電源Vol.6 - リニアテクノロジー

電源のレギュレーション
AC/DC や DC/DC などの電源は多種多様ですが、基本的な
です。また、ラインレギュレーションもロードレギュレーショ
機能はいずれも、仕様で定められた入力電圧の範囲内で、 ンも直流的な変動に対する値であり、例えば負荷電流がス
設定した電圧を安定して出力することです。
実際に出力される電圧は、設定した出力電圧に対してわず
かに異なり、出力電圧誤差となります。ただし、出力電圧誤
テップ的に変化した場合などの瞬間的な出力電圧の変動(過
渡応答)を保証するものではありません。これらは、データ
シートなどに波形として示されるのが一般的です。
差は入力電圧を一定に保ち、負荷を固定して測定される静
以下にスイッチング周波数 1.5MHz で 600mA 出力の同期整
的な値です。調整によって誤差を無くすこともできます。
流式レギュレータ LTC®3406 の負荷変動に対する出力電圧
ところが、実際の回路では入力電圧は変動し、負荷も一定
とインダクタ電流の過渡応答の例を示します。
ではありません。したがって、入力電圧の変動や負荷の変
負荷ステップ
動に対して、出力電圧がどの程度安定していられるかが電
源の性能を評価する重要な指標となります。
電源の入力電圧を変化させた場合の出力電圧の変動は、ラ
インレギュレーション(Line regulation)と呼び、入力を一
定に保ったまま負荷の電流を変化させたときの電圧変動は
ロードレギュレーション(Load regulation)と呼ばれます。
出力電圧の変動幅は入力電圧あるいは負荷電流の変化量に
よって異なるので、評価の際は条件を明示することが大切
、LTC、LT、Burst Modeはリニアテクノロジー社の登録商標です。
VLDOはリニアテクノロジー社の商標です。
その他の商標は該当の会社のものです。
出力電圧
100mV/DIV
AC COUPLED
インダクタ電流
500mA/DIV
負荷電流
I LOAD
500mA/DIV
VIN = 3.6V
20ms/DIV
VOUT = 1.8V
ILOAD = 200mA TO 600mA
LTC3026
1.5A、低入力電圧VLDOリニアレギュレータ
V IN 範囲:1.14V ∼ 3.5V(ブースト・イネーブル時)
1.14V ∼ 5.5V(外部 5V ブースト時)
低損失電圧:150mV(I OUT =1.5A)
出力調整範囲:0.4V ∼ 2.6V、出力電流:最大 1.5A
シャットダウン時には負荷を V IN と V BST から切断
低い動作電流:I IN =400µA(V IN =1.5V 時)
10 ピン MSOP、10 ピン(3mm×3mm)DFN パッケージ
TM
LTC3026は、非常に低い入力電圧で動作するVLDO (Very
Low Dropout)レギュレータで、わずか 150mV(標準)の損
失電圧で1.5A の出力電流を供給します。低い入力電圧での
動作を可能にするために、内部 LDO 回路が必要とする高さ
の電圧を供給する昇圧コンバータを内蔵しています。出力電
流は、効率を最大化するために入力電源から直接供給され
ます。昇圧コンバータは動作のために、小型のチップインダク
タとセラミックコンデンサしか必要としません。また、1 つの昇
圧出力は他の LTC3026 の昇圧電圧としても供給でき、複数
の LDOに対して 1 つのインダクタで済みます。
1µF
10µH
SW
VIN = 1.5V
BST
VIN
1µF
SHDN
OFF ON
VOUT = 1.2V
IOUT ≤ 1.5A
OUT
40k
LTC3026
8k
10µF
ADJ
4k
GND
PG
▲ 1.5V 入力から 1.2V 出力電圧
LTC3204-3.3/LTC3204-5
2mm×2mm DFN、低ノイズ安定化チャージポンプ
固定 3.3V(LTC3204-3.3)または固定 5V(LTC3204-5)出力
V IN 範囲:1.8V ∼ 4.5V(LTC3204-3.3)、2.7V ∼ 5.5V(LTC3204-5)
出力電流:最大 150mA(LTC3204-3.3)、50mA(LTC3204-5)
自動バーストモード:I Q =48µA
低ノイズ定周波数(1.2MHz)動作
突入電流を低減するソフトスタート機能内蔵
シャットダウン時には負荷を入力から切断
6 ピン(2mm×2mm)DFN パッケージ
LTC3204–3.3/LTC3204–5は低ノイズ、定周波数(1.2MHz)
のスイッチトキャパシタ電圧倍圧器で、LTC3204–3.3 は最小
1.8V(アルカリ2セル)の入力から3.3V の安定化出力電圧を
生成し、LTC3204–5は最小 2.7V(Li-Ion バッテリ)入力から
5Vを作ります。これらのデバイスは軽負荷時に低消費電流を
維持する、自動バーストモード動作を特長としています。内蔵
のソフトスタート回路は、起動時に過剰な突入電流を防止し
ます。サーマルシャットダウンと電流制限回路は、VOUTとGND
の連続的な短絡からも保護します。
2.2µF
5
C+
2
2.7V TO 4.5V
VIN
4
C–
VOUT
3
5V
2.2µF
2.2µF
1
GND
LTC3204-5
OFF ON
6
SHDN
▲ LTC 3204-5 標準的応用例
LTC3216
個別のトーチ/フラッシュ電流制御付き、
1A低ノイズ高電流LEDチャージポンプ
高効率動作:1 倍、1.5 倍、2 倍昇圧モードのいずれかに自動切換え
超低損失 I LED 電流制御、最大 1A の出力電流
低ノイズの固定周波数動作
低電流/高電流を個別に設定
プログラミング・ピンとイネーブル・ピン
広い V IN 範囲:2.9V ∼ 4.4V
オープン/短絡 LED 保護、シャットダウン時の LED 切断
12 ピン(3mm×4mm)DFN パッケージ
LTC3216 は、高電流 LEDに電力を供給するように設計され
た低ノイズ、高電流チャージポンプDC/DCコンバータで、2.9V
∼ 4.4V の入力から最大 1A の負荷をドライブできる高精度の
プログラム可能な電流ソースを内蔵しています。外付け部品
数が少なく(フライング・コンデンサ 2 個、プログラミング抵抗
2 個、V INとCPO 接続用バイパス・コンデンサ 2 個 )、小型の
バッテリ駆動アプリケーションに最適です。内蔵のソフトスター
ト回路により、起動時の過度の突入電流を防止します。スイッ
チング周波数が高いので、小型の外付けコンデンサを使用で
きます。
2.9V TO 4.4V
CIN
2.2µF
C1
2.2µF
C1+
C2
2.2µF
C1– C2+
VIN
C2–
CPO
CCPO
4.7µF
LTC3216
LED1
ILED
EN1 (TORCH)
EN2 (FLASH)
EN1
EN2
ISET1
ISET2
20k
1%
6.65k
1%
EN1
EN2
0
1
0
1
0
0
1
1
▲ LTC 3216 標準的応用例
データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。
ILED
0 (SHUTDOWN)
200mA (TORCH)
600mA
800mA (FLASH)
LTC3428
3mm×3mm DFNパッケージの
4A、2MHz、2フェーズ昇圧DC/DCコンバータ
高効率:最大 92%
2 フェーズ制御により、出力電圧リップルを低減
3.3V 入力から 5V/2A、1.8V 入力から 3.3V/1.5A を供給
調整可能な出力電圧:1.6V ∼ 5.25V
入力範囲:1.6V ∼ 4.5V
10 ピン(3mm×3mm)DFN パッケージ
LTC3428は、3.3V 入力から5V/2Aを供給可能な2フェーズ、
電流モード昇圧コンバータで、2 つの 93mΩ、2A、N チャネル
MOSFET スイッチを搭載し、1.6V の低い入力電圧で高効率
を達成します。1MHz のスイッチング周波数と2フェーズ設計
により、外付け部品の数とサイズを最小限に抑えます。さらに
2フェーズ動作により、ピーク・インダクタ電流とコンデンサ ・リッ
プル電流を大幅に低減するので、実効スイッチング周波数を
2 倍にし、インダクタやコンデンサのサイズも最小限に抑えます。
また、外部補償により、帰還ループ応答を特定のアプリケーショ
ン向けに最適化することができます。
VIN
3.3V
2.2µH
2.2µH
4.7µF
OFF ON
VIN
VOUT
SHDN
SWA
VC
10k
22pF
LTC3428 SWB
AGND
FB
PGNDA
1000pF
VOUT
5V/2A
383k
PGNDB
121k
22µF
▲ 3.3V から 5V/2A の昇圧コンバータ
LTC3443
高電流マイクロパワー
600kHz同期整流式昇降圧DC/DCコンバータ
出力電圧を上回る/下回る、あるいは等しい入力電圧での安定化出力
1 個のインダクタ、ショットキー・ダイオード不要
高効率:最大 96%
バーストモード動作時の消費電流:28µA
1 セル・リチウムイオン・バッテリで最大 1.2A の連続出力電流
シャットダウン時、真の出力切断
6µH
熱特性が改善された小型 12 ピン(3mm×4mm)DFN パッケージ
LTC3443は、出力電圧を上回るまたは下回る入力電圧でも、
また出力電圧と等しい入力電圧でも動作する高効率の固定
周波数昇降圧 DC/DCコンバータで、LTC3441とピン互換で
すが、動作周波数を600kHzに低減し、バーストモード動作
時に V Cピンをクランプする回路を搭載しています。あらゆる動
作モードで連続伝達関数方式を採用しているので、出力電圧
がバッテリ電圧の範囲内にある1セル・リチウムイオンまたはマ
ルチセル・アプリケーションに最適です。
VOUT
3.3V
1A
220pF
VIN
2.5V
TO 4.2V
SW1
SW2
PVIN
VOUT
LTC3443
VIN
GND
MODE/SYNC
10µF
2.2k
44µF
(2 × 22µF)
15k
VC
SHDN/SS
Li-Ion
340k
FB
560pF
200k
PGND
PGND
▲ Li‐Ion バッテリ入力の 3.3V/1A 昇降圧コンバータ
LT3471
3mm×3mm DFNパッケージの
デュアル1.3A、1.2MHz、昇圧/インバータ
スイッチング周波数:1.2MHz
低 V CESAT スイッチ:330mV/1.3A
高出力電圧:最大 40V
広い入力範囲:2.4V ∼ 16V
3.3V 入力で 5V/630mA、5V 入力で 12V/320mA、−12V/200mA
反転機能あり
高さの低い(0.75mm)10 ピン(3mm×3mm)DFN パッケージ CONTROL 1 4.7k
2.2µH
VIN
3.3V
90.9k
SHDN/SS1
デュアル ・ スイッチング ・レギュレータLT ®3471は、2 つの 42V、
1.3A スイッチにグランドまで検知可能なエラーアンプを組み合
わせることで、昇圧と反転を可能にします。低 VCESAT バイポー
ラ・スイッチを内蔵し、小さい実装面積で高電流出力を供給
できます。また、1.2MHz でスイッチングを行うので、高さの低
い小型で安価なインダクタやコンデンサを使用可能。プログラ
ム可能なソフトスタート機能を使用することで、起動時の高い
突入電流をなくし、外付け RCによって電流ランプ ・レートを設
定します。固定周波数電流モードPWMアーキテクチャにより、
出力ノイズは低く予測可能で容易にフィルタリングできます。
www. linear -tech.co. jp/
4.7µF
SW1
VOUT1
7V
350mA
FB1N
0.33µF
FB1P
15k
VREF
VIN
0.1µF
VIN
LT3471
10µF
CONTROL 2
15k
FB2N
4.7k
0.33µF
SHDN/SS2
GND
FB2P
SW2
75pF
105k
10µH
1µF
15µH
VIN
10µF
▲ OLEDドライバ
VOUT2
–7V
250mA
お役立ち 技術資料
ここに掲載した技術情報は一部です。
リスト内の情報や製品のデータシート、その他の技術資料は、すべて当社のWebサイトよりご覧いただけます。
www. l i near - tech.co. j p/
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DN 344
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DN 328
外付け部品をほとんど使わない モノリシック同期式レギュレータによる4A 負荷のドライブ
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3フェーズ LTC3733によるAMD 社の OpteronプロセッサとAthlon64プロセッサ用 高性能電源ソリューションの実装
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高電流降圧コントローラによる3V 入力から0.6V 出力への安定化
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狭いスペースに収まる効率的な両極出力コンバータ
DN 317
昇圧レギュレータを使った低プロフィールの昇降圧 SEPIC
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超低ノイズのスイッチング電源を使った簡単なEMI 対策
DN 314
マイクロパワーの80Vリニア・レギュレータ
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全負荷範囲にわたって高効率を実現する 65A 高性能 3フェーズ電源
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