築基準法第2
8条第2項)。
4.正しい。高さ20mを「超える」建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない(建
築基準法第33条)。
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【問22】正解4
1.誤り。地区計画は、用途地域が定められている土地の区域に限らず、用途地域が定めら
れていない土地の区域のうち一定の要件を満たす区域においても定めることができる(都
市計画法第12条の5第1項各号)。
2.誤り。地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行なお
うとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、一定の事項を市町村長に届け
出なければならない(都市計画法第58条の2第1項)。よって、一定の行為完了後に届出
をするのではない。
3.誤り。地区整備計画において、建築物等の用途の制限のほか、建築物の形態又は色彩
その他の意匠の制限を定めることができる(都市計画法第12条の5第6項第2号)。
4.正しく正解。地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができ
ない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定め
ることを要しない(都市計画法第12条の5第7項)。
【問23】正解4
1.誤り。水道事業者は、水道の取水場等において業務に従事している者等に対して健康
診断を行わなければならない(水道法第21条第1項)。しかし、簡易専用水道の設置者
には、「水槽を管理する者に健康診断を行わなければならない」とする義務はない。
2.誤り。簡易専用水道の管理について、1年以内ごとに1回、定期に、地方公共団体の機
関又は厚生労働大臣の指定する者の検査を受けなければならない(水道法第34条の2
第2項、水道法施行規則第56条第1項)。
3.誤り。水道事業者は、定期及び臨時の水質検査を行わなければならず、定期に行う検査
としては、1日1回行うものと、おおむね1ヵ月ごとに行うものとがある(水道法第20条第1
項、水道法施行規則第15条第1項各号)。しかし、簡易専用水道については、水質検査
についての規定はない。
4.正しく正解。簡易専用水道の水槽の掃除は1年以内ごとに1回、定期に行わなければな
らない(水道法第34条の2第1項、水道法施行規則第55条第1号)。
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【問24】正解3
1. 委託することができる要件に該当する。共同住宅において管理的又は監督的な地位に
ある者のいずれもが遠隔の地に勤務していることその他の事由により防火管理上
必要な業務を適切に遂行することができないと消防長等が認めていることは、第
三者に防火管理者の業務を委託することができる要件の1つである(消防法施行
令第3条第2項)。
2.委託することができる要件に該当する。防火管理業務を受託する者が、共同住宅の防火
管理上必要な業務を適切に遂行するために必要な権限が付与されていることは、第三
者に防火管理者の業務を委託することができる要件の1つである(消防法施行令第3条
第2項)。
3.委託することができる要件に該当しなく、正解。防火管理上必要な業務を行う防火対象
物の管理について権原を有する者から、防火管理上必要な業務の内容を明らかにした
文書を交付されており、かつ、当該内容について十分な知識を有していることは、第三者
に防火管理者の業務を委託することができる要件の1つである(消防法施行令第3条第2
項、消防法施行規則第2条の2第2項第1号)。口頭での説明では、要件を満たさない。
4.委託することができる要件に該当する。防火管理上必要な業務を行う防火対象物の管
理について権原を有する者から、当該防火対象物の位置、構造及び設備の状況その他
防火管理上必要な事項について説明を受けており、かつ、当該事項について十分な知
識を有していることは、第三者に防火管理者の業務を委託することができる要件の1つで
ある(消防法施行令第3条第2項、消防法施行規則第2条の2第2項第2号)。
【問25】正解4
1.適切。専有部分である枝管であっても、共用部分である配管と構造上一体となっているも
のであれば、管理組合で管理することができるが(マンション標準管理規約第21条第2
項)、総会の決議を経なければならない(マンション標準管理規約第48条第9号)。この
場合、配管の清掃費用は共用設備の保守維持費として管理費を充当することができるが、
専有部分の配管の取替え等に要する費用は各区分所有者が実費に応じて負担すべき
ものであり、管理費を充当することはできない(マンション標準管理規約第21条コメント
⑤)。
2.適切。専有部分である枝管であっても、共用部分である配管と構造上一体となっているも
のであれば、管理組合で管理することができる(マンション標準管理規約第21条第2項)。
配管の清掃費用は共用設備の保守維持費として管理費を充当することができる(マンショ
ン標準管理規約第21条コメント⑤)。
3.適切。一部の排水管の修繕に要する費用は、「不測の事故その他特別の事由により必要
となる修繕」又は「共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必
要となる管理」に該当し、修繕積立金から支出することができる(マンション標準管理規約
第28条第1項第2号、第5号)。この場合、集会での決議を要する(マンション標準管理規
約第48条第6号)。
4.適切でなく正解。1肢の解説を参照。
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【問26】正解2
1.規約に定めることができる事項。議決権については、共用部分の共有持分の割合やこ
れを基礎としつつ賛否を算定しやすい数字に直した割合によることも可能であり、また各
住戸数の面積があまり異ならないときは、住戸1戸につき各1個の議決権により対応する
こともできる(マンション標準管理規約第46条関係コメント①②)。よって、区分所有法で
規定する特別決議事項以外は、1住戸1議決権にする旨規約に定めることができる。
2.規約に定めることができない事項で正解。倉庫も専有部分となっているときは、倉庫のみ
を他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫とを分離して処分をしてはならな
いこととされる(マンション標準管理規約第11条関係コメント②)。よって、倉庫を他の区
分所有者へ譲渡することができる旨の規約を定めることができるが、専有部分の賃借人
へ譲渡することができる旨を定めることはできない。
3.規約に定めることができる事項。バルコニー及び屋上テラスがすべての住戸に附属して
いるのではない場合には、別途専用使用料の徴収について規定することもできる(マンシ
ョン標準管理規約第14条関係コメント③)。よって、屋上テラスに面する住戸の区分所有
者に屋上テラスの専用使用を認め、専用使用料を徴収する旨の規約を定めることができ
る。
4.規約に定めることができる事項。植栽による日照障害などの日常生活のトラブルの対応
において、日照障害なにおける植栽の伐採などの重要な問題に関しては総会の決議に
より決定することが望ましいとされている(マンション標準管理規約第38条関係コメント)。
よって、樹木の伐採等の日常生活のトラブルの対応に関する重要な事項を総会の決議
事項とする旨の規約を定めることができる。
【問27】正解1
1.適切でなく正解。「建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査」に関する経
費に充当するために修繕積立金を取り崩すことができる(マンション標準管理規約第28
条第1項第4号)。よって、「管理費から支出しなければなりません。」という回答は適切で
はない。
2.適切。建替え決議を目的とする総会の招集通知は、少なくとも会議を開く日の2ヵ月前ま
でに組合員に発しなければならない(マンション標準管理規約第43条第1項)。よって、
回答は適切である。
3.適切。建替え決議を目的とする総会を招集する場合、少なくとも会議を開く日の1ヵ月前
までに、招集通知事項について組合員に対して説明を行うための説明会を開催しなけれ
ばならない(マンション標準管理規約第43条第6項)。よって、回答は適切である。
4.適切。建替え決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することか
ら、賛成者、反対者が明確に分かるよう決議することが必要である(マンション標準管理規
約第47条関係コメント⑥)。よって、「建替えに賛成か、反対か、どちらかに○を付けさせ
るなどの方法でしなければならない」との回答は適切である。
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【問28】正解1
1.適切でなく正解。理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2ヵ月以内に招
集しなければならない(マンション標準管理規約第42条第3項)。よって、「3ヵ月以内」と
する記述は適切ではない。
2.適切。会議の目的が建替え決議であるときを除き、緊急を要する場合には、理事長は、
理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、総会の招集の通知を発するこ
とができる(マンション標準管理規約第43条第8項)。
3.適切。管理組合に対し総会の招集の送付先について届出のない組合員に対しては、通
知内容を所定の掲示場所に掲示することをもって、通知に代えることができる(マンション
標準管理規約第43条第2項、第3項)。
4.適切。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する、賃借人などは会議の目的につき
利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができ、出席して意見を
述べようとするときは、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない(マンション
標準管理規約第45条第2項)。この場合、総会の招集通知を発した後遅滞なく、その通
知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。(マンション標準管理規約第4
3条第7項)。
【問29】正解4
1.適切ではない。代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は(1)
その組合員と同居する者、(2)その組合員の住戸を借り受けた者、(3)他の組合員、(4)
他の組合員と同居する者、のいずれかでなければならない(マンション標準管理規約第4
6条第5項)。よって、「他の組合員の住居を借り受けた者」を代理人とすることは適切では
ない。
2.適切ではない。総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する(マンション標準
管理規約第47条第2項)が、これは議長を含む出席組合員の議決権の過半数で決議し、
過半数の賛成を得られなかった議事は否決とすることを意味するものである(同条関係コ
メント①)。よって、賛否同数であれば否決であり、「議長が決する」とすることは適切では
ない。
3.適切ではない。理事会の議事は出席理事の過半数で決することとされているが(マンショ
ン標準管理規約第53条)、一定の場合において理事の議決権行使を制限することがで
きる旨の規定はない。また、理事は総会において組合員に選任されていることから、理事
会での議決権行使を制限することはできない。
4.適切で正解。理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親
等の親族に限り、代理出席を認める旨を規約に定めることができる(マンション標準管理
規約第53条関係コメント)。よって、適切である。
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【問30】正解4
1.正しい。管理組合の財産をもって債務を完済することができないときは、区分所有者は共
用部分の持分の割合で、その債務の弁済の責任を負う(区分所有法第53条第1項)。
2.正しい。管理組合法人と区分所有者は別人格であり、また管理組合法人としての債務で
あり、直接、個々の区分所有者の債務ではない。よって、管理組合法人が自己の財産を
もって完済したことをもって、区分所有者に対して求償することはできない。
3.正しい。管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合、区分所
有者は共用部分の持分の割合で責任を負うが(区分所有法第53条第2項)、区分所有
者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この責
任を負わない(区分所有法第53条第3項)。
4.誤りで正解。承継前に生じた管理組合法人の債務について、特定承継人(本肢では、専
有部分を譲り受けた者)は、区分所有者が負う責任と同一の責任を負う(区分所有法第5
4条)。
【問31】正解2
1.誤り。管理組合には管理者を置くことができるが(区分所有法第3条)、管理組合法人に
は、理事を置かなければならない(区分所有法第49条第1項)。いずれも置かなければな
らないとする記述は誤り。
2.正しく正解。管理組合法人の理事が数人あるときは、各自管理組合法人を代表する(区
分所有法第49条第3項)。管理組合の管理者の人数について法律上制限はないが、複
数選任されているときの各管理者の権限についての規定もない。管理組合法人の理事
に関する規定のバランスから判断すれば、管理者は各自区分所有者を代理すると考えら
れる。
3.誤り。管理組合法人の理事の任期は、原則として2年(規約で3年以内において別段の
期間を定めることができる)であるが(区分所有法第49条第5項)、管理組合の管理者の
任期については規定がなく、「2年以内としなければならない」とする制限はない。
4.誤り。管理組合法人には、監事を置かなければならず(区分所有法第50条第1項)、管
理組合法人と理事との利益が相反する事項については、監事が管理組合法人を代表す
る(区分所有法第51条)。しかし、管理組合において監事を置かなければならない、とす
る規定はなく、また「管理組合と管理者との間で利益が相反する事項については監事が
管理組合を代表する」旨の規定もない。
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【問32】正解4
1.適切。規約の対象となる物件(対象物件)のうち共用部分とされる範囲は、規約に定める
必要があり(マンション標準管理規約(団地型)第8条)、棟の共用部分と団地共用部分と
を区分して定めることとされる(マンション標準管理規約(団地型)別表第2)。また、これら
の管理は団地管理組合が行う(マンション標準管理規約(団地型)第21条第1項)。よっ
て適切な記述である。
2.適切。各団地建物所有者及び各区分所有者の共有持分は規約において定める必要が
あり(マンション標準管理規約(団地型)第10条)、土地及び附属施設、団地共用部分、
棟の共用部分についてそれぞれ定めるものとされる(マンション標準管理規約(団地型)
別表第3)。
3.適切。各組合員の団地総会における議決権の割合及び区分所有者の棟総会における
議決権はそれぞれ規約において定める必要がある(マンション標準管理規約(団地型)
第48条第1項、第71条第1項)。団地総会における議決権の割合は、土地の共有持分
の割合に、棟総会における議決権の割合は棟の共用部分の持分の割合によることが適
当であるとされる(マンション標準管理規約(団地型)第48条関係コメント①、第71条関係
コメント①)。
4.適切でなく正解。土地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるために次の費用を
管理組合に納入しなければならないが、それぞれの費用の算出方法は下記のとおりとな
る(マンション標準管理規約(団地型)第25条各項)。
算出方法
根拠条文
管理費
・棟の管理に相当する額:棟の共用部分の共有 第25条第2項
持分に応じて算出する
・上記以外の管理に相当する額:団地建物所有
者の土地の共有持分に応じて算出する
団地修繕積立金 団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算 第25条第3項
出する
各棟修繕積立金 棟の共用部分の共有持分に応じて算出する
第25条第4項
よって、上記費用すべてが団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するわけで
はない。
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【問33】正解2
1.適切ではない。管理会社が銀行の取引を停止されたときは、管理組合は管理委託契約
を解除することができる(マンション標準管理委託契約書第18条第2項第1号)。
2.適切であり正解。管理会社が管理委託契約に定められた義務の履行を怠った場合は、
相当の期間を定めてその履行を催告し、相当期間内に、その義務を履行しないときに契
約を解除できる(マンション標準管理委託契約書第18条第1項)。よって、催告なしに直
ちに契約を解除することはできない。
3.適切ではない。暫定契約は、有効期間満了までに契約更新に関する協議が整う見込み
がないときに行うものであり(マンション標準管理委託契約書第21条第2項)、管理組合
からの解約申入れに対して、管理会社が応じないときに行うものではない。
4.適切ではない。管理会社が契約上の義務の履行を怠っていないときであっても、管理組
合は契約期間中であっても、解約の申入れをすることができる(マンション標準管理委託
契約書第19条)。
【問34】正解2
問題文の記述から、実際に貸借対照表を作成してみる。
①貸借対照表上、借方か貸方かをチェックする
(1)未収入金は金銭債権だから資産→借方(左側)
(2)前払金は反対給付を受ける債権だから資産→借方(左側)
(3)前受金は反対給付をしなければならない債務だから負債→貸方(右側)
(4)現金預金は財産だから資産→借方(左側)
(5)次期繰越は正味財産の増加だから→貸方(右側)
②貸借対照表を作成してみる
貸借対照表
資産の部
負債・正味財産の部
現金預金
?
前受金
100,000
未収入金
200,000
前払金
50,000 次期繰越
400,000
合計
500,000 合計
500,000
③合計額(50万円)は貸借一致することから、現金預金の額は250,000円となる。
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【問35】正解3
(考え方)
現在処理されている仕訳の内容をどうしたら、本来の仕訳の内容に修正できるかを考える。
(1)現在の誤った仕訳
修繕費200,000/未払金200,000
(2)本来すべき仕訳
修繕費200,000/現金預金200,000(←現実に支払が済んでいるため)
(3)どうしたら、(1)の仕訳を(2)の仕訳に修正できるかを考える。
→①(1)の貸方(右側)にある未払金をなくす⇒借方(左側)に未払金を持ってくればよい
②(2)の貸方(右側)に現金預金を追加したい⇒貸方(右側)に現金預金を持ってくればよ
い
以上2点から
未払金200,000/現金預金200,000
という修正仕訳をすれば、現在の(1)を正しい(2)にすることができる。
【問36】正解3
1.適切。予防保全とは記述のとおり、計画的に点検、調査、診断、修繕等を行い、不具合な
どが生じないよう保全することをいう。
2.適切。建物診断や修繕等を行う場合、事前に図面などで現況を把握するために図面や
過去の修繕履歴を調査する関係上、管理組合にこれらの資料が整理して保管されてい
ることが望ましい。
3.適切でなく正解。法定点検には、例えば建築基準法で定める特殊建築物定期調査や建
築設備定期検査、昇降機定期検査があるが、いずれも調査・点検は一級建築士など一
定の資格を有する者が行うが、これらの結果報告を特定行政庁にしなければならないの
は、所有者又は管理者である(建築基準法第12条第1項、第3項)。
4.適切。2肢の解説を参照。
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【問37】正解4
1.適切。赤外線サーモグラフィ法は、外壁タイルの浮きの調査・診断をするのに利用される
(外壁とタイルの間に空間があることで温度差に着目する方法)。
2.適切。電磁波レーダ法は、コンクリート中の鉄筋の位置を調査するのに利用される。
3.適切。X線法は、給水管の肉厚の減少や錆、こぶの状態を調査するのに利用される。
4.適切でなく正解。超音波法は、給排水配管の肉厚測定を行うのに利用される。コンクリー
トの中性化測定は、コンクリートのアルカリ性がどれぐらい失われているのかを調べるもの
であるから、音波では測定できない。中性化試験には、フェノールフタレイン溶液を使用
し、赤色に変色すれば正常、変色しなければ中性化が進んでいることを示す。
【問38】正解2
1.想定しにくい。中性化進行により、鉄筋の酸化による膨張により、ひびが割れたとすると鉄
筋に沿って直線状に発生する。しかし図によればひびは斜めに入っているため、中性化
進行による鉄筋の腐食とは想定しにくい。
2.想定され正解。コンクリートの乾燥収縮によるひび割れは、開口部付近では放射状に生
じやすい。よって、図のひびわれは、乾燥収縮によるひび割れと想定される。
3.想定しにくい。ブリージングとは、水分や骨材のうち比重の軽いものが表面に浮かび上が
り、コンクリートが沈下する現象をいい、コンクリート打設後数時間後には鉄筋に沿って発
生する。しかし図によればひびは斜めに入っているため、ブリージングによるものとは想
定しにくい。
4.想定しにくい。アルカリ骨材反応とは、アルカリと骨材(シリカ鉱物)の化学反応によりアル
カリシリケートを生成する現象。アルカリシリケートがコンクリート中の水分を吸収すること
により膨張し、これが原因でひび割れを起こす。鉄筋が入っている箇所であれば鉄筋に
沿って、鉄筋が入っていない箇所は亀甲状のひび割れとなる。鉄筋の有無にかかわらず、
図のようなひび割れの形状とはならない。
※実は、私が住んでいるマンションの窓を見て、正解が分かりました(笑)。
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【問39】正解1
1.適切でなく正解。マンション標準管理規約によれば、長期修繕計画の期間は25年程度
以上であることとされる(マンション標準管理規約第32条関係コメント②)。よって、2006
年に計画を見直すのであれば、2031年までを計画期間として作成するのが適切であ
る。
2.適切。長期修繕計画に含まれていない工事であり、なおかつグレードアップを伴う工事で
あることから、総会での決議を経て実施するのが適切である。
3.適切。改修によるマンション再生マニュアルによれば、アルミサッシの取替えは36∼48年
周期とされており、36年目の大規模修繕工事に取替え工事を設定することは適切である
(改修によるマンション再生マニュアル2−2(8))。
4.適切。修繕工事項目及びその部位ごとに、仕様、数量、単価等の根拠を明確に示した内
訳を作成し、修繕工事費を算出することは適切である。
【問40】正解1
1.適切でなく正解。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けている場合、旧耐震基準に
よるものとされる。よって、5月31日以前に建築確認を申請していても、6月1日以降に建
築確認を受けていれば、現行の耐震基準が適用されている。
2.適切。国土交通省のホームページ
(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html)によれば、現行の耐震基準
は、「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか
発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすよ
うな倒壊等の被害を生じないことを目標」としている。
3.適切。耐震診断の方法はいくつかあるが、その1つに建築基準法施行令第3章によるも
のがある。この場合、構造耐力上主要な部分のほか、屋根ふき材等(建築基準法施行令
第82条の5)や建築設備(積載荷重に関連するとすれば、建築基準法施行令第82条ほ
か)、敷地(建築基準法施行令第88条ほか)について行うことになる。
4.適切。国土交通省のホームページ
(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html)によれば、「構造計算書偽造
問題対策連絡協議会において、地方公共団体(特定行政庁)が建築物の使用制限や除
却等の命令を行う基準となる危険度(保有水平耐力と必要保有水平耐力の比)の目安と
して、建築基準法による要求水準1.0に対して0.5とすることを申し合わせています。こ
の程度の耐震性では、震度5強の地震により倒壊するおそれがあると考えられている」と
ある。
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【問41】正解2
1.適切。防犯に配慮した共同住宅に係る指針によれば、駐車場の照明設備は、床面にお
いて概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとされている(防犯
に配慮した共同住宅に係る指針第3.2.(8)イ)。
2.適切でなく正解。網入りガラスは防火上効果があるが、強度があるわけではなく、ガラス自
体が割れても落下しにくく音がしないので、防犯対策には適さないといわれる。また強化
ガラスは通常のガラスよりも強度があるとはいえ、割れた場合には粒状となり危険性が小
さいため防犯対策には適さないといわれる。
※まとめるにあたり、株式会社日本板硝子のホームページを参考にしました。
http://glass-wonderland.jp/index.html
3.適切。防犯に配慮した共同住宅に係る指針によれば、共用玄関の照明設備は、その内
側の床面において概ね50ルクス以上、その外側の床面において概ね20ルクス以上の平
均水平面照度をそれぞれ確保することができるものとされている(防犯に配慮した共同住
宅に係る指針第3.2.(1)エ)。
※問題文は一律に「床面においておおむね50ルクス」とあるので、「やや適切ではな
い」?
4.適切。防犯に配慮した共同住宅に係る指針によれば、エレベータのかご及び昇降路の
出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓が設置されたものと
されている(防犯に配慮した共同住宅に係る指針第3.2.(5)ウ)。
【問42】正解2
正直言いますが、カンです。
軽量床衝撃音とは、例えばスプーンを落としたときに階下に伝わる音である。したがって、
クッション性のある床であれば、階下に音は伝わりにくい。
4つのうち、一番クッション性があるのは、畳。逆にないのが、木質フローリングというのは
何となく分かる(この時点で選択肢1か2に絞られる)。
ニードルパンチカーペットと発泡塩化ビニルシート、いずれがクッション性があるのかは正
直、分からない。カーペットは何となくイメージができる。。ビニルシートというと、どうも遠足
に持っていった敷物を思い出す。そうすると、「ニードルカーペット>発泡塩化ビニルシー
ト」になる。
よって、「畳>ニードルパンチカーペット>発泡塩化ビニルシート>木質フローリング」の2
となる。
すみません。確かなことが分からないので、自己流の解き方です・・・。
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【問43】正解1
1.適切でなく正解。オーバーフロー管及び通気管には防虫網を設ける必要があるが(昭和
50年建設省告示第1597号第1二(6)(8))、水抜き管には必要はない。
2.適切。オーバーフロー管や水抜き管は、水槽への逆流を防ぐために、直接排水管に接
続せず、排水口空間を設ける必要がある(昭和50年建設省告示第1597号第2一ロ
(4))。
3.適切。給水管への逆流を防ぐため、給水管流入口端とオーバーフロー管下部との間に吐
水口空間を設けなければならない。
水槽
通気管
給水管
オーバーフロー管
排水口空間
排水口空間
水抜き管
4.適切。内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に、直径60cm以上の円
が内接することができるマンホールを設けるようにしなければならない(昭和50年建設省
告示第1597号第1二イ(4)(ろ))。
【問44】正解3
1.適切。排水トラップの封水深は、5cm以上10cm以下とされる(昭和50年建設省告示第1
597号第2三ホ)。
2.適切。排水横引管の最少勾配は管径により異なり、管径が大きくなるほど勾配は緩くなる。
管径75mmであれば、最少勾配は100分の1である。
3.適切でなく正解。貯水槽の容量は一般的に1日使用量の2分の1程度であるが、高置水
槽の容量は一般的に1日使用量の10分の1程度である。
4.適切。一般的に1建物あたり(各住戸と共用部分)の契約電力総量が50kW以上であれ
ば、高圧引込みとなる。
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【問45】正解3
1.適切。自然冷媒ヒートポンプ式の給湯器は、大気の熱を吸収した冷媒を圧縮して高熱に
することで熱源にするしくみであり、加熱効率が高い。
2.適切。交流の商用電源をインバータ装置でより高周波の交流電力に変換して点灯させる
ことにより発光効率が上がり、ちらつきも少ない。
3.適切でなく正解。熱交換器により、排出する室内の空気の熱を屋外から取り入れる空気
に移す(熱交換)ことにより、換気による室内の温度変化を防ぐ方法である。よって、排出
する室内の空気と取り入れる空気そのものを混合させるわけではない。
4.適切。1次熱交換器を加熱する際に発生した高温の排気を利用して、2次熱交換器を過
熱することにより、給水を予熱する方法であり、加熱効率が高い。
【問46】正解4
マンション管理適正化法の目的は、第1条に規定されている。
「この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に
伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、
マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンショ
ンの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な
居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与す
ることを目的とする。」
※マンション管理業者が登録制であることを覚えておけば、解けたと思います。
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【問47】正解2
1.誤り。マンション管理士という名称を用いて、専門的知識をもって、相談に応じ、助言、指
導その他の援助を行うには、試験に合格しただけでなく、国土交通大臣の登録を受けな
ければならない(マンション管理適正化法第2条第5号)。
2.正しく正解。禁錮以上の刑に処せられることとなった場合、国土交通大臣はマンション管
理士の登録を取り消さなければならない(マンション管理適正化法第33条第1項、第30
条第1項第2号)。
3.誤り。欠格事由に該当したり、不正手段で登録を受けたことによりマンション管理士登録
を取り消された場合、登録の取消しの通知を受けた日から10日以内にマンション管理士
登録証を国土交通大臣に返納しなければならない(マンション管理適正化法施行規則第
30条第2項)。しかし、名称使用の停止を命ぜられた場合には登録証を返納する必要は
ない。
4.誤り。マンション管理士は、5年ごとに国土交通大臣の登録を受けた者が行う講習を受け
なければならない(マンション管理適正化法第41条、マンション管理適正化法施行規則
第41条)。しかし、登録証の更新制度は規定されていない。
【問48】正解4
1.正しい。不正な手段によりマンション管理士の登録をしたことにより登録を取り消された者
は、取消しの日から2年を経過しなければ、管理業務主任者の登録を受けることはできな
い(マンション管理適正化法第59条第1項第4号)。
2.正しい。国土交通大臣は、管理業務主任者の事務の適正な遂行を確保するため必要が
あると認めるときは、その必要な限度で、管理業務主任者に対し、報告をさせることができ
る(マンション管理適正化法第67条)。これに反して報告をしなかった場合、30万円以下
の罰金に処せられる(マンション管理適正化法第111条第1項第1号)。
3.正しい。管理業務主任者は、その事務を行うに際し、マンションの区分所有者等その他
の関係者から請求があったときは、管理業務主任者証を提示しなければならない(マンシ
ョン管理適正化法第63条)。しかし、マンション管理業者の事務所に管理業務主任者証
を掲示する義務はない。
4.誤りで正解。管理業務主任者が事務の禁止の処分に違反したときは、国土交通大臣は、
その登録を取り消さなければならない(マンション管理適正化法第65条第1項第4号)。
取り消すことができる、のではない。
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【問49】正解3
管理組合には管理者が置かれており、従前の管理委託契約と同一の条件で更新するこ
とから、この場合の手続方法は次のとおりとなる(マンション管理適正化法第
①区分所有者等全員に対して・・・マンション管理業者は、重要事項を記載した書面を交
付しなければならない(マンション管理適正化法第72条第2項)
②管理者に対して・・・マンション管理業者は、管理業務主任者をして重要事項を記載し
た書面を交付して説明をさせなければならない(マンション管理適正化法第72条第3項)
1.誤り。区分所有者に対して重要事項を記載した書面を交付していないので誤り。
2.誤り。1肢と同様に、書面を交付していないので誤り。
3.正しく正解。上記①②いずれも行われているので正しい。
4.誤り。管理者に対して、重要事項の説明をさせていないので誤り。
【問50】正解1
1.正しく正解。マンション管理業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交
通省令で定める標識を掲示しなければならないが(マンション管理適正化法第71条)、こ
の標識には専任の管理業務主任者の氏名等が記載されている(マンション管理適正化
法施行規則第81条、別記様式第26号)。
2.誤り。マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務につ
いては、「一括して」他人に委託してはならない(マンション管理適正化法第74条)。つま
り、基幹事務の一部を他人に委託することができる。
3.誤り。マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務について、帳簿を作
成し、保存しなければならない(マンション管理適正化法第75条)。管理事務に該当する
のであれば、基幹事務以外の事務であっても帳簿を作成しなければならない。
4.誤り。管理者等が置かれている場合の管理事務に関する報告は管理者等に対してのみ
行えばよく、区分所有者全員に報告する必要はない(マンション管理適正化法第77条第
1項、第2項)。
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2006年度マンション管理士試験問題解説
2006.12 作成
Legal-cafe
Sapporo,Japan
著者ブログ http://legal-cafe.tea-nifty.com/blog/
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