専攻名 情報アーキテクチャ専攻・創造技術専攻 科目群 産業技術研究科

専攻名
科目名
担当教員名
情報アーキテクチャ専攻・創造技術専攻
国際開発特論
前田 充浩
項目
授業の概要
内容
開発援助(経済協力、国際開発)を通じた発展途上国の発展への貢献を行うための実務能力の習得を、講義と演
習の組み合わせによって実施する。講義では、開発援助の基礎概念、新古典派経済成長論等通常の開発経済学の
内容に加え、開発主義、国際関係論の視点、開発ファイナンス論、情報社会学、Geographic Simulation Model,
BOP(Base of the Pyramid)ビジネス論等多岐にわたる内容を学ぶ。その知識を元に、個別のターゲットを選択
し、それに対する開発援助政策の計画を策定、発表し、指導を受ける。
この授業は、学習者が、今日の発展途上国の発展問題についての理解を深め、開発援助の手法についての実務的
な能力を身につけ、さらには具体的な開発援助政策を企画立案できる能力を獲得することを目的とする。具体的
には、学習者はこの講義を通じて以下の知識や・能力を習得できる。
1.
開発援助の基礎的概念と、新古典派経済成長理論に基づく通常の開発経済学上の基礎を理解する。
2.
国際関係論等新たな視点に基づく開発援助の捉え方を理解するとともに、開発援助のファイナンス面につ
いての実務的知識を獲得する。
3.
具体的なターゲットに対する開発援助政策の企画立案能力を獲得する。
最低到達レベル
•
開発援助の基礎概念について理解し、従来型の開発経済学の枠組みで自らの関心ターゲットに対する開発
援助政策を企画立案することができるようになる。
•
開発援助関連の機関(国際機関、NPO、政府等)における政策立案の補佐ができるようになる。
上位到達レベル
•
開発援助の基礎概念の理解の上に、最先端の手法を用いて開発ファイナンス、BOP 等今日的な課題に対す
る開発援助政策を企画立案することができるようになる。
•
開発援助関連の機関(国際機関、NPO、政府等)における政策提案(アドボカシー)ができるようになる。
講義:
『双方向・多方向に行われる討論や質疑応答を含む』
『事例研究、現地調査等を含む PBL 型教育による実践的な教授法』
講義は毎回配布する資料を使用して行う。毎回授業の始めに重要ポイントを記述させる講義レポートを配布し、
終了後回収する。
授業の目
的・狙い
到達目標
授業の手法
授業の内容
科目群
産業技術研究科共通科目群
必修・選択
選択
単位
2
種類
学期
講義
3Q
第 1 回 講義概要
講義の目的と 15 回の学習内容の解説をし、学習者が講義選択の判断ができるようにする。また、今後の授業の
進め方に反映するために、受講者の開発援助(国際開発、経済協力)に関する問題意識、すなわち開発援助は何
のために行うのかに関する意見を聴取し、議論を行う。また、第 1 回目の内容として、開発援助の概念について
理解する。
第2回 開発援助政策史(開始から東西冷戦終結まで)
20 世紀半ばの開発援助政策の開始から東西冷戦終結までの世界の開発援助政策史の基本的な構図を理解する。
第3回 開発援助政策史(東西冷戦終結から今日)
東西冷戦終結から今日にいたる世界の開発援助政策史の基本的な構図を理解する。
第4回 新古典派経済成長理論
新古典派経済成長理論の基本的な枠組みを理解し、さらに、同枠組みに基づいて進められた研究の経緯について
理解する。
第5回 日本の開発援助政策
日本の開発援助政策の経緯について理解し、そこに一貫して流れる基本的な考え方と新古典派経済成長理論との
対比について理解する。
第6回 「東アジアの奇跡」と開発主義
日本が確立し、東アジア各国で採用され、1990年代には世界で「東アジアの奇跡」をもたらしたと称賛され
た開発主義の考え方、及び開発主義に基づく開発援助政策の考え方について理解する。
第7回 国際関係論の視点(供与国間競争-東西冷戦終結まで)
国際関係論の考え方に立脚し、開発援助を、供与する先進国の国益増大のための手法として捉える見方について
理解し、その見方に基づく先進国間の競争について、20世紀初頭から東西冷戦終結までの経緯を理解する。
第8回 国際関係論の視点(供与国間競争-東西冷戦終結から今日)
受講準備
国際関係論の考え方に立脚し、開発援助を、供与する先進国の国益増大のための手法として捉える見方について
理解し、その見方に基づく先進国間の競争について、東西冷戦終結から今日までの経緯を理解する。
第9回 開発ファイナンスの直面する課題
開発援助をファイナンス、特にインフラ建設のためのファイナンス(開発ファイナンス)として捉え、量の問題、
債務持続性問題及び配分問題の3つの視点で分析して捉えられる今日の課題について理解する。
第 10 回 新たな開発ファイナンス
今日提案されているさまざまな新たな開発ファイナンス(PPP、Viability Gap Financing、証券化、レベニュー・
ボンド等)について理解する。
第 11 回 情報社会学の視点
近年の情報社会学の方法論について理解し、それを踏まえて開発援助について Empowered Citizen、サイバー・
アクティヴィズム等情報社会学の概念で理解する視座を得る。
第 12 回 Geographic Simulation Model とコネクティビティ
近年の Geographic Simulation Model の考え方に基づく研究成果を理解し、それに基づき近年アジア各国政府
が強調しているコネクティビティの考え方について理解する。
第 13 回 BOP(Base of the Pyramid)ビジネス
世界で40億人が所属し、5兆ドルといわれる BOP ビジネスの現況について理解する。
第 14 回 開発援助政策発表(第1回)
学習者が、特定の国カテゴリ-、特定のセクターを選択し、これまでの講義で示された開発援助(開発ファイナ
ンス)の手法を用いた開発援助政策の計画の発表を行う。
第 15 回 経営計画発表(外部)
学習者が、第14回で指摘された問題点を克服した開発援助政策の計画を国際機関、企業、政府等外部のレフェ
リーの前で発表を行い、評価を受ける。
•
学習者は、13回の講義を受ける中で、自ら関心を持つ国カテゴリー、対象分野を選択し、そのターゲット
に対応する開発援助政策のあり方を構想し、第14回で1人10分程度発表し、質疑を受ける。
第15回においては、学習者が選択したターゲットに関する経営計画を、第14回において指摘された問題点を
克服した上で、1人10分程度発表し、質疑を受ける。
毎回配布するフィードバックシートに、授業のまとめ・意見を書いて提出すること。
履修条件
発展途上国の開発問題、開発援助に関心を有すること
課題
テキスト・
教材
参考書
成績評価
白井早百合著『マクロ開発経済学』
、有斐閣、2005年、3150円
村上泰亮著『反古典の政治経済学・下巻』
、中央公論新社、1992年、3045円
前田充浩『金融植民地を奪取せよ』
、プレジデント社、2010年、1900円
次の 3 つのポイントで評価する(合計 100 点満点)
プレゼンテーション(第15回における発表内容) 40 点
最終試験 60 点
第 15 回の講義終了後に試験を行う。試験を同等のレポート提出とする場合もある。