第7章 今後の課題

第7章
第7章
今後の課題
1. 今後の展開について
(1) 住民参画について
・
整備の実現性が高い土地利用計画を展開するため、計画段階から住民参画による計
画づくりを行うとともに、その方法について確立していく必要がある。
(2) 関係機関との連携について
・
土地利用を検討する中で、町域のみに視点を置かず、国や県並びに中部広域も踏ま
えた周辺市町村等の動向も踏まえて、広域的な視点での土地利用を検討する必要が
る。
(3) 庁内体制並びに各種制度、交付金の活用
・
庁内の各課との連携を図るとともに、各課の役割分担を明確にし、土地利用に関
する各種制度や交付金等の活用を図り、整備の実現性が高い土地利用計画を展開
する必要がある。
(4) 駐留軍用地跡地利用の動向について
・
駐留軍用地の跡地利用等の今後の動向や一部共同使用による土地の有効利用など、
基地跡地を活用した今後の展開について検討が必要である。
(5) 土地利用計画実現に向けた整備の優先順位確立について
・
町の財政状況等を踏まえながら、今後必要となる各種整備については、優先順位等
を確立し、土地利用計画の実現を目指す必要がある。
2. 嘉手納町全域及び各地区における整備について
(1) 嘉手納町全域
・
町域は、約 83%を米軍基地に占有され、利用可能な土地は限られている。その中
で嘉手納ロータリーの東西に広がる市街地において、過密な低層住宅地が存在し、
建物の老朽度も高く、更に狭隘道路も多く存在することから、住環境上、防災上の
課題を有する市街地となっている。
・
特に 4m 未満の狭隘道路については、2項道路の要件を満たさない道が数多く存在
し、接道要件を満たさないため、建物の新築や建替えが出来ない問題や、市街地内
に空地も点在するなど、限られた土地で有効利用を図る上からも、土地利用上の矛
盾が生じている。
・
市街地のいたるところに、墓地が点在、また、まとまって集積しており、適正な集
約等土地利用の誘導が課題となっている。
・
歩道が整備されていない通学路については、安全確保のため早急な整備が必要。
(2) 東地区
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今後の課題
第2次嘉手納町土地利用基本計画
・
東区(土地区画整理事業区域の東側)においては、道路等の基盤整備が未整備なま
ま、スプロール的に市街化が進んでいるとともに、防衛の買い上げ用地の点在や市
街地内の農地の活用、空地等の活用等様々な課題が集積している。
・
点在する防衛買上用地については、町民の福祉増進や利便性の向上、観光振興等に
資するため市民農園や駐車場などあらゆる可能性を検討が必要。
・
道の駅周辺を本町の観光・交流拠点として土地利用を図り、その機能を強化する必
要がある。
・
町民の家周辺については、嘉手納町運動公園区域を含めた土地利用の検討が必要。
(3) ロータリー東地区
・
ロータリー東地区に位置している密集市街地は、老朽化が進み災害時に危険性が乗
じる。そのため、面整備も含めた再整備の方向性を検討する必要がある。
・
旧中央公民館の利活用を検討する必要がある。
・
ロータリー西地区との連携を図るため、東西交通軸としての機能を持つ新たな道路
整備の検討が必要。
(4) ロータリー西地区
・
ロータリー西地区にみられる空地については、その利活用を検討する必要がある。
・
狭隘道路等の問題や、一方通行、袋小路等、道路・交通ネットワークについても各
所で課題があり、各種施設の再編(小学校再編等)と連携した、道路・交通ネット
ワークの再編等が重要な課題となっている。
・
ロータリー東地区との連携を図るため、東西交通軸としての機能を持つ新たな道路
整備の検討が必要。
(5) 西地区
・
西地区については、外人住宅が数多く残る地域であるが、袋小路にある外人住宅が
多く点在しており、地域間のネットワークの構築等も課題となっている。
・
西地区には、身近に遊べる公園が整備されていないことから、公園の整備について
検討が必要。
・
町道 73 号線において歩行者の安全確保が必要である。
(6) 埋立地区
・
ロータリーの再開発により中心商業地の機能強化は進みつつあるが、その背後の既
存商店街等の活性化等も課題となっている。
・
また、ネーブル嘉手納が立地する商業地については、商業機能の充実が課題となっ
ている。
・
埋立地区及び比謝川沿線等については、津波等を踏まえた災害に強い土地利用等を
防災計画等と連携しながら構築することが課題となっている。
・
現在、駐車場として活用されている空地については、新たな公共施設での活用など
幅広く検討する必要がある。
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第7章
・
兼久海浜公園にみられる老朽化している施設のリニューアルを検討する必要があ
る。
3. 優先課題
(1) 住宅問題
・
嘉手納町は広大な米軍基地に占有され、新しい住宅地の開発がきわめて困難である。
・
人口は平成 22 年の国勢調査においてはわずかながら増加したが、平成 2 年から減
少傾向にある。世帯数は一貫して増加傾向にある。人口構成は少子高齢化が進行し
ており、年少人口割合は県平均をわずかに下回っているが、老年人口割合は県平均
を約3ポイント上回っている。単身高齢者世帯割合も県平均を約2ポイント上回り
20 年で 2 倍に増えている。世帯の傾向としては、核家族化や世帯分離が進行し、
高齢化単身世帯や高齢者夫婦世帯が増加し、ファミリー世帯が減少している。
・
住まいの状況は、木造率が高く 30 年以上計画し耐震基準に適合していない老朽住
宅が多いのが特徴である。ロータリーを中心に密集市街地が広がり、接道条件を満
たしてなく、狭隘な敷地面積の住宅地が多く存在し、その 1 区画2ha は国土交通
省により「地震時等に著しく危険な密集市街地」として沖縄県で唯一指定されてい
る。また、東地区にはスプロール地域が存在し、西地区には袋小路の外人住宅地が
広がり、建て替え困難な住宅地が多くみられる。加えて、崩壊危険家屋や住宅地に
広がる空き地、西地区の同一地番の住宅が多く存在する地域など多種多様な課題が
ある。
・
平成 18 年 1 月に嘉手納町住宅マスタープランを策定した。将来像を「健やか暮ら
せるまち
かでな」とし「①定住化を促進する支援・助成策の活用
の居住水準向上等による良質なストックの確保
せる住まいづくり
②公・民借家
③高齢者等が安全・安心して暮ら
④市街地整備と一体となった住まいづくり」を政策の展開策と
した。
・
密集市街地については、新町・ロータリー地区再開発事業により一部地域の改善が
図られたが、まだ多くの地域では残されたままである。国指定を受けた地区につい
ては、平成25年度から調査事業に着手している。公営の住宅については、屋良公
営住宅の建て替えが完了し良質なストックの確保が行われた。民間住宅については
共同住宅の建設が比較的堅調に行われストックの確保が行われた。高齢者対策とし
ては屋良公営住宅に高齢者等の優先入居が行われ、また、民間による高齢者専用住
宅が建設中である。
・
住宅マスタープランの平成 32 年の基本フレームの 4,800 世帯は、平成 22 年度
国勢調査で 4,774 世帯となり世帯数はほぼ達成された。しかし、密集市街地を中
心に未解決な課題が多く、少子高齢化がますます進行する中で、住宅問題は、もっ
とも大きな政策課題である。住民アンケートでも住環境の改善に対する要望も強く、
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今後の課題
第2次嘉手納町土地利用基本計画
その改善が強く求められている。
・
住宅マスタープランに示された「住んでいる人は住み続けたい、そして町外の人々
が住んでみたい」と思うような魅力ある住環境の創造を目指し、地区ごとに総合的
な政策展開を行う。
(2) 防衛買い上げ用地の利活用
・
防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第 5 条の移転の補償等により飛行
場に接近し特に障害が著しいと指定する「第 2 種区域」は跡地等の買い上げが行わ
れている。同区域は東地区と字兼久地域に設定されており、1.9 ha の土地が買い
上げられている。その中でも 1.8 ha が東地区の住宅地であり、地域コミュニティ
ーにも大きな影響を及ぼしている。
・
買い上げ用地の有効活用は嘉手納町の大きな課題となっている。同用地は防衛省所
管行政財産として第 6 条に基づき緑地帯及びその他の緩衝地帯として整備されて
いる。なお、法第 7 条による周辺財産の利用としてゲートボール場、駐車場等とし
てその一部が活用されている。
・
周辺財産の活用については、国有財産法第 18 条により行政財産はその用途又は目
的を妨げない限度において地方公共団体等に貸し付けることができるとされてお
り、同法第 18 条第 7 項及び同法第 22 条第 1 項第 1 号に掲げる用途について、
地方公共団体に無償で貸し付けることができる。(道路、水道、下水道、緑地、公
園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設、と畜場、信
号機、道路標識、街灯)また、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第 7
条の規定及び無償使用許可する場合等の取り扱いの通達においては、広場、花壇、
種苗を育成するための施設、駐車場、消防その他防災に関する施設、公共用建設に
必要な資材又は機会を保管するための施設で、これらに付帯する(建物、工作物)
及び市民農園である。
・
買い上げ用地は狭隘な住民居住地域の中にある貴重な土地であり、町民の福祉増進
や町の活性化に資するために、基本的に全ての防衛買い上げ用地を最大限に活用す
る。中心的な施設として健康と生きがいづくりの場として市民農園の導入を図る。
その他、町の美化緑化に資する種苗育成施設、町民及び来街者が活用する駐車場な
どが想定される。
(3) 町民の家周辺及び運動公園の利活用
・
嘉手納運動公園は、北側の町民の家から野球場、陸上競技場、カデナドームまで
33.7 ha の面積を持つが、町民の家の東側と南側には約 4ha の公園地域指定以来
長期間利活用がなされてない地域があり、野球場の外野の広場など利用度の低い施
設もある。加えて、町民の家(1982 年建設)や野球場(1986 年建設)など建
築後かなりの期間が経過し改築等の必要な施設もある。
・
町民の家については改築の必要度も高く、一帯の利活用がなされていない地域を含
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め多くの可能性を秘めた地域である。同敷地の南側には都市計画道路の久得牧原線
が全線開通し、北側に隣接し農用地やリサイクルセンターがある。公園用地にとら
われることなくあらゆる可能性を検討する。併せて南側の運動公園部分についても
プロ野球のキャンプや各種大会に活用されており、新たな機能の付加などを含めそ
の機能の増進に取り組む。
(4) 旧中央公民館の活用
・
旧中央公民館は、1973 年に建設され、学校施設を除く公共施設では、一番古く老
朽化が最も進行している。現在、同建物は青少年センター及び嘉手納町PTA連合
会、町史編纂室、民俗資料室として利用されている。
・
同敷地は、約 4,000 ㎡あり、国道にも面しており、本町の公共施設の建設敷地と
して大きな可能性を秘めている。その跡利用については公共施設を中心に早急に必
要な施設を選定し改築に着手する必要がある。青少年センター及び各種団体が入居
するボランティアセンター、博物館(野國總管記念館・農林学校記念館・民俗資料
室等)、陶器実習室などが考えられる。
(5) ウォーターフロント空間の利活用
・
嘉手納町は東シナ海と比謝川のウォーターフロントで縁どられており、水辺は憩い
の場となっている。海辺には兼久海浜公園があり、散策が楽しめる護岸が整備され
ている。比謝川には遊歩道が整備され、屋良城跡公園が中核的な施設となっている。
上流には嘉手納運動公園が設置されている。兼久海浜公園は、大規模商業施設と隣
接しており、遊びの場としての機能向上を図る。近年、下流域ではカヌーの活用が
行われており、比謝川大橋付近にはカヌー利用施設の建設が計画されている。比謝
川沿いの遊歩道については屋良城跡公園までしか整備されておらず、その利用の増
進を図るため、「嘉手納運動公園」及び「道の駅かでな」までの整備延長を検討す
る。旧栄橋付近の町有地は運動公園と屋良城跡公園の中間に位置し、その結節点と
して機能する施設として駐車場などの設置が考えられる。
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