新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) 研 究 成 果 情 報 平成 26 年度 たまねぎ栽培における雑草管理の効果 [要約]たまねぎ畑畦面の雑草繁茂は、収量減少の一要因であり、りん球肥大が抑制されること により、最大 40%の収量減少をもたらす。適正な雑草量に管理することで収量減少を防ぐこと ができる。 新潟県農業総合研究所園芸研究センター 育種栽培科 連絡先 TEL 0254-27-5555 FAX 0254-27-2659 [背景・ねらい] たまねぎ栽培は加工用を中心として、県内各地域で取り組みが増加しているが、越年生作物で あるため、春以降に雑草が急激に繁茂し、その影響が低収の一要因と見られる。そこで、雑草の 繁茂が収量に及ぼす影響を明らかにすることにより、適正な雑草管理を推し進める。 [内容] 1 畦面雑草は、繁茂量が多いほどりん球の肥大を抑制する(図1)。 2 畦面雑草の繁茂量は、倒伏始め時で 200g/㎡以下では収量への影響はほとんどないが、これ 以上に繁茂した場合、雑草量に応じた収量の減少が生ずる(図2)。 3 除草剤による体系処理は、雑草管理に効果的である(図3)。 注)普通畑の試験ほ場における雑草種は以下のとおりであった。 スズメノカタビラ・メヒシバ・オヒシバ・ナズナ・スカシタゴボウ・ノボロギク・ カラスノエンドウ・ウマゴヤシ 適正な雑草管理により、最大 40%の収量減少を防ぐことが可能となる(図2)。 4 [導入効果] 適正な雑草量の管理により、雑草繁茂に起因する収量減少を防ぐことができる。 [導入対象] 県内全域のたまねぎ生産者及び指導機関 [留意点] 1 雑草量はすべて、倒伏始め(1~2株倒伏)時の畦面に発生したものの新鮮重(根部除く) である。 2 砕土率が悪い場合は、除草剤の効果が低下して雑草が繁茂する。 3 除草剤の利用に当たっては、 繁茂する雑草の優先草種を考慮して使用薬剤を選択する。特に、 選択性除草剤の利用に当たっては注意が必要である。 4 除草剤の使用は、農薬登録内容・使用基準を遵守する。 5 畦面のノボロギクに対しては、手取り除草が必要である。 新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) [具体的データ] 120 y = -0.0529x + 100 R2 = 0.5303 100 りん球肥大相対値 りん球肥大相対値 120 80 60 40 100 80 60 40 20 20 0 0 0 200 400 600 800 1,000 y = -0.0281x + 100 R2 = 0.491 0 200 400 600 雑草発生量(g/㎡) 平成 23 年) (普通畑 砂壌土 注)除草剤処理区を 100 とした無処理区の相対値 ブタミホス 乳剤 80 60 20 普通畑 砂丘畑 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 雑草発生量(g/㎡) 図2 雑草発生量が総収量に及ぼす影響 (平成 23 年・平成 25 年) 注1)総収量は分球・抽だい等を含む 注2)雑草発生量はノボロギクを含む プロピザミド 水和剤 40 定 植 後 (10/9) セトキシジム 乳剤 無処理 y = -0.041x + 100 R2 = 0.5221 100 収量相対値 雑草発生量がりん球肥大に及ぼす影響 ペンデ゙ィメタリン乳剤 IPC 乳剤 120 平成 25 年) 注)無雑草区を 100 とした各処理区の相対値 ペンデ゙ィメタリン乳剤 セトキシジム 乳剤 無処理 図1 0 1,000 1,200 1,400 1,600 雑草発生量(g/㎡) ペンデ゙ィメタリン乳剤 IPC 乳剤 (砂丘畑 砂丘未熟土 800 ペンデ゙ィメタリン乳剤 クレトジム乳剤 ペンデ゙ィメタリン乳剤 クレトジム乳剤 スカシタゴボウ・ナズナ等 スズメノカタビラ クレトジム乳剤 その他 クレトジム乳剤 ペンデ゙ィメタリン乳剤 クレトジム乳剤 クレトジム乳剤 降 雪 前 消 雪 後 (11/5) (3/12) 0 100 200 300 図3 除草剤の体系処理効果の違い(平成 25 年) (普通畑 10/3 定植) 注1)縦軸表示は散布時期(散布日) 消雪日 3/4 注2)雑草量はノボロギクを除く 注3)セトキシジム乳剤及びクレトジム乳剤は、一年生イ ネ科雑草選択性除草剤である ※図標題内の和暦は収穫年を示す [その他] 研究課題名: 1 野菜の省力及び所得向上が可能な優良品種の選定と安全高品質生産技術の開発 2 最近の野菜流通に対応した加工・業務用たまねぎの高位安定生産技術の開発 予 算 区 分:1 県単経常、2 研 究 期 間:1 平成 22~23 年度、2 平成 24~26 年度 発表論文等:なし 400 雑草量(g/㎡) 県単特別
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