2003年1月12日 IBMの合理化 このところIBM社から大きなニュースが続けて出てきています。まず赤字が 続いていたハード・ディスク・ドライブの事業から撤退を決め、全面的に日本の 日立に事業を譲渡することになりました。先日はハンガリーの工場の閉鎖が報告 されました。また先週は米国のEMS大手のサンミナSCIとソレクトロンと3 年間のアウトソーシング契約を結んだことが発表されました。これらの一連の動 きにより、IBMは世界に散在するかなりの数の事業所を整理し、同時に少なく とも2∼3000人の人員を削減することになります。IBMはこの十数年の間 に何回か厳しい経営状況に直面し、その都度厳しい合理化をせざるをえませんで した。今回はIT不況下とはいえ、破滅的な状況は伝えられているわけではあり ません。過去の教訓に学んだ、転ばぬ先の杖ということでしょうか。一方で分子 レベルの超精細回路の技術開発などは、さすがにコンピュータの巨人であるIB Mの底力を感じます。 大手EMSメーカー側では、一連のIBMの動きはひさしぶりのマルチビリオ ンドルの大型プロジェクトということでわいています。この2年間低迷している 大手EMSメーカーにとっては干天の慈雨かもしれません。しかしマーケット全 体でみれば、新たな市場が創リ出されるわけではありません。むしろ低成長下で の環境で、限られたパイの取合いとなり、厳しい競争とメーカーの淘汰が進むの かもしれません。 プリント基板、パッケージング関連トピックス 2003/1/12 1.ロシアの携帯電話 12/26 モスクワ地域での普及率は40%に、今年中には全国で12%に 詳細 現在ロシアにおける携帯電話の登録台数は、約1800万台となり2001年 に比べて2倍以上になった、と報告されている。中でもモスクワ地域で720万 台の携帯電話が使用されており、ロシア全体の40%を占めている。また200 2年末には、全ロシアにおける携帯電話の普及率は12%に達する見込である。 以前のロシアでの携帯電話利用者は、モスクワ地域とセント・ペテルスベルグ地 域に限られていたが、昨今は他の地域の利用者が増えており、ロシア全体の普及 率増加に貢献していると分析されている。その他の地域では3.1%から6. 4%へ増加した。2003年は、逆にモスクワ及びセント・ペテルスベルグで携 帯電話がいわゆる飽和状態になり、成長速度は緩やかになると予測される。20 -1- 03年のロシア全体における携帯電話の登録台数は、3050万台に達する見込 である。ロシアの人口は約1億4300万人と発表されている。 2.エリート・マテリアル(台湾のプリント基板材料メーカー)12/26 売上見込みについて2回目の下方修正で、13億台湾ドルに 詳細 台湾のエリート・マテリアルは、2002年の売上げ予測をさらに下方修正す る、と発表した。先の報告では、売上げを16億7000万台湾ドルから17. 66%減の13億7500万台湾ドルへ、税引き前利益4995万台湾ドルから 税引き前損失7353万台湾ドルへ、税引き後利益5840万台湾ドルから税引 き後損失6381万台湾ドルへ、1株当り税引き後純利益0.35台湾ドルから 純損失0.38台湾ドルへ、それぞれ下方修正した。第1回目の下方修正以降、 同社は予想以上に製品の価格下落と出荷量減少に苦しみ、営業外費用がかさみ損 失が増大したため、第2回目の下方修正を決定した。第2回目では、売上目標を 4.15%減の13億1800万台湾ドル、税引き前損失予測を1億2500万 台湾ドル(1株当り0.75台湾ドル)へ、それぞれ下方修正した。 3.ITEQ(台湾のプリント基板材料メーカー)12/26 11月の売上は最高を記録した10月から10%減少して1億52百万台湾 ドルに、それでも年初からの累計は前年比で26%の増加 詳細 台湾でプリント基板用材料の銅張積層板(CCL)、プレプリグ(PP)、マ スラミネーション・パネル(ML)を製造しているITEQは、2002年1月 から11月までの1株当り利益が1.2台湾ドルであった、と報告した。同社の 2002年11月の売上げは1億5200万台湾ドルであり、同年10月に記録 した過去最高の1億6900万台湾ドルから10%減少した。それでも同社の1 1ヶ月の累積売上げは15億6000万台湾ドルで、前年同期比で26.5%の 増加となり、2002年通期の売上目標の87.1%を達成したことになる。ま た11ヶ月の税引き前利益累計は9700万台湾ドルで、通期の目標の83.6 2%を達成した。同社は現在台湾国内に、月産能力18万シートのCCLと、5 0万平方フィートのMLの製造設備を有している。しかし昨今の中国におけるプ リント基板市場の急成長に着目して、広東省東莞に生産工場を建設した。同社は 東莞工場で第1フェーズの製造を立ち上げ、2003年2月に第2フェーズの製 造も開始するという。さらに同社は江蘇省呉県に中国第2工場を建設中であり、 2003年9月に完成予定である。東莞工場及び呉県工場の月産能力はそれぞれ、 CCL12万シートとCCL8万シートとなる予定である。 -2- 4.コンパル (台湾のPCメーカー) 12/27 2003年の生産は前年比で25%成長の500万台を見込む、中国への製 造移管も進み、2003年中には70%が中国で生産 詳細 台湾のノートブック型PCメーカーであるコンパル・エレクトロニクスは、2 003年の生産台数を、前年比で25%増加の500万台とする計画を発表した。 これはデル・コンピュータ等の顧客からの注文の増加に対応するためだという。 また同社は、2002年に300万台生産した携帯電話を、2003年には10 00万台生産する計画も発表した。現在同社は中国への製造移管を推進中で、2 002年に50%であった中国での製造比率を、2003年には70%にする計 画である。2002年に2930万台であった全世界のノートブック型PCの出 荷は、2003年には3430万台になると予測されている。また2002年に 台湾企業が生産したノートブック型PC割合は、全生産の2/3を越えるという。 5.コマーシャル・タイムス(台湾の経済誌) 12/27 大手メーカーの中国での製造能力の増大に伴い、ノートブックコンピュータ の需給は完全に能力過剰に 6.アスーステク (台湾のマザーボードメーカー大手)12/30 中国蘇州での生産能力の増強のために1億1550万台湾ドルを投資、20 03年の売上は1000億台湾ドルを越える見込み 7.エルコテック (フィンランドのEMS最大手) 12/30 ポーランドの工場をフランス系の現地会社へ売却の計画 8.インド 12/30 プリント基板用の銅張積層板材料に輸入に関して、韓国、中国、台湾、その 他の国々のメーカーに反ダンピング法の適用を申請、紙フェノールが対象か 詳細 インドではプリント基板用の銅張積層板材料の輸入に関して、韓国、中国、台 湾など 7 ヶ国のメーカーが、反ダンピング法に抵触するかどうかの調査を開始し た。先にグジャラット・ペルストープ・エレクトロニクス(GPEL)が、7か 国からインドに輸入される当該製品に関する反ダンピング法の適用を申請してお り、他のいくつかの国内メーカーも同社の申請を支持する立場を表明していた。 -3- 9.バオ・チェン・エンタープライズ(台湾) 12/30 日本のCMK社と合弁(台湾が51%)で中国にプリント基板製造会社を設 立の計画 10.トライポッド(台湾のプリント基板メーカー) 12/31 11月の生産は過去最高の4億2千万台湾ドルに、携帯機器用の製品が牽引 11.CPT (台湾のディスプレイメーカー)12/24 2003年1月で国内のCRTディスプレイの生産を全て停止、中国工場へ 移管、今後台湾の工場はLCD、PDPを生産 12.IBM 12/31 ハード・ディスク・ドライブ関連の事業を生産設備の日立への売却を完了 13.ファースト・インターナショナル(台湾の基板メーカー)1/1 日本のゲームメーカー任天堂からゲームキューブ用のプリント基板の受注に 成功、全体の需要量の70%を供給の計画 詳細 台湾のファースト・インターナショナル・コンピュータは、子会社の3CEM Sグループが、日本の大手ゲームメーカーの任天堂から、ゲームキューブ用のプ リント基板の受注に成功した、と発表した。これにより3CEMSグループは、 2003年にゲームキューブに使用されるプリント基板の、70%を供給する計 画であるという。また同社は、既にマイクロソフトのXbox用プリント基板の 主要サプライヤーでもあり、一ヶ月当り30万∼40万セットを出荷していると いう。マイクロソフトはXboxの新作を製作する計画があるため、こちらの出 荷も今後増大が期待できる。 2003年はゲームキューブ、Xbox、ソニーのPS2、その他のゲーム機 器が貢献して、台湾では4620万台の市場規模を形成する見通しである。現在 大手ゲーム機器メーカーは、その生産を台湾へ発注するため、台湾はゲーム機器 のOEM生産国として世界のリーダーとなっている。台湾製のゲーム機器の世界 シェアは、2002年の25.71%から2003年には47.51%まで増加 すると予測されている。 14.ガル・テクノロジー(シンガポールのプリント基板メーカー)1/1 不良在庫の整理を行ったために、2002年度の損失が拡大 15.デル・コンピュータ(米国) 1/2 ニュージーランドでのパーソナルコンピュータの生産を拡大へ -4- 16.オートスプライス (米国) 1/2 ICのスタックト・パッケージのために、新しい技術、FSI(Flange Stacking Interconnects)を開発 17.STATS(シンガポールの半導体組立メーカー)1/2 米国の半導体メーカーコネクサント社のサンディエゴ工場の試験設備を買収 することで合意 18.MFSテクノロジー(シンガポールのフレキシブル基板メーカー)1/3 カラー液晶表示モジュール用に高密度フレキシブル基板、32百万シンがポ ールドルを追加受注 前半期の売上は45%増加、しかし価格下落のために利益は減少 詳細 さきごろシンガポールのMFSテクノロジーは、3200万シンガポールドル 相当の高密度フレキシブル基板の追加受注を獲得した、と発表した。同製品の用 途は、カラー液晶ディスプレイ・モジュールであるという。このため同社は、こ の受注が2003年の業績に大きく貢献する、とコメントしている。同社は今回 の受注に対する出荷を、2003年3月末までに完了する予定だと報告した。 一方同社の2002年会計期(2002年9月末)の売上げは、フレキシブル 基板事業が貢献して、前年の6190万ドルから45.2%増の8990万ドル となった。しかし税引き前利益は前年の1490万シンガポールドルから44. 5%減の、830万シンガポールドルとなった。 (注)このニュース記事の正確さには万全を期しておりまが、同時に速報性も重 視しております。従って、この情報だけに基づいて行動を起こされること はお勧め致しません。 以上 プリント基板、パッケージング関連イベントスケジュール イベント / 開催期間 /場所/論文申込み期日 January 2003 Internepcon Japan/Jan.22-24/Tokyo Big Site, Japan/ -5- February 2003 #IPC Flex and Chip Conference/Feb. 10-12/Tempe, Arizona/Nov.20, 2002 #8th Pan Pacific Microelectronics Symposium/Feb.18-20/Kohara Coast, Hawaii/Aug.23 March 2003 # 12th PCB Design Conference West & HDI Expo/Mar.10-14/San Jose, CA/Aug.30, 2002 # CPCA Show 2003/Mar.12-14/Shanghai,China/ # Intertronic 2003/Mar.25-28/Paris, France/ # IPC EXPO 2003/Mar.23-27/Long Beach, CA/Jul. 26, 2002/ www.ipcprintedcircuitexpo.org # 9th International Symposium & exhibition on Advanced Packaging Materials/Mar.2628/Atlanta, GA/Oct.10, 2002 #APEX 2003/Mar.31-Apr.2/Anaheim CA/ April 2003 # IMAPS 2003/Apr.8-9/Denver, CO/Nov.15, 2002/ www.imaps.org # NEPCON SHANGHAI (EMT CHINA)/Apr. 8-11/Shanghai Everbright Convention & Exhibition Center/ May 2003 #EIPC Spring Conference/May 15-16/Prague, Czech/Dec. 20,2002/www.eipc.org # 53rd Electronic Components & Technology Conference/May 27-30/New Orleans, LA/Oct.15, 2002 June 2003 #JPCA Show 2003/Jun.4-6/Tokyo Big Sight, Japan/ # the SMTA Boston 2003 Conference, "Flip Chip and BGA Packaging Technologies Workshop"/June 9-11/Boston, MA/Jan.15, 2003, www.smta.org July 2003 #FINETECH JAPAN (The latest exhibition & conference of FPD)/Jul.2-4/Tokyo Big Sight, Japan/ September 2003 #SMTA International Conference/Sep. 21-25/Chicago, IL/ www.smta.org -6-
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