ご挨拶 - 司法書士法人ヒューマン・サポート法律支援センター

法エール
Vol.87
H28.3.20
ご挨拶
早くも3月、春間近という少し心が軽くなるような季節になりましたが、先般、思
わぬことが起こり、気持ちが落ち込んでしまいました。某業者にパソコンメモリの増
設をお願いしたところ、担当者の不手際により、登録していたメールアドレスとよく
利用するHPにアクセスするためのパスワード・IDだけでなく、作業をしたもらっ
た日の2週間以前の受領メールまでもが全て消去されてしまいました。内蔵されてい
るハードディスクに不具合が発生したというような報告でしたが、他の関係者に尋ね
たところ、そのような場合には、データをバックアップして、作業にはいり、作業終
了後は作業に着手する時点と同様の環境にてお客様の依頼に応えていくのが常識であ
るといわれました。確かにそうすべきであったと思います。
振り返れば、パソコン導入後10年以上にわたり、長年蓄積してきた大切なデータ
が一瞬のうちに消去されてしまったことは、肯定的にそして前向きに捉えようと思っ
てもそう簡単にはいきません。報告を受け、しばらくは喪失感だけでなく脱力感に見
舞われました。
その業者からは、「何とか修復できるようにします。」と言われ、通常の業務は代
替 機 で 行 い 、 約 1 週 間 待 ち ま し た 。 す る と 、 9 割 程 度 の デ ー タ が 回 復 し ま し た 。 た だ、
パスワード・ID等は消去されたままで、管理等していた情報を手掛かりに、手作業
で入力するはめになってしまいましたが、「すべて消去されなくて運が良かった」と
ようやく前向きに捉えることができるようになりました。
また、新たな発見もありました。それは、日常必要とするデータは意外と少ないも
のであり、いつかは利用することもあるだろうと思われるデータを大切にしすぎてお
り、これに対応する必要があったということです。
そして、業者の対応も今回のことがあり、以前にもまして良くなりました。ありが
たい副作用といえるでしょう。しかし、明日は我が身です。私たち法人も、これまで
以上に、依頼者の方の要望に応えることができるよう、身を引き締めて業務にあたっ
ていきたいと思います。
それでは、今月の法エールもよろしくお願いします。
(代表社員 大島 隆広)
~交通事故~
これまで、交通事故に関する手続を紹介して参りましが、最終回の今回は「示談」
についてご紹介致します。
ホームページアドレス
http://www.hshsc2003.jp/
示談とは、事故による損害賠償金額を合意し、その後は互いに請求しないことを約
束することです。示談成立後に治療費等が増えても、原則として追加の請求は出来ま
せん。ですから、被害者は、怪我が全治するか、これ以上治療をしても良くならない
という症状固定の診断を受けるまで、示談をしないほうがよいでしょう。
損害賠償額の算定において、物損事故の場合には、一般的に修理費用が損害額と認
められます。ただし、修理が不能な場合には、その被害にあった物の時価が損害とな
り ま す が 、 こ こ で い う 時 価 と は 、 小 売 価 格 で は な く 、 減 価 償 却 さ れ た 金 額 に な り ま す。
また、営業補償(代車料金)なども請求できます。物損事故の場合には、以前からあ
る車輌の損傷を、この際に修理しようと思う被害者の方もいるようですので、損傷の
程度を加害者、被害者共同して現場で確認することが望ましいでしょう。
人 身 事 故 の 場 合 に は 、 入 院 で あ ろ う と 、 通 院 で あ ろ う と 、 治 療 は 十 分 に す べ き で す。
安易に治療を中断してから、後日、再度治療を始めても、事故との因果関係を証明す
るのが難しくなります。治療に伴う慰謝料のほか、休業補償や、交通費等も請求でき
ます。
治療を続けても怪我が治らず、症状が固定した場合には、後遺障害についての補償
を請求できます。後遺障害の補償としては、慰謝料および労働能力喪失による収入の
減少に対する補償があります。
死亡事故の場合には、被害者の方が一生に得られたであろう収入の補償が問題とな
ります。収入の補償は、通常67歳までを就労可能期間として、職業についていた方
は死亡前の収入を基に、幼児や主婦の場合には平均賃金を基に計算します。
損害額の交渉は、多くの場合、加害者側は保険会社が交渉の窓口になります。損害
額 の 基 準 に つ い て は 、 自 賠 責 保 険 は 自 動 車 損 害 賠 償 保 障 法 施 行 令 で 定 め る 基 準 に よ り、
最低限の金額でしかありません。任意保険の場合、保険会社は独自の賠償基準をもっ
ており、これは一般に裁判で認められる損害額よりも安いといえます。
他にも、過失相殺や、示談書の内容など、交通事故に関する問題は多岐にわたるた
め、当事務所または弁護士事務所などの専門家に相談されることをお勧め致します。
( 参 考 文 献 : く ら し の 法 律 Q& A~ 編 集
判例紹介
日本女性法律家協会~)
~取締役の競業避止義務~
(東京地裁昭和56年3月26日判決)
<事案の概要>
Yは、パン・菓子類の製造販売を業とするX株式会社の代表取締役だが、X社から借入
をしてA株式会社の株式の大部分を取得し、A社の経営を支配した(YはA者の代表取締
役でも取締役でもない)。またYは大阪進出を企図してX社の資金を用いて大阪近郊の土
地を購入、そこにB社を設立して自ら代表取締役となり、パン等の製造販売を行った。
X社は、Yが競業禁止義務、善管注意義務及び忠実義務に違反し、委任の本旨に反する
業務執行をしたとして、損害賠償等を求めて訴えを提起した。
<判旨>
Yは、A社発足以来、A社の事実上の主宰者として経営してきた。この行為は第三者で
あるA社のためにX社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、X社に対す
る競業避止義務に違反することは明らか。B社についても同様。
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効
に
ど
す
と
実
と
に
た
る
Yは、X社の代表取締役として、善良な管理者の注意を持って会社を有
適切に運営し、その職務を忠実に遂行しなければならない義務があるの
、X社の人的・物的・資金的資源を利用しながら、A社の株式のほとん
を自らが取得して、X社がA社をその傘下に収めて、県下の市場を強化
る機会を奪い、X社の取締役会に諮ることなく、また何ら対価も得るこ
なく、X社の販売店をA社に移管して、X社の市場を侵奪し、A社の事
上の主宰者として、X社との競業行為を行った行為、及び、B社をX社
全く資本関係のない会社として設立しX社が自ら又は子会社により関西
進 出 す る 機 会 を 奪 い 、 B 社 の 代 表 取 締 役 と し て 、 X 社 と の 競 業 行 為 を 行っ
行為が、X社に対する取締役としての忠実義務、善管注意義務に違背す
ことは明らか。
<コメント>
取締役は、自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取
引 を し よ う と す る 場 合 は 、 株 主 総 会 ( 取 締 役 会 設 置 会 社 の 場 合 は 取 締 役 会)
の承認を得なければなりません(会社法第356条1項1号、365条1
項)。
この判決は、Yが競業会社(A社)の代表取締役でないためA社の当事
者だとは言えない状況でも、A社の事実上の主宰者として経営を行ってき
た場合、会社法356条1項1号が適用されることを示しています。
〔会社法第356条1項1号〕
取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示
し、その承認を受けなければならない。
一
取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとする
とき。
〔会社法第365条1項〕
取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株
主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
コラム
~フェルメール~
ヨ ハ ネ ス ・ フ ェ ル メ ー ル ・ ・ ・ オ ラ ン ダ の デ ル フ ト と い う町 で 西 暦 1 6 3 2 年 に 生 ま れ た 画 家 で
す 。皆 さん の 中 にも ご 存 知 の 方 も 多 いと思 いま す 。彼 の 現 存 が 確 認 され て いる作 品 は 生 涯
で 30数 点 (研 究 者 に よ っ て 違 うよ うで す )だ と 言 わ れ て い ま す 。
私 は こ の 作 品 の 中 の 二 つ を 目 の 前 で 見 た こ と が あ り ま す 。 そ の 一 つ が 『真 珠 の 耳 飾 り の 少
女 』と呼 ば れ る作 品 で す 。皆 さん も 美 術 の 教 科 書 とか で 見 た こ とが あ るの で は な いで しょ うか?
振 り 向 き ざ ま の 少 女 が 鮮 や か な 青 い タ ー バ ン を 巻 き 、 真 っ 白 で 艶 や か に 輝 く真 珠 を 耳 に 飾 っ
て い る 油 彩 画 で す 。 絵 画 の サ イ ズ と し て は 、 そ ん な に 大 き くな い の で す が 、 目 の 前 で 見 る と 、
そ の 迫 力 、真 珠 の 眩 い光 や フ ェル メ ー ル ブ ル ー といわ れ るター バ ンの 青 の 綺 麗 さに圧 倒 さ
れ ま し た 。 こ の 作 品 の 少 女 の モ デ ル は は っ き り 分 か っ て い ま せ ん ( い な い と い うの が 有 力 な
ようで す )が 、実 在 した 人 物 で も な く数 百 年 も 前 の 絵 画 で あ り な が ら 、そ こ に 本 当 に 少 女 が 立っ
て こ ち ら を 見 つ め て い る よ うな 生 き 生 き と し た 存 在 感 と い っ た も の を 感 じ さ せ ら れ ま し た 。 や は
り こ れ が 価 格 に す る とウ ン 億 円 の 神 々 し さ! ! な の で し ょ うか ・・・
そ うい え ば 、 こ の 作 品 と 同 じ タ イ ト ル の 映 画 が あ り ま す 。 少 女 役 を ス カ ー レ ッ ト ・ ヨ ハ ン ソ ン
が や っ て ま す 。 ご 興 味 あ れ ば 一 度 ご 覧 に な ら れ て み て は い か が で し ょ うか 。
(龍 田 事 務 所 伊 藤 峰 治 )
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司法書士日記
自分で言うのも何ですが、私はちょっとした歴女&仏女だと思っています。歴女と
は、歴史好きあるいは歴史通の女性をさす造語、仏女は仏像などのように仏教的なこ
とを好む女性をさす造語です(両方ともウィキペディアより)。
詳しいとまでは到底言えませんが、歴史の話を聞いたり、歴史的建造物や古典にま
つわる場所を訪れたりすると、ものすごくテンションが上がります!一人勝手に歴史
ロマン的なものを感じて、壮大な歴史ドラマを妄想したりします!(笑)
自分の国の歴史や文化を知ることは、将来の日本が、世界が、より良くなっていく
ことに繋がるはずっ!と真面目に思っている自分は、これからますます歴女&仏女の
道を進んでいくのだろうなと思っています。
(健軍事務所 司法書士 山﨑 順子)
お知らせ
~寄り添う支援で笑顔ふたたび~
当法人は、「NPO法人身近な犯罪被害者を
支援する会」との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人もし
くは下記までご連絡ください。
TEL 096-341-8222
FAX 096-341-8333
命の絆・大切に、輝く命・永遠に
当法人は、「一般社団法人命の尊厳を考える会」
との連携を図っています。
ご質問、ご相談等ございましたら、当法人
もしくは下記までご連絡ください。
TEL 096-337-1251
FAX 096-337-3355
当法人では、継続的な相談にも対応できるよう、顧問契約の締結を行っています。
会社・個人問いません。詳しくはお近くの事務所までお気軽にお問い合わせください。
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