大学機関別認証評価 評価報告書

平 成 19 年 度 実 施
大学機関別認証評価
評 価 報 告 書
金沢大学
平成 20 年3月
独立行政法人大学評価・学位授与機構
目
次
独立行政法人大学評価・学位授与機構が実施した大学機関別認証評価について ・・・・・・・・
1
Ⅰ 認証評価結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
Ⅱ 基準ごとの評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
基準1 大学の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
基準2 教育研究組織(実施体制) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
基準3 教員及び教育支援者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
基準4 学生の受入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
基準5 教育内容及び方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
基準6 教育の成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
35
基準7 学生支援等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
37
基準8 施設・設備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
基準9 教育の質の向上及び改善のためのシステム ・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
基準10 財務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
49
基準11 管理運営 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
52
<参 考> ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
57
ⅰ 現況及び特徴(対象大学から提出された自己評価書から転載) ・・・・・・・・・・・・
59
ⅱ 目的(対象大学から提出された自己評価書から転載) ・・・・・・・・・・・・・・・・
60
ⅲ 自己評価の概要(対象大学から提出された自己評価書から転載) ・・・・・・・・・・・
62
金沢大学
独立行政法人大学評価・学位授与機構が実施した大学機関別認証評価について
1 評価の目的
独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「機構」という。
)は、国・公・私立大学からの求めに
応じて、大学(短期大学を除く。
)の教育研究活動等の総合的な状況に関する評価(以下「大学機関別
認証評価」という。
)を、平成 17 年度から実施しました。この認証評価は、我が国の大学の教育研究水
準の維持及び向上を図るとともに、その個性的で多様な発展に資するよう、以下のことを目的として行
いました。
(1)大学機関別認証評価に関して、機構が定める大学評価基準(以下「大学評価基準」という。
)に
基づいて、大学を定期的に評価することにより、大学の教育研究活動等の質を保証すること。
(2)評価結果を各大学にフィードバックすることにより、各大学の教育研究活動等の改善に役立てる
こと。
(3)大学の教育研究活動等の状況を明らかにし、それを社会に示すことにより、公共的な機関として
大学が設置・運営されていることについて、広く国民の理解と支持が得られるよう支援・促進して
いくこと。
2 評価のスケジュール
機構は、文部科学大臣から認証評価機関として認証されたことを受け、国・公・私立大学の関係者に
対し、大学機関別認証評価の仕組み・方法についての説明会、自己評価書の作成方法などについて研修
会を開催した上で、大学からの申請を受け付け、自己評価書の提出を受けた後、評価を開始しました。
自己評価書提出後の評価は、次のとおり実施しました。
19 年7月 書面調査の実施
財務専門部会(注1)の開催(書面調査の基本的な進め方の確認等)
8月~9月 評価部会(注2)、財務専門部会の開催(書面調査による分析結果の整理、訪問調査
での確認事項の決定及び訪問調査での役割分担の決定)
運営小委員会(注3)の開催(各評価部会間の横断的な事項の調整)
10 月~12 月 訪問調査の実施(書面調査では確認できなかった事項等を中心に対象大学の状況を
調査)
12 月~20 年1月 運営小委員会、評価部会、財務専門部会の開催(評価結果(原案)の作成)
評価委員会(注4)の開催(評価結果(案)として取りまとめ〔評価結果(案)とし
て対象大学に通知〕
)
3月 評価委員会の開催(評価結果の確定)
(注1)財務専門部会・・・大学機関別認証評価委員会財務専門部会
(注2)評価部会・・・・・大学機関別認証評価委員会評価部会
(注3)運営小委員会・・・大学機関別認証評価委員会運営小委員会
(注4)評価委員会・・・・大学機関別認証評価委員会
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金沢大学
3 大学機関別認証評価委員会委員及び専門委員(平成 20 年3月現在)
(1)大学機関別認証評価委員会
赤 岩 英 夫
国立大学協会専務理事
鮎 川 恭 三
前愛媛大学長
池 端 雪 浦
前東京外国語大学長
内 永 ゆか子
日本アイ・ビー・エム株式会社技術顧問
岡 本 靖 正
前東京学芸大学長
荻 上 紘 一
大学評価・学位授与機構教授
梶 谷
信州大学監事
誠
北 原 保 雄
日本学生支援機構理事長
木 村 靖 二
大学評価・学位授与機構評価研究部長
○小 出 忠 孝
愛知学院大学長
河 野 伊一郎
国立高等専門学校機構理事長
児 玉 隆 夫
学校法人帝塚山学院学院長
後 藤 祥 子
日本女子大学長
小 間
篤
科学技術振興機構研究主監
齋 藤 八重子
前東京都立九段高等学校長
曽 我 直 弘
滋賀県立大学長
舘
桜美林大学教授
昭
楢 崎 憲 二
読売新聞西部本社編集局長
ハンス ユーゲン・マルクス
南山大学長
平 野 眞 一
名古屋大学総長
福 田 康一郎
医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長
前 原 澄 子
京都橘大学看護学部長
森
公立大学協会相談役
正 夫
森 本 尚 武
前信州大学長
山 内 一 郎
学校法人関西学院理事長
山 内 芳 文
大学評価・学位授与機構教授
◎吉 川 弘 之
産業技術総合研究所理事長
※ ◎は委員長、○は副委員長
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金沢大学
(2)大学機関別認証評価委員会運営小委員会
赤 岩 英 夫
国立大学協会専務理事、前群馬大学長
鮎 川 恭 三
前愛媛大学長
岡 本 靖 正
前東京学芸大学長
◎荻 上 紘 一
梶 谷
誠
大学評価・学位授与機構教授
信州大学監事、前電気通信大学長
児 玉 隆 夫
学校法人帝塚山学院学院長、前大阪市立大学長
後 藤 祥 子
学校法人日本女子大学理事長、日本女子大学長
小 間
科学技術振興機構研究主監、東京大学名誉教授
篤
福 田 康一郎
医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長、千葉大学名誉教授
森
公立大学協会相談役、前愛知県立大学長
正 夫
森 本 尚 武
前信州大学長
山 内 芳 文
大学評価・学位授与機構教授
※ ◎は主査
(3)大学機関別認証評価委員会評価部会
(第2部会)
◎鮎 川 恭 三
前愛媛大学長
荒 牧 軍 治
佐賀大学教授
上 田 真喜子
大阪市立大学教授
○江 口 吾 朗
荻 上 紘 一
○加 藤
紘
○北 原 保 雄
学校法人尚絅学園理事長、尚絅大学長、前熊本大学長
大学評価・学位授与機構教授
前山口大学長
日本学生支援機構理事長、前筑波大学長
小 林 康 夫
東京大学教授
鈴 木 邦 雄
横浜国立大学理事・副学長
瀧 澤 栄 治
神戸大学教授
○田 中 弘 允
利 島
元鹿児島大学長
保
県立広島大学理事
林
英 雄
大阪府立大学教授
原
文 雄
東京理科大学常務理事・教授
森
正 人
熊本大学教授
山 内 芳 文
大学評価・学位授与機構教授
※ ◎は部会長、○は副部会長
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金沢大学
(4)大学機関別認証評価委員会財務専門部会
赤 岩 英 夫
○清 水 秀 雄
山 内 一 郎
◎和 田 義 博
国立大学協会専務理事、前群馬大学長
公認会計士、税理士
学校法人関西学院理事長
公認会計士、税理士
※ ◎は部会長、○は副部会長
4 本評価報告書の内容
(1)
「Ⅰ 認証評価結果」
「Ⅰ 認証評価結果」では、
「Ⅱ 基準ごとの評価」において基準1から基準 11 のすべての基準
を満たしている場合に当該大学全体として機構の定める大学評価基準を満たしていると判断し、そ
の旨を記述しています。また、対象大学の目的に照らして、
「主な優れた点」
、
「主な改善を要する
点」を抽出し、上記結果と併せて記述しています。
(2)
「Ⅱ 基準ごとの評価」
「Ⅱ 基準ごとの評価」では、基準1から基準 11 において、当該基準を満たしているかどうか
の「評価結果」及び、その「評価結果の根拠・理由」を記述しています。加えて、取組が優れてい
ると判断される場合や、改善の必要が認められる場合には、それらを「優れた点」及び「改善を要
する点」として、それぞれの基準ごとに記述しています。
(3)
「参考」
「参考」では、対象大学から提出された自己評価書に記載されている「ⅰ 現況及び特徴」
、
「ⅱ
目的」
、
「ⅲ 自己評価の概要」を転載しています。
5 本評価報告書の公表
本報告書は、対象大学及びその設置者に提供するとともに、文部科学大臣に報告します。また、対象
大学すべての評価結果を取りまとめ、
「平成 19 年度大学機関別認証評価実施結果報告」として、印刷物
の刊行及びウェブサイト(http://www.niad.ac.jp/)への掲載等により、広く社会に公表します。
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金沢大学
Ⅰ 認証評価結果
金沢大学は、大学評価・学位授与機構が定める大学評価基準を満たしている。
主な優れた点として、次のことが挙げられる。
○ 文部科学省科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に、平成 19 年度に「新領域
創成をめざす若手研究者育成特任制度」が採択され、テニュア・トラック制度による特任教員を採用し
て若手研究者の育成に取り組んでいる。
○ ポータルサイト「アカンサスポータル」を開設し、インターネットを利用して大学からの事務連絡や
授業で使用した資料の配布、授業で出された課題の提出などを行う e-learning を本格化している。
○ 平成 18 年度から、博士(後期)課程の学生ごとに「院生別カルテ」を電子ファイルで作成し、研究指
導に活用している。
○ 文部科学省現代GPに、平成 16 年度に「大学連携による石川の「知」の拠点の創出-いしかわシティ
カレッジの整備・充実-」、「IT教育用素材集の開発とIT教育の推進」が採択されている。
○ 文部科学省教員養成GPに、平成 18 年度に「WEB 教育実習ノートによる自主学習の支援-‘なるため
実習ノート’を活用した高等学校教員養成における訪問対話型教育実習指導・評価システムの構築-」
が採択されている。
○ 文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブに、平成 18 年度に「臨地相互交流型教育・研究プ
ログラム-保健学研究・他大学・職能団体の知財と地域資源を活用した人材育成-」が採択されている。
○ 文部科学省大学院教育改革支援プログラムに、平成 19 年度に「プロジェクト研究を通じた自立的研究
者養成」、「大学連合による計算科学の最先端人材育成」の2件が採択されている。
○ 文部科学省がんプロフェッショナル養成プランに、平成 19 年度に「北陸がんプロフェッショナル養成
プログラム-ICTによる融合型教育システム及び「がんプロネット」の構築-」が採択されている。
○ 文部科学省法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに、平成 16 年度に「法情報センター北陸」
が採択されている。
○ 文部科学省 21 世紀COEプログラムに、平成 14 年度に「環日本海域の環境計測と長期・短期変動予
測」が採択され、その内容を、共通教育科目の「環日本海学」に反映し、最新の環境科学の動向が取り
入れられている。
○ 文部科学省新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラムに、平成 19 年度に「心と体の育成によ
る成長支援プログラム-社会に幸せをもたらす生活の知恵を持った学生の育成-」が採択されている。
○ 平成 18 年度から、新入生全員に対して、金沢大学学生健康保険組合の負担で感染症対策のための抗体
検査が実施されており、抗体を持たない学生のために予防接種の機会を設けるなど独自の取組が行われ
ている。
○ 文部科学省再チャレンジ支援経費に、平成 19 年度に「社会人の「学び直し」支援プログラム」が採択
され、社会人学生に対する授業料減免を行っている。
○ 角間キャンパスでは、恵まれた自然環境を保全緑地・里山ゾーンに指定し、学内の教育研究フィール
ド・里山自然学校として活用している。
主な改善を要する点として、次のことが挙げられる。
○ 大学院の一部の研究科等においては、入学定員超過率が高い、又は入学定員充足率が低い。
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金沢大学
Ⅱ 基準ごとの評価
基準1 大学の目的
1-1 大学の目的(教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針、達成しようとしている基本的な
成果等)が明確に定められており、その内容が、学校教育法に規定された、大学一般に求められ
る目的に適合するものであること。
1-2 目的が、大学の構成員に周知されているとともに、社会に公表されていること。
【評価結果】
基準1を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
1-1-① 目的として、教育研究活動を行うに当たっての基本的な方針や、養成しようとする人材像を含めた、達成し
ようとする基本的な成果等が、明確に定められているか。
大学の目的は、学則第1条において「金沢大学は、教育、研究及び社会貢献に対する国民の要請にこた
えるため、総合大学として教育研究活動等を行い、文化の発展に寄与することを目的とする。
」と規定され
ている。また、大学の基本理念・目標等が定められ、金沢大学中期目標に明記されている。さらに、平成
16 年4月の国立大学法人化を機に、
「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」の理念の下、大学の教
育、研究、社会貢献及び運営に関する基本的な方針が定められ、金沢大学憲章として制定されている。
これらのことから、目的が明確に定められていると判断する。
1-1-② 目的が、学校教育法第 52 条に規定された、大学一般に求められる目的から外れるものでないか。
学則、中期目標及び大学憲章にそれぞれ明記されている大学の目的、また、各学部の教育目的・目標は、
いずれも学校教育法に定められた大学の目的に則したものである。
これらのことから、目的が学校教育法に規定された大学一般に求められる目的から外れるものでないと
判断する。
1-1-③ 大学院を有する大学においては、大学院の目的が、学校教育法第 65 条に規定された、大学院一般に求められ
る目的から外れるものでないか。
大学院の目的は、学校教育法に則して、大学院学則第1条において「金沢大学大学院は、学術の理論及
び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び
卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする。」また、同条第2項に「大学院のうち、
専門職大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学
識及び卓越した能力を培うことを目的とする。」と規定されている。さらに、各研究科の教育目的・目標
は、いずれも大学院学則を踏まえて、それぞれの研究科規程に規定されている。
これらのことから、大学院の目的が学校教育法に規定された大学院一般に求められる目的から外れるも
のでないと判断する。
1-2-① 目的が、大学の構成員(教職員及び学生)に周知されているか。
大学・大学院の目的を規定した学則・大学院学則、大学憲章を記載している学生便覧・大学院便覧及び
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金沢大学
教育等に関する基本的方針である大学憲章が記載されている大学概要は、教職員及び学生に配付されてい
る。特に、新任教員及び職員には、毎年度、大学運営に関する説明会及び研修会において、大学概要等を
配付の上、大学憲章等を説明している。また、学生には、学生便覧及び大学院便覧が入学時に配付されて
いる。
さらに、学則、大学院学則、中期目標及び大学憲章は、金沢大学ウェブサイトに掲載されており、これ
らの制定又は改定時には、全教職員にメールでその内容が通知されている。
これらのことから、目的が大学の構成員に周知されていると判断する。
1-2-② 目的が、社会に広く公表されているか。
大学及び大学院の目的は、学生便覧、大学院便覧、大学概要及びウェブサイトに掲載されており、大学
概要の配布先は全国に及んでいる。また、オープン・キャンパスや大学見学会、各高校に出向いての進学
説明会や出張講義では、受験情報とともに大学の目的の説明が行われており、定期的な地域の高等学校と
の懇談会においてもその説明が行われている。さらに、地域貢献の一環で行う「地域活性化プロジェクト」
や「里山プロジェクト」をはじめとする様々なプロジェクト活動を通じて、大学の目的が紹介されている。
これらのことから、目的が社会に広く公表されていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準1を満たしている。
」と判断する。
(注)
評価の観点等に用いている学校教育法の条項については、
「学校教育法等の一部を改正する法律(平成 19 年法律第 96 号、
施行日:平成 19 年 12 月 26 日)
」施行に伴い、学校教育法第 52 条は第 83 条に、同法第 65 条は第 99 条になった。
しかしながら、本評価結果においては、大学の自己評価書の提出日が「学校教育法等の一部を改正する法律」の施行日以前
であり、また自己評価書と評価結果の整合性を図るため、改正前の条項を用いている。
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金沢大学
基準2 教育研究組織(実施体制)
2-1 大学の教育研究に係る基本的な組織構成(学部及びその学科、研究科及びその専攻、その他
の組織並びに教養教育の実施体制)が、大学の目的に照らして適切なものであること。
2-2 教育活動を展開する上で必要な運営体制が適切に整備され、機能していること。
【評価結果】
基準2を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
2-1-① 学部及びその学科の構成(学部、学科以外の基本的組織を設置している場合には、その構成)が、学士課程
における教育研究の目的を達成する上で適切なものとなっているか。
学士課程における教育研究の目的を達成するために、以下の学部、学科及び課程が置かれている。
・ 文学部:人間学科、史学科、文学科
・ 教育学部:学校教育教員養成課程、障害児教育教員養成課程、人間環境課程、スポーツ科学課程
・ 法学部:法政学科
・ 経済学部:経済学科
・ 理学部:数学科、物理学科、化学科、生物学科、地球学科、計算科学科
・ 医学部:医学科、保健学科
・ 薬学部:薬学科、創薬科学科
・ 工学部:土木建設工学科、機能機械工学科、物質化学工学科、電気電子システム工学科、人間・機
械工学科、情報システム工学科
これらの8学部 21 学科・4課程は、大学総体としての教育研究目的を踏まえ、それぞれに目的を明らか
にして構成されている。
なお、
平成 20 年度から、
現在の8学部 21 学科・4課程を3学域 16 学類に改組することが決まっている。
これらのことから、学部及びその学科・課程の構成が目的を達成する上で適切なものとなっていると判
断する。
2-1-② 教養教育の体制が適切に整備され、機能しているか。
全学教員が参画する共通教育機構が設置され、全学共通の教養教育が展開されている。すなわち、共通
教育機構は、文学芸術系、数学系、英語系など 25 の系を置き、専任教員(原則としてがん研究所及び医学
部附属病院の専任教員を除く。
)が専門分野に応じていずれかの系に所属し、系ごとに決められたルールに
則って共通教育の授業を担当している。
共通教育科目に係る教育課程、履修等を所掌する共通教育委員会は、共通教育機構長を委員長として、
副機構長、各学部から選出された教授、教育関係センターから選出された教員、共通教育機構の各系から
選出された教員等をもって構成されており、年6回程度開催され、必要な事項についての審議が行われて
いる。また、共通教育委員会の下に、小委員会として、カリキュラム調整委員会、教務・学生委員会、予
算・施設委員会、FD委員会及び広報委員会が置かれ、必要に応じて開催・審議されている。
これらのことから、教養教育の体制が適切に整備され、機能していると判断する。
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金沢大学
2-1-③ 研究科及びその専攻の構成(研究科、専攻以外の基本的組織を設置している場合には、その構成)が、大学
院課程における教育研究の目的を達成する上で適切なものとなっているか。
金沢大学大学院は、教育学研究科、医学系研究科、人間社会環境研究科、自然科学研究科及び法務研究
科の5研究科を置き、
それぞれの研究科は、
大学院学則に明記された目的に則した教育研究の目的を掲げ、
目的を達成するための以下の専攻を設けている。
〔修士課程〕
・ 教育学研究科:学校教育専攻、国語教育専攻、社会科教育専攻、数学教育専攻、理科教育専攻、
音楽教育専攻、美術教育専攻、保健体育専攻、技術教育専攻、家政教育専攻、英語教育専攻、障害
児教育専攻
・ 医学系研究科:医科学専攻
〔博士前期課程〕
・ 医学系研究科:保健学専攻
・ 人間社会環境研究科:人間文化専攻、社会システム専攻、公共経営政策専攻
・ 自然科学研究科:数物科学専攻、電子情報工学専攻、機能機械科学専攻、人間・機械科学専攻、
物質化学専攻、物質工学専攻、地球環境学専攻、社会基盤工学専攻、生物科学専攻、生命薬学専攻、
医療薬学専攻
〔博士後期課程〕
・ 医学系研究科:保健学専攻
・ 人間社会環境研究科:人間社会環境学専攻
・ 自然科学研究科:数物科学専攻、電子情報科学専攻、システム創成科学専攻、物質科学専攻、環
境科学専攻、生命科学専攻
〔博士課程〕
・ 医学系研究科:脳医科学専攻、がん医科学専攻、循環医科学専攻、環境医科学専攻
〔専門職学位課程〕
・ 法務研究科:法務専攻
これらのことから、研究科及びその専攻の構成が、目的を達成する上で適切なものとなっていると判断
する。
2-1-④ 別科、専攻科を設置している場合には、その構成が教育研究の目的を達成する上で適切なものとなっている
か。
大学の目的を踏まえた学部(教育学部)の目的を達成するために、養護教諭特別別科及び特殊教育特別
専攻科(言語障害教育専攻)が設置されている。なお、特殊教育特別専攻科は平成 20 年度以降に廃止予定
である。
これらのことから、別科・専攻科の構成が目的を達成する上で適切なものとなっていると判断する。
2-1-⑤ 全学的なセンター等を設置している場合には、その構成が教育研究の目的を達成する上で適切なものとなっ
ているか。
大学の教育研究の目的を達成するために、学部、大学院研究科のほかに附置研究所、学内共同利用施設
等が設置されている。
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金沢大学
これらの研究所及びセンター等は、それぞれが担っている主要な機能の面からおおむね次のように区分
される。
・ 教育及び教育支援:大学教育開放センター、留学生センター、外国語教育研究センター、大学教育
開発・支援センター
・ 研究推進:がん研究所、学際科学実験センター、環日本海域環境研究センター
・ 学内教育研究支援:総合メディア基盤センター、環境保全センター、極低温研究室、資料館、埋蔵
文化財調査センター、技術支援センター
・ 産学連携:共同研究センター、インキュベーション施設、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
・ 厚生補導:保健管理センター
また、附属学校園、附属病院は実習施設として学生の教育に重要な役目を担っている。
これらのことから、全学的なセンター等の構成が目的を達成する上で適切なものとなっていると判断す
る。
2-2-① 教授会等が、教育活動に係る重要事項を審議するための必要な活動を行っているか。
8学部及び教育学研究科を除く4研究科のそれぞれに、教授会(各学部等の定めるところにより代議員
会を置く場合は、それを含む。
)が置かれ、教授会では、その学部等に係る当該部局長の候補者の選考に関
する事項、教員の選考に関する事項、その他当該部局の教育研究に関する重要事項など必要な事項を審議
するものとされている。また、教育学研究科に研究科委員会が置かれ、その研究科に係る運営に関する事
項を審議するものとされている。
各学部等に置かれる教授会及び研究科委員会では、各学部等の定めるところにより月1回以上開催され、
上記事項についての審議が行われている。
これらのことから、教授会等が必要な活動を行っていると判断する。
2-2-② 教育課程や教育方法等を検討する教務委員会等の組織が、適切な構成となっているか。また、必要な回数の
会議を開催し、実質的な検討が行われているか。
教育全般に関する事項を審議する全学的組織として教育企画会議が置かれ、教育担当副学長を議長とし
て、各学部・研究科から選出した評議員等、附属図書館長、共通教育機構長、センター長代表等をもって
構成されている。教育企画会議は、月1回以上開催されており、全学の教育課程や教育方法等の必要な事
項についての審議が行われている。
共通教育に関しては、全学的組織として共通教育委員会が置かれ、共通教育に係る教育課程、履修等の
必要な事項についての審議が行われている。
また、各学部・研究科においては、各学部等における教育全般に関する事項を審議するため、教務委員
会、教務・学生委員会等が置かれ、委員長及び各学科等から選出された委員等をもって構成されている。
教務委員会等は、各学部等の定めるところにより月1回以上開催されており、専門教育に係る教育課程、
履修等の必要な事項についての審議が行われている。
これらのことから、教育課程や教育方法等を検討する組織が適切な構成となっており、実質的な検討が
行われていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準2を満たしている。
」と判断する。
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金沢大学
基準3 教員及び教育支援者
3-1 教育課程を遂行するために必要な教員が適切に配置されていること。
3-2 教員の採用及び昇格等に当たって、適切な基準が定められ、それに従い適切な運用がなされ
ていること。
3-3 教育の目的を達成するための基礎となる研究活動が行われていること。
3-4 教育課程を遂行するために必要な教育支援者の配置や教育補助者の活用が適切に行われてい
ること。
【評価結果】
基準3を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
3-1-① 教員組織編制のための基本的方針を有しており、それに基づいた教員組織編制がなされているか。
「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」との基本理念(金沢大学憲章)に基づき、教育の質の向
上と教職員の適正配置が中期目標で明確に定められている。この中期目標を達成するために、中期計画で
は「教育体制の整備・改編や教育課程の再編に合わせて、教職員の再配置や学部間の連携による教育担当
システムを確立する。
」
、
「責任ある自律的な教育体制を実現するため、非常勤講師依存率を法人化前の 50%
を目処に減少させる。
」としている。これら中期目標・中期計画を基本的方針とし、講座制を維持しつつ、
各部局における雇用上限の枠組みの中で、非常勤講師依存率の減少も踏まえた教員組織の編制が行われて
いる。また、共通(教養)教育に関しては、助教以上の全学教員出動方式が採られている。
これらのことから、教員組織編制のための基本的方針を有しており、それに基づいた教員組織編制がな
されていると判断する。
3-1-② 教育課程を遂行するために必要な教員が確保されているか。
平成 19 年5月1日現在、1,021 人の専任教員(教授、准教授、講師、助教)が、8学部、5研究科、附
置研究所、
附属病院及び各センターに配置されており、
職位別の割合は、
教授 38%、
准教授 29%、
講師9%、
助教 24%となっている。専任教員1人当たりの在籍学生数は、全学レベルで 10.4 人である。学部レベル
では、文学部 12.3 人、教育学部 11.2 人、法学部 23.4 人、経済学部 24.2 人、理学部 7.4 人、医学部 6.4
人、薬学部 5.8 人、工学部 11.6 人となっている。
また、主要科目は原則として専任の教授又は准教授が担当しており、担当できる専任教員を欠く授業科
目については、非常勤講師が担当することとしている。
これらのことから、教育課程を遂行するために必要な教員が確保されていると判断する。
3-1-③ 学士課程において、必要な専任教員が確保されているか。
当該学士課程における専任教員数は、次のとおりとなっている。
・ 文学部:63 人(うち教授 33 人)
・ 教育学部:81 人(うち教授 52 人)
・ 法学部:36 人(うち教授 17 人)
・ 経済学部:37 人(うち教授 21 人)
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金沢大学
・ 理学部:112 人(うち教授 49 人)
・ 医学部:233 人(うち教授 79 人)
・ 薬学部:56 人(うち教授 15 人、実務家教員3人)
・ 工学部:173 人(うち教授 79 人)
上記のごとく、各学部、学科の専任教員数は、大学設置基準に定められている必要教員数を満たしてい
る。
これらのことから、必要な専任教員が確保されていると判断する。
3-1-④ 大学院課程(専門職大学院課程を除く。
)において、必要な研究指導教員及び研究指導補助教員が確保されて
いるか。
当該大学院課程における研究指導教員数及び研究指導補助教員数は、次のとおりとなっている。
〔修士課程〕
・ 教育学研究科:研究指導教員 61 人(うち教授 61 人)、研究指導補助教員 37 人
・ 医学系研究科(医科学専攻):研究指導教員 100 人(うち教授 47 人)、研究指導補助教員 42 人
〔博士前期課程〕
・ 医学系研究科(保健学専攻):研究指導教員 45 人(うち教授 36 人)、研究指導補助教員 46 人
・ 人間社会環境研究科:研究指導教員 130 人(うち教授 71 人)、研究指導補助教員0人
・ 自然科学研究科:研究指導教員 352 人(うち教授 153 人)、研究指導補助教員0人
〔博士後期課程〕
・ 医学系研究科(保健学専攻):研究指導教員 42 人(うち教授 35 人)、研究指導補助教員 49 人
・ 人間社会環境研究科:研究指導教員 90 人(うち教授 66 人)、研究指導補助教員3人
・ 自然科学研究科:研究指導教員 257 人(うち教授 153 人)、研究指導補助教員 26 人
〔博士課程〕
・ 医学系研究科(医学博士課程):研究指導教員 167 人(うち教授 58 人)、研究指導補助教員 65
人
上記のごとく、各研究科の専攻における研究指導教員及び同補助教員の数は、大学院設置基準に定めら
れている必要教員数を満たしている。
これらのことから、必要な研究指導教員数及び研究指導補助教員数が確保されていると判断する。
3-1-⑤ 専門職大学院課程において、必要な専任教員(実務の経験を有する教員を含む。
)が確保されているか。
当該専門職学位課程における専任教員数は、法務研究科が 16 人(うち教授 15 人、実務家教員5人)と
なっており、専門職大学院設置基準に定められている必要教員数を満たしている。
これらのことから、必要な専任教員が確保されていると判断する。
3-1-⑥ 大学の目的に応じて、教員組織の活動をより活性化するための適切な措置(例えば、年齢及び性別のバラン
スへの配慮、外国人教員の確保、任期制や公募制の導入等が考えられる。
)が講じられているか。
教員の年齢構成は、各年代ともバランス良く配置されており、部局においても、年齢構成のバランスに
配慮されている。教員採用に当たっては、すべての部局において公募制を採っており、外国人教員の数は
21 人、女性教員の数は 150 人となっている。なお、教員の男女比は、約 8.5 対 1.5 である。
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金沢大学
教員組織の活動の活性化を図るため、医学系研究科をはじめとする一部の部局では任期制を導入すると
ともに、研究・教育及び診療活動の活性化・高度化を図るために特別に雇用する特任教員制度が実施され
ている。平成 19 年 11 月現在、任期制適用者は 217 人であり、特任教員は 34 人(特任教授 11 人、特任准
教授 10 人、特任助教 13 人)が採用されている。任期制適用者が任期満了で退職した場合、退職手当で優
遇するよう退職手当規程が平成 19 年3月 31 日に改正されている。また、平成 19 年度に、文部科学省科学
技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に申請した「新領域創成をめざす若手研究者育
成特任制度」が採択され、テニュア・トラック制度による特任准教授4人と特任助教3人の国際公募を行
い順次採用している(平成 19 年 11 月現在4人採用)。テニュア・トラック制度等を適用する特任教員の
給与を、年俸制として優遇するよう特任教員の就業に関する規則を平成 19 年4月1日に改正している。そ
のほか、国内外の教育研究機関等との教育研究交流・人事交流の促進策について検討が行われている。
これらのことから、教員組織の活動をより活性化するための適切な措置が講じられていると判断する。
3-2-① 教員の採用基準や昇格基準等が明確かつ適切に定められ、適切に運用がなされているか。特に、学士課程に
おいては、教育上の指導能力の評価、また大学院課程においては、教育研究上の指導能力の評価が行われてい
るか。
すべての学部、研究科において、金沢大学教員選考基準を基本としたガイドラインに基づく教員の採用、
昇格等の人事が行われている。人事手続きは、研究業績及び教育上の実績を基本に、適宜、社会での活動
実績等も加味した審査プロセスで進められている。
学士課程における教育指導能力の評価は、学生による授業評価に拠るとする部局のほか、シラバス案の
審査や、採用・昇格候補者による講演会での口頭発表の評価に拠るとする部局など、その方法は多岐にわ
たっている。
大学院課程における教育研究上の指導能力の評価も、これまでの研究実績と教育実績の双方について所
要の審査・検討を行う中で実施されている。
なお、学士課程の教育指導能力評価については、教員の教育歴の審査をすべての部局で実施されている
が、その審査を踏まえた有効な評価がなされているか否かについて検討が必要であることが認識されてい
る。
これらのことから、教員の採用基準や昇格基準等が明確かつ適切に定められ、適切に運用がなされてい
ると判断する。
3-2-② 教員の教育活動に関する定期的な評価が行われているか。また、その結果把握された事項に対して適切な取
組がなされているか。
主に学生による授業評価アンケートの結果に基づいて教員の教育活動の評価が行われている。
すべての部局において、学生による授業評価アンケートが授業科目ごとに実施されており、その結果は
各教員に通知され、教育改善のための契機としている。また、アンケート結果への取組として、例えば、
改善すべき事項があった場合、
その改善方法を書面で提出させる、
授業において学生に対して説明させる、
特に問題のある教員に対し改善指導をする等の措置が講じられている。
さらに、優秀教員を顕彰する制度の確立や、授業のビデオ撮影により自己研鑽する仕組みの構築など、
評価を通じ教員の教育活動の質を高める取組を定期的に行っている部局もある。
なお、教員の教育活動に関する評価の質と実効性を高めるために、金沢大学教員評価大綱及び金沢大学
教員評価実施要項の整備を終え、平成 19 年度内に試行的評価を実施し、本評価に向けての検証を終えるこ
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ととしている。
これらのことから、教員の教育活動に関する定期的な評価が行われており、その結果把握された事項に
対して適切な取組がなされていると判断する。
3-3-① 教育の目的を達成するための基礎として、教育内容等と関連する研究活動が行われているか。
各学部・学科、研究科・専攻は、大学憲章、中期目標・中期計画等に明示されている教育の目的を達成
すべく、それぞれの入学者受入方針に沿って学生を受け入れ、その教育目的の実現のために編成したカリ
キュラムの実施を通じて人材育成が行われている。カリキュラム展開に責任を負う各教員は、そうした教
育目的を達成すべく、その基礎となる研究活動が行われている。
また、近年における社会の変化や学生の資質・能力の多様化に対応し、例えば、複数の教員が自らの研
究成果に基づいて、北陸の文化と自然の独自性・特殊性を解説する「北陸学総論」など新しいタイプの授
業科目を開設する動きが顕在化しているが、その際にも、授業担当者の決定に当たり、教育内容と研究活
動の関連性を考慮しつつ進められている。
これらのことから、教育内容等と関連する研究活動が行われていると判断する。
3-4-① 大学において編成された教育課程を展開するに必要な事務職員、技術職員等の教育支援者が適切に配置され
ているか。また、TA等の教育補助者の活用が図られているか。
キャンパスが3地区に分散していることや、技術系職員が不足がちといった不利な条件はあるが、大学
全体として可能な体制整備とTAの適切な配置に意が注がれている。
学務担当として、学生部学務課並びに角間北地区、角間南地区及び宝町地区の各事務部にある学生課内
に、各学部及び研究科に対応した学務系係が設置され、教育課程を展開するに必要な事務職員は、これら
学務系係に配置されており、その数は学生部 35 人、角間北地区事務部 20 人、角間南地区事務部 17 人、宝
町地区事務部 11 人となっている。
技術職員は、必要に応じて教育学部、理学部、医学部、薬学部、工学部、学際科学実験センター、環日
本海域環境研究センターに配置されており、その数は 56 人である。
TAは、すべての学部と共通教育機構に配置されており、その中でも実験・実習を伴う科目の数が多い
理学部、医学部、薬学部、工学部に重点的に配置されている。平成 18 年度採用のTAは 926 人である。
これらのことから、必要な事務職員、技術職員等の教育支援者が適切に配置されており、TA等の教育
補助者の活用が図られていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準3を満たしている。
」と判断する。
【優れた点】
○ 文部科学省科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」に、平成 19 年度に「新領
域創成をめざす若手研究者育成特任制度」が採択され、テニュア・トラック制度による特任教員を採
用して若手研究者の育成に取り組んでいる。
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基準4 学生の受入
4-1 教育の目的に沿って、求める学生像や入学者選抜の基本方針が記載された入学者受入方針(ア
ドミッション・ポリシー)が明確に定められ、公表、周知されていること。
4-2 入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に沿って適切な学生の受入が実施され、機能
していること。
4-3 実入学者数が、入学定員と比較して適正な数となっていること。
【評価結果】
基準4を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
4-1-① 教育の目的に沿って、求める学生像や入学者選抜の基本方針等が記載された入学者受入方針(アドミッショ
ン・ポリシー)が明確に定められ、公表、周知されているか。
学部においては、全学の学生募集・入学試験委員会、教育研究評議会、各学部の入学試験関係委員会及
び教授会等で、大学の基本理念に基づく入学者受入方針が定められ、ウェブサイト、学生募集要項、各学
部案内等に掲載されている。周知方法については、全学・各学部ウェブサイトへの掲載及び学生募集要項・
学部案内の配布を行うとともに、オープン・キャンパス、高等学校別大学見学会、進学説明会、出張講義、
高等学校との懇談会等において、受験希望者及び学外関係者に対して説明を行っている。
大学院においては、各研究科で入学者受入方針が策定され、学生募集要項に記載するとともに、ウェブ
サイトに掲載されている。
養護教諭特別別科及び特殊教育特別専攻科については、その特性に鑑み入学者受入方針が策定されてい
ないものの、養護教諭養成及び現職教員等を対象とする障害児教育の指導者養成である旨が募集要項に明
確に記載されている。
これらのことから、入学者受入方針が明確に定められ、公表、周知されていると判断する。
4-2-① 入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に沿って適切な学生の受入方法が採用されており、実質的に
機能しているか。
学部においては、入学者受入方針に沿った人材を受け入れるため、学力試験中心の一般選抜のみならず、
後期日程の入学者選抜、推薦入学、帰国子女、私費外国人留学生の特別選抜において、小論文・面接等の
複数の選抜方法が実施されている。
大学院においては、一般的には研究内容・指導方針等に関する指導希望教員への事前相談に始まり、現
在の研究内容・実績、外国語能力、学力試験、口頭試問等の複数の方法により選抜が実施されている。
これらのことから、入学者受入方針に沿って適切な学生の受入方法が採用されており、実質的に機能し
ていると判断する。
4-2-② 入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)において、留学生、社会人、編入学生の受入等に関する基本
方針を示している場合には、これに応じた適切な対応が講じられているか。
留学生の選抜については、留学生特別選抜の位置付け、入学を希望する留学生の進路に配慮し、日本語
を含む基礎学力を日本留学試験で確認するのみならず、TOEFLで英語能力を確認し、国家試験に対応
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する必要がある医学部、薬学部においては一般選抜と同じ学力試験が課されている。また、勉学に対する
意欲・資質・適格性を評価するため、すべての学部で留学生に対し小論文又は面接が実施されている。
社会人特別選抜は、全研究科において実施されており、例えば、自然科学研究科の社会人特別選抜では、
一般の専門科目試験を行わず、主に推薦書及び口述試験を実施することで、夜間その他特定の時間又は時
期において授業又は研究指導を行うことができる、
いわゆる 14 条特例を適用して学修時間が確保されてい
る。また、教育学研究科では、教員の経験が3年以上ある現職教員を対象とする現職教員特別選抜が実施
されており、14 条特例の適用により高等教育を受ける機会の拡大が図られている。
3年次編入学の選抜は、法学部、理学部、医学部及び工学部で実施されており、筆記試験(小論文を含
む。)及び面接により、基礎的な学力と勉学意欲を評価している。例えば、医学部医学科の入学者選抜は
第3次試験まで行い、工学部においては、高等専門学校で優秀な成績を修めた志願者に筆記試験を免除す
る等、各学部が求める人材に対応した特色ある選抜が行われている。
このように、留学生、社会人、編入学生については、入学者受入の特別な基本方針を示してはいないが、
それぞれの実情に応じた多様な選抜方法が取り入れられている。
これらのことから、入学者受入方針に応じた適切な対応が講じられていると判断する。
4-2-③ 実際の入学者選抜が適切な実施体制により、公正に実施されているか。
「金沢大学入学者選抜試験(個別試験)業務実施要項」に則り、以下のように入学者選抜が実施されて
いる。
学生の募集及び入学試験の企画、立案、研究及び改善については、副学長を長とする全学の学生募集委
員会及び入学試験委員会並びに各学部の入学試験関係委員会で行われている。入学試験に関する基本方針
及び具体的計画の策定等については、副学長を長とする全学の個別入学試験実施委員会及び各部局長を長
とする部局の実施委員会で行われている。また、学長を長とする個別入学試験実施本部及び各部局長を長
とする試験場本部を置いて入学試験が行われている。
合格者の決定については、公正を保つため非公開の問題作成委員・点検委員により、入試問題の作成・
点検を行い、答案調査委員による答案の調査・採点を実施し、受験番号を非公開にした方法で、最終的に
教授会及び教育研究評議会の議によって合否判定が行われている。
さらに、情報公開及び公正な入学試験実施の観点から、ウェブサイトにおいて、入試得点の最高点・最
低点(募集単位ごと)及び前期日程入試問題の正解・解答例や一部の推薦入試で入試問題出題の趣旨・講
評が掲載されている。
大学院における入学者選抜は、各研究科において実施されている。
これらのことから、入学者選抜が適切な実施体制により、公正に実施されていると判断する。
4-2-④ 入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に沿った学生の受入が実際に行われているかどうかを検証す
るための取組が行われており、その結果を入学者選抜の改善に役立てているか。
各部局の入試関係委員会において、入試成績の分布、入試成績と卒業時の成績の比較、入試科目ごとの
偏差値、推薦入学の有効性等について、それぞれの入学者受入方針に沿った分析・研究が行われ、入試科
目及び配点の検討、特別選抜・面接試験の実施等の検討・改善が行われている。
大学入試センター試験で課す科目の変更などが改善例であるが、例えば、教育学部では、検証の結果、
より幅広い人材を受け入れるために、
全課程において平成 19 年度から大学入試センター試験で課す科目を
変更し、従来の社会2科目・理科1科目から、社会・理科共に1又は2科目選択とした。また、過去4年
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金沢大学
間にわたる資料をデータベース化し、入試動向の把握・分析を行っている学部もある。
大学院においては、各研究科が検証に基づいて改善に役立てている。
これらのことから、入学者受入方針に沿った学生の受入が実際に行われているかどうかを検証するため
の取組が行われており、その結果を入学者選抜の改善に役立てていると判断する。
4-3-① 実入学者数が、入学定員を大幅に超える、又は大幅に下回る状況になっていないか。また、その場合には、
これを改善するための取組が行われるなど、入学定員と実入学者数との関係の適正化が図られているか。
当該大学における平成 15~19 年度の5年間の入学定員に対する実入学者数の比率の平均は、次のとお
りとなっている。(ただし、平成 16 年4月に設置された法学部法政学科については、平成 16~19 年度の
4年分、平成 18 年4月に改組された薬学部については、平成 18~19 年度の2年分、平成 17 年4月に設置
された医学研究科(修士課程)については、平成 17~19 年度の3年分、平成 18 年4月に設置された人間
社会環境研究科については、平成 18~19 年度の2年分、平成 16 年4月に設置された法務研究科について
は、平成 16~19 年度の4年分。)
〔学士課程〕
・ 文学部:1.03 倍
・ 教育学部:1.11 倍
・ 法学部:1.05 倍
・ 経済学部:1.04 倍
・ 理学部:1.12 倍
・ 医学部:1.01 倍
・ 薬学部:1.06 倍
・ 工学部:1.05 倍
〔修士課程〕
・ 教育学研究科:0.85 倍
・ 医学系研究科:1.35 倍
〔博士前期課程〕
・ 医学系研究科:0.98 倍
・ 人間社会環境研究科:0.94 倍
・ 自然科学研究科:1.02 倍
〔博士後期課程〕
・ 医学系研究科:1.11 倍
・ 人間社会環境研究科:1.03 倍
・ 自然科学研究科:0.84 倍
〔博士課程〕
・ 医学系研究科:0.58 倍
〔専門職学位課程〕
・ 法務研究科:1.00 倍
〔専攻科〕
・ 特殊教育特別専攻科:0.32 倍
〔別科〕
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・ 養護教諭特別別科:0.77 倍
医学系研究科(修士課程)については、入学定員超過率が高く、医学研究科(博士課程)、特殊教育特
別専攻科については、入学定員充足率が低い。
医学系研究科(博士課程)においては、博士の学位を取得していない現職の教員・医員に対して社会人
入学を奨励し、また、医科学専攻修士課程の充実により医学博士課程への進学を図るなど具体的方策が進
められている。特殊教育特別専攻科においては、言語障害児教育(「ことばの治療教室」)担当教員の養
成という当該専攻科設置の社会的使命が終了し、今後も需要が見込めないことなどを理由に、平成 20 年度
以降に廃止予定である。
これらのことから、入学定員と実入学者数の関係は、大学院の一部の研究科等を除いて、適正であると
判断する。
以上の内容を総合し、
「基準4を満たしている。
」と判断する。
【改善を要する点】
○ 大学院の一部の研究科等においては、入学定員超過率が高い、又は入学定員充足率が低い。
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金沢大学
基準5 教育内容及び方法
(学士課程)
5-1 教育課程が教育の目的に照らして体系的に編成されており、その内容、水準、授与される学
位名において適切であること。
5-2 教育課程を展開するにふさわしい授業形態、学習指導法等が整備されていること。
5-3 成績評価や単位認定、卒業認定が適切であり、有効なものとなっていること。
(大学院課程)
5-4 教育課程が教育の目的に照らして体系的に編成されており、その内容、水準、授与される学
位名において適切であること。
5-5 教育課程を展開するにふさわしい授業形態、学習指導法等が整備されていること。
5-6 研究指導が大学院教育の目的に照らして適切に行われていること。
5-7 成績評価や単位認定、修了認定が適切であり、有効なものとなっていること。
(専門職大学院課程)
5-8 教育課程が教育の目的に照らして体系的に編成されており、その内容、水準、授与される学
位名において適切であること。
5-9 教育課程が当該職業分野における期待にこたえるものになっていること。
5-10 教育課程を展開するにふさわしい授業形態、学習指導法等が整備されていること。
5-11 成績評価や単位認定、修了認定が適切であり、有効なものとなっていること。
【評価結果】
基準5を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
<学士課程>
5-1-① 教育の目的や授与される学位に照らして、授業科目が適切に配置され(例えば、教養教育及び専門教育のバ
ランス、必修科目、選択科目等の配当等が考えられる。
)
、教育課程が体系的に編成されているか。
学士課程においては、中期目標に定める「人類の知的遺産を継承・革新し、地域と世界に開かれた大学」
、
「教育を重視した研究大学」の実現を目標に、教養教育及び専門教育により教育課程が編成されている。
教養教育では、学士課程教育の基盤となる知識・技能及び教養並びにより発展的で幅広い知識や現代的教
養を身に付けること、専門教育では、専門的素養を持った人材として活躍できる、確かな基礎的能力及び
総合的視野を獲得することを目指している。
教育課程は、教養教育のための「共通教育科目」と専門教育のための「専門科目」により編成され、共
通教育機構及び各学部において、それぞれで定める教育目的・目標を達成すべく教育が行われている。
共通教育科目は、導入科目、総合科目、テーマ別科目、一般科目、言語科目、基礎科目の6科目で構成
されており、導入科目は高等学校から大学への接続のための科目、総合科目・テーマ別科目は学生の関心
に応じて履修させながら広い教養を身につけさせる科目である。また、一般科目、言語科目、基礎科目は
大学教育の基盤形成のための科目であるとともに専門科目との接続の役割も担っている。共通教育科目に
ついては、各学部 32~49 単位以上が卒業要件単位数とされている。
一方、専門科目は、各学部で授与する学位に応じて整備されている。一般的には、1年次から前述の共
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金沢大学
通教育科目と並行して導入的内容の専門科目が配置され、1・2年次では基礎的な内容の授業が、2・3
年次には専門的な講義・演習・実験・実習が配置され、4年次には多くの学部で卒業研究・ゼミナールが
課されている。さらに、専門科目は、必修科目と選択科目に区分されており、必修科目で基礎を確立し、
選択科目で高度な専門領域への方向付けが行われている。
また、共通教育科目と専門科目の履修には、自由履修枠が設定されており、一定数の単位を互換的に修
得できる制度となっている。加えて、専門科目には、学部共通科目が設けられており、学科、課程、専攻
を越えた基礎能力の醸成が図られている。
これらのことから、授業科目が適切に配置され、教育課程が体系的に編成されていると判断する。
5-1-② 授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。
中期目標にある基本理念「人類の知的遺産を継承・革新し、地域と世界に開かれた大学」の下、課題探
求能力を持った国際的教養人の育成等を重要な教育目標として、教育課程が編成されている。また、教育
課程の編成にあっては、
学部等の専門の学芸の教授とともに、
幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い、
豊かな人間性を涵養するよう配慮するものとされている。この趣旨に則り、共通教育科目は共通教育機構
の教育目的・目標に即して、5つの科目区分からなるカリキュラムが編成され、専門教育では、各学部の
教育目的に即した授業科目が専門科目として配置されている。
上記、大学としての教育課程編成の趣旨に則り、各学部においては、学部の専門性を厳しく踏まえて、
人材育成をはじめとする学部の目的・目標が達成されるよう、教育課程が編成され、高い専門性の修得を
可能にしている。各学部の特徴ある専門科目は、専門的な課題探求能力と課題解決能力の育成に配慮され
ており、専門教育の目標に沿ったものとなっている。
これらのことから、授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっていると判断
する。
5-1-③ 授業の内容が、全体として教育の目的を達成するための基礎となる研究の成果を反映したものとなっている
か。
中期目標として、「教育を重視した研究大学」の実現を掲げ、授業内容の充実に取り組んでいる。その
中で、教員は研究活動の成果を授業に取り入れ、共通教育科目及び専門科目の授業内容に反映し、その向
上につなげている。
例えば、文部科学省 21 世紀COEプログラムに、平成 14 年度に採択された「環日本海域の環境計測と
長期・短期変動予測」の内容を共通教育科目の「環日本海学」に反映し、最新の環境科学の動向を取り入
れている。また、経済学部では、学内重点研究として実施されている「地域統合と人的移動の国際比較」
の研究成果である共著書が共通教育科目の中の総合科目「地域統合と人的移動」のテキストとして使用さ
れ、先端的情報が伝えられている。医学部では、「肝臓がんの研究」についての最新の研究成果を
Gastroenterology、Cancer Research 等に学術論文として発表し、医学科の「栄養・消化器」、「腫瘍」
等の講義に使用するスライドとして取り入れて授業内容の更新に努めている。工学部では、「河川計画、
河川生態環境工学に関する研究」の成果が著書「河川工学」などとして出版され、土木建設工学科の「河
川工学」の授業のテキストとして利用されている。
これらのことから、授業の内容が、全体として研究の成果を反映したものとなっていると判断する。
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金沢大学
5-1-④ 学生の多様なニーズ、学術の発展動向、社会からの要請等に対応した教育課程の編成(例えば、他学部の授
業科目の履修、他大学との単位互換、インターンシップによる単位認定、補充教育の実施、編入学への配慮、
修士(博士前期)課程教育との連携等が考えられる。
)に配慮しているか。
中期目標に示されているように、1.多様な学生の受入れ、2.基礎から実践に至る幅広い知の創造、
3.新しい学問の開拓等に重点を置き、学生のニーズ、学術の発展動向、社会からの要請に対応すべく配
慮・取組が実践されている。
他大学等との単位互換については、平成 16 年度の文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム
(現代GP)に採択された「大学連携による石川の「知」の拠点の創出-いしかわシティカレッジの整備・
充実-」に参加する他大学との単位互換、放送大学との単位互換、北陸地区国立大学との双方向遠隔授業
システムを利用した授業とこれに関する単位互換が行われている。
また、他大学での既修得単位については、学則に明示し、3年次編入学生等に対して金沢大学の単位と
して認めている。
文学部・法学部・経済学部の3学部では、学部の枠を越えた副専攻制を導入し、社会的に求められてい
る複数の専門性を持った人材の育成と、
学生の学問的興味と職業的知識を同時に充たすことを可能とする、
社会と学生の両方のニーズにこたえられる特色あるカリキュラムが編成されている。
インターンシップについては、学生に参加を推奨し、文学部、法学部、経済学部、工学部で単位認定が
行われている。
ITの活用については、平成 16 年度に文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)
に、
「IT教育用素材集の開発とIT教育の推進」が採択されており、実践的遠隔教育(e-learning)が進
められている。また、特に教員養成については、平成 18 年度に文部科学省の資質の高い教員養成推進プロ
グラム(教員養成GP)に採択された「WEB 教育実習ノートによる自主学習の支援-‘なるため実習ノー
ト’を活用した高等学校教員養成における訪問対話型教育実習指導・評価システムの構築-」の下で事前・
事後指導、授業準備・実践・評価、成績評定等を網羅した WEB ノートによる教育実習の学習支援システム
の構築が開始されている。
これらに加え、多様な学生の受入に伴う基礎学力が不足している学生の補充授業をはじめ、学部生と修
士(博士前期)課程の大学院生に対する共通授業の実施、学生の専門性と視野の拡大を目的とする学外講
師による特別講義の開催、各種国家試験受験資格等の取得にかかわる教育体制の確立等、学生及び社会の
ニーズにこたえるための教育環境の整備が積極的になされている。
さらに、平成 19 年5月1日現在、海外の 87 大学等と学術交流協定(大学間・部局間)が締結されてお
り、日本学生支援機構の制度のほか、大学独自の私費派遣留学生の制度を設けて、学生の国際的視野の拡
大に配慮されている。また、文学部では、一定の条件の下で留学自体を単位認定することができる授業科
目が開設され、学生のニーズにこたえるとともに、学生の潜在的な留学意欲を引き出すことが図られてい
る。
これらのことから、学生の多様なニーズ、学術の発展動向、社会からの要請等に対応した教育課程の編
成に配慮していると判断する。
5-1-⑤ 単位の実質化への配慮がなされているか。
学生便覧に学修時間を明示するとともに学生に配付し、各学部において学習についてのガイダンスと適
切な履修選択等の指導が行われている。
履修指導に際しては、すべての学部で履修モデルや履修の手引を作成し、学生が効率的な履修計画を作
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成できるように配慮されている。特に、教養教育については、共通教育機構に「なんでも相談室」が設置
されており、履修について相談に応じるとともに、専門教育についても各学部のアドバイス教員及び教務
委員等による学生の履修指導が行われている。さらに、シラバスに学生の学習目標を示すとともに、教員
のオフィスアワーや電子メールアドレスを明示して、学生の学習計画の作成に配慮されている。
これらのほか、履修登録単位数の上限設定を行い、共通教育機構及び各学部の履修案内に記載して学生
への周知が図られている。また、理学部、薬学部、工学部ではGPA(Grade Point Average)制度を導入
している。
これらのことから、単位の実質化への配慮がなされていると判断する。
5-1-⑥ 夜間において授業を実施している課程(夜間学部や昼夜開講制(夜間主コース)
)を有している場合には、そ
の課程に在籍する学生に配慮した適切な時間割の設定等がなされているか。
該当なし
5-2-① 教育の目的に照らして、講義、演習、実験、実習等の授業形態の組合せ・バランスが適切であり、それぞれ
の教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。
(例えば、少人数授業、対話・討論型授業、フィー
ルド型授業、多様なメディアを高度に利用した授業、情報機器の活用、TAの活用等が考えられる。
)
共通教育機構及び各学部の授業形態については、中期目標に掲げる教育目標を達成するため、バランス
に配慮しつつ、講義・演習・実験・実習等を多様に組み合わせながら授業が展開されている。
共通教育機構及び学部における学習指導法には、次のような工夫が施されている。
共通教育機構では、各学部の卒業要件に配慮しながら、多様な授業形態を最大限活用している。加えて、
平成 18 年度入学者からのノート型パソコン必携化により、全共通教育科目で e-learning を利用すること
が可能になっている。
一方、各学部にあっては、それぞれの学部の教育目標・目的に則ったミッションに照らし、教科目ごと
に効果的な方法の導入が積極的に図られている。具体的には、対話・討論形式の少人数授業、フィールド
型の実習、模擬・シミュレーション形式の演習、年度ごとのPBL(Problem Based Learning)チュート
リアル教育及び技術者導入教育としてインターンシップの実施等々、多様な授業がTAを適切に活用しつ
つ展開されている。
その他、ポータルサイト「アカンサスポータル」を開設し、インターネットを利用して大学からの事務
連絡や授業で使用した資料の配布、授業で出された課題の提出などを行う e-learning を本格化している。
また、選択で単位を修得する総合科目・テーマ別科目、一般科目でも、できるだけバラエティがあるよ
うにし、学生が様々な授業を選択できるようにという方針のもと、授業形態として実験(実験室の授業だ
けでなく、地学実習のようなフィールド授業も含む。
)やゼミも加え、授業方法として里山でのフィールド
授業、高度な情報機器の操作について授業、双方向的遠隔授業システムを使った授業などを行っている。
これらのことから、授業形態の組合せ・バランスが適切であり、教育内容に応じた適切な学習指導法の
工夫がなされていると判断する。
5-2-② 教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され、活用されているか。
教養教育の位置付けを明確にし、教養教育と専門教育の連携を重視したカリキュラム編成を行うという
教育課程の編成の趣旨に沿って、教養教育と専門教育の授業科目のシラバスが作成されている。各学部及
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び共通教育機構の冊子シラバスは、全学統一様式を原則とし、学部の学習教育目標が明らかになるように
学部の特徴に応じた諸項目を盛り込むことで、学生の履修科目選択と学習の便宜が図られている。なお、
一部の学部では、冊子シラバスは適切な場所に配置され閲覧に供されている。
他方、Web 版シラバスは全学的に様式が統一され、冊子シラバスよりも詳細に下記の授業内容等の情報
を伝達する役割を担っている。すなわち、授業の主題、授業の目標、学生の学習目標、授業の概要、評価
の方法、評価の割合、テキスト・教材・参考書等、その他履修上の注意事項や学習上の助言、学生からの
質問への対応方法等、履修条件、適正人数と受講者の調整方法、関連科目及びカリキュラムの中の位置付
け(関連科目、履修条件等)が網羅されている。
また、Web 版シラバスはインターネットの利点を活かした内容となっており、テキスト・参考文献等の
書誌情報を附属図書館のウェブサイトにリンクさせている。
学生に対しては、年度当初のガイダンスの際に、授業選択、履修計画の検討、受講等に有効に活用する
こと及び Web 版シラバスの活用方法等が懇切に説明、指導されている。他方、各教員には、シラバスの記
載内容に沿った授業を行い、成績評価に反映させること等が適切に指示されている。
シラバスの活用状況については、『学習・研究環境改善のための学生生活調査報告書 2005 年版』によ
ると、「シラバスが有効に利用されているか」という問いに、約 75%の学生が「有効に利用している」と
答えている。
これらのことから、教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され、活用されていると判断
する。
5-2-③ 自主学習への配慮、基礎学力不足の学生への配慮等が組織的に行われているか。
自主学習を促進する全学的な対応として、施設面については、附属図書館の土曜日の利用を可能とし(中
央図書館は日曜日も利用可能)
、その利便性の向上が図られている。制度面では、Web 版シラバスで、学生
の学習目標と教員のオフィスアワーが明示され、学生が自ら学習の計画を立て、教員の助言を得られるよ
うになっている。
各学部及び共通教育機構における自主学習と基礎学力不足及び単位不足の学生への制度面での配慮は
次のとおりである。
主に教養教育を担っている共通教育機構では、入学時の英語の基礎学力不足の学生に対して、英語の基
礎演習を開講するとともに、基礎科目・言語科目等で単位保留制度が実施され、学力不足学生の指導を綿
密化する一つの方策としている。また、
「なんでも相談室」を設け、担当教員(又は大学院生)が学生の勉
学その他に関する相談を受け付けている。
各学部にあっては、学部教育を担う教務委員会委員、アドバイス教員、あるいは学科長等が個別に学生
の相談に応じ、適切な助言をなしうる体制が整えられている。また、必要に応じて、学部の教育目標・目
的に則したゼミナール、補習授業、e-learning の活用を適宜実施することで、入学から卒業に至るまで、
学力が不足している学生を適切に支援するための配慮と対策がなされている。
これらのことから、自主学習への配慮、基礎学力不足の学生への配慮等が組織的に行われていると判断
する。
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5-2-④ 通信教育を行う課程を置いている場合には、印刷教材等による授業(添削等による指導を含む。
)
、放送授業、
面接授業(スクーリングを含む。
)若しくはメディアを利用して行う授業の実施方法が整備され、適切な指導が
行われているか。
該当なし
5-3-① 教育の目的に応じた成績評価基準や卒業認定基準が組織として策定され、学生に周知されているか。
成績評価基準は、学則第 51 条に基づき出席率、試験、レポート、プレゼンテーション及び平素の学習
状況等から総合的に判断し、成績を評価することが各学部規程に明示されている。また、成績評価を学習
到達度に対応させるために、S:
(90%以上)
、A:
(80%以上 90%未満)
、B:
(70%以上 80%未満)
、C:
(60%以上 70%未満)
、及び不可:
(60%未満)とする標準評価方法が設定されている。
評価の方法は、履修案内(手引)
、学生便覧、さらにはシラバスに記載され、学生に直接配付又はウェブ
サイトで公開されている。
それとともに、
初回授業時に当該科目の成績評価基準が口頭で説明されている。
卒業認定基準については、学則に則り各学部規定に定められており、それらが記載されている履修案内
(手引)及び学生便覧は全学生に配付されている。
これらのことから、成績評価基準や卒業認定基準が組織として策定され、学生に周知されていると判断
する。
5-3-② 成績評価基準や卒業認定基準に従って、成績評価、単位認定、卒業認定が適切に実施されているか。
共通教育機構及び各学部の成績評価は、筆記・実技試験、レポート及び授業への出席状況を総合して
S、A、B、C及び不可の5段階評価で行われている。出席状況については、共通教育機構と教育学部で
は、単位認定に必要な出席率が定められている。レポート提出については、担当教員が添削指導を行うな
ど、授業の内容に応じた方法で実施されている。また、各学部において成績評価基準に従った単位認定の
確認がなされている。
各学部の卒業認定は、学部規程に基づき各教授会において行われている。また、理工系及び医薬系の学
部では卒業要件でもある卒業研究の成績評価についても、学内発表等を通じて指導教員以外の意見も参考
にし、評価及び認定がなされている。
これらのことから、成績評価、単位認定、卒業認定が適切に実施されていると判断する。
5-3-③ 成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられているか。
成績評価の正確性を担保するために、成績評価について学生に疑義が生じた場合、学生からの成績評価
に係る申立ての制度が全学的に確立されている。この制度は、学生便覧に記載され、学生に周知を図って
いる。具体的には、所定の用紙に疑義内容を記入して、所定の期間内に各学部の学務係に提出し、教員か
ら回答を受けるもので、回答を受け取っても学生の疑義が晴れない場合は、部局長あるいは教務委員会が
協議して適切な対応をするよう配慮されている。
これらのことから、成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられていると判断する。
<大学院課程>
5-4-① 教育の目的や授与される学位に照らして、教育課程が体系的に編成されており、目的とする学問分野や職業
分野における期待にこたえるものになっているか。
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中期目標に定める「深い専門性を有する研究者・高度専門職業人の養成、あるいは社会人のリカレント
教育など、各研究科の特色や社会的ニーズに適合した多様な人材の育成を図る」ことが大学院課程の目標
とされている。また、各研究科にあっては、大学院学則に定められている大学院課程の目的に照らし、教
育の目的が設定されている。
各研究科においては、それぞれがカバーする専門分野・領域における社会的ニーズ、学生の志向とニー
ズ、職業分野と専門性との関連、さらに学問研究上の特質等に深く意を用いた教育課程の編成がなされて
いる。
例えば、教育学研究科は、各教科の専門分野をより深く研究するとともに、それを教育現場で応用でき
る人材の育成を目的とする教育課程が編成されている。
人間社会環境研究科博士前期課程では、社会の構造的な変化や国際化の急激な進展から生じる現代的課
題に対応した教育課程となっており、
「文化環境」及び「人間環境」に「人間それ自体」を加えた複合的な
領域の総合的・多角的な教育が行われ、同研究科博士後期課程では、博士前期課程で培った洞察力を踏ま
えて高度専門職業人の養成を目的とした教育課程が編成されている。
自然科学研究科博士前期課程は、理学系・工学系・薬学系で構成されており、幅広い学識と高度の専門
性を身につけさせることを目的として、各専攻の専門性に応じた教育課程が編成されている。また、同研
究科博士後期課程では、学際性・総合性・独創性に富んだ高度の技術者・研究者の養成を目的とする教育
課程が編成されている。
医学系研究科医科学専攻修士課程は、医学分野での研究者及び生命科学に関する専門的職業人を養成す
ることを目的とし、医学・歯学以外の学部卒業生を対象として、即戦力となる研究者を養成するための教
育課程が編成されている。また、同研究科博士課程では、世界水準の研究を展開できる拠点形成を目的と
して、世界をリードする医学研究者・高度専門医療人を養成するための教育課程が専攻ごとに編成されて
いる。さらに、同研究科保健学専攻は、看護科学・医療科学・リハビリテーション科学の3領域からなり、
博士前期課程は高度専門医療人の養成及び保健学における教育者・研究者の育成を目的とし、博士後期課
程は国際的にも活躍できる教育者・研究者及び指導的な高度職業専門人の育成を目的とした教育課程が編
成されている。
これらのことから、教育課程が体系的に編成されており、目的とする学問分野や職業分野における期待
にこたえるものになっていると判断する。
5-4-② 授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。
金沢大学大学院における教育課程の編成の趣旨は、教育目的である「深い専門性を有する研究者と高度
専門職業人の養成及び社会的ニーズに適合した多様な人材の育成」を実現することにある。この教育課程
の編成の趣旨に照らし、各研究科の授業科目は、修士(博士前期)課程と博士(博士後期)課程の授業内
容の連続性が担保されるよう編成されている。
教育学研究科では、教育の理論的、実践的な研究を究め、教育現場で的確に対応できるような内容に配
慮されている。
人間社会環境研究科では「国際政治経済原理」といった基礎・原理から「文化変化論」のような応用に
いたるまで体系的に学ぶことができるようになっている。
自然科学研究科博士前期課程では、学士課程教育からの発展と最先端の研究を考慮して授業内容が編成
されている。また、同研究科博士後期課程では、学際化・総合化を図るとともに、幅広い学識と高度の専
門性を身に付けさせることを目的とした授業内容となっている。
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医学系研究科医科学専攻修士課程では、医科学の基礎を内容とする必修・選択の授業を1年次に行い、
全学生が一定の医学知識を得られるように配慮されている。また、同研究科博士課程では、研究者として
の基本を学ぶ講義・演習・実習からなる全専攻共通の初期総合カリキュラムのほか、各専攻や研究分野に
応じた多彩な授業科目を選択させている。さらに、同研究科保健学専攻では、幅広い医学的知識を修得す
るため、専攻共通科目の授業を行うほか、各自の専門性を深めるため、看護科学・医療科学・リハビリテー
ション科学の3領域における共通授業や、領域に属する各講座の授業が行われている。
これらのことから、授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっていると判断
する。
5-4-③ 授業の内容が、全体として教育の目的を達成するための基礎となる研究の成果を反映したものとなっている
か。
研究成果を授業に反映している例として、教育学研究科では、
「子どもマイスタースクールにおけるも
のづくり教育の考察(Ⅰ)
」の研究成果を「工芸特別演習」や「美術科教育教材演習B」の授業に使用する
スライドとして取り入れており、
人間社会環境研究科博士前期課程では、
「知識マネジメントに関する研究」
の成果を、著書「企業・経済の知識:改訂新版」
、
「組織ナレッジと情報:メタナレッジによるダイナミク
ス」として出版し、その一部が「組織戦略特論」の授業のテキストとして使用されている。
このように、各研究科においては、学内の研究成果を授業に積極的に反映させているのみならず、関連
分野・領域の動向及び研究成果をも授業に取り入れ、それらを基礎として教育目的が達成されるよう、た
ゆまず工夫がなされている。
これらのことから、授業の内容が、全体として研究の成果を反映したものとなっていると判断する。
5-4-④ 単位の実質化への配慮がなされているか。
授業科目の単位数と学修時間は、各授業形態(講義・演習及び実習)について、大学院学則に明示され
大学院便覧を通じて学生に周知している。
各研究科にあっては、それぞれの専攻分野に応じて試験やレポートなどで学生の修学状況を把握し、授
業時間外において学習すべき内容や利用すべき参考文献についての指導が行われている。少人数教育を実
施する科目では、教員は学生との意思の疎通を図ることにより、学生の授業における理解度を把握してい
る。とりわけ、演習における学生による発表・報告では、十分な学習時間を費やして準備・予習が行われ
ている。
これらのことから、単位の実質化への配慮がなされていると判断する。
5-4-⑤ 夜間において授業を実施している課程(夜間大学院や教育方法の特例)を有している場合には、その課程に在
籍する学生に配慮した適切な時間割の設定等がなされているか。
夜間その他特定の時間又は時期において授業又は研究指導を行うことができる、大学院設置基準第 14
条特例による社会人学生に対する配慮として、6・7限目(18 時 15 分から 21 時 30 分)の夜間開講科目
が設定されている。また、必要に応じ、休日講義や夏季休業中に集中講義が実施されている。そのほか、
研究指導は夜間にも実施されている。
これらのことから、夜間において授業を実施している課程に在籍する学生に配慮した適切な時間割の設
定等がなされていると判断する。
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5-5-① 教育の目的に照らして、講義、演習、実験、実習等の授業形態の組合せ・バランスが適切であり、それぞれ
の教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。
(例えば、少人数授業、対話・討論型授業、フィー
ルド型授業、多様なメディアを高度に利用した授業、情報機器の活用等が考えられる。
)
各研究科においては、以下に記述するような授業形態がとられており、主に少人数教育と対話・討論形
式の授業が一般化している。
教育学研究科、人間社会環境研究科では、授業は講義、演習、実験、実習等で構成され、いずれか一つ
に偏らない編成となっている。また、フィールド型授業、リサーチを行う授業等の学習指導法に加え、学
生の就職に資するためのインターンシップ科目も設けられている。そのほか、人間社会環境研究科の取組
「プロジェクト研究を通じた自立的研究者養成」が、平成19年度に大学院教育改革支援プログラムに採択
されている。
自然科学研究科では、授業は講義、セミナー・輪講、演習、実験、実習、課題研究等で構成されている。
最先端の研究結果を紹介するため、情報機器を活用した高度な方法による授業も多い。同研究科博士前期
課程では、派遣型高度人材育成協同プランとして3ヶ月の長期インターンシップをベースにした実践的な
創成型授業(3科目)が開講され、学生の企画立案能力、研究開発能力が育まれている。また、MOT
(Management of Technology)授業が開講されており、学内外の専門家によるビジネス論や知的財産等に
関する講義も行われている。さらに、同一県内にある北陸先端科学技術大学院大学と共同で双方の特徴を
活かした連携授業(理学、薬学、工学で各1科目)が実施されている。そのほか、自然科学研究科では、
神戸大学、九州大学、愛媛大学との共同申請による「大学連合による計算科学の最先端人材育成」が、平
成19年度文部科学省大学院教育改革支援プログラムに採択されている。
医学系研究科博士課程では、全学生を対象とした共通の講義や演習のほかに、各研究分野や専攻でのセ
ミナー、抄読会、症例検討会、講習会、臨床研修、学会発表、外部講師による特別講義などの学術活動に
ついて単位認定が行われている。また、同研究科保健学専攻では、少人数教育、対話討論形式の授業に加
え、文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブに「臨地相互交流型教育・研究プログラム」が
平成 18 年度に採択され、研究能力を持った高度専門医療人、臨地実践能力のある研究者や新課題開発能力
のある研究者の育成が手掛けられている。また、平成 19 年度には、医学系研究科、自然科学研究科が富山
大学、福井大学、金沢医科大学、石川県立看護大学と共同で申請した「北陸がんプロフェッショナル養成
プログラム-ICTによる融合型教育システム及び「がんプロネット」の構築-」が、がんプロフェッショ
ナル養成プランに採択されている。
学士課程と同様に、
「アカンサスポータル」を活用しており、修士論文をこのサイトを通じて提出する
ことにしている。
これらのことから、授業形態の組合せ・バランスが適切であり、教育内容に応じた適切な学習指導法の
工夫がなされていると判断する。
5-5-② 教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され、活用されているか。
各研究科において、冊子シラバスと全学的に統一した様式による Web 版シラバスが作成されている。項
目としては、授業の主題、授業の目標、学生の学習目標、授業の概要、評価の方法、評価の割合、テキス
ト・教材・参考書等、その他履修上の注意事項や学習上の助言、学生からの質問への対応方法等、履修条
件、適正人数と受講者の調整方法、関連科目、カリキュラムの中の位置付け(関連科目、履修条件等)が
あり、教育課程の編成の趣旨に沿った各科目の学習目標が明示されている。学生には入学時のガイダンス
においてシラバス、Web 版シラバスの利用方法が説明されており、履修登録や受講の際に活用されている。
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また、教員も他の授業科目との関連性を把握して授業の展開に役立てるなどシラバスを活用している。
ただし、シラバスの記載内容は教員によってばらつきがあり、内容の充実へ向けた改善の余地がある。
これらのことから、教育課程の編成の趣旨に沿ってシラバスが作成され、活用されているが、内容充実
に向けた改善の余地があると判断する。
5-5-③ 通信教育を行う課程を置いている場合には、印刷教材等による授業(添削等による指導を含む。
)
、放送授業、
面接授業(スクーリングを含む。
)若しくはメディアを利用して行う授業の実施方法が整備され、適切な指導が
行われているか。
該当なし
5-6-① 教育課程の趣旨に沿った研究指導が行われているか。
各研究科においては、深い専門性を有する研究者・高度専門職業人の養成や社会的ニーズに適合した多
様な人材の育成を目的として、研究指導が行われている。
指導の在り方は、研究科の目的、特質、カバーする学問研究分野・領域によって異なってはいるが、修
士(博士前期)課程修了後社会人として職に就くことを希望する学生に対しては、学生の志向を重視し、
独立した職業人に育成することに注力しつつ、修学にかかわる指導と学位論文作成等の指導が行われてい
る。
また、博士の学位を取得し研究者あるいは高度専門技術者等を志向する学生に対しては、前・後期課程
を通じた一貫した研究指導を行うとともに、学会発表、論文作成、学術誌への投稿、学位論文の作成等に
ついて指導が行われている。
これらのことから、教育課程の趣旨に沿った研究指導が行われていると判断する。
5-6-② 研究指導に対する適切な取組(例えば、複数教員による指導体制、研究テーマ決定に対する適切な指導、TA・
RA(リサーチ・アシスタント)としての活動を通じた能力の育成、教育的機能の訓練等が考えられる。
)が行
われているか。
各研究科においては、研究報告会で学生が研究報告を行うよう指導するほか、研究テーマ及び単位修得
などの指導が複数教員によって行われている。また、学生をTA・RAとして採用し、学部生の演習の補
助や、指導教員の研究補助活動を通じて、教育及び研究能力が育成されている。
人間社会環境研究科では、主任指導教員1人、副指導教員1~2人による指導体制のほか、同研究科博
士後期課程にあっては、年2回(9月・3月)開催される公開の研究報告会での学生の研究報告を指導し、
1年次には「研究計画書」に基づく「学位論文指導A」
、2年次には「学位論文B」
、3年次には「論文作
成計画」に基づく論文作成指導が行われている。
自然科学研究科では、各専攻において学生の入学後に主任・副指導教員が決定され、研究テーマや単位
修得などについて指導がなされている。また、同研究科博士後期課程では、国費留学生と社会人学生を除
くすべての学生をRAとして採用し、指導教員の研究補助活動を通じて研究能力が育成されている。
医学系研究科医科学専攻修士課程では、各研究分野に配属される学生数はおおむね1~2人であり、指
導教員が少人数の学生に研究指導を行っている。同研究科博士課程では、多くの学生をTA・RAに採用
し、教育と研究の能力を育成している。
平成18年度から、博士(後期)課程の学生ごとに「院生別カルテ」を電子ファイルで作成し、研究指導
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に活用している。
これらのことから、研究指導に対する適切な取組が行われていると判断する。
5-6-③ 学位論文に係る指導体制が整備され、機能しているか。
学位論文に係る指導においては、大学院学則及び各研究科規程に規定されており、各研究科において、
次に述べるような学位論文の指導体制がとられている。
教育学研究科では、主に指導教員が中心となって学位論文の指導が行われ、当該専攻の教員全員が学生
をサポートする指導体制がとられている。
人間社会環境研究科博士前期課程では主任指導教員と副指導教員1人による学位論文指導体制が、同研
究科博士後期課程では主任指導教員と副指導教員2人による学位論文指導体制がとられている。また、学
位論文審査と最終試験合格の前提条件として、学生には必要な研究指導を受けることが課せられている。
自然科学研究科では、主任指導教員を含む複数の指導教員の連携によって学位論文の指導が行われてお
り、
公開の場での学位論文の発表を義務付けるなど修士論文・博士論文の作成に係る指導が行われている。
また、日頃の研究成果を学会発表や学術誌への投稿等を通じてまとめ、最終的に学位論文としてまとめる
よう指導されている。
医学系研究科医科学専攻修士課程では、各研究分野に配属される1~2人の学生におおむね1人の指導
教員が学位論文の指導に当たっている。同研究科博士課程では、臨床系の学生の学位論文を基礎系の教員
が指導するなど多方面からの指導が行われている。また、学位論文はレフリー制を有する学術雑誌に発表
されたものである必要があり、
多くは国際雑誌に発表されるため、
共著者でもある指導教員によってチェッ
クが行われている。同研究科保健学専攻では主任指導教員とその他1~2人の指導教員による複数指導体
制の下、同研究科博士前期課程における課題研究、同研究科博士後期課程における特別研究において学位
論文の指導が行われている。
これらのことから、学位論文に係る指導体制が整備され、機能していると判断する。
5-7-① 教育の目的に応じた成績評価基準や修了認定基準が組織として策定され、学生に周知されているか。
大学院学則において、成績評価基準については、
「S」
、
「A」
、
「B」
、
「C」
、授業科目及び履修形態等に
よっては、
「合」及び「認定」が合格、
「不可」が不合格と定められている。修了認定については、修士課
程・博士前期課程、博士後期課程及び医学博士課程における修業年限、必要単位数、修士・博士論文及び
課題研究に関する事項が定められている。これらに則り、成績評価基準及び修了認定基準は、各研究科規
程に定め、大学院便覧などに明示され、入学時のガイダンスやオリエンテーションで学生に配付されてい
る。
特に、医学系研究科医科学専攻修士課程では、より詳しい内容が内規と申合せ事項として医学系研究科
のウェブサイト(学内専用)に掲載されており、指導教員を通じて学生に周知が図られている。
これらのことから、成績評価基準や修了認定基準が組織として策定され、学生に周知されていると判断
する。
5-7-② 成績評価基準や修了認定基準に従って、成績評価、単位認定、修了認定が適切に実施されているか。
各研究科では、複数の指導教員が単位認定に関与しており、成績評価基準及び修了認定基準に則り、成
績評価及び必要な研究指導等が行われ、修士論文・博士論文の審査並びに最終試験に合格した者について
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修了が認定されている。
例えば、医学系研究科博士課程では、成績評価や単位認定は当該授業への出席の有無によって行われ、
学位論文審査を最重要項目として修了が認定されている。同研究科医科学専攻修士課程及び保健学専攻で
は、学位論文審査以外にレポート提出や学期末試験により成績評価、単位認定、修了認定がなされている。
特に医科学専攻修士課程では、学位論文審査の結果も点数化して、
「修士論文演習」の成績として評価され
ている。
これらのことから、成績評価、単位認定、修了認定が適切に実施されていると判断する。
5-7-③ 学位論文に係る適切な審査体制が整備され、機能しているか。
学位論文の審査体制として、学位論文審査委員会が各研究科に設置されている。
学位論文審査委員会の構成及び委員の選任の方法は、研究科によって異なるが、学生の指導に当たった
教員のほか複数の委員によって委員会が構成されており、公平性が担保されている。また、論文審査の過
程で公開の発表会が開催されること、あるいは学位論文がレフリー制のある学術雑誌に既に掲載されてい
ること、又は受理済みのものであることを義務付けることで、審査の透明性の担保が図られている。
これらのことから、学位論文に係る適切な審査体制が整備され、機能していると判断する。
5-7-④ 成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられているか。
成績評価の正確性を担保するために、学生からの成績評価に係る申立ての制度が全学的に確立されてい
る。この制度は、大学院便覧に記載され、学生に配付されている。具体的には、所定の用紙に疑義内容を
記入して、所定の期間内に各研究科の学務係に提出し、教員から回答を受けるもので、回答を受け取って
も学生の疑義が晴れない場合は、研究科長あるいは教務委員会が協議して適切な対応をするよう配慮され
ている。
これらのことから、成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられていると判断する。
<専門職大学院課程>
5-8-① 教育の目的や授与される学位に照らして、教育課程が体系的に編成されているか。
法曹養成に特化した専門職大学院として法務研究科が平成 16 年4月に設置されている。
法務研究科では
「地域に根ざした法曹養成」が基本理念として掲げられ、これに対応した教育目的に沿って、法務博士(専
門職)の学位を授与するための教育課程が編成されている。
まず、1年次に法律基本科目が配置され、2年次に法律基本科目としての訴訟法及び1年次に履修した
科目の演習が配置され、実務基礎科目としては、2年次に民事訴訟実務の基礎及びエクスターンシップ、
3年次に刑事訴訟実務の基礎及びクリニック等が配置されている。選択科目は、基礎法学・隣接科目、展
開・先端科目ともに2年次、又は3年次に選択履修できるよう配慮されており、教育課程全体としては、
必要かつ十分な科目が、基礎から応用へ、基本から展開へと編成されている。
これらのことから、教育課程が体系的に編成されていると判断する。
5-8-② 授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっているか。
法務研究科では、法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目の4つの分
野についての授業科目が編成されている。それぞれの分野の授業科目の配置及びその内容は、法務研究科
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の設置理念に即して、学生が将来地域の法曹として活躍するため、特定の分野に偏ることなく、日常的に
生じうるあらゆる法的問題を一定の水準を保ちつつ、バランスよく包括的に解決できる学識及びそれらを
応用する能力を涵養するものであり、教育課程の編成の趣旨に沿ったものとなっている。また、展開・先
端科目は、学生が将来法曹として地方自治体の各種審議会等において、既存の法制度や組織の整合性に配
慮しつつ、新たな紛争予防のための条例や各種の政策立案において指導的役割を求められることから、そ
の役割を全うするために必要となる知識を修得させるために、
政治・政策系の授業科目が配置されている。
これらのことから、授業の内容が、全体として教育課程の編成の趣旨に沿ったものになっていると判断
する。
5-8-③ 授業の内容が、全体として教育の目的を達成するための基礎となる研究の成果を反映したものとなっている
か。
法務研究科では、法曹養成を目的とした専門職大学院という性質上、法曹に求められる幅広い学識を教
授することが重要視されている。したがって、個々の教員の研究領域と授業の内容は密接な関連を有して
いる。
例えば、不法行為法を主な研究領域とする教員の、
「慰謝料請求権の相続性」や「不貞行為の相手方の
不法行為責任」等に関する研究成果は、不法行為及び親族・相続を内容とする「民法Ⅲ」の授業内容に組
み込まれている。
これらのことから、授業の内容が、全体として研究の成果を反映したものとなっていると判断する。
5-8-④ 単位の実質化への配慮がなされているか。
法務研究科においては、単位を実質化すべく以下の方策がとられている。
授業科目は、1単位当たり 45 時間の学修を必要とすることが法務研究科規程に定められており、この
ことが明記された「履修の手引」が学生に配付されている。授業の実施に当たっては、授業が効果的に営
まれるよう、授業内容、受講に関する助言等が記載されているシラバスが学生に配付され、受講の効率化
が図られている。
また、授業の予習用レジュメの配付、レポートの提出、小テストの実施など学生の理解度を常に検証及
び補助する方策がとられている。教員は 15 回ないし 30 回の授業回数の確保に努め、やむなく休講した場
合には補講が義務付けられている。
さらに、GPA制度が導入されており、これにより進級制度が実施されている。
これらのことから、単位の実質化への配慮がなされていると判断する。
5-8-⑤ 夜間において授業を実施している課程(夜間大学院や教育方法の特例)を有している場合には、その課程に
在籍する学生に配慮した適切な時間割の設定等がなされているか。
該当なし
5-9-① 教育課程や教育内容の水準が、当該職業分野の期待にこたえるものになっているか。
法務研究科の基本理念「地域に根ざした法曹養成」の実現を目標とする教育課程や教育内容は、基礎か
ら応用へ、実体法から手続法へ、理論から実務へと、学修を段階的に進捗させうるよう体系的に編成され
ている。また、教員が学生に対して一方向的に知識を伝達する講義形式に加え、双方向的・多方向的な教
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育方法の実効性を高めるため、講義科目においては1クラス 40 人、演習科目においては1クラス 20 人で
授業が展開されている。加えて、法務研究科が実務法曹を養成するための教育機関であることから、授業
には現実の事件を素材とした事例研究が多く取り入れられている。
これらのことから、教育課程や教育内容の水準が、当該職業分野の期待にこたえるものになっていると
判断する。
5-10-① 教育の目的に照らして、講義、演習、実験、実習等の授業形態の組合せ・バランスが適切であり、それぞれ
の教育内容に応じた適切な学習指導法の工夫がなされているか。
(例えば、少人数授業、対話・討論型授業、フィー
ルド型授業、多様なメディアを高度に利用した授業、情報機器の活用等が考えられる。
)
少人数による双方向的・多方向的な密度の高い教育の実施に特段の意を用い、履修登録に制限を設け、
授業の展開に当たって講義科目については最大 40 人程度、演習科目については最大 20 人程度を前提とし
てクラス分けが実施されている(履修登録者には、再履修者を含む。
)
。また、理論を実務と結び付けるた
めの授業科目である法律実務基礎科目においては、法曹実務の現場での学習・体験を目的として、弁護士
事務所等における実務研修(エクスターンシップ)が実施されている。さらに、法情報検索システムを整
備することで、学生が膨大な法律情報を効率的に利用できるようになっている。これらのほか、理論を実
務と結び付けるための実践的教育の一環として、
平成 16~18 年度に文部科学省の法科大学院等専門職大学
院形成支援プログラムに採択された「法情報センター北陸」を運営し、この事業の中で民事・刑事の模擬
裁判が年間1~2回実施されている。
これらのことから、授業形態の組合せ・バランスが適切であり、教育内容に応じた適切な学習指導法の
工夫がなされていると判断する。
5-10-② 教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され、活用されているか。
法務研究科では、毎年、冊子と Web 版の2種類のシラバス(内容は共通)が学生の利用に供されている。
シラバスの内容は、授業の主題、授業の目標、学生の学習目標、授業の概要、評価の方法、評価の割合、
テキスト・教材・参考書等、その他履修上の注意事項や学習上の助言、オフィスアワー等(学生からの質
問への対応方法等)
、履修条件、適正人数と受講者の調整方法、関連科目、カリキュラムの中の位置付け(関
連科目、履修条件等)が詳細に記載されたものであり、教育課程の編成の趣旨に沿った各科目の学習目標も
明示されている。
このようなシラバスによって、学生は開講前に授業科目の全容及び各授業の位置付け等についてよく理
解することができるように配慮されている。また、シラバスには授業で扱われる事例や判例も記載されて
おり、予習・復習にも有効に活用されている。
さらに、各学期開始前に履修科目ガイダンスが実施されており、その中で各授業科目の担当教員によっ
て、シラバス及びガイダンス時に配付する資料に基づき授業の概要や第1回授業の予習内容について、口
頭で説明が行われている。加えて、教員の側では、隣接分野の授業科目を担当する他の教員の授業内容を
シラバスで確認し、担当する授業科目の内容との重複や抜け落ちがないよう調整を図るなどのためにシラ
バスが有効に活用されている。
これらのことから、教育課程の編成の趣旨に沿って適切なシラバスが作成され、有効に活用されている
と判断する。
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5-10-③ 通信教育を行う課程を置いている場合には、印刷教材等による授業(添削等による指導を含む。
)
、放送授業、
面接授業(スクーリングを含む。
)若しくはメディアを利用して行う授業の実施方法が整備され、適切な指導が
行われているか。
該当なし
5-11-① 教育の目的に応じた成績評価基準や修了認定基準が組織として策定され、学生に周知されているか。
成績評価基準及び修了認定基準は法務研究科規程に定められ、履修の手引を通じて学生に周知が図られ
ている。また、成績評価基準は、法律講義科目、その他の授業科目、演習科目の3種類についてそれぞれ
設定され、掲示によっても周知が図られている。単位の認定は、試験によって行われているが、その成績
評価は上位から「S」
、
「A」
、
「B」
、
「C」の4段階は合格、
「不可」は不合格とされている。
3年在籍する標準コースの修了要件は、3年以上の在学と必修科目 64 単位、選択必修科目 20 単位、選
択科目 10 単位の合計 94 単位の修得である。また、2年在籍する短縮コースは、2年以上の在学に加えて、
既修者認定試験により修得したとみなされる 29 単位のほか、必修科目 35 単位(1年次配当科目を除く)
、
選択必修科目 20 単位、選択科目 10 単位の合計 94 単位の修得となっている。
これらのことから、成績評価基準や修了認定基準が組織として策定され、学生に周知されていると判断
する。
5-11-② 成績評価基準や修了認定基準に従って、成績評価、単位認定、修了認定が適切に実施されているか。
法務研究科では、授業科目のそれぞれの種類について策定された成績評価基準に則って、成績評価、単
位認定が厳正・公正に実施されている。修了認定については、1学年終了時に履修の成果が一定水準に達
していない学生に対し、次学年配当の授業科目の履修を制限する進級制を採用するとともに、修了予定者
については、
法務研究科規程に定めている修了要件を充たしているかどうかを教務学生委員会の議を経て、
教授会で審議決定されている。
これらのことから、成績評価、単位認定、修了認定が適切に実施されていると判断する。
5-11-③ 成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられているか。
法務研究科では、成績評価等の正確さを担保する措置として、個々の試験ごとに具体的な採点基準や解
答例を学生に対して公表するとともに、採点済みの定期試験答案用紙のコピーが成績配付時に各学生に返
却されている。これに基づき、学生は各担当教員に対し成績について問い合わせをすることができ、さら
に、成績が不可と認定された学生は、法務研究科が定めた成績に対する申立て制度に従い、研究科長に対
し異議を申し立てることができる。申立てに対する対応については、審査委員会を設置し、学生及び担当
教員双方から意見を聴取した上で当否を判定する体制が整えられており、学生に不利益が及ぶことなく、
問題が解決できるよう配慮されている。
これらのことから、成績評価等の正確さを担保するための措置が講じられていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準5を満たしている。
」と判断する。
【優れた点】
○ ポータルサイト「アカンサスポータル」を開設し、インターネットを利用して大学からの事務連絡
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や授業で使用した資料の配布、授業で出された課題の提出などを行う e-learning を本格化している。
○ 平成 18 年度から、博士(後期)課程の学生ごとに「院生別カルテ」を電子ファイルで作成し、研究
指導に活用している。
○ 文部科学省現代GPに、平成 16 年度に「大学連携による石川の「知」の拠点の創出-いしかわシ
ティカレッジの整備・充実-」、「IT教育用素材集の開発とIT教育の推進」の2件が採択され、
他大学との単位互換及び実践的遠隔教育(e-learning)などが実施されている。
○ 文部科学省教員養成GPに、平成 18 年度に「WEB 教育実習ノートによる自主学習の支援-‘なるた
め実習ノート’を活用した高等学校教員養成における訪問対話型教育実習指導・評価システムの構築
-」が採択され、事前・事後指導、授業準備・実践・評価、成績評定等を網羅した WEB ノートによる
教育実習の学習支援システムの構築が行われている。
○ 文部科学省「魅力ある大学院教育」イニシアティブに、平成 18 年度に「臨地相互交流型教育・研究
プログラム-保健学研究・他大学・職能団体の知財と地域資源を活用した人材育成-」が採択され、
研究能力を持った高度専門医療人、臨地実践能力のある研究者や新課題開発能力のある研究者の育成
が手掛けられている。
○ 文部科学省大学院教育改革支援プログラムに、平成 19 年度に「プロジェクト研究を通じた自立的研
究者養成」、「大学連合による計算科学の最先端人材育成」の2件が採択されている。
○ 文部科学省がんプロフェッショナル養成プランに、平成 19 年度に「北陸がんプロフェッショナル
養成プログラム-ICTによる融合型教育システム及び「がんプロネット」の構築-」が採択されて
いる。
○ 文部科学省法科大学院等専門職大学院形成支援プログラムに、平成 16 年度に「法情報センター北
陸」が採択され、民事・刑事の模擬裁判が実施されている。
○ 文部科学省 21 世紀COEプログラムに、平成 14 年度に「環日本海域の環境計測と長期・短期変動
予測」が採択され、その内容を共通教育科目の「環日本海学」に反映し、最新の環境科学の動向が取
り入れられている。
【改善を要する点】
○ 大学院のシラバスの記述が十分とはいえない教員が散見される。
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基準6 教育の成果
6-1 教育の目的において意図している、学生が身に付ける学力、資質・能力や養成しようとする
人材像等に照らして、教育の成果や効果が上がっていること。
【評価結果】
基準6を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
6-1-① 大学として、その目的に沿った形で、教養教育、専門教育等において、課程に応じて、学生が身に付ける学
力、資質・能力や養成しようとする人材像等についての方針が明らかにされており、その達成状況を検証・評
価するための適切な取組が行われているか。
各部局の育成しようとする人材像等の方針は、教育目的として、学生に配付するシラバス及び履修の手
引等の冊子やウェブサイトに明記されている。これらの教育に関する達成状況を検証・評価するための組
織として、各部局に教務委員会やFD委員会等が設置されており、学生による授業評価アンケート等が実
施されている。
また、平成 18 年度には全学的に卒業生及び修了生へのアンケート調査及び就職先へのアンケート調査
が実施されており、その結果が各部局で検証されている。
これらのことから、学生が身に付ける学力、資質・能力や養成しようとする人材像等についての方針が
明らかにされており、その達成状況を検証・評価するための適切な取組が行われていると判断する。
6-1-② 各学年や卒業(修了)時等において学生が身に付ける学力や資質・能力について、単位修得、進級、卒業(修
了)の状況、資格取得の状況等から、あるいは卒業(学位)論文等の内容・水準から判断して、教育の成果や
効果が上がっているか。
各部局の教務委員会等が主体となって単位修得状況を調査し、その後の進級及び卒業状況が適格に把握
されている。また、進級率、学位授与率、国家試験合格率等に基づいて教育成果の分析がなされている。
例えば、各学部それぞれの特質、専門性、教育・研究の内容などに直結するパラメータ(例えば、医学部
における医師国家試験合格率)を選び、それらを指標とした職能教育の教育効果が具体的に分析されてい
る。平成 18 年度の新卒者の国家試験合格率は、医師が 95.8%、薬剤師が 82.3%、看護師 100%、保健師
100%、助産師 91.7%、診療放射線技師 100%、理学療法士 95.5%、作業療法士 85%となっている。また、
国際会議も含め学会活動への参加を積極的に促すことにより、
教育の効果を検証する試みも行われており、
国内外の学協会から賞を授与されている学生もいる。
なお、学位授与率の低い一部の大学院研究科にあっては、基礎学力不足の学生に対して、指導教員が個
人指導を行うなどの改善の努力が行われている。
これらのことから、教育の成果や効果が上がっていると判断する。
6-1-③ 授業評価等、学生からの意見聴取の結果から判断して、教育の成果や効果が上がっているか。
各部局の教務委員会やFD委員会等が主体となって、全部局で学生による授業評価アンケートが実施さ
れている。例えば、経済学部のアンケート結果によれば、
「授業の内容はどの程度理解できたか」という問
いに、約 73%の学生が「大変よく理解できた」
、
「まあまあ理解できた」と答えている。また、各部局にお
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いて学生との懇談会が開催され、その際にも教育活動の改善について意見が聴取されている。
なお、授業評価アンケートの調査結果を教員にのみ公開している部局が多く、学生に公開していない点
は改善を要することが、今後の課題として認識されている。
これらのことから、教育の成果や効果が上がっていると判断する。
6-1-④ 教育の目的で意図している養成しようとする人材像等について、就職や進学といった卒業(修了)後の進路
の状況等の実績や成果について定量的な面も含めて判断して、教育の成果や効果が上がっているか。
学生の就職先は、官公庁や民間の企業、教員など多彩であり、専門性を活かしうるものとなっている。
公務員を志望する学生は多く、国家公務員採用試験合格者は、平成 19 年度採用試験において、Ⅰ種、
Ⅱ種合わせて 101 人にのぼり、Ⅰ種合格者は8人である。また、地方公務員については、北陸3県の県職
員採用試験合格者の約3割が、金沢大学の卒業・修了者である。
学部卒業者の就職率は、学部によって異なるが、大学全体では 92%を数え比較的良好である。また、大
学院に進学する学生は、理工系では 61%、医薬系では 21%、文系では 11 %である。
大学院修了者の就職率は、大学全体の平均は 97%に達し、ことに、就職希望者の多い理工系では、ほと
んどの修了生が就職を果たしている。
なお、卒業(修了)生の就職等の状況を把握するための進路状況調査が実施され、進路先データが整備
されているものの、就職状況のより正確な把握に努め、教育の成果や効果を客観的に評価しうる仕組みの
構築を急ぎ、教育改善に資することの必要性が強く認識されている。
これらのことから、教育の成果や効果が上がっていると判断する。
6-1-⑤ 卒業(修了)生や、就職先等の関係者からの意見聴取の結果から判断して、教育の成果や効果が上がってい
るか。
平成 17 年度の工学部を除く学部卒業生及び大学院修了生にアンケート調査が実施され、その結果が詳
細に分析されている。
約6割の卒業生が母校で受けた教育に概ね満足しているが、不満を訴えた卒業生も約2割にのぼり、決
して看過しえないことから、更なる教育改善の必要性が強く意識されている。同様のアンケート調査は、
卒業生の就職先である企業や自治体にも実施されており、企業や自治体は、金沢大学の教育方針と教育内
容をおおむね良好と評価している。
工学部では、卒業後3、6、10 年が経過した卒業生全員を対象とした達成度のアンケート調査が毎年実
施されており、「職場で要求される能力」と「大学で備わった能力」を対比させ具体的に調査している。
それによると一般に「大学で備わった能力」に対して「職場で要求される能力」の方が高いこと、「専門
分野の基本的スキル」や「設計・計画の創造的能力」で「大学で備わった能力」の向上が見られること、
今後さらに「課題の提案・報告の記述と説明能力」などの改善が必要であることが明らかにされている。
これらのことから、教育の成果や効果が上がっていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準6を満たしている。
」と判断する。
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基準7 学生支援等
7-1 学習を進める上での履修指導が適切に行われていること。また、学生相談・助言体制等の学
習支援が適切に行われていること。
7-2 学生の自主的学習を支援する環境が整備され、機能していること。また、学生の活動に対す
る支援が適切に行われていること。
7-3 学生の生活や就職、経済面での援助等に関する相談・助言、支援が適切に行われていること。
【評価結果】
基準7を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
7-1-① 授業科目や専門、専攻の選択の際のガイダンスが適切に実施されているか。
学部入学生に対する、入学手続き後の共通教育に関する説明会、入学直後の学部・学科ごとの教育課程、
履修手続き、学生生活等に関する説明会及び共通教育の教育課程等に関する説明会を入念に行い、その翌
日から授業が開始されている。また、共通教育については履修登録期間中の第1回目の 90 分授業を前後半
に分けて科目ガイダンスが行われ、受講選択肢を増やすよう工夫がなされている。編入学制度のある学部
では、
編入学の学生に対する教育課程等に関するガイダンスが実施されている。
2年次以上のコース選択、
ゼミ選択等の際には、学部全体の説明会やコース別、ゼミ別の説明会において、履修ガイダンス、ゼミ見
学、個別相談等、部局の実情に合わせたガイダンスが実施されている。さらに、大学院各研究科では、教
育課程等に関して、入学時にガイダンスが実施されている。
このように、ガイダンスそのものは適切かつ入念に行われているが、学生がガイダンスを如何に受けと
め、学生生活、受講等に如何に活用しているかといった効果面を担保するための取組は、今後の課題であ
る。
これらのことから、ガイダンスが適切に実施されていると判断する。
7-1-② 学習相談、助言(例えば、オフィスアワーの設定、電子メールの活用、担任制等が考えられる。
)が適切に行
われているか。
「学生の修学・生活支援体制に関する要項」に基づき、各学部等に設置された学生相談室に、教員が配
置されている。共通教育機構の学生相談室「なんでも相談室」は、教員、カウンセラーだけでなく、研修
を受けた学生も学習相談等を担当しており、学習に関する相談が非常に活発に行われている。また、外国
語学習については、外国語教育研究センターの相談室で対応している。加えて、全学生を適当な少人数の
グループに編成し、グループごとにアドバイス教員を配置して学生の学習相談に応じる体制が確立されて
おり、よく機能している。
また、各授業担当教員のオフィスアワーの設置時間帯及び相談受付のメールアドレス等は、シラバスで
公開されている。そのほか、全教員に、共通教育に関する「教員マニュアル」と「教職員必携 学生サポー
トガイドブック」が配付され、学習相談、助言に活用するよう促している。
これらのことから、学習相談、助言が適切に行われていると判断する。
7-1-③ 学習支援に関する学生のニーズが適切に把握されているか。
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「学生の立場に立って、自主学習を支援する教育環境を充実・整備する。
」ことを中期計画に掲げ、学
生のニーズを把握するための全学的な取組として、2年に一度学習支援に関する項目を含んだ学生生活調
査が実施され、その報告書は全教員に配付されている。報告書には、入学別や学部別に、学生の大学に対
する要望と、授業、カリキュラム、教員の教え方等についての自由記述による意見が記載されている。ま
た、
平成 18 年度からアカンサスポータルを利用した学習環境改善のためのアンケート調査が毎年実施され
ることになった。これらの調査分析結果は、全教職員に周知するとともに、ウェブサイトに公開されてい
る。
学生相談専門委員会及び学生相談研修会では、学習支援に関する相談の実情についての検討が行われて
いる。加えて、学部生・大学院生及び留学生と学長との懇談会が開催されており、学長が学生から要望や
提言等を受けるといった仕組みが働いている。
これらのことから、学習支援に関する学生のニーズが適切に把握されていると判断する。
7-1-④ 通信教育を行う課程を置いている場合には、そのための学習支援、教育相談が適切に行われているか。
該当なし
7-1-⑤ 特別な支援を行うことが必要と考えられる者(例えば、留学生、社会人学生、障害のある学生等が考えられ
る。
)への学習支援を適切に行うことのできる状況にあるか。また、必要に応じて学習支援が行われているか。
留学生は、平成 19 年5月1日現在 259 人が在籍しており、学習支援として、日本語教育、日本事情教育
等が実施されている。また、昼食時間帯に留学生が学習成果を発表し、一般学生と交流する機会がランチョ
ンセミナーとして設けられている。さらに、日常的な学習支援として、チューター制度が設けられている
ほか、指導教員、英語・中国語による相談が可能な留学生センター、経済学部海外交流室、自然科学研究
科留学生教育研究室、留学生相談室の担当教員、学生部の担当職員等が学習相談等に当たっている。
社会人学生(科目等履修生を含む。
)は、平成 19 年5月1日現在 367 人が在籍しており、学習支援とし
て、市内中心部での「いしかわシティカレッジ」を用いた共通教育の受講の機会が提供されている。また、
一部の研究科では夜間・休日にも授業が開講されている。
平成 19 年5月1日現在5人の障害のある学生が在籍しているが、学習支援として、受験時に出願前の
相談を実施し、入学決定後は、障害学生支援委員会が当該学生在籍部局及び共通教育機構と連携をとりつ
つ支援方策を立て、ノートテイク、パソコンテイク等の授業時情報保障等の支援が行われている。また、
保健管理センターでは、健康診断時にすべての新入生に対して健康診断調査票を基に問診が行われ、支援
の必要な学生に対しては、医師等との面接の機会が提供されている。
これらのことから、特別な支援を行うことが必要と考えられる者への学習支援を適切に行うことのでき
る状況にあり、また、必要に応じて学習支援が行われていると判断する。
7-2-① 自主的学習環境(例えば、自習室、グループ討論室、情報機器室等が考えられる。
)が十分に整備され、効果
的に利用されているか。
共通教育機構では約 20 人収容の自習室が常設されているほか、
講義等で使用していない時間帯に限り、
講義室の1室が自習室として開放されている。学生は、
「学生の手引」等に記載された利用法に従って自習
室を活用している。また、各学部では、自習室、学部独自の図書室や情報処理実習室、多目的スペース、
リフレッシュルーム等が設置されているほか、空き講義室の開放等が行われ、自主的学習の場として提供
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されている。各建物の随所には学生用パソコンが設置されているほか、学内無線LANが整備され、各自
のパソコンによる自習可能な学習環境の提供にも努めている。大学院生には各自専用の机が確保されてい
る。
総合メディア基盤センターには、約 350 台の実習用パソコンが設置されており、e-learning 研修会が随
時開催され、利用促進に努めている。また、同センターの2室が自習室として開放されており、1室はノー
ト型パソコンを持ち込んだ自習のための情報コンセントや電源コンセントなどの整備による自習が可能な
諸設備が整えられ、他の1室には実習用パソコンが整備されている。
そのほか、約 1,700 席収容の附属図書館は、学生の自習の場としても十分活用されている。ことに、自
然科学系図書館では、
自然科学研究科棟の入棟許可カードキーを保持する学生の 24 時間利用が可能となっ
ている。
これらのことから、自主的学習環境が十分に整備され、効果的に利用されていると判断する。
7-2-② 学生のサークル活動や自治活動等の課外活動が円滑に行われるよう支援が適切に行われているか。
体育系と文化系の 81 サークルが大学に公認され、学部公認の 54 サークルとともに活動している。サー
クル活動を支援する施設として、課外活動共用施設、大学会館、体育館、合宿施設、屋外運動場等が設置
されており、学生が利用規程・使用心得に従って適切に利用できるよう配慮されている。各サークルには、
専任教員を顧問として置き、
「顧問教員について(申合せ)
」に基づき助言・指導や顧問教員会議が開催さ
れている。また、財政面の支援として、公認サークル団体を対象に各種物品の給付・貸与等が行われてい
る。さらに、各サークルのリーダーに対しては、たとえば、
「熱中症の対処方法について」といったテーマ
の研修会が大学側の指導で行われており、この点は注目に値する。
学生は、自治活動として、金大祭、北陸地区国立大学体育大会、及び北陸三県大学学生交歓芸術祭を例
年自主的に開催しており、施設及び資金の提供、ポスターやパンフレットの配布等の事務支援等が行われ
ている。
学生のサークル活動等の自主活動を担保し支援するための施設は、なお不十分であることが認識されて
おり、学生のニーズにこたえるべく、施設・設備の充実に意が注がれている。
これらのことから、課外活動が円滑に行われるよう支援が適切に行われていると判断する。
7-3-① 学生の健康相談、生活相談、進路相談、各種ハラスメントの相談等のために、必要な相談・助言体制(例え
ば、保健センター、学生相談室、就職支援室の設置等が考えられる。
)が整備され、機能しているか。
「学生の修学・生活支援体制に関する要項」に基づき、学生の修学・生活支援に関して審議・実施する
機関として、学生相談専門委員会が設置され、各学部・研究科等の支援状況及び問題点等についての意見
交換等が行われている。
保健管理センターでは、学生の健康面及び精神的な悩みについて常勤・非常勤合わせて5人のカウンセ
ラーが相談に当たっており、平日の9時から 17 時 15 分まで利用可能である。また、紙上応答訓練や質疑
応答のロールプレイ等カウンセラーの研修を受けた学生によるピア・サポーター制度が導入されており、
保健管理センター内にピア・サポート・ルームが開室され、2人一組で勉学上の悩み、人間関係、進路・
進学、健康上の悩み等の相談に当たっている。さらに、保健管理センターでは、学生の心身の健康管理の
ための定期健康診断が行われており、事後措置として健康相談や面接が行われている。学生の定期健康診
断については受診率が向上し、ほぼすべての学生が受診している。平成 18 年度から、新入生に対して、金
沢大学学生健康保険組合の負担で感染症対策のための抗体検査が実施されており、抗体を持たない学生の
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金沢大学
ために予防接種の機会を設けるなど独自の取組が行われている。そのほか、平成 19 年度に文部科学省新た
な社会的ニーズに対応した学生支援プログラムに「心と体の育成による成長支援プログラム-社会に幸せ
をもたらす生活の知恵を持った学生の育成-」が採択され、保健管理センターが中心となって取り組んで
いる。
各種ハラスメントに関しては、ハラスメント防止委員会が設置され、総括相談員のもとに 36 人の教職
員が相談員として問題への対応に当たっており、相談員名簿やハラスメント防止等に関する規程等をウェ
ブサイトに公開し、防止に努めている。
就職相談に関しては、就職支援室が置かれており、キャリアコンサルタントの資格を有する相談員を配
置して行き届いた相談に当たるとともに、就職にかかわる各種の説明会等が非常に積極的に運営されてい
る。いずれも利用率は高く、円滑に運営されていることによって学生の信頼を得ていることをうかがわせ
る。
これらのことから、必要な相談・助言体制が整備され、機能していると判断する。
7-3-② 生活支援等に関する学生のニーズが適切に把握されているか。
学生のニーズを把握するための全学的な取組として、2年に一度学生生活調査が行われ、その報告書が
全教員に配付されている。報告書には大学に対して特に要望する事項が入学年度別や学部別に記載されて
いるほか、福利厚生施設、学生寮、駐車場、バリアフリーの促進等についての自由記述による意見も記載
されている。また、平成 18 年度からアカンサスポータルを利用した学習環境改善のためのアンケート調査
が毎年実施されており、これらの分析結果については、広報誌、ウェブサイト等の活用による全教職員へ
の周知が積極的に図られている。このほか、学生支援の質及び実効性の向上に資するために、学部生と学
長との懇談会、大学院生と学長との懇談会、留学生と学長との懇談会、あるいは、教育担当副学長、学生
の支援を担っている委員会の委員、学務課の学生支援担当職員等と学生との懇談会が適宜開催され、学生
の生の意見や要望等の調査が積極的に行われている。
これらのことから、生活支援等に関する学生のニーズが適切に把握されていると判断する。
7-3-③ 特別な支援を行うことが必要と考えられる者(例えば、留学生、障害のある学生等が考えられる。
)への生活
支援等を適切に行うことのできる状況にあるか。また、必要に応じて生活支援等行われているか。
留学生に対しては、留学生センターの相談・指導部門、経済学部海外交流室、自然科学研究科留学生教
育研究室、留学生相談室の担当教員、指導教員、担当職員等が日常生活に必要な情報の伝達や悩み事の相
談等に当たっている。また、
「留学生必携金沢生活ガイドブック」が全留学生に配付され、留学生の暮らし
に役立たせている。さらに、留学生用宿舎として国際交流会館を整備し維持しているほか、民間等の宿舎
に入居する留学生には、大学による機関保証が行われている。
障害のある学生に対しては、学務課の学生支援担当職員や所属学部等が生活相談等に当たっている。ま
た、バリアフリー推進に関する方針等に基づき、身体障害者用トイレの増設及び自動扉への改修等の整備
等が進められている。さらに、入学宣誓式及び学位授与式において、手話通訳者、車椅子用座席の設置導
入が図られているほか、大学教育開発・支援センターにおいて障害のある学生の支援に関する書籍や各種
資料が収集されており、利用に供されている。
これらのことから、特別な支援を行うことが必要と考えられる者への生活支援等を適切に行うことので
きる状況にあり、また、必要に応じて生活支援等が行われていると判断する。
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7-3-④ 学生の経済面の援助(例えば、奨学金(給付、貸与)
、授業料免除等が考えられる。
)が適切に行われている
か。
日本学生支援機構の奨学金については、第一種、第二種、併用を合わせて全学生の約 32%(平成 18 年
度においては申請者の約 93.5%)が利用している(平成 18 年度末現在)
。また、民間奨学団体や地方公共
団体の奨学金で大学を経由して募集するものについては、学務課によって情報提供や出願手続き等に関し
ての支援が行われている。さらに、金沢大学の国際交流後援会により、私費外国人留学生奨学金、私費外
国人留学生研究奨励費、私費外国人留学生修学奨励費、海外留学奨励費、大学院博士後期課程学生研究奨
励費、国連大学グローバル・セミナー参加奨励費として平成 18 年度末現在で 114 件・3,720 千円の助成が
行われている。
授業料免除については、授業料免除及び徴収猶予規程に則って、平成 18 年度では、学部・大学院を合
わせて申請者の 90%に当たる前期分 986 人、後期分 1,069 人が全額又は半額免除措置を受けている。
入学料免除に関しては、入学料免除及び徴収猶予規程に則って、平成 18 年度は、学部・大学院を合わ
せて申請者の 30%に当たる 42 人が全額又は半額免除措置を受けている。
さらに、平成 19 年度の文部科学省「再チャレンジ支援経費」に「社会人の「学び直し」支援プログラ
ム」が採択され、社会人学生に対する授業料減免を行っている。
また、学生に対して低額な寄宿料で学生寮(男子用2寮、女子用1寮)を提供しており、計 654 人まで
入居可能である。
これらの制度は学生便覧、学生募集要項、ウェブサイトに掲載され周知が図られている。
そのほか、平成 19 年3月に発生した能登半島地震の被災学生に対して、特別枠で授業料免除、入学料
免除等の支援が行われている。
これらのことから、学生の経済面の援助が適切に行われていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準7を満たしている。
」と判断する。
【優れた点】
○ 障害のある学生への修学支援体制が整っている。
○ 大学院生には各自専用の机が確保されている。
○ 平成 18 年度から、新入生全員に対して、金沢大学学生健康保険組合の負担で感染症対策のための
抗体検査が実施されており、抗体を持たない学生のために予防接種の機会を設けるなど独自の取組が
行われている。
○ 文部科学省新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラムに、平成 19 年度に「心と体の育成
による成長支援プログラム-社会に幸せをもたらす生活の知恵を持った学生の育成-」が採択され、
保健管理センターが中心となって取り組んでいる。
○ 文部科学省再チャレンジ支援経費に、平成 19 年度に「社会人の「学び直し」支援プログラム」が
採択され、社会人学生に対する授業料減免を行っている。
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基準8 施設・設備
8-1 大学において編成された教育研究組織及び教育課程に対応した施設・設備が整備され、有効
に活用されていること。
8-2 大学において編成された教育研究組織及び教育課程に応じて、図書、学術雑誌、視聴覚資料
その他の教育研究上必要な資料が系統的に整備されていること。
【評価結果】
基準8を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
8-1-① 大学において編成された教育研究組織の運営及び教育課程の実現にふさわしい施設・設備(例えば、校地、
運動場、体育館、講義室、研究室、実験・実習室、演習室、情報処理学習のための施設、語学学習のための施
設、図書館その他附属施設等が考えられる。
)が整備され、有効に活用されているか。また、施設・設備のバリ
アフリー化への配慮がなされているか。
当該大学は、大学総合移転の結果、現在では、角間キャンパス、宝町キャンパス及び鶴間キャンパスの
3地区にわたって設置されており、校地等の面積は、角間地区が 2,008,565 ㎡、宝町地区が 130,396 ㎡、
鶴間地区が 20,654 ㎡となっている。また、各地区の校舎等の面積は、計 419,099 ㎡となっている。
各キャンパスには、大学設置目的及び設置計画に則り、それぞれのキャンパスに課せられた機能を支障
なく発揮でき、目的が達成できるように、施設及び設備が整備されている。
また、各キャンパスには、学部等の教育・研究活動を支障なく円滑に遂行するために必要とされる施設・
設備が整備されている。さらに、学生の生活、それに教職員の活動のそれぞれを担保するために、可能な
限りの施設、校舎は言うまでもなく、図書館、実験・研究室等々から、体育館、運動場、食堂等に至るま
で、必要十分な施設・設備が整備されている。例えば、角間キャンパスの講義室は、合計 111 室(面積 10,469
㎡・収容人数 8,286 人)あり、北陸地区国立大学の間で各大学の講義や研究発表等が双方向に視聴できる
遠隔授業講義室が2室(面積 229 ㎡)ある。
障害のある学生等の移動等への配慮として、専用の駐車スペースの確保、玄関出入り口の自動扉化、エ
レベーター・スロープの設置、身体障害者用のトイレの設置などが学内の主要な施設においてほぼ実施さ
れているが、さらなるバリアフリー化の促進に向けて整備が進められている。
さらに、広大な面積を占める角間キャンパスにあっては、学部等の教育・研究活動のために配置された
施設・設備のほか、広大なキャンパスを有効活用するといった観点から、景観・環境保護教育・研究を兼
ねた教育・研究フィールドの場と位置付けて、市民にも広く開放された「里山自然学校」を設置し、校地
を有効に活用している点は評価に値する。
これらのことから、大学において編成された教育研究組織の運営及び教育課程の実現にふさわしい施
設・設備が整備され、有効に活用されており、また、バリアフリー化への配慮がなされていると判断する。
8-1-② 教育内容、方法や学生のニーズを満たす情報ネットワークが適切に整備され、有効に活用されているか。
情報ネットワーク(通称KAINS)は、 総合メディア基盤センターと各部局を結ぶ基幹ネットワーク
と、各部局内に構築したサブネットワークで構成されている。また、学外とは1ギガ bps の高速回線で学
術情報ネットワーク(通称SINET)を介して全国の大学・研究機関と結ばれている。
情報ネットワークは利用目的に応じ、一般用ネットワークと学生用ネットワークの2種類に分かれてい
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る。前者は主に教職員や大学院生、研究室に配属後の学部生が利用するもので、電子メールによる研究・
事務連絡のほか、学術情報の検索・収集、総合メディア基盤センター等に設置されている計算サーバの利
用等に用いられている。一方、 後者は教職員も利用でき、すべての学生が利用可能なネットワークで、学
生は自身の学生証を用いて利用申請ができる。また、学生用ネットワーク接続用のパソコンが附属図書館
(中央、分館)
、総合教育棟、総合メディア基盤センターや各部局(当該学部の学生のみ利用可能)に設置
されており、利用申請後は電子教材の自習やレポート作成、電子メール、各種情報検索などに活用されて
いる。総合教育棟には、全席情報コンセントを備えた講義室9室をはじめ、大学の情報ネットワークを利
用するための環境整備も積極的に図られており、高い利用率で有効に活用されている。
情報ネットワークの利用・管理については、
「ネットワーク運用に関する内規」
、
「金沢大学情報セキュ
リティに関する規程」等必要な規程等が定められ、学生及び教職員に周知徹底されている。一方、総合メ
ディア基盤センターを中核とする情報ネットワーク管理・運営組織にあっては、利用者側の満足度や要望
等の把握に努め、それらに基づいた改善を図るとともに、安全面についても可能な対策の遂行に注力して
いる。
これらのことから、情報ネットワークが適切に整備され、有効に活用されていると判断する。
8-1-③ 施設・設備の運用に関する方針が明確に規定され、構成員に周知されているか。
学生に対しては、講義棟や実習室など共通の各施設の運用規程等が履修の手引きや学生便覧等に記載さ
れているほか、体育施設や課外活動施設などの各施設の利用申請手続きなど、諸手続きや規程・使用心得
が課外活動案内に記載されており、周知が図られている。また、学生や教職員等の構成員に対しては、施
設管理部のウェブサイトに施設マネジメント関係の規程が掲載されているほか、附属図書館や総合メディ
ア基盤センター等のウェブサイトに施設利用方法等が掲載され、周知が図られている。
これらのことから、施設・設備の運用に関する方針が明確に規定され、構成員に周知されていると判断
する。
8-2-① 図書、学術雑誌、視聴覚資料その他の教育研究上必要な資料が系統的に整備され、有効に活用されているか。
附属図書館は、中央図書館(10,456 ㎡、971 席)
、自然科学系図書館(6,513 ㎡、575 席)
、医学部分館(1,845
㎡、114 席)
、医学部保健学科図書室(356 ㎡、48 席)によって構成され、全建物面積 19,170m2、閲覧席
1,708 席を有している。平成 19 年3月 31 日現在、附属図書館の蔵書数 1,794,410 冊、雑誌受入れタイト
ル数 8,923 種、視聴覚資料所蔵タイトル数 6,010 種、視聴覚機器 75 台が整備されており、中央図書館、自
然科学系図書館及び医学部分館それぞれにおいて、人文・社会科学系、自然科学系、医学系の各学問分野
に応じたサービスの充実が図られている。
例えば、自然科学系図書館については、自然科学研究科棟の入棟許可カードキーを有する教員・学生は
24 時間入館可能であるほか、58 万冊収容の自動化書庫が設置され、取り出し時間の短縮を図るとともに蔵
書の効率的な保管に努め、閲覧に供されている。法務研究科図書室も 24 時間入館可能である。
また、電子ジャーナルについては、図書館予算及び学内で共通経費化した電子ジャーナル予算で経費負
担され、約 5,000 タイトルの雑誌を閲覧することが可能となっている。
さらに、平成 18 年6月から、教員が教育・研究成果として公表した学術論文、紀要等が電子的に収集・
保存されており、収蔵された資料の全文がネットワークを通じて無料で公開される電子版書庫(金沢大学
学術情報リポジトリ:KURA)の運用が開始されている。平成 19 年3月 31 日現在、 KURAには 2,962
件の学術論文、紀要が登録されており、学内外を問わず閲覧することができる。
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中央図書館、自然科学系図書館及び医学部分館については、附属図書館として組織化されているが、法
学部、経済学部にあっては、それぞれに、法学部図書室・法務研究科図書室、経済学部図書室・同地域経
済情報センターが設置され、附属図書館とネットワーク化されている。
中央図書館では、学部生・大学院生・教員等のニーズを重視し、主として共通的な図書の充実に力点が
置かれている。一方、自然科学系図書館、医学部分館及び上記学部図書室等にあっては、それぞれの専門
性や学問研究領域の特徴等及び学部生・大学院生・教員等のニーズを考慮した上で、図書委員会等の方針
に則り、図書の充実が図られ、教育・研究の内容に照らして系統的に整理されている。
利用面については、自習室や視聴覚授業の場としても有効に活用されており、平成 18 年度利用者数は
68 万人を優に超え、学生への貸出冊数は 95,160 冊であり、附属図書館が十分機能していることをうかが
わせる。
また、開館時間については、中央図書館が平日8時 45 分から 20 時、土曜・日曜9時から 17 時、祝日は
7月を除き休館、医学部分館が平日8時 30 分から 21 時、土曜 10 時から 16 時、日曜・祝日は休館、医学
部保健学科図書室が平日9時から 22 時、土曜は制限付き開館、日曜・祝日は休館、自然科学系図書館が平
日8時 45 分から 20 時、土曜 10 時から 17 時、日曜・祝日は7月を除き休館となっている。
これらのことから、教育研究上必要な資料が系統的に整備され、有効に活用されていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準8を満たしている。
」と判断する。
【優れた点】
○ 角間キャンパスでは、恵まれた自然環境を保全緑地・里山ゾーンに指定し、学内の教育研究フィー
ルド・里山自然学校として活用している。
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金沢大学
基準9 教育の質の向上及び改善のためのシステム
9-1 教育の状況について点検・評価し、その結果に基づいて改善・向上を図るための体制が整備
され、取組が行われており、機能していること。
9-2 教員、教育支援者及び教育補助者に対する研修等、その資質の向上を図るための取組が適切
に行われていること。
【評価結果】
基準9を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
9-1-① 教育の状況について、活動の実態を示すデータや資料を適切に収集し、蓄積しているか。
教育の現状を適確に把握し、教育の改善及び質の向上を図る組織として、各部局に教務委員会、点検評
価委員会及びFD委員会等が設置されている。これらの委員会では、学生の成績、履歴者名簿、授業評価
アンケート結果、卒業論文、修士論文、博士論文、試験問題・答案、レポート等を収集蓄積し、必要に応
じて活用できるよう配慮されている。一部の部局では、試験答案、レポート等は、これまで教員個人に委
ねてきたが、平成 18 年度からは、全学的な改善が図られ、全部局で収集・蓄積がなされている。
これらのことから、教育の状況について、活動の実態を示すデータや資料を適切に収集し、蓄積してい
ると判断する。
9-1-② 学生の意見の聴取(例えば、授業評価、満足度評価、学習環境評価等が考えられる。
)が行われており、教育
の状況に関する自己点検・評価に適切な形で反映されているか。
学生の意見等を聴取する方法として、主にアンケート調査が採用されている。大学の方針に則り、各学
部でFD委員会が中心となり、学生による授業評価・満足度評価が毎学期実施され、その結果を担当教員
にフィードバックすることにより、担当教員は必要に応じて改善を行っている。しかし、アンケート結果
の学生への公表が十分とは言えない。
アカンサスポータル Web Class(e-learning システム)を使用して履修者の予習・復習の促進を図る等
の具体的な改善例が見受けられるほか、部局によっては、担当教員による問題点の分析とその対応策につ
いて報告書の提出を義務付けている。
また、2年に一度の全学的学生生活調査が実施されているのに加え、学部長をはじめ教職員と学生との
懇談会、学長と学部生、大学院生及び留学生との懇談会等で、学生の意見や要望などが積極的に聴取され
ている。これらのほか、学生の生活状況や修業状況を実質的に把握し、相談に当たるアドバイス教員制度
が全学的に実施されており、その効果は十分期待できよう。
これらの取組のほか、各教員はオフィスアワーを設け、授業や学習及び研究の質問等を学生から受けて
おり、必要に応じて改善等を行っている。
これらのことから、学生の意見の聴取が行われており、教育の状況に関する自己点検・評価に適切な形
で反映されていると判断する。
9-1-③ 学外関係者(例えば、卒業(修了)生、就職先等の関係者等が考えられる。
)の意見が、教育の状況に関する
自己点検・評価に適切な形で反映されているか。
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平成 18 年度に平成 17 年度卒業(修了)生を対象としたアンケート調査が実施されている。卒業(修了)
生及び就職先から、全般的に達成度及び満足度は高い傾向にあるが、経済感覚・プレゼンテーション能力・
国際語学力や国際感覚に関しては達成度が低い傾向にあるとの評価を受けて、共通教育科目では「大学学
生生活論」
、
「初学者ゼミ」等の実施や異文化体験実習科目の充実を図るなどの対応がなされている。なお、
工学部では卒業後3、6、10 年が経過した卒業生全員を対象とした達成度評価アンケートが毎年実施され
ており、その結果は「総合評価と今後の対策」という形でとりまとめられ、教育改善に活用されている。
また、医学部保健学科では実習先の卒業生を含む指導者の意見が聴取されている。
さらに、教員による企業訪問の際には意見交換が行われ、学外者の意見等の聴取がなされている。これ
らの聴取された学外者の意見等は、各部局の点検評価委員会やFD委員会等で検討し、可能なことから改
善を行う体制が確立され機能している。
これらのことから、学外関係者の意見が教育の状況に関する自己点検・評価に適切な形で反映されてい
ると判断する。
9-1-④ 評価結果がフィードバックされ、教育の質の向上、改善のための取組が行われ、教育課程の見直し等の具体
的かつ継続的な方策が講じられているか。
学生及び学外関係者の意見や自己点検評価及び外部評価等の結果を踏まえて、各部局のFD委員会、点
検評価委員会、改革推進委員会、教育方法改善委員会等が教育課程の見直しを検討し、将来検討委員会等
が教員組織の構成の検討を行うなど評価結果を教育の質の改善に結び付ける体制が整備され、それらが実
質的に機能している。
学生からの成績評価に係る疑義申立てに対して全学的に取り組むこととしたことは、
改善に結び付けられた具体例と言ってよい。また、工学部で行っている卒業後3、6、10 年が経過した卒
業生全員を対象とした達成度評価アンケートで、達成度が低いと評価のあった国際コミュニケーション能
力の向上のため、外国人教員によるコミュニケーション指導を導入するなど改善が行われている。この実
績は調査等によって把握された問題点を検討し、教育改善に結び付けた好例と言える。
これらのことから、評価結果がフィードバックされ、教育の質の向上、改善のための取組が行われ、具
体的かつ継続的な方策が講じられていると判断する。
9-1-⑤ 個々の教員は、評価結果に基づいて、それぞれの質の向上を図るとともに、授業内容、教材、教授技術等の
継続的改善を行っているか。
FD委員会等の下で、各授業科目に対する学生による授業評価アンケートが毎学期実施されており、そ
の結果が担当教員にフィードバックされている。教員は、アンケート結果等により、学生の意見・要望等
を真摯に受けとめ、必要に応じて翌年度の授業科目のシラバスに反映させ、教科書変更や講義ノートの改
良及び e-learning 教材を用いた授業の実施など授業方法の改善等を行っている。具体例としては、工学部
では卒業生による達成度評価を統計的に分析し、その結果について教育方法改善シンポジウムを開催して
検討することで、講義内容の理解をより深めるために専門・基礎融合型の講義用オリジナル教材を開発し
ている。
これらのことから、個々の教員は、評価結果に基づいてそれぞれの質の向上を図るとともに、継続的改
善を行っていると判断する。
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金沢大学
9-2-① ファカルティ・ディベロップメントについて、学生や教職員のニーズが反映されており、組織として適切な
方法で実施されているか。
ファカルティ・ディベロップメント(以下、FDという。
)活動は、基本的には部局単位で営まれてお
り、FD委員会を中心として活発に展開されている。研究会・講演会等を開催し、FD活動の必要性を教
職員に喚起させるとともに、公開授業、授業評価アンケートの在り方、e-learning の効果等々多岐にわた
る検討を行い、その結果を教育に反映させることに注力している。また、全大学院研究科を対象としたF
D活動として、平成 18 年度に金沢大学全研究科FD研究集会が開催されており、教育方法等についての意
見交換が行われている。
ニーズを反映させる方法として、FD委員会や教育委員会等において、学生の授業評価結果を教員に
フィードバックしているほか、学生や教職員のニーズについて検討するために、例えば、全学的な共同学
習会が企画開催され、取り組むべき課題等について研究会を立ち上げ具体的に検討が行われている。
これらのことから、FDについて、学生や教職員のニーズが反映されており、組織として適切な方法で
実施されていると判断する。
9-2-② ファカルティ・ディベロップメントが、教育の質の向上や授業の改善に結び付いているか。
全学レベルあるいは部局別の研究会等のFD活動を通じて、具体的なカリキュラムの改訂、シラバス様
式の改良、授業方法の改善、厳格な成績評価とGPA制度の導入、学士課程教育と大学院課程教育の連携
等、多岐にわたる改善が行われている。また、習熟度別クラス・分野別コース制の編成の検討やカリキュ
ラム及び科目充実に向けての検討が行われ、
更なる改善に結び付けるための努力が注がれている。
例えば、
社会環境科学研究科博士後期課程では平成 16 年度から2年にわたって、
学位授与率向上をテーマにFD活
動が展開され、その成果を学位論文予備審査制度の導入や体系的な指導体制の整備と学位の授与率の向上
に結び付けている。
これらのことから、FDが教育の質の向上や授業の改善に結び付いていると判断する。
9-2-③ 教育支援者や教育補助者に対し、教育活動の質の向上を図るための研修等、その資質の向上を図るための取
組が適切になされているか。
教育支援者については、事務職員は教務関係の研修や語学研修等に参加しているほか、共同学習会やF
D研究会等にも参加している。大学教育開発・支援センターが開催する共同学習会(週1回開催)では、
他大学のカリキュラム事例の研究等を行っており、事務職員も積極的に参加しているほか、事務職員が発
表者として、共通教育科目の受講者調整の負担解消についてや、
『学習・研究環境改善のための学生生活調
査 報告書』
の分析結果に基づき学生は学生相談をどのように捉えているか等について発表を行っている。
技術職員はFD活動に参加するとともに、担当教員と個別に実験・実習・演習の実施方法等に関する打合
せや、全学レベルでの技術職員合同研修等を行っている。また、教育補助者については、共通教育機構で
ティーチング・アシスタント(TA)マニュアルが作成され、TAの職務内容や心構え等を示しているほ
か、各部局ではTAを対象とした講習会や研修会が実施され、授業の実施方法や情報機器の操作方法等を
説明するとともに、個別の業務に関しては担当教員が直接指導している。
これらのことから、教育支援者や教育補助者に対し、その資質の向上を図るための取組が適切になされ
ていると判断する。
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金沢大学
以上の内容を総合し、
「基準9を満たしている。
」と判断する。
【優れた点】
○ 工学部では卒業後3、6、10 年が経過した卒業生全員を対象とした達成度評価アンケートが毎年実
施されており、その結果は「総合評価と今後の対策」という形でとりまとめられ、教育改善に活用さ
れている。また、医学部保健学科でも、同様の取組が行われている。
【改善を要する点】
○ 学生アンケート結果の学生への公表が十分に行われていない。
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金沢大学
基準 10 財務
10-1 大学の目的を達成するために、教育研究活動を将来にわたって適切かつ安定して遂行できる
だけの財務基盤を有していること。
10-2 大学の目的を達成するための活動の財務上の基礎として、適切な収支に係る計画等が策定さ
れ、履行されていること。
10-3 大学の財務に係る監査等が適正に実施されていること。
【評価結果】
基準 10 を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
10-1-① 大学の目的に沿った教育研究活動を安定して遂行できる資産を有しているか。また、債務が過大ではないか。
平成 18 年度末現在の資産は、固定資産 144,629,744 千円、流動資産 14,315,701 千円であり、合計
158,945,446 千円である。なお、教育研究活動を安定して遂行するために必要な校地、校舎等の資産を有
している。
負債については、固定負債 49,338,464 千円、流動負債 15,164,708 千円であり、合計 64,503,172 千円で
ある。なお、負債のうち、文部科学大臣から認可された償還計画に基づき返済している借入金が 37,014,026
千円であり、その他の負債については、ほとんどが実質的に返済を要しないものとなっている。
これらのことから、教育研究活動を安定して遂行できる資産を有しており、債務が過大ではないと判断
する。
10-1-② 大学の目的に沿った教育研究活動を安定して遂行するための、経常的収入が継続的に確保されているか。
経常的収入としては、運営費交付金、学生納付金、附属病院収入及び外部資金等で構成されている。
平成 16 年度からの3年間における状況から、学生納付金収入及び附属病院収入は安定して確保されて
いる。
また、産学連携等研究収入や寄附金収入等の外部資金についても安定した確保に努めている。
これらのことから、教育研究活動を安定して遂行するための、経常的収入が継続的に確保されていると判
断する。
10-2-① 大学の目的を達成するための活動の財務上の基礎として、適切な収支に係る計画等が策定され、関係者に明
示されているか。
平成 16 年度から平成 21 年度までの6年間に係る予算、
収支計画及び資金計画が中期計画の一部として、
また、各年度に係る予算、収支計画及び資金計画が年度計画の一部として、経営協議会及び役員会の議を
経て、学長により決定されている。
これらの計画は、大学ウェブサイトで公表されている。
また、中期計画、年度計画や財政計画、予算編成方針等は各部局に対して文書で周知されている。
これらのことから、適切な収支に係る計画等が策定され、関係者に明示されていると判断する。
10-2-② 収支の状況において、過大な支出超過となっていないか。
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金沢大学
平成 18 年度において、経常費用 44,465,275 千円、経常収益 44,341,385 千円であり、経常損失 123,890
千円、当期総損失が 289,543 千円となっている。
経常損失については、法人化前から再開発事業を進めている附属病院において、借入金による整備に要
する費用や資産取得に係る減価償却費が多額に計上されていることによるものである。当期総損失につい
ては、同再開発事業を進めている附属病院において、計画遂行のために病棟等を取り壊したことによる多
額の固定資産除却損が計上されたことによるものである。
なお、短期借入金はない。
これらのことから、収支の状況において、過大な支出超過となっていないと判断する。
10-2-③ 大学の目的を達成するため、教育研究活動(必要な施設・設備の整備を含む。
)に対し、適切な資源配分がな
されているか。
予算配分に当たっては、経営協議会及び役員会の議を経て、学長が予算配分方針を決定している。
また、外部資金の獲得を促すことを目的として、部局活性化推進経費(研究分)を確保するとともに、
教育経費についても各部局の貢献度を反映する部局活性化推進経費(教育分)を確保し、インセンティブ
を付与する仕組みを構築している。
さらに、
学長戦略経費として、
学長のリーダーシップのもと優れた研究を支援するための重点研究経費、
若手の萌芽的研究を支援するための若手の萌芽的研究経費を学内競争的経費として確保し、公募・審査に
より配分を行うなど、教育研究活動に必要な経費を配分している。
また、施設・設備の整備については、総合移転事業、キャンパスインテリジェント化計画、電子ジャー
ナル拡充計画等を推進するための金沢大学特別整備事業経費を確保するとともに、設備マスタープランを
策定し、教育研究環境の整備を実施している。
これらのことから、教育研究活動に対し、適切な資源配分がなされていると判断する。
10-3-① 大学を設置する法人の財務諸表等が適切な形で公表されているか。
法令に基づき、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに事業報告書、決算報告書並びに監事及
び会計監査人の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、6年間一般の閲覧に供しなければならな
いこととなっている。
法令を遵守し、財務諸表について、文部科学大臣の承認を受けた後、財務諸表等を適切な形で公表する
とともに、大学ウェブサイトでも公表している。
これらのことから、財務諸表等が適切な形で公表されていると判断する。
10-3-② 財務に対して、会計監査等が適正に行われているか。
財務に関する会計監査については、監事の監査、会計監査人の監査及び内部監査が行われている。
監事の監査については、監事監査規程に基づき実施されている。
会計監査人の監査については、文部科学大臣が選任した会計監査人により実施されている。
これらの監査報告書は大学ウェブサイトで公表されている。
内部監査については、会計監査実施要領等に基づき、学長が財務部長に監査を命じた上で、財務部長が
選出した監査員が監査を実施し、財務部長が監査報告書を作成し、財務担当理事に報告している。なお、
平成 19 年度からは、法人監査室を改組し、会計監査も含めた内部監査組織として、学長の下に室長(総務・
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金沢大学
人事担当理事)を置き、企画・立案・実施については、必要に応じ会計系職員を室員及び監査員・監査補
助員に指名することとしている。
また、財務担当理事、監事、内部監査担当部署及び会計監査人の四者による協議会を年数回開催し、内
部統制等の状況について情報を共有している。
これらのことから、財務に対して、会計監査等が適正に行われていると判断する。
以上の内容を総合し、
「基準 10 を満たしている。
」と判断する。
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金沢大学
基準 11 管理運営
11-1 大学の目的を達成するために必要な管理運営体制及び事務組織が整備され、機能しているこ
と。
11-2 管理運営に関する方針が明確に定められ、それらに基づく規定が整備され、各構成員の責務
と権限が明確に示されていること。
11-3 大学の目的を達成するために、大学の活動の総合的な状況に関する自己点検・評価が行われ、
その結果が公表されていること。
【評価結果】
基準 11 を満たしている。
(評価結果の根拠・理由)
11-1-① 管理運営のための組織及び事務組織が、大学の目的の達成に向けて支援するという任務を果たす上で、適切
な規模と機能を持っているか。また、必要な職員が配置されているか。
管理運営組織は、学長及び総務・人事、財務、研究・国際、教育、情報、病院をそれぞれ担当する理事・
副学長6人の役員のほか、役員会、教育研究評議会及び経営協議会等で構成されている。また、学部等の
運営組織は、学部長等及び教授会等で構成されている。
役員会は、管理運営上の重要事項を決定する機関として、月1回以上開催されている。また、役員は、
管理運営全般について意見交換等を行うために懇談会を原則として毎週開催している。
教育研究評議会は、大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、学長、理事・副学長3人、
学部長等 17 人及び教授8人の計 29 人の評議員で組織され、月1回開催されている。
経営協議会は、法人の経営に関する重要事項を審議する機関として、学長、理事・副学長3人、学長が
指名する教授4人及び学外有識者8人の計 16 人の委員で構成され、年6~7回開催されている。
そのほか、理事・副学長主宰の下に、その担当業務に係る事項を所掌する総務企画会議等の基幹会議が
組織されている。
さらに、学長が任命する学長補佐7人(評価、ハラスメント防止、入試、学生募集、カリキュラム改革、
広報・キャンパスインテリジェント化、危機管理の担当各1人)及び職員以外の者から各種の競争的な資
金の申請を支援する学長特別補佐1人が学長、理事・副学長とともに学長室を形成し、運営全般にわたり
学長を補佐している。また、学長補佐・学長特別補佐は必要に応じて役員会等に出席し補佐として役割を
果たしている。
事務組織等は、学長補佐等を中心に教員及び事務職員で組織する評価室、産学官連携推進室及び社会貢
献室のほか、理事・副学長の担当業務と直結させた、総務部、財務部及び施設管理部、研究国際部、学生
部、情報部並びに病院部が設置されている。また、学部、大学院等に係る事務を処理するため、3つの地
区事務部が置かれ、それぞれの職域で事務職員及び技術職員が大学の管理運営の業務及び教育研究等の支
援業務に従事している。
これらのことから、管理運営のための組織及び事務組織が適切な規模と機能を持っており、また、必要
な職員が配置されていると判断する。
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金沢大学
11-1-② 大学の目的を達成するために、学長のリーダーシップの下で、効果的な意思決定が行える組織形態となって
いるか。
学長のリーダーシップの下で、中期計画、年度計画、予算案、教育・研究計画等の重要事項について検
討審議がなされている。大学の意思決定は、役員会の議を経て学長が行っている。意思決定に当たっては、
学長のリーダーシップの下で教育研究評議会及び経営協議会において審議されているほか、必要に応じて
部局長連絡会で意見聴取等が行われている。このほか、各理事・副学長は基幹会議(総務企画会議等の6
会議、各学部・研究科から選出された部局長等で組織)の一つをそれぞれ所掌し、担当業務の必要な事項
について審議が行われており、業務の企画・立案について助言等を得るとともに、部局等から意見を聴取
している。また、必要に応じ基幹会議の下に専門委員会が設置され、専門的事項について審議が行われて
いる。
さらに、学長補佐・学長特別補佐を設けて、理事・副学長とともに学長室を組織し、大学運営に資する
ために運営全般にわたる細やかな検討と企画が行われている。
これらのことから、学長のリーダーシップの下で、効果的な意思決定が行える組織形態となっていると
判断する。
11-1-③ 学生、教員、事務職員等、その他学外関係者のニーズを把握し、適切な形で管理運営に反映されているか。
管理運営面に関連する学生のニーズは、2年に一度、アンケート方式により学生生活調査が実施され、
その分析結果が学生に対する福利厚生、学習・研究環境等の改善に反映されている。また、平成 18 年度は
アカンサスポータルを利用した学習環境改善のためのアンケート調査が実施され、その調査を踏まえた改
善が推進されつつある。さらに、学生のニーズの把握には、学部生と学長との懇談会、大学院生と学長と
の懇談会、留学生と学長との懇談会や寮生との懇談会が有効に活用され、管理運営に効果的に反映されて
いる。
教員のニーズは、部局教授会、センター教員会議等での議論の中で把握されており、全学の基幹会議(総
務企画会議等)及びその下の専門委員会、教育研究評議会での議論を通じて管理運営に反映されている。
事務職員のニーズは、各種会議への委員参加、事務連絡協議会、事務局長・部長連絡会等を通じて把握
され、適宜、事務業務の改善に反映されている。
学外関係者のニーズについては、北陸3県の高等学校長及び高等学校進路指導教諭との懇談会が毎年開
催され、教育面のみならず管理運営面における意見・要望等が把握されており、改善に反映させている。
また、経営協議会はもとより、学長、理事・副学長等の役員及び学部長等が直接かかわっている様々な会
議や協議会・交流会を通じて、学外有識者の意見・要望等の把握に努め、それを管理運営の改善に反映さ
せることに注力している。
学生等のニーズ・要望等の反映例としては、学生の利用駐車場の確保、通学利便性向上のためのスクー
ルバス化の検討を経て、角間キャンパス周辺地区の路線バスの運行に関し大学と北陸鉄道(株)との間で、
運賃を通常の 50%程度の 100 円とする「金沢大学地区金沢バストリガー協定」の締結、学生及び教職員等
の福利厚生及び防犯・安全の確保を目的として、角間キャンパス内に 24 時間営業のイートインカフェを併
設したコンビニエンスストアの誘致などが挙げられる。
これらのことから、学生、教員、事務職員等、その他学外関係者のニーズを把握し、適切な形で管理運
営に反映されていると判断する。
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金沢大学
11-1-④ 監事が置かれている場合には、監事が適切な役割を果たしているか。
常勤と非常勤の監事2人が置かれ、大学の業務全般について、事業年度ごとの決算終了時に行う期末監
査のほか、年度当初に作成した監査計画等に基づき定期監査等が実施され、監査結果に基づく助言・指導
等をまとめた報告書が有効に活用されている。また、常勤監事は、役員会をはじめ、役員懇談会、教育研
究評議会、経営協議会、基幹会議にオブザーバーとして出席し、必要に応じ助言を行っている。非常勤監
事も必要に応じ役員会、教育研究評議会等にオブザーバーとして出席している。
これらのことから、監事が適切な役割を果たしていると判断する。
11-1-⑤ 管理運営のための組織及び事務組織が十分に任務を果たすことができるよう、研修等、管理運営に関わる職
員の資質の向上のための取組が組織的に行われているか。
事務幹部職員の研修等を目的として、国立大学協会や国立大学財務・経営センターが主催する各種の大
学マネージメントセミナー、国立大学病院経営セミナー、国立大学法人等部長級・課長級研修、大学職員
マネージメント研修等に積極的かつ計画的に参加させている。
また、事務職員には学内研修として、海外交流協定校への派遣研修、語学研修(英会話等)
、パソコン
リーダー研修、ホームページ研修、放送大学受講研修等が実施されているとともに、東海地区又は北陸地
区の国立大学法人が共同で実施する新任係長・専門職員研修、人事労務研修、会計事務職員研修、学生指
導研究会等に積極的に参加させている。その他外部機関が主催する研修会等にも必要に応じ参加させてい
る。
これらのことから、管理運営に関わる職員の資質の向上のための取組が組織的に行われていると判断す
る。
11-2-① 管理運営に関する方針が明確に定められ、その方針に基づき、学内の諸規定が整備されるとともに、管理運
営に関わる委員や役員の選考、採用に関する規定や方針、及び各構成員の責務と権限が文書として明確に示さ
れているか。
管理運営に関する方針は、中期計画及び年度計画に明記されており、毎年度当初に学長から「当該年度
の重点課題と取組」が教育研究評議会や経営協議会等に示されている。これらの方針等に基づき、金沢大
学規則をはじめとする学内規則が整備されており、それらの学内規則の中で、学長、理事・副学長等の選
考や採用、教育研究評議会評議員や経営協議会委員等の選考に関する方針、その者の権限等について規定
されている。
これらのことから、管理運営に関する方針が明確に定められ、その方針に基づき、学内の諸規定が整備
されるとともに、管理運営に関わる委員や役員の選考、採用に関する規定や方針、及び各構成員の責務と
権限が文書として明確に示されていると判断する。
11-2-② 適切な意思決定を行うために使用される大学の目的、計画、活動状況に関するデータや情報が、蓄積されて
いるとともに、大学の構成員が必要に応じてアクセスできるようなシステムが構築され、機能しているか。
大学の目的・計画や活動状況に関するデータ・情報等は教員の研究業績等(教員総覧)も含めて大学ウェ
ブサイトに、各部局に係るデータ・情報はそれぞれ各部局のウェブサイトに掲載されており、これらを相
互にリンクさせて、大学の内外から自由にアクセスできるシステムとなっている。特に、役員会、教育研
究評議会及び経営協議会等の会議録、各事業年度の年度計画に係る実施状況及び根拠資料、教員の研究業
- 54 -
金沢大学
績等は、ウェブサイト上に蓄積されており、大学の構成員に限らず自由にアクセスできるよう整備されて
いる。
これらのことから、大学の目的、計画、活動状況に関するデータや情報が、蓄積されているとともに、
大学の構成員が必要に応じてアクセスできるようなシステムが構築され、機能していると判断する。
11-3-① 大学の活動の総合的な状況について、根拠となる資料やデータ等に基づいて、自己点検・評価が行われてい
るか。
自己点検評価は、大学全体の自己点検評価規程に則して、原則として毎年度、適切な点検評価項目を設
定して実施すべきものとされ、点検評価項目に応じて総務企画会議などの基幹会議、各学部等の点検評価
委員会や大学本部の評価室自己点検評価部会が担当し、評価室がその取りまとめを行うものとしている。
平成 16 年度は、管理運営体制の機能、教育研究組織(センター等)の機能、改善・改革のためのシス
テム(組織)の確立、管理経費の縮減等の 13 項目を、平成 17 年度は、大学評価・学位授与機構の大学評
価基準(選択的評価基準を除く。
)をそれぞれ点検評価項目として、根拠資料やデータ等に基づいて自己点
検評価が実施されており、評価結果については点検評価書として取りまとめられている。
なお、各部局では、それぞれに部局独自の自己点検評価(外部評価等を含む。
)が実施されている。
これらのことから、大学の活動の総合的な状況について、自己点検・評価が行われていると判断する。
11-3-② 自己点検・評価の結果が大学内及び社会に対して広く公開されているか。
平成 16 年度及び平成 17 年度の自己点検評価の結果については、それぞれ点検評価書として取りまとめ
られ、ウェブサイトに掲載・公表されている。また、平成 12 年度の大学基準協会相互評価に係る自己点検
評価結果や相互評価結果については報告書(冊子)として作成され、平成 13 年度から平成 15 年度までの
大学評価・学位授与機構による第三者評価(試行的評価)に係る評価報告書(自己点検評価結果の転載あ
り)についてはウェブサイトに掲載・公表されている。また、各部局の自己点検評価(外部評価等を含む。
)
の結果については報告書(冊子)として作成され、関係者に配付されている。
これらのことから、自己点検・評価の結果が大学内及び社会に対して広く公開されていると判断する。
11-3-③ 自己点検・評価の結果について、外部者(当該大学の教職員以外の者)による検証が実施されているか。
第三者評価及び外部評価の自己点検評価を含む自己点検評価や国立大学法人評価に係る自己点検評価
の結果については、平成 16 年度の国立大学法人化以降、学外有識者の外部委員を含む経営協議会で審議が
行われている。また、第三者評価としては、平成 12 年度に大学基準協会の相互評価を、平成 13 年度から
平成 15 年度までに大学評価・学位授与機構の全学テーマ別評価・分野別教育評価・分野別研究評価の試行
的評価を受けている。さらに、外部評価としては、平成 13 年度から平成 18 年度までに角間の里山自然学
校、文学部、法学部、経済学部、薬学部、社会環境科学研究科、自然科学研究科、教養教育機構、留学生
センターがそれぞれ受けている。
これらのことから、自己点検・評価の結果について、外部者による検証が実施されていると判断する。
11-3-④ 評価結果がフィードバックされ、管理運営の改善のための取組が行われているか。
自己点検評価や第三者評価等の結果は、総務企画会議、教育研究評議会等を通じて関係の部局や委員会
等にフィードバックされ、関係部局・委員会等において、必要に応じて具体的な改善措置が講じられてい
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金沢大学
る。
評価結果を受けての具体的な改善取組例としては、平成 17 年度の大学評価・学位授与機構が定める大
学評価基準を点検評価項目とした自己点検評価の結果を受け、大学の目的に関しては、平成 19 年度学生便
覧及び大学院便覧に大学憲章が記載され、学生に対しより一層の周知徹底が図られている。また、教員及
び教育支援者に関しては、任期制適用者の処遇改善方策として退職手当の支給を優遇する規程改正が行わ
れ、教員組織の活性化が図られた。そのほか、平成 12 年度の大学基準協会相互評価の結果を受け、その勧
告・助言に関わる事項に関し改善が実施されている。
これらのことから、評価結果がフィードバックされ、管理運営の改善のための取組が行われていると判
断する。
以上の内容を総合し、
「基準 11 を満たしている。
」と判断する。
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金沢大学
<参 考>
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金沢大学
ⅰ
現況及び特徴(対象大学から提出された自己評価書から転載)
1 現況
つ理念と目標を金沢大学憲章として制定した。
(1)大学名
金沢大学
(2)所在地
石川県金沢市
また,本学は,更なる教育研究体制の発展を目指し,
平成 20 年4月に,現行の8学部を「人間社会学域」,
(3)学部等の構成
「理工学域」及び「医薬保健学域」の3学域に改組する
学部:文学部,教育学部,法学部,経済学部,
理学部,医学部,薬学部,工学部
こととしている。
(1)教育に関する特徴
研究科:教育学研究科,医学系研究科,人間社会
本学は,高度情報化社会に対応できる情報処理の基礎
環境研究科,自然科学研究科,法務研究
能力・総合能力を持った人材育成を目指し,平成18年度
科(専門職学位課程)
入学生からノート型パソコンを必携とし,e-Learning等
専攻科:特殊教育特別専攻科
のITを活用した実践的教育を実施している。
別科:養護教諭特別別科
また,北陸地区の国立大学間で結成した「北陸地区国
附置研究所:がん研究所
立大学連合」では,双方向遠隔授業システムを活用し,
関連施設:大学教育開放センター,学際科学実験センター, さらに,石川県内の19高等教育機関及び石川県等で発足
総合メディア基盤センター,共同研究センター,留
した「大学コンソーシアム石川」では,「いしかわシテ
学生センター,外国語教育研究センター,環日本海
ィカレッジ」において各機関から授業科目を持ち寄り,
域環境研究センター,大学教育開発・支援センター, 単位互換制度を利用した授業を展開するなど様々な取組
環境保全センター,保健管理センター,極低温研究
みを行っている。
室,資料館,埋蔵文化財調査センター,技術支
(2)研究に関する特徴
援センター,インキュベーション施設,ベンチ
ャー・ビジネス・ラボラトリー
本学は,環日本海地域における中核的研究拠点として,
DNAやタンパク質などの生体分子の振舞いを撮影できる
(4)学生数及び教員数(平成19年5月1日現在)
世界最速の「高速原子間力顕微鏡」の開発,世界一であ
学生数:学部8,057人,大学院2,471人,
る核断熱消磁冷却装置を用いた「マイクロK温度領域に
専攻科11人,別科40人
おける量子臨界現象」の研究,C型慢性肝炎への効果を
専任教員数:1,021人
事前に予測する「インターフェロン反応チップ」の開発
助手数:11人
など,世界的レベルの研究を推進している。
2 特徴
また,部局を超えた学際的研究を推進するため,フロ
本学は,金沢医科大学,石川師範学校,第四高等学校,
ンティアサイエンス機構を設置し,「環日本海域に見る
金沢工業専門学校,石川青年師範学校,金沢高等師範学
土地・海・風の環」や「知と技の融合する先進生命理工
校等を母体として,昭和 24 年5月に6学部(法文学部,
学」などの世界的研究拠点の形成を目指している。
教育学部,理学部,医学部,薬学部及び工学部),教養
(3)社会貢献に関する特徴
部及び結核研究所をもって設立された。その後,学部・
本学は,市街地にある「サテライト・プラザ」を学び
研究科等の新設・改組を経て,現在は8学部,5研究科,
と情報発信の拠点として,本学教員によるミニ講演を開
1専攻科,1別科,1附置研究所,16 学内共同教育研
催し,研究成果の地域住民への還元を行っている。
究施設等で構成している。また,本学の規模拡大に伴う
また,江戸時代の豪農民家を角間キャンパスの里山ゾ
旧金沢城内キャンパスの狭隘化を機に,日本海側の基幹
ーンの一角に移築した「角間の里(五十周年記念館)」
大学としての発展を目指して,医学部,医学部附属病院,
を拠点として活動している「角間の里山自然学校」では,
がん研究所及び教育学部附属学校園を除く部局は,角間
年間を通して様々な里山に関する自然体験型の生涯学習
キャンパスへ総合移転した。
プログラムを展開している。
なお,本学は,平成 16 年4月の国立大学法人化を機
さらに,地域活性化教育プロジェクト事業として,市
に,「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」の位
民等を対象とした「金沢学」講座,「市民大学院」講座,
置付けをもって改革に取り組むこととし,その拠って立
「地域経済塾」などを開講している。
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金沢大学
ⅱ
目的(対象大学から提出された自己評価書から転載)
本学は,「人類の知的遺産を継承・革新し,地域と世界に開かれた大学」を基本理念とし,「教育を重視した
研究大学」の実現を目標としている。また,その教育研究の基本方針として,①多様な学生の受入れと優れた人
材の育成,②基礎から実践に至る幅広い知の創造,③新しい学問の開拓と産業の創出,④地域と国際社会への貢
献,及び⑤知の拠点としての情報発信の5つの柱を掲げている。
本学は以上のことを,「学問の自由」の立場に立って自主・自律的に推進するとともに,さらに,地域に根ざ
した活動を展開し,環日本海域を中心とする東アジアの拠点として全世界に情報を発信し,社会的な責任と使命
を果たすこととする。また,この基本理念・目標等を達成するため,本学の組織,制度,運営を不断に見直し,
自らの意志と責任において改革を持続的に進めることとする。
さらに,本学は,その具体の実現に向けて教育に関する目標及び研究に関する目標をそれぞれ定めている。
【教育に関する目標】
《学士課程教育》
学士課程教育全体を通して,「時代の変化に対応できる基礎的な知識・思考法」,「自ら課題を発見・探
求・解決する能力」及び「専門分野における確かな基礎学力と総合的視野」を身につけ,かつ,「人権・共生
の時代にふさわしい感性・倫理観・問題意識を有し,国際性と地域への視点を兼ね備えた,リーダーシップを
発揮できる市民」となるべき人材を育成する。
特に共通(教養)教育においては,学士課程教育全体の基盤となるべき知識・技能及び教養を身につけ,よ
り発展的で幅広い専門外の知識や現代的な教養(人権・環境・共生・異文化理解・地域理解等)をも備えた人
材の育成を図ることとし,専門教育においては,専門的素養のある人材として活躍できる確かな基礎的能力を
身につけるとともに,総合的視野を備えた人材の育成を図ることとしている。
《学部ごとの専門教育》
文学部:幅広い人間理解と,専門的な知識・技法を身につけたうえで,社会の各界で具体的な問題を解決で
きる人材を養成する。
教育学部:教員養成を中心に,社会のさまざまな分野で貢献できる高度な総合的教育実践力をもった人材を
養成する。
法学部:法律学・政治学に関する基礎的能力とともに専門的能力をも培い,司法界のみならず,行政,企業,
マスコミ,国際機関など多様な分野で活躍し得る有為な人材を養成する。
経済学部:社会科学における諸専門分野の成果を総合化し,現実の問題に適応していく能力を持った人材を
養成する。
理学部:科学的探究心と創造的能力を育み,未来に役立つ人材を育成する。
医学部医学科:広い視野を持ち,高度な医療知識を有し,問題を発見し解決していくことができる先進的医
学者,さらには豊かな知性と人間性を備え,患者を深く理解できる医師を育成する。
医学部保健学科:保健・医療・福祉の発展に寄与する豊かな教養と人間性を備え,幅広い知識と高度な専門
的技術を持ち,かつ指導的な役割を担う医療人を育成する。薬学部:新しい時代に対応しうる医薬品につ
いての高度な専門的知識と研究能力を有する医療の担い手としての薬剤師,及び独創的な概念と技術を生
み出すことができる研究者や技術者を育成する。
工学部:基礎学力と専門知識を身に付け,工学の持つ社会的責任を自覚し,自然と人類の共生を理想として,
創意工夫しながら工学を応用する資質と積極性を持ち,新分野開拓に熱意のある人材を育成する。
《大学院課程教育》
深い専門性を有する研究者・高度専門職業人の養成,あるいは社会人のリカレント教育など,各研究科の特
色や社会的ニーズに適合した多様な人材の育成を図る。
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金沢大学
特に修士(博士前期)課程においては,学士課程教育での基礎を発展させ,深い専門性と学際性・総合性を
有する高度専門職業人(社会人のリカレント教育を含む。)及び研究者の育成を図ることとし,博士(博士後
期)課程においては,学際性・総合性・独創性に富んだ,国際的に通用する研究者及び高度の知識を有する先
端的職業人の育成を図ることとしている。また,専門職学位課程(法科大学院)においては,適切かつ迅速な
紛争解決を目指し,事件を分野横断的に捉えることができる法律家及び紛争予防のための調整能力を備えた社
会貢献をなしうる法律家の養成を図ることとしている。
【研究に関する目標】
世界へ向けて情報発信する高度の学術研究を推進し,国際的に卓越した研究志向型の総合大学を目指す。ま
た,環日本海地域を中心としたアジア地域におけるアカデミアとしての中核的研究大学として,社会との連
携・協力を促進する。
また,本学は,平成 16 年4月,国立大学法人となるのを機会に,「社会のための大学」とは何であるかを
改めて問い質し,本学の活動が自然・人間と調和した 21 世紀の時代を切り拓き,世界の平和と人類の持続的
な発展に資するとの認識に立ち,「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」の位置付けをもって改革に取
り組むこととして,その拠って立つ理念と目標を金沢大学憲章として制定し,教育,研究,社会貢献及び運営
に関する基本的な方針を設定している。
《教
①
育》
本学は,各種教育機関との接続,社会人のリカレント教育,海外からの留学,生涯学習等に配慮して,多
様な資質と能力を持った意欲的な学生を受け入れ,学部とそれに接続する大学院において,明確な目標をもっ
た実質的な教育を実施する。
②
本学は,学生の個性と学ぶ権利を尊重し,自学自習を基本とする。また,教育改善のために教員が組織的
に取り組むFD活動を推進して,専門知識と課題探求能力,さらには国際感覚と倫理観を有する人間性豊かな
人材を育成する。
《研
③
究》
本学は,真理の探究に関わる基礎研究から技術に直結する実践研究までの卓越した知の創造に努め,それ
らにより新たな学術分野を開拓し,技術移転や産業の創出等を図ることで積極的に社会に還元する。
④
本学は,人文社会,自然科学及び医学の学問領域や,基礎と応用など研究の性格にかかわらず,構成員が
学問の自由と健全な競争をもって主体的に研究を進める環境を整備する。また,萌芽的研究や若手研究者の育
成に努め,常に新しさに挑戦し個性を引き出す体制を維持する。
《社会貢献》
⑤
本学は,本学の有する資源を活用し,地域における学術文化の発展と教育・医療・福祉等の基盤づくりに
貢献し,北陸さらには東アジアにおける知の拠点として,グローバル化の進む世界に向けて情報を発信する。
⑥
本学は,入学前から卒業後に及ぶ学生教育の拡大,研究成果である知的財産の発掘・管理と社会への積極
的な還元,さらには高度先端医療の発展と普及に努め,「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」の責務
に応える。
《運
⑦
営》
本学は,それぞれの部局が専門性と役割に基づき独自性を発揮しつつ,全学的にそれらを有機的に連関さ
せ,自主的・自律的に運営する。また,計画の達成度を評価し,組織・制度の見直しを含めて不断の改革を進
める。
⑧
本学は,国からの交付と自己収入から成る資金を厳格かつ計画的に活用するとともに,人権を尊重し,す
べての構成員が職務に専念できる安全な環境を提供する。また,公共に奉仕する国立大学法人としての社会的
な説明責任に応える。
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金沢大学
ⅲ
自己評価の概要(対象大学から提出された自己評価書から転載)
基準1
大学の目的
本学及び本学大学院の目的は,金沢大学学則及び金沢大学大学院学則で明確に定めている。さらに,本学の
基本理念・目標等は,金沢大学中期目標で,教育,研究,社会貢献及び運営に関する基本的な方針は,金沢大
学憲章でそれぞれ明確に定めている。
本学の目的は,
「教育,研究及び社会貢献に対する国民の要請にこたえるため,総合大学として教育研究活動
等を行い,文化の発展に寄与することを目的とし,教育課程の編成に当たっては,学部等の専攻に係る専門の
学芸を教授するとともに,幅広く深い教養及び総合的な判断力を培い,豊かな人間性を涵養する」ものとして
おり,学校教育法の大学設置目的である「学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を
教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させること」に則ることから,大学一般に求められる目的か
ら外れるものではない。また,本学大学院の目的は,「学術の理論及び応用を教授研究し,その深奥をきわめ,
又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い,文化の進展に寄与する」
ものとしており,学校教育法の大学院設置目的である「学術の理論及び応用を教授研究し,その深奥をきわめ,
又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い,文化の進展に寄与するこ
と」に則ることから,大学院一般に求められる目的から外れるものではない。
教職員及び学生に対しては,本学の目的等を記載している学生便覧,大学院便覧及び大学概要を配布する一
方,ホームページに本学の目的等を掲載しており,大学の構成員には,本学の目的等は周知している。
社会に対しては,本学の目的等を学生便覧,大学院便覧及び大学概要の冊子やホームページに記載すること
により広く公表している。また,オープンキャンパスや地域の高等学校との懇談会の場においてその周知を図
っている。
基準2
教育研究組織(実施体制)
本学は,教育,研究及び社会貢献に対する国民の要請にこたえるため,総合大学として教育研究活動等を行
い,文化の発展に寄与することを目的として,8学部 25 学科・課程で構成しており,学士課程における教育研
究の目的を達成する上で適切なものとなっている。
本学大学院は,学術の理論及び応用を教授研究し,その深奥をきわめ,又は高度の専門性が求められる職業
を担うための深い学識及び卓越した能力を培い,文化の進展に寄与することを目的として,5研究科修士・博
士前期課程 28 専攻,博士後期課程8専攻,医学博士課程4専攻及び専門職学位課程1専攻で構成しており,
大学院課程における教育研究の目的を達成する上で適切なものとなっている。
さらに,養護教諭特別別科及び特殊教育特別専攻科(言語障害教育専攻)の目的等や1附置研究所・16 セン
ター等のそれぞれ教育及び教育支援,研究推進,学内教育研究支援,産学連携の機能等は,本学の教育研究の
目的を達成する上で適切なものとなっている。
また,共通(教養)教育の実施主体として共通教育機構を設置して,助教以上の全学教員出動方式により共
通教育を実施し,共通教育に係る教育課程,履修等に関しては,全学的組織としての共通教育委員会が所掌・
審議しており,その体制は適切に整備され,機能している。
各学部等に置く教授会(各学部等の定めるところにより代議員会を置く場合は,それを含む。)及び研究科委
員会は,各学部等の定めるところにより月1回以上開催し,それぞれ教育活動に係る重要事項を審議し必要な
活動を行っている。
教育課程,教育方法,履修等を審議する全学的組織及び部局組織としての教育企画会議,共通教育委員会及
び教務委員会等は,各学部等や各学科等を単位として委員等をもって適切に構成し,それぞれ定めるところに
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金沢大学
より月1回など必要に応じ開催し,実質的な検討を行っている。
基準3
教員及び教育支援者
本学は,大学憲章に定める「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」との基本理念に基づき,講座制を
維持した教員組織編制を行っており,平成 19 年5月1日現在,1,021 人の専任教員を,8学部,5研究科,並
びに附置研究所,附属病院及び各センター等に配置している。
学士課程において,各学部,学科の専任教員は,教育課程を遂行する上で必要な数を確保しており,専任教
員の半数以上が教授である。また,主要授業科目は専任教員が担当している。大学院課程においても,研究科
の研究指導教員及び研究指導補助教員は,教育課程を遂行する上で必要な数を確保しており,専門職大学院課
程においても,法務研究科の専任教員は,法曹養成教育を遂行する上で必要な数を確保している。
教員組織の活動の活性化として,年齢構成等のバランスに配慮すると同時に,公募制の採用をはじめ,任期
制の導入,特任教員制度や特別テニュア・トラックプログラムの実施等,優秀で多様な人材を受け入れる制度
基盤を確立している。
教員の採用・昇格は,金沢大学教員選考基準を基本とした明確かつ適切なガイドラインにより,学士課程に
おける教育上の指導能力,大学院課程における教育研究上の指導能力に対する評価を行った上で,公正かつ厳
正に実施している。
教員の教育活動に関する評価は,学生による授業評価アンケートをすべての部局で定期的に実施しているほ
か,教育評価を重要な要素に組み込んだ教員個人評価のシステムを構築すべく,規程や実施要領等は完成して
おり,平成 19 年度中に全学レベルで試行的に教員評価を実施することとしている。
また,カリキュラムの展開に責任を負う学士課程及び大学院課程の各教員は,自らの研究分野の研究実績を
基礎に据えて,研究内容や成果を授業を通じて学生に還元している。
教育課程を展開するに必要な事務職員,技術職員及びTAについては,各部局の実情に応じて必要数を配置
している。
基準4
学生の受入
本学の基本理念に沿った入学者受入方針は,教育研究評議会等において明確に定め,ホームページ,学生募
集要項等に掲載するなどして公表・周知するとともに,オープン・キャンパス,高等学校別大学見学会等の機
会を利用して説明も行っている。
入学者受入方針に沿った学生を受け入れるために,学部においては,一般選抜における厳格・緻密な学力試
験,後期日程・特別選抜における多様な選抜方法を,大学院においては,現在の研究内容・実績,外国語能力,
学力試験,口頭試問等きめ細やかな選抜方法を実施している。また,留学生,社会人,編入学生についても,
それぞれの状況に応じた適切で多様な選抜方法を実施している。
入学者選抜の実施については,学生の募集は学生募集委員会,入学試験の企画・立案等は入学試験委員会,
入学試験に関する具体的計画の策定等は全学及び各部局の個別入学試験実施委員会,入学試験の実施は個別入
学試験実施本部及び試験場本部,合否判定は教授会及び教育研究評議会というように,学生の募集に始まり合
否判定に至るまでの過程において責任体制を明確にして,厳格・公正に行っている。また,各部局の入試関係
委員会において,入試成績,卒業時の成績等の分析研究及び検討,改善等を行っている。
ほとんどの学部及び研究科において,入学定員を大幅に超える,又は大幅に下回る状況にはなっていないが,
一部の研究科等において,大幅に下回る状況が続いているため,廃止を含めた改善策を検討中である。
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金沢大学
基準5
教育内容及び方法
<学士課程>
本学の学士課程は,中期目標に定める「人類の知的遺産を継承・革新し,地域と世界に開かれた大学」
「教育
を重視した研究大学」の実現を目標に,教育課程を「共通教育科目」と「専門科目」で編成しており,共通教
育科目と専門科目の配置については,1年次及び2年次前期では主に共通教育科目を配置する一方,専門科目
も1年次から配置し,2年次,3年次の比率を高める,いわゆる「くさび型」をとっている。共通教育科目に
ついては,導入科目,総合科目・テーマ別科目など教養教育の教育目的・目標に即した5つの科目区分を設定
し,専門教育との連携に配慮している。専門科目は各学部の特性に応じた特徴的な科目を含む幅広い授業科目
を設定している。教員は研究の成果をテキストやスライド等の形で授業内容に反映しており,21 世紀COEプ
ログラムの内容など最新の情報を授業に取り入れている。また,単位互換の制度や副専攻制,双方向遠隔授業
システム並びに私費派遣留学生の制度等により,学生の多様なニーズに対応するとともに,3年次編入制度や
インターンシップによる単位認定により,学術の発展動向や社会からの要請にも対応している。またITの活
用については,現代的教育ニーズ支援プログラム(現代GP)事業としてIT教育用素材集の開発とIT教育
の拡充を進めている。単位の実質化については,ガイダンス,履修モデル等を利用した適切な履修指導や履修
登録上限の設定を行うなど実効性の高い履修計画の作成に配慮している。
授業形態や学習指導法については,講義のほかに,フィールド型の実習など,各学部の特性に応じた授業形
態を組み合わせ,また e-Learning やTAを活用し少人数教育を重視している。シラバスについては,全学的に
統一した様式でホームページに公開するとともに,冊子体でも配布している。自主学習への配慮は,シラバス
で具体的な学習目標と教員のオフィスアワーを示すことにより,学生自ら学習計画を立て,教員の助言を得ら
れるようにしているほか,附属図書館は土曜日の利用を可能とし(中央図書館は日曜日も利用可能)
,利便性の
向上を図っている。基礎学力不足の学生に対しては,アドバイス教員制度や「なんでも相談室」などで組織的
な対応を行うほか,一部の学部では補習授業も実施している。
成績評価基準や卒業認定基準については,学生便覧等に明示し,ガイダンスにおいても説明を行い,学生へ
の周知を図っている。また,成績評価は,試験やレポートなどを総合して5段階評価で行っており,各学部に
おいて成績評価基準に従った単位認定を行っている。卒業認定については,各学部の規程に基づき各教授会に
おいて行っている。成績評価の正確性を担保する取組みとして,学生からの成績評価に係る疑義申立ての制度
を全学的に策定しており,公平性,透明性を確保している。
<大学院課程>
本学の大学院課程は,中期目標に定める「深い専門性を有する研究者・高度専門職業人の養成,あるいは社
会人のリカレント教育など,各研究科の特色や社会的ニーズに適合した多様な人材の育成を図る」ことを目標
としており,修士(博士前期)課程と博士(博士後期)課程で編成している。各研究科においてそれぞれ目的
とした学問分野や職業分野における期待にこたえるべく,教育課程を体系的に編成しており,その編成趣旨に
沿った授業内容を展開している。授業は,講義,演習,実験,実習等をバランスよく配置しており,主に講義
や演習の形式では,教員の専門的研究活動に基づく授業を行っている。単位の実質化については,試験やレポ
ートなどで学生の修学状況を把握し,授業時間外において学習すべき内容について指導を行っている。
学習指導法の工夫については,自然科学研究科博士前期課程では,3ヶ月の長期インターンシップをベース
とした創成型授業を実施し,学生の企画能力,研究開発能力の涵養を図っている。さらに,MOT(Management
of Technology)授業により,学内外の専門家によるビジネス論や知的財産等の実践的な講義を行っている。そ
のほか,医学系研究科医学博士課程では,症例検討会や学会発表等の学術活動について単位認定を行っており,
また,同研究科保健学専攻では「
「魅力ある大学院教育」イニシアティブによる「臨地相互交流型教育・研究プ
ログラム」の実施により研究能力を持った高度専門医療人等の育成を行っている。シラバスについては,冊子
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金沢大学
体シラバスと全学的に統一した様式による Web 版シラバスを作成し,履修登録や受講の際に有効に活用されて
いる。
研究指導については,学位論文に係る指導を中心として,複数の教員が連携して行っている。また,学生を
TAやRAとして採用し,学部学生の学習指導,教員の研究補助活動を通して,教育及び研究能力を育成して
いる。
成績評価基準や修了認定基準は,大学院学則に基づき各研究科で定め,大学院便覧などに明示し,入学時の
ガイダンスやオリエンテーションでも詳しく説明して学生に周知している。学位論文に係る審査については,
各研究科に学位論文審査委員会を設置し,主任・副指導教員による予備審査や本審査を経て公正かつ厳格に実
施している。また,成績評価等の正確性を担保するため,学生からの成績評価に係る疑義の申立ての制度を全
学的に策定している。
<専門職大学院課程>
法曹養成に特化した専門職大学院として,法務博士(専門職)の学位を授与するために必要かつ十分な科目
を基礎から応用へ,基本から展開へと体系的に配置している。また,基本理念である「地域に根ざした法曹養
成」に基づき,特定の分野に偏ることのない,あらゆる分野について法曹として必要な水準の学識が涵養でき
るような教育課程を編成している。授業の内容については,教員の研究活動の成果を反映したものとなってお
り,少人数授業の実施や,講義,演習,実務研修等により授業形態の組合せ・バランスは適切である。また,
それぞれの教育内容に応じた適切な学習上の指導を行っている。単位の実質化については,あらかじめシラバ
スによって授業内容を学生に明示し,授業の予習用のレジュメの配布,レポートの提出,小テストの実施など
学生の理解度を常に検証及び補助する方策をとっている。シラバスについては,冊子体と Web 版の2種類を作
成しており,授業内容の概要や,授業で扱う事例や判例を掲載し,授業の予習・復習に活用されている。
成績評価基準及び修了認定基準は,教育の目的及び授業形態に対応して策定し,学生に対して掲示又は履修
の手引に記載し,周知している。これらの基準に従って厳正に成績評価,単位認定を行っており,修了認定は
進級制を採用するとともに,修了要件に定める修了単位により適切に行っている。また,成績評価及び単位認
定の正確さを担保するため,学生に対して具体的な採点基準や解答例を公表し,試験答案の返却を行っている。
これに基づき,学生は成績について問合せが可能であり,また不可と判定された学生に対しては,成績に対す
る異議の申立て制度を法務研究科において構築している。
基準6
教育の成果
本学では,各部局で育成しようとする人材像等についての方針を各部局の教育目的として明らかにしている。
また,教務委員会等を設置し,授業評価アンケート,卒業(修了)生アンケート,就職先へのアンケート等を
実施し,教育目的の達成状況を検証している。
学生の進級率,学位授与率,国家試験合格率等を分析した結果,すべての部局で教育の成果や効果は上がっ
ている。また,学生からの評価として,授業評価アンケートや各部局における学生との懇談会における意見聴
取等の実施を,卒業(修了)生や就職先関係者からの評価として,卒業(修了)生アンケートや就職先へのア
ンケート等の実施をしており,それらの結果もおおむね良好である。
就職及び進学といった卒業(修了)後の進路の状況について,就職先は官公庁や民間の企業,教員など多彩
であり,ほぼ学生の希望に沿う,専門性の活かせるものとなっている。また,大学院進学については特に理工
系の学生が多い。大学院修了者では研究者に就く者もいるが,理工系では就職希望者が多く,また,そのほと
んどが就職している。これら大学院修了者の就職等の状況を把握するため進路状況調査を実施し,進路先デー
タを整備している。
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金沢大学
基準7
学生支援等
学部入学生に対しては,入学手続き後に共通教育に関する説明会,入学直後に学部・学科ごとの説明会を実
施しており,大学院入学生に対しては,研究科ごとにガイダンスを実施している。また,在学生に対しても,
ゼミ選択時等各段階で履修ガイダンスやゼミ見学等を実施している。
学生に対する学習相談,助言については,
「学生の修学・生活支援体制に関する要項」に基づき,各学部等に
相談室を設置し,教員,カウンセラー,学生による学習相談や外国語学習に関する学習相談も実施しているほ
か,各授業担当教員のオフィスアワーの設定,アドバイス教員による学習相談も行っている。また,全教員に
共通教育に関する「教員マニュアル」と「教職員必携
学生サポートガイドブック」を配布し,その活用を促
している。
学習支援,生活支援等に関する学生のニーズの把握としては,2年に一度の学生生活調査やアカンサスポー
タルを利用した学習環境改善のためのアンケート調査を実施し,要望事項等を把握しているほか,学生と学長
との懇談会(学部学生,大学院学生,留学生それぞれで実施)等の開催,副学長等と寮生との懇談会の開催を
通じて,学生から質問・提言を受けている。
留学生への支援として,日本語等を学ぶ授業を実施しているほか,チューター制度や各種相談室を設け,学
習に関する指導・助言を行っているほか,日常生活に必要な情報の伝達や悩み事の相談に対して,留学生セン
ターの相談・指導部門等各種相談室を設けており,また,
「留学生必携金沢生活ガイドブック」の全留学生への
配布や国際交流会館の提供などを行っている。社会人学生には,市内中心部でのいしかわシティカレッジを用
いた共通教育の受講の機会を提供しているほか,一部の研究科では夜間・休日に授業を開講している。障害の
ある学生には,障害学生支援委員会が中心になり,学習支援方策としてノートテイクやパソコンテイク等を実
施しているほか,学生の障害に応じたバリアフリー環境の整備,障害のある学生の支援に関する書籍等の収集・
提供などを行っている。
自主的学習環境として,全学生に総合メディア基盤センターの自習室や附属図書館を開放し,部局において
も,自習室,多目的スペース,リフレッシュルーム等を設けており,学生に活用されている。また,自学自習
用のIT環境として無線LAN等の自主的学習環境を整備している。総合メディア基盤センター及び附属図書
館については,土曜日も開館(中央図書館は日曜日も開館)しており,特に自然科学系図書館では,自然科学
研究科棟の入棟許可カードキーを持った学生は,24 時間の利用が可能となっている。
学生の課外活動に関しては,活動に必要な施設を提供しており,サークル活動についての助言・指導には顧
問として専任教員が当たっている。また,財政面においても物品の給付や貸与等一定の助成を行っている。
学生の生活相談等については,保健管理センターに専門のカウンセラーを配置し,勉学上の悩みや健康上の
悩み等の相談・助言に当たっているほか,カウンセラー研修を受けた学生によるピア・サポーター制度も導入
している。このほか,保健管理センターでは学生の心身の健康管理のため定期健康診断を行っており,ほぼす
べての学生が受診している。また,平成 18 年度から新入生全員に対して,感染症対策のための抗体検査を実施
している。各種ハラスメントの相談については,教職員が相談員として問題に対応しておりパンフレットを配
布するなど,防止に努めている。就職相談については,就職支援室にキャリアコンサルタントの資格を有する
相談員(契約職員)を配置し,また,各学部に配置している就職担当教員と連携し,各種ガイダンス等を実施
している。
経済的支援については,奨学金の貸与,授業料及び入学料の減免などを通じて行っている。留学生に対して
も私費外国人留学生奨学金や私費外国人留学生研究奨励費等様々な修学援助を実施している。
基準8
施設・設備
本学の校地面積・校舎面積は大学設置基準をはるかに上回る広さを有しており,施設・設備は,各キャンパ
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金沢大学
スに図書館・福利施設・研究室・講義棟等を適切な規模で配置し有効活用しているほか,学内の主要な施設に
自動扉やエレベーター・スロープを設置するなど,バリアフリー化への配慮も行っている。また,講義室及び
情報処理や語学のための学習室等には,情報設備や映像設備を設けるなど,教育重視の研究大学として十分な
教育研究設備を保有している。
教育研究の内容・方法や学生のニーズを満たすための情報ネットワークは,各学部の研究室や教員室に加え,
附属図書館や総合教育棟,総合メディア基盤センターなど,ネットワークに接続可能なパソコンを全学に設置
しているほか,各キャンパス内の主要箇所に無線LANの設備を整備するなど,ネットワーク接続環境を整備
している。また,学生及び教職員が安全かつ安心に情報ネットワークを活用するために情報セキュリティやウ
ィルス対策を十分に行っている。施設・設備についての運用規程や運用方針等は,ホームページや学生便覧等
の冊子への掲載により,構成員に周知を図っている。
附属図書館については,広いキャンパスに中央図書館,自然科学系図書館,医学部分館,医学部保健学科図
書室とバランス良く配置しており,図書,学術雑誌,視聴覚資料,視聴覚機器のほか,電子ジャーナルを系統
的に整備しており,金沢大学学術情報リポジトリ(KURA)を運用している。また,共通経費化した電子ジ
ャーナル予算の導入など,必要な雑誌の効率的な購入を進めるとともに,ネットワークを利用した学術情報検
索システムも充実させている。各図書館は土曜日も利用可能(中央図書館は日曜日も利用可能)となっており,
自習スペースや情報収集の場として多数の学生等が利用している。特に,自然科学研究科棟の入棟許可カード
キーを有する教員・学生は自然科学系図書館を 24 時間利用可能である。
基準9
教育の質の向上及び改善のためのシステム
各部局に教務委員会,点検評価委員会,FD委員会等を設置し,これらの委員会を通じて学生の成績,履修
者名簿,卒業論文,修士・博士論文及び学生による授業評価アンケートを収集し,蓄積している。
学生の意見聴取として,学生による授業評価アンケート,学生生活調査,学生と学長の懇談会(学部学生,
大学院学生,留学生それぞれで実施)等を行っており,その結果を教員にフィードバックし,教員はシラバス
や教科書の変更,講義ノートや授業方法の改良を行うなど可能なものから改善を行っている。また,学生の意
見聴取はアドバイス教員制度や各教員のオフィスアワーのなかでも実施している。学外関係者からの意見聴取
としては,全学的に卒業(修了)生や就職先にアンケートを実施しているほか,企業訪問,学校訪問,出前授
業,意見交換会等様々な形で行っており,これら学外関係者の意見や評価を,各部局の点検評価委員会やFD
委員会等で検討し,改善を行う体制をとっている。これらのことは,FDの一貫としても行っており,すべて
の部局において,FD研究会等を実施し,学生や学外関係者の意見聴取の結果や授業方法の改善等に関する意
見交換を行うなど,教員個々の資質向上のための改善を組織的に行う体制にある。その活動に基づいて,カリ
キュラムの改訂やシラバスの様式の改良等,多くの改善を実施している。また,習熟度別クラスの編成を検討
するなど Plan(計画),Do(実行),Check(評価),Action(改善)から成る教育の質の向上と授業の改善を行
うシステムを構築し,機能している。
教務関係の事務職員及び技術職員等の教育支援者は,研修やFD活動へ積極的に参加しており,TA等の教
育補助者は,実習・演習開始前に学生指導法のガイダンスを授業担当教員から受けている。さらに資質向上の
ために,TAを対象とする研修会等を開催している。
基準 10
財務
本学では,平成 18 年度末現在の資産総額は 158,946 百万円であり,教育,研究,診療等の活動を安定して遂
行できる資産を必要かつ十分に有している。なお,負債総額は 64,503 百万円で,うち借入金総額は 37,014 百
万円であるが,附属病院収入から償還することとしており,平成 18 年度の償還額は同年度附属病院収入 17,602
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金沢大学
百万円の約 12.3%であり,債務は過大ではない。その中で,小立野キャンパスの角間第Ⅱ期キャンパスへの移
転事業,医学部附属病院の再開発事業,PFI事業として角間第Ⅱ期キャンパスの自然科学系図書館棟整備事
業及び宝町キャンパスの医学系研究科・医学部棟改修整備事業を実施し,教育,研究,診療環境の整備を着実
に進めている。
収入総額(平成 18 年度決算)は 47,569 百万円であり,教育,研究,診療等活動の遂行に必要な授業料等の
学生納付金,附属病院収入等の自己収入や運営費交付金の経常的収入は継続的かつ安定的に確保している。ま
た,受託研究,共同研究及び寄附金等の外部資金,科学研究費補助金や 21 世紀COE,教育GP等の競争的資
金の獲得についても継続的に努力している。
なお,平成 18 年度決算における損益計算書上での当期総損失は 290 百万円であるが,これらの主な要因は,
附属病院における借入金で購入した医療機器に係る減価償却費,及び附属病院の再開発に伴う支障建物の撤去
に伴う除却損等の現金の支出を伴わないもので,現金ベースでは決算報告書での収支のとおり支出超過となっ
ていない。
中期計画,年度計画や財政計画,予算編成方針等において収支に係る計画を策定しており,これらの計画,
方針等については各部局に文書で周知するとともに,併せてホームページにも掲載しており,教職員など関係
者に対して明示している。
教育研究活動に対する資源配分においては,予算編成方針等に基づき,研究経費及び教育経費に部局活性化
推進経費を確保するとともに,学長戦略経費として重点研究経費や若手の萌芽的研究経費の競争的経費を確保
している。また,施設・設備の整備については,学長戦略経費と併せ,総合移転事業,キャンパスインテリジ
ェント化計画等を推進するための金沢大学特別整備事業経費を確保するとともに,設備マスタープランを策定
し,教育研究環境の整備を着実に実施しており,適切な資源配分を行っている。
財務諸表等については,官報及びホームページに掲載し適切な形で公表している。また,財務諸表の内容等
に関して,報道機関へ資料提供を行うとともに,学内の教職員に対しわかりやすい「財務れぽーと」を作成し
ホームページに掲載するなど,国民及び教職員に対しわかりやすい説明に努めている。
会計監査については,内部監査,監事監査及び会計監査人による監査を適正に行っている。
基準 11
管理運営
本学の管理運営組織は,学長,理事・副学長,学長補佐,学長特別補佐及び学部長等のほか,役員会・役員
懇談会,教育研究評議会,経営協議会,基幹会議及び教授会等の審議機関等,学長室,評価室,産学官連携推
進室及び社会貢献室の運営組織並びに総務部等の事務組織で構成し,これらは本学の目的の達成・支援に向け
て適切な規模と機能を持っている。また,規模等に応じて必要な事務職員等を配置しており,事務職員には必
要な研修等を計画的に受講させ,その資質向上のための取組みを組織的に行っている。また,本学の基本方針
等は,学長のリーダーシップの下で,教育研究評議会等の審議を経て,部局等の意見も反映しながら決定して
おり,効果的な意思決定が行える組織形態となっている。さらに,本学の監事は,会計処理や業務運営に係る
期末監査や定期監査等を通じて助言・指導を行うなど適切にその役割を果たしている。
学生のニーズ・要望等は,学生生活調査等のアンケートや懇談会等を通じて把握し,教職員については,教
育研究評議会をはじめとする各種会議等を通じて,学外関係者については,北陸3県の高等学校長や高等学校
進路指導教諭との懇談会等を通じて,それぞれニーズ等の把握に努めており,これらは適切な形で管理運営に
反映している。
本学の管理運営に関する方針等は,中期計画及び年度計画,学長からの当該年度の重点課題と取組として明
確に定めており,これらの方針等に基づき学内規則を整備し,学長,理事・副学長等や教育研究評議会評議員,
経営協議会委員等の選考等に関する方針,その権限等について規定している。また,本学の目的・計画や活動
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金沢大学
状況に関するデータ・情報は,全学又は各部局のホームページに掲載し,必要に応じて蓄積しており,本学の
構成員に限らず自由にアクセスできるシステムを構築している。
本学の自己点検評価は,平成 16 年度は,管理運営体制の機能,教育研究組織(センター等)の機能,改善・
改革のためのシステム(組織)の確立,管理経費の縮減等の 13 項目を,平成 17 年度は,大学評価・学位授与
機構の大学評価基準(選択的評価基準を除く。
)をそれぞれ点検評価項目として根拠資料やデータ等に基づき実
施し,評価結果については点検評価書として取りまとめ,ホームページに掲載・公表している。これらは平成
16 年度の国立大学法人化以降,学外有識者の外部委員をも含む経営協議会で審議するなど,外部者による検証
を実施している。また,平成 13 年度から平成 15 年度までの大学評価・学位授与機構による第三者評価(試行
的評価)に係る評価報告書(自己点検評価結果の転載あり)についてはホームページに掲載・公表し,平成 12
年度の大学基準協会相互評価に係る自己点検評価結果や相互評価結果については報告書(冊子)として作成・
配布している。
本学の自己点検評価や第三者評価等の結果については,総務企画会議,教育研究評議会等を通じて関係部
局・委員会等にフィードバックし,関係部局・委員会等において必要な具体的改善措置を講じており,管理運
営の改善のための取組みを行っている。
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