動作絶縁電圧1140Vpeakの 新小型高精度アイソレーションアンプ

EDN
Technical Notes
The Avago Advantage
はじめに
差動計装アンプはアナログ設計者の間でよく知られた部
品です。しかし、このアンプには、高い過渡電圧に耐える
だけの分離機能がなく、また電力変換システムの高電圧
スイッチング回路から低電圧制御回路を保護する絶縁能力
もありません。アバゴのACPL-C79x小型高精度アイソレー
ションアンプは、−40℃∼105℃の動作温度範囲を有し、
産業機器/計測装置、再生可能エネルギー・システム、および
空調システム用に開発された製品です。
ACPL-C79xアイソレーションアンプは、アバゴ独自の光ア
イソレーション技術、シグマ−デルタ・アナログ−デジタル
変換器、およびチョッパ安定化増幅器により、モータ相電流
および母線電圧検出、サーボモータ駆動制御、スイッチング
電源の絶縁フィードバック、DCリンク電圧監視、およびイン
バータ電流検出などに使用されています。ACPL-C79xは、
15kV/μsの高い同相過渡除去能力を持ち、ノイズの多い
モータ制御環境で電流を正確に監視するのに必要な頑強
さと安定性を提供します。
VDD1 1
IDD1
IDD2
8 VDD2
VIN+ 2
+
+
7 VOUT+
VIN- 3
-
-
6 VOUT-
GND1 4
SHIELD
・優れた線形性:0.05%
・高SNR:60dB
・広信号帯域幅:200kHz
・フレキシブルな出力側供給電圧:3V∼5.5V
・動作温度範囲:−40℃∼+105℃
・高性能シグマ-デルタ(Σ-Δ)A/Dコンバータ技術
・同相除去:15kV/μs
・安全規格認証(申請中):
−IEC/EN/DIN EN 60747-5-5:作動絶縁電圧1140Vpeak
−UL 1577:絶縁電圧5000 Vrms/1分間
−CSA:Component Acceptance Notice #5
インバータ・モータ駆動応用例
図2の代表的なインバータ・モータ駆動応用例では、小さな
値の電流検出抵抗器に流れる電流によって生じた電圧降下
がACPL-C79xにより検出され、アイソレーション・バリアの
出力側に電流に比例した差動出力電圧が現れます。
フロー
ティング電源(通常、上段側パワートランジスタ駆動用電源
と共通)は、三端子レギュレータ(U1)を使用して5Vに安定化
します。電流検出抵抗器或いはシャント抵抗(RSENSE)から
の電圧は、RCアンチエイリアシング・フィルタ(R5とC3)を
介してACPL-79xに入力されます。アイソレーションアンプ
の差動出力電圧は、差動アンプ(U3)により、
グランド基準の
シングルエンド出力電圧に変換することができます。
5 GND2
HV+
図1
ゲート駆動
回路
ACPL-C79xパッケージ
図1からわかるように、
このアイソレーションアンプは、ゲイ
ン精度が±0.5%(ACPL-C79B)、±1%(ACPL-C79A)、および
±3%(ACPL-C790)の完全差動入出力です。単一5V電源で
動作し、0.05%の優れた非線形性と60dBのSNRを実現して
います。標準200kHzの信号帯域幅と1.6μsの高速応答時間
により、ACPL-C79xは、負荷短絡や過負荷状態の過渡電流を
捕捉します。ストレッチSO-8パッケージにより、基板実装面
積を従来の標準DIP-8パッケージに比べ約30%縮小するこ
とができ、ホールセンサまたはトランス式アイソレーション
アンプと比較すると数分の1です。
ACPL-C79xの特長
・完全差動入出力アイソレーションアンプ
・高いゲイン精度:±0.5%(ACPL-C79B)
・小さなゲイン・ドリフト:−0.50ppm/℃
・入力オフセット電圧:0.6mV
U1
78L05
IN OUT
C1
0.1
F
R5
10
MOTOR
***
C5
47 pF
正非接地電源
R3
***
VDD1
C2
0.1
F
10.0 K
VDD2 (+5 V)
1
8
2
C3
47 nF 3
7
U2
C4
0.1 F
+15 V
4
GND1
***
6
5
ACPL-C79B/
ACPL-C79A/
ACPL-C790
GND2
–
U3
+ TL032A
R1
2.00 K
R2
2.00 K
+ –
RSENSE
C6
47 pF
GND2
C8
0.1 F
VOUT
C7
R4
0.1 F
10.0 K
-15 V
GND2
GND2
HV-
図2
代表的なモータ電流検出回路
このアイソレーションアンプの応用回路は比較的単純です
が、最適性能を実現するには以下の考慮が必要です。
電流検出抵抗器(シャント抵抗)の選択
実際のモータ電流検出抵抗器の計算により、電流検出抵抗
を選択する際に何を考慮しなければならないかが分かり
ます。最初に、抵抗器が検出する電流の値を決定します。
図3のグラフは、三相誘導モータの各相のRMS電流と平均出
力パワー(馬力)およびモータ駆動供給電圧の関係を示した
ものです。電流検出抵抗の最大値は、測定する電流とアイソ
レーションアンプの最大推奨入力電圧により決定します。例
えば、定格RMS電流10Aに対し、通常動作中に最大50%の過
負荷状態を考慮する場合、ピーク電流は21.1A(=10A×
1.414 × 1.5)です。最大入力電圧が200mVの場合、検出抵抗
の最大値は、約10mΩになります。検出抵抗の最大平均電
力損失は、検出抵抗値に定格RMS電流の二乗を乗じて確認
することができ、この例では約1Wです。電力損失を小さく
する場合、さらに小さな値の電流検出抵抗を選びます。
40
30
25
20
10
5
0
5
10
15
20
25
30
35
モータ相電流 ‒ A(rms)
図3
+Input
–Input
VDD1
Ra
Rb
VIN+
C
VIN–
ACPL-C79B/
ACPL-C79A/
ACPL-C790
GND1
図4
ACPL-C79x差動入力接続
ACPL-C79Xの評価
15
0
5V
(1kΩ以下)しなければならないことです。
この場合でも入力
バイパス・キャパシタは必要ですが、10Ωの直列ダンピング
抵抗は、分圧抵抗が同じ働きをするため必要ありません。
信号帯域幅は、分圧抵抗と入力バイパス・キャパシタにより
構成された低域フィルタにより制限されます。
440 V
380 V
220 V
120 V
35
モータ出力 ‒ 馬力
ゲイン精度0.5%、動作絶縁電圧1140Vpeakの
新小型高精度アイソレーションアンプ
ACPL-C79X評価ボードにより、ACPL-C79B/C79A/C790の
高い線形性と低オフセット性能を確認することができます。
これにより、実際のアプリケーションでの動作条件下で、
アイソレーションアンプの性能を容易に試験することが
できます。評価ボードには表面実装シャント抵抗器が1個
付属しています。
モータ出力とモータ相電流/電圧の関係
差動入力接続
図2の例では、アイソレーションアンプは、シングルエンド
入力モードで接続されています。
しかし、完全差動入力の
特長により、図4のような差動入力接続を使用して更に性能
を高めることができます。片方の入力端子に誘導された
ノイズ は、キャパシタC によって他 方 の 入 力 端 子 に結 合
され、ACPL-C79xによって除去が可能な同相ノイズに変換
されます。
電圧検出
ACPL-C79B/C79A/C790は、入力に抵抗分圧器を使用する
ことにより推奨入力電圧範囲よりも大きな振幅を持つ信号
を扱うこともできます。唯一の制約は、入力抵抗(22kΩ)と
入力バイアス電流(0.1μA)が測定精度に影響を及ぼさない
ようにするため、分圧器のインピーダンスを比較的小さく
図5
ACPL-C79x評価ボード
まとめ
アバゴ独自の光アイソレーション技術により開発された
小型高精度アイソレーションアンプ3製品は、一層の高精
度、応答速度、信号帯域幅および絶縁性能を提供します。
詳細は www.avagotech.co.jpをご覧ください。
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出展します
アバゴ・テクノロジー株式会社 〒153-0042
会期:2010年10月5日
(火)∼9日
(土)10:00∼17:00 会場:幕張メッセ
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