The Rope News The Rope News

The
The Rope
Rope News
News
Model Ship Builder's Club
ザ・ロープニュース
発 行日 : 2,5,8,11月 の 各末 日 (年 4 回)
No.87
2015年5月31日
企画・発行:ザ・ロープ幹事会
編集:安藤 雅浩
40周年記念イベント
40周年記念 特別講演会・記念パーティ
栗田 正樹
2015年4月11日(土)、東京千代田区内幸町の日本プレスセンタービル内日本記者クラブホールにて、
ザ・ロープ40周年記念特別講演会・パーティーが開催された。この会場での記念行事は日本記者クラブ会員
である東さんの尽力により実現した。講演会には来賓22名、会員61名の83名が出席、また、パーティーに
は会員の配偶者や特別ゲストも加わり総勢94名が集まり、40周年の節目を祝う賑やかなパーティーとなっ
た。全幹事が一丸となって1年前より周到な準備を重ねてきた努力が実り、記念イベントをつつがなく終え
ることができた。
【特別講演会】
午前11時から午後2時までの3時間、瓜生さんが司会を担当し、田中会長の開会挨拶に続いて海外からの
ゲスト3名による講演が行われた。各講演後には模型製作技術等に関する活発な質疑応答があった。なお、
出席者には各講師の講演内容(投射スライド)を和訳した資料が配られた。また、講演、質疑応答の通訳は当
会の佐々木さんが務め、スライド操作は中山さんが担当した。
司会 : 瓜生さん
挨拶 : 田中会長
通訳 : 佐々木さん
演題1「帆船模型のリギング・テクニック」
■講師:アメリカSMA(SHIP MODELLERS ASSOCITION)副会長/当会名誉会員のダン・ドレッセル氏
■概要:同氏が製作した Sovereign of the Seas (縮尺1/48)のリギング工作技法について、209枚にも
およぶスライドを使用して説明した。
- 1 -
■ 最初のスライドで、リギング工作の参考書を2冊紹介した。
R.C. Anderson著 The Rigging of Ships, In the Days of the
Spritsail Topmast 1600-1720 および講師製作のSovereign of
the Seas の製作参考書としてJames Lees 著 The Masting and
Rigging of English Ship of War 1625-1860 の2冊。(筆者注
後者については、元横浜帆船模型同好会会長の山本信樹氏による
和訳版が海文堂出版株式会社より発売されている)また、モデラ
ーとして参考とすべき書籍としてWolfram Zu Mondfeld 著
Historic Ship Models を紹介した。この書籍は、当会の研修会
でも取り上げられた名著である。
リギングに使う工具類はお馴染みのところであるが、旋盤、電
動ドリルに加えて、参考となったのは小型のドレメル電動ドリル
や Model Machines 製の最新ロープ編み機の紹介。
講演で強調したのは、時代考証の重要性と、実船の操船を理解
した上で工作を進める点で、帆船の深い知識を踏まえた模型工作
に対する講師のこだわりを感じさせるものであった。当会の研
修会でも取り上げられた項目もあるが、例えば、ジア(jeer)、テー
Model Machinesのロープ編み機
クルペンダントは、実船ではリギングの最初に取り掛かるもので
あり、マストを立てる際にマストを固定させるために利用された
こと、ビレイピンは初期の船には装着されておらず、ビレイピン
ラックの紹介、帆を装着しない場合のクリュウガーネットの取り
付け、トップロープの取り付けでは荒天時のマストの取り外しに
使用された点等々である。さらに、実船の建造では、船体完成の
後にマスト製作とリギングは同時に進行し、実際の運用ではキャ
プテンの意向で変更が随時加えられたこと等である。製作図面
はブードリオ、グリニッジの国立海洋博物館から入手されると
良いなどの示唆もあった。最後にSMAについての紹介があった。
ビレイピンラック
その生い立ちは1972年にホビーショップで産声をあげたが、
この店が倒産しため、メンバーで協会を組織し1974年12月に最
初の会合を開催した。当会も銀座伊東屋の帆船模型売り場から
始まっており、両者の創設時代背景が似ていて大変興味深い。
SMAは木製帆船模型に留まらず、近代・現代船、ラジコン、紙製
模型も加わり、模型のカバレッジが広い。製作技術の向上も目指
さなければならないが、製作前に専門的な参考書を読み込む等帆
船の知識を蓄えることの重要性を教えられた講演となった。
公演後はスライド紹介の旋盤やロープ糸撚機について質疑応答
ソブリンのリギング
があった。
演題2「ミニチュア帆船模型/ミニチュア・フィギャーの製作」
■講師:SMA会員/当会名誉会員、シカゴのMidwest Model Shipwrights会員のガス・アガスティン氏
■概要:同氏製作の HMS Leopard(縮尺1/192)とフィギャー製作について、52枚のスライドで説明した。
■ HMS Leopardのミニチュア構造模型は全長292mm、フレームは厚さ3.18mmのチェリーウッド材から
の切り出しで、フレームはダブルフレームにして数は92枚になった。フレーム厚とギャップは同寸法でそ
れぞれ6.36mmである。製作に当たり参考書として Rif Winfield 著 The 50-Gun Ship を資料として使
用し、Kinko'sで縮小コピーしたのがスタートである。
- 2 -
ミニチュア模型の製作には初めに充分な時間を掛けて、製作
プロセスのプランをたてることが必要である。理由はキール
からトップまで全て自作になるためで、縮尺1/192の人がデッ
キを歩くことやキャプスタンのバーを回すことを想像しながら
大きさを決めることが必要。また、この模型を作る根拠の一つ
にウェールのアンカーストック作りへの挑戦があった。
真鍮板で治具を作り、薄い板材を治具に下左写真の様に滑ら
せ、カミソリで整形した。左右で製作数は120個になった。黒
色に塗装して貼り付けた。
ウェールのアンカーストック製作治具と塗装・貼り付け
当会でもミニチュア模型は大御所坪井(悦)さんの十八番であ
ることも関係しているのか、会員の注目度合は講演後の質疑応答
からも見ても高かった。製作に係わる主な質疑(Q)応答(A)
は8項目に及んだ。
Q キャビンの間仕切りの材料は(A チェリーウッド)、
Q 船側フリーズ(舷側の彫刻類)の技法は(Aレリーフの盛り上
げは金色のアクリル塗料を筆で重ねて塗装している)、Q拡大鏡
は使用しているか(A Yes)、Qなぜソリッドフレームを2枚1
組に張り合わせた上で中央部分を切り抜くのか(A 材料をすべ
て張り合わせ、加工前にフロア材とファトック材の重なる位置
をインキでマーキングして、船体のアライメントを正しく取っ
てあるため)、Q 今回持参した模型の製作時間は(A 1.5年、
1,800時間)Qボートの製作方法は(Aあらかじめ製作した型の
上にサランラップを重ねてから加工。2度ほど失敗し、3度目で
成功した)、Q材料の厚みのコントロールは(A シックネス・
サンダーによる)、Q船台とケース作成の留意点は(A 特にな
いが、全体の見栄えを重視した)。製作に関する質問が一区切
り終えたところで、東さんから「1日何時間工作しているのか、
その間、奥様とはどのようにされているのか」と、会員の多く
が日ごろから気にかけていることについて質問がなされた。
これに対して、既に製作期間の質問には回答していることから、
アガスティン氏より「7年前に退職し、今は健康維持と自分の癒
しとして、酒も飲まずに模型工作に集中している」また講演会
に出席されていたミセス・ガスから「自分は昼間仕事をしている
- 3 -
の。夫が模型工作に没頭しており“ピースフル”(平和であり、穏
やか)だ」と話され、夫婦ともども笑顔で話された。
次のテーマであるフィギャーヘッドの体は樹脂で作り、腕と脚
は針金で形を作る。衣装はティシュペーパーを巻き付けポンド
で接着するが、その際、楊枝で布の重なりやドレスのひだを形作
る。それからアクリル系石膏を薄く塗る。乾燥後に気に入る形
になるまで石膏を塗り重ねて整形する。最後に金色で塗装する。
演題3「フランス海事博物館との連携による船舶模型工作」
■講師:SMA名誉会員でフランスのAAMM(ASSOCIATION DES AMIS DESMUSEES DE LA MARINE)
副会長のミシェル・マンタン氏
■概要:フランスの帆船模型製作活動事情全般について、32枚の和文によるスライドで講演した。
■
工作技術の講演から一転して、フランスにおける帆船模型
工作仲間の活動状況など、普段はあまり耳にすることがない
フレッシュな情報満載のプレゼンテーションとなった。パリ
の海事博物館から始まり、AAMMの紹介、資料収集方法と続き、
パリス提督の和船の図面や絵の紹介があった。講演時間の制
約から準備したスライドの内、工作技術関連の工具の紹介や
活動の将来の方向性についての説明は省略となったのは残念
であった。フランスではモデラーの会により2年ごとにパリ
近郊で国際船舶模型展示会が開催されており、これは欧州の会
に限られるとのことだが、筆者が講演終了後にAAMMのスタン
スを聞いたところでは、欧州勢に留まらず広く世界展への拡張
に向け協力姿勢であるとのこと。
パリのシャイヨー宮にある海事博物館は、パリを訪れる帆船
モデラーにとっては必見の場所だが、フランス国立海事博物館
はパリに加えて地方に4つの附属博物館(所在地:ブレスト、
ポルトルイ、ロシュフォール、ツーロン)から構成されている。
フランスの海事史に興味があるモデラーにとっては、これらの
博物館群は訪問してみる価値がありそうだ。モデラーの製作
活動では、その9割は現存する図面を基にスクラッチで製作し、
国際船舶模型展示会
市販キットを用いての製作やグレードアップは1%にも満たな
いという説明には少々驚いた。フランス国立海事博物館所蔵
の充実した図書や資料の存在や、AAMMでは十分な時間をかけ
て海事歴史研究を行うことや、2000時間超の模型工作でもコ
ストがかからないといったことも背景にあるのであろう。フ
ランス帆船モデラーの矜持を保つ姿勢を感じさせられた。筆
者などはもっぱらキットを基に製作をしているが、キットはキ
ットでの楽しみ方も沢山ある。ここの説明では、通訳の佐々木
さんも、その役割を離れて、出席者から何か言うことはないの
かと会場の仲間への投げかけもあった。また、船舶に関する
パリス提督の和船図面
基本的な図書として、Chapman著 Architectura Navalis
MercatoriaとVice. Amiral.Paris著 Souvenirs de Marine を紹介した。後者はフランスのモデラーにとっ
てはバイブル的な存在であるとの説明とともに、本書にはパリス提督が来日時収集した和船の図面や絵が
- 4 -
が含まれている。残念ながらこの図書は仏語版しかなく、ま
た1960年~1970年頃に絶版となったため、現在ではオーク
ションに出品された時に競り落とすしか入手の方法はなかろ
うとのこと。AAMMが出版している図面や、日本のモデラー
にも有名なAncre社の書籍も紹介した。
主たる質疑応答は次の通り。
Qパリス提督とはどのような人物か(A海軍出身で、海事博物
館の館長を務めた。Souvenirs de Marineは、海事博物館展
示モデルを網羅している)Q 和船の図面の時代は(A 1868
Ancre社の書籍(ブードリオ他)
年、1888年のもの)Q フランスの海事史、模型についての資
料は英語版で入手できないのか(A 一部を除きすべてフランス語となっている。これは英仏戦争でイギリ
スは敵国であったせいかもしれない... 笑)。
【記念パーティ】
塩谷副会長の司会で、パーティーは田中会長の挨拶、来賓を代表し
て船の科学館学芸部長の飯沼一雄氏が船の科学館鈴木浩司館長の祝
辞を代読、来賓者全員の紹介の後、JSMCC会長兼横浜帆船模型同好
会 会長西谷眞宏氏の乾杯へと続いた後、賑やかな懇談に入った。
懇談中、アメリカとフランスから来日し、第40回帆船模型展への
出品と、講演会の講師を勤めた3氏に対して謝意を表すべく、田中会
長より当会からの記念品贈呈が行われ、安藤副会長の御礼挨拶で閉
会となった。この後、パーティー会場にて出席者全員の集合記念写
司会の塩谷副会長
真撮影が行われた。写真撮影では講演会を含めて赤道会員と羽仁会
員が終日、大活躍した。
司会進行の通訳は栗田会員が担当した。乾杯の音頭をとった西
谷氏は日本語の挨拶に続き、自ら英語でも挨拶された。
また、幹事団であらかじめ用意したスピーチの英訳版が挨拶の都度
海外のメンバーに配られ、時間ロスを出さぬように工夫もなされた。
パーティーは、記念品贈呈イベントでの盛り上がりに加えて、出席
者の積極的な参加と、肥田会員からシャンパン、彦沢会員から新潟の
銘酒の提供でアルコール類も豊富に加わり、40周年記念に相応しい
司会進行・通訳の栗田会員
賑やかなビュフェ・パーティーとなった。
田中会長 開会挨拶の骨子
・
100名近くの出席となり賑やかに開催することができた
こと、遠方からも来賓の皆様に出席いただき感謝している。
また、講演会の講師3名に謝意を表した。
・
当会は1975年に東京銀座伊東屋で設立以降、帆船模型製
作の趣味の会として活動し本年40周年を迎えることができ
た。これもひとえに来賓各位、毎年の展示会に来場いただ
く大勢のファンのお蔭である。深く感謝する。
・
40年間の激動する経済・社会情勢の流の中で、延べ250
名以上の会員が一貫して設立時の良き伝統を引き継ぎなが
ら今日を迎えることができた。出席者の皆様とともに祝杯をあげたい。
・ 4月12日より、「魅せられて40年」のテーマで帆船模型展を開催する。是非会場にお越しいただきたい。
・ これからも、会員一同、全国のJSMCC加盟の同好会の皆様および海外のSMAをはじめとする各クラブの
- 5 -
皆様、そして当会の活動を支援していただいている皆様と、更なる交流を深めながら、ホビーライフを大い
に楽しみ、帆船模型ワールドの楽しさの普及に努めて行きたい。
船の科学館館長 鈴木浩司氏祝辞の骨子 (学芸部長飯沼一雄氏代読)
・
ザ・ロープの創立40周年を心より慶びたい。当館も
1974年7月20日「海の記念日」に開館し、昨年40周年を
迎えた。ともに、時代の荒波を越え今日に至り、不思議な
因縁を感じる。
・
開館以降、ザ・ロープ会員の作品の借用・展示などの協
力を得て、ともに海や船の普及啓発活動を行ってきた。
2004年に本格的な事業連携として、元青函連絡船の羊蹄
丸の洋上展示の際に、同館内に帆船模型常設展示場を設
置した。また夢工房では週末にザ・ロープ会員によるボ
ランティア活動が開始された。製作体験教室では、多く
の親子の関心を引き、人気イベントになった。
・ 当館所蔵の朱印船模型やビクトリーの模型の損傷修復の協力もいただいた。博物館活動を推進する上で
大事なパートナーとなってきた。ザ・ロープは模型製作を通じて、大きな社会貢献をされていると認識
している。
・ 当館は現在本館展示を休止しているが、新たな海洋博物館が完成した暁には、これまで以上に連携協力
し活動を活性化したい。ザ・ロープの益々の発展と会員各位の御多幸を祈念する。
JSMCC会長兼横浜帆船模型同好会会長
西谷眞宏氏乾杯挨拶の骨子
・
ザ・ロープが創立40周年を迎えられたこと、お慶び申し
上げる。
・
多数の帆船模型同好会の全国組織であるJSMCCの会長
を今年から横浜帆船模型同好会が引き受けた。
・
さる3月12日の日本経済新聞(発行数300万部)の全国
版文化欄に、田中会長が「帆船模型の世界 航海」と題
して投稿された記事が掲載された。同好会仲間として大
変嬉しく思う。JSMCCとしてもこの記事は日本全国に散
らばる帆船模型モデラーを勇気づけるとともに、同じ趣
味人の裾野が拡がることを多いに期待している。
安藤副会長閉会挨拶の骨子
・
当会の40周年記念行事は皆様の積極的な参加により、
盛大で有意義な講演会とパーティーを40周年の節目で開
催することができた。大変感謝している。
・
当会は帆船模型が大好きな面々のクラブで、会員の親
睦を図りながら模型作りを楽しんでいるが、一方でアメ
リカのSMAと、また国内では全国同好会であるJSMCCと
の交流を図ってきた。今後もこの交流をより深めてより
楽しいクラブを目指すとともに、次の50周年を目指して、
会員一同努力したい。
海外からの来賓に記念品贈呈
特別講演会に講演された3氏と来日の当会名誉会員にオリジナル記念品を贈呈した。
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記念品は主に船の絵を多数描いている谷井健三先生が
記念品用に描かれた和船のオリジナル色彩ペン画で、描か
れた和船4種はそれぞれ異なり、贈呈者名と先生のサイン
入りである。この記念品は幹事間で打合せを重ねて準備
したもの。さらに、同先生が出版されたサイン入り画集
「日本の船-海から見た日本」と併せて田中会長より3名
の講師に贈呈された。永く記憶に残る手作りのペン画は、
谷井先生の画集とともに大変喜ばれた。なお、来日の小
森田名誉会員には当日都合がつかなく欠席のため、翌日
講師3名と谷井先生(右端)
からの展示会場にて贈呈した。
第40回帆船模型展
木村
護
4月12日(日)から18日(土)までの7日間、JR有楽町駅前の東京交通会館で第40回帆船模型展を開催した。
今回の展示会は40周年の節目でもあり、「魅せられて40年」をキャッチフレーズに、帆船模型の魅力をア
ピールする展示会を目差した計画をたてて実施した。
今回は出品数が多く71点あった。当会からは絵画やペン画3点を含めて60作品、姉妹クラブである
SMAからは船首像を含めて4点、当会主催の帆船模型教室の受講生作品のチャールズ・ヨットが7作品であ
る。展示レイアウトは従前の休憩と写真撮影のスペースを取り止めて、作品の配置順に苦心しながら会場
のゴールドサロンの展示スペースを完全に使い切った。全長1m前後の大型船が6隻、精緻極める構造模型
が7隻および紀元前のエジプト船から現在のクルーズ船まで多種多様な作品を配置しましたので、壮観で
充実度の高い展示となった。
帆船模型の魅力をアピールするため、何に魅了されてこの帆船を製作したかなどを作品の前に表示した。
さらに、構造模型や大型模型とともに、働く船、戦う船、悠久の歴史を感じる船などに作品を分類し、それら
の分類ごとに解説プレートで帆船模型の奥深さと楽しみ方の多様性を表示した。何で帆船模型が好きなの
と問われると、好きな理由を列挙するのは簡単ですが、それで十分に納得させられるかは別物です。野球や
サッカーの好きなチーム、趣味のスポーツや文化活動など、結局は「好きだから好きなんだ」となると思う。
しかしながら、帆船模型に関心を持って来場されるのですから、今後も帆船模型の魅力のアピールを続けた
いと考えている。
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米国の姉妹クラブのSMAの参加もあり、会場の壁面には青木さんの協力で日本的な錦絵を12点飾った。
帆船の錦絵を選定したので、絵柄も色彩も展示会にマッチしたものになった。さらに、帆船模型の製作を実
際に見てもらうため、工作実演コーナーを会場の一角に設けた。帆船模型作りは実際どのように行うかを
理解していただくため、製作の実演を毎日行った。工具や工夫が盛り込まれた道具を使用しながら、船体
の製作実演に大いに感心し、多くの注目を浴びていた。熱心な見学者は座り込んで盛んに質問していた。
帆船模型の購入がインターネット販売に移ってきたので、キットの実物を見る機会も非常に少なく、その
製作実演は、帆船模型に関心のある来場者に大いに参考になったと考えている。毎日実演された堀岡さん
はお疲れ様でした。
壁面の錦絵
工作実演コーナー
帆船模型工作はどうして根気が続くとか、どんな工具や道具が必要かなどの代表的な質問はQ&A形式
のパネルも作った。そのパネルの一部に遊び心溢れた川柳も記載した。帆船キットメーカーであるウッデ
ィジョーさんと通信販売のマイクロクラフトさんのカタログは直ぐに無くなったことから、キット等の関
心が高い現れです。
は
る
40周年は会員の出展作品が多いと想定して、ゴールドサロンとともにギャラリー玻瑠も使用した。玻瑠
は中央階段やエレベータホールからの通路の正面なので、大きな看板と帆船模型の3作品の展示で40周年
の展示会であることを強調表示した。高成田さんのデザインに基づきシックな紺を基調とした看板と代表
的な帆船を飾ったので宣伝効果は十分に発揮され好評だった。ゴールドサロンのショーウインドーは40周
年のアーカイブとして、第3回から40回までの展示会の案内はがき(DM)を拡大し、20周年と30周年の特別
展も含めて40枚を飾った。案内はがきは第3回からであり、残念ながら途中の8,12回展の二枚ほど欠け
ている。中央には展示会場を交通会館にしてから始めたポスター4枚を飾った。宮島会員のイラストが大
半を占めていたで、独特の味わいの展示となり、この前で懐かしそうに話している光景も何度も見かけた。
- 8 -
展示会40回分のダイレクトメール展示の「コールド・サロン」ショーウインドーと会場前の「波瑠」
展示会1カ月前の3月12日、日本経済新聞の文化欄に8段組で「帆船模型の世界 航海」が掲載され、その
記事の写真で紹介されたヴァーサもショーウインドーに飾った。この記事の反響は大きく、新聞を見て来
たとの来場者も多く、帆船模型の魅力を広くアピールしたいとの展示会のコンセプトと一致した。
その効果もあり展示会開催初日にはJRの事故(山手線の架線支柱倒壊)や平日の荒れた天気もありました
が、来場者総数は4500名以上となり、特に休日は会場が混み合った。記念の展示会として盛大かつ、好評
のうちに無事に終了した。展示会場が玻瑠も含め二ヶ所となり、準備に時間をとられたが、帆船模型の魅
力をアピールしたいとの思いも実現し、開催前後の会場設営や撤去、会場当番などもスムーズに進行した。
多くの会員の協力に感謝します。また、全国各地の同好の皆様のご支援やご協力にも感謝します。
研修会
2015 第1回帆船模型製作研修会
高橋 利夫
2015年5月16日(土) 13時から17時30分まで、水道橋の会議室「内海」で第1回研修会を開催した。
第1部 製作フォローアップ講習会
階段の製作・実演
安藤 雅浩さん
帆船模型の艤装品で階段とグレーチングが良くできている
と全体の仕上がりが良く見えてくる。ところが、キットに入っ
ている階段部品はキットの縮尺に関係なく同じ物が入ってい
る例が多い。模型にそのまま取り付けると、縮尺通りの人間が
登り降りするのは不可能ではないかと思えるほどのオーバー
スケールの物もある。そこで、今回は模型に取り付けて不自然
さが無く、スケールに見合った階段を作る道具と治具、コツを
紹介するので出席の皆さんは実習して頂きたい。
電動工具は手頃なプロクソンのミニ丸鋸を使用する。この丸
鋸は模型用で板厚5mm以下しか切れ
ないが、扱いやすい。欠点として刃の
ミニ丸鋸の刃
の高さ調整が出来ないので、切断深さ
の調整は固定テーブルに乗せる作業台
の嵩上げで行う。左図で刃高9.5mm
をベニヤで9mm嵩上げして、切断深さ
を0.5mmにする。
治具は次頁左写真のベニヤと厚さ
1mmの真鍮平帯で作り、鋸刃は径50mm,厚さ0.5mmを2枚準備する。また、三角板は階段の側板(桁)に
- 9 -
勾配を付けるための物。船の階段はスペース確保のため勾配が大きい。階段の踏板間隔(ピッチ)は23cm
以下、踏面は15cm以上が一般的で、この寸法だと勾配は60°近くになる。中央写真の様に加工材料を治具
に乗せ、治具と共に丸鋸のテーブル上をスライドさせれば階段側板が出来上がる。
側板は左右があるので、反対側は他方の三角板で同様の方法で作る。
ポイントは三つ。①溝の深さを0.5mmにする。②階段の桁に掘る溝の角度(勾配)を決める。③溝のピッ
チを一定にするために直前に掘った溝をガイドに嵌める。掘れた溝をガイドに順送りすれば出来上がる。
丸のこの刃の厚さは0.5mm弱なので2枚重ねると掘った溝の幅は、ほぼ1mmになり、厚さ1mmの踏板
を嵌め込む。この刃はアサリが無く厚さがそのまま切り込み幅になる。溝幅を広くしたい場合は、2枚の
刃の間に紙をはさんで所定の溝が掘れるように調整すると良い。(紙の1枚厚さは通常0.1~0.15ミリ)
作り方の説明後、出席者は順番に階段側板作りの実習を
行い、手応えを味わった。
その他、丸鋸を使用する際の注意事項として、材料の送り
のガイドは片持ちでは変形してしまうので両端を支持する
こと、切断後は板が鋸刃から先は逃げる構造にしないと切削
抵抗が大きくなって具合が悪い。さらに、材料を厚い板から
切り出すときは、鋸刃径が140mm程度の丸鋸を使う。
このクラスの丸鋸は使用時の騒音がかなり大きく、切削時の
切屑が大量に飛散するので、集塵策が必要である。
第2部
帆船模型製作研修会
バスクの捕鯨ボート
東 康生さん
第40回展に出品した捕鯨ボートは15世紀、バスク(現スペ
イン)で世界初の商業捕鯨に使われたボートの模型である。
このキットはイタリアのパナルト社製で36年前に奥村さん
から頂いた。価格は当時の給料の1/4から1/5くらいで非
常に高価であった。
仕上げた船体はダークオークの水性スティンを多めに塗
って布で磨いたことにより古びた様子が表現できた。油性
スティンより雰囲気が出ていると思う。船体外板はキット
の指示は平張りだったが、バイキングに占領されていた歴
史から考えると、その文化を受け継いでクリンカー張りがふ
さわしいと思い、そのようにした。舵の下端はキールの延長線より下側に出ている。これでは砂浜に引き
上げたときに具合が悪かろうと折り曲げてロープで引き上げられるように加工したところ、ドイツ大使館
の方から「あなたはサンセバスチャンにいたのか」と言われ、当時の様子を熟知していたかのように思わ
れた。サンセバスチャンはバスク地方の捕鯨基地である。
この種の捕鯨ボートが展示会に出品されたのは第14回展に加藤(史)さんが出されて以降おそらく無い。
船体、舵の他に見てほしいところは、銘板と旗。銘板は黒地塗装に金色のプリンティングぺーパー、その上
にラッカーを塗ったところうまい具合に皺ができて、思いがけずに良い具合に仕上がった。
- 10 -
銘板
旗は、細かい絵柄で構成されていてとても筆
で描くことは出来そうもない。裏にノリがつい
た薄い印画紙にコピーして布の両面に張り付け
た。バスク人はイベリア半島の原生人である。
折り曲がる舵
マゼランの世界一周は有名であるが、彼は航海
旗
半ばで死んでしまった。生きて世界一周をしたのはサン・セバスチャン・エルカノでバスク人。世界の歴史
に名を残したバスク人は多い。また、バスク人は過激なことでも知られ、ごく最近まで、テロのニュースが
しばしば報じられた。また、バスク語は世界の言語の中でも難解な言葉として知られていて、日本でもバス
ク語を学び、理解できる人は極めて少ない。
捕鯨については、ノルウェー人が捕鯨方法
をバスク人から教えてもらったとされ、バイキ
ング仕込みの捕鯨をしてきた。セミクジラが
その主な標的で、親子連れを見つけるとまず子
供を捕獲してから、その場を離れない親を獲る
方法で乱獲からその数は激減した。1680年こ
ろから捕鯨にオランダが進出してきて大型化
するまでは、バスク人がクジラを捕獲してきた。
また、捕鯨が多くの富をもたらした数値的な
例として1841年のチャールズモーガン建造に
15世紀の捕鯨風景
要した費用は5200ドルと言われているが、最
初の航海でクジラを獲ってその利益が5600ドルと、たった1回で船の建造費用を回収できるほど儲けたら
しい。話はバスク人の気質、小型の捕鯨船、その後大型捕鯨にどのようにつながっていったかなど、多岐に
わたった。
コート・デムロード(côte D'Émeraude)の製作
川島 壮介さん
スペインのキットメーカーであるアルテサニア・ラティ
ーナ社のコート・デムロード(縮尺1/75)を製作している。
このキットは佐藤さんから譲り受けたもので、ぜひとも完
成させて報告しなければと頑張っている。
図面はキット付属の外にパリ海事博物館AAMMの図面
を参考にした。両者の図面を比べると異なる箇所が多い。
甲板平面ではAAMMの方がキット図面より先細りになって
いる。船尾の様子も両者で微妙に違う。これは看過できな
いということで、キット通りに作った船体をあきらめ、
AAMMの図面に忠実に作り直した。その結果、船体は二つ
出来上がった。キット図面で作った船体は、そのまま保管している。キットは初心者向けなのか荒さが目
立つ。船体舷側の色は、キットでは生地仕上げであるが、AAMMのウエブサイト写真ではグリーンなので、
塗装することにした。
AAMMの図面ではシュラウドのデッドアイを下方に引っ張るチェーンプレートはチャンネルを貫通して
船腹に沿っているように見えるが、キットでは幾つかに別れ、チャンネルを挟んで一体化しているように
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に貼り付けると指示され
ている。どうも不自然な
ので、AAMM図面にした
がって幅が狭いチャンネ
ル材を貫通させるように
新作した。一部真鍮材を
使って貫通させた外側を
AAMMの図面
キットの図面
塞 い だ 。塗 装 する こと で
違和感はなくなっている。
チャンネルとチェーンプレートの製作
甲板にはドリーと呼ばれる平底船のボートが9隻積載されている。キットには鋳物製のキールがある構
造のボートが入っているが、AAMM図面はキールのない平底ボートである。見た目がまるで違うので、下左
写真の様に木型を作り、外板は紙を濡らし細かくちぎって貼り付け、乾いてから切れ目を入れて剥がして整
形した。手間がかかるので二隻目以降は、この木型から紙の展開図を作って切り抜いてからボート8隻の
形にして、裏返した。一隻目は腰掛けを付けて甲板に設置した。
甲板上の構築物でキャビン外壁は建築模型用のスチロール製波板を使用、キットのスカイライト用ガー
ドは真鍮板の打ち抜きで隙間間隔が広すぎるため、鉄道模型部品から車庫のグリルシャッターを使って作
り直した。船首にあるポンプタイプのウィンドラスはハンドルを追加した。
外壁とスカイライトのガードを作り直し
ウインドラスにハンドル追加
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上:AAMM図面で製作
下:キット図面で製作
AAMM図面でここまで製作、今年中に完成の予定
質疑では、キットで製作して使わなかった船体の行方について「どうするの?」との質問があり、回答は
「今のところそのまま」。
初期の蒸気エンジンの製作
加藤 史郎さん
18年前、パリ・シャイヨー宮の海事博物館で外輪船スフィ
ンクス(Sphinx)の素晴らしい蒸気エンジンの模型を見た。
模型は真鍮製で縮尺1/10、両舷の外輪まで作られた精密模
型で、美しく輝いていて忘れられなかった。スフィンクスは
1829建造、全長46.2m、幅8m、排水量777トンの外輪船。
佐藤さんがイギリスの外輪船ビーバーの模型を製作し、同船
のエンジン見取図を頂いたことがきっかけになって外輪船
に興味を持ち、製作したいと思っていた。
初期の蒸気エンジンは、ボイラーからの蒸気圧でシリンダ
ーのピストンを押し上げ、蒸気を抜いて大気圧で押し下げ
ることを利用していた。最大でも1気圧の仕事しかできない。
ジェームス・ワットが考えだしたエンジンにはシリンダーに
蓋があり、シリンダーの上下に蒸気を入れる構造になってい
て、初めて蒸気エンジンらしい形になった。シリンダーの
ほか必要な構造は、はずみ車(単気筒だと死点があるので回
転を滑らかにする必需品)、復水器(使用済みの蒸気を水に戻
す)、チェーンまたはクランクロッド(往復運動を回転運動に
変える)など。
シャイヨー宮の蒸気エンジン模型
当時の外輪船は通常の航海は帆走し、港の出入り時に外輪
を駆動して推進力として使った。燃料の石炭搭載量やエン
ジン効率の制約から湖や川での使用ならともかく外洋で常
時使うのは、無理だった。
製作中の蒸気エンジンは外輪船ビーバー用で縮尺1/32で
ある。材料は真鍮材と精密ボルトナットである。今回、金
属加工を始めるに当たり備えておくべき工具類など一通り
購入した。金属加工に必要なノウハウは下記の通り。
1.切断
真鍮板は真っ直ぐには切れない。バンドソーと手引き糸
ビーバーの蒸気エンジン見取図
鋸で切った後、ディスクサンダーとダイヤモンド砥石で
整形する。整形後はサンドペーパー1000番で磨く。小物部品で同じ物を複数個作る時は、大まかに切り
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出した板を瞬間接着剤で重ねて接着し、ヤスリで整形する。完成後は接着面に刃物の刃を差し込んでば
らす。ヤスリは押すときだけ削れる。引くときは削れない。
2.孔開け
ドリルで正確な孔開けは難しいので、事前にポンチで位置決めを行い径の小さいドリルで孔開けしてか
ら、大きいドリルで開ける。これはドリルの中心には刃がなく、刃は溝のある両端なので芯が傾斜した
ら横ずれや芯ぶれが生じる。ドリルの回転は細いものは早く、太いものは遅くする。
3. ハンダ付け
ハンダゴテは温度調節付きを使用する。ハンダは融点220~365°の高温ハンダと融点165°の低温ハン
ダを使い分ける。コテ先温度は通常300~400°にする。ハンダゴテは接合部分を融点以上に加熱する道
具なので、コテに蓄えた熱を材料に一気に移すのがコツ。加熱しすぎたコテはハンダが玉になって付か
なくなり、酸化皮膜が黒く付く。コテ先は手入れして常に銀色に光らせておく。役立つのは高耐熱マス
キングテープとアルミのヒートストップ用クリップ。
注意は火傷、火災でプラグをコンセントからこまめに
抜く。ハンダ付け後、余計に流れたハンダは、キサゲ、
小刀、ラインチゼルなどでひたすら削って取る。
今回、入手した真鍮帯板は箔も含めて30種類という
からその他の材料揃えについても徹底ぶりがうかがえ
る。超精密ねじとナットは最小のものは軸径0.3mm、
ナットの対辺0.6mm。購入先はアドラーズネスト、エ
コーモデル、車模型およびアマゾンなどのインターネ
ット。
左写真はここまで出来た蒸気エンジン2気筒で左から
復水器、滑り弁およびシリンダー。
JSMCC 第10期会計報告
ザ・ロープ オーサカ
JSMCC会長のザ・ロープ オーサカから2014年1月1日から12月12日までのJSMCC第10期会計報告があ
りました。報告内容についてはJSMCC会計監査の横浜帆船模型同好会会長が監査しています。
収入
支出
前年度繰越金
備考
379,670
同好会会費
単位:円
66,255
各会宛メール便
4,327
封筒代
108
運営委員会会場費
2015年度繰越金
残高
3,150
銀行預金
408,155
現金
30,185
合計
438,340
1.2015年、2016年の会長は横浜帆船模型同好会会長が務める。
2.下関帆船模型クラブ 海峡と周南船舶模型同好会の退会により4月1日現在の参加同好会は15同好会。
本棚
THE SHIP of the LINE, A HISTORY IN SHIP MODELS
by Lavery, Brian, Naval Institute Press, 2014
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栗田 正樹
本書は2014年にイギリスのSeaforth Publishingより出版され、
アメリカ・カナダ向けには、アナポリスのNaval Institute Press
より出版された。バードカバーで、寸法は19.5x25x1.2cm、
128頁、全頁カラーのイラスト本。しっかりとした装丁で、書棚
にもすっきりと収まるサイズ。
アマゾンジャパンで海事関連の書籍を買い求めていると、時々
アマゾンから同分野の新刊案内メールが送れらてくる。興味の
対象を絞ったダイレクトメールが送られてくる便利な世の中に
なった。昨年の初秋に本書に関する新刊予約販売の案内があり、
早速注文したところ、納期が決まり次第クレジットカード請求
と発送を同時に行うとの連絡がきた。しばらくの間、何も連絡が
なく、忘れかけていたら2月になって、アマゾンジャパンより納
期が確定できないのでキャンセルするかとの問い合わせメール
が来た。 こういう時に取るいつもの動作として、アマゾンアメ
リカを検索 する。アマゾンアメリカには該当書籍の在庫があり
即入手可能であることが分かったので、躊躇なく注文した。書籍の価格は34.5ドル、これに送付手数料、航
空便料金13.98ドルを加えて48.48ドルとなり、郵送料等を除けば、為替レートを加味してもアマゾンジ
ャパンとの価格と大差ない。書籍は、アマゾンのいつものしっかりとした段ボールケースに梱包され、注文
後10日前後で宅配業者により自宅に届けられた。通関で開封もされた様子もなかった。支払はクレジット
カードとしたが、事前にアマゾンアメリカのセキュリティーで保護されたサイトに自分のカードを登録し
てあり、また、カードには保険をかけているので、比較的安心して利用できる。
さて、前書きが長くなっが、本書は英国海軍が輝いていた1650年から1850年の200年間の戦列艦の歴
史を、ロンドングリニッチの国立海事博物館の収蔵帆船模型から厳選し、数多くの写真を基に解説をしてい
る。本書の最大の特徴は、主要作品の写真の横に、国立海事博物館の収蔵品データベースの検索ができる
コードが記載されていることだ。例えば、ドックヤードモデルにある建造中の船の写真とともに記載され
ているアルファベットと数字でできているコード( SLR0372等)を、国立海事博物館の検索サイト ROYAL
MUSEUMS GREENWICH, The Collectionの検索バーに打ち込むと、模型の詳細解説、製作年、製作場所、
材料などの一覧を見ることができる。また、掲載されている写真の全体、たとえばドックヤードの全景を撮
影した写真も閲覧でき、また購入も可能となっている。したがって、この書籍に掲載されている船の模型を
製作する際には、当該模型のかなりのバックグラウンド情報が得られる。本書の内容と博物館の収蔵品の
データーを連携させて、新たな書籍の読み方、楽しみ方を提供している。
また、第二章以降では、各章に模型とは別に、関連テーマごとに写真とともに簡単な解説がなされてい
るのも特徴。ここにも検索コードが記載されており、収蔵品データーベースで詳細な解説を読むことがで
きるようになっている。本書の構成は下記の通り。
第一章
戦列艦のはじまり。
第二章
オランダとの戦争 1652-1674、フィギュアヘッドの飾り、1670年頃のST
第三章
ヨーロッパの対仏戦争
第四章
停滞期
第五章
世界大戦
第六章
独立戦争、セッピング卿のダイアゴナル・ブレーシング、1815年の74門艦のリギング、湾曲船尾。
第七章
平和、ブロードサイドの装飾。
MICHAELのリギング。
1674-1714、レーティングシステム。
1714-1739、ブロックモデル、1730年頃のIPSWICHのリギング、船尾の装飾。
1739-1782、ドックヤードモデル、ガン・カロネード、ボート。
データーベースとリンクさせていることもあるかもしれないが、本書の参考文献は1ページ分しか記載
がなく、また、索引は一切ない。本書のフル活用は、最初にざっと目を通して全体をある程度把握してお
かないと、少し不便かもしれない。
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ウッディジョーのサン・ファン・バウチスタ
ウッディジョーから縮尺1/80「サン・ファン・バウチスタ」が新
発売された。この模型は石巻の宮城県慶長使節船ミュージアム(サ
ン・ファン館)の復元船サン・ファン・バウチスタを基にして製作され
ている。模型寸法は全長710mm、全幅275mm、全高633mm。
船名のサン・ファン・バウチスタとは洗礼者 聖ヨハネの意で、原
船は400年前の江戸初期に日本で建造された大型ガレオン船。
本船は慶長18年(1613年)仙台藩主 伊達政宗の命で石巻月の浦を
出港した。目的はスペインとの交易で、遣欧使節船として太平洋を
2往復した。キットはキールとフレームがボックス構造で船体は捻
れが生じない仕組み、外販や甲板材は檜材、原寸図にカラーの解説
書付き。価格は38,000円(税抜)
【退会 3名】平成27年3月31日 ID90 金森 弘一さん、ID 103 中川 吉勝さん、ID171 小林 忠雄さん。
自己都合により退会。
2015年(平成27年)6月から平成28年4月までの行事予定
年月
幹事会
27/6
総会・例会【ラ・ベルデ日比谷】
総会*
6(土)
13:00~17:00
7
9
4(土) 13:00~17:30
6(日)
14:00~17:00
例会
12(土) 14:00~17:00
10
11
3(土) 13:00~17:30
29(日)
21(土) 13:00~17:30
14:00~17:00
12
例会・忘年会
5(土)
14:00~17:00
28/1
23(土) 13:00~17:30
2
7(日)
14:00~17:00
3
28(日)
14:00~17:00
4
研修会【水道橋・内海】
例会
13(土) 14:00~17:00
第41回ザ・ロープ帆船模型展の予定 17日(日)~23日(土)東京交通会館B1(ゴールド・サロン)
*6月6日(土)の総会会場は日本プレスセンター9階。
帆船模型教室
平成27年6月から平成28年3月まで月1回、第2日曜日の10:30~12:30。計10回開催。
40周年記念行事
6月17日~27日 「イギリス南部を訪ねる旅」
11月10日~13日「瀬戸内しまなみ海道と大和ミュージアムを訪ねる旅」
ザ・ロープ事務局
松原
滿
〒261-0011 千葉市美浜区真砂 1-4-6
メール [email protected]
ホームページ http://www.theropetokyo.org/
会費の入金口座
JSMCCはホームページからリンクして下さい。
【郵便振替】 口座番号:00120-1-187264
加入者名:ザ・ロープ
【銀行振込】みずほ銀行 銀座中央支店 普通預金:2142080 口座名義:ザ・ロープ会計 岩本和明
振込時は氏名の後に会員ID番号の記入をお願いします。
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