解説員通信 No.62

 都立奥多摩湖畔公園
山ふる解説員通信
No.62 2008 年 10 月 C E S
飽きない秋が満ちています
8 月の半ばから、多くの来訪者を楽しませた
夏の自然の陰で、ひっそりと始まっていた秋。
9 月に入り少し気温が低くなってから、空も
木々も生きものもすっかり秋の装いになりまし
た。10 月も後半になると、山のふるさと村から
見える山々の頂が色づき、山のふるさと村内で
も所々で鮮やかな色を目にするようになりまし
た。秋は、目も鼻も、そして口も踊る季節ですね。
私たちが秋のおもしろさをたくさん見つけ、
心から満喫することで、来園者に飽きない秋を
楽しんでもらいたいものです。秋の繁忙期に向
け、スタッフ一同実りある活動をしていきたい
と思います。
MENU
P1 1. 上半期の活動報告
P2 特集:団体対応への取り組み
P5 重点取り組み事項のふりかえり P6 夏期のキャンパーズプログラム
解説業務報告 他
P7
p8 インターンシップへの協力
ホームページの充実
P9
展示
P10
P11 主催行事の報告
P14 2. 秋の活動への取り組み
p15 3. はっぴーレンジャーの体験記
p16 インタープリターの視点 No.50
1. 上半期の活動報告
はじめに
山のふるさと村では例年、夏休み期間中の8月が最も宿泊者の多い期間と
なり、ビジターセンターは一般向けのプログラムや団体対応でにぎわいます。
これにあわせ、ビジターセンターでは日中のプログラムも含め、宿泊者向け
(夜朝実施)のキャンパーズプログラムを毎日実施しています。また、宿泊型
の行事も毎週実施し、来園する親子、夏休み期間中の子ども達に対し、様々
なインタープリテーション活動を実施しています。今年度は山のふるさと村
の開園時間と各施設の開館時間をそれぞれ30分づつ延長し、来園者を迎え
ました。この夏は台風こそなかったものの、世間でも「ゲリラ雷雨」と称さ
れた突然の豪雨と激しい雷に、数日置きに悩まされながら活動に取り組みま
した。以下にその様子をご報告します。
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
特集:団体対応への取り組み
山のふるさと村ビジターセンターでは、山のふるさと村に訪れた方が、気軽にインタープリタ
ーによる自然体験プログラムに参加できるよう、日中は無料でプログラムを提供していますが、1
グループ 10 名を超える場合は「団体」として別途事前にお申し込みを頂き、受益者負担(有料)
型プログラムを提供しています。団体には担当スタッフをつけ、プログラム内容や時間帯、実施
場所などオーダーメイドで対応しています。
団体指導者が山のふるさと村での団体利用情報を得る手段はいくつかありますが、ほとんどは
ホームページによるものです。そこで、2007 年 8 月にホームページをリニューアルした際、トッ
プページに「団体利用の方へ」という項目を設け、園内で団体利用が可能なことを閲覧者にすぐ
にわかるようにしました。また、団体利用のページには問い合わせ方法や金額、おすすめプラン
などの基本情報だけでなく、
「企業のみなさまへ」
「教員・保育士のみなさまへ」
「学生のみなさまへ」
などの項目を設け、対象者ごとに情報をまとめ、団体利用のさまざまな提案をしています。この
ようなホームページによる情報提供の工夫の成果が、2008 年度の夏期には顕著に表れました。(対
応数詳細は P7 参照)以下、ご紹介するのは、今までほとんど対応がなく、今夏初めて対応をした「企
業向け団体対応」の実施報告です。
●多摩信用金庫:ガイドウォーク・クラフトプログラム対応
8 月 1 日(金)〜 4 日(月)の 4 日間、園内
にて多摩信用金庫(以下、多摩信)主催行事「夏 ったため、どの回も参加者とのコミュニケーシ
ョンが十分にとれ、自然の中で過ごすことの楽
休み親子自然体験 08in 奥多摩」が行われまし
た。この行事は、多摩信用金庫の CSR 活動の一 しさを感じ取ってもらうことができました。
環として、西多摩地域在住の親子を対象に、日 今回の対応では、諸事情により参加者数に対
帰りで山のふるさとを訪れ、半日を過ごすとい して、実施に当たる VC スタッフ数が十分に確
保できなかったため、通常の対応(参加者 15
う内容でした。
ビジターセンターでは、子ども対象のガイド 名につきスタッフ 1 名)のように参加者とやり
ウォークとクラフトプログラム。大人対象のガ とりをしながら進めていくことは難しかったの
イドウォークの 3 種類の自然体験プログラムの ですが、そのような状況で実施したことで、以
下のような知見を得ることができました。
企画・実施を担当しました。
子ども対象のプログラムは、子どもと一緒に
過ごすことを希望している保護者も参加するた ・プログラムに同行する関係スタッフに対して、
め、親子で楽しむことのできる自然遊びを中心 その活動のねらいを伝えることが不可欠(自分
の分身として働いてもらう)。
に実施しました。
・言葉での解説は伝わりにくい。要点をまとめ
大人対象のプログラムは、子どもと離れてのん
びりと自然を楽しむことを希望している保護者 たフリップ等の小道具を活用する。言葉での解
説は、アクティビティを十分に行った後で総括
が参加するとのことだったため、3 時間程かけ
て園内をゆっくりと散策し、その中で自然に親 的に行う。
・フリップ等の解説に使う小道具は複数用意し、
しむアクティビティを実施しました。
子ども対象の 2 つのプログラムは、どちらも 関係スタッフにも携行、活用してもらう。
参加者数が非常に多かったため、十分なコミュ
結果的には、参加者 15 名に対してスタッフ 1
ニケーションをとることが難しい状況でした
名という形が適当だと感じましたが、今回のよ
が、「匂いを嗅ぐ、草笛を吹く等の体験を豊富
うなケースの対応がある場合には、これらの知
にし、言葉での解説を最小限にする」「解説の
際には立ち止まり、縦列の中央で」等のポイン 見を活かして対応したいと思います。
トに注意することで好評を得ることができまし
た。
大人対象のプログラムは、参加者数が少なか
−2−
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
●アサヒビール株式会社:ナイトプログラム・ガイドウォーク対応
アサヒビールが CSR 活動の一環として実施し 「自然界のつながりを知る」ことに置き 換えて
ている「KIDS プロジェクト」に協力しました。 プログラムのねらいとしました。ナイトプログ
KIDS プロジェクト は、諸々の事情により親元
ラムでは、フクロウとアカネズミの関係をテー
を離れて生活している子どもたちを対象にして
マにし、ガイドウォークでは、夜行性の生きも
います。社会と接点を持たせ、将来生きていく
のと昼行性の生きものの棲み分けをテーマにプ
ための社会性を身につ けることを目的に行わ
ログラムを実施。プログラムを連続して実施す
れている活動です。ビジターセンターでは、活
ることで、参加者の発見を後のプログラムで発
動の組み立てや団体が実施するレクリエーショ
展させることができました。
ンの企画などの事前協力、初日(8 月 2 日)の
ナイトプログラムと 2 日目のガイドウォーク対
応を実施。「社会と接点を持つ」という目的を、
団体対応実施報告
7・8 月の団体対応数は表 1 から読み取れるよ
うに、2002 年度からの過去 7 年間の中でも実施
回数・対応人数ともに飛躍的に増加しました。
2007 年度と比べると、実施回数は 1.7 倍、対
応人数は 2.3 倍に増加しています。増加のもっ
とも大きな要因は前頁で紹介した「企業向け団
体対応」があげられますが、企業向けに対応し
た実施回数 32 回、対応人数 988 人を合計数よ
り差し引いたとしても、前年度より実施回数は
1.2 倍、対応人数は 1.5 倍に増加しています。
考えられる増加の要因をいくつかあげてみま
した。
・2007 年度 8 月にリニューアルしたホームペー
ジで「団体利用」について、閲覧者が見やすく、
わかりやすいように実施時の写真を多く掲載す
るなど情報発信を工夫した。
・宿泊予約者に向けて、宿泊関係だけでなく、
ビジターセンターのプログラムについても事前
に資料を郵送した。(キャンプ場サービスセン
タースタッフの協力による)
・館内で「山のふるさと村のホームページ」に
ついて展示を利用して広報した。
いずれも広報の工夫であることから、今後も
広報の重要性を再確認しながら、今夏の実績を
活かしていきたいと思います。
表 1.7・8 月の団体対応数
無料プログラム
有料プログラム
合 計
実施回数
参加者数
実施回数
参加者数
実施回数
参加者数
(回)
(人)
(回)
(人)
(回)
(人)
2008 年度
11
378
97
2347
108
2725
2007 年度
8
288
54
902
62
1190
2006 年度
18
535
23
818
41
1353
2005 年度
11
335
23
691
34
1026
2004 年度
34
670
31
809
65
1479
2003 年度
22
647
14
491
36
1138
2002 年度
8
312
24
406
24
718
−3−
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
表 2.対応団体一覧
プログラム
無
料
スライド上映
プ
ロ
セルフガイド
グ
ラ
ム
ミニトーク
ガイドウォーク
有
料
プ
ロ
ちびっこあ~と
グ
ラ
ム
ミニトーク
ナイトプログラム
おはようウォーク
キャンプ講習
出張プログラム
団体名
東大和地区交通少年団
牛込消防少年団
狛江消防少年団
袖ヶ浦市立根形小学校
ボーイスカウト
イングリッシュクラブ
東親会
本駒込育成室父母の会
多摩キリスト協会
こどもの城
青梅市教育委員会
ナオミ保育園
アリオン音楽財団
NAFA 子育て環境支援センター
NAFA 子育て環境支援センター
地球市民子どもアカデミア
天然社
NAFA 子育て環境支援センター
NAFA 子育て環境支援センター
YMCA
多摩工業高校
多摩信用金庫
多摩信用金庫
アサヒビール
多摩信用金庫
多摩信用金庫
東邦大学
東邦大学
六踏園皐月
中部アドン教室
六踏園皐月
ナチュラル ・ トリートメント
福生市公民館
狛江消防少年団
天然社
多摩信用金庫
多摩信用金庫
多摩信用金庫
多摩信用金庫
西たきすず子供会
袖ヶ浦市立根形小学校
NAFA 子育て環境支援センター
天然社
NAFA 子育て環境支援センター
奥多摩林研
アサヒビール
東邦大学
キリスト教者共同体
六踏園皐月
和泉自由学校
高津 FC
ガールスカウト東京 64 団
京橋消防少年団
福生市公民館
国分寺パブテスト協会
和光鶴川小学校
六踏園皐月
NAFA 子育て環境支援センター
NAFA 子育て環境支援センター
東邦大学
東邦大学
日本女子体育大学
合計
−4−
実施回数 ( 回 ) 参加者数 ( 人 )
1
40
1
30
2
49
1
54
1
10
1
44
1
47
1
75
1
14
1
15
1
15
1
24
4
80
1
23
1
23
2
42
1
13
1
29
1
29
2
48
1
16
4
160
4
100
2
43
4
100
4
100
3
25
3
25
1
14
1
24
1
14
2
40
1
14
2
49
1
13
3
158
3
95
3
99
3
100
1
26
4
54
1
23
1
13
1
29
2
31
2
43
3
25
1
19
1
14
1
15
1
13
1
13
1
18
1
14
3
50
1
16
1
14
1
23
1
29
3
25
3
25
1
300
108
2725
実施日
7/20
7/28
8/22
7/1
7/29
7/30
8/10
7/26
8/6
8/18
7/5
7/8
7/13
7/17
7/18
7/19
7/22
7/23
7/24
7/28
8/1
8/1
8/2
8/3
8/3
8/4
8/5
8/6
8/6
8/7
8/8
8/11
8/21
8/22
8/22
8/1
8/2
8/3
8/4
7/27
7/3
7/17
7/22
7/23
7/30
8/2
8/5
8/7
8/7
8/8
8/13
8/14
8/17
8/21
8/23
8/27
8/7
7/17
7/23
8/5
8/6
7/8
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
重点取り組み事項のふりかえり
2008 年度夏期の重点取り組み事項は「キャン
パーズプログラム広報の効率化と、その効果測
定」でした。
取り組みの内容は、以下の 2 点になります。
1.・キャンプ場受付への案内板の設置。
・ビジターセンター内案内板の内容充実。
2. 初参加者を対象にキャンパーズプログラムを
知った媒体についてのヒアリング調査を行
う。
1 の取り組みで効率的と思われる方法をいく
つか実践し、2 の取り組みではその結果を見る
とともに参加者の実態を把握するという目的で
した。
1 の取り組みを行い、どのような結果が現れ
てくるのかを 2 のヒアリング調査で見たのです
が、その結果、今回改めて取り組んだわけでは
ない「ホームページ」という回答が最も多くみ
られました。この結果から、案内板にはそれほ
ど高い効果が期待できないということがわかり
ました。また、広報形態として、ホームページ
が効果的だということも改めて確認することが
できたため、今後の広報では重点的に力を入れ
ていきたいと思います。
表 3. キャンパーズプログラムを知った媒体についてのヒアリング調査
初参加組数
パンフレット
7 月 28 日ナイト
3
(チラシ)
1
7 月 29 日おはよう
2
1
8 月 2 日ナイト
3
8 月 5 日ナイト
1
8 月 7 日ナイト
1
日付
キャンパーズプログラムを知った媒体(初参加者対象)
実施の様子を
前に来た際に
ホームページ
雑誌・書籍 キャンプ場看板
見て
(詳細不明)
1
1
1
3
1
1
8 月 8 日おはよう
2
1
8 月 8 日ナイト
2
2
8 月 10 日おはよう
1
8 月 10 日ナイト
1
1
1
8 月 11 日おはよう
1
8 月 11 日ナイト
2
1
1
8 月 14 日ナイト
2
1
1
1
1
8 月 18 日おはよう
1
8 月 18 日ナイト
3
3
8 月 19 日おはよう
1
1
8 月 20 日ナイト
7
1
8 月 21 日ナイト
8 月 29 日ナイト
1
1
1
1
※荒天の為中止
8 月 30 日ナイト
合計
1
1
5
1
36
1
10
16
1
−5−
1
3
5
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
夏期のキャンパーズプログラム
夏期のキャンパーズプログラムは、実施回数、
参加者数共に昨年度から減少するという結果に
なりました。この要因としては、1.「天候不良
による宿泊者数の減少とプログラムの中止」2.
「広報展開のミス」等が考えられます。
1. に関しては、8 月に突発的な豪雨が相次ぎ、
それによる宿泊予約のキャンセルと、キャンパ
ーズプログラムの中止が起こりました。このた
め、宿泊者数に対する対応者数の割合(表 4 参照)
は昨年よりもやや増加しています。
2. に関しては、重点取り組み事項のふりかえ
りの欄で触れたように、この夏に行ったキャン
パーズプログラムの広報が成果を挙げるに至ら
なかったという点になります。
天候に関しては対策が難しいですが、雨天プ
ログラムの充実を計ることで室内でのプログラ
ム実施にも魅力を感じてもらえるように努めた
いと思います。
広報展開に関しては、重点取り組み事項の成
果を活かし、ホームページでの広報を重点的に
行うことで改善していきたいと思います。
表 4. キャンパーズプログラム参加者数
おはようウォーク
ナイトプログラム
実施回数
参加者数
実施回数
(回)
(人)
(回)
(人)
7月
6
47
11
58
8月
16
99
21
242
22
146
32
300
33
309
42
484
32
232
48
545
2008 年度
夏期合計
2007 年度
夏期合計
2006 年度
夏期合計
参加者数合計
参加者数 (宿泊者数に対する
対応者数の割合 )
105
(6.0%)
341
(10.2%)
446
(8.7% )
793
(8.3%)
777
(16.0%)
宿泊者向け自然体験プログラムのご案内
山のふるさと村ビジターセンターでは、園内のケビンまたはキャンプ場にお泊りの皆さまに、
夜と朝の自然を案内するガイドツアーを実施しています。奥多摩で過ごす思い出のひとつに、
とっておきの自然体験はいかがですか?
山のふるさと村ビジターセンター
夏のプログラムのご案内
《2008/7/19〜2008/8/31》
ナイトプログラム
夜とともだちになろう。
・自然体験プログラム スケジュール
・特集「はじめての自分になろうMAP」
・キャンパーズプログラムのご案内
夜でも森は眠りません。このナイトプログラムではそんな夜の森
に入り、夜の自然を全身で体験できる1時間のプログラムです。
※内容は日によって変わります。当日ビジターセンターにてご確認下さい。
時 間:
(前期)7 月 19 日(土)~ 8 月 9日(土) 20:00 ~ 21:00
(後期)8 月 10 日(日)~ 8 月 31 日(日) 19:30 ~ 20:30
定 員:15 名
集 合:キャンプ場サービスセンター
受 付:ビジターセンター窓口 ※当日の 16:30 までにお申込みください。
参 加 費:1 名 500 円(3 才未満は無料)
備 考:動きやすい服装・履きなれた靴でお越しください。
9:00
10:30∼
(約15分)
山のふるさと村 開園/ビジターセンター 開館
スライドショー
山のふるさと村の園内の様子や季節の移り変わりをマルチスライドで
ご紹介します。 定員:30名
※クラフトセンター2階のスライド上映室へ、直接お越し下さい。
(サンダルはすべりやすく怪我の原因になる可能性がありますのでお控えください。)
●雨天の場合:室内にて別プログラムを実施する場合がございます。
11:00∼
(約60分)
集合時間と集合場所には変更ありません。
ガイドウォーク インタープリター(自然解説員)が、ビジターセンター周辺の自然を
ご紹介します。一緒に歩くと、新しいなにかが見えるかも。 定員:15名
おはようウォーク
森からもらおう、
朝の元気。
少し早起きして朝にしか見られない景色・空気・音を味わって
13:00∼
(約30分)
ちびっこあ∼と 木の実や葉っぱなどの自然素材を使った、子ども向けのクラフトです。
ご家族の方もご一緒にお楽しみいただけます。 定員:15名 みませんか? 朝に活動する生きものとの出会いもあるかもしれない、
約 1 時間のプログラムです。
※内容は日によって変わります。当日ビジターセンターにてご確認下さい。
時 間:7月19日(土)~8月31日(日) 6:30 ~ 7:30 定 員:15 名
集 合:キャンプ場サービスセンター
受 付:ビジターセンター窓口 ※前日の 16:30 までにお申込みください。
参 加 費:1 名 500 円(3 才未満は無料)
備 考:動きやすい服装・履きなれた靴でお越しください。
14:00∼
(約60分)
14:30∼
(約15分)
ガイドウォーク インタープリター(自然解説員)が、ビジターセンター周辺の自然を
ご紹介します。午後の自然のふしぎを探しにいこう。 定員:15名
ミニトーク
インタープリターが夏の自然、動物、歴史などの楽しいお話をします。
内容は日によって異なるので、何度でも楽しめます。 定員:30名
(サンダルはすべりやすく怪我の原因になる可能性がありますのでお控えください。)
●雨天の場合:開始時間に降っている場合は中止としますが、霧雨程度であれば野外で実
施いたします。雨具を持って集合場所へお越しください。
17:00
ビジターセンター 閉館
17:30
山のふるさと村 閉園
※宿泊者向けプログラムのお申込みは、先着順でお受けしています。 ビジターセンター
窓口へお越しになれない場合は、携帯電話もしくはキャンプ場サービスセンターで電
話を借りてお申込みください。 ビジターセンター Tel:0428- 86- 2551
※上記の自然体験プログラムは、無料でお楽しみいただけます(先着順)。
ご希望される方はビジターセンター窓口にてお申込みください。
10人以上でのお申込みの場合は事前にご相談くださるよう、お願いいたします。
夏期のプログラム案内ちらし
−6−
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
解説業務報告
今夏は、山のふるさと村全体で、開館時間及
び開園時間を 30 分延長する取り組みを行いま
した。またビジターセンターの重点取り組みと
しては「キャンパーズプログラム広報の効率化
と、その効果を測定」することを目標としまし
た。この報告の詳細については、前頁記述の「重
点取り組み事項のふりかえり」をご参照下さい。
解説活動では、通年、限られたスタッフ数で効
率良くかつ質の高い解説業務を心がける事を目
標としています。
日中の自然体験プログラムは、過去 3 年で比
べると参加人数が一部を除いて大幅に増加して
います ( 表 5 参照 )。特にガイドウォークとち
びっこあーとでは、例年の倍近い伸びが見られ
ます。要因としては、団体対応数が伸びたこと
( 特集「団体対応への取り組み」をご参照下さ
い )、来館者が多い時間帯にプログラムのイン
フォメーションを積極的に行った事、定時以外
でも可能であればプログラムを実施した事など
が考えられます。
入園者が例年に比べ減少している中、プログ
ラムの実施回数は過去最多、通常のプログラム
参加人数も概ね増加していることは、この夏の
成果といえます。
表 5. 自然体験プログラム参加者数
入園者
入館者
展示解説
スライドショー
ガイドウォーク
ちびっこあーと
ミニトーク
Jr.Ranger 特別活動
ミニスライドショー
セルフガイド
キャンパーズプログラム
その他
解説総数
2008 年度
(人)
43636
32616
13635
(回)
(人)
44
516
115
1521
78
957
97
665
9
11
3
64
10
224
74
802
10
192
440
18587
2007 年度
(人)
17447
6656
8003
(回)
(人)
32
318
72
828
36
248
59
326
8
9
4
17
9
339
99
1156
319
11244
2006 年度
(人)
52206
44153
19233
(回)
(人)
71
471
80
822
44
425
87
560
23
23
4
31
14
480
91
1212
414
23257
2005 年度
(人)
52853
46148
17401
(回)
(人)
30
384
49
337
23
273
37
534
7
7
6
375
54
560
206
19871
※団体対応も含む
シーズナルレンジャー活動
ビジターセンターでは、例年シーズナルレン
ジャーとしてインタープリター養成研修会(CES
インタープリタートレーニングセミナー)の受
講修了生を対象に実地研修の受け入れを行って
います。この夏期間は、21名のべ132人日
の活動がありました。シーズナルレンジャーは、
研修としての段階を踏みながらビジターセンタ
−7−
ーでのインフォメーション業務や展示解説、自
然体験活動の企画・実施の他、行事や団体の補
助にも当たってもらっています。特に夏期間は、
職員だけでは手薄になってしまいがちな超繁忙
期の来園者対応において、なくてはならない存
在となっています。
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
インターンシップへの協力
例年、ビジターセンターでは、夏休み期間の
大学や各種学校のインターンシップ活動も受け
入れています。この夏は帝京科学大学から1名、
岐阜県立森林文化アカデミーから2名の学生を
インターンシップ制として受け入れました。学
生はそれぞれに「自然公園におけるインタープ
リテーションの取り組み」「自然・文化の特徴
をテーマにしたクラフトワークショップの企
画・実践」「ビジターセンターの展示に関する
調査、作成、来訪者による評価の観察」をテー
マとして活動に取り組み、職員の方で助言・協
力をしました。
ジュニアレンジャー活動
今年度の目標である「継続して参加する意欲
を高めるための工夫」において、上半期は活動
の成果を視覚化することを目指しました。
春期は、展示室のジュニアレンジャーコーナ
ーのリニューアルを実施。特別活動の成果を展
示にしました。夏期は、ホームページのブログ
にて、ジュニアレンジャーを対象とした 4 泊 5
日の自然教室「Jr. レンジャーキャンプ」の報
告を行いました。写真を多用することで、キャ
ンプ中に出会った風景や発見の数々をキャンプ
参加者がふりかえることが出来るよう工夫して
います。また、保護者の方に活動の様子を知っ
てもらう機会になることも期待しています。
今後は、メールマガジンや通信など様々な媒
体で新鮮な活動情報を発信し、活動の意欲を高
めるとともに、ジュニアレンジャー活動の存在
を知らない方へも広く情報が行き渡るように努
めたいと思います。
アクティビティガイドの作成
これまで、初来訪者が増える夏期に合わせ、
山のふるさと村の利用方法や夏期の見所などを
紹介する、パンフレットとアクティビティガイ
ドを兼ね合わせた「サマーガイド」を 1997 年
より毎年作成・発行してきました。10 年間培っ
てきた「サマーガイド」作成の経験を生かし、
昨年度から山のふるさと村新パンフレット(年
間配布型)の作成に取り組んできましたが、今
年 3 月に無事完成いたしました(写真)。
今後は旬の自然情報を盛り込む形で季刊発行
していきたいと思っておりますが、現時点では
予算がない為、今夏は「サマーガイド」の発行
を見送りました。そこで、通常の形式であるア
クティビティガイドにて、自然体験プログラム
を中心に夏期のビジターセンターの活動を紹介
する事にしました。
内容の大きな特徴としては、新パンフレット
に掲載されていない旬の自然情報を特集として
扱い、新パンフレットと合わせて楽しめるよう
にした点です。また、今までは独立したチラシ
の形で紹介していた宿泊者向け自然体験プログ
ラムの案内を、アクティビティガイド内に加え
−8−
ました。同じ一枚の用紙で紹介する事で、ビジ
ターセンターの活動が一目で判るようになり、
複数の自然体験プログラムに合わせて参加する
来訪者の姿も見られました。
山ふる新パンフ「YAMAFURU WALKER」
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
ホームページの充実
昨年 8 月に全面リニューアルをしてから現在
に至るまで、閲覧数は増加傾向にあります。ホ
ームページを見たという方からの電話問い合わ
せも増えていることから、情報提供の場として
ニーズが飛躍的に高まっていることが分かりま
す。団体対応や企業とのパートナーシップ事業、
雑誌やテレビの取材など、ホームページをきっ
かけに新たに発生した取り組みもありました。
このことから、ビジターセンターの活動の中で
も、ホームページの管理は重要度の高い業務と
して捉え、リニューアル後も充実の工夫に努め
ています。
春期は、2008 年 3 月に設置されたライブカメ
ラの動画映像をトップページから閲覧できる形
にしました。動画では、日陰名栗峰をはじめと
した山岳風景の移ろいや、西の空の天候を見る
ことが可能です。散策を予定されている方への
情報提供として、また再来訪を促すきっかけと
して機能するよう、動画の存在を周知させてい
きたいと思います。また、動画映像の導入方法
について他施設の解説員からアドバイスを求め
る問い合わせも。事例紹介として外部へ情報提
供できるよう、導入までの行程を記録して残し
ておきたいと思います。
そして宿泊型の自然教室が続く夏期に向け
て、行事報告を中心にしたブログ「キャンプ
blog」を取り入れました。夏期以降の行事参加
の動機付けとなるよう、行事予定のページから
もリンクできる形にしています。
今後も、利用者の知りたい情報を探りながら、
新鮮な活動情報を発信する場としても活用でき
るよう発展させていきたいと考えています。
表 6. ホームページ閲覧数
毎月の閲覧数/一日の平均閲覧数
2008 年度
2007 年度
2006 年度
4月
8922
297.4
5110
170.3
5276
175.8
5月
10382
334.9
6355
205.0
5237
168.9
6月
10547
351.5
5984
199.4
4418
147.2
7月
16523
533.0
6719
216.7
6510
210.0
8月
18078
583.1
13626
439.5
7768
250.5
表 7. 電話問い合わせ件数
電話での問い合わせ件数
2008 年度
2007 年度
2006 年度
4月
5094
8339
585
5月
7627
8423
587
6月
4838
4346
523
7月
746
4687
1183
8月
15196
7458
1004
(件)
−9−
( 件)
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
展示
●「サウンドウォッチング」
展示「サウンドウォッチング」は、周辺の音
を意識して聞き分ける体験から、山のふるさと
村の自然公園としての特徴を知ってもらうこと
をねらいに作成した展示です。奥多摩湖にそそ
ぎ込むサイグチ沢の存在を知ってもらうことを
目的に、沢の写真から水の音を想像する参加型
の展示など設置。実際に音を確かめに出掛けて
いく姿がみられました。野外で楽しめる生きも
のの鳴き声に注目してもらえるよう、野鳥の声
が再現できる装置や、昆虫が音を出す仕組みと
共通している民俗楽器も設置。普段、展示に参
加することが少ない大人の男性の関心を集めて
いたことが印象的でした。自然の動きが活発に
なる夏期に合わせて音にこだわった展示を作成
しましたが、団体の来所時をはじめ展示室が混
雑している時間帯は、室内で音を楽しむ体験の
難しさがありました。室内での体験を野外でも
試せるようセルフガイドを作成して設置するな
ど、展示のねらいを効果的に伝える工夫を検討
していきたいと思います。
●「クワガタムシ研究室」
2003 年から続けているクワガタムシの参加
型調査の展示です。家族連れが増える夏期は、
虫取り網や虫かごなどを手に持つ来訪者が目立
ちます。また、インフォメーションカウンター
などで、虫の居る場所についての質問が多く寄
せられる季節です。このような傾向から来訪者
の関心が高いクワガタムシを素材とし、自然公
園でのルール・マナーに参加者が自発的に気づ
くような仕掛けを展示内に施しています。
今年は新たな取り組みとして、調査に協力し
た参加者に贈呈する「クワガタムシ研究室 研
究員バッチ」を作成しました。バッチは、総数
73 個が参加者の手に渡り、園内のクワガタムシ
を守る「研究員」として自然のために出来る事
を考えるきっかけとなったようです。バッチを
受け取った後、自主的にクワガタムシを自然に
還す参加者の姿が多く見られました。9 月以降
は今年度の調査記録のとりまとめや参加者の反
応のふりかえりを進め、今後の展示作成に生か
していきたいと思います。
参加者への贈呈品「研究員バッチ」
−10−
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
主催行事の報告
●『子どもサマーキャンプ』 2008 年 7 月 20 日(日)〜 22 日(火)・2 泊 3 日
対象:小学校 3・4 年生 参加者:16 名 担当:菅原・小川
小学 3・4 年生を対象としたキャンプです。
このキャンプのねらいは、「自然と自分の間に
繋がりを感じることで、自然のことを意識して
生活するようになる」としました。
1 日目は導入の日として、自然の中で過ごす
ことに慣れてもらい、2 日目の日中は、自然の
中での過ごし方を体験してもらいながら、徐々
にねらいに向けて自然環境に目を向けるように
進行しました。3 日目最終日には、2 日間過ご
してきた中で気づいた、自然の中で起こってい
る人為的な問題を思い出し、それに対してそれ
ぞれができることを考え、森への約束として書
き留めました。
反応としては、1 日目には昆虫や植物を平気
で踏みつけていた参加者が、最終日には自発的
にその行為を止める様子がみられた等、自然の
中で過ごす時間を多くとったことで、自然を大
切に思う気持ちは確実に育まれていることが見
てとれました。しかし、山のふるさと村の自然
に起こっている問題を知る機会が不足していた
ため、森への約束が「自然を大切にする」「優
しくする」というような抽象的なものが目立ち
ました。キャンプ自体は好評だったのですが、
設定したねらいを顧みると十分に達成している
とは言えないため、具体的な問題を認識する機
会をつくることで改善を図りたいと思います。
●『ちびっこチャレンジキャンプ』 2008 年 7 月 29 日(火)〜 31 日(木)・2 泊 3 日
対象:小学校 1・2 年生 参加者:22 名 担当:小川
今回も例年のちびっこキャンプ同様「自然の
中でのキャンプ生活や自然体験プログラムを通
して心と体で自然を感じ、好きになった自然に
対する自分の感性や思いを表現できるようにな
る。」というベーシックな活動をキャンプのね
らいにしました。今回のキャンプの特徴として
は、ねらいを達成するための 1 つとして、自然
散策のためのワークシートを作成し、使用した
ことです。自然散策の際、何もなくても子ども
達はそれなりの発見ができると思います。しか
し、より具体的な投げかけをすることで、発見
の視点も広がり、自然への興味も沸きやすいと
考えました。『森のはっけんカード』と題し、
木や葉っぱ・地面・生きもの・音・におい・気
持ちいい、という 6 つの項目に分けます。子ど
も達がどの項目でどのような発見をしたのかを
スタッフに話すと、その項目にシールが貼られ
ます。シール欲しさも手伝い、子ども達は自然
の様々な部分に目が行くようになり、スタッフ
も驚くほど様々な発見がありました。また、ス
タッフだけではなく他の参加者にも自分の発見
や思いを伝える姿が見られ、ねらいの達成につ
なげることができました。
次回の 1 ~ 2 年生キャンプへの課題としては、
集中して話を聞くことができるようになること
であり、そのための工夫を考案していきたいと
思います。
−11−
『森のはっけんカード』を使用した散策
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
●『子ども夏まっさかりキャンプ』 2008 年 8 月 10 日(日)〜 12 日(火)・2 泊 3 日
対象:小学校 3・4 年生 参加者:20 名 担当:菅原・原島
今回の小学 3・4 年生対象のキャンプでは、
対象が同じ「子どもサマーキャンプ」のねらい
を大きくは変えず、細部を検討し直して実施し
ました。
「子どもサマーキャンプ」では具体的な問題
を知る機会が不足していたため、「夏まっさか
りキャンプ」では、ビジターセンターを訪れ、
山のふるさと村園内で起こっている問題につい
て解説員に質問する時間を設けました。このこ
とによって、具体的な内容を知ることができた
ため、最終日に行った森への約束も、自然と具
体的なものが出てくるようになりました。例
を挙げると、子どもサマーキャンプでは「自
然を大切にする」「優しくする」といった抽象
的なものが多かったのに対し、今回は「野生動
物にエサを与えない」「野生動物のために、夜
の森では静かにする」など、具体的な約束が目
立ちました。また、「みんなで遊ぶ」という約
束をした参加者もいました。これは自然の中で
遊ぶ楽しさを友だちに知ってもらうことができ
れば、自然を大切に思ってもらえるのではない
か?という発想で、まさに私たちがキャンプで
伝えたかった思いそのものでした。
今後、同じねらいのキャンプを実施する場合
には、山のふるさと村でした約束を、自宅に帰
ってから実践しやすくする方法を考え、キャン
プでの体験がより効果的に働くようにしたいと
思います。
●『ちびっこフィニッシュキャンプ~宿題が終わった子限定~』 2008 年 8 月 24 日(日)〜 26 日(火)・2 泊 3 日
対象:小学校 1・2 年生 参加者:15 名 担当:小川・杉本
今年度 2 回目の 1 ~ 2 年生キャンプは、3 日
間とも雨が降り続く中でのキャンプとなりまし
た。しかし、「自然の原体験を通して、自然の
中で過ごすことを心地よく楽しいと思えるよう
になる。」というキャンプのねらいを達成する
ため、野外料理やテント泊、野外散策は通常通
り実施しました(子ども達の体調面を考慮し、
シャワータイムや室内での休憩を取り入れなが
ら実施)。そのような中で、雨も自然の 1 つと
して楽しんでもらえるような遊びを随時提案し
ていきました。例えば、バケツなどを利用して
雨粒音楽会をしたり、雨粒集めをしたり、雨を
避けて葉の裏などで休んでいる虫を探したり、
雨にぬれた苔の感触を楽しんだりなどです。そ
の結果、雨を嫌がったり飽きたりする子どもは
1 人もおらず、逆に発展した雨遊びを楽しむ様
子が見られました。今回の経験を活かし、終始
雨でも効果的なキャンプが実施できるように、
雨用スケジュールを確立したいと思います。
また、今回のキャンプでは『ちびっこチャレ
−12−
ンジキャンプ』からの目標である「1 ~ 2 年生
が集中して話を聞くことができるようになる」
を達成するために、次のような遊びを開発しま
した。自然の危険事項や礼儀に対してジェスチ
ャーをつけたゲームにし、楽しく覚えることが
できます。これにより、集合の早さ、話を聞く
集中力を格段に上げることができました。これ
は大きな成果と言え、今後大いに利用できるも
のだと考えております。
山ふる解説員通信 No.62 1.上半期の活動報告
●『Jr. レンジャーキャンプ~ちょっと長めの子どもキャンプ~』 2008 年 8 月 17 日(日)〜 21 日(木)・4 泊 5 日
対象:小学校 4 年生~中学生(Jr. レンジャーは 3 年生より参加可) 参加者:17 名 担当:田畑・菅原
本行事は、特に Jr. レンジャーのみを対象に
している訳ではありませんが、例年、行事参加
者はほとんどがリピーターであり、自然体験プ
ログラムの参加等により、園内での自然体験の
経験は豊富です。そのため、本行事では園外の
国立公園内の自然が良い場所を訪ねたり、長い
時間をかけてちょっと挑戦体験や克服体験を加
えたようなステップアップを提供しています。
今回は、東京都最高峰であり日本百名山にも
選ばれている雲取山(2017m)への登山を
大きな内容としました。山小屋に宿泊しながら
の2泊3日の行程(前後に山ふるキャンプ泊:
全体として4泊5日)で、都水道水源林内の尾
根伝いの縦走でした。さらに、ゲストとして環
境省自然保護官(国立公園レンジャー)と東京
都自然保護員(都レンジャー)に同行してもら
い、自然公園内での活動の紹介や、どうしてそ
の仕事に就こうと思ったのか、子どもの頃は何
になりたかったのか等をお話ししてもらいまし
た。子ども達は山や森をあるきながら、また宿
泊した山小屋でもゲストと交流することがで
き、それぞれに奥多摩の自然とそれらを相手に
した仕事、今後自分が取り組みたい事などにつ
いて様々な思いを巡らせたようでした。
上記ゲストの皆さんや、奥多摩地域の各山小
屋施設には、大変お世話になり、ビジターセン
ターの活動として、今後周辺地域の施設や団体・
人材との恊働を進めていく上での一つのモデル
となる行事を実施できたと思います。
雲取山頂にて集合写真
散策路の補修作業
−13−
山ふる解説員通信 No.62 2. 秋期の活動への取り組み
2. 秋の活動への取り組み
展示の更新
今年度の展示は、「自然公園のルール・マナ
ーを楽しい体験を通して知ってもらう」ことを
共通のねらいとして設定し、季節の自然と利用
者層の変化に合わせて作り替えています。秋期
は、来所目的の大半を占める「紅葉」を切り口
にした展示を計画中です。ビジターセンターの
重点取り組み事項として進めている自然情報調
査の経験を生かし、一般の方も気軽に参加でき
る調査体験を設定して展示に取り入れたいと考
えています。展示参加者が調査体験を通じて紅
葉の新しい見方や楽しみ方を得られることを目
標に、また、効率的に行える調査方法の確立に
もなるよう企画を充実させていきたいと思いま
す。
新レンタルボックスの開発
レンタルボックスとは、来訪者が自分たちの
過ごし方に合わせて自然体験ができることを目
的に、いくつかの自然体験あそびに必要な道具
をセットにして貸し出しているものです。これ
まで、通年貸し出しているレンタルボックスか
ら季節限定のものまで、多くの方に利用してい
ただいた人気のあるプログラムです。さらに、
通年貸し出している『のんびりセット(ハンモ
ックセット)』は、夏期繁忙期前にテレビで紹
介されたことにより、夏期は昨夏の約 3 倍もの
貸し出しがありました。私たちは、インタープ
リターを介さずに多数の来訪者へ自然体験を提
供できるプログラムとして、レンタルボックス
の効果の大きさを感じています。更なる効果を
上げるためには、来訪者のニーズに合った新た
なセットを開発することが重要となります。過
去にも何点か開発してきましたが、今回は全体
的なリニューアルを計りました。
今回、新レンタルボックスとして開発したプ
ログラムについて、開発の背景とねらい、セッ
トの中身を表 8 にまとめました。まず、3 つの
セットに共通していることは夜間の貸し出しを
可能にしたということです。近年、山ふるでは
秋冬のケビンサイト宿泊者が増加しており、そ
の多くが長時間室内で過ごしています。来訪者
から夜間貸出し希望があったことも踏まえ、夜
間にレンタルボックスを利用してもらうこと
で、自然体験への促しのよい機会になると考え
てのことです。
宿泊者へ向けたセットは初めての試みなの
で、今後は利用者の反応や感想に注意を払い、
細かく改善していきたいと思います。また、冬
期に向けて新しいセットも企画しています。
表 8. 新レンタルボックス開発の背景とねらい
セット名
背景
ねらい
中身
・旬な自然の塗り絵シート 3 種
・アート的に楽しめるぬり絵を通して、絵の自然物について細部の特徴など
・2007 年度のアンケートに本プログラム提案が数件あった。
にも意識することができるようになる。
『大人のぬりえセット』 ・今大人(特に女性)に「大人の塗り絵」が人気である。
・ぬり絵をした自然物や景色の存在が気になり、散策に出掛けられるように
・秋は紅葉を楽しみに来訪する中高年層が増える。
なる。
・スケッチ用ワークシート 2 枚 ・水の入る筆 ・水彩色鉛筆 ・練習用の紙 ・クリップボード ・銀マット ・ひざ掛け
・ぬり絵の景色(自然物)が見られる
場所地図
・封筒 2 枚 ・便箋 6 枚 ・落ち葉は秋~春にあり、乾燥していてクラフト素材として適して
・葉っぱのこすりだしを通して、葉っぱの細部の特徴や種類の多様さを知る。 ・蜜蝋クレヨン ・筆ペン いる。また、自然への負荷が少ない素材であるという利点がある。
『落ち葉のレターセット』
・葉っぱの形をお土産として持ち帰れるので、家周辺の葉っぱについても
・ポールペン ・クリップボード ・レターセットは、前に実施したときの反応が良く、誰にでも作り
意識して見られるようになる。
・銀マット ・練習用の紙 やすい。
・色固定スプレー
・親の指示で館内で配布しているぬり絵をケビンに持って帰る
子どもが多いが、色鉛筆を持っておらず続きができなくて残念
『森のぬりえセット』
そうである。
・小さな子でも行いやすいぬりえを通して、森の生きものの存在を意識する
・色鉛筆 ・鉛筆削り ・テレビのないキャンプ場では、家族やグループ内でゆっくりと
ことができるようになる。
・消しゴム ・紙芝居の台 した時間がとれ、お互いにじっくりと向き合える時間となる。 ・ぬりえは紙芝居として楽しめるようになっていて、その紙芝居や絵本を読む ・山ふるに関するぬりえ ・子どもに日常的に絵本を読んであげる家庭が多い。
ことで、 山ふるの生きもの(自然)に興味を持つようになる。
・ビジターセンターで紹介している自然に関する絵本を興味深く
読む大人の姿をよく目にする。
−14−
・動物をテーマにした絵本
山ふる解説員通信 No.62
3. はっぴーレンジャーの体験記 vol.12from Banff
「はっぴー」こと会田祥子さんは、2006 年 4 月 23 日よりカナダのアルバータ州バンフ国立
公園のサポートNPO、Friends of Banff National Park のスタッフとして働いています。
そんなはっぴーから、解説員通信 N o .47(2004 年 12 月発行)より紹介されてきた『はっぴー
レンジャーの体験記』ですが、今回をもって終了となります(終了の理由は本文中に書かれて
います)。ハワイ・カナダでの貴重な体験やエピソードを楽しく伝えてくれていただけに、と
ても残念ですが、様々な経験をしてさらにパワーアップしたはっぴーのお話を楽しみにしてい
たいと思います。
カナダのバンフからこんにちは、はっぴーです。日本の皆さんと同じく、繁忙期の夏
を終えてほっと一息ついているところです。紅葉ツアーでバンフに立ち寄るお客さんや、
この時季に多いヨーロッパからの中高年旅行者がまだまだ町をにぎわせているとはいえ、
日に日に静かになっていくバンフの町の様子が、すぐそこまでやってきている冬の存在を
感じさせます。
さて、私の 2 年と半年を過ぎたカナダ・バンフ暮らし、ちょっとした転機をむかえよう
としています。インタープリテーションの仕事を海外の大自然の中でしばらく体験した
い、という思いで仕事を見つけ、数年の予定でカナダにやってきたわけですが、気づいた
らこの国の自然とナチュラルなライフスタイルに惚れ込んでしまっていました。そんなわ
けで、現在移民申請と 2009 年後半からの転職に向けて動いています。これからしばらく
インタープリテーションはお休みして、自分自身の旅、アウトドア、自然体験をもっと追
及していくつもりです。そして自分の懐がもっともっと大きく深くなって、たくさんのま
だ見ぬ自然と出会って、期が熟したころに再びパワーアップしたインタープリテーション
を始められたら、と思っています。長らくご愛読いただきありがとうございました。近い
将来、この地球の大自然の中で皆さんと再会することを楽しみにしています!
To Experience the most, that life has to offer・・・・・
<オマケ>
これが前回の『ビジターのおかしな質問集』
の記事で波乱を呼んだ(?)ウワサのバンフ町
のゴミ箱ステッカーだ!!さぁ、あなたはこの
2 匹の熊をどう見る!?ほほえましい親子の図
か、それとも・・・。
●はっぴー=会田祥子
第 19 回 ITS 受 講。 山 の ふ る
さと村ビジターセンターで
シーズナルレンジャー活動
後、渡米。ハワイイボルケー
ノ国立公園でボランティアイ
ンタープリターとして活躍
後、一昨年 4 月より拠点をカ
ナダバンフ国立公園に移す。
−15−
山ふる解説員通信 No.62
2008 年 10 月 AIJ 小林 毅
インタープリターの視点 No.50
「共感」をねらいとしたプログラム
インタープリテーションは、「さわれないこと(意味や価値、メッセージなど)」を伝える作業で
す。最終的に伝えたいことは抽象的・概念的なことが多いので、手法として「さわれるもの(情
報や事例、体験など)」を通して聞き手(受け手)に「イメージ」してもらうことになります。別
の言い方をすると、どのようにして聞き手に「共感」してもらうか、ということになるでしょう。
共感が起きるためには、提供される素材(さわれるもの)が聞き手の経験や感性に響く材料にな
るかどうかが重要で、聞き手が「チューニングされていない(レベル調整がされていない)」状態
だと、なかなか共感が起きません。チューニングされている、というのは、「音叉」を共鳴させる
ために、同じキーの音叉を使う、ということに似ているかもしれません(違うキーの音叉だと共
鳴しません)。
インタープリテーションは、チューニングされた状況を作り、「具体的なイメージを連想できる
言葉」を使ったり、「一緒にある作業を体験(学習)」したり、「イメージに結びつく事例」を示し
たり、「やりとりをしながら少しずつイメージに近づく」ことをするなどの様々な方法によって、
共感が生まれるように工夫されるわけです。
これまでに認知されたことがある概念については、以上の方法で何とかなるのですが、多くの「伝
えたいこと」には、それまで聞き手が認知したことがない、という「認知ギャップ」があるもの
なので、共感に達する前に「感覚的に飛び越える部分(感覚的ジャンプ)」が必要になります。こ
の感覚的ジャンプをどのようにして起こしたらよいのでしょう?これが解決しないと、本当に伝
わった、といえないのではないか、とすら思えてしまいます。
そんなこと(共感力を刺激するプログラム)を考えていたら、既存のプログラムで、進め方に
よって、以上に相当すると思われるものがあったので紹介しておきます。他にどのようなプログ
ラムがあるでしょうか?
①「感じって漢字」
自然現象などをとらえて、オリジナルの漢字を創るプログラム。創作した漢字がどんな状
況を表現したのか、それを何と呼んだらいいのか、を当てっこする。
②「くりかえし言葉を探せ(原題:森の擬音まつり)」の応用
指導者がオノマトペを出題するのではなく、参加者がさがしてきて、それがどこをさして
いるのか、当てっこする。
概念
共感が起こせる
か?
事例等
同じ概念?
図 .1 共感をもたらすIP
発行:東京都立奥多摩湖畔公園 山のふるさと村ビジターセンター
〒 198-0225 東京都西多摩郡奥多摩町川野 1740
TEL:0428-86-2551 FAX:0428-86-2316
E-mail:[email protected] URL:http://www.yamafuru.com
企画・編集:自然教育研究センター 2008 年 10 月発行
−16−
<編集後記>
濃厚だった夏休みって、ほんの 1 ~ 2 カ月前
のことなのに、もう大昔のように感じます。そ
れだけ 9・10 月も刺激的で濃厚だったというこ
となんですね。(小川)