第4回 供給曲線 ~生産者の行動と供給曲線~ 今日おぼえること 1. 供給の価格弾力性 ~ 供給曲線の傾き~ 2. 費用について – 「総費用」「可変費用」「固定費用」 – 「平均費用」「限界費用」 3. 供給曲線は何故右上がりなのか? – 完全競争について – 生産者余剰 2 供給のおさらい • 供給(Supply) – 「売り手が売りたいと思い、かつ、売ることの出来る 財の量」 • 供給曲線(Supply Curve) – 「価格と供給の関係を図で示したもの」 3 1. 供給の価格弾力性 • 供給の価格弾力性(Price Elasticity of Demand) – 「価格の変化に対して、供給がどのように反応するか を、変化率によってあらわしたもの」 – 変化率を使うのは、測定する単位を統一するため • おにぎりの価格が100円上がったときのおにぎりの供給の 上昇は、個数。 • ガソリンの価格が100円上がったときのおにぎりの供給の上 昇は、リットル。 – 変化率の定義(P1からP2に変化したときの変化率) P2 P1 P1 4 1. 供給の価格弾力性 • 供給の価格弾力性 価格 ① 価格が(P2-P1)/P1上昇すると、 ② 供給量が(X2-X1)/X1だけ増える。 ③ P2-P1=ΔP, P1=P, X2-X1=ΔX, X1=Xと ② ① すると、供給の価格弾力性εは、 X X P X P P X P 供給量 5 1. 供給の価格弾力性 • 供給の価格弾力性 が大きい(弾力的)と は? 価格 – 価格が上がった時に、 供給が大きく増える (=価格が下がった 時に、供給が大きく 減る) 供給量 弾力的な供給曲線 6 1. 供給の価格弾力性 • 供給の価格弾力性 が小さい(非弾力的) とは? 価格 – 価格が上がった時に、 供給が少ししか増え ない。 (=価格が下がった 時に、供給が少しし か減らない) 供給量 非弾力的な供給曲線 7 2. 費用について • 総費用(TC:Total Cost) 「生産にかかる費用全体」 • 可変費用(VC:Variable Cost) 「総費用のうち、生産量によって増大する部分」 • 固定費用(FC:Fixed Cost) 「生産の量とは関係なくかかる費用」 8 2. 費用について • 平均費用(AC:Average Cost) 「生産物1単位当たりの費用」 • 限界費用(MC:Marginal Cost) 「生産量を1単位ふやす時に、追加的に増える費用」 TC AC X TC VC FC TC dTC dAC AC MC AC X dX dX X 9 2. 費用について • 総費用曲線 – 総費用(TC)と TC 生産量との関 係を図で示した もの。 – 切片の高さが 固定費用(FC) VC となる。 – 総費用から固 定費用を引いた ものが可変費 用(VC)となる。 総費用曲線 F E G FC 生産量 10 2. 費用について • 平均・限界費用 – 原点と総費用 曲線を結んだ 線の傾きが、平 均費用(AC) – 総費用曲線の 接線の傾きが 限界費用(MC) TC 総費用曲線 F TC2 E TC1 G TC3 MC2 生産量 AC2 X3 X1 X2 11 2. 費用について • 平均・限界費用 平均費用曲線 生産量に対して、U字型 の曲線になる。その底に あたる個所を、限界費用 曲線が通る。 AC, MC 限界費用曲線 平均費用曲線 AC2 限界費用曲線 限界費用は生産量に対 して逓増するので、右上 がりの曲線になる。 AC3 AC1 生産量 X3 X1 X2 12 2. 費用について • 何故平均費用曲線はU字型なのか? – 右下がりの部分 「固定費用の占める割合が低下している」 – 右上がりの部分 「可変費用の占める割合が増加している」 • 何故、限界費用曲線は右上がりなのか? – 固定費用で設置した設備では賄えないほどの生産 をおこなう為(ex. たこ焼き屋の屋台で作れるたこ焼 きの個数の限界)。 • 全て、11ページの傾きで確認できる。 13 2. 費用について • 何故平均費用曲線の底を限界費用曲線が通 るのか? – 図形的解釈 11ページで、x1の生産量の時に、「原点から総費用 曲線に向かって引いた直線の傾き(平均費用)」と、 「総費用曲線と接する直線の傾き(限界費用が一 致する)」が一致する。そのx1を境に、平均費用を示 す原点からの直線の傾きは急になる。 – 数学的解釈 dTC dAC dAC MC AC X で、 がゼロなら、MC AC dX dX dX 14 3. 何故供給曲線は右上がりなのか? • 完全競争(Perfect Competition) ① 取引される財が同質である。 ② 売り手と買い手が小さく、十分に多いこと。 ⇒ プライス・テイカー(Price Taker) 「誰も、市場の価格に影響を与えることができない」 ③ 完全情報。売り手と買い手が、その財の価格や品 質について、十分な情報を得ている。 ④ 参入と退出が自由である。 15 3. 何故供給曲線は右上がりなのか? • 供給量の決定 – 価格は、個々の企業が決定 P, MC できず、Pで固定されている (プライス・テイカー)。 – ■が企業の利益、 ■が企業 の払う費用になる。企業の売 り上げは、 ■と■の合計。 – X4からX5に生産量を増やすと、 P 赤字になる。 – 企業は、 ■の面積が最大に A1 A2 A3 なるX4だけ生産を行う。 – 価格が低下して、破線のライ ンまで下がると、生産量はX2 に下がる。 B2 B3 – ■の面積が、生産者余剰 X1 X2 X3 (Producer Surplus)である。 限界費用曲線 生産量 X4 X5 16 3. 何故供給曲線は右上がりなのか? • 1社1社の供給曲線と市場全体の供給曲線 価格 P1 P2 生産量 XA1 XA2 X1B X2B X1A+X1B X2A+X2B 17 3. 何故供給曲線は右上がりなのか? • 1社1社の生産者余剰と市場全体の生産者余剰 価格 P1 P2 生産量 XA1 XA2 X1B X2B X1A+X1B X2A+X2B 18 4. 練習問題 問1. 総費用曲線がTC=3X+100、生産量が10の 時に、①から⑤の費用の値は幾らだろうか? 総 費用曲線のグラフはどのような形になるか? ① 総費用 ② 可変費用 ③ 固定費用 ④ 平均費用 ⑤ 限界費用 19 4. 練習問題 問2. ある企業の限界費用曲線は、MC=3Xである。 ① 完全競争状態にあり、市場価格が30であった とき、この企業はどれだけ供給を行うか? ② その時の生産者余剰はいくらか? ③ 固定費用が100の時、この企業は生産活動を 行うだろうか? 300の時はどうだろうか? 20
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