第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -1- 医療法人社団 飯盛会 広報誌 や ま ば と 山鳩 大自然の中で、群れることなく、力強く生きる山 鳩、飯盛に生息し、私達を見守ってくれている山 鳩、そんな山鳩のように患者様を見守り、力強く応 援していきたい、そして山鳩のように患者様に力強 く社会に飛び立っ ていただきたい・・・・そんな願いを こめて広報誌『山鳩』は生まれました。 (倉光病院正面玄関) 理念 慈愛と奉仕の精神で 心安らぐ医療と福祉を提供し 地域社会に貢献します 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -2- 年頭のご 年頭のご挨拶 のご挨拶 飯盛会理事長 倉光病院院長 倉光かすみ 倉光かすみ 新春のお喜び申し上げます。 昨年は皆様のご協力のもと、アルコール専門病棟を具体化するための第 一歩を踏み出しました。病棟を移動しただけではあるのですが、かなりの良 い変化が生まれ、私自身も驚いております。 病院全体からすると、各々の疾患比率が変わったわけではありませんが、建物自体が及ぼ すもの、そして何よりそこに療養する方々がお互いに及ぼすものがこの良い結果を生んだの だと考えております。 今年は更に治療プログラムを充実させ、当院の驚異的な回復率(平均の5割り増し)を更に 伸ばしていくつもりでございます。また、患者数が増えることによってもその回復率が低下し ないように、入院相談から退院後の充分なケアまで、一連の流れの整備をしていきたいと思っ ております。 更なるご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。 年頭に 年頭に思うこと 倉光病院診療部長 上村敬一 あけましておめでとうございます。 昨年、世の中は多くの偽りと破壊に、失望と不安がぬぐいきれない日々が続 いたような気がします。翻って私自身、この数年来の混乱の日々に、患者様や ご家族、そしてスタッフの皆さんに迷惑ばかりかけてきました。 ようやく最近、少しずつですが、落ち着いた気持ちで物事に取り組めるよ うになってきたように感じます。それは、なにより多くの縁によって生かされ ているのだと言うこと、互い支え合って生きていること、つながって生きて いると思えるようになってきたからです。自然とすべてのことにも感謝する気持ちも生まれて きます。 そう思うと力ずくで闘ったり、また早々に失望し悲嘆するこ となく、ちょっとは辛抱強く待ってみたり、あるがままに受け入 れたり、折り合ったりということを感じる今日この頃です。そう すれば偽ったり壊したりするのでなく、新しいものが創造でき る力が生まれる気がします。 新しい年を迎えることができたのも皆様のおかげです。 心より感謝申し上げます。 今年一年もどうぞよろしくお願いいたします。 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 新年のあいさつ 新年のあいさつ -3- 倉光病院看護部長 山田ひづる 山田ひづる あけましておめでとうございます。 2008年、平成もあっという間に20年でございます。 時の流れの速さが身にしみます。 1日24時間、時間は皆に平等でしょうか。 時間以外で自由になる時といったほうがよいかもしれません。 「時は金なり」と誰でもが知っている言葉があります。 職場では職場の人たちと、家庭では家族や友人、近所の人たちと 一日を大事に一分一秒をさらに大事にと、歳を重ねてきたためか最近とくに考えます。 今年の私のテーマは「まっすぐ」 ありのまま、まっすぐな気持ちで自分らしくありたいと思います。 今年もよろしくお願いいたします。 新年明けましておめでとうございます 新年明けましておめでとうございます 倉光病院事務部長 福澤真人 今年は、4 月に援護寮をグループホーム(共同生活援助)へ変更をいたしま す。それから、診療報酬改定も行われます。診療報酬改定については、本体 部分ではプラスとして予定されていますが、薬価も含めた全体ではマイナ ス改定になるようです。 厳しい状況が予想されますが、“患者様の視点にたった医療”と“地域との連 携”が行える環境作りに役立ちたいと思っております。 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 新年明けましておめでとうございます 新年明けましておめでとうございます 飯盛会 援護寮「 援護寮「虹」施設長 倉光鎌三郎 ご利用者様、関係機関の皆様にはご家族共々ご清祥に新年をお迎えのこと と拝察申し上げ、お慶び申し上げます。旧年中は、日ごろより、みなさまから お引き立てを賜り、誠にありがとうございました。当施設も無事、九度目の正 月を迎え得ましたこと、ひとえにご厚情によるものと深謝いたしておりま す。 今年 4 月より、当施設はいよいよ障がい者自立支援法に基づき、援護寮から グループホームに移行いたします。こうして当施設は、社会のニーズを踏ま え、社会においての役割をより一層果たしていける施設になると確信しております。 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -4- デイケアフレンズより デイケアフレンズより 新年のごあいさつ 新年のごあいさつ あけまして おめでとうございます。地域生活支援課の山口と申します。 旧年は、精神科一般デイケアプログラム・アルコールデイケアプログラム共に プログラムを見つめなおし、少しでもよいものになるように改編いたしました。 デイケアフレンズは、通所メンバーさんはもとより、楽しく・個性豊かなスタッフのおかげ で、とても明るい雰囲気です。 そればかりでなく、とても優しく、私はいつもいつも助けていただき、とても感謝していま す。 この場をおかりして、助けてくれているスタッフに、また、改編時には一緒に考えてくださっ た、メンバーの方々にお礼を申し上げます。 私事になりますが、私の今年のテーマは“感謝を忘れない・・・”です。 なかなか難しいテーマではありますが、1 年かけて取り組んでいきたいと思っております。 最後になりましたが、本年も何卒よろしくおねがい申し上げます。 社会復帰支援部 地域生活支援課マネージャー 地域生活支援課マネージャー 山口淳 山口 デイケアフレンズ デイケアフレンズクリスマス フレンズクリスマス会 クリスマス会&忘年会 2007年12月20日(木曜日)デイケアフレンズではクリスマス会が盛大に行われました。 デイケアフレンズのクリスマス会は、スタッフとメンバーが一体となって作り上げます。 メンバーはいくつかのグループを作り、クリスマス会の1ヶ月以上前から 演目の打ち合わせ・練習を行い、クリスマス会に挑む!という感じです。 バナナの叩き売り 高校3年生 これ以外にも、 たくさんの素晴らしい出し物がありました☆ 午後からは忘年会を引き続き開催し、 ビンゴ大会やカラオケ大会、 スペシャルゲスト!?によるプレゼントなど、 たくさんの楽しい事が目白押しの一日でした。 今年の12月がもう既に待ち遠しい フレンズ一同です。 おしりかじり虫 スタッフによる劇 『白雪姫』 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -5- 新年明けましておめでとうございます 新年明けましておめでとうございます。 けましておめでとうございます。 私たち家族会委員は、毎月ご家族に向けて「家族懇談会」を開催しております。それは、患者様の健 康にはご家族の健康も欠かせないと考えているからです。「家族懇談会」で目指しているのは、ご ご家族 への情報提供 への情報提供と 情報提供と癒しです。一人では抱えきれない思いや感情を、同じ思いをしてこられたご家族同士 で話してみませんか? ただ、毎回参加者が十数名と少ないのが残念です。一人でも多くのご家族に 元気になって頂きたいという思いを抱きながら、今年も「家族懇談会」を続けていきます。いつも来て 下さっている方、まだ来られたことがないという方、本年もよろしくお願いいたします。 家族会委員長 中山智美 テーマは『OT OT( 作業療法) 活動体験』で、作業療 活動体験 OT ( 作業療法) 法士の山本を中心に、ご家族、患者様、スタッフが 一緒に「野球盤ゲーム」という活動を行いました。 とても盛り上がり、参加されたご家族は、「楽しか った!」「楽しそうな笑顔が見られたのが良かっ た」と皆さん仰っていました。いつも色々な活動が 体験できるこの機会。これからもたくさんの方が 参加して、ご家族自身が楽しい体験をして頂きた いと思います。 (中山) 「デイサービスセンターいいもり デイサービスセンターいいもり」 見学 いいもり」の見学を行い ました。「いいもり」のスタッフである社会福祉士の 森澤が、見学を通じてご説明をさせて頂きました。 具体的には、送迎、食事の提供、レクリエーション活 動、入浴の援助など、サービスの内容について話 しをさせて頂いております。 今回参加することができなかった方も、お気軽 にお尋ねください。 (田村) 各病棟、 各病棟 、 医療福祉相談科、 医療福祉相談科 、 訪問看護科の 訪問看護科 の 紹介を 紹介 行いました。今回のテーマに多くの関心を持って頂 き、特に精神保健福祉士の認知度や重要性につい てのご意見や 2 病棟の SST、コミュニティーミーテ ィングについてのご質問を頂きました。 新しく家族会委員となり、ご家族が何を望んで いるかを今後も検討し、より良いものを提供するこ とで、ご家族との関係も築いて、これからの看護に 活かしていきたいと思っています。 (名和田) 2 病棟マネージャーから「家族 家族の 家族の対応について 対応について」 について という内容で講話をさせて頂きました。経験談を 交えつつ、分かりやすい内容で、たくさんのご家族 に参加して頂き、ありがとうございました。 座談会では、院内に掲示してあるポスターを見 て、初めて参加されたという方もいらっしゃいまし た。家族懇談会の認知度がまだまだ低いことを感 じ、今後も広報活動を続け、たくさんのご家族に参 加して頂けるよう取り組んでいきたいです(田村) 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -6- エルダー課 エルダー課より あけましておめでとうございます! あけましておめでとうございます! さてみなさん、今年はどんな年にしたいでしょうか? 去年のエルダー課は猪年らしく、ズバリ!「猪突猛進」の年でした。 “デイサービスいいもり”の開所、 “学習療法の導入”など、エルダー課一丸となって 取り組んで参りました。 今年は、ねずみ年です。去年、勢いよかった部分を、細かくチェックし、職員一同“熱 い心”でより良いものにしていきます。 皆さんにとっても、素晴らしい年となりますように! 今年もどうぞよろしくお願いいたします。 社会復帰支援部 エルダー課 エルダー課マネージャー 今井昌子 ♪重度認知症デイケア桜・デイサービスいいもり クリスマス会 ♪ 12月24日に、デイケア桜、デイサービスいいもり合同で、 利用者さま、ご家族様、職員でクリスマス会・忘年会を開催し ました。会では、 「歩こう会」年間敢闘賞の表彰も行われ、一年 の功績をたたえました。余興では、本物と見間違うかのような 昭和のヒット歌謡曲で、職員が華麗な舞台を披露し、参加され た皆様から拍手喝采を浴びました。元気一杯に2007年を終 えることができ、新しい年に向けて準備ができたようです。飯盛会にとっても、皆さんに とっても素晴らしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。 ☆★☆ 病棟 クリスマス会 ☆★☆ “メリー☆クリスマス!!”という声と共に12月13日(木)にクリスマス会が 開催されました☆「飯盛保育園」から園児たちが遊びに来てくれ歌と踊りを 披露してくれたり、デイケアフレンズのハーモニーのメンバーが綺麗な歌声 を披露してくれたり♪♪とても楽しい時間で した♪♪又、今年は各病棟、Stの出し物もあ り、2階は“あわてんぼうのサンタクロース”な どのコーラス♪♪3階は二人羽織、そして4階 は「水戸黄門」の劇とこの日のために練習を し、すばらしいものを披露してくれました☆ 笑いあり、感動ありと、皆で楽しい時間を過ごせたのではな いでしょうか☆(^ ^)/ 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 -7- 【4病棟の巻】 平成19年 10 月に倉光病院 は、各病棟をその治療的特徴 にそって病棟改編を行いまし た。 4 病棟は、当院の 3 本柱の一 つである「アルコール治療プ ログラム」を主に行う病棟と なりました。そうして新たなス タッフも加わり、怒濤の 3 ヵ月 が経過しました。この間の苦労 話も含めて、4 病棟の安藤マ ネージャーに語っていただき ます。よろしくお願いします。 アルコール病棟 アルコール病棟になってからの 病棟になってからの 4 病棟について 病棟について (看護部 4 病棟マネージャー 病棟マネージャー 安藤智子) 安藤智子) 10 月 4 日の病棟間の引越し後、4 階はアルコール病棟になりました。 今まで高齢者で認知症の患者様や、統合失調症で長期入院の患者様と共に、閉鎖病棟の空 間で治療に関わってきた私達にとって、スタッフルームの鍵がかかってないことに慣れるまで しばらく時間がかかりました。今でも昔の習慣で、ドアを施錠しそうになることもあります。癖っ てなかなか抜けないものですね。 それとアルコール病棟となり、いきなり以前と比べ平均年齢 もぐっと下がり、若い患者様をみるのも久し振りで緊張します。 患者様が、真剣にプログラムを受けている姿をみるとスタッ フも「一緒に学習しなければ」という気持ちになります。断酒す る為にプログラムに打ち込んでいる姿は、素晴らしいものがあ ります。 今はまだ、精神一般の患者様もいらっしゃいますが、スタッフ には是非プログラムに参加して、患者様の生の声や姿をみて 欲しいと思います。4病棟がアルコール患者様で満床になるこ とを信じて、私達スタッフが全員治療者となり、患者様にかかわ れるように今後も努力して行きたいと思います。 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 第2回院内研究発表会報告 -8- (教育・接遇委員会委員長 今井昌子) 平成19年 12 月 8 日に、第2回目の院内研 究発表会が、認知症デイケア桜で開催されま した。 6 部署から 7 演題が発表され、一年間の研 究発表が行われました。去年より演題数は少 なかったものの、内容や質疑応答も充実して おり、職員の意識の高さや成長を感じること ができました。今後も教育接遇委員会を中心 に、院内研究発表会を職員全員の研鑽の場と して継続し、飯盛会全体を盛り上げて行きたいと思っております。運営準備をされた委員 の皆さん、参加された職員のみなさん、お疲れ様でした。 発表内容は厳選に審査され、優秀な研究発 表は表彰されます。今年は以下の通りでし た。 一位「学習療法を導入して:現状と成果」 重度認知症デイケア桜 原田啓子 他 二位「自主運営活動『ぐるーぷ』のその後」 デイケアフレンズ 速水 歩 他 三位「事例検討~退院支援を通して~」 医療福祉相談科 倉重光枝 他 院内研究発表会に 院内研究発表会に参加して 参加して (看護部 2 病棟マネージャー 病棟マネージャー バーギー智美 バーギー智美) 智美) 明けましておめでとうございます。 新年という感覚が毎年薄れていくように感じるのは私だけでしょうか。 小さい頃、正月は特別な日でしたが、今では大晦日の紅白歌合戦や、三社参り、おせち料理を 見て正月が来たなあと思う程度に感性が鈍っています。 忙しさが時間を追い越しているのかも… 気持ちを入れ替えて新しい年を意味のあるものにしたいと思います。 さて、研究発表に関しては各々の部門が、工夫と心労 の一年間を振り返っての発表だったと思います。同じ患 者様でも、部署が違うと見つめる視点や感じ方、考え方 も違い、改めて考察することができました。 また、他部署の活動に関しての私の理解不足、たとえ ばデイケアの具体的な内容などを、改めて認識するこ とができました。そして、他部署がどのような取り組みと 目標を上げているのかを知る良い機会になりました。適度な疑問と刺激もあり、若い方々が発 表する姿は、今の飯盛会の活気と意欲を感じさせます。 今年は、2 病棟もじっくり課題に取り組み、研究成果を発表したいと思います。 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 SST 講習会報告 -9- (臨床心理科 窪田佳美) 窪田佳美) 「実践 SST スキルアップ読本」などの著者であり、SST 認 定講師として全国的にご活躍の土屋徹先生をお招きして、 12 月 4 日(火)SST 研修を当院で行いました。 当日は院長、上村先生、山田看護部長、をはじめ約 40 名のスタッフが参加しました。 SST(Social Skills Training)は、社会生活技能訓練と 訳され、精神障害を持つ人たちが社会の中で受けるストレ スに対処していく力をつけ、地域生活を維持していくため に用いられる、心理社会的リハビリテーションの 1 つです。 もともとはグループで行うものですが、今回の研修では、グループとして行う SST だけでなく、 1 対 1 看護への応用も取り上げていただき、大変参考になりました。 入院してすぐの患者様は「早く退院したい」と言われ ます。しかしいざ退院となると、「退院するのが不安」と 言われることが多いです。そのとき私達スタッフは、「い かに社会の中で受けるストレスが多いのか」を痛感させ られます。私達は政治家ではないので社会を変えるこ とはできませんが、患者様が社会で生活する能力を身 につけるお手伝いをすることはできます。そのための勉 強にゴールはないと思いますので、こういう機会を絶 やしてはいけないと感じました。ご参加いただいた皆様、 おつかれさまでした。 最後になりましたが、準備・当日の運営などでご協力いただいたスタッフの皆様、また講義を していただいた土屋徹先生、企画にご協力賜りました精神看護出版「精神科看護」編集長鈴木 庸氏に心より感謝申し上げます。 SST研修 SST研修の 研修の感想 (看護部3 看護部3病棟マネージャー 病棟マネージャー 川上恵子 川上恵子) 恵子) みなさんあけましておめでとうございます。 おかげさまで無事に新しい年を迎えられたことに心から感謝し たいと思います。 さて昨年12月4日に実施されました土屋徹先生のSST研修の 感想を、簡単ですが述べさせていただきます。まずは印象に残 ったこと。土屋先生のわかりやすく聞き易い口調にとても親し みを感じました。私たちの職業は、まず患者様に受け入れられ なければなりません。そのためにも、表情、声のトーン、話し方 は大事な要素になり、土屋先生の口調をまずは参考にしなければと感じました。 SSTとは、身構えて実施されるものではなく、普段の看護や介護、身の回りのお世話から自 然に提供しているのだと土屋先生は話されていました。挨拶がうまくできず素通りしていく・・ 会話の中に突然入ってくる・・患者様にはそんなコミュニーケーションが上手くとれない方が 多々いらっしゃいます。そんな時、私たちがモデルとなりやってみせるという何気ない行動か ら、すでにSSTが始まっていることを理解しました。今後、幾通りもの役が何気なくこなせる人 間性や専門性も求められています。今年は、多様性が発揮できる自分にチャレンジしていきた いと思っています。 第17号 平成20年1月 海外研修報告 飯 盛 会 - 10 - (精神科デイケア 精神科デイケア『 デイケア『フレンズ』/ フレンズ』/福田智恵子 』/福田智恵子・ 福田智恵子・中山智美) 中山智美) 私たちは、2007 年 10 月にアメリカ合衆国アリゾナ州のツーソンという場所にある、AMITY (アミティ)という薬物依存症者の更生施設を訪れました。そこは薬物依存症の人たちが、回復 に向けてのカリキュラムをこなしながら、共同で生活している所で、スタッフもほぼ全員が、ア ミティの出身者(つまり薬物依存症の当事者)だということでした。 まず、アミティにいる多くの人が、幼少期の虐待を 経験していること、また、日常の社会生活に薬物が蔓 延しているという現実を目の当たりにし、そのような 環境の中で回復を目指さなければならないという“回 復の重み”を痛感しました。 アミティでは、全てのミーティングを円(サークル) になって行います。毎日のミーティングや、性別、特定 の問題を抱えたメンバー同士、またファミリー同士な ど数々のミーティングがあるのです。そこでは全員が 「正直さ」を持ち、サークルという「聖域」を侵さないこ とを前提に、自分自身のことを自分の言葉で語ってい ました。 ここで最重要視されているのが、「情緒の言語化」 です。自分の経験やその時の感情を抑圧しなければ生 きてこられなかった人達は、自己嫌悪に陥ったり、また、 “痛み”から自分を守るために“怒り”という感情を使っ たり、実際に罪を犯したりします。その結果、他者に暴 力を振るったり、報復しようとしたり、虐待したり、孤立 したり、うつになったり、薬物を使ったりするのだそう です。だからこそ、彼らが「安全だと思える場所」で自 分の経験や感情を語ることにより、自分に起きたことを認め、感情を健全に表現することがで きるようになることが重要なのだ、ということでした。 この研修で最もすばらしかった経験は、何よりも私たち自 身も、一人の人間としてミーティングに参加し、自分自身のこ とを語る機会を持てたことです。誰しも、他人には簡単に明 かすことのできない心の奥にしまいこんできた過去や、その 時の感情があると思います。それを自分の言葉で表現し、そ して周りの人たちに受け止めてもらえるということが、どれ だけ自分自身の癒しになるか、生まれて初めて実感しました。 心から感動し、涙も流しました。 私たちは現在、この体験を、少しずつですが、デイケアで 実践に移そうとしているところです。メンバーさんが安心し て語れると思える場所になるには、時間も多くの方の協力と 理解も必要です。しかし自分たちが経験した“癒される体験” を、もっとたくさんの方々にしていただきたいと強く願って います。 最後に、今回このような体験ができたことを心から感謝します。そして、病気のあるなしに関 わらず多くの方が怒りと悲しみから解放され、安らぎと癒しの中で生きられますことを心から 願います。 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 - 11 - 精神科医 上村 敬一 私は旅が好きだ。何を楽しむのかと言うと、車窓であり風景であり、知らない街の空気であ る。だから鉄道は好きだが地下鉄は好まない。新幹線は単なる移動にしか過ぎない。 昨年 11 月末、下関で SST 学術集会という全国規模の研究会があった。今回下関と言う中途 半端な距離に、私は二日間とも新幹線で日帰りするという選択をした。新幹線で新下関まで 30 分弱。旅というより通勤。初日は駅から会場までタクシーを選んだ。通勤である。 二日目、新下関駅の改札に在来線(JR 山陽本線)への乗り換え案内を見つけた。案内を見る と下関駅方面行き鈍行に接続してある。ここでタクシーに乗ってしまえば、それは日常の延長。 もうだめだった。考える前に体は動いていた。 正直、その頃は気ぜわしく、時間ばかりが先を急ぐ毎日。自分は決められたスケジュールを こなすだけになっていた。逃げ出したいなんて気持ち、義務感と責任感から心のずっと深淵ま で追いやられていたのだろう。 日曜日の朝、ホームに人気は無い。顔に直接あたる風、朝の澄んだ空気は、清々しい。ひん やり感とちょっとしたワクワク感。冬の到来。凝り固まって窒息寸前だった心が息を吹き返した。 下関駅までたった 9 分間、190円の寄り道、逃亡。 精神医学では「遁走 遁走( 遁走(フーグ: フーグ:Fugue) Fugue)」という症状が知られている。自分の意識を体験と切り 離し(こうした心の働きを「解離 解離」という)、今いる(ある)自分と違う別の所へ行ってしまう(去 解離 ってしまう)のである。もちろんその間は本来の「自分」という意識を切り離しているので、「生 活史健忘」と言って「私は誰?ここはどこ?」状態となる。自分の意識が戻れば、逆に今までど こに行って、何をしていたのか思い出せない状態となる。眼前の現実から逃げ出したい、どこ か遠くへ姿をくらませたいという思いが現実化するわけである。しかし毎回別人にスイッチし て自分が誰だか分からないまま旅をする訳にもいかない。もちろん途中の思い出もなければ、 元の自分に戻れる保証すらない。これはやはり健康な姿とはいえない。精神医学での治療対 象である。 旅は好きだ。健康な自分を保つためにも、意識して非日常に出発しよう。ちょっとした冒険心 や好奇心が必要だけど、違う自分を、もちろん自分自身の体験として、見つけたり、時には変わ れたりできるかもしれない。私は幸い記憶を失ったままの旅はない。 (第3回) ☆「飯盛会」に勤務する多士済々のスタッフたちに、 日頃のちょっとしたことをエッセイとして寄稿してもらいました。 今回は 3 病棟の横山辰男看護師です、よろしくお願いします!! 「当たり前 たり前のこと」 のこと」 我が家には今年で 17 歳になるお婆ちゃん猫がいます。 まだまだ変わらぬ美貌をキープされていながらも、ここ最近、食事を嘔吐する回数が 増えたり、お腹に腫瘍のようなものができたりして浸出液が出てきたりと、確実に老化 というものが現れてきました。以前から動きの緩慢さや、虫を捕まえる事がなくなった ことなど「老い」の徴候は見えてはいました。しかしながら、目に見える変化がないと、 そういうことを実感できない自分の不甲斐無さを悔しく思いました。 准看護師として勤務し始めて早いもので2年が過ぎようとしています。いて当たり前 のものとして目の前の患者様と接するのではなく、常に変化していく状態を感じ取れる 人間でありたいと思います。 (3 病棟准看護師: 病棟准看護師:横山辰雄) 横山辰雄) ☆次回は 2病棟 中島傑看護師にバトンタッチ! (9) 第17号 平成20年1月 飯 盛 会 - 12 - 皆様方におかれましては、平素より当院の診療に対しご理解ご協力いただき、 感謝申し上げます。診療に関わる点についてご案内申し上げます。 佐藤幹雄先生が 1 月 16 日より入職されました。佐藤先生は九州大学医学部大学 院をご卒業され、福岡大学病院外科、村上華林堂病院外科で外科医としてご活 躍の後、内科外科系の臨床医として、国内外の医療機関で診療をなさってきま した。当院では主に患者様の身体面の診療にあたりながら、将来的には精神科 専門医(指定医)取得も目指されるとのことです。よろしくお願いいたします。 佐藤先生が、金曜日の内科系を担当します 精神科 内科 月 武市 久良木・田丸 火 上村 田丸 水 倉光 田丸 木 武市 田丸 金 倉光・上村 佐藤 土 休診 休診 予約および予約の変更などは、お電話でご連絡下さい TEL: TEL:092092-811811-1821(代)外来もしくは医療福祉相談科まで) 1821 当院外来は予約制 予約制です。外来診察は予約の方を優先しております。そのため、予約なしで受診された 予約制 場合、長時間お待ちいただくか、場合によっては対応が困難な場合もございます。 また初めて当院を受診される場合も、あらかじめ受診相談・予約をおすすめいたします ◆公共交通機関: ①地下鉄七隈線「橋本駅」→西鉄バス「橋本駅 バス停」より「金武営業所行き」乗車 ②地下鉄「姪浜駅」→西鉄バス「姪浜駅南口」 より「金武営業所行き」乗車 ①②いずれも「羽根戸バス停」下車→看板従い、 飯盛交差点より山に向かって徒歩5分 ◆車:飯盛交差点より看板に従い西に約 300m 病院案内板 《編集後記》 ■あけましておめでとうございます。体調管理に気をつけます!!(牛島) ■新年あけて、気持ちをあらたに広報委員会がんばっていきます。(井手) ■慌ただしく文字通り走り回った師走も、気がつけば年末押し迫っての編集作業。段取りの悪さはすべて私の責任です。 みなさんごめんなさいね。お正月ぐらいゆっくり好きな本と音楽に囲まれてゴロゴロしたいのですが、最近医局で猛威を振 るっている「プヨウイルス」が悪化しそうです。(上村) ■今年の目標は整理整頓!!(松田) ■新年あけましておめでとうございます。今年は、5kg ダイエットを目標に仕事にスポーツに頑張りたいと思っております。 (^o^)(森澤) 飯盛会広報誌「山鳩」17号 ■年末は流行りの(?)胃腸炎にかかり、クリスマスに寝込んでし 発行日 平成20年1月10日 まいました…(T_T)健康であることのありがたさを改めて感じる今 発行 医療法人社団「飯盛会」広報委員会 日この頃です。(平川) 〒819-0037 福岡市西区飯盛 664-1 TEL:092-811-1821,FAX:092-812-3649
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