EMT981 導入顛末記(1) ―EMT982 などとの比較試聴―

オーディオ実験室収載
EMT981 導入顛末記(1)
―EMT982 などとの比較試聴―
1.はじめに
以前に EMT982 導入顛末記という報告をいたしましたが、その後 LHH1000 を導入
し、今回偶然 EMT981 を見つけ、性懲りもなく購入してしまいました。また、長年
Maranz CD-95 を使用してきています。これらはいずれも中身は Philips 製ですが、
DAC 部およびメカ部の仕様は次のとおりです。
EMT 981 PROFESSIONAL
Philips TDA1541A-S1 (Single Crown)
CDM-1 Mk II
EMT 982 PROFESSIONAL
TDA1547 (DAC7) - TDA1307 - AD1891JN
CDM-9 Professional
Philips LHH1000
TDA1541A-S1 (Single / Double Crown)
CDM-1
Maranz CD-50
2 x Philips TDA1541A-S1 + 2 x SAA7220P/B
CDM-1
即ち、EMT 981 は Philips LHH1000 とほぼ同一仕様のプロ用ということになります。
入力端子などは EMT 982 と同じですが、制御関係やクロックの IN/OUT 端子の両方
があるところが EMT 982 と異なります。
2.試聴ルート
2-1)トランスポートとしての試聴
ディジタル出力はいつものとおり、クロック入力した CCV-5 経由で MR2000sBK の
DSD 録音のモニター再生または DAC-1 からプリへの入力で試聴しました。
【経路】EMT981/ EMT982→CCV-5→DAC-1→MR2000sBK RCA アナログ入力→
MR2000sBK アナログ出力
EMT981/ EMT982→CCV-5→DAC-1
EMT981
EMT982
LHH1001
EMT981
EMT982
【クロック】GMS-777→MR2000sBK (IN/OUT) →EMT981/EMT982
MR2000sBK
44.1KHz with クロックリベラメンテ
EMT981/ EMT982
44.1KHz with DCG-B5
GMS-777→CCV-5 96KHz with クロックリベラメンテ
2-2)プレイヤーとしての試聴
アナログ出力は結線の都合上サブシステムで試聴しました。
【経路】EMT981/ EMT982 アナログ出力→LEAK POINT1 →PX25 シングル→
SIEMENS ロクハン
GMS-777→EMT981/ EMT982 44.1KHz with クロックリベラメンテ
EMT981/ EMT982→CCV-5→DAC-1
【クロック】GMS-777→MR2000sBK (IN/OUT) →EMT981/ EMT982
MR2000sBK
44.1KHz with クロックリベラメンテ
EMT981/ EMT982 44.1KHz with DCG-B5
3.試聴結果
EMT981 との試聴は、EMT982 との比較を主に、
Philips LHH1000 と Maranz CD-50
も加えて行いました。
トランスポートとしての試聴の MR2000sBK の DSD 録音のモニター再生では、
EMT982 は切れ込みが良くディテールの再現に富み LHH1000 はアナログかと思わ
せるような芳醇な音に特徴があり CD-50 は LHH1000 に良く似ていますが、やや大
味になります。主役の EMT981 と言えば、これまた EMT982 のグレードから一段と
上がった、何とも優雅な、これが CD 再生かと思わせるもので、いままでの CD 再生
においてヴァイオリンなどは最も生音に近いものでした。所謂 CD 臭さの片鱗もなく、
これまで経験した中での最上のパーフォーマンスを示してくれました。
トランスポートとして試聴する CCV-5 から DAC-1 経由の試聴では MR2000sBK の
DSD 録音のモニター再生と違って PCM 特有のはっきり、くっきり系の音になり、
やはり DSD との音の違いが分かります。はっきり、くっきり系になる時は LHH1000
の芳醇な音と混ぜ合わせることでこれはこれで良いところがあると感じました。主役
の EMT981 では、EMT982 ではそのはっきりくっきりが、嫌味になるところもあり
ますが、持ち前の優雅さがそれを抑えてわざわざ DSD にしなくても PCM からの
DA 変換で良いのではないかという説得力があります。また、EMT981 にすることで、
DAC-1 のパーフォーマンスまで引き立ってしまうようなところがあります。
CD プレイヤーとしてのアナログ出力でも LHH1000 と CD95 は外部クロックがない
状態なので、どうしても不満が残りますが、EMT981 と EMT982 は外部クロックク
ロックを効かせるとそういった不満が解消され、ここでも EMT981 が一段格上の存
在であることを見せつけました。EMT981 では LEAK POINT1→PX25 シングル→
SIEMENS ロクハンというラインアップは極めてシンプルなヴィンテージものです
が、そういったことを感じさせない音が飛び出してきます。
なお、EMT981 のアナログ出力の音が良いので、
【EMT981/ EMT982→MR2000sBK
RCA アナログ入力】でメインシステムで聴いてみましたが、ディジタル出力をクロ
ック入力した CCV-5 経由で聴く方が肌理の細かさや音場感の表現で上回ることがわ
かりました。しかし、EMT981 について言えば、DAC 部のクオリティが非常に高く
満足度は高いものでした。
4.まとめ
同じ Philips 一族の 4 機種の聴き比べとなってしまいましたが、それぞれの個性が良
く分かりました。その中で EMT981 は EMT982 を超えた格上の存在であることが
分かりました。オーディオ道場の片山マスターがあらゆる CD プレイヤーを聴いた上
で最上と判断されたということに偽りはありません。
以上