宅部池 〜地域本来の 態系を取り戻すために

よみがえれ! 宅部池
宅部池の危機 !?
外来⽣物防除の取組み②
外来⽣物とは?
宅部池(たっちゃん池)は、周辺の湧⽔を集めた 0.5ha ほ
どの池で、北川の源流の⼀つになっています。かつては多様
な動植物が⽣息する豊かな⽔辺で、モツゴ(クチボソ)など
の⼩⿂がたくさん⾒られました。
しかし、最近では、放流されたオオクチバスやコイ、ミシシッ
ピアカミミガメ(ミドリガメ)など外来⽣物が増え、もとも
といた在来⽣物が⼤変少なくなってしまいました。外来⽣物
に捕⾷されたり、⽣息環境が奪われて絶滅の危機に追いやら
れています。
〜地域本
〜地
域本 来 の ⽣ 態 系 を 取 り 戻 す た め に 〜
外来⽣物とは、他の地域から⼈為的に持ち込まれ
た⽣物のことです。移⼊元が国外でなくても、国内
の他地域であれば外来⽣物であり、その場合「国内
調査
あります。また在来種との交雑により遺伝⼦を撹乱
させる恐れもあります。
特に⽣態系への影響が⼤きい種や、⼈の⽣活に⼤
ンプで抜き、地元市⺠団体「北川かっぱの会」との協働で調査した結果、
合計8種、990 個体の⿂類が確認されました。
外来⽣物」と呼ぶこともあります。外来⽣物は、在
来の動植物を捕⾷したり、餌や繁殖場所などの⽣息
環境を奪うことで⽣態系のバランスを崩す可能性が
宅部池における⿂類の⽣息状況や、外来⽣物による⽣態系への影響な
どを調べるため、⿂類調査を⾏っています。2010 年 11 ⽉、池の⽔をポ
モツゴ
8 個体
ギンブナ
55 個体
ウキゴリ トウヨシノボリ
33 個体
6 個体
3種合わせても 47 個体と⼤変少なく、全体のわずか5%という結果になりました。
ゲンゴロウブナ
117 個体
外来種:886 個体(89%)
オオクチバス
498 個体
注意を呼び掛けています。
在来⿂:モツゴ
外来⿂:オオクチバス
※
「特定外来⽣物」を野外に放したり、運搬、飼育などを⾏うことは禁⽌されて
います。違反した場合、内容によっては⾮常に重い罰則が科せられます。
在来種:47 個体(5%)
地域の在来種は、モツゴ、ウキゴリ、トウヨシノボリの3種のみでした。個体数は、
きな影響を及ぼす種を「侵略的外来種」と呼びます。
環境省は 2004 年に「外来⽣物法」を公布し、この
ような外来⽣物を「特定外来⽣物」に指定して取扱
いを規制※しています。規制はないが⽣態系への影響
を及ぼしうるものは「要注意外来⽣物」に指定して
⿂類調査の様⼦
コイ
271 個体
オオクチバスが 498 個体と最も多く、全体の半数を占めていました。その他、
コイ 271 個体、ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)117 個体が確認され、2 個体捕
獲のカムルチー(ライギョ)と合わせると、⼈為的に放流されたこれらの外
来種が全体の約9割を占めていました。
また、ギンブナが 55 個体(6%)確認されており、これはコイやゲンゴロ
外来⽣物防除の取組み①
流出
防⽌
宅部池から北川への流出⼝には、外来⽣物の流出を防ぐ
ウブナに混ざって放流されたものと思われます。
流出防⽌ネット
ネットを設置しています。⼤⾬で増⽔した際にも、あふれ
カムルチー
2 個体
捕獲された稚⿂
た流れを受け⽌める構造になっています。2008 年は、ゲ
※オオクチバス(特定外来⽣物)と
カムルチー(要注意外来⽣物)は
調査後、すべて処分しました。
宅部池の⽣態系への影響
オオクチバスは⼩⿂などを⾷べる⾁⾷⿂で、
「特定外来⽣物」に指定されています。胃の内容物
を調べた結果、宅部池ではエビ類を主⾷とし、その他、ハゼ類、甲⾍類などを⾷べていることが
リラ豪⾬によって度々増⽔し、流出防⽌ネットでオオクチ
調査で確認された
コイなどの外来⿂
バスの稚⿂が 1 万匹以上捕獲されました。
わかりました。モツゴなどの⼩⿂をほとんど⾷べ尽くし、エビ類などを主⾷にしているようです。
コイは雑⾷性の⿂で、池底の⽔⽣⽣物を何でも貪欲に⾷べてしまう上、⼤型になると天敵がほ
とんどいなくなることから「侵略的外来種」の特性を持っています。そのため、オオクチバスと
繁殖
抑制
オオクチバスの繁殖期(4 〜 6 ⽉頃)には、⼈⼯産卵床
を設置しています。これは、⼈⼯産卵床に産み付けられた
⼈⼯産卵床
産み付けられた卵
殖ゴイが多数確認されており、意図的に⼤量に放された外来⽣物であることがわかります。池には、
希少なイシガイ(⼆枚⾙の仲間)やトンボ類(ヤゴ)なども⽣息しているため、コイによる捕⾷
卵を駆除することで、オオクチバスの繁殖を抑制するのが
の影響が⼼配されます。
⽬的です。2010 年は、⼈⼯産卵床を 30 基設置しました。
今回の調査によって、宅部池に棲む⿂は、⼈為的に放流されたオオクチバスやコイなどの外来
種類や⽔深を変えることで複数のパターンを試み、より効
⽣物によってほとんど占められ、⽣態系のバランスが⼤きく崩れていることがわかりました。
果的な⽅法を調べています。
宅 部 池 の 環 境 保 全 に ご 協 ⼒ く だ さ い
よそから持ち込んだ
⽣き物を放さない
オオクチバスやコイなどの外来⽣物、家で飼っていた⽣き物を放すことは、在来
⽣物の⽣存を脅かし、池の⽣態系を乱します。モツゴなど、さまざまな⽣き物の
にぎわいを呼び戻すため、外来⽣物の放流は絶対にやめてください。そのような
⼈を⾒かけたら、狭⼭公園パークセンターまでご連絡ください。
同様、「世界の侵略的外来種ワースト 100」の⼀種に指定されています。調査では、⾊ゴイや養
池に捨てられたワニガメ
(要注意外来⽣物)
狭⼭公園パークセンターでは、今後も外来⽣物の防除に取組み、地域のみなさまと
⼀ 緒 に 宅 部 池 の 将 来 に つ い て 考 え て い き た い と 思 い ま す 。ご 協 ⼒ を お 願 い 致 し ま す 。
コイにエサを与えない
ゴミ捨て・⿂釣り禁⽌
コイへのエサやりは池の富栄養化、ヘドロの堆積につながり
ます。また、池底からはガラス瓶、ルアー、釣り⽷が⼤量に
⾒つかっています。コイへのエサやり、ゴミ捨て、⿂釣りは
やめてください。
ゴミの清掃
2010 年 12 ⽉ 作成:狭⼭公園パークセンター(℡ 042-393-0154)
協⼒:北川かっぱの会