情報番号:20071649 テーマ:QRコードで物を管理する

情報番号:20071649
テーマ:QRコードで物を管理する(カラーコードなど)
編著者:中小企業診断士グループ C の会 村山賢誌
1.QRコードによる物の管理
物をデータ管理する場合、管理対象の種類が多くなると従来の一次元バーコ
ードでは全てのデータ・情報を納めることは難しい。そこで、QRコードの活
躍する場が出てくる。その理由は、QRコードは小さな面積で、多くの情報量
を内包することができることが挙げられる。物の管理を正確に把握することを
通して、企業全体としての業務の流れを統合的に把握することが可能となるた
め、QRコードの活用は企業活動にとって有効な道具となり得る。
QRコードは当初、トヨタ自動車のカンバン方式の仕組みの一環で使用され
ていた。そのQRコードを消費者や小売店の販売員に製品情報を提供する目的
で活用することができるようになった。ここで紹介するメーカーは、カタログ
をデジタル化し、そのデジタルデータを携帯電話から読み取ることで顧客に利
便性を提供している株式会社八幡ねじの事例を取り上げた。
現在では、誰もが所持するようになった携帯電話を活用することで、独自の
読取装置は必要なくなり、会社側の投資もソフトの開発などに留めることが可
能となったのである。
※一次元バーコード(いわゆるバーコード)とQRコード(二次元バーコード)
QRコード=二次元バーコードが、製品(ないしパッケージ)の裏についている短い縦
棒の並んだものである一次元バーコードと比較して多くの情報を内蔵することができる
かというと、一次元バーコードが横方向(縦棒の並ぶ数:十数桁)にしか情報を持てない
のに対して、縦方向と横方向(両社で平面を構成:一例で十数桁×十数桁)の情報を持つ
ことができるからである。具体的には、QRコード(二次元バーコード)では 7098 桁の
数字やひらがな、漢字を情報として持つことができる。情報を収めることができる可能性
の多さがQRコード(二次元バーコード)のメリットといえる。
※QRコード(二次元バーコード)の可能性を広げるもの
QRコード(二次元バーコード)の可能性を広げるものとして、携帯電話の機能の
向上が挙げられる。写真を撮ることができる機能の中にOCR機能が加わることによ
り、携帯電話の写真機能によりQRコードが読み取れるようになったことから、QR
コードの活用範囲も広がったといえる。
実際に、携帯電話の写真機能を活用してQRコードを読み取ると自動的に携帯サイ
トにアクセスすることができ、情報を入手することが可能となっている。多くの人が
経験しているところである。
*この情報の無断コピーを禁じます。
(株)経営ソフトリサーチ・レファレンス事業部
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2.物の管理事例
株式会社八幡ねじ(愛知県:http://www.yht.co.jp/index.htm)では、ホームセ
ンターなどで販売する製品にQRコードのラベルを印刷し、その情報を携帯で
読み取らせることで、店頭販売員に代わって消費者に製品情報を提供する仕組
みを構築している。
小売店にとっても、製品カタログを調べメーカーである八幡ねじに問い合わ
せる必要もなくなるので利便性は高く、消費者にとっても直ぐに製品在庫の有
無や利用方法などを調べることが出来るという利便性を提供している。
(1) 導入のきっかけ・目的
導入のきっかけは、自社で製品カタログを作成することになったことである。
結果として、顧客への利便性の提供や、窓口相談業務の簡便化を実現すること
ができた。
導入のきっかけは、QRコードの読み取りができる携帯電話が出始めたため、
受発注システムに利用できないかと検討したことである。インターネットを利
用してカタログ掲載情報を配信できる環境も整い、データベースの整備を進め
ていたこともあって、携帯電話専用のカタログ配信システムを同時に構築する
ことになった。
導入の目的は、①問い合わせに対する業務の煩雑さの低減(電話での対応に
人手を取られることで結果として人件費などの費用がかかっていたこと、電話
であるため聞き違いなどによりクレームの発生などもあり、その対応にも少な
くない時間をとられていた)、②機会損失の低減(製品は当社製品だけではな
い。そのため、製品がないということで消費者は他社製品を購入してしまって
いた)、③受注業務の正確性確保(データを記録することが出来るので、誤認
や記入ミスなどの人為ミスを減らすことが可能となった)の3点である。
インターネットを活用する契機として、小売店に卸している製品について、
当社窓口への問い合わせが多くなるとともに、その説明に多くの時間を取られ
てしまい他の業務に支障を来しかねない状況となっていた。
そのため、窓口で説明のために必要とする時間を低減し、業務効率を高める
と同時に、小売店や消費者からの問い合わせに迅速に対応することで、顧客に
利便性を提供、利用満足度を高め競争優位性を確保することを狙ったのである。
実際には、製品のパッケージにQRコードを付けることで小売店の担当者ま
たは消費者が携帯電話でQRコードを読み取り、その場で製品説明の表示を読
むことができるようにした。それにより、購入機会を高める(機会ロスを抑え
るための)基盤を整えた。
さらに、電子データとしてのカタログに記載することで小売店に置けない、
または置いていない製品について携帯電話を使い、その場で当社の在庫等を確
認して、その場で発注することによって、販売機会を逃さない仕組みを作り上
げた。小売店への付加サービスを提供すると同時に、当社自身の売り上げ拡大
も狙ったのである。
*この情報の無断コピーを禁じます。
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従来のような電話、FAXでの注文受付と比較して、QRコードを使うこと
により入力ミスや聞き間違いによる受注ミスを低減し、一層のサービス向上を
図ることができた。実際には、メールでの発注を誘導しているが、FAXでの
発注方法も残している。
※製品カタログの製作は、印刷日など制作費がかかるとともに、取引先に配布する
ためには輸送料等の費用も発生する。また、定期的に内容(価格や製品等)を更新す
る必要があり手間がかかる。
(2) 利用方法
システムは、独自に開発したプログラムを使用した。バーコード並びにQRコ
ードの読取機能、インターネットアクセス機能、インターネット利用時のQRコ
ード読取機能からなり、インターネット関連設備やサーバーを整えることでサー
ビスを提供している。利用方法としては、次の2点を挙げることができる。
①小売店の売り場にある製品についているQRコードを携帯電話で読み取
るとともにインターネットを利用し、製品の詳細説明や取扱サイズをその
場で確認する。
②売り場に置いていない製品については、通常の製品カタログまたはデジタ
ルカタログを確認して受発注を携帯電話から行う。
製品カタログをデータベース化してあり、小売店の販売員や消費者は製品を
探す際に、携帯電話用のホームページでカタログを見て製品を選び、カタログ
上の製品をクリックすることで、在庫の有無を確認して直ぐに手配できるとい
うシステムである。
(3) これからの課題
インターネットを活用して、様々な仕組みが安価に構築・運用できるが、そ
のメリットを金額ベースで算出し、効果を明確に提示していくことは難しいた
め、この点を課題としている。
また、社内を初めとした関係者にこの仕組み導入について理解してもらうこ
と、理解を広めることが課題となっている。
メーカーである当社のサイトに直接アクセスすることで、顧客は製品を注文す
ることができる。このままでは、小売店を利用しながら小売店を無視して当社の
み利益を得るのではないか、顧客が当社の仕組みを利用することに慣れること以
後小売店を利用しなくなるのではないかという疑問を小売店が持った。そこで小
売店を“中抜き”するものではなく、あくまで利便性や機会ロスを低減する仕組
みである点を丁寧に伝えることで小売店の協力を得ること、システムや企画の担
当者と営業担当者との連携を進め成功例を示していくことが必要であった。
この点については、小売店だけでなく、小売店との取引を仲立ちする営業担
当者の(売上が上がらなくなる、得意先を失ってしまうという懸念から)抵抗
もあった。そのために、担当者を中心として社内理解を広めるための勉強会を
繰り返し、導入の目的や意義を粘り強く周知し、協力を得ていくことが重要な
ポイントとなったが、徐々に理解が進み抵抗も少なくなっていった。
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3.カラーコード
カラーコードは、QRコードを進化させた技術である。標準的には4色の色
を使用し、その配列の仕方で様々なパターンを作成する。5列×5列では、1
70 億を超えるパターンを作成することができ、それだけ情報量は増える。
そのパターンを携帯電話で読み取ることで、消費者(アクセス者)は情報を
入手することが出来るのである。
カラーコードの良さは、写真や絵などそのものや背景にパターンを隠すこと
ができることである。製品や写真を携帯電話で撮影する際に背景に隠された色
のパターンを自動的に読み取らせることができるのである。
広告宣伝にあたって製品や商品、モデルの写真などで注意を引きながら、自
然に情報にアクセスさせることが可能ということが利点でもある。
デザイン性が求められる製品などの情報発信に使用することができる期待
されている。
(19.12 収録)
(出典)
http://www.yht.co.jp/index.htm
http://www.colorzip.co.jp/ja/about/technology.html
モバイルインターネットの本
(モバイル・コンテンツ・フォーラム:日刊工業新聞社)
(執筆者)
中小企業診断士グループ C の会
村山賢誌
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