100 年続く会計事務所を目指す 若手・二代目税理士の抱く 将来ビジョン

100 年続く会計事務所を目指す
若手・二代目税理士の抱く
将来ビジョン
埼 玉 県
川 口 市
税理士法人倉持会計
埼玉・川口市を拠点に事業展開する税理士法人倉持会計。先祖代々、川口市に根ざし、地
元企業の支援、地域の発展に大きく貢献してきた。同法人の将来の後継者として現在、関与
先企業を飛び回っているのが倉持佳先生だ。自分と同世代の若手経営者をサポートすると共
に、地元の発展に対しても熱い想いを持って取り組んでいる。同氏のこれまでの歩みと、今
後のビジョンについて語ってもらった。
アメフトに打ち込んだ学生時代
戦略構築の経験が今に活きている
昔は自宅が会計事務所とつなが
うと決めていました。卒業発表会
バックという司令塔のポジション
っていたので、小さな頃から父の
で「 将 来 は 税 理 士 に な り た い!」 だったので、相手の裏をかいてタ
働く姿を間近で見ていました。で
と発表したことをよく覚えていま
ッチダウンを狙う、といった試合
すが、具体的にその中身まではわ
す。あの頃には既に「いずれ父の
の戦略から、そのためのチーム全
かっていませんでした。ただ、事
事務所を継ぐんだろうな」という
員の動きを私が考え、指示しなけ
務所にいらっしゃるお客様が父の
意識が心のどこかにあったと思い
ればなりませんでした。
ことを「先生」と呼んでいたので、 ます。
何かを教えているんだろうな、と
いうことは理解していましたね。
その後、高校に進学してからア
もちろん、試合中は相手選手の
表情、味方選手の表情なども見て、
メリカンフットボールを始めて、 「味方が疲れているからこのプレ
税理士の仕事を意識し始めたの
学生時代はずっと打ち込んでいま
ーは今使えないな」とか、常に状
は、小学校3年生くらいで、小学
した。当時は常にアメフトのこと
況を把握しながらチーム全体をマ
校を卒業する頃には税理士になろ
を考えていましたね。クォーター
ネジメントしなければなりません
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BIZUP ACCOUNTING OFFICE MANAGEMENT REPORT
事務所レポート
でした。
大学を卒業した後も社会人チ
ームに在籍し、アメフトを続けて
いました。私がその当時所属して
いたのは、すごく強いチームとい
うわけではなかったので、格上の
強豪チームに勝つために、選手個
人のタレント性をどう活かせばチ
ームが最大限の力を発揮できるの
か、ということを毎試合、相手チ
ームに合わせて考えなければなり
ませんでした。
今の私の会計事務所も大きい事
務所ではありませんから、現状の
体制でできることは何なのか、と
いうことを常に考えなければなり
ません。そういう意味では、アメ
フトと会計事務所は全く違うよう
ですが、試合や経営に関して戦略
構築をするという点では共通して
います。アメフトで経験したこと
が今の私の仕事で大きく活かされ
ているということです。
和太鼓に打ち込み、コンクールにも出場
周囲との調和の大切さを学ぶ
私は 30 歳でアメフトを引退した
はそのチームに所属しているわけ
まうと、周りとの調和が取れませ
のですが、その年に日本でもトッ
ではなかったのですが、なんとそ
んので、自分の演奏に集中しなが
プクラスの「志多ら」という和太
の和太鼓のチームの代表と知り合
ら周りの音も聞かないといけませ
鼓チームに出会いました。彼らの
いだということで、その方を紹介
ん。これが仕事にも役立っている
演奏会に行っているうちに、和太
してもらい、チームに入れてもら
な、と感じています。仕事でも自
鼓の素晴らしさに魅せられてしま
えることになりました。
分だけが突っ走ってしまうとあま
い、自分でもやってみたいと思う
今年1月から本格的に練習に参
ようになったんです。そして去年
加し始め、3月には初めてコンク
人の意見を聞きながら、周りの状
の夏、地元・川口の「たたら祭り」 ールに出場したのですが、これか
況もきちんと把握しなければなり
という大きなお祭りで和太鼓の音
らはもっと積極的にやっていきた
が聞こえてきたので、音のする方
いと思っています。
り良い結果にはなりませんよね。
ません。
和太鼓を通じて仕事に対する周
に行ってみたらたまたま同級生に
和太鼓は周りとの調和が非常に
声をかけられたんですよ。彼自身
大切です。自分だけが先走ってし
囲との関わり方について、とても
深く考えさせられました。
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地元を盛り上げ日本を良くしたい
があったなと思います。
積極的に若手経営者を支援
った頃の日本はいわゆる超氷河期
私が初めて就職し、社会人にな
時代でした。そのため私は、会社
私は税理士としては非常に若い
か」ということからお話しします。 に入ったからには少しでも日本経
部類に入りますので、地元・川口
それから採用のお話などをして、 済が良くなるよう貢献できる働き
でも若い経営者に対する支援を積
人が増えれば「どのようなルールを
をしたいと強く思っていました。
極的に行いたいと思っています。
決めれば経営が円滑に進むか」とい
10 年以上経った今でもその気持ち
実際に、弊社では 20 代後半で独
ったことなどを順にアドバイスし
は変わっていません。ただ、日本
立されたお客様も多くいらっしゃ
ていきます。中には開業2年目で
を良くしようと考えたとき、まず
います。しかし若い経営者の方々
売上5千万円、利益800万円と、 は地元を盛り上げないと日本全体
は、独立したものの、何からスター
素晴らしい実績を出しているお客
に広がらないと考えるようになり
トするべきなのかをよくわかって
様もいらっしゃいます。自分がア
ました。だからこそまずは、川口
いないという場合が多いです。な
ドバイスしたことを素直に実行し
を盛り上げ、そこから徐々にステ
ので、まずは本業が軌道に乗るよ
て下さって、それが結果に結び付
ップアップしていきたいと思って
うに、
「どうやったら売上が上がる
いたとき、アドバイスをしたかい
います。
変化に素早く対応し、守るべきものは守る
てもらうという狙いもあります。
100 年続く会計事務所を目指す
10 年先のこともほとんど想像がつ
非常に変化の早い時代になり、
かなくなっています。ですが、変
私は弊社を 100 年続く会社にし
農業研修を行っています。人間の
化にはしっかり対応していかなけ
たいと思っています。そのために
基本は食であり、それを支えてい
ればなりません。
は、スタッフが経営理念などを次
るのは農業です。農業をしている
しかしその一方で、人として大
の世代に伝えていけるように教育
方がどれだけ大変か、それを体験
切な、守るべきものをしっかり守
する必要があると考えています。 してもらいたいと思っています。 っていくこともとても重要です。
その点では、まっさらな状態で入
また、農業は頭を使わないと効率
それらを踏まえた上で、地域の皆
社してくる新卒は理念等も素直に
良く作業が進みません。どういう
様から「あの会計事務所は地域に
理解してくれますし、吸収も早く、 手 順 で 作 業 を す れ ば 効 率 的 な の
貢献しているよね」と言ってもら
教えがいがあります。
か、そういった仕事をする上で基
えるような会計事務所にしたいと
本的なことを考えるきっかけにし
考えています。
弊社では研修として、毎年必ず
倉持 佳 先生
税理士法人倉持会計 副代表・税理士
埼玉県川口市生まれ。明治学院大学卒業。明治安田生命を経た後、税理士試験合格。現
在に至る。元アメフト選手で、ポジションはクォーターバック。過去申請した創業補助
金採択率 100% !
【ビズアップ総研 DVD コンテンツ】
「[地域需要創造型]創業補助金パーフェクトガイド」
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