小児がん患者の在宅ターミナルケアの体制と医療

厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)
分担研究報告書
小児がん患者の在宅ターミナルケアの体制と医療チームの役割の考察
研究分担者 押川真喜子 聖路加国際病院 訪問看護ステーション 所長
研究要旨
小児がん終末期の QOL を高めるためには、在宅で子どもや家族が豊かな時間を過ごせる選
択肢をもてることが望ましい。そのためには、小児がん終末期における在宅療養を支援す
る体制を整えることが必要である。そこで、本研究では、これまでに子どもが小児がんの
終末期在宅ケアを受けた家族 30 例のうち、承諾の得られた 15 例にインタビューを行った。
その内容は、在宅ケアの経験と感想、実際に受けた支援内容、支援への要望などである。
来年度は、この内容を分析・検討し、医療チームの在宅での支援のあり方や、社会資源の
必要性などを検討する予定である。
研究協力者
吉川久美子(聖路加国際病院 副看護部長)
山本光映 (聖路加国際病院 アシスタン
トナースマネージャー)
平林優子 (聖路加看護大学 小児看護学
准教授)
A.研究目的
小児がん終末期の QOL を高めるためには、
在宅で子どもや家族が豊かな時間を過ごせ
る選択肢をもてることが望ましい。そのた
めには、小児がん終末期における在宅療養
を支援する体制を整えることが必要である。
そこで、本研究では、子どもが小児がんの
終末期在宅ケアを受けた家族の、在宅ケア
の経験と観想、実際に受けた支援内容、支
援への要望などを明らかにすることを目的
とした。
B.研究方法
当院では、小児がんの子どもの終末期在
宅ケアを 1992 年に小児の訪問看護が可能
になった時点から 30 例実施してきている。
この 30 例の両親に対して、在宅ケアを中
心とした振り返りを行うため、インタビュ
ー協力お願いの通知を郵送した。その結果、
15 例に承諾の返答があった。同時に、1.終
末期在宅ケアへの意志決定と準備 2.在宅
ケアにおける家族の対応の実際や困難 3.
子どもの終末期の中での在宅ケアの位置づ
け 4.在宅ケア支援者への期待と実際、評価
5.終末期在宅ケアへの支援への要望に関し
てインタビューガイドを作成した。
(倫理面への配慮)
対象者には十分な説明と理解の上で納得
し自由意志による参加が行えるようにする。
対象者の利益を損なわない措置をとり、対
象者の個人情報保護に努める。
本研究の主任研究者および共同研究者は,
対象となる個人の人権擁護に努め、国の倫
理指針および聖路加国際病院研究倫理審査
委員会によって承認された内容を遵守する。
C.研究結果
承諾の得られた 15 例の家族に、インタビ
ューを行った結果、全例に在宅を選択した
ことに後悔は見られなかった。
D.考察
今後、15 例の家族へのインタビューの内
容を分析することで、医療チームの在宅で
のサポートのあり方や、必要な社会資源な
ど、小児がん終末期における在宅療養が充
実する体制が明らかになると思われる。
E.結論
在宅終末期ケアは、小児にも必要な選択
肢であると考えられる。
F.研究発表
1.論文発表
なし
2.学会発表
なし
(発表誌名巻号・頁・発行年等も記入)
G.知的財産権の出願・登録状況
(予定を含む。)
1.特許取得
なし
2.実用新案登録
なし
3.その他
なし