The Rope News The Rope News

The
The Rope
Rope News
News
Model Ship Builder's Club
ザ・ロープニュース
No.79
2013年4月30日
発 行日 :1,4,7,10,月 の 各末 日 (年 4回 )
企画・発行:ザ・ロープ幹事会 編集:安藤雅浩
Issued quarterly in Jan. Apr. Jul.Oct. Published by The board of The Rope. Editor:M. Ando All rights reserved.
展示会
Exhibition 2013
第38回帆船模型展を開催
The Rope 38th Annual Exhibition
第38回ザ・ロープ帆船模型展を4月14日(日)から20日(土)までの7日間、JR有楽町駅前の東京交通会館「ゴー
ルド・サロン」で開催した。出品数は69点。内訳は会員の出品が51点、一般出品1隻、アメリカの姉妹クラブSMAから
の出品6隻、横浜帆船模型同好会から1隻、マイ・シップ・クラブからの2隻および帆船模型教室からのチャールズヨ
ット8隻であった。会場にはウッディジョーさんとマイクロクラフトさんから贈呈された生花が華やかさを添えた。
全国同好会の仙台、福島、マイ・シップ・クラブ、横浜、浜松、津、大阪から来場され、パーティへも参加戴いた。
爽やかな気候の4月開催は今回で2回目で、今後も4月開催が続く。初日14日は午後から開催の半日であったが、
650名の来客があり、汗ばむ程であった。会期中の延べ来場者は3,500名を超えた。
展示会場 Exhibition hall.
休憩所と会の活動紹介コーナー
Introduction of the activites of The Rope was exhibited on the panels as well as by the monitor
especially arranged on the desk for a break of the visitors.
今回38回展の特徴は① 出品点数が多く、新作が69点に達した。会場の広さから略一杯になった。作品の平均
レベルは少しず向上しており、今年は構造模型の出品が多かった。
② アメリカの姉妹クラブSMAから素晴らしい帆船模型6隻の持参出品があった。内2隻はフランスからの出品。
③ 作品の写真撮影のため別会場を3日間借用した。この結果、休憩コーナー、会の活動掲示(広報)およびキットの
紹介コーナーが確保出来た。
④ 地下道通路のショーウインドーは葛飾北斎の絵をモチーフにして千石船にスポットを当てたディスプレーにした。
下記は会場設営に始まりSMAからのゲスト10名来日、作品の写真撮影とパーティのスナップ。
ボランティアによる会場設営 The exhibition hall was arranged and organized by volunteers of The Rope.
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作品のセット
SMAからの作品搬入
写真撮影
Layout of the models was sorted by country of origin of the ships with flags. The members of The
Ship Modelers Association,SMA,brought 4 models from California and 2 models from France.
Each model was brought in a separate room for photograph.
リポーゾ銀座での記念パーティ
SMAダン氏の挨拶
Welcome party for SMA delegation was held at a restaurant RIPOSO GINZA on April 19.
Don Dressel of SMA delivered a speech.
例会・研修会
General meeting and Workshop
第3回例会と講演
Third general meeting were held on Feb.17.2013
第3回例会と講演会を2月17日(日)午後1時30分、日本橋のサリュ・コパ
ンで開催した。参加者約50名。サリュ・コパンが入居するDIC(大日本インキ)
ビルは耐震性の面から建て替えが決まったため、サリュ・コパンでの例会は
今回が最後になった。例会の次第は連絡、講演会および懇親会。
例会の議題は2ヵ月後になった第38回帆船模型展準備についてで、田
中会長より全般事項の説明があった。作品の写真撮影に別室借用、SMAか
ら10名来日のことおよびパーティなどについて説明。続いて展示会担当の
木村幹事より展示レイアウト、搬入・搬出時の注意、協力の依頼および留意
事項など詳細説明があった。その外、高橋幹事から帆船模型教室から8作品の出品、安藤幹事から研修会の状況、
中山さんからホームページのアクセス状況について説明があった。
クラフトマンのための電動工具
Power Tools for Craftman
(株)東洋アソシエイツ 古川 友美
by Toyo Associates,Ltd Tomomi Furukawa
東洋アソシエイツは電動工具を取り扱う会社で本社は武蔵村山市で、東京
営業所は台東区にある。取り扱うブランドはマイスター(Mr.Meister)、台湾の
会社レクソン(REXON)、補修材のユーメタル(U-METAL)およびドレメル
(DREMEL)の4つで、メインはマイスターである。取り扱い商品は小型旋盤、
小型フライス盤、ハンドピースグラインダー(ルーター)、バンドソー、丸鋸、ボ
ール盤その他である。それぞれの機能と動画による作業工程の説明があっ
た。先ずはマイスターの高級ルーターから。
① 精密ハンドピースグラインダー(ルーター) HP-200,HP-300
古川さん T. Furukawa
大半のモデラーがルーターを持っているが、製作ステップの向上に応じ
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て回転軸のブレがなく、変速範囲
の広いルーターが欲しくなってく
る。HP-200は回転数0~35,000
rpm、正転・逆転機能付、径φ3.0
mm軸、φ2.35mm軸、65W、トルク
220gf/cm、フットスイッチ付。
ルーター Router Type HP-200
HP-300はHP-200の上位機種で
Type HP-300
回転数2,500~35,000rpm、正転・
逆転機能付、径φ3.0mm軸、φ2.35mm軸、80W、トルク480gf/cm、無段変速対応フットスイッチ付。先端工具の刃は
多数あり。ルーターの先端工具取替は簡単で、脱
ビットの脱着方法
先端工具の
取り外し
ハンドピースを
右にひねると
ロックでき、
交換終了
着方法は左図の通り。後で特別販売価格の提示
があり、HP-200に多数の注文があった。
② ドリルプレスHQ
ルーターHP-200、HP-300をボール盤として使う
ためのドリルプレス。HP-300の場合、ルータ
ー2台の接続が可能で、下写真のような使い方
も出来る。
ハンドピースを
左にひねると
ロックが外れる
先端工具の
差し込み
③ ハンドピースグラインダー PT-αⅡ
ビギナー向けの小型ペンタイプルーターで、先端工具15
ドリルプレスHQ Drill Press HQ
個がセットになったもの。このルーター用に簡易ドリルプレス
LITEもある。安いので一番売れている。
④ 精密ミニ旋盤 Compact3、万能精密旋盤
Compact7、精密卓上旋盤 Compact9、いずれ
も小型卓上旋盤で価格も格安になっている。
⑤ 卓上フライス盤 Little Milling1 and 9
⑥ 材料を保持するための道具
(1) ハンドバイス
リギングブロックなど手では保持しにくいものを
掴むのに便利なバイス。
ペンタイプルーターとドリルプレス Router PT-αⅡand Press
小物を挟み込み楔を差し込んで固定する。
⑦ D-バイス
小物固定用バイスで、通常のバイスと異なり
主柱の根元が球状になっているので、傾けたり
360度回転させることが出来る。
⑧ 見えない手袋「ろくぶてくん」
ハンドバイス Hand Vise
ろくぶては手袋の反対読みの商品名。塗料や油類を扱う時に手袋の代わりに使う
クリームで、作業後は汚れを水洗いで簡単に落とせる優れもの。
Dバイス D-Vise
小指の先ほどの量を取り出し、手にまんべんなく延ばして塗り込む。少し乾燥させてから
作業を行い、終了後水洗いする。手で材料を
直接持てる。成分はグリセリン、石鹸用素地、
珪酸ナトリュウム。
例会で全員にサンプルの配布があった。
ろくぶてくん使用法 How to use Rokubutekun
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懇親会
例会・講演会のあとは別室の宴会室で、恒例のパーティになった。
展示会まで残り2ヵ月、会場準備は順調に進み、出品予定の帆船模型も完
成済みの方は余裕がありドリンクを楽しんでいるが、まだ完成に至らない方は
どうするかの懇談に力が入る。ロープの展示会は新作で且つ完成品の出品が
原則になっている。でも完成度は自主性なのでほどほどに----。
宮島さんの乾杯
奥村さんの挨拶
Opening toast by T. Miyajima
研修会
田中さんのお開き
Comment by Y. Okumura
Closing address by Y. Tanaka
Workshop
第5回帆船模型製作研修会を開催
Fifth Workshop
2月23日(土)12時30分より水道橋の会議室「内海」で第5回帆船模型製作研修会を開催した。今回も第一部「製
作フォローアップ懇親会」、第二部は講師5名による発表・質疑で進めた。第一部では製作中の模型を持ち込んで
の質疑や自己流の意見などが相次いだ。
鳥羽さん Y. Toba
羽仁さんK. Hani 縦帆とフープの結び方 Gaff sails fitting to the mast with hoops.
鳥羽さんはウッデイ・ジョー社のキット「ゴールデン・ハインド」縮尺1/50を製作している。船底は船喰虫対策の白
色塗装を予定しているが、キット図面には塗装ラインの指示がない。塗装の基準ラインについて質疑があった。
一般的にガレオン船のキールは船首部分が3~5度程度上向きになっているが、キットによってはその指示のないも
のが多い。塗装ラインは喫水線より少し上になり、ウエールの下面に近いところになる。
羽仁さんはコーレル社のキット「ラ・トルネーズ」を製作しているが、縦帆をマストのフープに結ぶ方法が図面に画
かれていないとのことから、いろいろな意見がでた。イラスト本「船の知識」に掲載の図について紹介があった。
松本さんはモデルシップウェイ社のキット
で南北戦争時の魚雷艇「ピケットボート」縮
尺1/24を製作中で、今回は完成した蒸気
ボイラーとエンジンを紹介した。半田付け
が苦手でエンジンの組立は瞬間接着剤を
使い、ボイラーの箍は真鍮帯で、大砲の
塗装はMr.カラーの金属色を使っている。
松本さん Y. Matsumoto
蒸気エンジン Steam engine
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ラジコンのエンジン風の雰囲気に仕上が
っている。
田中さん
T. Tanaka
バンドソー用アタッチメント Attachment for bandsaw
土屋さん
K. Tsuchiya
田中さんは板の製材にプロクソン社のミニバンドソーを使っている。同じ板幅の切り出しガイドにザ・ロープオーサ
カの大槻さんが作ったアタッチメントをテーブルに固定して使うと上手く切れると紹介があった。アルミの成型材を利
用した簡単なアタッチメントである。なお、帯刃は幅3.5mm、14山から金属用の5mm幅、24山に取り替えている。
土屋さんは桜の板材を静岡から多数持参し、希望者に配布した。
ボートダビット Boatdavit
銅パイプ製ベンチレーター Venchlator
佐藤さんは製作中のイギリスの機帆船「ビーバー」縮尺1/64を持参し、
佐藤さん
船底の銅板貼り、艤装のボートダビット、ベンチレーター、外輪カバー
K.Sato
などについて説明した。銅板は糊付きフォイルを使い、メタルプライマ
ーを塗って後、黒いラッカーで仕上げた。精密に作られたボートダビット、銅パイプで作ったベンチレーターは半田
仕上げ、両舷の外輪カバーはペアウッド(洋梨)で製作した。
ヒヤシンスの製作
第2回
Progress of LA JACINTHE.
-艤装-
川島 壮介
-Fitting-
by Sosuke Kawashima
1825年のスク
ーナー 「ヒ アシン
ス」縮尺1/48をブ
ードリオの図面か
ら製作している。
船体が完成した
ので艤装品を製
作している。
川島さん
S. Kawashima
デッドアイ取付リングとチェーンの製作
Making rings for deadeyes and chains.
① デッドアイ取付リングとチェーンの製作
リングは径0.5mmの真鍮線を径4mmのドリルにコイル状に巻き付け
て、1巻毎にカットし、両切断口を銀ロウ付けする。チェーンは真鍮帯板
幅1.8mm、厚み0.3mmと幅1.0mm、厚
み0.3mmを半田付けし、幅1.0mmの先
端を折り曲げる。先に出来た輪を瓢箪
状に成型しデッドアイとチェーンを組み
込む。
←船体への取付
Fitting
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② カロネード砲の製作
カロネード砲の砲身はカルダークラフト製を
インターネットショップから購入した。
縮尺1/48の12ポンド砲。砲台を製作して船
体に取り付ける。
③ マストとヤードの製作
マストとヤードは芯出しのため桧の角材を4
本、田の字形に組み合わせて切削加工する。
Carronade gun barrel and fitting.
カロネード砲身と船体取付
④ ヤードのフートロープ製作
フートロープの製作で肝心なのはロープを吊すストラップを垂直に垂らす
ことで、曲がっていると違和感がある。そのため、ストラップは径0.3mmの真
鍮線を2つ折りして、ロープを通す輪を作り撚って作る。ヤードへは穴を開
けて差し込み接着する。次に接着場所の周囲にダミーのロープを巻き付
け、真鍮線をロープと同色で塗装する。
⑤ ヤード、ブーム、ガフの製作
小さなヤード、ブームおよびガフの先端にある径の大きいクリートは紙を
巻いて径を大きくした。また、ヤード両端のスタンスルヤード支持金具の
stirrup
輪は半田付けで製作した。
フートロープ用ストラップの製作
Making stirrup for foot rope.
ピーターパンの海賊船
赤道 達也
Peter Pan's pirate ship
by Tatsuya Akamichi
ピーターパンのお話が好きで、夜明
けのテームズ河上空を飛ぶ海賊船を
想像して製作した。
縮尺は使用したフィギャーの縮尺に
合わせて1/85に決め、船体は1750
年頃のガレオン船を参考にして、キー
ルとフレームの図面を画いて作った。
帆は膨らんだ状態にした。また、スタ
赤道さん T. Akamichi
海賊船 Pirate ship
サー・ウィンストン・チャーチルの製作
ーンの飾りも想像しながら精密さに拘
らず楽しみながら彫刻した。
塩谷 敏夫
Progress of SIR WINSTON CHURCHILL
by Toshio Shioya
ウッディジョー社のキット「サー・ウィンストン・チャーチル」縮尺1/75を製作している。キットに付属する材料とは異な
る材料を使ってグレードアップした。主な変更は ①甲板材の変更---幅4mmの桧板を幅2mmの朴に取替え、舷側を
ジョグリング仕上げにした。 ②ブルワーク内側にあるフレームの厚みを4mmから1mmに変え、本数も12本から26本に
増やした。 ③金属製グレーチングを厚さ0.7mmのシナ材と取り替えた。④キャビンの窓ガラスを透明プラスチック板に
した。⑤その外、シャックルを真鍮棒で製作、バウスプリットに保護ネットを追加した。これでシェープアップした。
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塩谷さん
T. Shioya
デッキの追加工作
Addial work of the deck.
窓ガラスを追加
Adding windows.
グレーチング材の変更
Upgrading materials for gratings.
マスト桁の製作
Making beams.
サー・ウインストン・チャーチル
SIR WINSTON CHURCHILL
栗田 正樹
チャールス・モーガンの製作
Progress of CHARLES W. MORGAN
by Masaki Kurita
栗田さんの発表はアイパッドミニをプロジェクターに接続して行った。
アイパッドに記録の画像を検索したり拡大縮小するのが手早くて、時代の
趨勢が感じられる。3年前からモデルシップウエー社のキット「チャールス・モ
ーガン」を製作している。製作が休日になるためペースは遅いが、焦らずゆ
ったりと構えて、造船工作を楽しんでいる。モデルシップウエーのキットは図
面が詳しいが、材料にやや不満足なところがあり別の材料を使っている。
製作に必要な工具類は各位お持ちの物と大差はない。製作時の留意事項
は① 図面は金がかかるがコピーセンターで1セット追加で準備している。
栗田さん
M. Kurita
キット付属図面は保存用にし、コピーに書き込み、切り取りに利用する。
開いたり畳んだりで折り目が破れると障子紙で補修している。また、モデル
シップウエー社は図面を別売りしていて追加購入が出来る。アメリカからの送
料込みでもコピーセンターより安い。
② 型紙、方眼紙、トレーシングペーパーをよく使っている。トレーシングペー
パーで写した図面から厚い型紙を作る。艤装品は取り付けると微妙に合わ
ないことがあり、型紙で確認しながら工作している。 ③塗装はエアブラシ、缶
ボートダビット
Boat davit
スプレーが中心で筆塗りは補修程度にしている。塗装ブースは段ボールで
リンゴ箱程度の物を作り、塗装時は有機溶剤用マスクを着用している。
塗装作業には事前準備、エアブラシの事後洗浄などに手間がかかるので、
纏めて行っている。
3年前の発表は船底の銅板貼り関係であった。今回は甲板上の工作物、
マスト、ヤードなどの工作になる。
船体の塗装は白、黒の順に行った。白色は隠蔽力があり、発色の良い鉄道
模型用のグリーンマックスを使用。舵を取り付けてから舵取りのステアリング
ギヤ、カバーボックスを取付、船尾ハウスを組み立てた。捕鯨船の特徴であ
ボート支えの取付 Fitting boat beares. る釜周りの工作は雰囲気を表現するのに腐心している。帆船模型は製作
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に3年かかれば3年間鑑賞出来るとも言われており、チャールス・モーガンもその例になると思われる。
塗装が終了
Paintig and deck fitting were completed.
ヤードのトラス製作とジャックステイの取付
Making Iron trass and Jackstay.
私のストラクチャーモデル
村石 忠一
My Dock・yard Model
村石さん
C. Muraishi
by Chuichi Muraishi
50門艦 The 50 Gun Ship
参考書 NRJ 2004.Spr.Vol 49 No.1
村石さんはイギリスの1695年「50門艦」を縮尺1/60の構造模型で製作している。本艦は12ポンド砲、130フィー
ト級、700トンの4等級艦リッチフィールドである。製作の動機はカリフォルニアのNRGが出版しているNRJ (Nautical
Research Journal)2004年春号に掲載の構造模型写真を見て作る気になった。図面はに掲載の相当古いものを基
にして、横浜帆船模型同好会の飯沢さんにフレーム図を画いて貰った。飯沢さんの作図ソフトは2つのグラフィックソ
フトで、3次元の曲線が画けるシエード(Shade)と2次元の曲線が画けるコーレルドロー(CorelI DRAW)である。
これらのソフ
トは自由な
曲線描写と
数値制御で
CAD並の図
面 が 画 け る。
飯沢さん
にフレーム
図の 作 成を
古い設計図 Old plan
飯沢さん作図のフレーム図 K. Iizawa's flame plan
依頼する際、
古い図面に記載の砲門間隔10ftと隅に記載の1ft=5mm(1/60)を基準にして、独自の縮尺1/60にした。
完成したフレーム図はシングルフレームでA4サイズ77枚になった。良くできた図面で図面通り作ったフレームを
組み立てていくとラインがスムーズに繋がっている。なお、ビームなど内部構造の図面はないので、想像しながら製
作する。50門艦は村石さんが手掛ける最初の構造模型であるが、流石に彫刻で技を見せる村石さんならではの素
晴らしい出来映えである。船首付近のヘッドレールなどはこれからになるが、完成が待ち遠しい。
フレーム材はペアウッド(洋梨)の厚さ6mmを使用。この結果、砲門間にフレーム6本、スペースは2.5mmになった。船
首・船尾のフレームは各10本。また、ウェールはローズウッドを使っている。飯沢さんはその外、コンウェイ社のアナト
ミーシリーズから「ベローナ」縮尺1/72、「パンドラ」縮尺1/64、「グラナド」縮尺1/64などのフレーム図も作成してい
る。いずれもフレーム図だけなので、内部構造材の製作はアナトミー本を見ながらの製作になる。
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第19回福島木製帆船模型展を訪問
Fukushima Sailing・ship Modelers club 19th Exhibition
平成24年11月1日(木)から11月13日(火)まで13日間、福島市ふくしんギャラリーにて福島帆船同好会の帆船模型
展が開催された。会場は福島信用金庫の店舗に隣接し、パセオ通りに面したギャラリーである。後援は市教育委員会
とSEKIYAさん。2年前の震災後に
開催された第18回展から2年目に
なる。今回も沢山の力作が展示され
た。展示数は28隻で、その内ボトル
シップが6隻。コロンブスの船団3隻、
日本丸、あこがれおよびサーウイン
ストンチャーチルとお馴染みの帆船
である。製作者の箱崎さんに伺うと
ボトルシップの船体は通常1本の角
展示会場 Exhibition hall
ボトルシップの箱崎さん(右)
K. Hakozaki,right,with his bottle ship model.
材を削った物が多いが、展示品
の船体は全て寄木になっている。
この方法により精密に作れるとか。
キットから組み立てた作品が多い
中で、永田さんの構造模型「エンデ
バー」がユニークだった。左舷はフ
レームを見せ、右舷には外板を張
って製作している。実演コーナーに
は吉田会長自作の丸鋸がある。市
販の丸鋸との違いは切り出す板幅
永田さんのエンデバー
K.Nagata's EMDEAVOUR
スタッフの方々と
With the Fukushima members.
を正確に出来る点で、こんな電
動工具を希望する方は多いと思う。
第16回マイ・シップ・クラブ帆船模型作品展を訪問
My・ship・Club 16th Exhibition
平成25年2月7日(木)から10日(日)まで4日間、池袋駅の東武デパート前になるオレンジギャラリーでマイ・シップ・
クラブの第16回帆船模型作品展が開催された。3年前の15回展まで芸術劇場の地下会場で開催していたが、改装
後は予約が難しい
ので、今回は地上
階の会場になった。
ほぼ正方形の会場
には窓からの光が
差し込んでとても明
るい。
38隻の帆船を展
展示会場 Exhibition hall
鴨下さんのパンドラ S. Kamoshita's PANDORA
示するには充分な
広さである。
入口の側には鴨下さんの構造模型「パンドラ」が展示されている。ほぼ完成状態で、デッキ下の釜、バルジポンプ、
舵などは殆ど見えない。覗いていると鴨下さんが別途作った金属製の釜とポンプをケースから取り出して見せてくれ
る。構造模型の泣き所だ。図面は鴨下さんがアナトミー本からフレーム図を自作したもの。製作方法はキットの組立
同様に外板を張り、その上にフレームを載せていくユニークな方法。フレームの組立が終わったら中の材料を取り除
く。この方法のメリットはフレーム内面の切削が不要になる以外に、構造模型の組立中に生じやすいキールの曲がり
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や全体の捻れを防ぐことになり、すっきりした製作が出来る。その次の展示は滝沢さんの「スイフトシュアーの艦載
艇」。ティッシュペーパーに木工ボンドを染み込ませ木型に貼付、乾燥後引きはがして船体を作るユニークな方法で、
ジオラマのサンタ・マリアも同じ方法で製作している。紙製であるが元は同じ木材なので木製模型と同じか。
滝沢さんのテッシュペーパーによる船体製作
シレーン Brig SYREN
E. Takizawa showed a unique method of using tissue paper to making a hull.
奥の展示はモデルシップウエイ社の新製品「シレーン」縮尺1/64
が2隻、製作途中で展示されている。その前にはキット付属の分厚
いカラー印刷の英文説明書が置いてある。会員がこの説明書を翻
訳した分厚い本も置いてある。これはすごい。翻訳本は引く手数
多が予想される。完成作品だけでなく、製作のプロセス展示は大
変参考になる。その外に力作が沢山展示されていて、見所の多い
模型もある。小さな船でインターネットオークションで購入したカッ
ター「ヘンリエッタ・マリー」縮尺1/100が展示されていたが、精密
スタッフの方々と
With the My Ship Club members.
模型で良くできている。イギリスの船具商の鑑定書付だが、鑑定書
がなくても素晴らしい模型である。壁面には17年前、会で共同製作
した帆船模型をイギリスの海洋博物館に寄贈した時の写真が掲示されていた。次回展示会が待たれる。
第6回仙台帆船模型作品展を訪問
Sendai Sailing・ship Modelers club 6th Exhibition
平成25年3月26日(火)から31日(日)まで6日間、仙台市東北電力ビルのグリーンプラザギャラリーにて仙台帆船同
好会の帆船模型展が開催された。前回の第18回展から2年目の開催になる。後援は河北新報社、東北放送、慶長
遣欧使節船協会(サンファン
館)。会場予約は抽選になる
が無料貸しである。会員18名
が「元気を出そう」の意気込み
で開催した。展示隻数は33
隻。展示レイアウトは長方形の
会場の左右にある棚に余裕を
持って並べている。
会場入口
Entrance
佐藤さんのヴァーサ H. Sato's VASA
壁面は製作した帆船模型の
側面図を掲示している。図面
と模型を見比べる計らいであ
るが、走り書きした使い古しの
図面ものもあり、妙に気迫が
感じられる。会場の中央には
休憩椅子が並べられ、ゆっくり
とした鑑賞が出来る。
中央の休憩椅子でゆっくりと鑑賞
Chairs are arranged for the visitors.
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会場入口には佐藤さんの
「ヴァーサ」縮尺1/75と菊池さ
んの「北前船」縮尺1/30が展
示されている。共にキットから
の製作だが力作である。
力作揃いの中で目に付いた
のは堀江さんの外輪船ミシシ
ッピと早川さんのフリースラン
堀江さんのミシシッピ。
A. Horie's MISSISSIPPI
早川さんのフリースランド
Y. Hayakawa's FRIESLAND
ド。ミシシッピの前にウエスタ
ンスタイルの人形があり、南部
の雰囲気を醸している。
フリースランドは半透明の帆が
ユニーク。地元産のクロスを使
い綺麗な仕上がり。奥のショ
ーケースにはキットの紹介、製
作に必要な工具類の陳列と
相沢さんが製作中の初代「日
本丸」を展示。日本丸は積層
キットと製作工具 Kit and Tools.
「ジョン万次郎物語」
スタッフの方々と With the Sendai members.
絵:アーサー・モニーズ
THE STORY OF John Mung
文:ウエルカムジョン万の会
式のメソッドモデルで木型の
様な仕上がり。
Illustration:Arthur Moniz
Writing:The Welcom Arthur Moniz Society
前々号の新刊案内でアメリカの女性児童文学作家
マーギー・プロイスさんによる「ジョン万次郎・海を渡っ
たさむらい魂」を紹介、前号で山本一力の「ジョンマン
望郷編」を紹介したのに続き、またまたジョン万次郎も
のの紹介になった。
今回の新刊はニューベッドフォードと姉妹都市の高知
県土佐清水市に拠点を置くウェルカムジョン万の会と
ニューベッドフォードで活躍の画家 アーサー・モニー
ズとの合作になる絵本「ジョン万次郎物語」である。
文章はウェルカムジョン万の会が担当、絵と英文を
アーサー・モニーズが担当した。僅か41頁の絵本で
開くと片面に絵、他方を簡単な日本語と英文で構成して
表紙
Book cover
アーサー・モニーズ
Arthur Moniz
いる。内容は鳥島に漂着した万次郎ら5人がジョン・ハウンドランド号のホイットフイー
ルド船長に救助され、遠目
の万次郎が捕鯨船で活躍
するもの。この本の特色は
アーサー・モニーズの清
々しい水彩画である。出版
は富山房インターナショナ
ル、価格1,575円(税込)、
アーサー・モニーズ・ギャラリー
Arthur Moniz Gallery
- 11 -
ISBN 978-4-902385-31-1、
発売中。
同社のホームページから12頁ほど試し読みも出来る。
アーサー・モニーズは1945年生まれ、二つの美術大学を卒業、東部6州で数多くの個展を開き各地で入賞、19
世紀の捕鯨帆船やニューベッドフォード、フェアヘーブンの港など風景画が有名で、カレンダーにも多く使われてい
る。ニューベッドフォードの
ホエール・ナショナルパーク ではアーサー・モニーズ・ギャラリーを開設しており観光
名所の一つになっている。また絵画はインターネットで購入が可能である。
数々の素晴らしい絵画の中から鯨を画いた迫真の二点を紹介。ハーマン・メルヴィル著白鯨の「モビィ・ディック」
と「航海者」で、モビィ・ディックは架空の鯨ながらその臨場感がすごい。
モビィ・ディック
Moby-Dick
【退会3名】◆ 平成25年3月30日
航海者 Ocean Travelers
ID62
横川 洋右さん
高齢により退会
◆ 平成25年4月30日 ID157
足立 幹夫さん
体調不良により退会
◆ 平成25年4月30日 ID204
三浦 天士さん
自己都合により退会
平成25年5月から平成26年4月までの行事予定
年月
幹事会
25/5 19日(日) 14:00~17:00
6
発表会・例会【会場:リポーゾ銀座】
総会
9日(日)
研修会【会場:水道橋・内海】
14:00~17:00
7
第1回
6日(土)
12:30~17:30
9 1日(日) 14:00~17:00 発表会・例会 8日(日) 14:00~17:00
10
第2回
5日(土)
12:30~17:30
第3回
9日(土)
12:30~17:30
第4回
25日(土) 12:30~17:30
11 24日(日) 14:00~17:00
12
発表会・例会 1日(日) 14:00~17:00
26/1
2 9日(日)
14:00~17:00
3 2(日)
14:00~17:00 発表会・例会 9日(日) 14:00~17:00
4 第39回ザ・ロープ帆船模型展 13日(日)~19日(土) 10:00~19:00 東京交通会館B1ゴールド・サロン
*帆船模型教室
6月から平成26年3月まで月1回、第2日曜日の10:30~12:30。計10回開催。
ザ・ロープ事務局 塩谷 敏夫
〒338-0816 さいたま市桜区塚本 323-34
メール [email protected]
ホームページ http://www.theropetokyo.org/ JSMCCホームページはリンクから見て下さい。
会費の入金口座 【郵便振替】 口座番号:00120-1-187264
加入者名:ザ・ロープ
【銀行振込】 みずほ銀行 銀座中央支店 普通預金:2142080 口座名義:ザ・ロープ 会計 岩本和明
振込時は氏名の後に会員ID番号の記入をお願いします。
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