建物の種類について

建物の種類について
不動産登記法第44条に建物の表示に関する登記事項として、「建物の所在」「家屋番号」
「建物の種類、構造、床面積」が定められております。このうち「建物の種類」は、建物
の利用形態のことであり、建物を特定するための一つの要素として、登記事項とされてい
る訳で、主たる用途により、不動産登記法上に37の種類の定め方が規定されています。
但し、37の区分に該当しない建物については用途により適当に定めることになってお
ります。建物の種類については、土地についての「地目」のように特に制限がないので、
一般社会において通用する用語により的確かつ合理的に定めることになっています。
1.不動産登記法で定められている種類
①不動産登記規則第113条による区分(12)
居宅(専ら居住の用に供せられる。別荘も居宅)、店舗(商品を陳列して販売するための
建物の他、美容院、レストラン、飲食店、バー等も含まれる)、寄宿舎(社員寮や学生寮
のように多数の者が居住し、食堂・浴場を共用している建物)、共同住宅(一棟の建物内
に独立の居住単位の区画があるもの)、事務所(官公署、会社、団体等の事業活動のため
の事務を執るための建物)、旅館(旅館、ホテル、ユースホステル、ペンション等)料理
店(料亭、割烹等)、工場(物品の製造、加工等を行うための比較的規模の大きい建物)、
倉庫(物品の収納、保管の用に供する建物)、車庫、発電所、変電所
②不動産登記事務取扱手続準則第80条による区分(25)
校舎、講堂、研究所、病院、診療所、集会所、公会堂、停車場、劇場、映画館、遊技場、
競技場、野球場、競馬場、公衆浴場、火葬場、守衛室、茶室、温室、蚕室、物置、便所、
鶏舎、酪農舎、給油所
2.不動産登記法以外で使われている種類
実際に登記で使用されている主な事例です。
百貨店:店舗のうちデパート等大規模なものは百貨店とすることも可能です。
ホテル:ホテルの建物は「旅館」でも良いが、「ホテル」とすることもできます。また、
会社等が社員等の保養の用に供している建物は保養所とします。
作業所:規模の大きい「工場」に対し、専ら、労力作業を行うための仕事場や、家内工
業的な製造・加工を行うための小規模な建物は「作業所」とします。
物
置:
「倉庫」に対し、個人等が日用品等の収納・保管の用に供する規模の小さな建物。
また、農作物や農機具などの収納、保管の用に供されている建物は納屋です。
駐輪場、駐車場:駐輪場は自転車置場。特定の者が使用する「車庫」に対し、不特定多
数の者の自動車等を駐車させるための建物は「駐車場」とします。
校舎、講堂、体育館:学校教育法が適用される学校の建物は「校舎」とし、校舎のほか
に、講堂、体育館がある場合は、それぞれ「講堂」「体育館」とします。
保育所:幼稚園も学校教育法の適用のある学校ですから「校舎」としますが、保育園、
保育所等は「保育所」とします。
教習所:学校教育法の適用されない、いわゆる学習塾、ソロバン・生花・音楽等を教授
する場として使用するための建物。自動車教習所の建物も「教習所」です。
集会所、会館:一定の地域の住民が会合等に使用する比較的小規模な建物や一般に公民
館と呼ばれる建物は「集会所」とします。また、結婚式場・貸会議室・貸ホー
ル等比較的大規模な建物は「会館」とすることができます。
3.複数の用途に供されている場合
1棟の建物に二つ以上の主たる用途があるときは、例えば「居宅・店舗」「居宅・車庫」
というようにその種類を併記することとされています。建物の種類は建物を特定するため
の一つの要素であるから、主たる利用目的に従って登記すれば足りることになるが、複数
の利用目的をもつ建物をその利用形態に従って全て列挙することとすると、極めて煩雑な
ものとなるので、所有者の意思をも考慮して、主な種類を登記することになります。